説明

表示パネルの検査装置、検査方法及びこれを用いた表示パネルの製造方法

【課題】表示パネルの検査において、表示パネルの表面に付着した異物と滅点とを区別して検出すること。
【解決手段】液晶表示パネル100の表面を異なる2つの視角からカメラ11を用いて撮像する。視角の切り替えは、反射鏡1a〜2bを備えた光学系18の遮光板3a、3bを用いて行う。得られた画素画像から、輝度が低下した欠陥部位を検出し、この欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる視角で撮像した画素画像間で一致するか否か比較する。欠陥部位が表面に付着した異物の場合には、視角によって背景に写り込む画素の色配列が変わるため、滅点と異物とを区別することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ等の表示パネルの光学的検査に用いられる検査装置、検査方法及びこれを用いた表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル(Liquid Color Display: LCD)等の表示パネルは、テレビ、パーソナルコンピュータ及び携帯電話などの電子機器に広く使用されている。
【0003】
図1に液晶表示パネルの一例を示す。液晶表示パネル100は2枚の透明基板101、104を有し、これらの透明基板101、104の間に液晶層102及びカラーフィルタ層103が配置されている。透明基板101及びカラーフィルタ層103の液晶層102側の面には、それぞれ透明電極が設けられている。カラーフィルタ層103には、赤色の光を透過させる着色層103Rと、緑色の光を透過させる着色層103Gと、青色の光を透過させる着色層103Bとが一定の順番で配列している。また、透明基板104の表面(図1で上側の面)には透明な光学フィルム105等が貼着される。さらに、液晶表示パネル100には透明基板101の裏面側(図1では下側)にバックライト(図示せず)が設けられており、画素毎にバックライトからの透過光量を制御して画像の表示を行う。
【0004】
ところで、液晶表示パネル100では、製造時に発生する何らかの不具合により特定の画素の表示が暗いままとなる滅点98が存在する場合がある。また、透明基板104の表面又は光学フィルム105に付着した異物99によって、液晶表示パネル100の表示面に黒い点が発生する場合がある。このような滅点や異物による表示不良は、有機EL表示パネルやプラズマ表示パネル等でも発生することがある。
【0005】
このため、表示パネルの製造工程では、目視又は検査装置によって滅点や異物の付着の有無及び滅点や異物の付着がある場合はその数が規定値以下であるか否かを検査する必要がある。
【0006】
従来の検査装置は、表示パネルに所定のテストパターンを表示させた状態で画素の輝度を光学的に検出する手法等で欠陥を検出していた。
【特許文献1】特開平11−132720号公報
【特許文献2】特開平10−111237号公報
【特許文献3】特開平11−64237号公報
【特許文献4】特開平05−172759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年、表示パネルの高精細化にともなって画素が微小化しているため、目視による検査で滅点を検出するのが困難になりつつある。また、従来の検査装置では、表示パネルに光学フィルム等が貼り着けられた状態で表示パネル表面に付着した異物と表示パネルの滅点とを区別できなかった。
【0008】
そこで、表示パネルの検査において、表示パネルの表面に付着した異物と滅点とを区別して検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的は、表示パネルの表面を2又はそれ以上のそれぞれ異なる視角から映す光学系と、前記光学系の形成する像を画素画像として取得する撮像部と、前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検知するとともに、異なる方向から映した前記画素画像の前記欠陥部位を比較して、前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する制御部とを備えた検査装置によって達成することができる。
【0010】
上記の検査装置では、表示パネルの表面を異なる方向から撮像した画素画像を用いて欠陥部位の比較を行う。このため、欠陥部位の奥行き方向の知見が得られ、表示パネルに付着した異物と表示パネルの滅点とを区別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る検査装置を示すブロック図である。図3は、第1実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その1)。図4は、第1実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その2)。図5(a)、(b)は、光学系によってカメラに結像された像の部分拡大図である。
