説明

表示装置、表示装置の制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示できる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るテレビジョン受像機10は、映像の画質を調整し、調整された映像を表示部111に表示させる画質調整部112と、映像の信号の統計値と、画質調整部112が画質を調整するための設定値との対応情報を予め記憶する記憶部113と、表示部111が表示すべき映像の信号から統計値を取得する統計値取得部114と、統計値取得部114が取得した統計値に対応する設定値を、記憶部113の対応情報から取得し、取得した設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示する調整指示部115とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示する表示装置、表示装置の制御方法、プログラム及びプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、良好な画質を実現するためにコンテンツ又は使用環境に応じて画質設定を変更する技術が提案されている。番組の再生時にユーザの好み等に応じて、画質を補正する技術として例えば特許文献1〜3が報告されている。
【0003】
特許文献1には、画質パラメータの異なる複数のサンプル画像を提示して、ユーザに所望のサンプル画像を選択させることにより、画質パラメータを決定する画質表示装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、画質が異なるサンプル動画像をユーザに選択させて画質を決定するテレビジョン受像機が記載されている。
【0005】
特許文献3には、現在テレビ放送されている番組に対するトピック及びテーマ情報のような特性を判定し、オーディオ及びビデオ設定値のようなデータを、記憶ユニットに格納されている予め定義された最適受像機特性の表に適合させるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−147828号公報(2007年6月14日公開)
【特許文献2】特開2001−119644号公報(2001年4月27日公開)
【特許文献3】特開2001−515675号公報(2001年9月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ユーザの画質への好みは視聴する番組のジャンル等で異なる場合が多く、さらにはジャンル内においてもシーン毎に好みの画質が異なる場合がある。例えば、スポーツ番組を視聴している場合、野球のシーンよりもサッカーのシーンの方が色の濃い表示を好む場合がある。特許文献1〜3の技術では、視聴する番組のシーン毎にユーザの好みに応じて画質を調整するものではない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示できる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示装置は、上記課題を解決するために、
映像を表示する表示部を備える表示装置であって、
上記映像の画質を調整し、調整された映像を上記表示部に表示させる画質調整部と、
上記映像の信号の統計値と、上記画質調整部が上記画質を調整するための設定値との対応情報を予め記憶する記憶部と、
上記表示部が表示すべき映像の信号から上記統計値を取得する統計値取得手段と、
上記統計値取得手段が取得した統計値に対応する上記設定値を、上記記憶部の対応情報から取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示する調整指示手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る表示装置の制御方法は、上記課題を解決するために、
映像を表示する表示部と、該映像の画質を調整し、調整された映像を上記表示部に表示させる画質調整部とを備える表示装置の制御方法であって、
上記表示部が表示すべき映像の信号の統計値を取得する統計値取得ステップと、
上記映像の信号の統計値と、上記画質調整部が上記画質を調整するための設定値との対応情報が記憶された記憶部を参照して、上記統計値取得ステップにて取得された統計値に対応する上記設定値を取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように画質調整部に指示する調整指示ステップとを含むことを特徴としている。
【0011】
ところで、例えば、スポーツ番組において、水泳のシーンでは、水の映像部分が多いため、青色の割合が多く、全体の輝度値が比較的低い。また、サッカーのシーンでは、芝生の映像部分が多いため、緑色の割合が多く、全体の輝度値が比較的高い。また、マラソンのシーンでは、日中の公道の映像部分が多いため、灰色の割合が多く、全体の輝度値が真ん中付近である。このことから、映像のシーンは、輝度信号、色信号、RGB信号など、映像の各種信号の統計値によって異なることが予想される。
【0012】
そこで、本発明の上記の構成によれば、表示部に映像を表示するとき、表示すべき映像の信号から、当該映像の信号の統計値を取得し、取得した統計値に対応する設定値によって画質が調整された映像が表示される。これにより、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示することができる。
【0013】
なお、映像の信号の統計値としては、例えば、映像の輝度信号の平均値を統計した値などが挙げられる。
【0014】
また、対応情報における設定値は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、当該設定値は、例えばユーザにより設定された値であってもよい。例えば、映像の画質を調整するとき、ユーザによって設定された設定値で画質を調整することが可能であれば、ユーザの好みに適した画質に調整された映像を表示することができる。
【0015】
また、本発明に係る表示装置では、
ユーザからの指示を受け付ける受付部と、
上記対応情報を上記記憶部に登録する登録手段とをさらに備えており、
該登録手段は、上記ユーザからの指示に基づく設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示し、上記ユーザからの指示に基づき、上記設定値を決定し、決定した設定値と、上記統計値取得手段が取得した統計値との対応情報を上記記憶部に記憶することが好ましい。
【0016】
例えば、スポーツ番組において、ユーザは水泳のシーンでは人の肌の映像が表示される頻度が高いため、肌がより鮮やかな色で表示されるように調整したい場合がある。そこで、本発明の上記の構成によれば、ユーザは、映像が所望の画質に調整されるように指示を与え得るので、好みの画質に調整された映像を見ることができる。
