説明

表示素子

【課題】電極耐久性を向上させるとともに、表示速度及び色調安定性を向上させた電気化学的な表示素子を提供する。
【解決手段】1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に導電性微粒子が付与された構成であることを特徴とする表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的な表示素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
【0003】
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
【0004】
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
【0005】
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション(以下、EDと略す)方式が知られている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、米国特許第4,240,716号明細書、特許第3428603号公報、特開2003−241227号公報等で、様々な方法が開示されている。また電気化学的に色が変化するエレクトロクロミック(EC)方式の素子が、コントラストが高く、明瞭な表示を得ることができるとして提案されている。
【0006】
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、従来技術では、いづれもハロゲン化銀、ハロゲン化アルカリを含む電解質の構成であり、この構成で繰り返し駆動を行うと、ハロゲン化合物が酸化還元しない低電圧駆動では、駆動速度が十分でなく、駆動電圧を上げると、電解液が着色したり、ハロゲン酸化体が対向電極の金属電極を腐食させる局部電池反応等により電極耐久性が十分でないという課題があることがわかった。
電極の耐久性を向上する方法の1つとして、炭素材料を利用した電極が、特許文献等で知られている。例えば、銀塩溶液からITO透明電極上への銀の析出を利用して光の透過率を制御する光学フィルターの対向電極の材料コストを低減する光学装置として、対向電極の一方の表面が、少なくとも1種の導電性粒子が少なくとも1種のバインダー中に少量分散されており、該導電性粒子として一般的な炭素材料を用いる光学装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、上記の一般的な炭素材料電極は、一般に用いられるITO(Snドープ酸化インジウム)電極や金属電極に比べ、バインダー比率が高く電気供給能力に欠けるため、表示速度が遅くなるなどの問題点があった。
【特許文献1】特開平10−274790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電極耐久性を向上させるとともに、表示速度及び色調安定性を向上させた電気化学的な表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に導電性微粒子が付与された構成であることを特徴とする表示素子。
【0010】
2.前記電解質は、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有することを特徴とする前記1記載の表示素子。
【0011】
3.前記電解質が、エレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
【0012】
4.前記導電性微粒子は、ジビニルベンゼン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アルミナ、酸化スズ及びカーボンから選ばれる少なくとも1種で構成されるコア粒子の表面に、金または銀による化学メッキ処理で導電性部が被覆された構造であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【0013】
5.前記コア粒子は、表面に触媒を担持していることを特徴とする前記4に記載の表示素子。
【0014】
6.前記導電性微粒子の平均直径は、500nm以上、5000nm以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
【0015】
7.前記コア粒子を被覆している前記導電性部の平均厚みは、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【0016】
8.前記導電性微粒子により形成された導電性微粒子層の平均膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【0017】
9.1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に樹脂微粒子を付与した後、該樹脂微粒子表面に導電性部を付与して形成されたことを特徴とする表示素子。
【0018】
10.前記電解質は、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有することを特徴とする前記9記載の表示素子。
【0019】
11.前記電解質が、エレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とする前記9または10に記載の表示素子。
【0020】
12.前記樹脂微粒子は、表面に触媒を担持していることを特徴とする前記9〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
【0021】
13.前記基材上に付与した樹脂微粒子表面に、金または銀による化学メッキ処理で導電性部を付与することを特徴とする前記9〜12のいずれか1項に記載の表示素子。
【0022】
14.前記樹脂微粒子の表面に導電性部を有する導電性微粒子の平均粒径が、500nm以上、5000nm以下であることを特徴とする前記9〜13のいずれか1項に記載の表示素子。
【0023】
15.前記樹脂微粒子を被覆している前記導電性部の平均厚みは、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする前記9〜14のいずれか1項に記載の表示素子。
【0024】
16.表面に導電性部を有する前記樹脂微粒子により形成された導電性微粒子層の平均膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする前記9〜15のいずれか1項に記載の表示素子。
【0025】
17.対向電極間に、白色散乱層を有することを特徴とする前記1〜16のいずれか1項に記載の表示素子。
【0026】
18.前記電解質が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
【0027】
一般式(1)
7−S−R8
〔式中、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。但し、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
【0028】
【化1】

【0029】
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同一でも異なっていてもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
19.前記電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下記式〔1〕で規定する条件を満たすことを特徴とする前記1〜18のいずれか1項に記載の表示素子。
【0030】
式〔1〕
0≦[X]/[Ag]≦0.01
20.前記エレクトロクロミック化合物として、下記一般式(A)で表される化合物を含有し、かつ前記対向電極間に、白色散乱層を有し、該対向電極の駆動操作により、黒表示、白表示、黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする前記3または11に記載の表示素子。
【0031】
【化2】

