説明

表示システム

【課題】光学式のタッチパネルを取り付け、且つマルチタッチ機能を適用した表示システムにおいて、誤った位置情報が出力されることを抑制する。
【解決手段】電子黒板システムは、縦方向に並んでいる複数の受光素子および横方向に並んでいる複数の受光素子の各々の受光量に基づいて、表示画面に接触する遮光物の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部とを備えた表示システムであって、表示画面140の全域のうち、ある遮光物による位置情報を入力を許可する描画領域を、別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限する事を示す表示を行う制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式のタッチパネル装置を備えた表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置にタッチパネルを取り付けてなる表示システムが知られており、このような表示システムの一例として電子黒板がある。電子黒板には光学式のタッチパネル装置が多用されている。本明細書の「光学式のタッチパネル装置」とは、下記の特許文献1の図6に示すように、座標検出領域(表示画面,入力面)と、座標検出領域の下側において水平方向(横方向)に並ぶ複数のLEDと、座標検出領域の上側において水平方向に並ぶ複数のフォトトランジスタと、座標検出領域の一方の横側において垂直方向(縦方向)に並ぶ複数のLEDと、座標検出領域の他方の横側において垂直方向に並ぶ複数のフォトトランジスタとを備えているものを意味する。
【0003】
このようなタッチパネル装置において、利用者は、座標検出領域のうちの指定すべき位置に対して遮光物(利用者の指または専用のタッチペン等)を当てることによって指定位置の入力を行うことになる。このようにして指定位置に遮光物が当てられると、遮光物に対向しているLEDからの光が当該遮光物によって遮られ、遮光物に対向しているフォトダイオードの受光量が低下する。そして、受光量の低下したフォトダイオードの位置に基づいて前記遮光物の座標値が出力され、出力された座標値が利用者に指定された位置として認識されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−142643号公報
【特許文献2】特開2008−310500号公報
【特許文献3】特開2007−89732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光学式のタッチパネル装置を取り付けた表示システムにおいて、複数の利用者が同時に指定位置を入力できるマルチタッチ機能を適用しようとする場合、以下の問題が生じる。
【0006】
光学式のタッチパネル装置においては、遮光物αの一部と遮光物βの一部とが同一の横ラインにて並んでしまったような場合、遮光物αのX座標値と遮光物βのX座標値とが近くなり過ぎ、遮光物αの一部と遮光物βの一部とが同一の縦ラインにて並んでしまったような場合、遮光物αのY座標値と遮光物βのY座標値とが近くなり過ぎてしまうという事態が生じる。このような事態が生じると、本来は遮光物αのX座標値であるものが遮光物βのX座標値として誤認識されてしまったり、本来は遮光物αのY座標値であるものが遮光物βのY座標値として誤認識されてしまい、誤った座標値(位置情報)が出力されてしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、光学式のタッチパネルを取り付け、且つマルチタッチ機能を適用した表示システムにおいて、誤った位置情報が出力されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の表示システムは、表示装置と、前記表示装置の表示画面の横方向の一方側において前記表示画面の縦方向に並んでいる複数の発光素子と、前記表示画面の横方向の他方側において前記縦方向に並んでいる複数の受光素子と、前記表示画面の縦方向の一方側において前記横方向に並んでいる複数の発光素子と、前記表示画面の縦方向の他方側において前記横方向に並んでいる複数の受光素子とを有する光学式のタッチパネル装置と、前記縦方向に並んでいる複数の受光素子および前記横方向に並んでいる複数の受光素子の各々の受光量に基づいて、前記表示画面に接触する遮光物の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部とを備えた表示システムであって、前記表示画面の全域のうち、ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲を、別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限する事を示す表示を前記表示装置に行わせる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本願発明の構成によれば、ある遮光物によって位置情報を入力(指定)することが可能な入力可能範囲を、当該遮光物とは別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限されることを示す表示が行われる。それゆえ、前記表示画面上において、縦方向(または横方向)の同一ライン上に2以上の遮光物が重複して位置する事態を抑制でき、誤った位置情報が出力されてしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【0010】
なお、表示画面の横方向とは、表示画面における水平走査ラインと平行な方向を意味する。表示画面の縦方向とは、表示画面の横方向に対して垂直な方向を意味する。
【0011】
また、本発明の表示システムにおいて、前記表示制御部は、ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲と別の遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲とが前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、前記の各入力許可範囲を前記表示装置に表示させるようになっていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の表示システムにおいて、前記表示制御部は、ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲が別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、遮光物毎の各入力許可範囲を前記表示装置に表示させ、ある遮光物の位置が変位した場合、変位した遮光物を変位遮光物とすると、変位遮光物の位置と変位遮光物以外の遮光物に対応する入力許可範囲とが縦方向にて重複せず且つ横方向にて重複しないように、変位遮光物の以外の遮光物の入力許可範囲を調整するようになっていてもよい。
【0013】
また、本発明の表示システムにおいて、前記表示制御部は、各遮光物についての前記入力許可範囲を遮光物毎に異なる表示形態で前記表示装置に表示させるようになっていてもよい。そして、前記表示制御部は、各遮光物についての前記入力許可範囲を遮光物毎に異なる色で前記表示装置に表示させるようになっていてもよい。
【0014】
また、本発明の表示システムにおいて、前記表示制御部は、第1遮光物による入力許可範囲の一部と第2遮光物による入力許可範囲の一部とが重複する重複範囲がある場合、第1遮光物による入力許可範囲のうちの前記重複範囲以外の範囲と、第2遮光物による入力許可範囲のうちの前記重複範囲以外の範囲と、前記重複範囲とを互いに異なる色で前記表示装置に表示させるようになっていてもよい。
【0015】
さらに、本発明の表示システムは、前記構成に加えて、前記位置情報検出部が、第3遮光物の位置情報を検出した後に次に第3遮光物の位置情報を検出する場合、第3遮光物について設定されている前記入力許可範囲の一部であって検出された位置情報に示される位置を含む一部範囲を設定し、全ての受光素子のうち、前記一部範囲と前記縦方向および横方向のいずれかにて重複する受光素子の受光量に基づいて、前記第3遮光物の位置情報を検出するようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の表示システムによれば、誤った位置情報が出力されてしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の電子黒板システム(表示システム)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、前記電子黒板システムに含まれるタッチパネル装置を示す模式図である。(b)は、局所スキャンを説明するための模式図である。
【図3】1人モードにおいて表示装置に表示される画像の一例を示す模式図である。
【図4】2人固定モードにおいて表示装置に表示される画像の一例を示す模式図である。
【図5】(a)は、2人可変モードにおいて、遮光物が接触する前の表示装置に表示される画像を示す模式図である。(b)は、2人可変モードにおいて、描画領域に接触する1つ目の遮光物が検出された場合に表示装置に表示される画像を示す模式図である。(c)は、2人可変モードにおいて、描画領域に接触する1つ目の遮光物と2つ目の遮光物とが検出された場合に表示装置に表示される画像を示す模式図である。(d)は、2人可変モードにおいて、第1描画領域および第2描画領域が設定されており、第1描画領域に接触する遮光物がシフトした場合の様子を説明するための模式図である。
【図6】(a)は、2人可変モードにおいて、描画領域に接触する1つ目の遮光物が描画領域の右下部分に位置する場合の第2描画領域の位置を示す模式図である。(b)は、2人可変モードにおいて、描画領域に接触する1つ目の遮光物が描画領域の右上部分に位置する場合の第2描画領域の位置を示す模式図である。(c)は、2人可変モードにおいて、描画領域に接触する1つ目の遮光物が描画領域の左下部分に位置する場合の第2描画領域の位置を示す模式図である。
【図7】電子黒板システムにて使用されるパラメータの一例を説明するための図である。
【図8】表示装置の表示画面上の座標値を示した模式図である。
【図9】PCの処理の全体の流れを示したフローチャートである。
