説明

衝撃ディーゼルパティキュレートフィルタ

ディーゼルエンジンの排気システムに取り外し可能に固定される排出物質低減機器。本機器は、下部及び上部に分割される外側ケーシングと、この下部はディーゼルエンジンの排気システムに取り外し可能に取り付けられ、ボビンを保持するカーカスと、カーカスは、排気が外側ケーシングに入る外側ケーシングの下部に取り付けられると共に、カーカスはその末端部分において対角線上に斜め開口を有し、且つその先端部分に位置決めされるボビンを有し、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体と、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体を外側ケーシング内に配置及び固定するガイドとを含む。繊維ブランケット円筒体は、ワイヤメッシュ内で巻かれててよい。代替実施形態において、円錐形に形成され、円錐形のより大きな直径が末端に位置決めされる第2繊維ブランケットが、カーカスに取り外し可能に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
排気ガスから汚染物質を効率よく且つ有効に取り除くことができる方法及びシステムが必要とされている。ディーゼルエンジンから排気ガスをろ過するのに有用な多くの機器が利用可能であるが、これらの機器は各々、ここに説明される理由により、費用効果的に汚染物質を低減させる有効な方法を提供することができない。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンでは、空気がシリンダに吸入されると共に、25対1程度の高い圧縮比率で、ピストンによって圧縮され、この比率は、火花点火燃焼機関に使用されるものよりもずっと高い。圧縮サイクルの終わり近くで、ディーゼル燃料は、インジェクタ(又はアトマイザ)を介して、燃焼質に噴射される。圧縮により摂氏約700から900度の温度に加熱された空気との接触から、燃料は着火する。結果的に生じる燃焼は、シリンダ内において熱の増加及び爆発を生じさせて、これにより圧力が増加すると共に、ピストンを下方へ移動させる。コネクティングロッドは、様々な用途において出力として利用するために、直線運動を回転運動に変換するべく、この運動をクランクシャフトに伝達する。エンジンへの吸気は通常、シリンダヘッドの機械式弁によって制御される。動力出力を増加させるために、殆どの最新ディーゼルエンジンには、吸気量を増加させるべくターボ過給器が、また幾つかの派生物では過給機が装備される。ターボ過給器によって圧縮させられ、ひいては加熱された吸気を冷却するために、吸気冷却器を使用すると、空気の密度が増加すると共に、典型的には出力及び効率の改善に至る。
【0003】
一般的に、ディーゼル排出物質はディーゼル燃焼の副産物である。これは、エンジン内における噴射の関数である。例えば、噴射開始を早める(ピストンが死点の上端に到達する前の噴射)と、より高いシリンダ内圧力及び温度に、またより良い効率に至るが、より高い燃焼温度により、窒素酸化物の酸素物のより高い排出にも結果的に至る。もう一方の極端な状態では、噴射の開始遅延は不完全燃焼を生じさせると共に、粒子状物質及び未燃炭化水素から作られた可視黒煙を放出させる。多くのディーゼル排出物質が問題であるが、最も大きく規制されるディーゼル排出物質は、
1.ディーゼル粒子状物質(「PM」又は「DPM」)(「ディーゼル粒子状物質」、「粒子状物質(Particulate Material)」又は「粒子状物質(Particulate Matter)」とも言う):粒子状物質は、複雑な物理的且つ化学的構造体からなるエアロゾルである。粒子状物質は温室効果の一因となり、重大な環境破壊を起こし、且つ人間の健康に重大な影響を及ぼす。粒子状物質は、ディーゼル排気と通常関連付けられる黒煙の主要因である。粒子状物質はまた、都市スモッグの主要な原因でもある。
2.窒素酸化物(NOx):窒素酸化物は高度に活発なオゾン前駆体であると共に、可視スモッグの大きな構成要素の原因である。粒子状物質の他に、窒素酸化物は最も汚染するディーゼル排出物質の一つである。
3.炭化水素(HC):炭化水素の生成は燃料及びエンジン潤滑油の不完全燃焼の結果であることが多い。大気中では、炭化水素は窒素酸化物との光化学反応を受けて、スモッグ及び地上レベルオゾンの形成に至る。
【0004】
一酸化炭素(CO):これは、人体に有害であると共に地球温暖化の一因である極めて有毒な温室効果ガスである。
ディーゼル燃焼の未規制副産物の例には、多環芳香族炭化水素、アルデヒド、二酸化硫黄、亜酸化窒素、及び金属酸化物を含む。
【0005】
