表示装置、表示装置の製造方法、及び、電子機器
【課題】有機電界発光素子における表示領域を保護する保護膜の薄膜化を図るとともに低屈折率化を図り、効率向上および寿命向上を図ること。
【解決手段】本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域20と、表示領域20を覆う状態で形成される保護膜17と、保護膜17の上に形成される樹脂層18と、樹脂層18によって貼り付けられる封止層19とを備える表示装置であり、保護膜17が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっているものである。
【解決手段】本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域20と、表示領域20を覆う状態で形成される保護膜17と、保護膜17の上に形成される樹脂層18と、樹脂層18によって貼り付けられる封止層19とを備える表示装置であり、保護膜17が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域を有する表示装置に関し、特に、光の取り出し効率に優れるトップエミッション方式の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極と陰極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させた有機層を設けてなる有機電界発光素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。その一方、有機電界発光素子は吸湿によって発光輝度が低下したり、発光が不安定になる等、経時的な安定性が低いといった課題がある。そこで、有機電界発光素子を用いた表示装置においては、有機電界発光素子を保護膜で覆うことにより、有機電界発光素子への水分の到達を防止している。
【0003】
このような観点で有機電界発光素子を覆う保護膜としては、例えば、窒化シリコン酸化膜や窒化シリコン膜が用いられている。窒化シリコン酸化膜は屈折率が低く、透過率も高いためデバイス特性には非常に有利ではあるが、防湿性に劣るために、かなりの膜厚化が必要となる。このような膜厚化は膜の内部応力を増大させ、カソード電極からの剥がれやマイクロクラックなどの発生を招き、有機電界発光素子の特性および耐湿性を劣化させるという矛盾が生じてしまう。
【0004】
一方、窒化シリコンは原料ガスとして、アンモニアガスを用いずにシランガスと窒素のみを用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を適用することが提案され
ている。このように成膜された窒化シリコン膜を保護膜として用いることにより保護膜にクラックや剥離が生じず、有機電界発光素子の動作も安定することになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、原料ガスとして、シランガス、窒素ガス、水素ガスを用いる成膜方法において、窒素ガスの濃度を変えることにより、膜密度を制御し、高密度の窒化シリコン膜を低密度の窒化シリコン膜で挟んだ3層構造とすることで、保護膜中の残留応力を低下させて、膜剥がれを防止する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、これらの手法は保護膜の透過率が低くなることから、特に、青色の波長(450nm近辺)の透過率が著しく低下することにより、色再現性を低下させる要因となる。そのため、アンモニアガスを導入することにより、透過率を向上させ、かつ被覆性の良い膜を形成してする手法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−223264号公報
【特許文献2】特開2004−63304号公報
【特許文献3】特開2007−184251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示される手法は、保護膜の防湿性には優れているものの、屈折率が高くなるため(例えば、1.85から1.91)、その上の樹脂層との界面で反射が起こり、かつ膜干渉があるため膜厚を薄くすると保護膜の膜厚分布により面内の取り出した光の色度および輝度がずれてしまうという問題点が起こり、プロセスマージンを稼ぐことができなくなるという問題が生じる。そのため、膜厚を厚くして多重干渉にすることにより、膜厚分布による色度ずれを解消する必要がある。また、厚膜にすることにより、タクト時間およびコストの増加が問題となる。また、薄膜をするのに比べると保護膜の透過率が下がり、特に、青色の波長(450nm近辺)の透過率が著しく低下することにより、色再現性を低下させる要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域と、表示領域を覆う状態で形成される保護膜と、保護膜の上に形成される樹脂層と、樹脂層によって貼り付けられる封止層とを備える表示装置であり、保護膜が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっているものである。また、本発明は、このような表示装置を本体筐体に設けた電子機器でもある。
【0009】
特に、本発明で適用する保護膜は、シランガス、アンモニアガス、窒素ガスを用いた化学的気相成長法によって成膜したもので、屈折率の低い窒化シリコン膜を積層した構成となっている。保護膜の膜厚としては、100nm以上、1μm以下となっており、保護膜の応力がほぼゼロとなっているものである。
【0010】
これにより、保護膜の屈折率が樹脂層の屈折率と近づき、保護膜を薄膜にしても干渉波の波長が長くなって膜厚分布による面内の取り出した光の色ずれがなくなる。
【0011】
例えば、プラズマCVDのパラメータを調整することにより、保護膜である窒化シリコン膜の屈折率を通常よりも下げることにより(波長450nmでの屈折率1.65から1.75)、薄膜にしても干渉波の波長が長くなることにより、膜厚分布による面内の取り出した光の色度ずれがなくなり、プロセスマージンを稼ぐことができるようになる。また、膜厚が薄くなることによる、透過率の向上およびタクト短縮そしてコストダウンにもつながる。また、屈折率を下げたままで被覆性の良い膜を形成することにより、封止信頼性の向上にもつながる。また、薄膜化できることにより、膜の内部応力がほとんどゼロになり、デバイス特性の向上を図ることができる。
【0012】
ここで、樹脂層と保護膜(窒化シリコン膜)との界面の反射率Rは、窒化シリコン膜の屈折率をn1、樹脂層の屈折率をn2とした場合、
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2
となるので、n1を小さくすることにより、界面反射率を小さくして干渉波形の振幅を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば次のような効果がある。すなわち、保護膜を薄膜化するとともに低屈折率化することにより、樹脂層との間での光の干渉を弱くして、面内色度、輝度分布を小さくすることが可能となる。これにより、光の透過率を向上させ、かつ面内ばらつきによる効率のばらつきを抑えることが可能となる。また、効率向上に伴う、寿命の向上を図ることが可能となる。さらに、保護膜の薄膜化によってプロセスタクト短縮化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る表示装置の構造を説明する模式断面図である。
【図2】3種類の保護膜についての波長に対する屈折率の値を示す図である。
【図3】3種類の保護膜の特性を示す図である。
【図4】RGB各色の膜厚分布による色度変化を示す図である。
【図5】各色の効率およびばらつきにいての比較結果を示す図である。
【図6】各条件における稼働時間に対する輝度の変化を示す図である。
【図7】各条件における半減寿命を示す図である。
【図8】フラット型のモジュール形状の例を示す模式図である。