【図10】図9に示す描画領域情報初期化処理(S3,S11)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図9に示す第1更新処理(S18)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図9に示す第2更新処理(S17)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】タッチパネル装置の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図14】図13に示す描画領域情報初期化処理(S104)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】図13に示す第1更新処理(S117)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】図13に示す第2更新処理(S111)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図17】図13に示す全体スキャン(S106)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】図13に示す第1局所スキャン(S109)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図19】図13に示す第2局所スキャン(S114)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】図13に示す第1描画領域スキャン(S110)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】図13に示す第2描画領域スキャン(S113)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】2人可変モードにおいて、第1描画領域が設定されており、第1描画領域に接触する1つ目の遮光物がシフトした場合の様子を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について図1〜図22を参照して説明する。図1は、本実施形態の電子黒板システム(表示システム)の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
電子黒板システム10とは、タッチパネル装置に対するタッチ操作に基づいて、表示装置においてライン等の表示(描画)を行うことの可能な表示システムである。
【0020】
図1に示すように、電子黒板システム10は、PC11、表示装置12、および、タッチパネル装置13を備える構成である。
【0021】
表示装置12は、フルハイビジョン対応の大型のカラー液晶表示装置である。表示装置12は、PC11から送られてくる画像信号に基づいて画像(映像)を表示するようになっている。
【0022】
タッチパネル装置13は、表示装置12の表示画面において利用者に指定(入力)された位置を示す座標値を、赤外線遮断検出方式によって出力する装置である。赤外線遮断検出方式とは、背景技術の項にて説明した光学式の一種である。すなわち、赤外線遮断検出方式は、前記の光学式において、発光素子の射出光を赤外線としたものである。
【0023】
以下、赤外線遮断検出方式のタッチパネル装置13について図1および図2(a)に基づいて詳細に説明する。
【0024】
タッチパネル装置13は、図1および図2(a)に示すように、通信部131、中央演算部132、発光用制御回路133、受光用制御回路134、X軸発光素子135、Y軸発光素子136、X軸受光素子137、Y軸受光素子138、記憶部139を備えている。
【0025】
通信部131は、PC11との通信に用いられる端子である。通信部131の例としては、USB(Universal Serial Bus)用の端子或いはRS232−C用の端子が挙げられる。つまり、タッチパネル装置13とPC11とはUSB或いはRS232−Cを介して通信可能に接続されている。
【0026】
X軸発光素子135およびX軸受光素子137は、表示画面140において利用者に指定された位置のX軸の座標値を検出するための部材である。なお、利用者は、表示画面140の全域のうち、指定しようとする位置に遮光物(利用者の指または専用のタッチペン等)を接触させることで位置の指定(入力)を行う。
【0027】
X軸発光素子135は、赤外線を射出する発光ダイオード(Light Emitting Diode)であり、X軸受光素子137は、X軸発光素子135から射出される赤外線の波長と同一波長を示す赤外線を受光するフォトダイオードである。
【0028】
以下、X軸発光素子135およびX軸受光素子137によってX軸の座標値を検出する手法について説明する。図2(a)に示すように、表示画面140の縦方向における一方側(表示画面140の上側)には、表示画面140の横方向に沿って並んでいる複数個のX軸受光素子137が配置されており、表示画面140の縦方向における他方側(表示画面140の下側)には、表示画面140の横方向に沿って並んでいる複数個のX軸発光素子135が配置されている。なお、表示画面140の横方向とは、表示画面140における水平走査ラインと平行な方向を意味し、タッチパネル装置13にて検出される座標値の座標のX軸と平行な方向である。また、表示画面140の縦方向とは、表示画面140の横方向に対して垂直な方向を意味し、タッチパネル装置13にて検出される座標値の座標のY軸と平行な方向である。
【0029】
X軸発光素子135は、表示画面140の横方向の辺の一端側付近から他端側付近に至るまで並んでおり、X軸受光素子137も、同様に、表示画面140の横方向の辺の一端側から他端側に至るまで並んでいる。そして、X軸発光素子135の配置数とX軸受光素子137の配置数とは同数であり、各X軸発光素子135と各X軸受光素子137とは互いに対向し合って対になっている。
【0030】
X軸発光素子135から射出される赤外線は、表示画面140の表面に沿って進行して、当該X軸発光素子135と対の関係にあるX軸受光素子137に入射するようになっている。ここで、図2(a)に示すように、対になっているX軸発光素子135とX軸受光素子137との間に遮光物が存在する場合、遮光物が存在しない場合よりもX軸受光素子137の受光量が減少することになる。つまり、受光量の減少したX軸受光素子137の座標値(または受光量の減少した数個のX軸受光素子137の座標値の代表値)を、前記遮光物のX軸の座標値として扱うことができる。よって、複数のX軸受光素子137の各々から出力される電気信号を参照することによってX軸の座標値を出力できるのである。
【0031】
また、Y軸発光素子136およびY軸受光素子138についてのY軸の座標値の検出手法は、以上にて述べたX軸発光素子135およびX軸受光素子137の場合と同様である。但し、Y軸受光素子138は、表示画面140の横方向における一方側において表示画面140の縦方向に沿って並んでおり、Y軸発光素子136は、表示画面140の横方向における他方側において表示画面140の縦方向に沿って並んでいる。
【0032】
発光用制御回路133は、X軸発光素子135およびY軸発光素子136の点灯および消灯を行う制御回路である。受光用制御回路134は、X軸受光素子137およびY軸受光素子138から出力される電気信号を受け付け、この電気信号に基づいてX軸受光素子137およびY軸受光素子138の各々の受光量を示す受光量データを生成し、当該受光量データを中央演算部132に送る回路である。
【0033】
中央演算部132は、後述するPC11の制御部113(図1を参照)から送られてきた制御コマンドに基づいて各種演算を行うことにより、タッチパネル装置13に構成される各ハードウェアを駆動するための駆動信号を生成し、この駆動信号を前記のハードウェアの各々に送信する演算回路である。つまり、タッチパネル装置13、およびタッチパネル装置13に構成される各ハードウェアの動作は、PC11の制御部113に制御されている。
【0034】
中央演算部132の一例としては、マイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、あるいは、演算機能を有する集積回路が挙げられる。なお、FPGAとは、プログラミング可能な集積回路(Large Scale Integrated circuit)であり、ASICとは、特定用途のために設計、製造される集積回路である。
【0035】
また、中央演算部132は、タッチパネル装置13に構成される各ハードウェアから送られてくる信号に基づいて演算処理を行い、演算結果を記憶部139に記憶すると共に、PC11の制御部113へ送信する処理も行う。例えば、中央演算部(座標検出部)132は、受光用制御回路134から送られてくる受光量データに基づいて、表示画面140に接触する遮光物の位置を示す座標値(位置情報)を算出(検出)するようになっている。
【0036】
記憶部139は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置とによって構成されるものである。記憶部139には、PC11から送られてきた各種情報や、中央演算部132によって演算出力された各種情報が記憶・保存される。
【0037】
つぎに、PC11について説明する。PC11は、表示装置12およびタッチパネル装置13の動作を制御するためのものであり、汎用のパーソナルコンピュータまたはワークステーションである。PC11は、図1に示すように、通信部111、出力端子112、制御部113、および記憶部114を備える。
【0038】
通信部111は、タッチパネル装置13と通信するための端子である。通信部111の例としては、通信部131と同様、USB(Universal Serial Bus)用の端子或いはRS232−C用の端子が挙げられる。
【0039】
出力端子112は、表示装置12に対して画像信号(映像信号)および各種制御信号を出力するための端子である。出力端子112としては、HDMI(High Definition Multimedia Interface)用の端子、または、DVI(Digital Visual Interface)用の端子が挙げられる。つまり、PC11は、HDMI或いはDVIを介して表示装置12に対して画像信号および各種制御信号を伝送するようになっている。
【0040】
制御部113は、PC11に接続されている表示装置12およびタッチパネル装置13の動作を統括的に制御するブロックである。つまり、制御部113が表示装置12およびタッチパネル装置13の各々に対して各種制御信号を送信すると、表示装置12およびタッチパネル装置13は当該制御信号に応じた動作を行うようになっている。
【0041】
制御部113は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、表示装置12およびタッチパネル装置13の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。この制御プログラムは、例えばフラッシュメモリなどのリムーバブルメディアに記録されているものを読み込んで使用する形態であってもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよい。また、上記制御プログラムをダウンロードしてハードディスクなどにインストールして実行する形態なども考えられる。
【0042】
また、制御部113は、タッチパネル装置13から座標値が送られてくると当該座標値を記憶部114に記憶する。さらに、制御部113は、タッチパネル装置13から送られてくる座標値に基づき、表示装置12の表示画面における前記座標値に対応する位置にライン等を示す画像を表示(描画)させる表示制御部(描画部)としての機能を有する。
【0043】
記憶部114は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置とによって構成されるものである。不揮発性の記憶装置に記憶される内容としては、上記した制御プログラムの他、制御部113に実行させるOS(operating system)プログラム、その他のアプリケーションプログラム等が挙げられる。また、本実施形態においては、制御部113によって演算出力された各種情報や、タッチパネル装置13から送られてきた各種情報が記憶部114に記憶・保存される。