【0017】
また、ユーザからの指示を受け付けたとき、登録手段は当該指示に基づき設定値を決定し、決定した設定値と統計値との対応情報を記憶部に記憶する。つまり、記憶部には、ユーザの好みに調整した設定値が、調整した際の映像の信号の統計値との対応情報として記憶される。これにより、新たに映像を表示する場合に、その都度ユーザが調整しなくとも、自動的にユーザの好みに応じた画質に調整された映像を表示することができる。
【0018】
また、本発明に係る表示装置では、
上記登録手段は、上記統計値取得手段が取得対象とした映像の縮小画像を、上記対応情報に対応付けて上記記憶部に記憶することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、統計値取得手段が取得対象とした映像の縮小画像が対応情報に対応付けて記憶されているので、表示部に取得対象とした映像を表示する際、複数の映像が記憶されているのであれば、縮小画像を一覧表示することができる。すなわち、ユーザが統計値取得手段により取得対象とされた映像を確認する際、1つずつではなく、縮小画像を一覧表示させて確認することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る表示装置では、
上記登録手段は、上記ユーザからの指示に基づき選択された対応情報および縮小画像を上記記憶部から読み出し、読み出した縮小画像を、読み出した対応情報の設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示することが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザが表示装置に対して統計値取得手段が取得対象とした映像の画質を調整する指示を入力したとき、表示部には当該映像の縮小画像が表示されるので、ユーザは所望の画像を即座に見つけることができる。
【0022】
また、登録手段は、ユーザにより選択された縮小画像の画質を選択された対応情報の設定値で調整するように画質調整部に指示するので、過去に調整された映像の画質を編集することができる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置では、
上記記憶部は、上記対応情報を、上記映像のジャンルごとに記憶しており、
上記表示部が表示すべき映像の上記ジャンルの情報を取得するジャンル取得手段をさらに備えており、
上記調整指示手段は、上記ジャンル取得手段が取得したジャンルと、上記統計値取得手段が取得した統計値とに対応する上記設定値を、上記記憶部の対応情報から取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示することが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、調整指示手段が画質調整部に画質の調整を指示する際、映像のジャンルごとに記憶された対応情報から取得した設定値で調整されるよう指示する。これにより、ジャンル毎にユーザの好みに対応した画質によって映像を表示することができる。
【0025】
また、本発明に係る表示装置では、上記統計値は、閾値以下である上記映像の輝度信号の累積度数であることが好ましい。例えば、暗いシーンの映像の画質を調整する場合、当該映像の輝度信号の累積度数に対応する設定値で画質を調整することにより、暗いシーンでも階調つぶれのない映像を表示することができる。
【0026】
なお、上記表示装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記表示装置をコンピュータにおいて実現するプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る表示装置は、以上のように、映像を表示する表示部を備える表示装置であって、上記映像の画質を調整し、調整された映像を上記表示部に表示させる画質調整部と、上記映像の信号の統計値と、上記画質調整部が上記画質を調整するための設定値との対応情報を予め記憶する記憶部と、上記表示部が表示すべき映像の信号から上記統計値を取得する統計値取得手段と、上記統計値取得手段が取得した統計値に対応する上記設定値を、上記記憶部の対応情報から取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示する調整指示手段とを備えるので、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る表示装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る表示装置の一実施形態における画質調整の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであり、図4の(a)は、スポーツ番組に関連付けられた画質の初期値を示す図であり、図4の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであり、図5の(a)は、「水泳」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図5の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであり、図6の(a)は、「サッカー」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図6の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態を示すものであり、図7の(a)は、「マラソン」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図7の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであり、図8の(a)は、「野球」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図8の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【図9】本発明に係る表示装置の一実施形態において、統計値の一例としてヒストグラムを用いたところを示す図である。
【図10】本発明に係る表示装置の一実施形態における自動画質調整の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る表示装置の一実施形態において、記憶部に記録された対応情報の一例を示す図である。
【図12】ジャンル毎に好みの画質を選択する画面の表示例を示す図である。
【図13】図12に示す画面において選択された、ジャンル毎の画質の設定値を示す図である。