【図9】本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図10】本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図である。
【図11】本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図12】本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図13】本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図である。
【図14】表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【図15】I/Oディスプレイパネルの構成例を表すブロック図である。
【図16】各画素とセンサ読み出し用Hドライバとの接続関係を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0016】
<表示装置の構造>
図1は、本実施形態に係る表示装置の構造を説明する模式断面図である。なお、本実施形態では、上面発光型の有機ELディスプレイから成る表示装置を例とする。
【0017】
すなわち、この表示装置は、例えばガラスから成る絶縁材料の基板(ガラス基板10)上に複数のTFT(Thin Film Transistor)が配列形成された駆動基板と、駆動基板上に形成される表示領域20と、表示領域20を覆う状態で形成される保護膜17と、保護膜17の上に形成される樹脂層18と、樹脂層18によって貼り付けられるガラス基板等から成る封止層19とを備えている。
【0018】
カラー画像を表示する表示装置では、駆動基板の上に形成される表示領域20として、赤色の光を発光する表示領域と、緑色の光を発光する表示領域と、青色の光を発光する表示領域とが所定の順番にマトリクス状に配置されたものとなる。
【0019】
本実施形態では、表示領域20として、発生した光を共振させる共振器構造を備えている。表示領域20は、下部電極である第一電極(例えば、陽極15)と上部電極である第二電極(例えば、陰極16)との間に、発光層23を含む有機層を有し、発光層23で発生した光を第一電極と第二電極との間で共振させ、第二電極の側から取り出す構造となっている。
【0020】
表示領域20に含まれる有機層は種々の構成をとることができるが、本実施形態では、陽極15側から正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24を備えた構成となっている。正孔注入層21は、陽極15から正孔を有機層23内に注入する役目を果たす。正孔輸送層22は、正孔注入層21から注入された正孔を発光層23へ効率よく送り込む役目を果たす。発光層23は、電流の注入により光を発生する部分である。電子輸送層24は、陰極16から発光層23へ電子を注入する役目を果たす。
【0021】
この表示領域20の保護膜17は窒化シリコンから成り、表示領域20を覆うように被着している。本実施形態では、保護膜17が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となるよう形成している。これにより、保護膜17の屈折率が保護膜17の上に形成される樹脂層18の屈折率(1.5〜1.6)に近づき、保護膜17を薄膜にしても干渉波の波長が長くなって膜厚分布による面内の取り出した光の色ずれをなくすことが可能となる。特に、本実施形態では、波長450nmでの保護膜17と樹脂層18との屈折率差を0.3以下(好ましくは0.2)にしている。これにより、色ずれ抑制の効果をより発揮させることができる。
【0022】
ここで、保護膜17とその上の樹脂層18との界面での反射率Rは、保護膜17である窒化シリコン膜の屈折率をn1、樹脂層の屈折率をn2とした場合、
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2
となる。したがって、n1を小さくすることにより、界面反射率を小さくして干渉波形の振幅を低減することができる。
【0023】
保護膜17の屈折率を調整するには、保護膜17を形成するプラズマCVDのパラメータを調整することによって行うことができる。また、保護膜17の厚さは100nm以上、1μm以下となっており、薄膜化することで膜の内部応力をほとんどゼロにすることができる。これにより、表示領域20への影響を抑制し、発光特性を向上できるようになる。
【0024】
<表示装置の製造工程>
次に、本実施形態に係る表示装置の製造方法を工程順に説明する。先ず、例えばガラスなどの絶縁材料からなる基板(ガラス基板10)上に、複数のTFTが配列形成されたTFTアレイを形成する。
【0025】
次に、このTFTアレイが形成されたガラス基板10上に、例えばスピンコート法によりポジ型感光性ポリベンゾオキサゾールからなる第1絶縁膜11を塗布形成する。この第1絶縁膜11は、ガラス基板10の表面側に生じた凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。なお、本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールを使用したが、他にもポジ型感光性ポリイミドなどの絶縁材料を使用しても良い。
【0026】
その後、この第1絶縁膜11に露光を行い、現像することで、第1絶縁膜11にTFTと接続するためのコンタクトホールを形成する。続いて、この状態のガラス基板10に、N2等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、ポリベンゾオキサゾールを硬化するとともに、第1絶縁膜11中に含まれる水分などを除去する。
【0027】
次に、コンタクトホールを埋め込む状態で、第1絶縁膜11上に、酸化インジウム錫(ITO)膜、Ag合金膜、ITO膜がガラス基板側から順次積層された導電材料層を成膜する。この導電材料層の膜厚は、例えばガラス基板10側から、ITO膜/Ag合金膜/ITO膜=約30nm/約100nm/約10nmであることとする。ここで、Ag合金膜が、後工程でこの導電材料層をパターニングして形成する下部電極(陽極15)の反射層となる。
【0028】
続いて、通常のリソグラフィ技術によって形成したレジストパターンをマスクに用いたエッチングにより、この導電材料層をパターニングする。これにより、画素領域内の第1絶縁膜11上に、コンタクトホールを介してTFTに接続され、各画素に対応する下部電極(陽極15)が配列形成されるとともに、画素領域の外側の周辺領域の第1絶縁膜11上に、導電膜が形成される。この導電膜は、約3mmの幅で画素領域を囲う額縁状に形成するとともに、駆動回路と接続させる。
【0029】
ここで、この導電膜は、補助配線として機能し、後工程で形成する上部電極と接続して、配線抵抗を低下させることで、輝度を向上させるとともに、良好な面内輝度分布を得るために設けられるものである。このため、導電性に優れた材料で形成されることが好ましく、その幅は広い方が好ましい。
【0030】
次に、下部電極(陽極15)および導電膜が設けられた第1絶縁膜11上に、例えば再びスピンコート法によりポジ型感光性ポリベンゾオキサゾールからなる第2絶縁膜12を塗布形成する。
【0031】
その後、露光を行い、現像、硬化することで、画素領域内に各画素、すなわち、有機EL素子を形成するための画素開口を形成して、下部電極(陽極15)の表面を露出するとともに、周辺領域の導電膜の表面も露出する。なお、本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールを使用したが、他にもポジ型感光性ポリイミドなどの絶縁材料を使用しても良い。
【0032】
続いて、この状態のガラス基板10に、N2等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、ポリベンゾオキサゾールを硬化するとともに、第1絶縁膜11および第2絶縁膜12に含まれる水分などを除去する。
【0033】
