説明

衛生用繊維集合体製品

【課題】製品収納量に対して使用時の設置スペースが著しく小さくて済むような衛生繊維集合体の包装容器および製品を提供する。
【解決手段】衛生用繊維集合体が収容された第一の容器部20と、第一の容器部20と異なる衛生用繊維集合体または衛生用繊維集合体以外の物品が収容された第二の容器部30とを含む複数の容器部20,30を一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパーや、キッチンペーパー、ペーパータオル、あるいは化粧もしくは医療に用いられる衛生用コットン等の衛生用繊維集合体を包装容器に収納してなる衛生用繊維集合体製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパーや、キッチンペーパー、ペーパータオル、あるいは化粧もしくは医療に用いられる衛生用コットン(カットコットン、コットンパフ、またはパフともいわれる)等の衛生用繊維集合体製品は、一般に、直方体状の紙製容器(紙箱)に多数積層収納されて市販されている。使用に際しては、容器の一部に予め形成したミシン目を切り離すことで取出口を形成し、この取出口を介して内部のティシュペーパー等を取り出す仕組みとなっている。(特許文献1〜4参照)
従来、この種の製品では、容器による商品の差別化を目的として、印刷技術や、エンボス加工等の表面加工技術の改良を行ってきた。
しかしながら、従来は、単一の衛生用繊維集合体のみを容器に収容したものを単一の製品とすることが慣行となっており、この限りにおいて、いくら印刷技術や表面加工技術を改良したとしても顕著な製品の差別化を図ることは困難であった。そのため、外観的に新規な形態を有する製品の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平11−130167号公報
【特許文献2】特開2002−249183号公報
【特許文献3】特開2005−162256号公報
【特許文献4】特開平6−99970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の主たる課題は、付加価値を高めることができ、かつ外観的に新規であり、製品の差別化を容易に図ることができる製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
(請求項1記載の発明)
衛生用繊維集合体が収容された第一の容器部と、第一の容器部と異なる衛生用繊維集合体または衛生用繊維集合体以外の物品が収容された第二の容器部とを含む複数の容器部を一体に形成してなることを特徴とする衛生用繊維集合体製品。
【0005】
(作用効果)
本発明では、製品の容器として複数の容器部を一体化したものを用いるとともに、少なくとも一つに衛生用繊維集合体を収容し、他の少なくとも一つの容器部に他の種類の衛生用繊維集合体や、衛生用繊維集合体以外の任意の物品を収容する。よって、異なる衛生用繊維集合体を一つの製品パッケージとしたり、玩具、景品等の他の任意の物品が付属する一つの製品パッケージとしたりすることができ、より付加価値が高く、外観的にも新規な形態となる。その結果、製品の差別化を容易に図ることができるようになる。
【0006】
(請求項2記載の発明)
前記第一の容器部に薬液を含有するティシュペーパーが収容されており、前記第二の容器部に薬液を含有しないティシュペーパーが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【0007】
(作用効果)
近年、保湿剤等の薬液を含有させることによりしっとり感を高め、肌触りを向上させた、いわゆる高級タイプのティシュペーパーが市販され、繰り返し鼻をかんでも肌がヒリヒリし難い、または鼻が赤くなり難いとして人気を呼んでいる。しかし、使用者は、かかる高級タイプのティシュペーパーと、薬液を含有しない一般的なティシュペーパーとを用途に応じて使い分けており、両者を別々に購入し、別々に設置する若しくは取り扱うという煩雑な事態を招いていた。これに対して、本項記載のように構成すると、一つの製品で異なる機能のティシュペーパーを使い分けることができ、非常に便利になる。
【0008】
(請求項3記載の発明)
前記第一の容器部に香り付きティシュペーパーが収容されており、前記第二の容器部に第一の容器部と異なる香りが付いた又は香り無しのティシュペーパーが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【0009】
(作用効果)
近年では、ティシュペーパーの付加価値を高めるために、ティシュペーパーに香りを付けること(ティシュペーパーに香料を付与することのみならず、容器に香料を付与しておき、その香りをティシュペーパーに移すことも含む)も行われている。しかし、使用者は、香りの有無を用途に応じて使い分けており、両者を別々に購入し、別々に設置する若しくは取り扱うという煩雑な事態を招いていた。これに対して、本項記載のように構成すると、一つの製品で異なる機能のティシュペーパーを使い分けることができ、非常に便利になる。
【0010】
(請求項4記載の発明)