ディーゼル燃料の不完全燃焼は、環境を汚染すると共に、人間の健康を損なわせる排出物質を生じさせる。粒子状物質排出物の環境的な因果関係には、空気汚染、水質汚染、酸性雨、水路の酸性化、森林伐採、スモッグ、大気可視性の低下、穀物品質低下、地球温暖化、及び気候フォーシングを含む。また、粒子状物質排出物の人体の健康との因果関係には、心血管疾患、呼吸器疾患、癌、線維症、アレルギー反応、肺機能の低下、喘息徴候の悪化及び発生、疾病率の増加、及び若年性死亡を含む。更に、多くの国内で発行されている研究によれば、大気中の粒子状物質と、呼吸器系病院への入院、救急処置室への来院、活動日の制限、成人の呼吸器疾患、小児の低呼吸管疾患、喘息発作、慢性病、及び死亡率等の健康上の悪い結果の増加の間には、高い相関性を示す。
【0006】
従来のディーゼル排出物質ろ過技術は多くあるが、本質的には2つの分類があり、これらの技術は全て以下のように入る。
1.触媒ディーゼル粒子フィルタ(「CDPF」):触媒ディーゼル粒子フィルタは、多くの様々な名前で呼ばれる。最も一般的に使用され、また誤って使用されるものの幾つかは:「触媒コンバータ」、「触媒反応体」、「触媒浄化装置」、「排気浄化装置」、「トラップフィルタ」、「ディーゼルトラップ」、「排気洗浄器」、「触媒フィルタ」、「触媒ウォールフローフィルタ」、「ウォールフローフィルタ」及び「触媒マフラ」である。2.ディーゼル酸化触媒(「DOC」):ディーゼル酸化触媒は一般的に「酸化触媒」、「フロースルー触媒」、及び「フロースルー機器」とも呼ばれる。
【0007】
触媒ディーゼル粒子フィルタ及びディーゼル酸化触媒のいずれもが、粒子状物質の低減を達成するために、同じ基本方法を利用している:これらは「酸化させ」即ち粒子状物質を燃焼させるために、熱を利用する。殆どの場合において、エンジンの排気システムからの熱は、酸化を達成するために使用される。酸化の再発生過程はまた、「再生」と呼ばれることも多い。なぜならば、酸化の過程は粒子状物質排出物を減少させるだけでなく、触媒機器のろ過能力をも再生させるからである。
【0008】
再生的酸化過程が生じるように、高温、通常は摂氏250度から350度の間が達成されなければならず、また好適には、作用の間に維持されなければならない。多くの作用状況において、十分な高温の達成は困難又は達成不能であることが判明している。触媒機器(CDPF又はDOC)は、粒子状物質の酸化が開始される時点である「着火」を達成するのに必要な最低温度を低下させるために、白金、パラジウム、及びロジウム等の貴金属を触媒として利用する。製造業者は、これらの触媒機器の基板表面を被覆し又は含浸させるために、これらの高い導電性を有すると共に非常に高価な金属を使用する。
【0009】
上記触媒機器は一般的に、能動的又は受動的として説明される。酸化を達成するためにエンジンの排気システムからの熱に頼る触媒技術は、「受動的」触媒機器と呼ばれることが多い。他のシステムは、酸化が起きる温度を達成するのを助ける燃料バーナ、電気加熱要素、及び燃料含有添加物を組み入れている。これらの種類の構成要素を利用する技術は、「能動的」触媒機器と呼ばれることが多い。
【0010】
潜在的な混同を回避するために、注目すべきであるが、貴金属触媒のみを含む触媒ディーゼル粒子フィルタが酸化を達成するために、エンジンの排気に含まれる熱のみに頼るとしても、これらの機器を「能動的」機器として定義する製造業者もある。この分類は通常、触媒を含まないディーゼル微粒子フィルタ、即ち他の全ての点では触媒ディーゼル粒子フィルタと類似する機器を製造業者が製造する時にも生じるが、機器は、酸化を開始するために十分な温度を得るために、その構成基本金属の加熱のみに頼る。排気温度は一般的に、これらの非触媒機器で酸化を達成するために、摂氏500度を越えることが必要とされるので、これらの幅広い使用は著しく制限される。
【0011】
触媒ディーゼル粒子フィルタ及びディーゼル酸化触媒技術の間の主な相違は、触媒ディーゼル粒子フィルタ技術は、通常は触媒セラミック、コージオライト、又は炭化ケイ素ウォールフローモノリス、又はセラミック繊維、又はセラミックカートリッジフィルタによって、粒子状物質を物理的に捕獲及び保管する。粒子状物質が捕獲されると、酸化されると共に、粒子状物質排出物が低減される。
【0012】
反対に、ディーゼル酸化触媒技術は、粒子状物質排出物を捕獲しない。むしろ、粒子状物質は、これらの機器の内部構造を「通過」する。排気ガスが触媒を横断する時に、一酸化炭素、ガス状炭化水素、及び液状炭化水素粒子が酸化させられて、全体的な粒子状物質排出物が減少させられる。
【0013】