【0032】
〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕
【発明の効果】
【0033】
本発明により、低電圧(1.5V)駆動で電解質の反応性、電極耐久性及び表示速度が向上し、かつ表示素子に必要とされる繰り返し(1万回以上)駆動時の色調安定に優れた電気化学的な表示素子を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0035】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、1)1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に導電性微粒子が付与された構成であることを特徴とする表示素子、または2)1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に樹脂微粒子を付与した後、該樹脂微粒子表面に導電性部を付与して形成されたことを特徴とする表示素子により、低電圧(1.5V)駆動で電解質の反応性、電極耐久性及び表示速度が向上し、かつ表示素子に必要とされる繰り返し(1万回以上)駆動時の色調安定に優れた電気化学的な表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0036】
以下、本発明の表示素子の各構成要素の詳細について、更に説明する。
【0037】
〔導電性微粒子〕
(導電性微粒子A)
請求項1に係る発明においては、対向電極を構成するいずれか一方の電極が、基材上に導電性微粒子が付与された構成であることを特徴とする。
【0038】
本発明でいう電極を構成する導電性微粒子とは、通常、圧粉抵抗が、10MPaの条件下で、1×10-3Ωcm以下程度の微粒子を指す。
【0039】
本発明に係る導電性微粒子(以下、導電性微粒子Aともいう)は、コア粒子(以下、コア粒子Aともいう)の表面に、導電性部(以下、導電性部Aともいう)が被覆された構造であることが好ましい。
【0040】
本発明に係る導電性微粒子Aを構成するコア粒子Aの材料としては、特に制限はなく、樹脂微粒子、導電性樹脂微粒子、金属微粒子、金属酸化物微粒子、無機微粒子等を適用することができるが、その中でも、本発明目的効果を十分に発揮できる観点から、ジビニルベンゼン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アルミナ、酸化スズ及びカーボンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0041】
本発明に係るコア粒子の平均粒径は、特に制限はないが、400nm以上、5000nm未満であることが好ましい。
【0042】
本発明に係るコア粒子は、その粒子表面に触媒、具体的にはメッキ触媒を担持していることが好ましい。触媒としては、特に制限はないが、パラジウムであることが好ましい。コア粒子表面に触媒を担持する方法としては、例えば、触媒として可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム)を水あるいは有機溶媒に溶解した触媒液を調製し、この触媒液にコア粒子Aを所定の時間浸漬させることにより、コア粒子A表面に触媒を付与させることができる。コア粒子A表面に触媒を付与させることにより、コア粒子A表面を被覆する導電性部Aの密着性、均一性を高めることができる。
【0043】
本発明に係る導電性微粒子Aは、上記説明したコア粒子A表面に導電性部Aを被覆した構成であることが好ましいが、導電性部Aを形成する方法としては特に制限はないが、メッキ処理により形成する方法がより好ましい。
【0044】
本発明において、メッキ処理としては、従来公知のメッキ法を適用できるが、その中でも、煩雑な工程なしに簡便、低コストでメッキ処理することができる観点から、無電解メッキ法を適用することが好ましい。
【0045】
更に、本発明に係る無電解メッキ法によるメッキ処理としては、上述の方法に従って触媒を表面に付与したコア粒子Aを用い、メッキ剤を接触させる方法が好ましい。これにより、メッキ触媒とメッキ剤とが接触し、コア粒子表面に無電解メッキが施されて、より優れた導電性を得ることができる。
【0046】
本発明に係るメッキ処理で使用できるメッキ剤としては、例えば、メッキ材料として析出させる金属イオンが均一溶解された溶液が用いられ、金属塩とともに還元剤が含有される。ここで、通常は溶液が用いられるが、無電解メッキを生じさせるものであればこれに限らず、ガス状や粉体のメッキ剤を適用することも可能である。
【0047】
具体的に、この金属塩としては、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Fe等から選択される少なくとも1種の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などが適用可能であるが、その中でもAuまたはAgを用いたメッキ処理が好ましい。また、還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩、ボロハライド塩、次亜燐酸塩、次亜硫酸塩、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩などが適用可能である。
【0048】
メッキ剤は、上記金属塩と還元剤とが混合されたものを適用するようにしてもよいし、或いは金属塩と還元剤とを別個に適用するようにしてもよい。メッキ剤には、必要があれば、pH調整のための緩衝剤、界面活性剤などの添加物を含有させることができる。また、溶液に用いる溶媒としては、水以外にアルコール、ケトン、エステルなどの有機溶剤を添加するようにしてもかまわない。
【0049】
メッキ剤の組成は、析出させる金属の金属塩、還元剤、および必要に応じて添加物、有機溶媒を添加した組成で構成されるが、析出速度に応じて濃度や組成を調整することができる。また、メッキ剤の温度を調節して析出速度を調整することもできる。この温度調整の方法としては、メッキ剤の温度を調整する方法、また例えばメッキ剤中に浸漬する場合、浸漬前に基板を加熱、冷却して温度調節する方法などが挙げられる。さらに、メッキ剤に浸漬する時間で析出する導電性部の膜厚を調整することもできる。
【0050】
本発明に係る導電性微粒子Aの平均粒径としては、500nm以上、5000nm以下であることが好ましい。
【0051】
本発明において、導電性微粒子Aの平均粒径は、以下に示す方法に従って求めることができる。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)、例えば、走査型電子顕微鏡 S−3500N(日立製作所(株)製)を用いて写真撮影を行い、撮影された画像情報を画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ社製)で演算処理して平均粒径を算出することができる。「ルーゼックスF」による演算処理により、撮影された導電性微粒子Aの等価円相当径(撮影された粒子と同じ投影面積を有する円の直径のこと)が算出され、100個以上の導電性微粒子Aの測定結果より平均粒径を求めることができる算出される。
【0052】
また、本発明においては、コア粒子Aの表面を被覆する導電性部Aの平均厚みは、上記の方法と同様にして、コア粒子Aの平均粒径及び導電性微粒子Aの平均厚さを求め、その差を導電性部Aの厚さとして求めることができる。
【0053】
本発明に係る導電性微粒子Aから構成させる電極の作製方法としては、1)調製した導電性微粒子Aを直接基材上に付与する方法、2)調製した導電性微粒子Aを基材上に付与した後、加熱溶融させて導電性微粒子層を形成する方法、あるいは3)基材上に予め粘着層を塗設した後、その粘着層上に導電性微粒子Aを付与する方法が挙げられるが、基材への導電性微粒子Aの密着性を高める観点からは、3)に記載の方法が好ましい。
【0054】
上記3)に記載の粘着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いることができ、多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビニルエーテル、エポキシド、それらのオリゴマーまたはポリマー等、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリオレート等のオリゴマー(低重合体)、反応性希釈剤(モノマー)、及び光重合開始剤(ベンゾイン系、アセトフェノン系等)を混合したものを挙げることができる。
【0055】
上記のような方法で基材上に導電性微粒子Aを積層させて形成した導電性微粒子層Aの膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましい。
【0056】
導電性微粒子層Aの膜厚は、例えば、導電性微粒子層Aの断面部を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡により撮影して測定することができる。
【0057】
(導電性微粒子B)
請求項9に係る発明においては、1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に樹脂微粒子を付与した後、該樹脂微粒子表面に導電性部を付与して形成されたことを特徴とする。
【0058】
すなわち、請求項9に係る導電性微粒子(以下、導電性微粒子Bともいう)は、第一工程として、基材上に樹脂微粒子を付与して樹脂微粒子層を形成した後、メッキ法等で更に導電性部(以下、導電性部Bともいう)を形成して調製する。