【0044】
本実施形態の電子黒板システム10は、1人モード、2人固定モード、2人可変モードの3つの処理モード(描画モード)を有しており、電源がオンになっている間は常にいずれか1つの処理モードが選択されている。そして、電子黒板システム10は、選択されている処理モードに応じた動作を行うようになっている。
【0045】
ここで、1人モードは、1人の利用者のみが表示画面を使用する処理モードである。2人固定モードは、2人の利用者が表示画面をシェアして使用し、表示画面において利用者毎に使用可能領域(描画領域)が定められており、且つ、各使用可能領域が固定されている処理モードである。2人可変モードは、2人の利用者が表示画面を使用すると共に、表示画面において利用者毎に使用可能領域が定められており、且つ各使用可能領域が変動する処理モードである。つまり、2人固定モードおよび2人可変モードは、複数の利用者が同時にタッチパネルによって位置指定を行う、マルチタッチモードに相当する。
【0046】
以下では、1人モード、2人固定モード、2人可変モードにおける処理内容を順に説明する。
【0047】
(1人モード)
まず、1人モードについて以下説明する。本実施形態の電子黒板システム10の表示装置12には、図3に示すように、1人モードボタン100と、2人固定モードボタン101と、2人可変モードボタン102とが表示されている。
【0048】
PC11の制御部113は、1人モードボタン100が押されたことを検出した場合、電子黒板システム10を1人モードに移行させるようになっている。また、本実施形態では、1人モードが初期設定されているため、利用者が電子黒板システム10の電源をオンにすると、制御部113は、電子黒板システム10をまず1人モードに移行させるようになっている。
【0049】
電子黒板システム10が1人モードへ移行すると、制御部113は、図3に示すように、表示装置12の表示画面140のうち、設定可能範囲350の全域に第1描画領域20を設定する。なお、第1描画領域20は、利用者が遮光物を表示画面140上に接触させることによって位置の指定を行うと、指定された位置においてライン等の画像の表示(描画)が行われる範囲である。また、1人モードの第1描画領域20は位置および広さが一定である。そして、設定可能範囲350とは、表示装置12の表示画面140のうち、描画領域を設定できる範囲である。
【0050】
また、制御部113は、位置入力を許可する範囲(遮光物による位置入力可能範囲)である第1描画領域20を利用者に認識させる表示を表示装置12に行わせる。具体的に、制御部113は、表示画面140のうち、第1描画領域20の背景色が薄紫色にて表示されるように表示装置12を制御する。
【0051】
以上のようにして第1描画領域20が設定されると、制御部113はタッチパネル装置13に全体スキャンを行わせる。全体スキャンとは、タッチパネル装置13の全ての受光素子137・138からの出力に基づいて、表示装置12の表示画面140の全域を対象として表示画面140に接触する遮光物を探索する処理を意味する。この全体スキャンは、第1描画領域20に接触する遮光物が1つ検出されるまで行われる(つまり第1描画領域20に接触する遮光物が存在しない間は全体スキャンが繰り返される)。
【0052】
全体スキャンによって第1描画領域20に接触する遮光物が1つ検出されると、中央演算部132は、接触している遮光物の位置を示す座標値を検出(出力)する。そして、制御部113は、図3に示すように、検出された座標値に基づいて、表示装置12においてライン150を示す画像の描画(表示)を行うようになっている。
【0053】
また、全体スキャンによって第1描画領域20に接触する1つ目の遮光物が検出された後、制御部113は、タッチパネル装置13に、全体スキャンを行わせずに局所スキャンを行わせるようになっている。
【0054】
以下、局所スキャンについて詳細に説明する。例えば、第1描画領域20に接触する遮光物xが移動した場合、ある全体スキャンに基づいて遮光物xの座標値が算出されてから、次に行われるスキャンに基づいて遮光物xの座標値が算出されるまでの間の遮光物xの移動量は極めて少ない。そこで、第1描画領域20に接触する1つの遮光物xが全体スキャンで検出された後、全体スキャンを繰り返すのではなく、前回のスキャンにて検出された遮光物xの位置を中心とした局所範囲のみを対象として遮光物xの探索処理を行えばよい。この局所範囲のみを対象とした遮光物の探索処理を局所スキャンと称する。
【0055】
より具体的に説明すると、図2(b)に示すように、既に検出されている遮光物aの位置を中心としており各辺の長さが所定長の正方形領域を、局所範囲300として設定する。局所範囲300は表示画面140の全域よりも極めて狭い領域である。局所スキャンにおいては、全てのX軸発光素子135と全てのY軸発光素子136とを駆動するのではなく、局所範囲300と同じ縦ライン(Y軸と平行なライン)上に位置するX軸発光素子135、および、局所範囲300と同じ横ライン(X軸と平行なライン)上に位置するY軸発光素子136のみ駆動し、他の発光素子135・136は駆動しない。そして、全ての受光素子137・138の出力をモニターするのではなく、駆動した発光素子135・136の各々と対の関係にある受光素子137・138からの出力のみをモニターすることにより、既に検出済の遮光物aの座標値を出力する。以上の局所スキャンにより、座標値を出力するための処理時間を短縮でき、利用者の位置指定に対する描画処理の追随性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、第1描画領域20に遮光物が1つも接触していない間は全体スキャンが行われるが、第1描画領域20に対して1つ目の遮光物aの接触が検出されると、全体スキャンが行われずに局所スキャンが行われるようになっている。これにより、1つ目の遮光物aが第1描画領域20に接触している間、当該遮光物aと極めて近い範囲のみしかスキャンされないため、2つ目の遮光物(遮光物a以外の遮光物)が第1描画領域20に接触しても、2つ目の遮光物が制御部113や中央演算部132によって検出されることは現実的に起こりえない(理論的には、局所範囲300に遮光物aとそれ以外の遮光物とが接触することも考えられるが、極めて狭い範囲に局所範囲300が設定されることから、局所範囲300に遮光物aとそれ以外の遮光物とが接触する事は現実的に起こり得ない。言い換えると、局所範囲300は、1つの遮光物(例えば専用タッチペン)を収めた場合に余りのスペースが若干発生するものの、2つの遮光物(専用タッチペン2つ)を収めるには足りない広さに設定される)。
【0057】
したがって、1人モードにおいて、遮光物が接触していなかった第1描画領域20に1つ目の遮光物aが接触しはじめると、この遮光物aが第1描画領域20に接触している間、2つ目の遮光物が第1描画領域20に接触しても、2つ目の遮光物が制御部113や中央演算部132にて検出されることは現実的に起こらず、当該別の遮光物の座標値が出力されることもない。
【0058】
以上のように、1人モードでは、表示装置12の表示画面に第1描画領域20が1つ設定され、第1描画領域20に対しては実質的に1つの遮光物のみによって描画を行えるようになっている。よって、1人モードは、1人の利用者のみが表示画面を使用できるモードである。
【0059】
(2人固定モード)
つぎに、2人固定モードについて説明する。制御部113は、図3または図4に示される2人固定モードボタン101が押されたことを検出した場合に、電子黒板システム10を2人固定モードに移行させるようになっている。
【0060】
電子黒板システム10が2人固定モードへ移行すると、制御部113は、図4に示すように、表示装置12の設定可能範囲350のうち、中心より上方であって且つ中心より横方向の一方側(左側)に第1描画領域20aを設定し、中心より下方であって且つ中心より横方向の他方側(右側)に第2描画領域20bを設定する。なお、第1描画領域20aおよび第2描画領域20bは、横方向において互いに重複せず、且つ、縦方向においても互いに重複しないように配置される。2人固定モードにおける第1描画領域20aおよび第2描画領域20bは、各々、利用者が遮光物を表示画面140上に接触させることによって位置の指定を行うと、指定された位置においてライン等の画像の表示(描画)が行われる範囲であり、且つ、位置および広さが一定である。
【0061】
そして、制御部113は、位置の指定(入力)を許可する第1描画領域20aおよび第2描画領域20bを利用者に認識させるための表示を表示装置12に行わせる。具体的に、制御部113は、表示画面140のうち、第1描画領域20aの背景色が薄紫色にて表示され、第2描画領域20bの背景色が薄赤色にて表示されるように、表示装置12を制御する。
【0062】
また、制御部113は、図4に示すように、設定可能範囲350のうち、第1描画領域20aよりも下側且つ第2描画領域20bよりも横方向の一方側(左側)を描画不可範囲に設定し、第2描画領域20bよりも上側且つ第1描画領域20aよりも横方向の他方側(右側)を描画不可範囲に設定する。制御部113は、位置の指定(入力)を許可しない描画不可範囲を利用者に認識させるために、描画不可範囲に固有の背景色で描画不可範囲が表示されるように、表示装置12を制御する。制御部113および中央演算部132は、2人固定モードの実行期間中、受光素子137・138からの出力に基づいて描画不可範囲に遮光物が接触している事を検出しても、描画不可範囲の遮光物の位置を示す座標値を出力せず、この座標値に基づく描画も行わない。
【0063】
第1描画領域20a・第2描画領域20b・描画不可範囲が設定されると、制御部113は、第1描画領域20aを対象とした描画領域スキャンと、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンとを交互に行うようになっている。
【0064】
ここで、描画領域スキャンについて説明する。描画領域スキャンとは、対象となる描画領域について遮光物を探索する処理を意味する。つまり、第1描画領域20aを対象とした描画領域スキャンとは、第1描画領域20aに接触する遮光物を探索する処理を意味し、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンとは、第2描画領域20bに接触する遮光物を探索する処理を意味する。具体的に、描画領域スキャンにおいては、全てのX軸発光素子135と全てのY軸発光素子とを駆動するのではなく、スキャンの対象となる描画領域と同じ縦ラインに位置するX軸発光素子135、および、スキャンの対象となる描画領域と同じ横ラインに位置するY軸発光素子136のみ駆動し、他の発光素子135・136は駆動しない。そして、全ての受光素子137・138の出力をモニターするのではなく、駆動した発光素子135・136の各々と対の関係にある受光素子137・138からの出力のみをモニターすることにより、スキャンの対象となる描画領域について遮光物を探索する。
【0065】
第1描画領域20aに対する描画領域スキャンによって、表示画面140に接触する1つ目の遮光物bが第1描画領域20aにて検出されると、制御部113および中央演算部132は、遮光物bの座標値を出力し、図4に示すように、出力された座標値に基づいて、第1描画領域20aにおいてラインを示す画像の描画(表示)を行うようになっている。