触媒ディーゼル粒子フィルタ及びディーゼル酸化触媒技術の間には、他にも多くの相違点がある。例えば、触媒ディーゼル粒子フィルタは、特定の制御された作用状態において、90パーセント以上の粒子状物質ろ過率を達成し得る。更に、触媒ディーゼル粒子フィルタは、粒子状物質の各副分類(即ち、固形無機成分、固形有機成分、及び硫酸粒子)を減少させる。しかしながら、触媒ディーゼル粒子フィルタ技術の応用及び有効性は、以下の制限によって著しく抑制されることに注目することが必要である。
【0014】
・ 触媒ディーゼル粒子フィルタは非常に高価である。カリフォルニア大気資源委員会は、以下のエンジン性能に対応するDPFの費用範囲情報を提供している。
*100馬力:5,000米国ドルから7,000米国ドル
*275馬力:6,900米国ドルから9,000米国ドル
*400馬力:平均10,000米国ドル
*1,400馬力:32,000米国ドルプラス
・ 触媒ディーゼル粒子フィルタは、硫黄が150ppmを越える燃料を使用する時に、粒子状物質の排出減少に影響を及ぼすことができない。
【0015】
・触媒ディーゼル粒子フィルタの性能は、不十分や作用温度によって悪影響を受ける。
・最適ではない状況において、触媒ディーゼル粒子フィルタは詰まりやすく、また故障しやすい。故障が発生した時に、エンジンの損害及び破損の可能性は大きい。
【0016】
・触媒ディーゼル粒子フィルタは大きなエンジン背圧をもたらすので、費用がかかるエンジン再補正が、装着の際に必要とされることが多い。
・触媒ディーゼル粒子フィルタは、データロガ等の高価な電子背圧監視機器が装備される必要があることが多い。
【0017】
・受動的触媒ディーゼル粒子フィルタの再生は、作用温度に完全に依存しているので、受動的触媒ディーゼル粒子フィルタは「低負荷」状態では作用しない。
・触媒ディーゼル粒子フィルタ技術の「能動的」構成部品は、触媒ディーゼル粒子フィルタユニットの価格及び複雑さを大きく増加させる。
【0018】
・触媒ディーゼル粒子フィルタは、より古いエンジンでは、良好に作用しない。
・触媒ディーゼル粒子フィルタは、危険な亜鉛、硫黄、カルシウム及びリン灰粒子源となり得る。
【0019】
・触媒ディーゼル粒子フィルタは、エンジン性能を低下させ得る。
・触媒ディーゼル粒子フィルタは、燃料節約罰則をもたらすことが多い。
・米国エネルギー省(USDOE)によれば、燃料硫黄は、フィルタ後全体粒子状物質放出物に大きな影響を有しており、また燃料硫黄レベルが増加するにつれて、触媒ディーゼル粒子フィルタの低減効率は、150PPM以上の硫黄濃度の燃料を使用する時に、実
際に粒子排出物源となる点まで減少する。
【0020】
USDOEによって実施された試験によれば、3ppmの硫黄濃度の燃料を使用した時に、95パーセントの粒子状物質放出物の低減を達成する触媒ディーゼル粒子フィルタは、30ppmの硫黄濃度の燃料を使用した時に、ろ過効率を単に74パーセントに低下させと報告している。更に、これら同様の機器は、150ppmの硫黄濃度の燃料を使用した時に、0パーセントからマイナス3パーセントの粒子状物質ろ過率まで減少させられており、またこれらの機器は、350ppm以上の硫黄濃度の燃料を使用した時に、122パーセントから155パーセントの全体粒子状物質放出物の増加を経験した。
【0021】
また、天然資源保護協議会(NRDC)は、燃料中に硫黄が存在する時には、触媒技術は適切に作用し得ず、また時として、燃料中の硫黄が触媒ろ過装置を、また車両までも作動不能にすると述べている。
【0022】
比較により、ディーゼル酸化触媒技術は一般的に、触媒ディーゼル粒子フィルタ技術よりも高価ではなく、またディーゼル酸化触媒は、「ウォールフロー」機器ではなく「フロースルー」であるので、ディーゼル酸化触媒は、エンジン背圧、目詰まりをもたらし、及び/又は触媒ディーゼル粒子フィルタ対照物と同様なエンジン破損の可能性を生じさせるという同様な傾向を持たない。ディーゼル酸化触媒は、19パーセントから50パーセントの粒子状物質ろ過率を達成し得る。しかしながら、ディーゼル酸化触媒技術の適用は、以下の理由により制限される:
・ ディーゼル酸化触媒は、広範な適用には高価すぎる。カリフォルニア大気資源委員会は、以下のエンジン能力に対応するディーゼル酸化触媒の費用平均情報を提供している:
* 275馬力:2,100米国ドル
* 1,400馬力:20,000米国ドルプラス
* ワシントン州エベレットスクール地域は、全車両において、各バスについてDOC毎に2,500米国ドルの平均ユニット費用を報告した。
【0023】
・ 合計粒子状物質のディーゼル酸化触媒の低減は、高い硫黄燃料の燃料を使用した時に、大きく減少する。
・ ディーゼル酸化触媒は、時として「乾性」と呼ばれる固形有機成分をろ過せず、また乾性粒子は一般的に、全体粒子状物質の大部分を含む。
【0024】