【0013】
本実施形態の検査装置10は、図2に示すように、試料ステージ15、光学系18及びカメラ11を有している。カメラ11にはカメラ駆動部12が接続され、光学系18には光学系駆動部13が接続され、試料ステージ15には試料ステージ駆動部14が接続されている。カメラ駆動部12、光学系駆動部13及び試料ステージ駆動部14は、制御部16と接続されており、これらの駆動部12,13,14は制御部16からの制御信号によりカメラ11、光学系18及び試料ステージ15を駆動する。表示部17は制御部16に接続され、検査結果等の情報を表示する。以下、各部について更に説明する。
【0014】
試料ステージ15は、試料ステージ駆動部14からの駆動信号に基づいて液晶表示パネル100を水平方向及び上下方向に移動する。
【0015】
光学系18は、図3に示すように、第1反射鏡1a、第2反射鏡1b、第3反射鏡2a、第4反射鏡2b、結像レンズ5、第1遮光板3a、第2遮光板3b及び遮光板4を有している。第1反射鏡1a及び第2反射鏡1bは、反射面が液晶表示パネル100の表面に対して垂直であり、それぞれの反射面が互いに向かい合うように配置されている。第1反射鏡1aは、液晶表示パネル100の表面に対してα1°傾いた第1の視角から液晶表示パネル100の表面を映す。第2反射鏡1bは、図4に示すように、液晶表示パネル100の表面に対してα2°傾いた第2の視角から液晶表示パネル100の表面を映す。尚、第1及び第2反射鏡1a、1bは矢印X2方向に移動可能であり、視角α1及びα2を変更することができる。
【0016】
第1及び第2反射鏡1a、1bの上方には、第1遮光板3a及び第2遮光板3bが配置されている。第1及び第2遮光板3a、3bは、図3の矢印X1に示す方向に移動可能とされている。第1及び第2遮光板3a、3bは、第1反射鏡1a及び第2反射鏡1bのいずれか一方で反射された光のみを選択的に通過させる。例えば、第1及び第2遮光板3a、3bが、図3に示す位置にある場合には第1反射鏡1aで反射された光を通過させ、図4に示す位置にある場合には第2反射鏡1bで反射された光を通過させる。
【0017】
第1及び第2遮光板3a、3bの上方には結像レンズ5が配置されている。結像レンズ5は、第1反射鏡1a又は第2反射鏡1bで反射された光をカメラ11に結像させるという機能を有する。結像レンズ5には、焦点深度が透明基板104の厚さよりも深いものを用いることが好ましい。これにより、透明基板104の表面からカラーフィルタ103の表面にかけての鮮明な像をカメラ11に結像させることができる。
【0018】
遮光板4は、第1及び第2の反射鏡1a、1bで反射された光以外の光を遮って、カメラ11にノイズ成分が入射することを抑制する。尚、遮光板4は、図3及び図4に示す形状や配置に限定されるものではなく、例えば複数枚の板としてもよい。
【0019】
結像レンズ5の上方には、第3反射鏡2a及び第4反射鏡2bが配置されている。第3及び第4反射鏡2a、2bは、反射面が液晶表示パネル100の表面に対して垂直であり、それぞれの反射面が互いに向き合うように配置されている。第3反射鏡2aは第2反射鏡1bで反射された光をカメラ11に導き、第4反射鏡2bは第1反射鏡1aで反射された光をカメラ11に導く。第3及び第4反射鏡2a、2bは、矢印X2方向に移動可能であり、第1及び第2反射鏡1a、1bの移動に合わせて位置を変えることで、カメラ11に光を導くことができる。
【0020】
カメラ11は、例えばCCD素子やCMOSイメージセンサ等の受光部(図示せず)を備えている。その受光部には、光学系18によって、第1の視角又は第2の視角から映された液晶表示パネル100の表面の像が形成され、この像を撮像することにより、異なる視角から撮像した第1の画素画像及び第2の画素画像を取得することができる。
【0021】
以上のような光学系18において、第1及び第2の視角を液晶表示パネル100に垂直な軸に対して対称となるように第1及び第2の視角を調整することが好ましい。これにより、第1の画素画像及び第2の画素画像での背景画素の輝度を同等とすることができ、欠陥部位の検出を容易に行うことができる。
【0022】
次に、本実施形態に係る検査装置10を用いた液晶表示パネル100の検査について説明する。
【0023】
まず、液晶表示パネル100を試料ステージ15の上に載置する。次に、試料ステージ15を移動させて液晶表示パネル100の所定の領域がカメラ11で撮影できるようにする。続いて、光学系駆動部13の第1〜第4反射鏡1a、1b、2a、2bの位置を調整して、第1の視角の角度α1°及び第2の視角の角度α2°を設定する。また、結像レンズ5の位置を調整して、焦点位置を液晶表示パネル100の表面に合わせる。
【0024】
次に、液晶表示パネル100に所定のテストパターンを表示させるとともにバックライトを点灯させる。
【0025】
その後、第1及び第2の遮光板3a及び3bを図3に示す位置に移動させて、第1反射鏡1aで反射された光を通過させるようにする。このとき、透明基板104の表面に異物99がある場合には、カメラ11の受光素子上に、例えば図5(a)に示すような像が形成される。続いて、カメラ11で液晶表示パネル100を第1の視角から映した像を第1の画素画像として撮像する。
