説明

衛生プロセス流量計のためのガスケット構造

流量計アセンブリ(10)は、衛生プロセス環境で使用するための流量計(12)を含む。流量計は、第一のガスケットリップ(52)及び第一の当接面(60)を含む端部を有する流管(14)を含む。封止フランジが流管と嵌合し、第二のガスケットリップ(54)及び第一の当接面に当接するように構成された第二の当接面(62)を含む。ガスケット(50)が第一のガスケットリップと第二のガスケットリップとの間にシールを提供する。第一の当接面及び第二の当接面がガスケット(50)の圧縮を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、衛生プロセス環境におけるプロセス流体の流量を計測するために使用されるタイプの流量計に関する。より具体的には、本発明は、流量計をプロセス配管に連結するために使用されるシールに関する。
【0002】
「工業プロセス」とは、一般に、種々の材料又は組成物、たとえば天然ガス、原油、製紙用パルプなどの製造又は配給に使用される自動化又は半自動化されたプロセスをいう。工業プロセスでは、プロセスの作動を計測及び/又は制御するために遠隔フィールド装置が使用される。たとえば、圧力、温度、流量などのようなプロセス変量を計測するためにはプロセス変量トランスミッタが使用される。計測されたプロセス変量は、モニタリングのため又はプロセスの制御における使用のために別の場所に送信される。計測されたプロセス変量に応答してプロセスを制御するためには、プロセス制御ユニット、たとえば弁、ボイラなどを使用することができる。
【0003】
通常、このようなフィールド装置は、離れた場所、たとえばプロセス制御室に位置するプロセス制御装置と通信する。通信は、種々の公知技術、たとえば2線式プロセス制御ループを使用して行うことができる。典型的な2線式プロセス制御ループは、1対のワイヤを使用して、情報を、フィールド装置の給電に使用するための電力とともに、フィールド装置との間で行き来させる。一つの典型的なプロセス制御ループは、プロセス変量又はプロセス設定点が、ワイヤ対上を運ばれる4ミリアンペア〜20ミリアンペアの範囲の電流レベルとして表される4〜20ミリアンペアプロセス制御ループである。他のプロセス制御ループ構造は、デジタル信号を使用して情報を運ぶ。そのような構造としては、HART(登録商標)プロトコル及びフィールドバスプロトコルがある。
【0004】
一つの特定のタイプの工業プロセスがしばしば「衛生プロセス」と呼ばれる。衛生プロセスは、プロセス材料が高純度のままでなければならず、加工中に汚染に暴露されてはならない場合に使用される。たとえば、食品及び医薬品は通常、衛生プロセス環境で加工される。
【0005】
衛生プロセスを実施するために使用される各種部品がプロセス材料の汚染の根源になってはならない。たとえば、衛生プロセス中の部品の表面が、腐食したり、他のやり方で汚染物質をプロセス材料中に取り込んだりすべきではない。たとえば、プロセスと接触する導管及びフィールド装置の表面を形成するために使用される材料は、腐食したり、他のやり方でプロセス流体を汚染したりしてはならない。他の例では、プロセス材料と接触する部品は、プロセスを汚染しないように選択される所望の材料でライニングすることができる。
【0006】
衛生工業プロセスで使用することができる材料の種類は限られるため、ある特定の部品に好ましい材料を使用することができない場合が少なからずある。あるいはまた、場合によっては、指定された目的のための特定の部品の使用が限られる。たとえば、EHEDG(European Hygienic Equipment Design Group)として知られる一つの規格団体は、特定の流量計(直径1インチ〜4インチ)流管の性能に関する指定要件を定めている。これらの指定要件は、流量計が一定の温度範囲で作動することを求めている。温度変化は、ガスケットのような一部の部品の劣化を生じさせるおそれがある。ガスケットの劣化を減らす一つの方法は、そのような構造においてガスケットに加えることができる圧縮の量を制限する方法である。この設計制約に対処するために使用される一つの技法は、特殊な金属/エラストマーガスケットを使用する技法である。このガスケットは、ガスケットが指定の限界を超えて圧縮されることを防ぐ金属リングを用いて構成されている。ガスケット材料は金属リングに接合されている。しかし、このような構造は複雑であり、製造しにくい。
【0007】
発明の概要
衛生プロセス環境で使用するための流量計を含むタイプの流量計アセンブリの方法及び装置が提供される。流量計は、第一のガスケットリップ及び第一の当接面を含む端部を備えた流管を有する。穿孔を有する封止フランジが流管と嵌合するように構成されている。封止フランジは、第二のガスケットリップ及び第一の当接面に当接するように構成された第二の当接面を含む。ガスケットが第一のガスケットリップと第二のガスケットリップとの間にシールを提供する。第一の当接面及び第二の当接面は、封止フランジの圧縮を制限するように構成されている。
【0008】
好ましい実施態様の詳細な説明
図1は、衛生プロセス環境で使用するための本発明の流量計アセンブリ10の斜視図である。流量計アセンブリ10は、流管14を有する電磁流量計12を含む。流量計12は、流管14中のプロセス流体の流量を計測するように構成されている。流管14は、以下さらに詳細に説明する本発明のガスケット構造を使用して封止フランジ16に連結されている。封止フランジ16は、プロセス流体(図示せず)を運ぶプロセス配管18に流管14を連結する際に使用するための工業規格カップリングに準拠する装着端22を含む。規格化されたカップリング22が示されているが、それが必要なわけではなく、連結技術は、所望の構造に応じたものであることができる。
【0009】