・ ディーゼル酸化触媒は、より古いエンジンでは良好に作用しない。
・ ディーゼル酸化触媒の効率は、作動温度に極度に依存する。
・ より高温で作動する時には、ディーゼル酸化触媒は硫黄酸化物を酸化し、またその際に硫酸を生じさせるようになる。これが生じる時には、ディーゼル酸化触媒は、可溶性有機成分の減少を相殺する率で、硫酸粒子の生成を増加させることにより、純増加総計粒子状物質排出物をもたらす。
【0025】
ワシントン大学エクステンションエネルギプログラムによれば、ディーゼル酸化触媒は、硫黄粒子(硫酸(H2SO4))を形成するために二酸化硫黄を酸化する。従って、高硫黄含有燃料は、硫酸の生成を介して、総計粒子排出物を増加させ、これにより可溶性有機成分(時として「湿性」粒子状物質と呼ばれる)を相殺し得る。
【0026】
米国エネルギー省は、総計粒子状物質のSO4成分の増加に略完全に起因して、高い硫黄燃料での粒子状物質の統計的に著しい増加を見出した。この高い排気温度(触媒入口で摂氏405度)では、ディーゼル酸化触媒はSO2からSO3への転化を加速させて、粒子状物質のSO4成分を増加させる。予期されるように、より高い硫黄(150ppm及
び350ppm硫黄含有量)燃料でのみ作用が見られる。350ppm硫黄含有燃料では、触媒後粒子状物質排出物は、能動的触媒がなく測定されたものよりも、約200パーセント高かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従来方法及びシステムの効率増進にもかかわらず、多くは、上記に述べられた理由により、商業的観点から実施不能である。また、低硫黄濃度(130ppm未満)の燃料の使用は、触媒再生フィルタの利用において必須の要因である。ブラジル及び大部分の国々で、ディーゼルは2000ppmの硫黄を伴い販売されている。従って、300ppmを越えた硫黄を含有するディーゼルにおいて、触媒再生フィルタの使用は、フィルタを汚染源に変える。
【課題を解決するための手段】
【0028】
ここに説明されるシステム及び方法は、燃料の改良された使用、及びディーゼルエンジンから放出されるガス、特に自動車及び産業用機器等の車両の排気管から放出されるガスの処置のための新規な解決法に関する。本発明の目的は、環境汚染を低減させ、その結果、惑星地球の植物相及び動物相の質及び量を含む生命状況を改善させることにある。大気への汚染ガスの放出は、環境汚染の大きな一因であった。世界規模的な環境破壊により生じさせられる驚くべき影響を抑制することができる解決法が大きな要求されている。
【0029】
本発明は、様々な生態学的且つ経済的効果を提供する。例えば、本発明は粒子をろ過し、且つ燃料の燃焼によって生成される一酸化炭素、炭化水素及び他のガスの量を大きく低減させるので、本発明は環境の改善に直接的な作用を有する。これにより、「温室効果」として知られる環境現象の有害な作用を最小化し、且つ都市中心部における空気の質を改善する。
【0030】
一実施形態において、本発明は下部及び上部に分割される外側ケーシングと、ボビンを保持するカーカスと、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体と、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体を外側ケーシング内に配置及び固定するガイドとを含む。外側ケーシングの下部は、ディーゼルエンジンの排気システムに取り外し可能に取り付けられる。カーカスは外側ケーシングの下部において、排気が外側ケーシングに入る部分に取り付けられると共に、カーカスはその末端部分において、対角線上に斜め開口を有し、またボビンはその先端部分に位置決めされる。繊維ブランケット円筒体は、ワイヤメッシュ内で巻かれてよい。代替実施形態において、円錐形に形成され、円錐形のより大きな直径が末端に位置決めされる第2繊維ブランケットが、カーカスに取り外し可能に挿入されてよい。
【0031】
本発明の一実施形態の初期試験からの結果によれば、本機器は、触媒ディーゼル粒子フィルタ又はディーゼル酸化触媒のいずれよりも著しく少ない費用で、全体粒子状物質の69パーセントまでをろ過する。また本機器は、高硫黄含有燃料(即ち500ppmより多い硫黄)でも極めて効果的である。本機器は、より古いエンジンでも効果的に作動し、エンジン背圧を生じさせず、エンジン燃料の節約を減少させず、湿性及び乾性の両方の粒子状物質を捕獲し、著しく耐久性があり、装着及び維持管理が簡単であり、無期限に持続し、且つ有害な硫黄、鉛、又は亜鉛副産物を生じさせない。また本機器は、高負荷及び低負荷の両方の条件下で効果的であり、またその効率はエンジン作動温度によって影響されない。
【0032】