【図14】本発明に係る表示装置の一実施形態における再編集機能の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る表示装置の一実施形態において、ユーザが画質を再編集する際の画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る表示装置の一実施形態について、図1〜15を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では本発明を実施するために好ましい種々の限定が付与さえているが、本発明の技術的範囲は以下の実施の形態及び図面の記載に限定されるものではない。
【0030】
(テレビジョン受像機10の概要)
まず、図2を用いて、本発明に係る表示装置を備えたテレビジョン受像機の構成の概要を説明する。図2は、テレビジョン受像機10の構成を模式的に示すブロック図である。
【0031】
図2において、テレビジョン受像機10(表示装置)は、例えば、画面サイズ16:9(1920×1010ドット)のディスプレイ22(表示部)を備えている。テレビジョン受像機10は、バス8に接続されたCPU6及びメモリ7を備えており、テレビジョン受像機10の動作は、CPU6及びメモリ7に記録された各種の制御プログラムにより制御される。すなわち、本実施形態のテレビジョン受像機10は、CPU6を含むコンピュータ・システムによって制御されており、テレビジョン受像機10をコンピュータによって動作させるためのプログラムはメモリ7に記録されている。
【0032】
テレビジョン受像機10はデジタルチューナー部14及びアナログチューナー部12を備えており、デジタル放送及びアナログ放送のいずれも受信可能である。また、外部入力部31には、HDD又はSDカードなどの固体メモリ、BD(ブルーレイディスク)、DVD又はCDなどのディスク装置、及び種々の外部機器30が接続可能であり、テレビジョン受像機10の本体内にもBD/DVD/CDの記録/再生部32が内蔵されている。また、IP放送チューナー部23を備えており、IP放送の受信も可能である。
【0033】
テレビジョン受像機10は、この他、AVスイッチ部13、デジタル復調部15、分離部(DMUX)16、ビデオデコード/キャプチャ部17、ビデオセレクタ部18、映像処理部19(映像処理手段)、加算回路20、表示制御部21、ディスプレイ22(表示部)、EPG/OSD/予約処理部24、オーディオデコード部25、オーディオセレクタ部26、音声出力変換部27、スピーカ28、選局部33、通信制御部34、リモコン受光部35及びOPCセンサ38を備えている。
【0034】
(テレビジョン受像機10の要部構成)
続いて、テレビジョン受像機10の要部構成について、図1を参照して説明する。図1は、テレビジョン受像機10の要部構成を示すブロック図である。
【0035】
図1において、画質制御部100はテレビジョン受像機10に備えられ、表示部111に表示させる映像の画質を調整する。画質制御部100は、画質調整部112、記憶部113、統計値取得部114(統計値取得手段)、調整指示部115(調整指示手段)、登録部116(登録手段)及びジャンル取得部117(ジャンル取得手段)を含む。
【0036】
画質制御部100は、表示部111に表示させる映像の画質を補正する。具体的には、表示部111が表示すべき映像の信号から当該信号の統計値を取得し、当該統計値と対応付けられた、画質を調整するための設定値で画質を調整し、調整された映像が表示部111に表示される。
【0037】
ところで、例えば、スポーツ番組において、水泳のシーンでは、水の映像部分が多いため、青色の割合が多く、全体の輝度値が比較的低い。また、サッカーのシーンでは、芝生の映像部分が多いため、緑色の割合が多く、全体の輝度値が比較的高い。また、マラソンのシーンでは、日中の公道の映像部分が多いため、灰色の割合が多く、全体の輝度値が真ん中付近である。このことから、映像のシーンは、輝度信号、色信号、RGB信号など、映像の各種信号の統計値によって異なることが予想される。
【0038】
そこで、本発明の上記の構成によれば、表示部111に映像を表示するとき、表示すべき映像の信号から、当該映像の信号の統計値を取得し、取得した統計値に対応する設定値によって画質が調整された映像が表示される。これにより、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示することができる。
【0039】
なお、映像の信号の統計値としては、例えば、映像の輝度信号の平均値を統計した値などが挙げられる。また、統計値は、閾値以下である映像の輝度信号の累積度数であってもよい。例えば、暗いシーンの映像の画質を調整する場合、当該映像の輝度信号の累積度数に対応する設定値で画質を調整することにより、暗いシーンでも階調つぶれのない映像を表示することができる。また、設定値としては、例えば、「ホワイトレベル」、「カラー(色の濃さ)」、「ブラックレベル」、「ティント(色合い)」、「バックライト」などの各種画質設定用のパラメータの値が含まれる。
【0040】
画質調整部112は、通信部118から受信した映像の画質を調整し、調整された映像を表示部111に出力する。このとき、画質調整部112は、調整指示部115から指示された設定値で画質を調整する。なお、画質調整部112が映像の画質を調整する際、例えば、当該映像からあるシーンの静止画を取得し、この静止画を利用して調整してもよい。画質調整部112による画質調整の詳細は後述する。また、通信部118は、上述のデジタルチューナー部14、アナログチューナー部12又はIP放送チューナー部23など映像を受信する各種のブロックを含む。
【0041】
記憶部113(メモリともいう)は、映像の信号の統計値と、画質調整部112が画質を調整するための設定値との対応情報を記憶する。具体的には、統計値取得部114が取得した統計値と設定値とを対応付けて、対応情報として記憶している。なお、記憶部113が記憶する設定値は1つであってもよいし、複数であってもよい。また、設定値は、ユーザにより設定された値であってもよい。例えば、映像の画質を調整するとき、ユーザによって設定された設定値で画質を調整することが可能であれば、ユーザの好みに適した画質に調整された映像を表示することができる。
【0042】
統計値取得部114は、表示部111が表示すべき映像の信号から統計値を取得し、記憶部113に送る。
【0043】
調整指示部115は、統計値取得部114が取得した統計値に対応する設定値を、記憶部113の対応情報から取得し、取得した設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示する。
【0044】
登録部116は、対応情報を記憶部113に登録する。具体的には、登録部116は、まず、リモコン受光部119(受付部)において受け付けたユーザからの指示に基づく設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示し、ユーザからの指示に基づき、設定値を決定する。そして、決定した設定値と、統計値取得部114が取得した統計値との対応情報を記憶部113に記憶する。