【0059】
導電性微粒子Bを構成する樹脂微粒子の重合単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジメタクリレート、アルキレントリアクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレントリメタクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビスアクリルアミド、アルキレンビスメタクリルアミド、両末端アクリル変性ポリブタジエンオリゴマー等を単独又は他の重合性単量体と重合させて得られる網状重合体;フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0060】
上記架橋構造を有する重合体の合成方法は特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等の公知の合成方法を適宜選択することで形成可能である。また、上記架橋構造を形成する樹脂材料の他に、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体少なくとも一種を含有した樹脂粒子も使用可能である。
【0061】
基材上に、本発明に係る樹脂微粒子を付与する方法としては、上述の導電性微粒子Aを基材上に付与させる方法と同様の方法を挙げることができる。
【0062】
本発明においては、本発明に係る樹脂微粒子表面に触媒、具体的にはメッキ触媒を担持していることが好ましい。触媒としては、特に制限はないが、パラジウムであることが好ましい。また、樹脂微粒子表面に触媒を付与させる方法としては、上述の導電性微粒子Aを構成するコア粒子表面に触媒を付与させる方法と同様の方法を挙げることができる。
【0063】
本発明に係る導電性微粒子Bは、上記方法に従って基材上に樹脂微粒子を付与した後、その表面に導電性部Bを付与して調製される。
【0064】
導電性部Bを形成する方法としては、スパッタ法、メッキ法等で付与することができ、金または銀による化学メッキ処理で導電性部を付与する方法が好ましい。導電性微粒子Bの調製に用いる化学メッキ処理としては、上記導電性微粒子Aの調製に用いる方法と同様の方法を挙げることができる。
【0065】
本発明に係る樹脂微粒子の表面に導電性部Bを有する導電性微粒子Bの平均粒径は、500nm以上、5000nm以下であることが好ましく、また、樹脂微粒子を被覆している導電性部Bの平均厚みは、10nm以上、100nm以下であることが好ましく、また、表面に導電性部Bを有する樹脂微粒子により形成された導電性微粒子層Bの平均膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましい。
【0066】
上記いずれの特性値は、上記導電性微粒子Aで記載した方法と同様にして求めることができる。
【0067】
次いで、本発明の表示素子を構成するその他の要素について説明する。
【0068】
〔電解質〕
本発明の表示素子の電解質は、金属または金属化合物を含むことが好ましく、特に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含むことが好ましい。
【0069】
銀を化学構造中に含む化合物としては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができるが、これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
【0070】
本発明に係る電解質に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が起きやすくなる傾向にあり不利である。
【0071】
本発明に係る電解質では、前記一般式(1)で表されるチオエーテル系化合物、または前記一般式(2)で表されるメルカプト系化合物を含有することが好ましい。
【0072】
前記一般式(1)において、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表し、これらには芳香族の直鎖基または分岐基が含まれる。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良い。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。
【0073】
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
【0074】
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要である。例えば、銀と配位結合を生じさたり、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基も銀溶剤として、有用に作用し、共存化合物への影響が少なく、溶媒への溶解度が高い特徴がある。
【0075】
以下、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0076】
1−1:CH3SCH2CH2OH
1−2:HOCH2CH2SCH2CH2OH
1−3:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
1−4:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
1−5:HOCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2OH
1−6:HOCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OH
1−7:H3CSCH2CH2COOH
1−8:HOOCCH2SCH2COOH
1−9:HOOCCH2CH2SCH2CH2COOH
1−10:HOOCCH2SCH2CH2SCH2COOH
1−11:HOOCCH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2COOH
1−12:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
1−13:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
1−14:H3CSCH2CH2CH2NH2
1−15:H2NCH2CH2SCH2CH2NH2
1−16:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
1−17:H3CSCH2CH2CH(NH2)COOH
1−18:H2NCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2NH2
1−19:H2NCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2NH2
1−20:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
1−21:HOOC(NH2)CHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH(NH2)COOH
1−22:HOOC(NH2)CHCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH(NH2)COOH
1−23:HOOC(NH2)CHCH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH(NH2)COOH
1−24:H2N(O=)CCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2C(=O)NH2
1−25:H2N(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NH2
1−26:H2NHN(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NHNH2
1−27:H3C(O=)NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(=O)CH3
1−28:H2NO2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SO2NH2
1−29:NaO3SCH2CH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH2SO3Na
1−30:H3CSO2NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHO2SCH3
1−31:H2N(NH=)CSCH2CH2SC(NH)NH2・2HBr
1−32:H2N(NH=)CSCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SC(=NH)NH2・2HCl
1−33:H2N(NH=)CNHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(=NH)NH2・2HBr
1−34:〔(CH33NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2N(CH332+・2Cl-
【0077】
【化3】