また、本発明は、サウンドバッフルとして作用することにより、排気システムから出される騒音のレベルも低下させて、騒音公害を低減させる。
これらの理由全てまた他の多くの理由により、本発明の機器及び方法は、排出物質制御
の分野において、革新を表す。
【0033】
前記は、以下の発明の詳細な説明がより深く理解されるように、本発明の特徴及び技術的効果についてかなり広く概略を述べている。本発明の付加的な特徴及び効果は、本発明の請求項の主題を構成する以下に説明される。当該技術分野に属する者には当然であるが、開示される概念及び特定の実施形態は、本発明と同じ目的を果たすために、他の構成及び工程に変形し又は構成する基礎として容易に利用されてよい。また当該技術分野に属する者には理解されることであるが、この同等の構成は、添付の請求項に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱しない。
【0034】
本発明及びその効果をより完全に理解するために、添付の図面と合わせて、以下の説明が次に言及される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下は、図面への参照を伴う本発明の詳細な説明であり、同じ又は同様な要素への符号は、前方に携えられる。
本発明は、環境への有害なガスの放出を低減させ、騒音を減少させ、燃料の消費を低減させ、且つエンジン性能を改善し、これら全て費用効果的に行う効率のよい機器及び方法を提供する。この好適な実施形態の構成及び使用法は、以下に詳細に説明される。しかし当然のことながら、本発明は、多様な特定の状況に具体化され得る多くの利用可能な発明概念を提供する。説明される特定の実施形態は、本発明を構成及び使用するための特定の方法の例証に過ぎず、また本発明の範囲を制限しない。
【0036】
一実施形態において、本発明は、下部及び上部に分割される外側ケーシングと、ボビンを保持するカーカスと、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体と、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体を外側ケーシング内に配置及び固定するガイドとを含む。外側ケーシングの下部は、ディーゼルエンジンの排気システムに取り外し可能に取り付けられる。カーカスは外側ケーシングの下部において、排気が外側ケーシングに入る部分に取り付けられると共に、カーカスはその末端部分において、対角線上に斜め開口を有し、またその先端部分に位置決めされるボビンを有する。繊維ブランケット円筒体は、ワイヤメッシュ内で巻かれてよい。代替実施形態において、円錐形に形成され、円錐形のより大きな直径が末端に位置決めされる第2繊維ブランケットは、カーカスに取り外し可能に挿入されてよい。
【0037】
次に図面を参照すると、図1は外側ケーシング1の下部の一実施形態を示しており、排気入口3は外側ケーシング1の末端に位置決めされる。排気入口3の末端は、ディーゼルエンジンの排気システムに固定されてよく、また排気入口の先端は、外側ケーシング1の下部に固定され、且つその一体部品を形成する。排気入口3は、当該技術分野で周知の様々な取付機器を使用して、様々な方法で、排気システムに取り付けられてよい。排気入口3は排気システムに恒久的に又は取り外し可能に取り付けられて良い。外側ケーシング1の下部は、例えば鋼、アルミニウム、アルミナイズド鋼、又はステンレス鋼等、適用の熱及び圧力に耐え得る材料から作られてよい。
【0038】
図2は、カーカス5の一実施形態の側面図を示す。カーカス5は概して、その末端部分において、対角線上に斜め開口7を備えた円筒体であり、排気入口の先端に固定される。カーカス5の先端は、その端部にスクリーン又はメッシュの載置により、又はカーカス5を構成するために使用される材料に孔をあけることにより、空気の通路となるように構成される。カーカス5の先端はまた、ボビン9を受け入れ且つ固定させるように適応される。カーカス1は、例えば鋼、アルミニウム、アルミナイズド鋼、又はステンレス鋼等、適用の熱及び圧力に耐え得る材料から作られてよい。スクリーンは、例えば穿孔金属ウェブ
又はワイヤメッシュ等の金属製であってよい。ボビン9は、排気システムの熱及び圧力に耐え得る1個又は複数の金属、或いは他の材料から作られてよく、また2個の金属布を中心部分に巻きつけることにより構成されてよい。カーカス5は、当該技術分野で周知の様々な取付機器を使用して、様々な方法で排気入口3に取り付けられてよい。カーカス5は排気入口3に恒久的に或いは取り外し可能に取り付けられてよい。
【0039】