【0045】
なお、登録部116は、統計値取得部114が取得対象とした映像の縮小画像を、対応情報に対応付けて記憶部113に記憶することが好ましい。これにより、表示部111に取得対象とした映像を表示する際、複数の映像が記憶されているのであれば、縮小画像を一覧表示することができる。すなわち、ユーザが統計値取得部114により取得対象とされた映像を確認する際、1つずつではなく、縮小画像を一覧表示させて確認することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0046】
また、登録部116は、ユーザからの指示に基づき選択された対応情報および縮小画像を記憶部113から読み出し、読み出した縮小画像を、読み出した対応情報の設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示することが好ましい。これにより、ユーザがテレビジョン受像機10に対して統計値取得部114が取得対象とした映像の画質を調整する指示を入力したとき、表示部111には当該映像の縮小画像が表示されるので、ユーザは所望の画像を即座に見つけることができる。さらに、登録部116は、ユーザにより選択された縮小画像の画質を選択された対応情報の設定値で調整するように画質調整部112に指示するので、過去に調整された映像の画質を編集することができる。
【0047】
ジャンル取得部117は、表示部111が表示すべき映像のジャンルの情報を取得する。具体的には、ジャンル取得部117は、映像を受信した通信部118から、その映像のジャンルの情報を判別して取得する。
【0048】
例えば、デジタル放送においては、ジャンル情報が大分類、中分類と分類されて関連付けられている。大分類としては、例えば、「ニュース/報道」、「情報/ワイドショー」、「バラエティ」、「映画」、「スポーツ」等がある。中分類としては、例えば大分類が「ニュース/報道」の場合は「定時・総合」、「ローカル/地域」、「天気」等がある。一般に一つの放送番組には、複数の大分類のジャンル情報が関連付けられている。例えば、スポーツニュースの場合は「ニュース/報道」、「スポーツ」の大分類のジャンル情報が関連付けられており、さらに、これらに属する中分類のジャンル情報がいくつか関連付けられている。ジャンル取得部117は、通信部118が、これらのジャンルが関連付けられた映像を受信したときに、当該映像に関連付けられたジャンルの情報を取得する。ここで、取得するジャンルの情報は、当該映像に関連付けられたジャンルの情報の一部でもよいし全部でもよい。また、ジャンル取得部117は、後述するように映像のフレーム周波数等から、例えば、フィルム由来であるか否か等を判断することもできる。
【0049】
なお、本実施形態ではテレビジョン受像機10が受信する映像がデジタル放送である場合について説明するが、アナログ放送でも同様の処理が可能である。つまり、アナログ放送の場合は、音声解析及び画像解析等を行なって番組の種類を表すキーワードをジャンル情報として抽出することによって、ジャンル情報を取得することが可能である。
【0050】
また、記憶部113は対応情報を映像のジャンルごとに記憶し、調整指示部115は、ジャンル取得部117が取得したジャンルと、統計値取得部114が取得した統計値とに対応する設定値を記憶部113の対応情報から取得し、取得した設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示することが好ましい。これにより、調整指示部115が画質調整部112に画質の調整を指示する際、映像のジャンルごとに記憶された対応情報から取得した設定値で調整されるよう指示する。これにより、ジャンル毎にユーザの好みに対応した画質によって映像を表示することができる。
【0051】
なお、表示部111は、図1に示すようにテレビジョン受像機10に内蔵されている、例えば液晶表示パネルなどのディスプレイ22であってもよいし、表示装置とは別体のものであってもよい。例えば、外付けのディスプレイを表示部111として利用するデスクトップコンピュータなども本発明の技術的範疇に含まれる。
【0052】
(テレビジョン受像機10の詳細)
次に、テレビジョン受像機10が備える各ブロックの機能について、それぞれ以下に説明する。
【0053】
CPU6は、上述したように、テレビジョン受像機10の各種動作を制御する。
【0054】
メモリ7は、CPU6を動作させるためのOS又は各種の制御ソフトなどを記録し、放送波を介して受信した電子番組表(EPG;Electronic Program Guide)データ等の番組情報に関するデータ、及びOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)表示する際に必要となるOSD用の画像データなどを記録している。メモリ7は、通常、RAMによって構成されるが、一部にROMを含んでいてもよく、各種制御動作に必要なワークメモリとして働くワーク領域を有している。
【0055】
アナログチューナー部12は、アナログ放送受信用のアンテナ11を介して受信するアナログテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて選局を行なう。アナログチューナー部12からの受信信号は、AVスイッチ部13において、音声信号と映像信号とに分離され、映像信号はビデオセレクタ部18に入力され、音声信号はオーディオセレクタ部26に入力される。
【0056】
デジタルチューナー部14は、デジタル放送受信用アンテナ40を介して受信するデジタルテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信するチャンネルの選局を行なう。デジタルチューナー部14からの受信信号は、デジタル復調部15にて復調され、分離部(DMUX)16に送られる。
【0057】
IP放送チューナー部23は、電話回線・LAN等に接続された通信制御部34を介して受信するIP放送を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信する特定のIP放送を選局し、出力を分離部(DMUX)16に送る。
【0058】
分離部(DMUX)16は、デジタル復調部15又はIP放送チューナー部23から入力された、多重化された映像データ、音声データを分離し、映像データをビデオデコード/キャプチャ部17に送り、音声データをオーディオデコード部25に送る。さらに、分離部(DMUX)16は、放送信号に含まれるEPGデータ等のデータを抽出し、EPG/OSD/予約処理部24に送る。なお、分離部(DMUX)16によって抽出された放送波信号は、必要に応じてCPU6による書き込み制御によりメモリ7に記録される。
【0059】
