説明

表示システム

【課題】 フラットパネルディスプレイの表現力を活かし、また、車体情報の正確な伝達を行うことが可能な表示システムを提供する。
【解決手段】 車体情報を含む画像を表示可能な表示装置1と、表示装置1と近距離無線通信4可能な小型情報取得端末2と、小型情報取得端末2と通信可能な外部記憶媒体3と、から構成される表示システムであって、外部記憶媒体3から取得したデータを小型情報取得端末2を介して送信することによって表示装置1の表示デザインをカスタマイズするカスタマイズ機能および/あるいは、車体側から表示装置1を介して取得した前記車体情報に基づいて小型情報取得端末2に運転支援動作を行わせる運転支援機能を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デザインを変更可能な表示装置を備える表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフラットパネルディスプレイを用いた表示装置が知られている。例えば、特許文献1に開示されるものがある。この表示装置は車体情報を表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−254539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示装置では、フラットパネルディスプレイの表現力を活かしきれていないといった問題点があった。また、表示装置における表示の種類が多岐にわたりかつ簡略化されているため、車体情報の認識が困難な場合があるといった問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、フラットパネルディスプレイの表現力を活かし、また、車体情報の正確な伝達を行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するために、車体情報を含む画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置と近距離無線通信可能な小型情報取得端末と、前記小型情報取得端末と通信可能な外部記憶媒体と、から構成される表示システムであって、前記外部記憶媒体から取得したデータを前記小型情報取得端末を介して送信することによって前記表示装置の表示デザインをカスタマイズするカスタマイズ機能および/あるいは、車体側から前記表示装置を介して取得した前記車体情報に基づいて前記小型情報取得端末に運転支援動作を行わせる運転支援機能を有することを特徴とする。
【0007】
前記小型情報取得端末は、タッチパネルを備え複数のアプリケーションを実行可能であることを特徴とする。
【0008】
前記外部記憶媒体は、外部通信ネットワークからなることを特徴とする。
【0009】
前記小型情報取得端末は、前記データとして前記表示デザインのテンプレートを取得し、前記タッチパネルのジェスチャー機能を用いて、前記テンプレートに含まれる表示項目の拡大、縮小、取捨選択を行うことを特徴とする。
【0010】
前記小型情報取得端末は、前記運転支援動作として音声案内を行うことを特徴とする。
【0011】
前記小型情報取得端末に個人設定データを保存し、前記小型情報取得端末を介して前記個人設定データを前記表示装置に送信する個人設定機能を有することを特徴とする。
【0012】
前記小型情報取得端末は、車室内のサンバイザー、インパネ周辺、あるいはハンドル側方に設置されることを特徴とする。
【0013】
前記車室内に前記小型情報取得端末を固定する固定器具を備えることを特徴とする。
【0014】
前記車室内に前記小型情報取得端末に電力を供給する非接触式充電器を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フラットパネルディスプレイの表現力を活かし、また、車体情報の正確な伝達を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態である表示システムの構成を示す図。
【図2】同上表示システムのデザインカスタマイズ機能の実行例を示す図。
【図3】同上表示システムの表示例を示す図。
【図4】同上表示システムの運転アシスト機能の実行例を示す図。
【図5】同上表示システムの運転アシスト機能の実行例を示す図。
【図6】同上表示システムの運転アシスト機能の実行例を示す図。
【図7】同上表示システムの個人設定機能の実行例を示す図。
【図8】同上表示システムのスマートフォンの設置位置の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示す表示システムは、表示装置1と、スマートフォン(小型情報取得端末)2と、外部通信ネットワーク(外部記憶媒体)3と、近距離無線通信4と、を備える。
【0018】
表示装置1は、TFTによって駆動されるアクティブマトリクス方式の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイであり、車速やエンジン回転数、水温、油温、排気温度、残燃料などの車体情報を含む画像(メータ画像)を表示可能であり、スマートフォン2と近距離無線通信4によって通信できるものである。
【0019】
スマートフォン2は、ジェスチャー操作が可能なタッチパネルを備え、また、複数のアプリケーション(以下、アプリともいう)を実行可能な高機能携帯電話であり、外部通信ネットワーク3に接続するとともに、近距離無線通信4を用いて表示装置1と通信することができる。