【0026】
次に、第1及び第2の遮光板3a、3bを図4に示す位置に移動させて、第2の反射鏡1bで反射された光を通過させる。このとき、カメラ11の受光素子上に、例えば図5(b)に示すような像が形成される。続いて、カメラ11で第2の視角から映した液晶表示パネル100の像を第2の画素画像として撮像する。このようにして撮像された第1及び第2の画素画像はカメラ駆動部12を介して制御部16に送られ、制御部16内部の記憶部に格納される。
【0027】
次に、制御部16は、第1及び第2の画素画像で輝度が規定値以下となった欠陥部位の検出を行う。欠陥部位の検出は、例えば、制御部16の記憶部内にあらかじめ登録されている欠陥部位の存在しない液晶表示パネルの画素画像(参照画像)と、第1及び第2の画素画像とを比較して行うことができる。
【0028】
続いて、制御部16は欠陥部位が異物か滅点かの判定を行う。この判定は、例えば、第1の画素画像における欠陥部位の周辺画素の色配列と、第2の画素画像における欠陥部位の周辺画素の色配列とを比較して行うことができる。第1の画素画像と第2の画素画像とはそれぞれ異なる視角から液晶表示パネル100の表面を映したものであるため、欠陥部位が透明基板104上に付着した異物の場合は、例えば図5(a)、(b)に示すように背景に写り込む画素画像の位置が異なる。従って、制御部16は、第1及び第2の画素画像で欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる場合には、欠陥部位を表面に付着した異物と判定する。一方、滅点の場合には、視角を変えても欠陥部位の周辺画素の色配列は変化しない。このため、制御部16は、第1及び第2の画素画像で欠陥部位の周辺画素の色配列が同じ場合には表示パネルの滅点と判定する。
【0029】
その後、光学系18及びカメラ11の視野が、液晶表示パネル100の画面よりも小さい場合には画面の他の部分の検査を行うべく、試料ステージ15を駆動させて液晶表示パネル100の別の部分についても同様にして検査を行う。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る検査装置10は、液晶表示パネル100の異物と滅点とを区別して検出することができる。通常、1枚の表示パネル当たりに付着する異物の許容量と1枚の表示パネル当たりに存在する滅点の許容量とは異なるので、異物及び滅点毎に異なる基準で表示パネルの良否を判定する。
【0031】
ところで、検査装置10では、液晶表示パネル100の透明基板104の厚さや、カラーフィルタ層103の画素ピッチの組み合わせによっては、角度α1の第1の視角及び角度α2の第2の視角から液晶表示パネルを撮像しても異物と滅点とを識別できない場合がある。例えば、図6に示すように、角度α1及び角度α2で画素画像を撮像した場合に、異物99の背景に写り込むカラーフィルタ層103の色配列が同じとなってしまうことがあり、制御部16で異物99を滅点と識別できない。
【0032】
このような場合には、図7に示すように、第1、第2反射鏡1a、1b及び第3、第4反射鏡2a、2bの位置を矢印X2方向に移動させて視角を変えることで、異物と滅点とを区別することができる。このときの角度α3及び角度α4は、液晶表示パネル100の画素ピッチ及び透明基板104の厚さに基づいて、異物の背景に写り込むカラーフィルタ層103の色配列が異なるように計算によって定めることができる。
【0033】
(第2実施形態)
以下、図8、図9を参照しつつ第2実施形態に係る検査装置について説明する。図8は、第2実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その1)。図9は、第2実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その2)。
【0034】
本実施形態に係る検査装置は、第1実施形態の光学系18に換えて光学系21を採用したものである。光学系21は、図8及び図9に示すように、試料(液晶表示パネル100)側から順に反射鏡1、遮光板3、結像レンズ5、遮光板4及び反射鏡2を備えている。反射鏡1は、反射面が液晶表示パネル100の表面に対して垂直であり、図8に示す位置関係にある場合には液晶表示パネル100の表面を角度α1°の第1の視角から映した光を反射する。遮光板3及び遮光板4は、反射鏡1で反射された光を通過させ、それ以外の光を遮る。結像レンズ5は、反射板1で反射された光をカメラ11に結像させる機能を有している。反射鏡2は、反射面が液晶表示パネル100の表面に対して垂直であり、結像レンズ5を通った光をカメラ11に導く。
【0035】
光学系21は中心軸Q周りに対称に形成されており、この中心軸Q周りに回転させることで、液晶表示パネル100の表面を様々な視角から映した像をカメラ11に形成することができる。例えば、図8に示す状態から180°回転させることで、図9に示すように、液晶表示パネル100の表面を角度α2°の第2の視角から映すことができる。尚、光学系21において、反射鏡1及び反射鏡2を液晶表示パネル100の表面に対して水平な方向に移動可能として、視角を変更可能としてもよい。
