説明

表示装置、電子機器および表示制御方法

【課題】アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示すること。
【解決手段】表示装置は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を第1列に表示する表示手段と、前記第1列のうちいずれかの部分が特定されると、前記特定された部分を見開き部分とし前記複数の画像を再配置する再配置手段と、前記見開き部分が特定されると、前記見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行する実行手段と、前記実行手段により前記動作が実行された場合、前記実行された動作に応じた表示を行うように前記表示手段を制御する表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、電子機器および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のページで構成される文書を表示する技術が知られている(例えば特許文献1および2)。特許文献1において、電子書籍表示装置は、一つの画面内に5つのページのサムネイルを階段状に配置する。この電子書籍表示装置は、中央に位置するページを、他のページより大きく表示する。また、この電子書籍表示装置は、例えば、1ページ目から5ページ目までが表示され、中央に3ページ目が表示されている場合、上方向指示キーが操作されると、サムネイルを一段階上へスクロールさせ、1ページ目の表示を消去し、新たに6ページ目を表示する。また特許文献2に開示された画像処理装置は、画面内にマトリクス状にページのサムネイル画像を表示し、画面内に全てのページを表示しきれない場合には画面をスクロールさせることにより表示しきれなかったページのサムネイル画像を表示する。そしてユーザーがページの一覧からページを指定すると、指定されたページのみを拡大して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313485号公報
【特許文献2】特開2008−301502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に記載された技術によっても、アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示することができなかった。
本発明は、アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を第1列に表示する表示手段と、前記第1列のうちいずれかの部分が特定されると、前記特定された部分を見開き部分とし前記複数の画像を再配置する再配置手段と、前記見開き部分が特定されると、前記見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行する実行手段と、前記実行手段により前記動作が実行された場合、前記実行された動作に応じた表示を行うように前記表示手段を制御する表示制御手段とを有する表示装置を提供する。
この表示装置によれば、アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示することができる。
【0006】
好ましい態様において、前記アプリケーションプログラムの前記動作は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を前記第1列とは別の第2列に新たに表示させる動作であってもよい。
この表示装置によれば、ある画像が特定されると、第2列に複数の画像を表示することができる。
【0007】
別の好ましい態様において、前記第2列のいずれかの部分が特定されると、前記表示制御手段は、前記第2列からみて前記第1列に対して所定の方向にある第3列に、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を表示させてもよい。
この表示装置によれば、第2列のある画像が特定されると、第3列に複数の画像を表示することができる。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、前記実行された動作に応じて表示される複数の画像の各々は、アプリケーションプログラムまたはコンテンツに対応していてもよい。
この表示装置によれば、アプリケーションプログラムまたはコンテンツに対応する複数の画像を表示することができる。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、前記表示手段は、複数の画素を有し、前記複数の画素の階調は、各画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により変更され、前記表示制御手段は、前記表示手段に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の前記書き込み動作によって前記表示手段に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、前記複数の画素において階調を変更する画素を判断し、前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始してもよい。