【0078】
【化4】

【0079】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物1−2が好ましい。
【0080】
次いで、本発明に係る一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0081】
前記一般式(2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zはイミダゾール環類を除く含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0082】
一般式(2)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
【0083】
一般式(2)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
【0084】
一般式(2)のR9で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
【0085】
次に、一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0086】
【化5】

【0087】
【化6】

【0088】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物2−12、2−18、2−19が好ましい。
【0089】
〔ハロゲンイオン、銀イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
【0090】
式(1) 0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明で言うハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことを言う。[X]/[Ag]が0.01よりも大きい場合は、銀の酸化還元反応時にX-→X2が生じ、X2は黒化銀と容易にクロス酸化して黒化銀を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるのでハロゲン原子のモル濃度は銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Ag]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
【0091】
〔有機溶媒〕
本発明の表示素子においては、有機溶媒中に電解質を含有することが好ましい。有機溶媒は、好ましい電解質を有効に溶解することができ、電気分解などの危険性が少ないため好適である。
【0092】
また、電解質を溶解できれば各種用いることができる本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0093】
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
【0094】
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
【0095】
本発明において、電解質が液体である場合には、以下の化合物を電解質中に含むことができる。カリウム化合物としてKCl、KI、KBr等、リチウム化合物としてLiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等、テトラアルキルアンモニウム化合物として過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等が挙げられる。また、特開2003−187881号公報の段落番号〔0062〕〜〔0081〕に記載の溶融塩電解質組成物も好ましく用いることができる。さらに、I-/I3-、Br-/Br3-、キノン/ハイドロキノン等の酸化還元対になる化合物を用いることができる。
【0096】
また、支持電解質が固体である場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を電解質中に含むことができる。
【0097】
パーフルオロスルフォン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TlSn25、CeF3等の含F化合物、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のLi塩、ZrO2、CaO、Cd23、HfO2、Y23、Nb25、WO3、Bi23、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、AgSBr、C55NHAg56、Rb4Cu167Cl13、Rb3Cu7Cl10、LiN、Li5NI2、Li6NBr3等の化合物が挙げられる。
【0098】
また、支持電解質としてゲル状電解質を用いることもできる。電解質が非水系の場合、特開平11−185836号公報の段落番号〔0057〕〜〔0059〕に記載のオイルゲル化剤を用いことができる。
【0099】
〔一般式(B)で表される化合物:スピロアンモニウム化合物〕
更に、電解質が下記一般式(B)で表される化合物を含有することが、本発明の目的効果をより奏することができる観点から好ましい。
【0100】
【化7】

【0101】
上記一般式(B)において、X及びYは、各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。k及びiは、各々0または1〜4の正整数を、n及びmは、各々3〜7の正整数を表し、Aは酸成分を表す。
【0102】
一般式(B)において、X及びYの炭素数が5以上、k及びiが5以上、または、n及びmが8以上の場合には、スピロアンモニウム化合物塩のイオン導電性が低下し好ましくない。
【0103】
一般式(B)において、スピロアンモニウム化合物塩のカチオンとしては、例えば、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロブチルイオン、アザシクロペンタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロブチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロペンチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロペンチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロヘキシルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘキシルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘキシルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロヘプチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1′−アザシクロヘプチルイオン、スピロ−(1,1′)−ビアザシクロオクチルイオンが挙げられる。
【0104】
一般式(B)において、Aは酸成分を表し、例えば、過塩素酸イオン(ClO4-)、フッ素イオン(F-)、塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン(I-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6-)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3CO2-)、ビストリフルオロメタンスルフォニルイミドイオン((CF3SO22-)、ペルフルオロブタンスルホン酸イオン(C49SO3-)、トリストリフルオロメタンスルフォニルメチドイオン((CF3SO23-)、ジシアナミドイオン((CN)2-)等が挙げられる。
【0105】
本発明において、一般式(B)で表されるスピロアンモニウム化合物塩は、以下の製造方法により得られる。
【0106】
まず、イソプロピルアルコール溶媒中、炭酸カリウム存在下でアザシクロアルカンに両末端を臭素化させたジブロモアルカンを作用させてスピロアンモニウムブロマイドを得、次に該ブロマイドを水またはアルコール中で電気透析により脱塩させて水酸化スピロアンモニウム溶液を得る。次いで、得られた水酸化スピロアンモニウム溶液に、一般式(B)中のAに対応する酸成分を、等モル量添加して、中和反応させた後、減圧下で脱水させて、目的とするスピロアンモニウム化合物塩を得ることができる。
【0107】
一般式(B)で表される化合物の電解液への好ましい添加量は、0.1質量%以上、10質量%以下である。0.1質量%以上であれば、本発明の向上効果を発揮し、また10質量%以下であれば、電解液での低温析出を生じることが無く、安定した状態で電解質中に存在させることができる。
【0108】
〔増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質層に増粘剤を用いることができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
【0109】
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
【0110】
本発明の表示素子においては、構成層として、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
【0111】
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
【0112】
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
【0113】
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
本発明の表示素子の対向電極間の構成層について、更に説明する。
【0114】
本発明の表示素子に係る構成層として、正孔輸送材料を含む構成層を設けることができる。正孔輸送材料として、例えば、芳香族アミン類、トリフェニレン誘導体類、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール類、ポリアセチレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリトルイジン誘導体、CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi23、MoO2、Cr23等を挙げることができる。
【0115】
〔白色散乱層〕
本発明の表示素子は、対向電極間、好ましくは表示側電極と対向する電極(非表示側電極)に接するように白色散乱物質を含む多孔質の白色散乱層を形成することが好ましい。
【0116】
このような白色散乱物質として、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラスなど、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
【0117】
本発明においては、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
【0118】
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0119】
また、多孔質白色散乱層を形成する場合、電解質中に実質的に溶解しない水溶性高分子と、上記白色散乱物質との水混和物を塗布、乾燥して形成することができる。
【0120】
本発明に係る電解質溶媒に実質的に溶解しない水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル器変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素
原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0121】
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
【0122】
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
【0123】
本発明に係る水溶性高分子と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水溶性高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
【0124】
白色散乱層の基材への形成方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
【0125】
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
【0126】
媒体上に付与した水溶性高分子と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
【0127】
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水溶性高分子の硬化反応を行うことが好ましい。
【0128】
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水溶性高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
【0129】
これらの硬膜剤は、水溶性高分子1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005 〔エレクトロクロミック化合物〕
本発明の表示素子においては、上記説明した電解質がエレクトロクロミック化合物を含有し、対向電極の駆動操作により、エレクトロクロミック化合物の酸化及び還元反応による色変化、及び該対向電極の少なくとも一方への金属塩化合物が含有する金属元素の還元析出及び酸化溶解による色変化を用いて、黒表示、白表示及び黒以外の着色表示により3色以上の多色表示を行うことができる。
【0130】
すなわち、本発明に係るエレクトロクロミック化合物(以下、EC化合物と略す)とは、電気化学的な酸化還元によって、物質の光学吸収の性質(色や光透過度)が可逆的に変化する現象(エレクトクロミズム)を呈する化合物であれば、いかなる化合物を用いても良い。具体的な化合物としては、「エレクトロクロミックディスプレイ」(平成3年6月28日刊、産業図書株式会社)p27−124、「クロミック材料の開発」(2000年11月15日刊、株式会社シーエムシー)p81−95等に記載の化合物を挙げることができる。
【0131】
本発明の表示素子においては、特に、対向電極の駆動操作により、黒表示、白表示、黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うため、対向電極間にエレクトロクロミック化合物として前記一般式(A)で表される化合物と、少なくとも銀または銀を化学構造中に含む化合物を含む電解質と白色散乱層とを有し、かつ該対向電極の駆動操作により、黒表示、白表示、黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行う方式をとることが好ましい。
【0132】
以下、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
【0133】
前記一般式(A)において、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。
【0134】
一般式(A)において、R1、R2、R3で表される置換基の具体例としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、アミド基(例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)、オキザモイル基等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
【0135】
1は、置換もしくは無置換のアリール基であり、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
【0136】
2及びR3として好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基であり、より好ましくは、R2及びR3のいずれか一方がフェニル基、他方がアルキル基、更に好ましくはR2及びR3の両方がフェニル基である。
【0137】
Xとして好ましくは>N−R4である。R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
【0138】
以下に、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の具体的化合物例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0139】
【化8】