代替実施形態において、繊維ブランケットを円錐形となるように巻くことにより形成され、より大きな半径が末端に位置決めされると共により小さな半径が先端に位置決めされるダイアフラムは、カーカス5に取り外し可能に挿入されてよい。本発明の一実施形態において、ダイアフラムは、円錐形の狭い端部において重なる端が合わせて固定され、また別の形態において、円錐形の狭い端部において重なる端は、重なることは許容されるが、互いに固定されないように構成される。ダイアフラムはカーカス5に取り外し可能に取り付けられる。ダイアフラムは、アラミド、メタ‐アラミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、p−フェニレン‐1,3,4−オキサディアゾール、ポリテトラフルオロエチレン、及び玄武岩の中の1個又は複数を含む粒子状物質をろ過し得る材料から作られてよい。
【0040】
図3は、排気入口3の先端に取り付けられるカーカス5を示す。ボビン9は、カーカス5の先端にある穿孔を介して見える。
図4は、繊維ブランケット円筒体13を外側ケーシング内に配置及び固定するガイド11の一実施形態を示す。図示する形態において、ガイドは7個の円筒体を載置するように構成されているが、より多くの又はより少ない円筒体が、必要に応じて使用されてよい。図示するように、カーカス5の先端は、ガイド11の中心穴から見えるが、この構成は、本機器の作用に必須ではない。ガイド11は、例えば鋼、アルミニウム、アルミナイズド鋼、又はステンレス鋼等、適用の熱及び圧力に耐え得る材料から作られてよい。
【0041】
図5は、ガイド11の中心穴に位置決めされる繊維ブランケット円筒体13を示す。一形態において、繊維ブランケット円筒体13は、繊維ブランケットを穿孔金属ウェブ及び/又は金属メッシュ内で巻き、且つ端部を重ね合わせることにより作られる。円筒体という用語は、繊維ブランケット円筒体13の命名に使用されるが、繊維ブランケット円筒体13は、楕円形、正方形、三角形、又は管が形成される他の形状となるように構成されてもよい。繊維ブランケット円筒体13を構成するために使用される繊維ブランケットは、アラミド、メタ‐アラミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、p−フェニレン‐1,3,4−オキサディアゾール、ポリテトラフルオロエチレン及び玄武岩の中の1個又は複数を含む粒子状物質をろ過し得る材料から作られてよい。同じ又は類似する材料の蓋が、繊維ブランケット円筒体13の先端に載置されてよい。また、ボビン9は、1個又は複数の繊維ブランケット円筒体13の先端に固定されてよい。
【0042】
図6は、ガイド11に構成される7個の繊維ブランケット円筒体13の斜視図を示し、また図7は、ガイド11に構成される繊維ブランケット円筒体13の側面図を示す。7個の繊維ブランケット円筒体13が図示されているが、数は適用が必要とするように、増加又は減少されてよい。
【0043】
図8は、繊維ブランケット円筒体13の1個を示す底面図であり、また図9は、ガイド11に固定される繊維ブランケット円筒体13の底面図を示す。
図10は、外側ケーシング15の上部が取り付けられている本発明の機器の一実施形態を示す。外側ケーシング15の上部は、排気出口17が、例えば鋼、アルミニウム、アルミナイズド鋼、又はステンレス鋼等、適用の熱及び圧力に耐え得る材料から作られて構成される。外側ケーシング15の上部は、当該技術分野で周知の様々な取付機器を使用して、様々な方法で、外側ケーシング1の下部に取り付けられて良い。外側ケーシング15の
上部は、外側ケーシング1の下部に恒久的に或いは取り外し可能に取り付けられてよい。
【0044】
本発明機器がディーゼルエンジンの排気システムに装着された時に、ガスは排気管を出て排気入口3に入る。ガスはボビン9を通り流れ、或いは代替実施形態において、先ずダイアフラムを通り、次にボビン9を通り流れる。いずれかの場合においても、ガスの一部は、斜面7に起因して、カーカス5の側方を通り流出させられる。ガスの幾らかはボビン9を通り進み、スクリーンの穿孔を通りカーカス5の先端から出る。次にガスは、繊維ブランケット円筒体13を通り進み、排気出口17から出る。
【0045】
ボビン9及び繊維ブランケット円筒体13のいずれもが、物質粒子フィルタとして作用する。ボビン9では、物質粒子の採集は、ボビン9の壁部における粒子の収集によって達成される。粒子は、速度損失の結果として、またそれら自体の物質的特性に起因して凝集する。繊維ブランケット円筒体13は、材料を通過しない物質粒子を収集する。これら2つの物質粒子収集システムは、有効であると共に、洗浄され且つ再利用され得る。
【0046】