流量計12は電磁流量計として示されている。電磁流量計は、磁気コイルを使用してプロセス流体中に磁場を誘発する公知の技術である。プロセス流体中の電極を使用して、印加された磁場によって流体中に生じる電位を感知する。その電位の大きさを、管を通過するプロセス流体の流量に相関させる。本発明は、電磁流量計を参照して説明するが、そのような構造には限定されず、他のタイプのフィールド装置とで具現化することもできる。
【0010】
流量計12は、2線式プロセス制御ループ20に連結された状態で示されている。構造によっては、電磁流量計12中の回路は、プロセス制御ループ20から受ける電力によって完全又は部分的に給電を受けることができる。しかし、より一般的な構造では、流量計12を給電するのに別個の電源が使用される。
【0011】
図2Aは、本発明の一つの構造を示す、流管14及び封止フランジ16の断面図であり、図2B及び2Cはその分解斜視図である。図2A、図2B及び2Cに示すように、封止フランジ16と流管14との間の連結をシールするためにガスケット50が使用されている。「背景」部分で述べたように、特定の衛生プロセス規格は、ガスケット50に加えることができる圧縮の量を制限している。「背景」部分で論じたように、一部の衛生プロセス施設では、流量計アセンブリのような装置は、一定の温度範囲で作動可能でなければならない。装置の温度が変動すると、装置の部品が膨張及び収縮して、装置中のガスケットに応力を加える。これらの応力は、ガスケットの割れ及び最終的には破損を生じさせるおそれがある。温度誘発応力によって生じるガスケットに対する損傷を減らす一つの方法は、ガスケットに加えることができる圧縮を制限する方法である。一つの具体的な態様では、シールの圧縮は25%未満に制限される。もう一つの態様では、圧縮は20%未満に制限される。以下に論じるように、本発明は、種々の工業規格で定められた圧縮限界を超えることなくガスケットが封止フランジ16を流管14に対して効果的にシールするのに十分な圧縮をガスケット50に提供するように構成されている。
【0012】
ガスケット50は、適当な材料のいずれでできていてもよい。しかし、好ましい実施態様では、ガスケット50は、エチレンプロピレン、Viton(登録商標)(DuPont Dow Elastomers社(米デラウェア州Wilmington)から市販)、シリコーン又はフルオロカーボンを含む。
【0013】
流管14はガスケットリップ52を含み、封止フランジ16も同様なガスケットリップ54を含む。リップ52及び54の周囲には空隙領域56が周方向に延びている。図2に示すように、ガスケット50の断面は「T」字形を示し、その「T」の下部分がリップ52とリップ54との間に嵌合し、「T」の上交差部分が空隙56に嵌り込む。ガスケット50によって提供されるシールは、ガスケット50が「T」の下部分及び「T」の上部分に沿ってガスケットリップ52及び54に当接する領域で達成される。
【0014】
流管14は当接面60を含み、封止フランジ16は当接面62を含み、これらの当接面は、図2A、2B及び2Cに示すように互いに当接するように構成されている。面60及び62は、封止フランジ16と流管14との間の空間を限定し、それにより、ガスケット50に加えることができる最大圧縮を制限する。図2A、2B及び2Cに示す構造では、当接面62は、ガスケット50の上方に延びて空隙56を形成するフランジ延長部66から形成されている。しかし、これは単に一例であり、他の構造もまた本発明の範囲に入る。フランジ延長部は、封止フランジ16又は流管14に連結することもできるし、フランジ16及び流管14によって部分的に担持されることもできる。ガスケット50に対する圧縮の量は、リップ52とリップ54との間のガスケット50の断面厚さ及びフランジ延長部50の長さの関数である。ナット70が、流管14のねじ山72にねじで受けられて、封止フランジ16をガスケット50ならびに面60及び62に沿って流管14に対して固着するように構成されている。他の技術を使用してフランジ16を流管14に連結することもでき、本発明は、図2A、2B及び2Cに示すナット70に限定されない。もう一つの例では、スパナを使用してもよい。
【0015】
一つの特定の実施態様では、ガスケット50に加えることができる圧縮の量は、25%未満、より具体的には20%未満に制限される。しかし、所望により、いかなる圧縮限界を選択することもできる。
【0016】
封止フランジ16及び流管14は、衛生プロセス環境の要件に適合するいかなる適切な材料であることもできる。適当な材料が利用可能でないならば、露出面にコーティングを施して、プロセス流体が下にある材料と接触することを防ぐことができる。
【0017】
図3A及び3Bは、封止フランジ16の連結部分76の断面図及び正面図を示す。連結部分76は、封止フランジ16の残り部分と一体に形成することもできるし、たとえば溶接によって取り付けられて封止フランジ16全体を形成する別個の部品であることもできる。図3A及び3Bに示すように、面62、空隙56及びガスケットリップ54が同心円中に形成されている。連結部分76は、衛生プロセス環境で使用するのに適切な任意の材料で形成することができる。一つの典型的な材料は、ステンレス鋼、たとえば316Lである。
【0018】
好ましい実施態様を参照しながら本発明を説明したが、当業者は、本発明の本質及び範囲を逸することなく、その形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。流量計アセンブリ、特に電磁流量計アセンブリに関して本発明を説明したが、本発明は、衛生プロセス環境で使用するためのいかなるフィールド装置とでも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】衛生プロセス環境で使用するための流量計アセンブリの斜視図である。
【図2A】図1の流量計アセンブリの流量計管、封止フランジ及びガスケットを示す断面図である。
【図2B】図1に示す流量計の封止フランジ及びガスケットアセンブリの分解斜視図である。