この表示装置によれば、ユーザーの体感的な表示速度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明は、上記いずれかに記載の表示装置を有する電子機器を提供する。
この電子機器によれば、アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示することができる。
【0011】
さらに、本発明は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を表示手段において第1列に表示するステップと、前記第1列のうちいずれかの部分が特定されると、前記特定された部分を見開き部分とし前記複数の画像を再配置するステップと、前記見開き部分が特定されると、前記見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行するステップと、前記動作が実行された場合、前記実行された動作に応じた表示を行うように前記表示手段を制御するステップとを有する表示制御方法を提供する。
この表示制御方法によれば、アプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像のうち、特定されたものが見開き部分に位置するように表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る電子機器1000の外観を示した図。
【図2】電子機器1000のハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】表示部1の断面構造を示す模式図。
【図4】表示部1の回路の構成を示す図。
【図5】画素62の等価回路を示す図。
【図6】電子機器1000の機能構成を示すブロック図。
【図7】電子機器1000に表示されるメニュー画面を例示する図。
【図8】メニュー画面の表示処理を示すフローチャート。
【図9】サムネイル画像を示すデータを例示する図。
【図10】サムネイル画像の変形処理を説明する図。
【図11】基準状態におけるサムネイル画像群G1を例示する図。
【図12】基準状態から変更されたサムネイル画像群G1を例示する図。
【図13】メニュー画面における動作例を説明する図。
【図14】サムネイル画像群G1の一部が選択された場合の動作を示す。
【図15】メニュー画面における別の動作例を説明する図。
【図16】アプリケーションプログラムと動作との対応関係を示すデータの例。
【図17】見開き部分のサムネイル画像が選択された場合の動作。
【図18】サムネイル表示の設定ファイルを例示する図。
【図19】サムネイル画像群G2からサムネイル画像群G3を呼び出す例。
【図20】コントローラー2の機能構成を示すブロック図。
【図21】コントローラー2による表示部1の駆動処理を示すフローチャート。
【図22】メモリーに記憶されているデータを例示する図。
【図23】VRAM4の書き換えが行われた状態を例示する図。
【図24】記憶領域B11のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図25】記憶領域B12のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図26】すべての画素についてデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図27】図26の状態から1フレームの電圧印加後の状態を例示する図。
【図28】書込データ記憶領域のデータの書き換えが終了した状態を例示する図。
【図29】ステップS23の処理が行われた直後の状態を示した図。
【図30】VRAM4のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図31】すべての画素についてデータの書き換えが終了した状態を例示する図。
【図32】ステップS23の処理が行われた状態を例示する図。
【図33】所定回数の電圧の印加が終了した状態を例示する図。
【図34】すべての画素についてデータの書き換えが完了した状態を例示する図。
【図35】図34の状態から画素の書き換えが行われた状態を例示する図。
【図36】図35の状態から処理が1フレーム進んだ状態を例示する図。
【図37】図36の状態から処理が進められた状態を例示する図。
【図38】変形例1に係るメニュー画面を例示する図。
【図39】変形例5に係る表示画像を例示する図。
【図40】変形例6に係るサムネイル画像の配置を例示する図。