前記第一の容器部にティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルまたはコットンが収容されており、前記第二の容器部に、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルおよびコットンのうち第一の容器部と異なるものが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【0011】
(作用効果)
多くの家庭では、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルおよびコットンのうち、少なくとも2種類以上は使用しており、またティシュペーパートとキッチンペーパーもしくはペーパータオル、あるいはティシュペーパーとコットンは、同時に使用されることも多いものである。しかし、従来は、これらを別々に購入し、別々に設置する若しくは取り扱うという煩雑な事態を招いていた。これに対して、本項記載のように構成すると、一つの製品で異なる種類の繊維集合体製品を使い分けることができ、非常に便利になる。
【0012】
(請求項5記載の発明)
前記第一の容器部にドライタイプの衛生用繊維集合体製品が収容されており、前記第二の容器部にウェットタイプの繊維集合体製品が収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【0013】
(作用効果)
ティシュペーパーやペーパータオル(手拭の他、局部拭き取り用含む)では、拭き取り性に優れるウェットタイプのものが市販されており、使用者は用途に応じてドライタイプのものと使い分けている。また、このようなウェットタイプのものを使用する場合、その使用後に残存する液分を拭き取るためにドライタイプのものを用いることも多い。しかし、従来は、これらを別々に購入し、別々に設置する若しくは取り扱うという煩雑な事態を招いていた。これに対して、本項記載のように構成すると、一つの製品でドライ・ウェット両方の繊維集合体を使い分けることができ、非常に便利になる。
なお、この形態では、全ての容器部を耐水性かつ不透液性の素材で形成するのが好ましいが、ウェットタイプを収容する容器部のみ耐水性かつ不透液性素材で形成し、他の容器部については耐水性を有しない素材で形成することもできる。
【0014】
(請求項6記載の発明)
実質的に同寸法の六面体状をなす四つの容器部を縦方向及び横方向に各二個ずつ配列し、かつ各容器部が縦方向及び横方向に隣接する他の容器部に対して同寸法の面において四辺が実質的にずれ無く重なるように隣接配置し、
縦方向および横方向の双方に直交する方向を厚さ方向としたとき、厚さ方向のいずれか一方側において隣接する二辺をそれぞれ連結し、これら連結部分に沿って折線を設け、この折線を境に一方側の容器部が他方側の容器部に対して回動するように構成した、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。
【0015】
(作用効果)
本項記載の場合、縦方向中央の容器部間、あるいは横方向中央の容器部間を境界としてその両側の容器部を割り開くように180度回動させることができるため、容器部間の連結を維持しつつ立体パズルのように操作し遊ぶことができる。よって、より付加価値を高めることができ、かつ外観的に新規であり、製品の差別化を容易に図ることができるようになる。
【0016】
(請求項7記載の発明)
実質的に同寸法の六面体状をなす容器部を二つ有し、これら容器部を同寸法の面において四辺が実質的にずれ無く重なるように対向配置するとともに、
一方の容器部の対向面をなす四辺のうちいずれか一辺を第一の連結辺とし、一方の容器部の対向面における第一の連結辺の対辺と重なる他方の容器部の一辺を第二の連結辺とし、一方の容器部の第一の連結辺から、第一の連結辺と重なる他方の容器部の一辺を含む面であって対向面以外の面、他方の容器部における対向面の対面、他方の容器部における第二の連結辺を含む面であって対向面以外の面をこの順に通り、他方の容器部の第二の連結辺に至る第一の連結部により、一方の容器部の第一の連結辺と他方の容器部の第二の連結辺とを連結し、
第一の連結辺と重なる他方の容器部の一辺を第三の連結辺とし、一方の容器部の対向面における第一の連結辺の対辺を第四の連結辺とし、他方の容器部の第三の連結辺から、一方の容器部における第一の連結辺を含む面であって対向面以外の面、一方の容器部における対向面の対面、一方の容器部における第四の連結辺を含む面であって対向面以外の面をこの順に通り、一方の容器部の第四の連結辺に至る第二の連結部により、他方の容器部の第三の連結辺と一方の容器部の第一の連結辺とを連結してなる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。
【0017】
(作用効果)
本項記載の場合、第一及び第二の連結部により一方の容器部と他方の容器部との連結を維持し、辺あるいは面相互の隣接を維持したまま、両容器部の境界を第一の連結辺と反対側において割り開くことで、当初の対向面を裏返して外面とし、当初の対向面の対面を新たな対向面とし、しかも、さらに同じように割り開くことで、外面となった当初の対向面が再び対向面に戻るという、通常予想できないような立体パズル動作を楽しむことができる。なお、この操作は、一方の容器部を基準としてみれば、他方の容器部が一方の容器部の周りを転がりながら一周するといった操作になる。