ビデオデコード/キャプチャ部17は、分離部(DMUX)16によって分離された映像データをデコードしたり、映像データに含まれるビデオ情報を静止画としてキャプチャしたりする。上記ビデオデコード/キャプチャ部17によってデコードされた映像信号は、ビデオセレクタ部18に送られる。ビデオセレクタ部18には、上述したとおり、アナログチューナー部12からの映像信号が入力されており、また、外部入力部31からの映像信号も入力されている。ビデオセレクタ部18は、CPU6からの制御信号により、これらの入力映像信号から1つの映像信号を選んで出力し、映像処理部19に送る。
【0060】
映像処理部19は、入力された映像信号に対して、例えば、ノイズリダクションの処理、シャープネスの調整、コントラストの調整等の映像処理を行ない、ディスプレイ22に対して最適な映像信号となるように映像データを変換する。
【0061】
表示制御部21は、受信した映像データをディスプレイ22に表示させるための駆動回路を含む部分であり、加算回路20によって加算された、EPG/OSD/予約処理部24からの電子番組表データ、或いは、OSDデータを、映像処理部19からの映像データに加えてディスプレイ22に送る。ディスプレイ22では、送られてきた映像データを画面上に表示する。
【0062】
EPG/OSD/予約処理部24は、定期的に更新保存されたEPGデータに基づき電子番組表を作成し、また、メモリ7に予め保存されているOSDデータを描画する。OSDデータとは、例えば、予めメモリ7に記憶された設定メニュー画面、音量ケージ、現在時刻、選局チャンネルなどの各種情報を描画するためのデータである。また、EPG/OSD/予約処理部24は、電子番組表を利用して番組の予約処理等を行なう。
【0063】
オーディオデコード部25は、分離部(DMUX)16によって分離された音声データをデコードする。オーディオデコード部25は、デコードした音声信号をオーディオセレクタ部26に送る。
【0064】
オーディオセレクタ部26では、AVスイッチ部13からの音声信号、外部入力部31からの音声信号、及び、オーディオデコード部25からの音声信号を受け、CPU6からの制御によってビデオセレクタ部18で選択された映像信号に対応した音声信号を選択し、音声出力変換部27を介して音声信号をスピーカ28に送る。音声出力変換部27は、受信した音声信号をスピーカ28での再生に最適な信号に変換してスピーカ28に供給する。
【0065】
通信制御部34は、電話回線、LAN、インターネットなどのネットワーク網を介して通信を確立させるように制御を行なう。
【0066】
リモコン受光部35は、リモートコントローラ36(以下リモコン36という)からの光信号を受信して、リモコン36からの制御信号を受け付ける。ユーザからの各種指示は、このリモコン36を介して行なわれる。
【0067】
OPCセンサ38は、周囲の明るさを検出するためのセンサである。OPCセンサ38は、ローパスフィルタを含む照度センサであることがより好ましい。これにより、例えば人がセンサの前を通過するなどの一時的な変化を緩和して、照度を平滑に取得することができる。
【0068】
(画質調整の流れ)
続いて、本実施形態に係るテレビジョン受像機10における画質調整の詳細について、図1に示す構成に基づき以下に説明する。図3は、テレビジョン受像機10における画質調整の処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に示す実施形態では、ユーザがスポーツ番組を視聴中にあるシーンの映像の画質を設定し、当該設定に基づいて画質調整する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め設定値が統計値と対応付けて記憶部113に記憶されていてもよい。
【0069】
まず、ユーザが表示部111に表示された映像を視聴中にリモコン36又はテレビジョン受像機10に設けられた所定のボタンを押下すると、テレビジョン受像機10は画質を調整するためのメニュー画面を表示する(ステップS1)。なお、メニュー画面は例えば表示部111上の一部に表示されればよく、視聴中の映像の少なくとも一部が確認できる状態であることが好ましい。ここで、ユーザがあるシーンの画質を調整するためにリモコン36に設けられた所定のボタン(例えば、決定キー)を押下すると(ステップS2)、当該あるシーンの静止画がキャプチャされる(ステップS3)。これにより、ユーザによる画質調整を受け付け可能な状態となる。
【0070】
この状態において、リモコン受光部119がユーザによる指示を受け付けると、登録部116が当該指示に基づく設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示し、画質調整部112は当該指示に基づいて画質を調整する(ステップS4)。ここで、ユーザによる設定値の指示は、例えば、表示部111に画質のパラメータを調整するための調整バーを表示させて、ユーザがリモコン36を介して各パラメータを調整する指示を送り、調整された値を設定値として受け付ければよい。
【0071】
ところで、上述したように、記憶部113が対応情報を映像のジャンルごとに記憶している場合、表示中の映像は、図4に示すように、「スポーツ」のジャンルと統計値取得部114が取得した当該映像の統計値とに対応する設定値に画質が調整されている。図4は、本発明の一実施形態を示すものであり、図4の(a)は、スポーツ番組に関連付けられた画質の初期値を示す図であり、図4の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。なお、映像の信号の統計値としては平均輝度が用いられている。
【0072】
ここで、例えば、ユーザから「水泳」のシーンの映像において「カラー」のパラメータを調整する指示を受け付けたとき、当該指示に基づき決定した設定値を図5に示す。図5は、本発明の一実施形態を示すものであり、図5の(a)は、「水泳」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図5の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【0073】
図5の(a)に示すように、平均輝度42%である「水泳」のシーンの設定値は、「カラー」のパラメータの値が「+10」から「+12」に変更されている。この場合の平均輝度(統計値)と「カラー」(設定値)との対応関係は、図5の(c)に示すように、X=42とY=12との交点がプロットされ、当該交点を通るような折れ線になる。これにより、人の肌が表示される場面の多い「水泳」のシーンの画質が、人の肌の色がより鮮やかに表示されるように調整される。
【0074】
その後、ユーザがリモコン36に設けられた所定のボタン(例えば、終了キー)を押下し、調整が終了したことを示す制御信号をリモコン受光部119が受信すると、登録部116は、表示部111に「設定値を保存するか否か」をユーザに尋ねる画面を表示して、設定値を保存するか否かについて指示を受け付ける(ステップS5)。
【0075】