【図41】変形例10に係るサムネイル画像群を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電子機器1000の外観を示した図である。電子機器1000は、画像を表示する表示装置である。この例で、電子機器1000は、電子書籍(文書の一例)を閲覧するための装置、いわゆる電子ブックリーダーである。電子書籍は複数ページの画像を含むデータである。電子機器1000は、電子書籍をある単位(例えば1ページずつ)で表示部1に表示する。電子書籍に含まれる複数ページのうち、表示の対象となる一のページを、「選択ページ」という。選択ページは、ユーザーによるボタン9A〜9Fの操作に応じて変更される。すなわち、ユーザーは、ボタン9A〜9Fの操作により、電子書籍のページをめくること(ページ送りまたはページ戻し)ができる。また、電子機器1000は、電子書籍の閲覧に加え、アプリケーションプログラムを実行する機能を有する。
【0014】
図2は、電子機器1000のハードウェア構成を示すブロック図である。電子機器1000は、表示部1と、コントローラー2と、制御部3と、VRAM(Video Random Access Memory)4と、RAM(Random Access Memory)5と、記憶部8と、操作部9と、バスBUSとを有する。表示部1は、画像を表示する表示素子を含むディスプレイパネルを有する。この例で、表示素子は、電圧の印加等によりエネルギーを与えなくても表示を保持するメモリー性の表示素子として、電気泳動粒子を用いた表示素子を有する。この表示素子により、表示部1は、モノクロ複数階調(この例では白黒2階調)の像を表示する。コントローラー2は、表示部1を制御する。制御部3は、電子機器1000の各部を制御する装置、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAMを有するマイクロコンピュータである。CPUは、RAMをワークエリアとして、ROMまたは記憶部8に記憶されたプログラムを実行する。ROMは、例えば、電子機器1000の基本的な動作を制御するためのOS(Operating System)プログラムを記憶している。VRAM4は、表示部1に表示させる画像を示す画像データを記憶するメモリーである。RAM5は、データを記憶するメモリーであり、この例では特に、書込データを記憶する書込データ記憶領域6および予定画像データを記憶する予定画像データ記憶領域7を有する。書込データおよび予定画像データの詳細は後述する。記憶部8は、電子書籍のデータ(書籍データ)に加え、各種のデータおよびアプリケーションプログラムを記憶する不揮発性のメモリーである。記憶部8は、複数の電子書籍のデータを記憶することができる。操作部9は、ユーザーの指示を入力するための入力装置であり、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、またはボタンを含む。図1に示したボタン9A〜9Fは、操作部9の具体例の一つである。バスBUSは、構成要素間でデータまたは信号を伝送する伝送路である。
【0015】
図3は、表示部1の断面構造を示す模式図である。表示部1は、第1基板10と、電気泳動層20と、第2基板30とを有する。第1基板10および第2基板30は、電気泳動層20を挟持するための基板である。
【0016】
第1基板10は、基板11と、接着層11aと、回路層12とを有する。基板11は、絶縁性及び可撓性を有する材料、例えばポリカーボネートで形成されている。基板11は、軽量性、可撓性、弾性及び絶縁性を有するものであれば、ポリカーボネート以外の樹脂材料により形成されてもよい。別の例で、基板11は、可撓性を有しないガラスにより形成されていてもよい。接着層11aは、基板11と回路層12とを接着する層である。回路層12は、電気泳動層20を駆動するための回路を有する層である。回路層12は、画素電極13aを有する。
【0017】
電気泳動層20は、バインダー22と、マイクロカプセル21とを有する。マイクロカプセル21は、バインダー22によって固定されている。バインダー22としては、マイクロカプセル21との親和性が良好で電極との密着性が優れ、かつ絶縁性を有する材料が用いられる。マイクロカプセル21は、内部に分散媒および電気泳動粒子が格納されたカプセルである。マイクロカプセル21は、柔軟性を有する材料、例えばアラビアゴム・ゼラチン系の化合物またはウレタン系の化合物等が用いられる。なお、マイクロカプセル21と画素電極13aとの間には、接着剤により形成された接着層が設けられてもよい。
【0018】
分散媒は、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、またはカルボン酸塩である。別の例で、分散媒は、その他の油類であってもよい。また、分散媒は、これらの物質が混合されたものでもよい。さらに別の例で、分散媒には、界面活性剤などが配合されてもよい。
【0019】
電気泳動粒子は、分散媒中で電界によって移動する性質を有する粒子(高分子またはコロイド)である。本実施形態においては白の電気泳動粒子と黒の電気泳動粒子がマイクロカプセル21内に格納されている。黒の電気泳動粒子は、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を含む粒子であり、本実施形態では正に帯電されている。白の電気泳動粒子は、例えば、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料を含む粒子であり、本実施形態では負に帯電されている。