【0020】
外部通信ネットワーク3は、アプリや道路情報などの共同情報にアクセスし、スマートフォンに出力できる、3GまたはWi-Fiのような外部通信回線である。
【0021】
近距離無線通信4は、所定距離範囲内の表示装置1とスマートフォン2との相互通信を可能とするBluetoothのような通信技術である。
【0022】
以上の構成から成る表示システムは、デザインカスタマイズ機能と、運転アシスト(運転支援)機能と、を有する。以下で、それぞれの機能の詳細を述べる。
【0023】
デザインカスタマイズ機能は、外部通信ネットワーク3を使用しスマートフォン2にカスタマイズ用アプリをダウンロードして実行する。カスタマイズ用アプリは、車速やエンジン回転数、水温、油温、排気温度、残燃料などの車体情報の表示項目が多い一覧メータ、車速や残燃料など必須の項目のみ表示する簡易メータ、停車回数や瞬間燃費などのエコ運転の指標となる車体情報の表示を中心とするエコメータ、エンジン回転数やシフトアップインジケータなど運転操作に関わる車体情報を大きく表示するスポーツメータ、文字板デザインの異なるバリエーション、いわゆる旧車のメータデザインからなる復刻版車載メータ等のような様々なデザインテンプレートをスマートフォン2に保存し、さらに、スマートフォン2上でデザインテンプレートの表示項目の色・大きさ・取捨選択などを任意にカスタマイズできるものである。このとき、図2に示すように、表示項目の拡大・縮小や取捨選択・レイアウト変更などは、タッチパネルによるジェスチャー操作で行うことができる。図2に示す例では、表示項目として燃料計を示すアナログメータ画像と水温計を示すアナログデータ画像と速度計を示すアナログデータ画像と速度計を示すデジタルデータ画像とを含むデザインテンプレートがスマートフォン2に保存、表示されており、ユーザはこれら各画像の拡大・縮小や表示の削除あるいは新たな画像の追加などをタッチパネルによるジェスチャー操作によって行う。スマートフォン2は、車両のイグニッションオン時、すなわち起動後の表示装置1と初期通信を行い、近距離無線通信4を用いて自動的に保存情報を表示装置1に送信し、表示デザインをカスタマイズさせる。また、イグニッションオン後にジェスチャー操作によるテンプレートの変更が行われた場合は、所定操作によってスマートフォン2から近距離無線通信4を用いて表示装置1に変更データを送信し、変更データに基づいて表示デザインをカスタマイズさせる。デザインカスタマイズ機能によれば、スマートフォン2を用いた簡素な方法で表示装置1の表現力を十分に活かすことができる。
【0024】
また、デザインテンプレートによる表示デザインの一例として、スマートフォン2に搭載されるスケジュールアプリと連動し、スケジュールアプリで保存、管理されるスケジュールの日時及び場所に応じた表示項目を表示装置1に表示させてもよい。図3は、その表示の一例を示しており、例えば、車体側から表示装置1を介して取得される位置情報や速度とスマートフォン2のスケジュールアプリに保存されるスケジュール(本例では特定の日時、場所における待ち合わせ予定)とに基づいて「待ち合わせまで○分です。間に合いそうです!!」との文字表示を行う。
【0025】
運転アシスト機能は、車体側の各種センサーから取得される情報や車載カメラからの画像データ等の車体情報を表示装置1で処理し、近距離無線通信4を介してスマートフォン2に送信し、これらの車体側データに基づいてスマートフォン2によって運転支援に関する音声案内を行う機能である。図4は、運転アシスト機能の一例を示している。本例においてはスマートフォン2は表示装置1から車体情報として車速を受信し、車速が一定値以上となった場合に表示装置1の「スピードが出すぎています」との文字による警告表示に連動して、「スピードが出すぎています」との音声案内と警告マークの表示を行う。図5は、運転アシスト機能の一例を示している。本例においては、スマートフォン2は表示装置1から車体情報としてギアポジションとハンドル角及び後方画像を取得し、車両の後進予定軌跡と後方画像に写る駐車スペースとのマッチング結果に基づいて表示装置1の「バック中、ハンドルを右に回して下さい」との文字による警告表示に連動して、「バック中、ハンドルを右に回して下さい」との音声案内と警告マークの表示を行う。図6は、運転アシスト機能の一例を示している。本例においては、スマートフォン2は表示装置1から車体情報として前方画像を取得し、前方画像に写る制限速度標識の読み取り結果に基づいて表示装置1の「ただ今の制限速度は80km/hです」との文字による警告表示に連動して、「ただ今の制限速度は80km/hです」との音声案内と警告マークの表示を行う。運転アシスト機能によれば、スマートフォン2を音声案内に利用することで、表示装置1の仕様に関わらず、車体情報に関する正確な情報の伝達が可能となる。なお、本実施形態では、表示装置1で文字による警告表示を行うものであったが、特に警告を簡略化された記号のみで行う場合はより有効な機能となる。この場合はスマートフォン2に音声案内に加えて文字による警告表示を行わせてもよい。
【0026】