この後、微小異物を除去するために純水でスピン洗浄を行った後、真空雰囲気下でベーク処理を行い、真空雰囲気を維持した状態で前処理室に搬送し、O2プラズマによって基板の前処理を行い、次に真空雰囲気を維持した状態で次の工程である有機層の蒸着を行う。上記のようなプロセスにすることで、ベーク処理後に大気中の水分などの基板上への吸着が防止されるため、好ましい。
【0034】
次に、画素開口内の下部電極(陽極15)上に、各色の有機EL素子(赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、青色有機EL素子)における有機層、すなわち、赤色有機層、緑色有機層、青色有機層をそれぞれ形成する。
【0035】
この場合には、例えば真空雰囲気下で、青色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、底部に下部電極が露出された画素開口の内壁を覆う状態で、正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24を順次蒸着することで、青色有機層を、約200nmの膜厚で形成する。
【0036】
次いで、真空雰囲気を維持した状態で、赤色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、青色の有機層と同様に、赤色有機層を約150nmの膜厚で形成する。
【0037】
その後、真空雰囲気を維持した状態で、緑色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、青色有機層と同様に、緑色有機層を約100nmの膜厚で形成する。
【0038】
以上のように、各有機層を形成した後、真空雰囲気を維持した状態で、基板上に蒸着マスクをアライメントして、例えば蒸着法により、有機層上、第2絶縁膜12上および導電膜上に、例えばLiFからなる電子注入層(図示せず)を約1nmの膜厚で形成する。
【0039】
その後、この蒸着マスクを用いた真空蒸着法により、電子注入層上に例えば半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極16)を約10nmの膜厚で形成する。これにより、電子注入層を介して導電膜と上部電極(陰極16)とが接続される。
【0040】
その後、今回の発明のポイントとなる、シランガス、アンモニアガス、窒素ガスを使ったCVD(化学気相成膜)でSiNx(窒化シリコン)を成膜する。窒化シリコンは、各色に対応した表示領域20である有機層および上部電極(陰極16)を覆う状態で形成され、保護膜17として構成される。
【0041】
保護膜17を形成した後は、大気暴露することなく、樹脂層18を塗布し、ガラス基板から成る封止層19を形成して封止を行なう。以上の方法で、完全固体封止型の有機発光素子を作成する。
【0042】
<保護膜の特性比較>
ここで、本発明の保護膜を説明するための比較サンプルとして、特開2007−184251号公報に記載されている保護膜を成膜した。膜厚は5.3μmである(条件1)。また、特開2007−184251号公報に記載されている保護膜の寿命特性に良い条件2の膜単層1μmも成膜した(条件2)。
【0043】
本発明による保護膜は、アンモニアガスを用いたCVD法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって、透過率86%(波長450nm)、またその流量を維持したまま、圧力を上げることにより、{ HYPERLINK "mailto:屈折率1.71@450nm" ,屈折率n=1.74(波長450nm})の膜が得られた。膜厚
は0.5μmである。以上の3種類の膜にてついて比較する。なお、これらの保護膜の特性をまとめたものを図2に示す。
【0044】
<比較例1>
比較例1は、膜厚分布による色度ずれの比較結果である。先ず、波長に対する屈折率の値を上記3種類の膜について測定した結果を図3に示す。この結果を元に、RGB各色の膜厚分布による色度変化を図4(a)〜(c)に示す。この図では、(a)が赤色の色度変化、(b)が緑の色度変化、(c)が青の色度変化を示し、各図とも横軸が膜厚のバラツキ、縦軸が色度u’、v’のずれを示している。
【0045】
この図より、条件1では干渉の影響は平均化されて見えないが、条件2程度になると特性変動として現れているのが分かる。条件2と本実施形態とを比較した場合、本発明の保護膜の方が屈折率が低いことから、干渉の影響を受けにくいことが分かる。
【0046】
<比較例2>
比較例2は、屈折率による効率の向上およびばらつき精度の比較結果である。図5は、各色の効率およびばらつきにいての比較結果を示す図である。図5では、RGB各色について、本発明、条件1、条件2での保護膜による屈折率、膜厚、そのときの色度(x、y座標)、保護膜の膜厚分布による効率の値、条件2と比較したときの効率の差、効率のばらつき(膜厚分布による効率分布)を示している。
【0047】
この図より、条件1と条件2とを比較した場合、屈折率は大きく変わらないが、膜厚が薄いため、効率は向上することが分かる。しかし、屈折率が小さいために、膜厚が薄くなると、膜厚のばらつきによる効率のばらつきが大きくなる。一方、本発明では、屈折率まで下げることにより、効率を向上させつつ、ばらつきも押さえられる傾向が見られる。
【0048】
<比較例3>
比較例3は、寿命の向上についての比較結果である。図6は、各条件における稼働時間に対する輝度の変化を示す図である。輝度合わせによる寿命特性を行なったところ、比較例1、比較例2を踏まえて、膜厚が薄くなるために同輝度での効率が向上するため、一番懸念される青色において寿命が向上されているのが分かる。また、加速定数を出して計算した実際の寿命を図7に示す。図7では、各条件における半減寿命を示しており、本発明の保護膜を用いた場合の寿命が最も長いことが分かる。
【0049】
次に、本実施形態に係る表示装置の適用例について説明する。
【0050】
<電子機器>
本実施形態に係る表示装置は、図8に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上2002に、発光領域、薄膜トランジスタ、受光素子等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部2002aを設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)2002aを囲むように接着剤2021を配し、ガラス等の対向基板2006を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板2006には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部2002aへの信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)2023を設けてもよい。
【0051】
以上説明した本実施形態に係る表示装置は、図9〜図13に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本実施形態が適用される電子機器の一例について説明する。
【0052】
図9は、本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0053】
図10は、本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0054】
図11は、本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0055】
図12は、本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0056】
図13は、本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0057】
<表示撮像装置>
本実施形態に係る表示装置は、以下のような表示撮像装置に適用可能である。また、この表示撮像装置は、先に説明した各種電子機器に適用可能である。図14には、表示撮像装置の全体構成を表すものである。この表示撮像装置は、I/Oディスプレイパネル2000と、バックライト1500と、表示ドライブ回路1200と、受光ドライブ回路1300と、画像処理部1400と、アプリケーションプログラム実行部1100とを備えている。