【0020】
第2基板30は、フィルム31と、透明電極32とを有する。フィルム31は、電気泳動層20の封止および保護をするものである。フィルム31は、透明で絶縁性を有する材料、例えばポリエチレンテレフタレートにより形成される。透明電極32は、透明で導電性を有する材料、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)により形成される。
【0021】
図4は、表示部1の回路の構成を示す図である。表示部1は、m本の走査線64と、n本のデータ線65と、m×n個の画素62と、走査線駆動回路53と、データ線駆動回路54とを有する。走査線駆動回路53およびデータ線駆動回路54は、コントローラー2により制御される。走査線64は、行方向(x方向)に沿って配置されており、走査信号を伝達する。走査信号は、m本の走査線64の中から一の走査線64を順次排他的に選択する信号である。データ線65は、列方向(y方向)に沿って配置されており、データ信号を伝達する。データ信号は、各画素の階調を示す信号である。走査線64とデータ線65とは絶縁されている。画素62は、走査線64およびデータ線65の交差に対応して設けられており、データ信号に応じた階調を示す。なお、複数の走査線64のうち一の走査線64を他と区別する必要があるときは、第1行、第2行、・・・、第m行の走査線64という。データ線65についても同様である。m×n個の画素62により、表示領域が形成される。
【0022】
図5は画素62の等価回路を示す図である。画素62は、トランジスター61と、保持容量63と、画素電極13aと、電気泳動層20と、透明電極32とを有する。トランジスター61は、画素電極13aへのデータの書き込みを制御するスイッチング素子、例えばnチャネルのTFT(Thin Film Transistor)である。トランジスター61のゲート、ソース、およびドレインはそれぞれ、走査線64、データ線65、および画素電極13aに接続されている。L(Low)レベルの走査信号(被選択信号)がゲートに入力されているとき、トランジスター61のソースとドレインは絶縁する。H(High)レベルの走査信号(選択信号)がゲートに入力されると、トランジスター61のソースとドレインは導通し、画素電極13aにデータ電圧(データ信号が示す電圧)が書き込まれる。また、トランジスター61のドレインには保持容量63も接続されている。保持容量63は、データ電圧に応じた電荷を保持する。画素電極13aは、画素62に一つずつ設けられており、透明電極32と対向している。透明電極32は、すべての画素62に共通であり、電位Vcomが与えられる。画素電極13aと透明電極32との間には電気泳動層20が挟まれている。電気泳動層20には、画素電極13aと透明電極32との電位差に相当する電圧が印加される。マイクロカプセル21において、電気泳動層20に印加されている電圧に応じて電気泳動粒子が移動し、階調表現をする。透明電極32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が正(例えば+15V)である場合、負に帯電している白の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、正に帯電している黒の電気泳動粒子が透明電極32側に移動する。このとき第2基板30側から表示部1を見ると、画素が黒に見える。透明電極32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が負(例えば−15V)である場合、正に帯電している黒の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、負に帯電している白の電気泳動粒子が透明電極32側に移動する。このとき、画素が白に見える。
【0023】
なお、以下の説明においては、走査線駆動回路53が第1行の走査線を選択してから第m行の走査線の選択が終了するまでの期間を「フレーム期間」または単に「フレーム」という。各走査線64は、1フレームに一回づつ選択され、各画素62には1フレームに一回づつデータ信号が供給される。
【0024】
図6は、電子機器1000の機能構成を示すブロック図である。電子機器1000は、表示手段1101と、再配置手段1102と、実行手段1103と、表示制御手段1104とを有する。表示手段1101は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像(サムネイル画像)を第1列に表示する。再配置手段1102は、第1列のうちいずれかの部分が特定(選択)されると、特定された部分を見開き部分とし複数の画像を再配置する。実行手段1103は、見開き部分が特定されると、見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行する。表示制御手段1104は、実行手段1103により動作が実行された場合、実行された動作に応じた表示を行うように表示手段1101を制御する。本実施形態において、これらの機能は、OSプログラムにより提供される。OSプログラムを実行している制御部3は、再配置手段1102および実行手段1103の一例である。OSプログラムを実行している制御部3およびコントローラー2は、表示制御手段1104の一例である。表示部1は、表示手段1101の一例である。