【0036】
本実施形態に係る検査装置のその他の部分は、第1実施形態に係る検査装置10(図2参照)と同様である。
【0037】
以下に、本実施形態に係る検査装置を用いた液晶表示パネル100の検査について説明する。
【0038】
まず、第1実施形態と同様にして液晶表示パネル100の準備及び光学系の調整を行う。続いて、図8に示すように、液晶表示パネル100の表面からα1°の方向から表面を観察した像をカメラ11に形成させ、第1の画素画像を撮像する。次に、光学系21を中心軸Q周りに180°回転させて、図9に示すように、液晶表示パネル100の表面からα2°の方向から表面を観察した像をカメラ11に形成させ、第2の画素画像を撮像する。
【0039】
その後、第1実施形態と同様にして制御部16で、第1及び第2の画素画像から欠陥部位の検出し、検出された欠陥部位の周辺画素の色配列の異同を第1及び第2の画素画像で比較する。そして、制御部16は第1及び第2の画素画像で欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる場合は表面に付着した異物と判定し、同じ場合は表示パネルの滅点と判定する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る検査装置によれば光学系の構成をより簡素にすることができる。
【0041】
(第3実施形態)
以下、図10及び図11を参照しつつ第3実施形態について説明する。図10は、第3実施形態に係る検査装置を示すブロック図である。図11は、第3実施形態の検査装置の光学系を示す模式図である。
【0042】
図10に示すように、本実施形態の検査装置30はカメラ11a、11b及び光学系31を有する。なお、検査装置30のカメラ駆動回路12、光学系駆動回路13、試料ステージ駆動回路14、試料ステージ15、制御部16及び表示部17は、第1実施形態に係る検査装置10の同一符号が付された各部分と同様である。
【0043】
カメラ11a及びカメラ11bは、例えばCCD素子やCMOSイメージセンサ等の受光部(図示せず)を有しており、受光部に結像された液晶表示パネルの表面の像を画素画像として撮像する。
【0044】
光学系31は、図11に示すように、結像レンズ5a及び5bを備えている。結像レンズ5aは、液晶表示パネル100の表面に対して角度α1°の第1の視角から映した液晶表示パネル100の表面の像をカメラ11aに結ぶ機能を有している。結像レンズ5bは、液晶表示パネル100の表面に対して角度α2°の第2の視角から映した液晶表示パネル100の表面の像をカメラ11bに結ぶ機能を有している。
【0045】
なお、光学系31において結像レンズ5a、5b及びカメラ11a、11bを水平方向に移動可能として、液晶表示パネル100を映す視角を調整可能としてもよい。
【0046】
本実施形態の検査装置30による検査は、図11に示すように、カメラ11a及びカメラ11bを用いて液晶表示パネル100の表面を撮像して行う。これにより、カメラ11aで、液晶表示パネル100の表面を角度α1°の第1の視角から映した第1の画素画像を撮像できる。また、カメラ11bで、液晶表示パネル100の表面を角度α2°の第2の視角から映した第2の画素画像を撮像できる。
【0047】
その後、第1実施形態と同様にして制御部16で、第1及び第2の画素画像から欠陥部位の検出し、検出された欠陥部位の周辺画素の色配列の異同を第1及び第2の画素画像で比較する。そして、制御部16は第1及び第2の画素画像で欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる場合は表面に付着した異物と判定し、同じ場合は表示パネルの滅点と判定する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る検査装置によれば光学系の構成をより簡素にすることができる。
【0049】
(その他の実施形態)
上記各実施形態に係る検査装置は、液晶表示パネルの製造工程や液晶表示パネルを搭載した電子機器の製造工程に用いることができる。
【0050】
この場合には、例えば、液晶表示パネル100の透明基板101と透明基板104を貼り合わせ、更に透明基板104の上に光学フィルム105を貼着した後に、上記各実施形態に係る検査装置を用いて液晶表示パネル100の検査を行うことができる。また、液晶表示パネル100が携帯電話機等の電子機器に組み込まれた後の段階で、上記各実施形態に係る検査装置を用いて液晶表示パネル100の検査を行うこともできる。
【0051】
上述のように、上記各実施形態に係る検査装置によれば、欠陥部位を液晶表示パネルの滅点か液晶表示パネル表面に付着した異物かを区別して検出することができる。これにより、異物と滅点とで異なる検査基準を用いて不良品を分別することができる。また、分別された不良品に修理を施すことで、製造歩留まりの向上を図ることができる。