ボビン9は、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄等の様々な金属を用いて構成され得、イオンのシステムへの利用を可能にする電気又は電圧差を生じさせる。
別の重要な作用としては、ボビン9並びに繊維ブランケット円筒体13へのガス衝撃波の減衰により、機器から発せられる音の減少である。
【0047】
本システム及び方法は、本発明の好適な実施形態に係り説明されたが、当該技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、他の実施形態も可能であることは理解できる。前記の説明は特定の実施形態に焦点を当てたが、当然のことながら、他の形態が企図される。特に、「一実施形態において」又は「他の実施形態において」という表現がここで使用されていたとしても、これらのフレーズは一般的な関連実施形態の可能性を意味するものであり、本発明をこれら特定の実施形態に制限するように意図するものではない。これらの用語は、同じ又は異なる実施形態について言及しており、また他が示唆されていなければ、集合実施形態に組み合わせることもできる。「a」、「an」及び「the」という用語は、他が明確に特定化されていなければ、「1又は複数」を意味する。
【0048】
ここで単一の実施形態が説明された時には、当然のことながら、1以上の実施形態が単一の実施形態に代わり用いられてもよい。同様に、1以上の実施形態がここで説明された場合には、当然のことながら、単一の実施形態がその1機器に代用されてもよい。
【0049】
多様な可能なフィルタに鑑みて、詳細な実施形態は例証のみを意図しており、また本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。むしろ、本発明として主張されるものは、以下の請求項及びそれらと同等なものの精神及び範囲内に入る全ての変形物である。
【0050】
本明細書のいかなる記載においても、特定の要素、工程又は機能が、請求項の範囲内に含まれる必須要素であることを意味すると読まれるできではない。特許対象範囲は、許容された請求項及びそれらの同等物によってのみ定義される。明確に言及されていなければ、本明細書に記載される本発明の他の態様は、請求項の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明機器の一実施形態の外側ケーシングの下部を示す上面図。
【図2】機器の一実施形態のカーカスを示す側面図。
【図3】本発明機器の一実施形態において、外側ケーシングの下部に装着されるカーカスを示す図。
【図4】繊維ブランケット円筒体のガイドを示す斜視図。
【図5】ガイドに装着される1個の繊維ブランケット円筒体を示す斜視図。
【図6】ガイドに装着される6個の繊維ブランケット円筒体を示す斜視図。
【図7】ガイドに装着される繊維ブランケット円筒体を示す側面図。
【図8】繊維ブランケット円筒体の1個を示す底面図。
【図9】ガイドに固定される繊維ブランケット円筒体を示す底面図。
【図10】外側ケーシングの上部が取り付けられ本発明機器の一実施形態を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出物質低減機器であって、
排気入口及び排気出口を備えた外側ケーシングと、
前記排気入口に固定されるカーカスと、
前記外側ケーシングの内部に位置決めされる1個又は複数の繊維ブランケット円筒体とを含むことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記カーカスの先端に位置決めされるボビンを更に含むことを特徴とする請求項1の機器。
【請求項3】
ダイアフラムを更に含み、該ダイアフラムは円錐形に形成され、該円錐形のより大きな開口が末端に位置決めされると共に、該ダイアフラムは前記カーカスの内部に位置決めされることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項4】
前記カーカスはアルミニウム、鋼、ステンレス鋼、又はアルミナイズド鋼の1個又は複数から作られることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項5】
前記ボビンは、2個の異なる金属布を中心部の周りに巻きつけることにより構成されることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項6】
前記外側ケーシングは、ディーゼルエンジンの排気出口に取り外し可能に固定されることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項7】