【0140】
【化9】

【0141】
【化10】

【0142】
【化11】

【0143】
【化12】

【0144】
【化13】

【0145】
【化14】

【0146】
【化15】

【0147】
【化16】

【0148】
【化17】

【0149】
【化18】

【0150】
【化19】

【0151】
【化20】

【0152】
【化21】

【0153】
〈吸着性基〉
本発明の表示素子においては、本発明に係る一般式(A)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する基を有していることが好ましい。
【0154】
本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
【0155】
本発明に係る吸着性基は、化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P−O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
〜0.5gが用いられる。
【0156】
〔基材〕
本発明で用いることのできる基材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0157】
〔表示側電極〕
また、本発明の表示素子において、表示側電極としては透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0158】
電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
【0159】
〔非表示側電極〕
本発明の表示素子においては、表示素子の応答性と耐久性を向上させる観点から、非表示側電極として本発明に係る基材上に導電性微粒子を付与した電極を適用することが好ましい。
【0160】
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子では、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
【0161】
シール剤は電解質が外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
【0162】
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
【0163】
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
【0164】
〔スクリーン印刷〕
本発明においては、シール剤、柱状構造物、電極パターン等をスクリーン印刷法で形成することもできる。スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを基板の電極面上に被せ、スクリーン上に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。次に、転写された材料を加熱硬化、乾燥させる。スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂に限られず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶剤に溶解するなどしてペースト状にして用いることが望ましい。
【0165】
以上のようにして柱状構造物等を基板上に形成した後は、所望によりスペーサーを少なくとも一方の基板上に付与し、一対の基板を電極形成面を対向させて重ね合わせ、空セルを形成する。重ね合わせた一対の基板を両側から加圧しながら加熱することにより、貼り合わせて、表示セルが得られる。表示素子とするには、基板間に電解質組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、一方の基板に電解質組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
【0166】
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子において、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物がない場合は、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行なうことが好ましい。この駆動操作を行なうことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121ページに詳しい解説がある。本発明の表示素子も電極と電解質中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、本発明のように黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行なえると推定される。
【0167】
また、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物がある場合、本発明の表示素子の透明状態及び着色状態の制御方法は、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の酸化還元電位や銀イオンの析出過電圧を基に決められることが好ましい。
【0168】
例えば、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物と銀化合物を対向電極間に有する表示素子の場合、酸化側で黒以外の着色状態を示し、還元側で黒色状態を示す。この場合の制御方法の一例としては、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の酸化還元電位より貴な電圧を印加することで一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物を酸化し黒以外の着色状態を示し、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の酸化還元電位と銀化合物の析出過電圧の間の電圧を印加することで一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物を還元し白色状態に戻し、銀化合物の析出過電圧より卑な電圧を印加することで銀を電極上に析出させ黒色状態を示し、析出した銀の酸化電位と一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の酸化還元電位の間の電圧を印加することで析出した銀を溶解して消色する方法が挙げられる。
【0169】
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
【0170】
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
【実施例】
【0171】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0172】
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製:本発明〕
(電極の作製)
〈非表示側電極1の作製〉
2cm×4cmサイズのガラス(ガラス厚み1.5mm)表面に公知の方法で、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子を、厚さが5μmになるように散布した後、その上に、金をスパッタ法で厚さ80nmとなるようにして付与して導電性部Bを形成し、導電性微粒子Bを有する非表示側電極1を作製した。
【0173】
〈表示側電極1の作製〉
公知の方法で、2cm×4cmサイズのアルカリガラス(厚み1.5mm)表面に、ITO(Indium Tin Oxide インジウム錫酸化物)膜を厚さみ800nmとなるように付与して、表示側電極1を作製した。
【0174】
(電解液1の調製)
γブチロラクトン2.5g中に、p−トルエンスルホンサン銀を75mgと、2−メルカプトベンズイミダゾール(例示化合物2−19)を150mg添加、混合して、電解液1を調製した。この電解液の[X]/[Ag]=0である。
【0175】
(白色散乱物分散液1の調製)
ポリビニルアルコール(重量平均分子量3000)を2%含む水溶液中に、酸化チタンを20質量%相当添加した後、超音波分散機で分散させて、白色散乱物分散液1を調製した。
【0176】
(表示素子の作製)
上記導電性微粒子B層を備えた非表示側電極1に、上記白色散乱物分散液1をブレードコーターで塗布して、80℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの白色散乱層を形成した。次いで、上記表示側電極1のITO付与面側を白色散乱層側にして、非表示側電極1と重ねて、端部をシール材で貼り合わせた後、加熱加圧して空セルを作製した。次いで、この空セルに上記電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止して、表示素子1を作製した。
【0177】
〔表示素子2の作製:本発明〕
上記表示素子1の作製において、非表示側電極1に代えて、下記の方法に従って作製した非表示側電極2を用いた以外は同様にして、表示素子2を作製した。
【0178】
(非表示側電極2の作製)
2cm×4cmサイズのガラス(ガラス厚み1.5mm)表面に公知の方法で、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子を、厚さが5μmになるように散布した。
【0179】
次いで、ジビニルベンゼン微粒子を付与したガラス基材を、60℃に加温した下記無電解金メッキ液1に浸漬して、浸漬時間を制御してジビニルベンゼン微粒子表面に金薄膜の厚さ80nmの導電性部Bを形成し、金薄膜が形成された基板表面を、純水で、充分に洗浄、乾燥して、導電性微粒子Bを有する非表示側電極2を作製した。
【0180】
〈無電解金メッキ液1〉
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
を溶解した均一水溶液
〔表示素子3の作製:本発明〕
上記表示素子2の作製において、非表示側電極2に代えて、下記の方法に従って作製した非表示側電極3を用いた以外は同様にして、表示素子3を作製した。
【0181】
(非表示側電極3の作製)
上記非表示側電極2の作製において、無電解金メッキ処理を行う前に、下記の無電解メッキ触媒液1に、ジビニルベンゼン微粒子を付与したガラス基材を浸漬して、ジビニルベンゼン微粒子表面に触媒としてパラジウムを付与した以外は同様にして、非表示側電極3を作製した。
【0182】
〈無電解メッキ触媒液1〉
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム、Pd2+濃度1.0g/L) 20質量%
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
〔表示素子4の作製:本発明〕
(電極の作製)
〈非表示側電極4の作製〉
平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子(コア粒子A)を、60℃に加温した前記無電解金メッキ液1に添加して、攪拌時間を制御してジビニルベンゼン微粒子(コア粒子A)表面に、導電性部Aとして厚さ80nmの金薄膜を無電解メッキし、純水で充分に洗浄、乾燥して、導電性微粒子4Aを作製した。
【0183】
2cm×4cmサイズのガラス(ガラス厚み1.5mm)表面に、スピンコータを用いて、粘着層として熱硬化性樹脂を厚さ1μmとなるように塗設した後、上記調製した導電性微粒子4Aを、導電性微粒子層Aの膜厚として5μmとなるように散布した後、加熱して導電性微粒子を固定させ、非表示側電極4を作製した。
【0184】
〈表示側電極〉
表示素子1の作製に用いた表示側電極1を使用した。
【0185】
(表示素子の作製)
上記導電性微粒子層Aを備えた非表示側電極4に、表示素子1の作製に用いた白色散乱物分散液1をブレードコーターで塗布して、80℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの白色散乱層を形成した。次いで、表示側電極1のITO付与面側を白色散乱層側にして、非表示側電極4と重ねて、端部をシール材で貼り合わせた後、加熱加圧して空セルを作製した。次いで、この空セルに表示素子1の作製に用いた電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止して、表示素子4を作製した。
【0186】
〔表示素子5の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製において、非表示側電極4に代えて、下記の方法に従って作製した非表示側電極5を用いた以外は同様にして、表示素子5を作製した。
【0187】
〈非表示側電極5の作製〉
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、無電解金メッキ液1のメッキ金属であるジシアノ金カリウムに代えて、硝酸銀を用いて、ジビニルベンゼン微粒子(コア粒子A)表面に、導電性部Aとして厚さ80nmの銀薄膜をメッキした以外は同様にして導電性微粒子5Aを調製した。