【0066】
また、遮光物bが第1描画領域20aにて検出された後、制御部113は、第1描画領域20aを対象とした描画領域スキャンを中止し、第1描画領域20aの遮光物bについては局所スキャンを行わせ、且つ、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンについては継続するようになっている。つまり、遮光物bについては局所スキャンと、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンとが交互に行われる(なお、遮光物bが第1描画領域20aから外れた場合は遮光物bに対する局所スキャンが中止され、第1描画領域20aを対象とした描画領域スキャンが再開される)。
【0067】
また、第1描画領域20aの遮光物bに対して局所スキャンが行われているということは、表示画面140に接触する2つ目の遮光物hが第1描画領域20aに出現しても、遮光物hが制御部113や中央演算部132にて検出されることは現実的に起こらず、遮光物hの座標値が出力されることもない。
【0068】
これに対し、遮光物bが第1描画領域20aにて検出されている間、表示画面140に接触する2つ目の遮光物cが第2描画領域20bにて出現すると、制御部113および中央演算部132は、描画領域スキャンによって2つ目の遮光物cの位置を検出し、この遮光物cの座標値を出力するようになっている。そして、制御部113および中央演算部132は、出力された座標値に基づいて、表示装置12の第2描画領域20bにおいてラインを示す画像の描画(表示)を行うようになっている。
【0069】
そして、2つ目の遮光物cが第2描画領域20bにて検出された後、制御部113は、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンを終了し、遮光物cを対象とした局所スキャンを開始することになる。これにより、1つ目の遮光物bが第1描画領域20aにて検出されており、且つ、2つ目の遮光物cが第2描画領域20bにて検出されている間、制御部113および中央演算部132は、遮光物bを対象とした局所スキャンと遮光物cを対象とした局所スキャンとを交互に行うことになる。
【0070】
なお、第2描画領域20bについては遮光物cに対して局所スキャンが行われているだけあるため、3つ目の遮光物dが第2描画領域20bに出現しても、遮光物dが制御部113や中央演算部132にて検出されることは現実的に起こらず、遮光物dの座標値が出力されることもない。
【0071】
以上のように、2人固定モードでは、表示装置12の表示画面140に第1描画領域20aおよび第2描画領域20bが設定され、第1描画領域20aに対して1つの遮光物のみによって描画が行われ、これと同時に、第2描画領域20bに対しては第1描画領域20aに接触する遮光物とは異なる1つの遮光物のみによって描画が行われるようになっている。よって、2人固定モードは、第1の利用者が第1描画領域20aにおいて描画を行い、これと同時に第2の利用者が第2描画領域20bにおいて描画を行うモードである。
【0072】
なお、以上では、1つ目の遮光物の接触が第1描画領域20aにて生じ、2つ目の遮光物の接触が第2描画領域20bにて生じた例を説明したが、1つ目の遮光物の接触が第2描画領域20bにて生じ、2つ目の遮光物の接触が第1描画領域20aにて生じた場合であっても、同様の処理が行われることになる。つまり、1つ目の遮光物の接触が第2描画領域20bにて生じた場合、第2描画領域20bにて描画が行われ、第2描画領域20bの遮光物を対象とした局所スキャンと、第1描画領域20aを対象とした描画領域スキャンとが交互に行われることになる。そして、第1描画領域20aにて遮光物が接触すると、第1描画領域20aで描画が行われ、第1描画領域20aの遮光物を対象とした局所スキャンと、第2描画領域20bを対象とした描画領域スキャンとが交互に行われることになる。
【0073】
(2人可変モード)
つぎに、2人可変モードについて説明する。制御部113は、図3〜図5のいずれかに示される2人可変モードボタン102が押されたことを検出した場合に、電子黒板システム10を2人可変モードに移行させるようになっている。
【0074】
電子黒板システム10が2人可変モードへ移行すると、制御部113は、図5(a)に示すように、表示装置12の設定可能範囲350の全域を第1描画領域20cとして設定する。また、制御部113は、位置入力を許可する範囲(遮光物による位置入力可能範囲)である第1描画領域20cを利用者に認識させる表示を表示装置12に行わせる。具体的に、制御部113は、表示画面140のうち、第1描画領域20cの背景色が薄紫色にて表示されるように表示装置12を制御する。
【0075】
図5(a)に示される状態になると、制御部113はタッチパネル装置13に全体スキャンを行わせる。この全体スキャンは、第1描画領域20cに接触する遮光物が1つ検出されるまで行われる(つまり第1描画領域20cに接触する遮光物が存在しない間は全体スキャンが繰り返される)。
【0076】
全体スキャンによって、第1描画領域20cに接触する1つ目の遮光物eが検出されると、中央演算部132は、遮光物eの位置を示す座標値を出力する。そして、制御部113は、遮光物eの座標値に基づいて、第1描画領域20cにおいてラインを示す画像の描画(表示)を行うようになっている。
【0077】
また、以上のようにして第1描画領域20cに接触する遮光物e(描画領域に接触する1つ目の遮光物)が検出されると、制御部113は、第1描画領域20cの範囲(位置、広さ)をそのままに維持しつつ、第1描画領域20c上の一部において第2描画領域20dを設定する。但し、第2描画領域20dは、遮光物eと横ラインにおいて重複せずに遮光物eと縦ラインにおいて重複しない範囲に設定される。
【0078】
具体的には、図5(b)に示すように、遮光物eが設定可能範囲350の中心よりも左上に位置する場合、制御部113は、遮光物eよりも下側且つ右側に第2描画領域20dを設定する。また、制御部113は、第1描画領域20cと第2描画領域20dとが重複している範囲を利用者に認識させる表示を表示装置12に行わせる。具体的に、制御部113は、表示画面140のうち、第1描画領域20cと第2描画領域20dとが重複している範囲の背景色を薄緑色で表示させるように表示装置12を制御する。なお、図5および図6において、網線で示される領域は第1描画領域20cと第2描画領域20dとが重複している範囲を示したものである。
【0079】
また、図6(a)に示すように、遮光物eが設定可能範囲350の中心よりも右下に位置する場合、制御部113は、遮光物eよりも上側且つ左側に第2描画領域20dを設定するようになっている。図6(b)に示すように、遮光物eが第1描画領域20cの中心よりも右上に位置する場合、制御部113は、遮光物eよりも下側且つ左側に第2描画領域20dを設定するようになっている。図6(c)に示すように、遮光物eが第1描画領域20cの中心よりも左下に位置する場合、制御部113は、遮光物eよりも上側且つ右側に第2描画領域20dを設定するようになっている。
【0080】
そして、図5(b)に示される状態になると、制御部113は、全体スキャンを行わずに、遮光物eを対象とした局所スキャンと第2描画領域20dを対象とした描画領域スキャンとを交互に行うようになっている。それゆえ、第1描画領域20cのみの範囲(第1描画領域20cの全域のうちの第2描画領域20dと重複していない範囲)において、遮光物eと別の遮光物が検出されることは現実的に起こらない。
【0081】
さらに、図5(b)に示される状態において、利用者は遮光物eによって第1描画領域20cの全体に対して描画を行えるようになっている。つまり、利用者は第1描画領域20c内であれば遮光物eをどこにでも移動させることができる。
【0082】
そして、制御部113は、遮光物eと横ラインにおいて重複せずに遮光物eと縦ラインにおいて重複しない範囲に第2描画領域20dが常に位置するように、移動後の遮光物eの位置に応じて第2描画領域20dの広さ(範囲)の調整を行うようになっている。例えば、遮光物eを、図5(b)に示される位置から右側にシフトさせた場合、図22に示すように、第2描画領域20dの左側エッジが右側に移動して第2描画領域20dの範囲が狭くなるようになっている。また、例えば、遮光物eを、図5(b)に示される位置から下側にシフトさせた場合、第2描画領域20dの上側エッジが下側に移動して第2描画領域20dの範囲が狭くなるようになっている。
【0083】
上述したように、図5(b)の状態では、遮光物eを対象とした局所スキャンと第2描画領域20dを対象とした描画領域スキャンとが交互に行われるが、遮光物e以外の2つ目の遮光物fが第2描画領域20dにて出現すると、制御部113および中央演算部132は、前記の描画領域スキャンによって2つ目の遮光物fの位置を検出し、遮光物fの座標値を出力するようになっている。そして、制御部113および中央演算部132は、遮光物fの座標値に基づいて、表示装置12の第2描画領域20dにおいてラインを示す画像の描画(表示)を行うようになっている。
【0084】
また、以上のようにして、第1描画領域20cに接触する遮光物e(表示画面140に接触する1つ目の遮光物)のみならず、第2描画領域20dに接触する遮光物f(表示画面140に接触する2つ目の遮光物)が検出されると、制御部113は、第1描画領域20cの広さ(範囲)を、遮光物fと横ラインにおいて重複せずに遮光物fと縦ラインにおいて重複しない範囲に制限(縮小)する。
【0085】
具体的には、図5(b)の状態において遮光物fが第2描画領域20dに接触した場合、制御部113は、第1描画領域20cの下側エッジを上側に移動し、第1描画領域20cの右側エッジを左側に移動することにより、第1描画領域20cの範囲を縮小する。これにより、図5(c)に示すように、第1描画領域20cは、遮光物fよりも上側且つ左側に位置することになり、遮光物fと横ラインにおいて重複せずに遮光物fと縦ラインにおいても重複しない範囲に制限される。
【0086】
また、図5(c)に示すように、第1描画領域20cの範囲が縮小されることにより、第2描画領域20dのみからなる範囲が生じる。制御部113は、第2描画領域20dのみからなる箇所を利用者に認識させる表示を表示装置12に行わせる。具体的に、制御部113は、表示画面140のうち、第2描画領域20dのみからなる箇所の背景色が薄赤色にて表示されるように表示装置12を制御する。
【0087】
さらに、制御部113は、図5(c)に示すように、設定可能範囲350のうち、第1描画領域20cおよび第2描画領域20d以外の範囲を、位置の指定(入力)を許可しない描画不可範囲として設定する。制御部113は、描画不可範囲を利用者に認識させるために、描画不可範囲に固有の背景色で描画不可範囲が表示されるように、表示装置12を制御する。
【0088】
図5(c)に示される例においては、設定可能範囲350のうち、第1描画領域20cの下側且つ第2描画領域20dの左側を描画不可範囲とし、第1描画領域20cの右側且つ第2描画領域20dの上側を描画不可範囲としている。制御部113および中央演算部132は、2人可変モードの実行期間中、受光素子137・138からの出力に基づいて描画不可範囲に遮光物が接触している事を検出しても、描画不可範囲の遮光物の位置を示す座標値を出力せず、この座標値に基づく描画も行わない。
【0089】