【0058】
I/Oディスプレイパネル2000は、複数の画素が全面に渡ってマトリクス状に配置された有機電界発光素子からなり、線順次動作をしながら表示データに基づく所定の図形や文字などの画像を表示する機能(表示機能)を有すると共に、後述するようにこのI/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体を撮像する機能(撮像機能)を有するものである。また、バックライト1500は、例えば複数の発光ダイオードが配置されてなるI/Oディスプレイパネル2000の光源であり、後述するようにI/Oディスプレイ2000の動作タイミングに同期した所定のタイミングで、高速にオン・オフ動作を行うようになっている。
【0059】
表示ドライブ回路1200は、I/Oディスプレイパネル2000において表示データに基づく画像が表示されるように(表示動作を行うように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。
【0060】
受光ドライブ回路1300は、I/Oディスプレイパネル2000において受光データが得られるように(物体を撮像するように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。なお、各画素での受光データは、例えばフレーム単位でフレームメモリ1300Aに蓄積され、撮像画像として画像処理部14へ出力されるようになっている。
【0061】
画像処理部1400は、受光ドライブ回路1300から出力される撮像画像に基づいて所定の画像処理(演算処理)を行い、I/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)を検出し、取得するものである。なお、この検知する処理の詳細については後述する。
【0062】
アプリケーションプログラム実行部1100は、画像処理部1400による検知結果に基づいて所定のアプリケーションソフトに応じた処理を実行するものであり、例えば検知した物体の位置座標を表示データに含むようにし、I/Oディスプレイパネル2000上に表示させるものなどが挙げられる。なお、このアプリケーションプログラム実行部1100で生成される表示データは表示ドライブ回路1200へ供給されるようになっている。
【0063】
次に、図15を参照してI/Oディスプレイパネル2000の詳細構成例について説明する。このI/Oディスプレイパネル2000は、表示エリア(センサエリア)2100と、表示用Hドライバ2200と、表示用Vドライバ2300と、センサ読み出し用Hドライバ2500と、センサ用Vドライバ2400とを有している。
【0064】
表示エリア(センサエリア)2100は、有機電界発光素子からの光を変調して表示光を出射すると共にこのエリアに接触または近接する物体を撮像する領域であり、発光素子(表示素子)である有機電界発光素子と後述する受光素子(撮像素子)とがそれぞれマトリクス状に配置されている。
【0065】
表示用Hドライバ2200は、表示ドライブ回路1200から供給される表示駆動用の表示信号および制御クロックに基づいて、表示用Vドライバ2300と共に表示エリア2100内の各画素の有機電界発光素子を駆動するものである。
【0066】
センサ読み出し用Hドライバ2500は、センサ用Vドライバ2400と共にセンサエリア2100内の各画素の受光素子を線順次駆動し、受光信号を取得するものである。
【0067】
次に、図16を参照して、表示エリア2100内の各画素とセンサ読み出し用Hドライバ2500との接続関係について説明する。この表示エリア2100では、赤(R)用の画素3100と、緑(G)用の画素3200と、青(B)用の画素3300とが並んで配置されている。
【0068】
各画素の受光センサ3100c,3200c,3300cに接続されたコンデンサに蓄積された電荷は、それぞれのバッファアンプ3100f,3200f,3300fで増幅され、読み出しスイッチ3100g,3200g,3300gがオンになるタイミングで、信号出力用電極を介してセンサ読み出し用Hドライバ2500へ供給される。なお、各信号出力用電極には定電流源4100a,4100b,4100cがそれぞれ接続され、センサ読み出し用Hドライバ2500で感度良く受光量に対応した信号が検出されるようになっている。
【符号の説明】
【0069】
10…ガラス基板、11…第1絶縁膜、12…第2絶縁膜、15…陽極、16…陰極、17…保護膜、18…樹脂層、19…封止層、21…正孔注入層、22…正孔輸送層、23…発光層、24…電子輸送層
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域を有する表示装置に関し、特に、光の取り出し効率に優れるトップエミッション方式の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極と陰極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させた有機層を設けてなる有機電界発光素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。その一方、有機電界発光素子は吸湿によって発光輝度が低下したり、発光が不安定になる等、経時的な安定性が低いといった課題がある。そこで、有機電界発光素子を用いた表示装置においては、有機電界発光素子を保護膜で覆うことにより、有機電界発光素子への水分の到達を防止している。
【0003】
このような観点で有機電界発光素子を覆う保護膜としては、例えば、窒化シリコン酸化膜や窒化シリコン膜が用いられている。窒化シリコン酸化膜は屈折率が低く、透過率も高いためデバイス特性には非常に有利ではあるが、防湿性に劣るために、かなりの膜厚化が必要となる。このような膜厚化は膜の内部応力を増大させ、カソード電極からの剥がれやマイクロクラックなどの発生を招き、有機電界発光素子の特性および耐湿性を劣化させるという矛盾が生じてしまう。
【0004】
一方、窒化シリコンは原料ガスとして、アンモニアガスを用いずにシランガスと窒素のみを用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を適用することが提案され
ている。このように成膜された窒化シリコン膜を保護膜として用いることにより保護膜にクラックや剥離が生じず、有機電界発光素子の動作も安定することになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、原料ガスとして、シランガス、窒素ガス、水素ガスを用いる成膜方法において、窒素ガスの濃度を変えることにより、膜密度を制御し、高密度の窒化シリコン膜を低密度の窒化シリコン膜で挟んだ3層構造とすることで、保護膜中の残留応力を低下させて、膜剥がれを防止する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、これらの手法は保護膜の透過率が低くなることから、特に、青色の波長(450nm近辺)の透過率が著しく低下することにより、色再現性を低下させる要因となる。そのため、アンモニアガスを導入することにより、透過率を向上させ、かつ被覆性の良い膜を形成してする手法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−223264号公報
【特許文献2】特開2004−63304号公報