【0188】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子5Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極5を作製した。
【0189】
〔表示素子6の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製において、非表示側電極4に代えて、下記の方法に従って作製した非表示側電極6を用いた以外は同様にして、表示素子6を作製した。
【0190】
〈非表示側電極6の作製〉
上記表示素子4に用いた導電性微粒子4Aの調製において、無電解金メッキ処理を行う前に、下記の無電解メッキ触媒液1に、ジビニルベンゼン微粒子を浸漬して、ジビニルベンゼン微粒子表面に触媒としてパラジウムを付与した以外は同様にして、導電性微粒子6Aを作製した。
【0191】
〈無電解メッキ触媒液1〉
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム、Pd2+濃度1.0g/L) 20質量%
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子6Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極6を作製した。
【0192】
〔表示素子7の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製に用いたコア粒子Aとしてジビニルベンゼン微粒子を用いた導電性微粒子4Aに代えて、コア粒子Aとしてポリテトラフルオロエチレン微粒子(PTFE、平均粒径680nm)を用いた以外は同様にして、導電性微粒子7Aを作製した。
【0193】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子7Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極7を作製した。
【0194】
〔表示素子8の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製に用いたコア粒子Aとしてジビニルベンゼン微粒子を用いた導電性微粒子4Aに代えて、コア粒子Aとしてアルミナ微粒子(平均粒径550nm)を用いた以外は同様にして、導電性微粒子8Aを作製した。
【0195】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子8Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極8を作製した。
【0196】
〔表示素子9の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製に用いたコア粒子Aとしてジビニルベンゼン微粒子を用いた導電性微粒子4Aに代えて、コア粒子Aとして酸化スズ微粒子(平均粒径750nm)を用いた以外は同様にして、導電性微粒子9Aを作製した。
【0197】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子9Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極9を作製した。
【0198】
〔表示素子10の作製:本発明〕
上記表示素子4の作製に用いたコア粒子Aとしてジビニルベンゼン微粒子を用いた導電性微粒子4Aに代えて、コア粒子Aとしてカーボンブラック微粒子(平均粒径620nm)を用いた以外は同様にして、導電性微粒子10Aを作製した。
【0199】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子10Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極10を作製した。
【0200】
〔表示素子11の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子に代えて、平均粒径が4420nmのジビニルベンゼン微粒子に変更した以外は同様にして、導電性微粒子11Aを作製した。
【0201】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子11Aを用い、導電性微粒子層を単一粒子層(厚さ4.5μm)で形成した以外は同様にして、非表示側電極11を作製した。
【0202】
〔表示素子12の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子に代えて、平均粒径が2120nmのジビニルベンゼン微粒子に変更し、導電性微粒子層の膜厚を4.4μmに変更した以外は同様にして、導電性微粒子12Aを作製した。
【0203】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子12Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極12を作製した。
【0204】
〔表示素子13の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子に代えて、平均粒径が520nmのジビニルベンゼン微粒子に変更した以外は同様にして、導電性微粒子13Aを作製した。
【0205】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子13Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極13を作製した。
【0206】
〔表示素子14の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、導電部Aの厚さを80nmから15nmに変更した以外は同様にして、導電性微粒子14Aを作製した。
【0207】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子14Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極14を作製した。
【0208】
〔表示素子15の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、導電部Aの厚さを80nmから50nmに変更した以外は同様にして、導電性微粒子15Aを作製した。
【0209】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子15Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極15を作製した。
【0210】
〔表示素子16の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、導電部Aの厚さを80nmから100nmに変更した以外は同様にして、導電性微粒子16Aを作製した。
【0211】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子16Aを用いた以外は同様にして、非表示側電極16を作製した。
【0212】
〔表示素子17の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子に代えて、平均粒径が185nmのジビニルベンゼン微粒子を用い、導電部の厚さを15nmに変更した以外は同様にして、導電性微粒子17Aを作製した。
【0213】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子17Aを用い、導電性微粒子層の膜厚を0.8μmに変更した以外は同様にして、非表示側電極17を作製した。
【0214】
〔表示素子18の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子層の膜厚を3.0μmに変更した以外は同様にして、非表示側電極18を作製した。
【0215】
〔表示素子19の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製に用いた導電性微粒子4Aの調製において、平均粒径が900nmのジビニルベンゼン微粒子に代えて、平均粒径が1580nmのジビニルベンゼン微粒子を用いた以外は同様にして、導電性微粒子19Aを作製した。
【0216】
上記非表示側電極4の作製において、導電性微粒子4Aに代えて上記導電性微粒子19Aを用い、導電性微粒子層の膜厚を8.5μmに変更した以外は同様にして、非表示側電極19を作製した。
【0217】
〔表示素子20の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、対向電極間より白色散乱層を除いた以外は同様にして、非表示側電極20を作製した。
【0218】
〔表示素子21の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に添加した2−メルカプトベンズイミダゾール(例示化合物2−19)を、同量の例示化合物1−2に変更した以外は同様にして、非表示側電極21を作製した。
【0219】
〔表示素子22の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に添加した2−メルカプトベンズイミダゾール(例示化合物2−19)を、同量の例示化合物2−12に変更した以外は同様にして、非表示側電極22を作製した。
【0220】
〔表示素子23の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に添加した2−メルカプトベンズイミダゾール(例示化合物2−19)を、同量の例示化合物2−18に変更した以外は同様にして、非表示側電極23を作製した。
【0221】
〔表示素子24の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に[X]/[Ag]が0.001となるようにヨウ化ナトリウムを添加した以外は同様にして、非表示側電極24を作製した。
【0222】
〔表示素子25の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に[X]/[Ag]が0.005となるようにヨウ化ナトリウムを添加した以外は同様にして、非表示側電極25を作製した。
【0223】
〔表示素子26の作製:本発明〕
上記非表示側電極4の作製において、電解質に[X]/[Ag]が0.01となるようにヨウ化ナトリウムを添加した以外は同様にして、非表示側電極26を作製した。
【0224】
〔表示素子27の作製:本発明〕
(非表示側電極27の作製)
前記非表示側電極4A上に、下記インク液1を、ピエゾヘッドを有するインクジェット装置にて、120dpiで付与し、非表示側電極28を作製した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
【0225】
〈インク液1の調製〉
例示化合物A−42を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク1液を調製した。
【0226】
(電解液2の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液2を得た。
【0227】
(表示素子の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした上記非表示側電極28の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、非表示側電極28と前記表示側電極1を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液2を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子27を作製した。
【0228】
〔表示素子28の作製:本発明〕
上記表示素子27の作製において、非表示側電極27の作製に用いたインク液1に代えて、下記インク液2を用いた以外は同様にして非表示側電極28を作製し、非表示側電極27に代えて、非表示側電極28を用いた以外は同様にして、表示素子28を作製した。
【0229】
〈インク液2の調製〉
例示化合物A−113を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液2を調製した。
【0230】
〔表示素子29の作製:比較例〕
上記非表示素子4の作製において、非表示側電極4に代えて、2cm×4cmサイズのガラス(ガラス厚み1.5mm)表面に公知の方法で、ITO(Indium Tin Oxide インジウム錫酸化物)膜を厚さみ500nmとなるように付与して作製した非表示側電極29を用いた以外は同様にして、表示素子29を作製した。
【0231】
〔表示素子30の作製:比較例〕
上記非表示素子4の作製において、非表示側電極4に代えて、2cm×4cmサイズのガラス(ガラス厚み1.5mm)表面に公知の方法で、カーボンブラックを3質量%含有するエポシキ樹脂を厚さみ500nmとなるように付与して作製した非表示側電極30を用いた以外は同様にして、表示素子30を作製した。
【0232】
以上により得られた表示素子1〜30の構成上の特徴を表1に示す。
【0233】
【表1】