【0018】
(請求項8記載の発明)
衛生用繊維集合体が収容された容器部における他の容器部と重なる面に衛生用繊維集合体の取出口が形成されるように構成されている、請求項6または7記載の衛生用繊維集合体製品。
【0019】
(作用効果)
本項記載の発明では、衛生用繊維集合体の取出口が外面から見えず、容器部間の連結を維持したまま容器部を操作することにより取出口が出現するため、面白みに富むようになる。また、使用前には取出口が他の容器部により塞がれるため、外観見栄えが良くなるとともに、取出口に蓋をせずとも使用前における異物進入を防止できる。
【0020】
(請求項9記載の発明)
衛生用繊維集合体が収容された容器部を他の容器部から切り離すことができるようにミシン目が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。
【0021】
(作用効果)
本項記載の発明では、使用に際して容器部を分離して設置し、他の容器部を保管する、廃棄する、あるいは別の場所に設置する等でき、省スペースでの利用が可能になる等の利点がもたらされる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり本発明によれば、一製品の収納量に対して使用時の設置スペースが著しく小さくて済む、円滑・容易な取り出しが可能でありながら異物進入が防止される、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、以下では、説明の便宜上、上下左右を定めて説明するが、製品の製造時、運搬時、保管時、陳列時、使用時における方向はこれに限定されない。
(第一の実施形態)
図1は、本発明に係る繊維集合体製品の外観を示しており、この形態は、実質的に同寸法の直方体状をなす四つの紙箱製の容器部1〜4を縦方向及び横方向に各二個ずつ配列し、かつ各容器部1〜4が縦方向及び横方向に隣接する他の容器部1〜4に対して同寸法の面において四辺が実質的にずれ無く重なるように隣接配置してなるものである。
【0024】
各容器部1〜4の展開形状は図3に示されている。すなわち、四側面11〜14が連設されるとともに、そのいずれか一つの側面12の上側に上面15が連設され、かつ他のいずれか一つの側面14の下側に下面16が連設されてなる公知の六面体の展開形状を基に、隣接する他の容器部1〜4との対向面になるいずれか一方の側面12の底辺12bに、他の容器部1〜4に連結するための連結フラップ17が突出するとともに、他の容器部1〜4との対向面になる他方の側面13の底辺13b、ならびに他の辺のうち組み立て状態で隣接するようになる二辺のいずれか適宜の方に、角部の隙間を埋める角部フラップ18,18Bがそれぞれ突出している。角部フラップ10のうち側面相互を突き合わせる部位のフラップ18Bは、糊付けにより他方の側面11に固定される。また、各フラップの17,18,18Bの基端および各面11〜16の境界線に沿って圧縮加工による折目が形成されている。
【0025】
これを各面11〜16及び各フラップ17,18,18bの境界線で折り曲げて組み立てることにより、図2に示されるような外観の単位容器部1〜4が形成される。各容器部1〜4においては、隣接する他の容器部1〜4との対向面になるいずれか一方の側面12の底辺12bから連結フラップ17が底面16に沿って外側に突出しており、角部フラップ18,18Bは全て内部に隠れるように折り曲げられて配される。
【0026】
連結フラップ17は、他の容器部1〜4に対して連結する部分であり、その連結構造は特に限定されず、例えば糊等の接着剤や接着テープを用いて接着することもできるが、本実施形態では構造的な連結形態を採用している。すなわち、連結フラップ17に、基端側に膨出するように半円状(山形や凸形でも良い)の切込み17cを入れ、切込み17cの両端を結ぶ線を折り線として掛止フラップ19を折りだし、この掛止フラップ19を図4に示されるように、隣接する他の容器部1〜4の底辺13bから突出する角部フラップ18に掛止する構造となっている。連結フラップ17によって連結された一方の容器部1〜4は、他方の容器部1〜4に対して、連結フラップ17の基端の折線を境に回動するようになっている。なお、本実施形態では共通構造の容器部1〜4を用いるため、図示のように、各容器部1〜4の連結フラップ17は周方向の所定の側に隣接する他の容器部1〜4の角部フラップ18上に突出し、当該角部フラップ18に掛止されるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、隣接する他の容器部1〜4との対向面(図示形態では連結フラップが突出する側の側面)に取出口を形成するためのミシン目12cが、所望の取出口形状(環状等)に沿って形成されている。
【0028】