【0052】
さらに、上記各実施形態では、液晶表示パネル100を検査する例について説明したが、本発明はこれ限定されるものではなく、上記各実施形態の検査装置を有機EL型パネルやプラズマ表示パネル等の表示パネルの検査又は製造にも用いることができる。
【0053】
以下、本発明の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
【0054】
(付記1)表示パネルの表面を2又はそれ以上のそれぞれ異なる視角から映す光学系と、前記光学系の形成する像を画素画像として取得する撮像部と、前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検知するとともに、異なる方向から映した前記画素画像の前記欠陥部位を比較して、前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する制御部と、を備えたことを特徴とする表示パネルの検査装置。
【0055】
(付記2)前記制御部は、複数の前記画素画像における前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較して、前記欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる場合には前記欠陥部位を前記表示パネルに付着した異物と判定し、前記欠陥部位の周辺画素の色配列が同じ場合には前記欠陥部位を前記表示パネルの滅点と判定すること、を特徴とする付記1に記載の表示パネルの検査装置。
【0056】
(付記3)前記光学系は、反射面が表示パネルの表面に対して垂直であり、それぞれの反射面が互いに向かい合うように配置された2枚の反射鏡と、
前記2枚の反射鏡の何れか一方で反射された光のみを選択的に通過させる遮蔽板と、
前記遮蔽板を通過した光を前記撮像部上に結像させる結像レンズと、
前記結像レンズを通った光を前記撮像部上に導く反射鏡と、を有することを特徴とする付記1に記載の表示パネルの検査装置。
【0057】
(付記4)前記光学系は、前記光学系の中心軸周りに対称に形成されていることを特徴とする付記3に記載の表示パネルの検査装置。
【0058】
(付記5)前記光学系を前記中心軸周りに回転させることで、前記表示パネルを映す視角を変えることを特徴とする付記4に記載の表示パネルの検査装置。
【0059】
(付記6)前記光学系は、前記表示パネルの表面と平行な方向に間隔をおいて配置された2つの結像レンズを備え、
前記撮像部は、前記結像レンズが前記表示パネルの画素の像を結ぶ位置に各1台ずつ配置されていること、を特徴とする付記1に記載の表示パネルの検査装置。
【0060】
(付記7)相互に異なる2又はそれ以上の方向から表示パネルの表面を撮像して複数の画素画像を取得する工程と、
前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検出する工程と、
複数の前記画素画像における前記欠陥部位を比較して前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する工程と、を有することを特徴とする表示パネルの検査方法。
【0061】
(付記8)前記欠陥部位が異物か滅点かを判定する工程は、2又はそれ以上の前記画素画像で前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較し、
前記欠陥部位の周囲画素の色配列が異なる場合には前記欠陥部位を前記表示パネルに付着した異物と判定し、
前記欠陥部位の周囲画素の色配列が同じ場合には前記欠陥部位を前記表示パネルの滅点と判定すること、を特徴とする付記7に記載の表示パネルの検査方法。
【0062】
(付記9)前記表示パネルの表面を撮像する視角が、第1の視角α3及び第2の視角α4であり、前記第1の視角α3及び第2の視角α4は、前記表示素子の表面に付着した異物の背景に写り込む画素画像の色配列が異なるように、前記表示素子の画素ピッチ及び透明基板の厚さに基づいて定められることを特徴とする付記7又は8に記載の表示パネルの検査方法。
【0063】
(付記10)光学フィルムが貼着された表示パネルを形成する工程と、
前記表示パネルの表面に対してそれぞれ異なる2又はそれ以上の方向から前記表示パネルの表面を撮像して複数の画素画像を取得する工程と、
前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検出する工程と、
複数の前記画素画像における前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較して前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する工程と、
前記欠陥部位が異物か滅点かによってそれぞれ異なる基準値を用いて前記表示パネルの良否を判定する検査工程と、を有することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、液晶表示パネルの一例を示す断面図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る検査装置を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その1)。