【0234】
なお、表1に略称で記載した項目の詳細は、以下の通りである。
【0235】
〈導電性微粒子タイプ〉
A:請求項1で規定する方法で調製した導電性微粒子
B:請求項9で規定する方法で調製した導電性微粒子
〈コア粒子材質〉
DBB:ジビニルベンゼン
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
C:カーボンブラック
《表示素子の評価》
上記作製した各表示素子について、下記の評価を行った。
【0236】
(表示速度の評価)
上記で作製した各表示素子に1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させた後に、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加させてグレーを表示させ、550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。測定した反射率をRGrayとし、RGrayを表示速度の指標とした。表示素子30のRGray値を1とした相対値で表示し、RGrayが低いほど表示素子の相対表示速度が速いことを表す。
【0237】
(繰り返し耐久性の評価)
上記作製した表示素子について、下記の方法に従って繰り返し耐久性の評価を行った。
【0238】
各表示素子に対して、コニカミノルタセンシング社製分光測色計CM−3700dの550nmの反射率が10%となる様な駆動条件を求めた後、該駆動条件で白化−黒化を10000回駆動させた。
【0239】
その後再度黒化させ、測定した表示素子30の黒反射率の数値を1とした相対値を求め、数値がが低いほど電極耐久性が優れていることを示す。
【0240】
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0241】
【表2】