他方、容器部1〜4の少なくとも一つには衛生用繊維集合体が複数収容され、他の少なくとも一つの容器部1〜4には他の種類の衛生用繊維集合体が複数収容される、あるいは衛生用繊維集合体以外の任意の物品が一つ又は複数収容される。全ての容器部1〜4に衛生用繊維集合体を収容する場合は、全ての容器部1〜4に取出口12cが形成されるようになっているのが好ましく、本実施形態もこの場合を想定している。一方、衛生用繊維集合体以外の任意の物品、例えば景品を収容する場合等においては(衛生用繊維集合体を収容する場合であっても必要に応じて)、後述の第二の実施形態のように、少なくとも当該任意の物品を収容する部分については取出口またはこれを形成するためのミシン目12cを形成せず、容器部1〜4のいずれかの面を開封することにより内容物を取り出すように構成することができる。
【0029】
衛生用繊維集合体としては、薬液(保湿剤、柔軟剤等の少なくとも一種を含む)含有タイプ、薬液非含有タイプ、香り付きタイプ、香り無しタイプ、ドライタイプ、ウェットタイプ、およびこれらの複合タイプの、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルおよびコットンを用いることができる。このうち、特に前述の組み合わせが好ましい。
【0030】
かくして構成された製品では、図5及び図6に示されるように、上面側(縦方向および横方向の双方に直交する方向を厚さ方向としたとき、厚さ方向のいずれか一方側において、横方向中央の容器部間を境界としてその両側の容器部1,3と容器部2,4とを割り開くように180度回動させることができ、また図示しないが、縦方向中央の容器部間、つまり容器部1,2と容器部3,4との間を割り開くように180度回動させることもできるため、容器部1〜4間の連結を維持しつつ立体パズルのように操作し遊ぶことができる。
【0031】
また本実施形態では、この操作により、平面的に視て対角に並ぶ二対の容器部のうち、いずれか一方(図示例では容器部2,3)にのみ取出口部位(ミシン目12c,12c部位)が上面に現れ、他方には現れないようになっている。よって、当初、縦横いずれか一方の容器部間を割り開いた状態で設置し、取出口が現れた容器部から収容物の使用を開始し、後にこの容器部の収容物を使い切った後に、縦横いずれか他方の容器部間を割り開いた状態で設置し、新たに取出口の現れた容器部内の収容物を使用するといった使用形態や、不使用時は全ての取出口が隠れるように畳んでおき、使用時に適宜割り開いて現れる取出口を介して内容物を使用するといった使用形態等、面白みに富む様々な使用形態を取ることができる。
【0032】
(第二の実施形態)
図7は、本発明に係る繊維集合体製品の外観を示しており、図8はその平面概略図である。この形態は、実質的に同寸法の直方体状をなす容器部20,30を左右二つ有し、これら容器部20,30を同寸法の側面において四辺が実質的にずれ無く重なるように対向配置してなるものである。
【0033】
このような容器部20,30は紙を折り曲げて組み立てることにより形成することができ、そのための両容器部20,30の展開形状及び部品が図9に示されている。すなわち、各容器部20,30は、四側面21〜24、31〜34が連設されるとともにそのいずれか一側面22,32の上下両側に上面25,35及び下面26,36がそれぞれ連設された公知の六面体の展開形状を基に、組み立て状態で隣接するようになる二辺のいずれか適宜の方に、角部の隙間を埋める角部フラップ28,28B、38,38Bが突出し、このうち側面相互を突き合わせる部位のフラップ28B,38Bは糊付けにより他方の側面に固定されるようになっている。角部フラップ28,28B、38,38Bは組み立て上体では全て内部に隠れるように折り曲げられて配される。
【0034】
また、右側の容器部30における左側の容器部20との対向面をなす四辺のうち背面側の辺が第一の連結辺40とされ、この第一の連結辺40の対辺と重なる左側の容器部20の一辺が第二の連結辺41とされている。図示形態では、これら第一及び第二の連結辺40,41における中央部に連結孔40h、41hがそれぞれ形成されている。そして、右側の容器部30の第一の連結辺40の連結孔40hから、第一の連結辺40と重なる左側の容器部20の一辺を含む面であって対向面以外の面21、左側の容器部20における対向面の対面22、左側の容器部20における第二の連結辺41を含む面であって対向面以外の面23をこの順に通り、左側の容器部20の第二の連結辺41の連結孔40hまで、帯状部材からなる第一の連結部60が延在している。第一の連結部60は、予め連結孔40h,41hよりも幅広に形成した両端部61を有しており、この両端部61を各連結孔40h,41hに強制的に挿入することにより、左右容器部20,30の連結孔40h、41hに掛止される。かくして、右側の容器部30の第一の連結辺40と左側の容器部20の第二の連結辺41とが、上下方向中央部において第一の連結部60を介して連結される。
【0035】