ここで、設定値を保存するとの指示を受け付けた場合(ステップS5においてYes)、当該設定値と、統計値取得部114によって取得された当該映像の信号の統計値との対応情報を記憶部(メモリ)113に保存し(ステップS6)、映像の視聴画面に戻る(ステップS7)。
【0076】
このとき、登録部116は、統計値取得部114が取得対象とした映像の縮小画像を、上記対応情報に対応付けて記憶部113に記憶することが好ましい。これにより、表示部111に取得対象とした映像を表示する際、複数の映像が記憶されているのであれば、縮小画像を一覧表示することができる。一方、設定値を保存しないとの指示を受け付けた場合(ステップS5においてNo)、当該設定値を保存せずに、映像の視聴画面に戻る(ステップS7)。
【0077】
視聴画面に戻ると、画質調整部112は自動画質調整を行なう(ステップS8)。つまり、受信した映像の信号の統計値を統計値取得部114が取得し、この統計値(例えば、「水泳」のシーンにおいて取得した平均輝度)に対応する設定値が記憶部113の対応情報にあれば、画質調整部112は調整指示部115の指示に基づき、当該設定値で画質を調整する。これにより、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示することができる。
【0078】
なお、記憶部113に記憶される設定値は1つであってもよいし、複数であってもよい。すなわち、上述のユーザによる画質の設定処理は、複数回行なわれてもよい。
【0079】
例えば、ユーザから「サッカー」のシーンの映像において、「ホワイトレベル」及び「カラー」のパラメータを調整する指示を受け付けたとき、当該指示に基づき決定した値を図6に示す。図6は、本発明の一実施形態を示すものであり、図6の(a)は、「サッカー」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図6の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【0080】
図6の(a)に示すように、平均輝度74%である「サッカー」のシーンの設定値は、「ホワイトレベル」のパラメータの値が「+28」に変更され、「カラー」のパラメータの値が「+14」に変更されている。この場合の平均輝度(統計値)と「ホワイトレベル」(設定値)との対応関係は、図6の(b)に示すように、X=74とY=30との交点がプロットされ、当該交点を通るような折れ線になる。また、平均輝度(統計値)と「カラー」(設定値)との対応関係は、図6の(c)に示すようにX=74とY=14との交点がプロットされ、折れ線の数がさらに増える。
【0081】
また、今度はユーザから「マラソン」のシーンの映像において、「ホワイトレベル」及び「カラー」のパラメータを調整する指示を受け付けたとき、当該指示に基づき決定した値を図7に示す。図7は、本発明の一実施形態を示すものであり、図7の(a)は、「マラソン」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図7の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【0082】
図7の(a)に示すように、平均輝度53%である「マラソン」のシーンの設定値は、「ホワイトレベル」のパラメータの値が「+31」に変更され、「カラー」のパラメータの値が「+11」に変更されている。この場合の平均輝度(統計値)と「ホワイトレベル」(設定値)との対応関係は、図7の(b)に示すように、X=53とY=31との交点がプロットされ、当該交点を通るような折れ線になる。また、平均輝度(統計値)と「カラー」(設定値)との対応関係は、図7の(c)に示すようにX=53とY=11との交点がプロットされ、折れ線の数がさらに増える。
【0083】
さらに、ユーザから「野球」のシーンの映像において、「ホワイトレベル」及び「カラー」のパラメータを調整する指示を受け付けたとき、当該指示に基づき決定した値を図8に示す。図8は、本発明の一実施形態を示すものであり、図8の(a)は、「野球」のシーンの映像を表示する際の画質の設定値を示す図であり、図8の(b),(c)は、画質の設定値と統計値との関係を示すグラフである。
【0084】
図8の(a)に示すように、平均輝度36%である「野球」のシーンの設定値は、「ホワイトレベル」のパラメータの値が「+32」に変更され、「カラー」のパラメータの値が「+9」に変更されている。この場合の平均輝度(統計値)と「ホワイトレベル」(設定値)との対応関係は、図8の(b)に示すように、X=36とY=32との交点がプロットされ、当該交点を通るような折れ線になる。また、平均輝度(統計値)と「カラー」(設定値)との対応関係は、図8の(c)に示すようにX=36とY=9との交点がプロットされ、折れ線の数がさらに増える。
【0085】
これらの設定値を記憶部113に記憶させることにより、映像の様々なシーンに応じて画質を自動的に変更して表示できる。
【0086】
なお、上記の画質調整では、映像に関連づけられたジャンルが「スポーツ」である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、「ビデオ」、「フィルム」などの様々なジャンルにおいても同様にシーンに応じた画質の調整を行なうことができる。調整される画質のパラメータも「ホワイトレベル」又は「カラー」に限定されるものではない。また、取得される統計値も平均輝度に限定されるものではなく、閾値以下である映像の輝度信号の累積度数であってもよい。
【0087】
例えば、図9に示すように、まず、明るさを示すY値とピクセル数との関係をグラフ化し、各Y値におけるピクセル数から累積度数(ヒストグラム)を求める。次に、Y値64/255をスレッシュとし、64以下である映像の輝度信号の累積度数と設定値との対応情報を記憶部113に記憶させてもよい。図9は、テレビジョン受像機10の一実施形態において、統計値の一例としてヒストグラムを用いたところを示す図である。例えば、ユーザからあるシーンの「ブラックレベル」のパラメータを調整する指示を受け付けたとき、当該シーンの統計値、すなわち64以下である映像の輝度信号の累積度数を取得し、当該累積度数に対応する設定値で映像の画質を調整すればよい。これにより、例えば、暗いシーンの映像の画質を調整する場合、当該映像の輝度信号の累積度数に対応する設定値で画質を調整することにより、暗いシーンでも階調つぶれのない映像を表示することができる。
【0088】
(自動画質調整の詳細)
ここで、上述のステップS8において説明した自動画質調整について、図10を参照してさらに説明する。図10は、テレビジョン受像機10の一実施形態における自動画質調整の流れを示すフローチャートである。
【0089】
まず、デジタルチューナー部14又はHDMIなどの外部入力部31等の各種通信部118において受信された受信信号に対して復調等の処理が行なわれ(ステップS10,11)、映像信号が選別される(ステップS12)。統計値取得部114は、選別された映像信号から、平均輝度(APL)又は輝度信号の累積度数などの統計値を取得する(ステップS13)。