【図4】図4は、第1実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その2)。
【図5】図5(a)、(b)は、光学系によってカメラに結像された像の部分拡大図である。
【図6】図6は、異物と滅点とを識別できない例を示す模式図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る検査装置で、反射鏡の間隔を変化させた時の構造を示す模式図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その1)。
【図9】図9は、第2実施形態に係る検査装置の光学系を示す模式図である(その2)。
【図10】図10は、第3実施形態に係る検査装置を示すブロック図である。
【図11】図11は、第3実施形態の検査装置の光学系を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1、2…反射鏡、1a…第1反射鏡、1b…第2反射鏡、2a…第3反射鏡、2b…第4反射鏡、3、4…遮光板、3a…第1遮光板、3b…第2遮光板、5、5a、5b…結像レンズ、10、30…検査装置、11、11a、11b…カメラ、12…カメラ駆動部、13…光学系駆動部、14…試料ステージ駆動部、15…試料ステージ、16…制御部、17…表示部、18、21、31…光学系、98…滅点、99…異物、100…液晶表示パネル、101、104…透明基板、102…液晶層、103…カラーフィルタ層、105…光学フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの表面を2又はそれ以上のそれぞれ異なる視角から映す光学系と、
前記光学系の形成する像を画素画像として取得する撮像部と、
前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検知するとともに、異なる方向から映した前記画素画像の前記欠陥部位を比較して、前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する制御部と、を備えたことを特徴とする表示パネルの検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記画素画像における前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較して、前記欠陥部位の周辺画素の色配列が異なる場合には前記欠陥部位を前記表示パネルに付着した異物と判定し、前記欠陥部位の周辺画素の色配列が同じ場合には前記欠陥部位を前記表示パネルの滅点と判定すること、を特徴とする請求項1に記載の表示パネルの検査装置。
【請求項3】
相互に異なる2又はそれ以上の方向から表示パネルの表面を撮像して複数の画素画像を取得する工程と、
前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検出する工程と、
複数の前記画素画像における前記欠陥部位を比較して前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する工程と、を有することを特徴とする表示パネルの検査方法。
【請求項4】
前記欠陥部位が異物か滅点かを判定する工程は、2又はそれ以上の前記画素画像で前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較し、
前記欠陥部位の周囲画素の色配列が異なる場合には前記欠陥部位を前記表示パネルに付着した異物と判定し、
前記欠陥部位の周囲画素の色配列が同じ場合には前記欠陥部位を前記表示パネルの滅点と判定すること、を特徴とする請求項3に記載の表示パネルの検査方法。
【請求項5】
光学フィルムが貼着された表示パネルを形成する工程と、
前記表示パネルの表面に対してそれぞれ異なる2又はそれ以上の方向から前記表示パネルの表面を撮像して複数の画素画像を取得する工程と、
前記画素画像から輝度が規定値よりも低い欠陥部位を検出する工程と、
複数の前記画素画像における前記欠陥部位の周辺画素の色配列を比較して前記欠陥部位が前記表示パネルに付着した異物か前記表示パネルの滅点かを判定する工程と、
前記欠陥部位が異物か滅点かによってそれぞれ異なる基準値を用いて前記表示パネルの良否を判定する検査工程と、を有することを特徴とする表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−8188(P2010−8188A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166855(P2008−166855)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】