そして、第1描画領域20cに接触する遮光物eのみならず、第2描画領域20dに接触する遮光物fが検出された後、制御部113は、第2描画領域20dを対象とした描画領域スキャンを終了し、遮光物fを対象とした局所スキャンを開始することになる。これにより、第1描画領域20cに接触する遮光物eと、第2描画領域20dに接触する遮光物fとが検出されている間、制御部113および中央演算部132は、遮光物eを対象とした局所スキャンと遮光物fを対象とした局所スキャンとを交互に行うことになる。
【0090】
なお、遮光物eが第1描画領域20cから外れた場合、遮光物eに対する局所スキャンが中止され、第1描画領域20cに対する描画領域スキャンが開始される。また、遮光物fが第2描画領域20dから外れた場合、遮光物fに対する局所スキャンが中止され、第2描画領域20dに対する描画領域スキャンが開始される。さらに、遮光物eが第1描画領域20cから外れ、且つ、遮光物fが第2描画領域20dから外れた場合、全体スキャンが再開される。
【0091】
また、図5(c)の状態においても、図5(b)の状態と同様、制御部113は、遮光物eが移動しても、遮光物eと横ラインにおいて重複せずに遮光物eと縦ラインにおいて重複しない範囲に第2描画領域20dが常に位置するように、移動後の遮光物eの位置に応じて第2描画領域20dの広さ(範囲)の調整を行うようになっている(図5(d)を参照)。
【0092】
さらに、図5(c)や図5(d)の状態においては、遮光物fが移動しても、遮光物fと横ラインにおいて重複せずに遮光物fと縦ラインにおいて重複しない範囲に第1描画領域20cが常に位置するように、移動後の遮光物fの位置に応じて第1描画領域20cの広さ(範囲)の調整を行うようになっている。例えば、遮光物fを左にシフトさせた場合、第1描画領域20cの右側エッジが左側に移動して第2描画領域20dの範囲が狭くなるようになっている。また、例えば、遮光物fを上側にシフトさせた場合、第1描画領域20cの下側エッジが上側に移動して第1描画領域20cの範囲が狭くなるようになっている。
【0093】
以上のように、2人可変モードでは、表示装置12の表示画面140に第1描画領域20cおよび第2描画領域20dが設定され、第1描画領域20cに対して1つの遮光物によって描画を行い、これと同時に、第2描画領域20dに対して第1描画領域20aに接触する遮光物とは異なる1つの遮光物によって描画を行うようになっている。よって、2人可変モードにおいても、2人固定モードと同様、第1の利用者が第1描画領域20aにおいて描画を行い、これと同時に第2の利用者が第2描画領域20bにおいて描画を行う。
【0094】
以上示すように、本実施形態の電子黒板システム(表示システム)10は、X軸受光素子137およびY軸受光素子138の受光量に基づいて、表示画面140に接触する遮光物の位置を示す位置情報(座標値)を検出する中央演算部(位置情報検出部)132を備えている。そして、制御部(表示制御部)113は、2つの遮光物の各々の位置の位置情報を検出する2人固定モードまたは2人可変モード(マルチタッチモード)への移行指示が入力された後、表示画面140の全域のうち、ある遮光物の位置情報を指定(入力)可能な描画領域(入力可能範囲)を、別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限することを示す表示(制限表示)を行っている。
【0095】
具体的に、当該制限表示は、2人固定モードでは、遮光物bによる位置情報の入力が許可される第1描画領域(入力許可範囲)20aと、遮光物cによる位置情報の入力が許可される第2描画領域(入力許可範囲)20bとが前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、前記の各描画領域20a・20bを表示装置12に表示させることで実現される。
【0096】
また、前記制限表示は、2人可変モードでは、遮光物eによる位置情報の入力が許可される第1描画領域(入力許可範囲)20cが遮光物fの位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複せず、遮光物fによる位置情報の入力が許可される第2描画領域(入力許可範囲)20dが遮光物eの位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、前記の各描画領域20c・20dを表示装置12に表示させることで実現される。さらに、2人可変モードでは、遮光物eが変位すると、変位後の遮光物eの位置と第2描画領域20dとが縦方向にて重複せず且つ横方向にて重複せず、遮光物fが変位すると、変位後の遮光物fの位置と第1描画領域20cとが縦方向にて重複せず且つ横方向にて重複しないように、前記の各描画領域20c・20dを表示装置12に表示させる。
【0097】
この構成によれば、ある遮光物によって入力可能な入力可能範囲を、当該遮光物とは別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限している。それゆえ、表示画面140において、縦方向(または横方向)の同一ライン上に2以上の遮光物が重複して位置する事態を抑制でき、誤った位置情報が出力されてしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【0098】
なお、以上にて示した実施形態において、制御部113は、第1描画領域20aと第2描画領域20bとを異なる表示形態(色)で表示し、第1描画領域20cと第2描画領域20dとを異なる表示形態(色)で表示することで、各領域を利用者に認識させている。
【0099】
また、以上にて示した実施形態では、2人固定モードまたは2人可変モードにおいて設定される描画領域は2つであったが、3つ以上の描画領域が設定されるモードを導入してもよい。例えば、第1描画領域と第2描画領域と第3描画領域とが設定される3人固定モードを導入してもよい。この3人固定モードでは、第1描画領域が、縦ラインおよび横ラインにおいて第2描画領域および第3描画領域と重ならず、第2描画領域が、縦ラインおよび横ラインにおいて第1描画領域および第3描画領域と重ならないように、各領域の位置が決定される。また、例えば、第1描画領域と第2描画領域と第3描画領域とが設定される3人可変モードを導入してもよい。この3人可変モードでは、第1描画領域が、縦ラインおよび横ラインにおいて第2描画領域に接触する遮光物および第3描画領域に接触する遮光物に重ならず、第2描画領域が、縦ラインおよび横ラインにおいて第1描画領域に接触する遮光物および第3描画領域に接触する遮光物に重ならず、第3描画領域が、縦ラインおよび横ラインにおいて第1描画領域に接触する遮光物および第2描画領域に接触する遮光物に重ならないように、各領域の位置および範囲が調整される。
【0100】
なお、単一の描画領域において1つ目の遮光物kに基づく描画処理と2つ目の遮光物jに基づく描画処理とを行うことが可能になっている電子黒板においては、遮光物kと遮光物jとが近接すると、遮光物kの局所スキャン領域と遮光物jの局所スキャン領域とが重なってしまうという事態が生じることがある。このような事態が生じると、検出された座標値が遮光物kおよび遮光物jのいずれの値であるかを判別できないことがあり、誤検出が生じてしまう。これに対し、本実施形態では、単一の描画領域に対しては実質的に一つの遮光物のみが描画可能になっており、且つ、2つの遮光物が縦ラインにおいて重ならず横ラインにおいて重ならないようになっているので、このような誤検出は生じない。
【0101】
(実施例)
以下では、本実施形態の電子黒板システム10の処理フローの一例を説明する。
【0102】
図9は、PC11の処理の全体の流れを示したフローチャートである。図10は、図9に示す描画領域情報初期化処理(S3,S11)のサブルーチンを示すフローチャートである。図11は、図9に示す第1更新処理(S18)のサブルーチンを示すフローチャートである。図12は、図9に示す第2更新処理(S17)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0103】
図13は、タッチパネル装置13の処理の全体の流れを示すフローチャートである。図14は、図13に示す描画領域情報初期化処理(S104)のサブルーチンを示すフローチャートである。図15は、図13に示す第1更新処理(S117)のサブルーチンを示すフローチャートである。図16は、図13に示す第2更新処理(S111)のサブルーチンを示すフローチャートである。図17は、図13に示す全体スキャン(S106)のサブルーチンを示すフローチャートである。図18は、図13に示す第1局所スキャン(S109)のサブルーチンを示すフローチャートである。図19は、図13に示す第2局所スキャン(S114)のサブルーチンを示すフローチャートである。図20は、図13に示す第1描画領域スキャン(S110)のサブルーチンを示すフローチャートである。図21は、図13に示す第2描画領域スキャン(S113)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0104】
まず、図9〜図21に示されるフローチャートにて使用される各種パラメータの種類を、図7および図8を参照して説明する。図7は、電子黒板システム10にて使用されるパラメータの一例を説明するための図である。図8は、表示装置12の表示画面140上の座標値を示した模式図である。
【0105】
図7の(2)の検出座標値情報は、タッチパネル装置13にて出力された座標値を意味し、前回の検出座標値情報は、前記座標値の前に出力された座標値を意味する。図7の(1)の入力座標値情報は、タッチパネル装置13からPC11に対して送られた座標値を意味し、前回の入力座標値情報とは、前記座標値よりも前にタッチパネル装置13からPC11に対して送られてきた座標値を意味する。
【0106】
図7の(1)(2)の描画モード情報は、現時点にて設定されている描画モード(1人モード、2人固定モード、2人可変モード)の種類を示す。
【0107】
図7の(1)(2)(5)の描画領域情報は、第1描画領域および第2描画領域の各々の座標値、サイズ、位置を示すものである。第1描画領域とは、上述した実施の形態において第1描画領域20、20a、20cに相当するものである。第2描画領域は、上述した実施の形態において第2描画領域20b、20dに相当するものである。また、描画領域情報のうち、IAreaX1、OAreaX1、IAreaXSz1、OAreaXSz1、IAreaY1、OAreaY1、IAreaYSz1、OAreaYSz1、IAreaX2、OAreaX2、IAreaXSz2、OAreaXSz2、IAreaY2、OAreaY2、IAreaYSz2、OAreaYSz2には、図8のDX、DY、DXSz、DXYzから導かれる値が代入されることになる(例えば図10のS36を参照)。
【0108】
また、図7の(3)の遮光物1とは、第1描画領域において検出される遮光物を意味する。この遮光物1は、上述した実施の形態において遮光物a、遮光物b、遮光物eに相当するものである。また、図7の(3)の遮光物2とは、第2描画領域において検出される遮光物を意味する。この遮光物2は、上述した実施の形態において遮光物c、遮光物fに相当するものである。
【0109】
前述したように、本実施形態の電子黒板システム10は、1人モード、2人固定モード、2人可変モードを有している。まずは、1人モードにおける処理フローを説明する。