【0090】
次に、調整指示部115が、統計値取得部114が取得した統計値に対応する設定値を、記憶部113の対応情報から取得する(ステップS14)。ここで、対応情報としては、例えば図11に示すように、APL(平均輝度)の値と「カラー」(設定値)の値とが対応付けて記憶された調整用のテーブルを含む。図11は、テレビジョン受像機10の一実施形態において、記憶部113に記録された対応情報の一例を示す図である。なお、記憶部113には、対応情報の他にも、統計値取得部114が取得対象とした映像の縮小画像を対応情報に対応付けて記憶していてもよい。
【0091】
そして、調整指示部115は、記憶部113から取得した設定値で画質を調整するように画質調整部112に指示する。画質調整部112は、この指示に基づいて映像の画質を調整する(ステップS15)。なお、テレビジョン受像機10では、映像の輝度信号に基づく画質調整の他にも、RGB信号など、映像の各種信号に基づいて画質を補正し得る(ステップS16)。その後、例えば、電子番組表データ又はOSDデータなどの各種データを映像に加えて表示されるように制御し(ステップS17)、表示部111に表示する(ステップS18)。
【0092】
これにより、映像のシーンに応じて画質を自動的に変更して表示することができる。
なお、以上の自動画質調整は、例えば1フレーム毎に行なってもよいがこれに限定されるものではない。
【0093】
(ジャンルに応じた画質調整)
上述したように、テレビジョン受像機10では、映像のジャンルの情報を取得するジャンル取得部117を備えており、映像をジャンルに応じた画質に調整して表示することができる。つまり、記憶部113に予めジャンルごとに対応情報を記憶させておくことにより、統計値取得部114が映像の信号の統計値を取得したとき、ジャンルと統計値とに対応する設定値で画質を調整することができる。
【0094】
ところで、ジャンルごとに対応情報を設定する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、様々な画質に調整されたサンプル画像を作成して、表示部111にサンプル画像を表示させ、ユーザにより複数のサンプル画像の中から1つの画像を選択する選択指示を受け付けることにより、設定値を決定すればよい。
【0095】
例えば、図12に示すように、「スポーツ」、「ビデオ」、「フィルム」というジャンル毎に異なる設定値に画質が調整された3枚のサンプル画像を表示し、ユーザに選択させる。図12は、ジャンル毎に好みの画質を選択する画面の表示例を示す図である。
【0096】
ここで、「スポーツ」とは、スポーツのジャンル情報が関連付けられている映像のジャンルである。「ビデオ」とは、60Hzの通常放送に由来する映像のジャンルである。「フィルム」とは、フィルム由来であることを示し、24Hzで撮影された映像を3:2プルダウン処理した映像のジャンルである。これらはいずれもジャンル取得部117によって判別される。
【0097】
サンプル画像は、それぞれ異なる画質に調整されている。例えば、「スポーツ」のジャンルのサンプル画像はパターン1〜パターン3までの処理がされており、パターン1のサンプル画像は自然な色合いの画質になっており、パターン2のサンプル画像はスポーツを視聴する際に適した画質になっており、パターン3は色、隔離強調、ガンマが調整されて鮮やかな画質になっている(図12の(a))。このように3つのパターンで処理された3枚のサンプル画像がジャンル毎に表示され、ユーザはジャンル毎にいずれのパターンが好みかを選択する。その結果選択されたパターンの設定値の一例を図13に示す。図13は、図12に示す画面において好みの画質を選択したときの、ジャンル毎の画質情報を示す図である。これにより、よりユーザにとって快適な映像を表示させることができる。このように設定されたジャンルと対応情報とを対応付けて記憶部113に記憶させる。
【0098】
なお、ジャンル毎に画質の設定値を決定する方法は上記の例に限定されるものではなく、上述のシーン毎に画質の設定値を調整する方法と同様に、ユーザがジャンル毎に自ら調整するパラメータを選択し、任意の値に調整されるように設定してもよい。
【0099】
(再編集機能の詳細)
本実施形態のテレビジョン受像機10では、あるシーンの画質を調整した後、当該あるシーンの画質を再度ユーザの好みに応じて調整することができる。テレビジョン受像機10における再編集機能について、図14を参照して以下に説明する。図14は、本発明に係るテレビジョン受像機10の一実施形態における再編集機能の処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
まず、ユーザから映像の再編集要求を受け付けると、表示部111に画質を調整するためのメニュー画面を表示させる(ステップS20)。ここで、メニュー画面の中から、例えば画質の再編集を受け付ける項目(ここでは、「お好み画質学習機能」という項目)の選択指示を受け付けると(ステップS21)、図15の(a)に示すように、表示部111に再編集画面200を表示させる。図15は、テレビジョン受像機10の一実施形態において、ユーザによりさらに画質が調整される際の画面の表示例を示す図である。
【0101】
なお、図15の(a)において、領域201には「スポーツ」のジャンルが選択されていることが表示されており、「スポーツ」のジャンルにおいて過去に調整された複数の異なるシーンが縮小画像として一覧表示されている。すなわち、映像はサムネイル画像として表示されている。これら縮小画像の中から、例えばユーザからシーン4の画像202の選択指示を受け付けると(ステップS22)、図15の(b)に示す画面203を表示する。
【0102】
図15の(b)では、領域204に選択されたシーンが表示され、当該シーンを縮小した画像205が表示される。また、領域206には当該シーンのシーン情報(統計値)が表示され、領域207には当該画像205の画質の設定値が表示される。ここで、ユーザから、例えば、「カラー」の設定値を調整するように指示を受け付けると、画面205上では「カラー」にカーソルが合わせられる(領域208)(ステップS23)。
【0103】
続いて、シーン4の映像の「カラー」を調整するか否かをユーザに尋ねる画面を表示し(ステップS24)、再編集するとの指示を受け付けた場合(ステップS24においてYes)、登録部116は調整された設定値を統計値と対応づけて記憶部113に記憶する(ステップS25)。一方、再編集しないとの指示を受け付けた場合(ステップS24においてNo)、選択されたシーン4を再編集せずに、ステップS23に戻る。その後、映像の視聴画面に戻り(ステップS26)、変更された設定値で自動画質調整が行なわれる(ステップS27)。
【0104】
このように、ユーザがテレビジョン受像機10に対して統計値取得部114が取得対象とした映像の画質を調整する指示を入力したとき、表示部111には当該映像の縮小画像が表示されるので、ユーザは所望の画像を即座に見つけることができる。