【特許文献3】特開2007−184251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示される手法は、保護膜の防湿性には優れているものの、屈折率が高くなるため(例えば、1.85から1.91)、その上の樹脂層との界面で反射が起こり、かつ膜干渉があるため膜厚を薄くすると保護膜の膜厚分布により面内の取り出した光の色度および輝度がずれてしまうという問題点が起こり、プロセスマージンを稼ぐことができなくなるという問題が生じる。そのため、膜厚を厚くして多重干渉にすることにより、膜厚分布による色度ずれを解消する必要がある。また、厚膜にすることにより、タクト時間およびコストの増加が問題となる。また、薄膜をするのに比べると保護膜の透過率が下がり、特に、青色の波長(450nm近辺)の透過率が著しく低下することにより、色再現性を低下させる要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発生した光を共振させる共振器構造の表示領域と、表示領域を覆う状態で形成される保護膜と、保護膜の上に形成される樹脂層と、樹脂層によって貼り付けられる封止層とを備える表示装置であり、保護膜が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっているものである。また、本発明は、このような表示装置を本体筐体に設けた電子機器でもある。
【0009】
特に、本発明で適用する保護膜は、シランガス、アンモニアガス、窒素ガスを用いた化学的気相成長法によって成膜したもので、屈折率の低い窒化シリコン膜を積層した構成となっている。保護膜の膜厚としては、100nm以上、1μm以下となっており、保護膜の応力がほぼゼロとなっているものである。
【0010】
これにより、保護膜の屈折率が樹脂層の屈折率と近づき、保護膜を薄膜にしても干渉波の波長が長くなって膜厚分布による面内の取り出した光の色ずれがなくなる。
【0011】
例えば、プラズマCVDのパラメータを調整することにより、保護膜である窒化シリコン膜の屈折率を通常よりも下げることにより(波長450nmでの屈折率1.65から1.75)、薄膜にしても干渉波の波長が長くなることにより、膜厚分布による面内の取り出した光の色度ずれがなくなり、プロセスマージンを稼ぐことができるようになる。また、膜厚が薄くなることによる、透過率の向上およびタクト短縮そしてコストダウンにもつながる。また、屈折率を下げたままで被覆性の良い膜を形成することにより、封止信頼性の向上にもつながる。また、薄膜化できることにより、膜の内部応力がほとんどゼロになり、デバイス特性の向上を図ることができる。
【0012】
ここで、樹脂層と保護膜(窒化シリコン膜)との界面の反射率Rは、窒化シリコン膜の屈折率をn1、樹脂層の屈折率をn2とした場合、
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2
となるので、n1を小さくすることにより、界面反射率を小さくして干渉波形の振幅を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば次のような効果がある。すなわち、保護膜を薄膜化するとともに低屈折率化することにより、樹脂層との間での光の干渉を弱くして、面内色度、輝度分布を小さくすることが可能となる。これにより、光の透過率を向上させ、かつ面内ばらつきによる効率のばらつきを抑えることが可能となる。また、効率向上に伴う、寿命の向上を図ることが可能となる。さらに、保護膜の薄膜化によってプロセスタクト短縮化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る表示装置の構造を説明する模式断面図である。
【図2】3種類の保護膜についての波長に対する屈折率の値を示す図である。
【図3】3種類の保護膜の特性を示す図である。
【図4】RGB各色の膜厚分布による色度変化を示す図である。
【図5】各色の効率およびばらつきにいての比較結果を示す図である。
【図6】各条件における稼働時間に対する輝度の変化を示す図である。
【図7】各条件における半減寿命を示す図である。
【図8】フラット型のモジュール形状の例を示す模式図である。
【図9】本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図10】本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図である。
【図11】本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図12】本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図13】本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図である。
【図14】表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【図15】I/Oディスプレイパネルの構成例を表すブロック図である。
【図16】各画素とセンサ読み出し用Hドライバとの接続関係を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0016】
<表示装置の構造>
図1は、本実施形態に係る表示装置の構造を説明する模式断面図である。なお、本実施形態では、上面発光型の有機ELディスプレイから成る表示装置を例とする。
【0017】
すなわち、この表示装置は、例えばガラスから成る絶縁材料の基板(ガラス基板10)上に複数のTFT(Thin Film Transistor)が配列形成された駆動基板と、駆動基板上に形成される表示領域20と、表示領域20を覆う状態で形成される保護膜17と、保護膜17の上に形成される樹脂層18と、樹脂層18によって貼り付けられるガラス基板等から成る封止層19とを備えている。
【0018】
カラー画像を表示する表示装置では、駆動基板の上に形成される表示領域20として、赤色の光を発光する表示領域と、緑色の光を発光する表示領域と、青色の光を発光する表示領域とが所定の順番にマトリクス状に配置されたものとなる。
【0019】
本実施形態では、表示領域20として、発生した光を共振させる共振器構造を備えている。表示領域20は、下部電極である第一電極(例えば、陽極15)と上部電極である第二電極(例えば、陰極16)との間に、発光層23を含む有機層を有し、発光層23で発生した光を第一電極と第二電極との間で共振させ、第二電極の側から取り出す構造となっている。
【0020】
表示領域20に含まれる有機層は種々の構成をとることができるが、本実施形態では、陽極15側から正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24を備えた構成となっている。正孔注入層21は、陽極15から正孔を有機層23内に注入する役目を果たす。正孔輸送層22は、正孔注入層21から注入された正孔を発光層23へ効率よく送り込む役目を果たす。発光層23は、電流の注入により光を発生する部分である。電子輸送層24は、陰極16から発光層23へ電子を注入する役目を果たす。
【0021】
この表示領域20の保護膜17は窒化シリコンから成り、表示領域20を覆うように被着している。本実施形態では、保護膜17が窒化シリコンの単層で構成され、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となるよう形成している。これにより、保護膜17の屈折率が保護膜17の上に形成される樹脂層18の屈折率(1.5〜1.6)に近づき、保護膜17を薄膜にしても干渉波の波長が長くなって膜厚分布による面内の取り出した光の色ずれをなくすことが可能となる。特に、本実施形態では、波長450nmでの保護膜17と樹脂層18との屈折率差を0.3以下(好ましくは0.2)にしている。これにより、色ずれ抑制の効果をより発揮させることができる。
【0022】
ここで、保護膜17とその上の樹脂層18との界面での反射率Rは、保護膜17である窒化シリコン膜の屈折率をn1、樹脂層の屈折率をn2とした場合、
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2
となる。したがって、n1を小さくすることにより、界面反射率を小さくして干渉波形の振幅を低減することができる。
【0023】
保護膜17の屈折率を調整するには、保護膜17を形成するプラズマCVDのパラメータを調整することによって行うことができる。また、保護膜17の厚さは100nm以上、1μm以下となっており、薄膜化することで膜の内部応力をほとんどゼロにすることができる。これにより、表示領域20への影響を抑制し、発光特性を向上できるようになる。
【0024】
<表示装置の製造工程>