【0110】
(1人モードのフロー)
最初に、図9〜図12に基づいて1人モードにおけるPC11の側の処理を説明し、その後に図13〜図21に基づいて1人モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0111】
本実施形態の電子黒板システム10では1人モードが初期設定されているため、電子黒板システム10の電源をオンにすると、電子黒板システム10は1人モードに移行し、記憶部114に記憶されている描画モード情報(IDispMode)に0が代入される。
【0112】
その後、図9に示すように、表示装置の表示画面の初期化が行われ(S1)、記憶部114に記憶されている入力座標値情報の初期化処理が行われ(S2)、さらに、記憶部114に記憶されている描画領域情報の初期化処理が行われる(S3)。
【0113】
図10に示すように、1人モードでの描画領域情報の初期化処理では(S31にてYES)、S36に示されるような代入が行われることによって第1描画領域20(図3参照)が設定される。なお、S36に示される「0xffff」は、無効を示す値である(他の箇所でも同様)。さらに、第1描画領域20の背景色として薄紫色が指定され(S34)、タッチパネル装置13に対して、1人モードを示す描画モード情報が通知される(S35)。
【0114】
図9のS3に示す初期化処理の後、S4〜S6にてNOが選択され、PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータ(検出座標値情報)を待機する(S7)。PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータを受信すると(S7にてYES)、受信したデータを記憶部114に記憶されている入力座標値情報に代入する(S12)。また、前回に受信したデータがあれば、そのデータを、前回の入力座標値情報に代入する。
【0115】
そして、PC11は、入力座標値情報が遮光物1の検出を示している場合(S13にてYES)、遮光物1が第1描画領域20内に位置していることを確認し(S14にてYES)、表示装置14を制御して遮光物1に基づく描画処理を行う(S15)。
【0116】
S15の後、1人モードであることから、S17において図12のS61のNOが選択され、1人モードでは遮光物2の検出が実質的にありえないことから、図9のS19のNOが選択される。さらに、図9のS18において図11のS41のNOが選択され、S4〜S6にてNOが選択され、S7に戻ることになる。
【0117】
つぎに、図13〜図21に基づいて1人モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0118】
図13に示すように、タッチパネル装置13は、1人モードを示す描画モード情報をPC11から受信すると(S101にてYES)、記憶部139に記憶されている描画モード情報(ODispMode)の値を、1人モードを示す値に設定する(S102)。さらに、タッチパネル装置13は、記憶部139に記憶されている検出座標値情報を初期化し(S103)、記憶部139に記憶されている描画領域情報の初期化処理を行う(S104)。
【0119】
1人モードでの描画領域情報の初期化処理では(図14のS121にてYES)、S124に示されるような代入が行われることによって第1描画領域20(図3参照)が設定される。
【0120】
描画領域情報の初期化処理の後、図13に示すS105に移行し、タッチパネル装置13は、前回において遮光物1および遮光物2のうちの少なくともいずれかが検出されたか否かを判定し、未だ検出されていない場合、S105にてYESを選択してS118にてNOを選択し、全体スキャンを行うようになっている(S106)。
【0121】
ここで、全体スキャンのフローを図17に示す。全体スキャンでは、まず、XおよびYの各々に0が代入され(S170)、X番目のX軸受光素子137の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S172〜S174)。なお、図面に記載されている水平発光素子とはX軸発光素子135を指し、水平受光素子とはX軸受光素子137を指す。
【0122】
そして、タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S174にてNO)、Xの値に1をインクリメントし(S181)、Xの値がX軸受光素子137の数未満である間はS172〜S174,S181を繰り返す(S171にてYES)。そして、タッチパネル装置13は、Xの値がX軸受光素子137の数以上になれば(S171にてNO)、全体スキャンを終了して図13のS107に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S174にてYES)、Xの値をOZaX1に代入する(S175)。
【0123】
S175の後、タッチパネル装置13は、Y番目のY軸受光素子138の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S177〜S179)。なお、図面に記載されている垂直発光素子とはY軸発光素子136を指し、垂直受光素子とはY軸受光素子138を指す。
【0124】
タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S179にてNO)、Yの値に1をインクリメントし(S182)、Yの値がY軸受光素子138の数未満である間はS177〜S179,S182を繰り返す(S176にてYES)。そして、タッチパネル装置13は、Yの値がY軸受光素子138の数以上になれば(S176にてNO)、全体スキャンを終了して図13のS107に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S179にてYES)、Yの値をOZaY1に代入し、且つ、OZaF1に1を代入し、図13のS107に移行する。
【0125】
図13のS107において、タッチパネル装置13は、遮光物1の検出の有無を判定する。そして、遮光物1が検出されるまで全体スキャンが繰り返されるようになっている(S107にてNO)。
【0126】
そして、遮光物1が検出された後(S107にてYES)、S111に移行する。但し、1人モードであることから、S111において図16のS151にてNOが選択され、1人モードでは遮光物2の検出が実質的にありえないことから、図13のS112にてNOが選択されてS113に移行し、S113において図21のS262にてYESが選択され、図13のS115に移行する。S115において、タッチパネル装置13は、検出座標値情報におけるX座標値およびY座標値を補正し、補正後の検出座標値情報をPC11に送信する。なお、当該補正は下記の式を用いて実行される。
補正後のX座標値=補正前のX座標値×(表示装置の解像度/X軸発光素子135の数)
補正後のY座標値=補正前のY座標値×(表示装置の解像度/Y軸発光素子136の数)
S115の後、描画モードの変更がなければS117に移行するが(S116にてNO)、S117において図15のS131にてNOが選択され、図13のS105以降の処理が繰り返されることになる。また、S105以降の処理を繰り返す場合であって、既に遮光物1が検出されている場合、S105においてNOが選択され、S108においてYESが選択され、第1局所スキャンが実行されることになる(S109)。
【0127】
ここで、第1局所スキャンとは遮光物1を対象とした局所スキャンである。この第1局所スキャンのフローを図18に示す。第1局所スキャンでは、まず、S191に示される代入処理が行われる。なお、S191の周辺スキャン数とは、局所範囲300と同一の縦ライン(または横ライン)上にて位置するX軸発光素子(またはY軸発光素子)の数を意味する。
【0128】
そして、S191の後、タッチパネル装置13は、X番目のX軸受光素子137の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S193〜S195)。
【0129】
タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S195にてNO)、ctの値に1をインクリメントし(S203)、ctの数が周辺スキャン数未満の間はS193〜S195,S203を繰り返す(S192にてYES)。そして、タッチパネル装置13は、ctの数が周辺スキャン数以上になれば(S192にてNO)、第1局所スキャンを終了して図13のS111に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S195にてYES)、Xの値をOZaX1に代入し(S196)、S197に移行する。
【0130】
S197において、タッチパネル装置13はctの値を0にリセットし、Y番目のY軸受光素子138の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S199〜S201)。タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S201にてNO)、ctの値に1をインクリメントし(S204)、ctの数が周辺スキャン数未満の間はS199〜S201,S204を繰り返す(S198にてYES)。
【0131】
そして、タッチパネル装置13は、ctの数が周辺スキャン数以上になれば(S198にてNO)、第1局所スキャンを終了して図13のS111に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S201にてYES)、Yの値をOZaY1に代入し、且つ、OZaF1に1を代入し、図13のS111に移行する。そして、S111に移行した後、S115に移行して検出座標値情報をPC11に送信し、S105以降の処理を繰り返すようになっている。
【0132】
なお、以上では、1人モードが初期設定されている場合を説明したが、図3に示す1人モードボタン100が選択された場合も1人モードが実行される。但し、この場合、図9のS4においてYESが選択され、S8を経由してから、描画領域情報の初期化処理が行われることになる(S11)。
【0133】
(2人固定モードのフロー)
つぎに2人固定モードについて説明する。まず、図9〜図12に基づいて2人固定モードにおけるPC11の側の処理を説明し、その後に図13〜図21に基づいて2人固定モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0134】
電子黒板システム10の電源がオンにされた後、図3に示す2人固定モードボタン101が選択されると(図9のS5にてYES)、記憶部114に記憶されている描画モード情報(IDispMode)に1が代入され(S9)、記憶部114に記憶されている描画領域情報の初期化処理が行われる(S11)。
【0135】
ここでの初期化処理では、図10のS32にてYESが選択され、S37に示される代入が行われることにより、図4に示される第1描画領域20aおよび第2描画領域20bが設定される。さらに、第1描画領域20aの背景色として薄紫色が指定され、第2描画領域20bの背景色として薄赤色が指定され(S34)、タッチパネル装置13に対して、2人固定モードを示す描画モード情報が通知される(S35)。
【0136】