また、スマートフォン2に個人設定データを記憶し、その固体識別番号を用いて個人設定データを表示装置1に認識・記憶することで、個人別に表示装置1及びスマートフォン2の各機能をカスタマイズする個人設定機能を備えてもよい。個人設定データを例示すると、表示装置1への個人情報や、スケジュールアプリとの連動の設定、運転アシスト機能の設定や一部制限などがあげられる。かかる個人設定データの表示装置1への送信及び表示装置1での認識・記憶は、車両のイグニッションオン時の初期通信で行い、さらに、図7に示すように、表示装置1による「○○さん、おはようございます。今日の更新データは○○です」との文字による設定変更の通知、及び、スマートフォン2による「○○さん、おはようございます。今日の更新データは○○です」との設定変更の音声案内を行う。
【0027】
本表示システムにおける、スマートフォン2の車室内の適正な配置位置としては、図8に示すように、サンバイザーの裏面A、インパネ周辺B、ハンドル側方のエアコン吹き出し口前方Cを想定する。サンバイザーの裏面Aに配置する場合は、スマートフォン2を音声案内のみに用いる場合が想定される。インパネ周辺Bに配置する場合は、スマートフォン2をナビゲーションシステムとしても用いる場合が想定される。ハンドル側方のエアコン吹き出し口前方Cに配置する場合はエアコンの送風によってスマートフォン2を冷却することができる。配置位置にはスマートフォン2を固定する固定ホルダー(固定器具)2aを設ける。さらに、サンバイザーの裏面Aに配置する場合は配置位置に応じてさらにスマートフォン2に電力を供給する非接触式充電器(図示しない)を設け、インパネ周辺Bに配置する場合はさらに接触式充電・冷却器(図示しない)を設け、ハンドル側方のエアコン吹き出し口前方Cに配置する場合はさらに接触式充電器(図示しない)を設けてもよい。
【0028】
以上のように、本発明の実施形態を説明したが、本発明における小型情報取得端末はスマートフォン2以外の端末についても適用可能である。小型情報取得端末の例としては、携帯電話に近似のタブレット型デバイスやポータブルインターネットデバイス、PDA(Personal Digital Assistant)などが上げられる。また、外部記憶媒体の例として外部通信ネットワーク3を上げたが、外部記憶媒体としてはデータが記憶される、あるいはデータを取得可能な媒体であればよく、状況によっては所定の記憶機器や他の小型情報取得端末が外部記憶媒体に該当する場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、表示デザインを変更可能な表示装置を備える表示システムに好適である。
【符号の説明】
【0030】
1 表示装置
2 スマートフォン(小型情報取得端末)
3 外部通信ネットワーク(外部記憶媒体)
4 近距離無線通信


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体情報を含む画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置と近距離無線通信可能な小型情報取得端末と、前記小型情報取得端末と通信可能な外部記憶媒体と、から構成される表示システムであって、前記外部記憶媒体から取得したデータを前記小型情報取得端末を介して送信することによって前記表示装置の表示デザインをカスタマイズするカスタマイズ機能および/あるいは、車体側から前記表示装置を介して取得した前記車体情報に基づいて前記小型情報取得端末に運転支援動作を行わせる運転支援機能を有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記小型情報取得端末は、タッチパネルを備え複数のアプリケーションを実行可能であることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記外部記憶媒体は、外部通信ネットワークからなることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記小型情報取得端末は、前記データとして前記表示デザインのテンプレートを取得し、前記タッチパネルのジェスチャー機能を用いて、前記テンプレートに含まれる表示項目の拡大、縮小、取捨選択を行うことを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項5】
前記小型情報取得端末は、前記運転支援動作として音声案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記小型情報取得端末に個人設定データを保存し、前記小型情報取得端末を介して前記個人設定データを前記表示装置に送信する個人設定機能を有することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記小型情報取得端末は、車室内のサンバイザー、インパネ周辺、あるいはハンドル側方に設置されることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項8】
前記車室内に前記小型情報取得端末を固定する固定器具を備えることを特徴とする請求項7に記載の表示システム。
【請求項9】
前記車室内に前記小型情報取得端末に電力を供給する非接触式充電器を備えてなることを特徴とする請求項7に記載の表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23081(P2013−23081A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159827(P2011−159827)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】