前記繊維ブランケットは、アラミド、メタ‐アラミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、p−フェニレン‐1,3,4−オキサディアゾール、ポリテトラフルオロエチレン、及び玄武岩の中の1個又は複数から作られることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項8】
金属メッシュが前記繊維ブランケット円筒体の周囲に位置決めされることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項9】
ボビンは1個又は複数の前記繊維ブランケット円筒体の先端に位置決めされることを特徴とする請求項1の機器。
【請求項10】
排出物質低減方法であって、
外側ケーシングの末端をディーゼルエンジンの排気出口に固定する工程と、該外側ケーシングは排気入口及び排気出口を有し、
カーカスを前記排気入口に固定する工程と、
1個又は複数の繊維ブランケット円筒体を前記外側ケーシングの内部に位置決めする工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記カーカスの先端に位置決めされるボビンを更に含むことを特徴とする請求項10の方法。
【請求項12】
ダイアフラムを更に含み、該ダイアフラムは円錐形に形成され、該円錐形のより大きな開口は末端に位置決めされると共に、該ダイアフラムは前記カーカスの内部に位置決めされることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項13】
前記カーカスはアルミニウム、鋼、ステンレス鋼、又はアルミニウム鋼の1個又は複数か
ら作られることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項14】
前記ボビンは、2個の異なる金属布を中心部の周りに巻きつけることにより構成されることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項15】
前記外側ケーシングはディーゼルエンジンの排気出口に取り外し可能に固定されることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項16】
前記繊維ブランケットは、アラミド、メタ‐アラミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、p−フェニレン‐1,3,4−オキサディアゾール、ポリテトラフルオロエチレン、及び玄武岩の中の1個又は複数から作られることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項17】
前記金属メッシュは前記繊維ブランケット円筒体の周囲に位置決めされることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項18】
ボビンは1個又は複数の前記繊維ブランケット円筒体の先端に位置決めされることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項19】
排出物質低減方法であって、
外側ケーシングの末端をディーゼルエンジンの排気出口に固定する手段と、該外側ケーシングは排気入口及び排気出口を有しており、
カーカスを前記排気入口に固定する手段と、
1個又は複数の繊維ブランケット円筒体を前記外側ケーシングの内部に位置決めする手段と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記カーカスの内部に円柱状円筒体に形成される繊維ブランケットを位置決めする手段と、金属メッシュを該繊維ブランケットに固定する手段とを更に含むことを特徴とする請求項19の方法。
【請求項21】
ボビンを前記カーカスの内部に位置決めする手段を更に含むことを特徴とする請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−536291(P2009−536291A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510072(P2009−510072)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/068132
【国際公開番号】WO2007/131102
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508326703)サバーテック リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】SABERTEC L.L.C.
【Fターム(参考)】