S11の初期化処理の後、PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータ(検出座標値情報)を待機する(図9のS7)。PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータを受信すると(S7にてYES)、受信したデータを、記憶部114に記憶されている入力座標値情報に代入する(S12)。また、前回に受信したデータがあれば、そのデータを、前回の入力座標値情報に代入する。
【0137】
そして、PC11は、入力座標値情報が遮光物1の検出を示している場合(S13にてYES)、遮光物1が第1描画領域20aに位置していることを確認し(S14にてYES)、表示装置14を制御して遮光物1に基づく描画処理を行う(S15)。S15の後、2人固定モードであることから、S17において図12のS61にてNOが選択され、図9のS19に移行する。また、図9のS13においてのNO場合も(入力座標値情報が遮光物1の検出を示していない場合)、S17において図12のS61にてNOが選択され、S19に移行する。
【0138】
そして、S19において、PC11は、入力座標値情報が遮光物2の検出を示していると判定した場合(S19にてYES)、遮光物2が第2描画領域20bに位置していることを確認し(S20にてYES)、表示装置14を制御して遮光物2に基づく描画処理を行う(S21)。S21の後、2人固定モードであることから、S18において図11のS41のNOが選択され、図9のS4以降の処理が繰り返される。また、S19においてのNO場合も(入力座標値情報が遮光物2の検出を示していない場合)、S18において図11のS41のNOが選択され、図9のS4以降の処理が繰り返される。
【0139】
つぎに、図13〜図21に基づいて2人固定モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0140】
図13に示すように、タッチパネル装置13は、2人固定モードを示す描画モード情報をPC11から受信すると(S101にてYES)、記憶部139に記憶されている描画モード情報(ODispMode)の値を、2人固定モードを示す値に設定する(S102)。さらに、タッチパネル装置13は、記憶部139に記憶されている検出座標値情報を初期化し(S103)、記憶部139に記憶されている描画領域情報の初期化処理を行う(S104)。
【0141】
2人固定モードでの描画領域情報の初期化処理では(図14のS122にてYES)、S125に示されるような代入が行われることによって、図4に示す第1描画領域20aおよび第2描画領域20bが設定される。
【0142】
描画領域情報の初期化処理の後、図13のS105に移行し、タッチパネル装置13は、前回において遮光物1および遮光物2のうちの少なくともいずれかが検出されたか否かを判定し、未だ検出されていない場合、S105にてYESが選択されS118にてYESが選択され、さらにS108にてNOが選択され、第1描画領域スキャンを行うようになっている(S110)。第1描画領域スキャンとは、第1描画領域20aを処理対象とした描画領域スキャンを意味する。
【0143】
第1描画領域スキャンのフローを図20に示す。第1描画領域スキャンでは、まず、S231に示される代入処理が行われる。そして、S231の後、タッチパネル装置13は、第1描画領域20aのサイズが設定されていることを確認し(S232にてNO)、ctが第1描画領域20aのX軸方向のサイズよりも小さいことを確認してから(S233にてYES)、X番目のX軸受光素子137の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S234〜S236)。
【0144】
タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S236にてNO)、ctの値に1をインクリメントし(S244)、ctの数が第1描画領域20aのX軸方向のサイズ未満の間はS234〜S236,S244を繰り返す(S233にてYES)。そして、タッチパネル装置13は、ctの数が第1描画領域20aのX軸方向のサイズ以上になれば(S233にてNO)、第1描画領域スキャンを終了して図13のS111に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S236にてYES)、Xの値をOZaX1に代入し(S237)、S238に移行する。
【0145】
S238において、タッチパネル装置13はctの値を0にリセットする。その後、タッチパネル装置13は、ctが第1描画領域20aのY軸方向のサイズよりも小さいことを確認してから(S239にてYES)、Y番目のY軸受光素子138の受光量に基づいて遮光物の有無を判定する(S240〜S242)。タッチパネル装置13は、遮光物無と判定した場合(S242にてNO)、ctの値に1をインクリメントし(S255)、ctの数が第1描画領域20aのY軸方向のサイズ未満の間はS240〜S242,S255を繰り返す(S239にてYES)。
【0146】
そして、タッチパネル装置13は、ctの数が第1描画領域20aのY軸方向のサイズ以上になれば(S239にてNO)、第1描画処理スキャンを終了して図13のS111に移行する。これに対し、タッチパネル装置13は、遮光物有と判定した場合(S242にてYES)、Yの値をOZaY1に代入し、且つ、OZaF1に1を代入し、図13のS111に移行する。
【0147】
そして、S111に移行すると、2人固定モードであることから図16のS151にてNOが選択され、図13のS112に移行する。
【0148】
S112において、タッチパネル装置13は、前回に遮光物2が検出されているか否かを判定する。前回に遮光物2が検出されている場合、遮光物2を対象とした第2局所スキャンを行うようになっている(S114)。第2局所スキャンのフローを図19に示す。第2局所スキャンは、処理対象が遮光物1ではなく遮光物2という点のみ第1局所スキャンと異なるが、処理内容自体は第1局所スキャンと同一である。それゆえ、ここでは第2局所スキャンの説明を省略する。
【0149】
また、S112において前回に遮光物2が検出されていないと判定される場合、タッチパネル装置13は、第2描画領域スキャンを実行する(S113)。第2描画領域スキャンのフローを図21に示す。第2描画領域スキャンは、処理対象が第1描画領域20aではなく第2描画領域20bという点と、S262に相当する処理も行うという点とで第1描画領域スキャンと異なるが、処理内容自体は第1描画領域スキャンと同様である。それゆえ、ここでは第2描画領域スキャンの説明を省略する。
【0150】
タッチパネル装置13は、図13におけるS113の第2描画領域スキャンの実行後、S115に移行して検出座標値情報をPC11に送信する。S115の後、描画モードの変更がなければS117に移行するが(S116にてNO)、S117において図15のS131にてNOが選択され、図13のS105以降の処理が繰り返されることになる。また、S105以降の処理を繰り返す場合であって、既に遮光物1が検出されている場合、S105においてNOが選択され、S108においてYESが選択されるため、第1局所スキャンが実行されることになる(S109)。これに対し、S105以降の処理が繰り返される場合であって、遮光物2が検出されたものの遮光物1が未だ検出されていない場合、S105においてNOが選択され、S108においてNOが選択されるため、第1描画領域スキャンが実行されることになる(S110)。
【0151】
(2人可変モードのフロー)
つぎに2人可変モードについて説明する。まず、図9〜図12に基づいて2人可変モードにおけるPC11の側の処理を説明し、その後に図13〜図21に基づいて2人可変モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0152】
電子黒板システム10の電源がオンにされた後、図3に示す2人可変モードボタン102が選択されると(図9のS6にてYES)、記憶部114に記憶されている描画モード情報(IDispMode)に2が代入され(S10)、記憶部114に記憶されている描画領域情報の初期化処理が行われる(S11)。
【0153】
ここでの初期化処理では、図10のS33にてYESが選択され、図10のS38に示される代入が行われることにより、図5(a)に示される第1描画領域20cが設定される。さらに、第1描画領域20cの背景色として薄紫色が指定され(S34)、タッチパネル装置13に対して、2人可変モードを示す描画モード情報が通知される(S35)。
【0154】
図9のS11の初期化処理の後、PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータ(検出座標値情報)を待機する(S7)。PC11は、タッチパネル装置13から送られてくるデータを受信すると(S7にてYES)、受信したデータを、記憶部114に記憶されている入力座標値情報に代入する(S12)。また、前回に受信したデータがあれば、そのデータを、前回の入力座標値情報に代入する。
【0155】
そして、PC11は、入力座標値情報が遮光物1の検出を示している場合(S13にてYES)、遮光物1が第1描画領域20cに位置していることを確認し(S14にてYES)、表示装置14を制御して遮光物1に基づく描画処理を行う(S15)。S15の後、図12に示す第2更新処理が行われることになる(S17)。また、S13において入力座標値情報が遮光物1の検出を示していない場合も(S13にてNO)、図12に示す第2更新処理が行われることになる(S17)。
【0156】
以下、図12の第2更新処理について説明する。第2更新処理とは、第2描画領域20dの設定または更新処理を意味する。
【0157】
まず、今回受信した入力座標値情報にて遮光物1が検出されている場合(S62にてNO)、遮光物1の位置に応じて第2描画領域20dの位置が定められることになる(S63)。具体的には、遮光物1が右下に位置する場合、図6(a)のように第2描画領域20dは左上に設定される(S64にてNO、S66にてYES、S67)。遮光物1が右上に位置する場合、図6(b)のように第2描画領域20dは左下に設定される(S64にてNO、S66にてNO、S68)。遮光物1が左下に位置する場合、図6(c)のように第2描画領域20dは右上に設定される(S64にてYES、S66にてYES、S69)。遮光物1が左上に位置する場合、図5(b)のように第2描画領域20dは右下に設定される(S64にてYES、S65にてNO、S70)。
【0158】
そして、第1描画領域20cのみの範囲の背景色として薄紫色が設定されて、第1描画領域20cと第2描画領域20dとの重複範囲の背景色として薄緑色が設定されて(S71)、図9のS19に移行する。
【0159】
また、図12において、今回受信した入力座標値情報にて遮光物1が検出されず、且つ、前回の入力座標値情報にて遮光物2が検出されていない場合(S62にてYES,S72にてYES)、S73に示される代入処理が行われて、その結果、第2描画領域20dは設定されずに図9のS19に移行する。これに対し、図12において、今回受信した入力座標値情報にて遮光物1が検出されていないが、前回の入力座標値情報にて遮光物2が検出されている場合(S62にてYES,S72にてNO)、S74に示される代入処理が行われて、図9のS19に移行する。
【0160】