次に、本実施形態に係る表示装置の製造方法を工程順に説明する。先ず、例えばガラスなどの絶縁材料からなる基板(ガラス基板10)上に、複数のTFTが配列形成されたTFTアレイを形成する。
【0025】
次に、このTFTアレイが形成されたガラス基板10上に、例えばスピンコート法によりポジ型感光性ポリベンゾオキサゾールからなる第1絶縁膜11を塗布形成する。この第1絶縁膜11は、ガラス基板10の表面側に生じた凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。なお、本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールを使用したが、他にもポジ型感光性ポリイミドなどの絶縁材料を使用しても良い。
【0026】
その後、この第1絶縁膜11に露光を行い、現像することで、第1絶縁膜11にTFTと接続するためのコンタクトホールを形成する。続いて、この状態のガラス基板10に、N2等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、ポリベンゾオキサゾールを硬化するとともに、第1絶縁膜11中に含まれる水分などを除去する。
【0027】
次に、コンタクトホールを埋め込む状態で、第1絶縁膜11上に、酸化インジウム錫(ITO)膜、Ag合金膜、ITO膜がガラス基板側から順次積層された導電材料層を成膜する。この導電材料層の膜厚は、例えばガラス基板10側から、ITO膜/Ag合金膜/ITO膜=約30nm/約100nm/約10nmであることとする。ここで、Ag合金膜が、後工程でこの導電材料層をパターニングして形成する下部電極(陽極15)の反射層となる。
【0028】
続いて、通常のリソグラフィ技術によって形成したレジストパターンをマスクに用いたエッチングにより、この導電材料層をパターニングする。これにより、画素領域内の第1絶縁膜11上に、コンタクトホールを介してTFTに接続され、各画素に対応する下部電極(陽極15)が配列形成されるとともに、画素領域の外側の周辺領域の第1絶縁膜11上に、導電膜が形成される。この導電膜は、約3mmの幅で画素領域を囲う額縁状に形成するとともに、駆動回路と接続させる。
【0029】
ここで、この導電膜は、補助配線として機能し、後工程で形成する上部電極と接続して、配線抵抗を低下させることで、輝度を向上させるとともに、良好な面内輝度分布を得るために設けられるものである。このため、導電性に優れた材料で形成されることが好ましく、その幅は広い方が好ましい。
【0030】
次に、下部電極(陽極15)および導電膜が設けられた第1絶縁膜11上に、例えば再びスピンコート法によりポジ型感光性ポリベンゾオキサゾールからなる第2絶縁膜12を塗布形成する。
【0031】
その後、露光を行い、現像、硬化することで、画素領域内に各画素、すなわち、有機EL素子を形成するための画素開口を形成して、下部電極(陽極15)の表面を露出するとともに、周辺領域の導電膜の表面も露出する。なお、本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールを使用したが、他にもポジ型感光性ポリイミドなどの絶縁材料を使用しても良い。
【0032】
続いて、この状態のガラス基板10に、N2等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、ポリベンゾオキサゾールを硬化するとともに、第1絶縁膜11および第2絶縁膜12に含まれる水分などを除去する。
【0033】
この後、微小異物を除去するために純水でスピン洗浄を行った後、真空雰囲気下でベーク処理を行い、真空雰囲気を維持した状態で前処理室に搬送し、O2プラズマによって基板の前処理を行い、次に真空雰囲気を維持した状態で次の工程である有機層の蒸着を行う。上記のようなプロセスにすることで、ベーク処理後に大気中の水分などの基板上への吸着が防止されるため、好ましい。
【0034】
次に、画素開口内の下部電極(陽極15)上に、各色の有機EL素子(赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、青色有機EL素子)における有機層、すなわち、赤色有機層、緑色有機層、青色有機層をそれぞれ形成する。
【0035】
この場合には、例えば真空雰囲気下で、青色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、底部に下部電極が露出された画素開口の内壁を覆う状態で、正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24を順次蒸着することで、青色有機層を、約200nmの膜厚で形成する。
【0036】
次いで、真空雰囲気を維持した状態で、赤色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、青色の有機層と同様に、赤色有機層を約150nmの膜厚で形成する。
【0037】
その後、真空雰囲気を維持した状態で、緑色有機層を蒸着するためのチャンバーに基板を搬送し、基板上に蒸着マスクをアライメントして、青色有機層と同様に、緑色有機層を約100nmの膜厚で形成する。
【0038】
以上のように、各有機層を形成した後、真空雰囲気を維持した状態で、基板上に蒸着マスクをアライメントして、例えば蒸着法により、有機層上、第2絶縁膜12上および導電膜上に、例えばLiFからなる電子注入層(図示せず)を約1nmの膜厚で形成する。
【0039】
その後、この蒸着マスクを用いた真空蒸着法により、電子注入層上に例えば半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極16)を約10nmの膜厚で形成する。これにより、電子注入層を介して導電膜と上部電極(陰極16)とが接続される。
【0040】
その後、今回の発明のポイントとなる、シランガス、アンモニアガス、窒素ガスを使ったCVD(化学気相成膜)でSiNx(窒化シリコン)を成膜する。窒化シリコンは、各色に対応した表示領域20である有機層および上部電極(陰極16)を覆う状態で形成され、保護膜17として構成される。
【0041】
保護膜17を形成した後は、大気暴露することなく、樹脂層18を塗布し、ガラス基板から成る封止層19を形成して封止を行なう。以上の方法で、完全固体封止型の有機発光素子を作成する。
【0042】
<保護膜の特性比較>
ここで、本発明の保護膜を説明するための比較サンプルとして、特開2007−184251号公報に記載されている保護膜を成膜した。膜厚は5.3μmである(条件1)。また、特開2007−184251号公報に記載されている保護膜の寿命特性に良い条件2の膜単層1μmも成膜した(条件2)。
【0043】
本発明による保護膜は、アンモニアガスを用いたCVD法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって、透過率86%(波長450nm)、またその流量を維持したまま、圧力を上げることにより、{ HYPERLINK "mailto:屈折率1.71@450nm" ,屈折率n=1.74(波長450nm})の膜が得られた。膜厚
は0.5μmである。以上の3種類の膜にてついて比較する。なお、これらの保護膜の特性をまとめたものを図2に示す。
【0044】
<比較例1>
比較例1は、膜厚分布による色度ずれの比較結果である。先ず、波長に対する屈折率の値を上記3種類の膜について測定した結果を図3に示す。この結果を元に、RGB各色の膜厚分布による色度変化を図4(a)〜(c)に示す。この図では、(a)が赤色の色度変化、(b)が緑の色度変化、(c)が青の色度変化を示し、各図とも横軸が膜厚のバラツキ、縦軸が色度u’、v’のずれを示している。
【0045】
この図より、条件1では干渉の影響は平均化されて見えないが、条件2程度になると特性変動として現れているのが分かる。条件2と本実施形態とを比較した場合、本発明の保護膜の方が屈折率が低いことから、干渉の影響を受けにくいことが分かる。
【0046】
<比較例2>