さらに、第一の連結辺40と重なる左側の容器部20の一辺が第三の連結辺42とされ、右側の容器部30の対向面における第一の連結辺40の対辺が第四の連結辺43とされている。そして、図示形態では、これら第三及び第四の連結辺42,43が、左側の容器部20の第三の連結辺42から、右側の容器部30における第一の連結辺40を含む面であって対向面以外の面33、右側の容器部30における対向面の対面32、右側の容器部30における第四の連結辺43を含む面であって対向面以外の面31をこの順に通り、右側の容器部30の第四の連結辺43に至る第二の連結部50により連結されている。特に図示形態では、第三の連結辺42の両端部と第四の連結辺43の両端部とが、一対の平行な帯状連結部50,50を介してそれぞれ連結され、これら第二の連結部50,50間に第一の連結部60が平行に収まるように構成されている。
【0036】
また、各フラップ28,28B、38,38Bの基端および各面21〜26、31〜36の境界線に沿って圧縮加工による折目が形成されるとともに、第一の連結部60および第二の連結部50は、各容器部20,30の表面に沿って屈曲するように予め圧縮加工による折目が形成されている。
【0037】
なお、図示形態では、第一の連結部60が別体として形成され、第二連結部50が予め一体化されているが、反対でも良く、また両者ともに別体として形成されていても良い。さらに連結部50,60と容器部20,30との連結形態は特に限定されるものではなく、図示形態のように構造的な連結形態を採用しても、また糊等の接着剤や接着テープを用いて接着しても良い。
【0038】
他方、容器部20,30内に収容される物品については第一の実施形態と同様であるので説明を省略するが、前述のとおり、本実施形態では左側の容器部20の対向面にのみ取出口が開口するようにミシン目27が形成されており、右側の容器部30の内容物は上面または下面を開くことによって取り出すことができるようになっている。
【0039】
かくして構成された製品では、図7及び図8に示す状態から両容器部20,30の境界を正面側(第一の連結辺40に対して反対側)において図10及び図11に示すように割り開くことで、第一及び第二の連結部60,50により両容器部20,30の連結を維持し、辺あるいは面相互の隣接を維持したまま、図12及び図13に示すように当初の対向面24,34を裏返して外面とし、当初の対向面24,34の対面22,32を新たな対向面とし、しかも、図14及び図15に示すように、さらに同じように割り開くことで、図16及び図17に示すように外面となった当初の対向面24,34が再び対向面に戻る(ただし、連結辺40,41の位置は背面側から正面側に移動して入れ替わっている)という、通常予想できないような立体パズル動作を楽しむことができる。なお、この操作は、一方の容器部20を基準としてみれば、他方の容器部30が一方の容器部20の周りを転がりながら一周するといった操作になる。
【0040】
また、本実施形態では、当初隠れていた取出口部位(ミシン目27部位)が、上記回転操作により現れ、最終的には再び隠れる。よって、例えば、両容器部20,30の境界を正面側から割り開き、取出口を介して繊維集合体を取り出した後、その後の持ち手の向きに応じて順・逆いずれかやり易い方向の操作で取出口を隠すことができる等、面白みに富む様々な使用形態を取ることができる。
【0041】
(その他)
上記実施形態の容器部1〜4、20,30は容器部相互が一体化されており、素材を破く以外に切り離しは不可能であるが、容器部相互を繋ぐ部分、例えば第一の実施形態における連結フラップ17の基端の折線12bに沿ってミシン目を形成しておき、衛生用繊維集合体が収容された容器部を他の容器部から切り離すことができるように構成することもできる。
【0042】
上記実施形態の容器部1〜4、20,30は直方体状をなしているが、立方体状をなしていても良い。
【0043】
また、上記実施形態は紙箱を想定しているが、ウェットタイプの繊維集合体を収容する場合等、必要に応じて一部または全部の容器部を耐水性かつ不透液性の素材、例えばポリエチレンやポリプロピレンで形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、薬液(保湿剤、柔軟剤等の少なくとも一種を含む)含有タイプ、薬液非含有タイプ、香り付きタイプ、香り無しタイプ、ドライタイプ、ウェットタイプ、およびこれらの複合タイプの、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルおよびコットン等、各種の衛生用繊維集合体製品に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第一の実施形態の斜視図である。
【図2】単位容器部の斜視図である。
【図3】単位容器部の展開図である。
【図4】各容器部の底面を開放した状態を示す、底面側から視た斜視図である。
【図5】第一の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図6】第一の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図7】第二の実施形態の斜視図である。
【図8】第二の実施形態の展開図である。
【図9】平面概略図である。
【図10】第二の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図11】図10の平面概略図である。