【0242】
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の表示素子は、比較例に対し、表示速度が速く、繰り返し駆動時の耐久性もよく、白色散乱層の剥離もない優れた表示素子であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に導電性微粒子が付与された構成であることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記電解質は、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の表示素子。
【請求項3】
前記電解質が、エレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
【請求項4】
前記導電性微粒子は、ジビニルベンゼン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アルミナ、酸化スズ及びカーボンから選ばれる少なくとも1種で構成されるコア粒子の表面に、金または銀による化学メッキ処理で導電性部が被覆された構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項5】
前記コア粒子は、表面に触媒を担持していることを特徴とする請求項4に記載の表示素子。
【請求項6】
前記導電性微粒子の平均直径は、500nm以上、5000nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項7】
前記コア粒子を被覆している前記導電性部の平均厚みは、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項8】
前記導電性微粒子により形成された導電性微粒子層の平均膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項9】
1対の対向電極間に少なくとも電解質を有し、いずれか一方の電極は、基材上に樹脂微粒子を付与した後、該樹脂微粒子表面に導電性部を付与して形成されたことを特徴とする表示素子。
【請求項10】
前記電解質は、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有することを特徴とする請求項9記載の表示素子。
【請求項11】
前記電解質が、エレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とする請求項9または10に記載の表示素子。
【請求項12】
前記樹脂微粒子は、表面に触媒を担持していることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項13】
前記基材上に付与した樹脂微粒子表面に、金または銀による化学メッキ処理で導電性部を付与することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項14】
前記樹脂微粒子の表面に導電性部を有する導電性微粒子の平均粒径が、500nm以上、5000nm以下であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項15】
前記樹脂微粒子を被覆している前記導電性部の平均厚みは、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項16】
表面に導電性部を有する前記樹脂微粒子により形成された導電性微粒子層の平均膜厚は、0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項17】
前記対向電極間に、白色散乱層を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項18】
前記電解質が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
一般式(1)
7−S−R8
〔式中、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。但し、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
【化1】

〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同一でも異なっていてもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
【請求項19】
前記電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下記式〔1〕で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の表示素子。
式〔1〕
0≦[X]/[Ag]≦0.01
【請求項20】
前記エレクトロクロミック化合物として、下記一般式(A)で表される化合物を含有し、かつ前記対向電極間に、白色散乱層を有し、該対向電極の駆動操作により、黒表示、白表示、黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする請求項3または11に記載の表示素子。
【化2】

〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕

【公開番号】特開2009−180985(P2009−180985A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20539(P2008−20539)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】