比較例2は、屈折率による効率の向上およびばらつき精度の比較結果である。図5は、各色の効率およびばらつきにいての比較結果を示す図である。図5では、RGB各色について、本発明、条件1、条件2での保護膜による屈折率、膜厚、そのときの色度(x、y座標)、保護膜の膜厚分布による効率の値、条件2と比較したときの効率の差、効率のばらつき(膜厚分布による効率分布)を示している。
【0047】
この図より、条件1と条件2とを比較した場合、屈折率は大きく変わらないが、膜厚が薄いため、効率は向上することが分かる。しかし、屈折率が小さいために、膜厚が薄くなると、膜厚のばらつきによる効率のばらつきが大きくなる。一方、本発明では、屈折率まで下げることにより、効率を向上させつつ、ばらつきも押さえられる傾向が見られる。
【0048】
<比較例3>
比較例3は、寿命の向上についての比較結果である。図6は、各条件における稼働時間に対する輝度の変化を示す図である。輝度合わせによる寿命特性を行なったところ、比較例1、比較例2を踏まえて、膜厚が薄くなるために同輝度での効率が向上するため、一番懸念される青色において寿命が向上されているのが分かる。また、加速定数を出して計算した実際の寿命を図7に示す。図7では、各条件における半減寿命を示しており、本発明の保護膜を用いた場合の寿命が最も長いことが分かる。
【0049】
次に、本実施形態に係る表示装置の適用例について説明する。
【0050】
<電子機器>
本実施形態に係る表示装置は、図8に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上2002に、発光領域、薄膜トランジスタ、受光素子等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部2002aを設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)2002aを囲むように接着剤2021を配し、ガラス等の対向基板2006を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板2006には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部2002aへの信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)2023を設けてもよい。
【0051】
以上説明した本実施形態に係る表示装置は、図9〜図13に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本実施形態が適用される電子機器の一例について説明する。
【0052】
図9は、本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0053】
図10は、本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0054】
図11は、本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0055】
図12は、本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0056】
図13は、本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0057】
<表示撮像装置>
本実施形態に係る表示装置は、以下のような表示撮像装置に適用可能である。また、この表示撮像装置は、先に説明した各種電子機器に適用可能である。図14には、表示撮像装置の全体構成を表すものである。この表示撮像装置は、I/Oディスプレイパネル2000と、バックライト1500と、表示ドライブ回路1200と、受光ドライブ回路1300と、画像処理部1400と、アプリケーションプログラム実行部1100とを備えている。
【0058】
I/Oディスプレイパネル2000は、複数の画素が全面に渡ってマトリクス状に配置された有機電界発光素子からなり、線順次動作をしながら表示データに基づく所定の図形や文字などの画像を表示する機能(表示機能)を有すると共に、後述するようにこのI/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体を撮像する機能(撮像機能)を有するものである。また、バックライト1500は、例えば複数の発光ダイオードが配置されてなるI/Oディスプレイパネル2000の光源であり、後述するようにI/Oディスプレイ2000の動作タイミングに同期した所定のタイミングで、高速にオン・オフ動作を行うようになっている。
【0059】
表示ドライブ回路1200は、I/Oディスプレイパネル2000において表示データに基づく画像が表示されるように(表示動作を行うように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。
【0060】
受光ドライブ回路1300は、I/Oディスプレイパネル2000において受光データが得られるように(物体を撮像するように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。なお、各画素での受光データは、例えばフレーム単位でフレームメモリ1300Aに蓄積され、撮像画像として画像処理部14へ出力されるようになっている。
【0061】
画像処理部1400は、受光ドライブ回路1300から出力される撮像画像に基づいて所定の画像処理(演算処理)を行い、I/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)を検出し、取得するものである。なお、この検知する処理の詳細については後述する。
【0062】
アプリケーションプログラム実行部1100は、画像処理部1400による検知結果に基づいて所定のアプリケーションソフトに応じた処理を実行するものであり、例えば検知した物体の位置座標を表示データに含むようにし、I/Oディスプレイパネル2000上に表示させるものなどが挙げられる。なお、このアプリケーションプログラム実行部1100で生成される表示データは表示ドライブ回路1200へ供給されるようになっている。
【0063】
次に、図15を参照してI/Oディスプレイパネル2000の詳細構成例について説明する。このI/Oディスプレイパネル2000は、表示エリア(センサエリア)2100と、表示用Hドライバ2200と、表示用Vドライバ2300と、センサ読み出し用Hドライバ2500と、センサ用Vドライバ2400とを有している。
【0064】
表示エリア(センサエリア)2100は、有機電界発光素子からの光を変調して表示光を出射すると共にこのエリアに接触または近接する物体を撮像する領域であり、発光素子(表示素子)である有機電界発光素子と後述する受光素子(撮像素子)とがそれぞれマトリクス状に配置されている。
【0065】
表示用Hドライバ2200は、表示ドライブ回路1200から供給される表示駆動用の表示信号および制御クロックに基づいて、表示用Vドライバ2300と共に表示エリア2100内の各画素の有機電界発光素子を駆動するものである。
【0066】
センサ読み出し用Hドライバ2500は、センサ用Vドライバ2400と共にセンサエリア2100内の各画素の受光素子を線順次駆動し、受光信号を取得するものである。
【0067】
次に、図16を参照して、表示エリア2100内の各画素とセンサ読み出し用Hドライバ2500との接続関係について説明する。この表示エリア2100では、赤(R)用の画素3100と、緑(G)用の画素3200と、青(B)用の画素3300とが並んで配置されている。
【0068】
各画素の受光センサ3100c,3200c,3300cに接続されたコンデンサに蓄積された電荷は、それぞれのバッファアンプ3100f,3200f,3300fで増幅され、読み出しスイッチ3100g,3200g,3300gがオンになるタイミングで、信号出力用電極を介してセンサ読み出し用Hドライバ2500へ供給される。なお、各信号出力用電極には定電流源4100a,4100b,4100cがそれぞれ接続され、センサ読み出し用Hドライバ2500で感度良く受光量に対応した信号が検出されるようになっている。
【符号の説明】
【0069】