図9のS19において、PC11は、今回受信した入力座標値情報が遮光物2の検出を示していると判定した場合(S19にてYES)、遮光物2が第2描画領域20dに位置していることを確認し(S20にてYES)、表示装置14を制御して遮光物2に基づく描画処理を行う(S21)。S21の後、図11に示す第1更新処理が行われることになる(S18)。また、S19において入力座標値情報が遮光物2の検出を示していない場合も(S19にてNO)、図11に示す第1更新処理が行われることになる(S18)。
【0161】
以下、図11の第1更新処理について説明する。第1更新処理とは、第1描画領域20cの設定または更新処理を意味する。
【0162】
まず、今回の入力座標値情報にて遮光物2が検出されている場合(S42にてNO)、遮光物2の位置に応じて第1描画領域20cの範囲が調整されることになる(S43)。具体的には、遮光物2が右下に位置する場合、第1描画領域20cは左上に設定される(S44にてNO、S46にてYES、S47)。遮光物2が右上に位置する場合、第1描画領域20cは左下に設定される(S44にてNO、S46にてNO、S48)。遮光物2が左下に位置する場合、第1描画領域20cは右上に設定される(S44にてYES、S45にてYES、S49)。遮光物2が左上に位置する場合、第1描画領域20cは右下に設定される(S44にてYES、S45にてNO、S50)。
【0163】
そして、第1描画領域20cのみの範囲の背景色として薄紫色が設定され、第2描画領域20dのみの範囲の背景色として薄赤色が設定され、第1描画領域20cと第2描画領域20dとの重複範囲の背景色として薄緑色が設定され(S51)、その後、図9のS4以降の処理が繰り返される。
【0164】
また、図11において、今回受信した入力座標値情報にて遮光物2が検出されていない場合(S42にてYES)、S52に示される代入処理が行われて、その後、図9のS4以降の処理が繰り返される。
【0165】
つぎに、図13〜図21に基づいて2人可変モードにおけるタッチパネル装置13の側の処理を説明する。
【0166】
タッチパネル装置13は、図13に示すように、2人可変モードを示す描画モード情報をPC11から受信すると(S101にてYES)、記憶部139に記憶されている描画モード情報(ODispMode)の値を、2人可変モードを示す値に設定する(S102)。さらに、タッチパネル装置13は、記憶部139に記憶されている検出座標値情報を初期化し(S103)、記憶部139に記憶されている描画領域情報の初期化処理を行う(S104)。
【0167】
2人可変モードでの描画領域情報の初期化処理では(図14のS123にてYES)、S126に示されるような代入が行われることによって、図5(a)に示される第1描画領域20cが設定される。
【0168】
描画領域情報の初期化処理の後、図13のS105に移行し、タッチパネル装置13は、前回において遮光物1および遮光物2のうちの少なくともいずれかが検出されたか否かを判定し、未だ検出されていない場合、S105にてYESを選択してS118にてNOを選択し、全体スキャンを行うようになっている(S106)。なお、ここでの全体スキャンの処理内容は1人モードの全体スキャンと処理内容と同様であるため、その説明を省略する。
【0169】
S106の全体スキャンが行われて、遮光物1が検出されると(S107にてYES)、S111に移行する。そして、S111では第2更新処理が行われることになる。S111の第2更新処理のフローを図16に示す。図16の第2更新処理は、第2描画領域20dの設定または更新処理を意味し、図12のS71と同じ処理を行わない点で図12の第1更新処理と異なるが、その他の点については図12の第2更新処理と同様の処理内容である。それゆえ、ここでは図16の第2更新処理の説明を省略する。
【0170】
図13に示すS111の第2更新処理の後、タッチパネル装置13は、前回に遮光物2が検出されているか否かを判定する(S112)。前回に遮光物2が検出されている場合、タッチパネル装置13は、遮光物2を対象とした第2局所スキャンを行うようになっている(S114)。
【0171】
また、タッチパネル装置13は、S112において前回に遮光物2が検出されていないと判定した場合(S112にてNO)、第2描画領域スキャンを実行する(S113)。S113またはS114の後、タッチパネル装置13は、S115に移行して検出座標値情報をPC11に送信する。S115の後、描画モードの変更がなければS117に移行する(S116にてNO)。そして、S117では第1更新処理が行われることになる。S117の第1更新処理のフローを図15に示す。図15の第1更新処理は、第1描画領域20cの設定または更新処理を意味し、図11のS51と同じ処理を行わない点で図11の第1更新処理と異なるが、その他の点については図11の第1更新処理と同様の処理内容である。それゆえ、ここでは図15の第1更新処理の説明を省略する。
【0172】
図13のS117の第1更新処理が終了すると、図13のS105以降の処理が繰り返されることになる。また、S105以降の処理を繰り返す場合であって、既に遮光物1が検出されている場合、S105においてNOが選択され、S108においてYESが選択されるため、第1局所スキャンが実行されることになる(S109)。これに対し、S105以降の処理が繰り返される場合であって、遮光物1および遮光物2が既に検出されている場合、S109において第1局所スキャンが実行された後、S111を経由し、S112においてYESが選択され、第2局所スキャンが実行されることになる(S114)。
【0173】
最後に、上述した電子黒板システム10の制御部113および中央演算部132は、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0174】
すなわち、制御部113および中央演算部132は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本実施形態の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記表示システムに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0175】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0176】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、光学式のタッチパネルを表示装置に取り付けてなる表示システムに利用することができ、特に電子黒板システムに好適である。
【符号の説明】
【0178】
10 電子黒板システム
12 表示装置
13 タッチパネル装置
14 表示装置
20 第1描画領域
20a 第1描画領域(入力許可範囲)
20b 第2描画領域(入力許可範囲)
20c 第1描画領域(入力許可範囲)
20d 第2描画領域(入力許可範囲)
113 制御部(表示制御部)
132 中央演算部(位置情報検出部)
135 X軸発光素子(発光素子)
136 Y軸発光素子(発光素子)
137 X軸受光素子(受光素子)
138 Y軸受光素子(受光素子)
140 表示画面
300 局所範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置の表示画面の横方向の一方側において前記表示画面の縦方向に並んでいる複数の発光素子と、前記表示画面の横方向の他方側において前記縦方向に並んでいる複数の受光素子と、前記表示画面の縦方向の一方側において前記横方向に並んでいる複数の発光素子と、前記表示画面の縦方向の他方側において前記横方向に並んでいる複数の受光素子とを有する光学式のタッチパネル装置と、
前記縦方向に並んでいる複数の受光素子および前記横方向に並んでいる複数の受光素子の各々の受光量に基づいて、前記表示画面に接触する遮光物の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部とを備えた表示システムであって、
前記表示画面の全域のうち、ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲を、別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないような範囲に制限する事を示す表示を前記表示装置に行わせる表示制御部とを備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲と別の遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲とが前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、前記の各入力許可範囲を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、
ある遮光物による位置情報の入力を許可する入力許可範囲が別の遮光物の位置と前記縦方向にて重複せず且つ前記横方向にて重複しないように、遮光物毎の各入力許可範囲を前記表示装置に表示させ、
ある遮光物の位置が変位した場合、変位した遮光物を変位遮光物とすると、変位遮光物の位置と変位遮光物以外の遮光物に対応する入力許可範囲とが縦方向にて重複せず且つ横方向にて重複しないように、変位遮光物の以外の遮光物の入力許可範囲を調整するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、各遮光物についての前記入力許可範囲を遮光物毎に異なる表示形態で前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項2または3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、各遮光物についての前記入力許可範囲を遮光物毎に異なる色で前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、第1遮光物による入力許可範囲の一部と第2遮光物による入力許可範囲の一部とが重複する重複範囲がある場合、第1遮光物による入力許可範囲のうちの前記重複範囲以外の範囲と、第2遮光物による入力許可範囲のうちの前記重複範囲以外の範囲と、前記重複範囲とを互いに異なる色で前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示システム。
【請求項7】
前記位置情報検出部は、第3遮光物の位置情報を検出した後に次に第3遮光物の位置情報を検出する場合、第3遮光物について設定されている前記入力許可範囲の一部であって検出された位置情報に示される位置を含む一部範囲を設定し、全ての受光素子のうち、前記一部範囲と前記縦方向および横方向のいずれかにて重複する受光素子の受光量に基づいて、前記第3遮光物の位置情報を検出するようになっていることを特徴とする請求項2または3に記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−11997(P2013−11997A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143559(P2011−143559)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】