【0105】
また、登録部116は、ユーザにより選択された縮小画像の画質を選択された対応情報の設定値で調整するように画質調整部112に指示するので、過去に調整された映像の画質を編集することができる。
【0106】
(プログラム及び記録媒体)
最後に、テレビジョン受像機10に含まれている各部は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。又は、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0107】
すなわちテレビジョン受像機10は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、及び、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
【0108】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるテレビジョン受像機10のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。テレビジョン受像機10に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしてのテレビジョン受像機10(又はCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0109】
プログラムコードをテレビジョン受像機10に供給する記録媒体は、特定の構造又は種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0110】
また、テレビジョン受像機10を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してテレビジョン受像機10に供給する。この通信ネットワークはテレビジョン受像機10にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類又は形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0111】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成又は種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、テレビジョン受像機等の表示装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
10 テレビジョン受像機(表示装置)
100 画質制御部
111 表示部
112 画質調整部
113 記憶部
114 統計値取得部(統計値取得手段)
115 調整指示部(調整指示手段)
116 登録部(登録手段)
117 ジャンル取得部(ジャンル取得手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部を備える表示装置であって、
上記映像の画質を調整し、調整された映像を上記表示部に表示させる画質調整部と、
上記映像の信号の統計値と、上記画質調整部が上記画質を調整するための設定値との対応情報を予め記憶する記憶部と、
上記表示部が表示すべき映像の信号から上記統計値を取得する統計値取得手段と、
上記統計値取得手段が取得した統計値に対応する上記設定値を、上記記憶部の対応情報から取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示する調整指示手段とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
ユーザからの指示を受け付ける受付部と、
上記対応情報を上記記憶部に登録する登録手段とをさらに備えており、
該登録手段は、上記ユーザからの指示に基づく設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示し、上記ユーザからの指示に基づき、上記設定値を決定し、決定した設定値と、上記統計値取得手段が取得した統計値との対応情報を上記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記登録手段は、上記統計値取得手段が取得対象とした映像の縮小画像を、上記対応情報に対応付けて上記記憶部に記憶することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記登録手段は、上記ユーザからの指示に基づき選択された対応情報および縮小画像を上記記憶部から読み出し、読み出した縮小画像を、読み出した対応情報の設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示することを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記記憶部は、上記対応情報を、上記映像のジャンルごとに記憶しており、
上記表示部が表示すべき映像の上記ジャンルの情報を取得するジャンル取得手段をさらに備えており、
上記調整指示手段は、上記ジャンル取得手段が取得したジャンルと、上記統計値取得手段が取得した統計値とに対応する上記設定値を、上記記憶部の対応情報から取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように上記画質調整部に指示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記統計値は、閾値以下である上記映像の輝度信号の累積度数であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
映像を表示する表示部と、該映像の画質を調整し、調整された映像を上記表示部に表示させる画質調整部とを備える表示装置の制御方法であって、
上記表示部が表示すべき映像の信号の統計値を取得する統計値取得ステップと、
上記映像の信号の統計値と、上記画質調整部が上記画質を調整するための設定値との対応情報が記憶された記憶部を参照して、上記統計値取得ステップにて取得された統計値に対応する上記設定値を取得し、取得した設定値で上記画質を調整するように画質調整部に指示する調整指示ステップとを含むことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置が備えているコンピュータを動作させるプログラムであって、上記コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−166315(P2011−166315A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24757(P2010−24757)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】