10…ガラス基板、11…第1絶縁膜、12…第2絶縁膜、15…陽極、16…陰極、17…保護膜、18…樹脂層、19…封止層、21…正孔注入層、22…正孔輸送層、23…発光層、24…電子輸送層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備え、
前記保護膜は、アンモニアガスを用いた化学気相成長法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって得られる表示装置。
【請求項2】
前記樹脂層の屈折率が1.5〜1.6であり、
前記保護膜は、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域は、前記発光層で発生した光を共振させる共振器構造を備える請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保護膜は、窒化シリコンの単層で構成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護膜の応力がほぼゼロとなっている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護膜の膜厚が100nm以上、1μm以下となっている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示領域が前記保護膜によって大気暴露されることなく覆われている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示領域は、前記発光層で発生した光を前記上部電極の側から取り出す請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
波長450nmでの前記保護膜と前記樹脂層との屈折率差が0.3以下となっている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記樹脂層によって貼り付けられる封止層を有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記上部電極は、MgAg合金から成る請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記上部電極は、前記有機層を覆っている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記保護膜は、前記有機層及び前記上部電極を覆う状態で形成されている前記有機層を覆っている請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備える表示装置の製造に当たって、
前記保護膜を、アンモニアガスを用いた化学気相成長法により、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって成膜する表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記保護膜を、前記流量比の流量を維持したまま、圧力を上げることによって成膜する請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
本体筐体に表示装置が設けられ、
前記表示装置は、
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備え、
前記保護膜は、アンモニアガスを用いた化学気相成長法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって得られる電子機器。
【請求項1】
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備え、
前記保護膜は、アンモニアガスを用いた化学気相成長法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって得られる表示装置。
【請求項2】
前記樹脂層の屈折率が1.5〜1.6であり、
前記保護膜は、波長450nmでの屈折率が1.65以上、1.75以下となっている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域は、前記発光層で発生した光を共振させる共振器構造を備える請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保護膜は、窒化シリコンの単層で構成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護膜の応力がほぼゼロとなっている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護膜の膜厚が100nm以上、1μm以下となっている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示領域が前記保護膜によって大気暴露されることなく覆われている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示領域は、前記発光層で発生した光を前記上部電極の側から取り出す請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
波長450nmでの前記保護膜と前記樹脂層との屈折率差が0.3以下となっている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記樹脂層によって貼り付けられる封止層を有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記上部電極は、MgAg合金から成る請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記上部電極は、前記有機層を覆っている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記保護膜は、前記有機層及び前記上部電極を覆う状態で形成されている前記有機層を覆っている請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備える表示装置の製造に当たって、
前記保護膜を、アンモニアガスを用いた化学気相成長法により、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって成膜する表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記保護膜を、前記流量比の流量を維持したまま、圧力を上げることによって成膜する請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
本体筐体に表示装置が設けられ、
前記表示装置は、
下部電極と上部電極との間に、発光層を含む有機層を有する表示領域と、
前記表示領域を覆う状態で形成され、窒化シリコンから成る保護膜と、
前記保護膜の上に形成される樹脂層とを備え、
前記保護膜は、アンモニアガスを用いた化学気相成長法によって成膜され、シランガスとアンモニアガスの比率が1:2以上になる流量比によって得られる電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−8704(P2013−8704A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225798(P2012−225798)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【分割の表示】特願2008−52136(P2008−52136)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【分割の表示】特願2008−52136(P2008−52136)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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