【図2C】図1に示す流量計の封止フランジ及びガスケットアセンブリの分解斜視図である。
【図3A】図2A、2B及び2Cに示す封止フランジの連結部分の断面図である。
【図3B】図2A、2B及び2Cに示す封止フランジの連結部分の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生プロセス環境で使用するための、第一のガスケットリップ及び第一の当接面を含む端部を有する流管を含む流量計、
流管と嵌合するように構成された、中を通って延びる穿孔を有し、第二のガスケットリップ及び第一の当接面に当接するように構成された第二の当接面を含む封止フランジ、及び
第一のガスケットリップと第二のガスケットリップとの間にシールを提供するように構成されたガスケット
を含み、第一の当接面及び第二の当接面が、封止フランジの圧縮を制限するように構成されている流量計アセンブリ。
【請求項2】
流管及び封止フランジの少なくとも一方が、流管と封止フランジとを連結する際の使用のためにねじを切られている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
流管と封止フランジとを連結するように構成されたねじ付きナットを含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
第一及び第二の当接面の一方に連結され、封止フランジの圧縮を制限する長さを有するフランジ延長部を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
フランジ延長部が第一の当接面及び流管に連結する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
フランジ延長部が第二の当接面及び封止フランジに連結する、請求項4記載の装置。
【請求項7】
流管と封止フランジとの間に空隙領域を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
ガスケットが空隙領域中に部分的に配置される、請求項7記載の装置。
【請求項9】
ガスケットが「T」字形の断面を有する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
ガスケットがエラストマーを含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
ガスケットがフルオロカーボンを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
ガスケットが1個の部品を含む、請求項1記載の装置。
【請求項13】
ガスケットの圧縮が約25%未満である、請求項1記載の装置。
【請求項14】
ガスケットの圧縮が約20%未満である、請求項1記載の装置。
【請求項15】
流量計を衛生化プロセスに連結する方法であって、
第一のガスケットリップ及び第一の当接面を流量計の流管上に設けること、
中を通って延びる穿孔を有し、第二のガスケットリップ及び第一の当接面に当接するように構成された第二の当接面を有する封止フランジを設けること、
第一のガスケットリップと第二のガスケットリップとの間にガスケットを配置してそれらの間にシールを提供すること、
第一のガスケットリップと第二のガスケットリップとの間でガスケットを圧縮すること、及び
第一の当接面を第二の当接面に当接させることによってガスケットに加えられる圧縮を制限すること
を含む方法。
【請求項16】
流管及び封止フランジの少なくとも一方が、流管と封止フランジとを連結する際の使用のためにねじを切られている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
流管と封止フランジとを連結するように構成されたねじ付きナットを含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
第一及び第二の当接面の一方に連結され、封止フランジの圧縮を制限する長さを有するフランジ延長部を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
フランジ延長部が第一の当接面及び流管に連結する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
フランジ延長部が封止フランジ中で第二の当接面に連結する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
流管と封止フランジとの間に空隙領域を含む、請求項15記載の方法。
【請求項22】
ガスケットが空隙領域中に部分的に配置される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ガスケットが「T」字形の断面を有する、請求項15記載の方法。
【請求項24】
ガスケットがエラストマーを含む、請求項15記載の方法。
【請求項25】
ガスケットがフルオロカーボンを含む、請求項15記載の方法。
【請求項26】
ガスケットが1個の部品を含む、請求項15記載の方法。
【請求項27】
ガスケットの圧縮が約25%未満である、請求項15記載の方法。
【請求項28】
ガスケットの圧縮が約20%未満である、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−514957(P2008−514957A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534667(P2007−534667)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/034173
【国際公開番号】WO2006/039205
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】