【図12】第二の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図13】図12の平面概略図である。
【図14】第二の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図15】図14の平面概略図である。
【図16】第二の実施形態の操作要領を示す斜視図である。
【図17】図16の平面概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1〜4…容器部、20,30…容器部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用繊維集合体が収容された第一の容器部と、第一の容器部と異なる衛生用繊維集合体または衛生用繊維集合体以外の物品が収容された第二の容器部とを含む複数の容器部を一体に形成してなることを特徴とする衛生用繊維集合体製品。
【請求項2】
前記第一の容器部に薬液を含有するティシュペーパーが収容されており、前記第二の容器部に薬液を含有しないティシュペーパーが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項3】
前記第一の容器部に香り付きティシュペーパーが収容されており、前記第二の容器部に第一の容器部と異なる香りが付いた又は香り無しのティシュペーパーが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項4】
前記第一の容器部にティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルまたはコットンが収容されており、前記第二の容器部に、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオルおよびコットンのうち第一の容器部と異なるものが収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項5】
前記第一の容器部にドライタイプの衛生用繊維集合体製品が収容されており、前記第二の容器部にウェットタイプの繊維集合体製品が収容されている、請求項1記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項6】
実質的に同寸法の六面体状をなす四つの容器部を縦方向及び横方向に各二個ずつ配列し、かつ各容器部が縦方向及び横方向に隣接する他の容器部に対して同寸法の面において四辺が実質的にずれ無く重なるように隣接配置し、
縦方向および横方向の双方に直交する方向を厚さ方向としたとき、厚さ方向のいずれか一方側において隣接する二辺をそれぞれ連結し、これら連結部分に沿って折線を設け、この折線を境に一方側の容器部が他方側の容器部に対して回動するように構成した、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項7】
実質的に同寸法の六面体状をなす容器部を二つ有し、これら容器部を同寸法の面において四辺が実質的にずれ無く重なるように対向配置するとともに、
一方の容器部の対向面をなす四辺のうちいずれか一辺を第一の連結辺とし、一方の容器部の対向面における第一の連結辺の対辺と重なる他方の容器部の一辺を第二の連結辺とし、一方の容器部の第一の連結辺から、第一の連結辺と重なる他方の容器部の一辺を含む面であって対向面以外の面、他方の容器部における対向面の対面、他方の容器部における第二の連結辺を含む面であって対向面以外の面をこの順に通り、他方の容器部の第二の連結辺に至る第一の連結部により、一方の容器部の第一の連結辺と他方の容器部の第二の連結辺とを連結し、
第一の連結辺と重なる他方の容器部の一辺を第三の連結辺とし、一方の容器部の対向面における第一の連結辺の対辺を第四の連結辺とし、他方の容器部の第三の連結辺から、一方の容器部における第一の連結辺を含む面であって対向面以外の面、一方の容器部における対向面の対面、一方の容器部における第四の連結辺を含む面であって対向面以外の面をこの順に通り、一方の容器部の第四の連結辺に至る第二の連結部により、他方の容器部の第三の連結辺と一方の容器部の第一の連結辺とを連結してなる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項8】
衛生用繊維集合体が収容された容器部における他の容器部と重なる面に衛生用繊維集合体の取出口が形成されるように構成されている、請求項6または7記載の衛生用繊維集合体製品。
【請求項9】
衛生用繊維集合体が収容された容器部を他の容器部から切り離すことができるようにミシン目が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の衛生用繊維集合体製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−261637(P2007−261637A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89483(P2006−89483)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】