【0025】
2.動作
図7は、電子機器1000に表示されるメニュー画面(デスクトップ画面)を例示する図である。電子機器1000は、メニュー画面の表示、およびメニュー画面において指定されたアプリケーションプログラムの起動を行う機能を有する。メニュー画面は、一列に配置されたサムネイル画像群G1(複数のサムネイル画像)を有する。複数のサムネイル画像の各々には、アプリケーションプログラムおよびその動作が割り当てられている。「サムネイル画像」とは、表示領域Dの一部を占める大きさを有する画像であって、元画像を縮小(または拡大)した画像をいう。元画像は、例えば、アプリケーションプログラムのアイコン、またはアプリケーションプログラムの動作画面等である。この例で、サムネイル画像群G1は、表示領域Dの下部において、表示領域Dの下辺に沿って配置されている。なお以下において、表示領域Dの長手方向を上下方向といい、短手方向を左右方向という。
【0026】
2−1.メニュー画面の表示
図8は、メニュー画面の表示処理を示すフローチャートである。図8のフローは、所定のイベント、例えば、電子機器1000の電源が投入されたこと、または、電子機器1000においてメニュー画面の表示が指示されたことを契機として開始される。
【0027】
ステップS101において、制御部3は、処理対象となるサムネイル画像群、この例ではサムネイル画像群G1に含まれる複数のサムネイル画像の元画像を取得する。複数の元画像は、記憶部8に記憶されている。ステップS102において、制御部3は、複数のサムネイル画像の並び順を示すデータを取得する。このデータは、サムネイル画像の識別子と、並び順を示す番号とを含む。
【0028】
図9は、サムネイル画像群G1に含まれるサムネイル画像を示すデータを例示する図である。このデータは、サムネイル画像の並び順を示す番号と、サムネイル画像の識別子としてファイル名とを含んでいる。このデータは、サムネイル画像群G1には10個のサムネイル画像が含まれることを示している。さらに、このデータは、これら10個のサムネイル画像のうちファイル名「aaa」のものが順番が最初で、ファイル名「jjj」のものが最後であることを示している。このデータは、記憶部8に記憶されている。ステップS101において、制御部3は、記憶部8からこのデータを読み出し、このデータに含まれるファイル名を有する元画像を記憶部8から取得する。ステップS102において、制御部3は、このデータからサムネイル画像の並び順を取得する。
【0029】
再び図8を参照する。ステップS103において、制御部3は、サムネイル画像群G1の表示に用いられるパラメーターを取得する。これらのパラメーターは、サムネイル画像群の識別子とともに、記憶部8に記憶されている。ここで取得されるパラメーターには、画像数NS、選択画像SS、幅WGが含まれる。画像数NSは、サムネイル画像群G1に含まれるサムネイル画像の数を示すパラメーターである。選択画像SSは、サムネイル画像群G1に含まれるサムネイル画像のうち、選択されているサムネイル画像を特定するパラメーターである。幅WGは、サムネイル画像群G1の幅(表示領域の下辺に沿った長さ)を示すパラメーターである。
【0030】
ステップS104において、制御部3は、サムネイル画像を生成する。より詳細には、制御部3は、ステップS101において取得した元画像を縮小また拡大し、サムネイル画像を生成する。この例で、元画像は、縮小または拡大後の幅が所定の値になるように拡大または縮小される。制御部3は、生成したサムネイル画像をRAM5に記憶する。ステップS105において、制御部3は、サムネイル画像を変形する。
【0031】
図10は、サムネイル画像の変形処理を説明する図である。ステップS104において生成されたサムネイル画像は、元画像を平面視した画像である。以下この状態を、「基準状態」という。サムネイル画像は、基準状態から、ある視点から俯瞰し、かつ、ある回転軸を中心に回転された状態に変形される。図10(a)は、変形後のサムネイル画像を例示する図である。変形後のサムネイル画像は、変形前のサムネイル画像を仮想空間内の水平面Nに立て、仮想回転軸M(この例では、変形前のサムネイル画像の左辺)を中心にして、基準状態から回転角θで回転させた画像である。水平面Nの角度(図中において破線で示した楕円の、正円からのずれ)は、仮想空間内においてサムネイル画像の上辺より上の視点からサムネイル画像を見た時の俯角φに依存している。例えば、サムネイル画像の上辺の真上から見ると、破線で示した楕円は正円になり、そこから視点が下がるにつれて楕円は段々と扁平になる。
【0032】
サムネイル画像の変形は、具体的には例えば以下のように行われる。図10(b)は、基準状態のサムネイル画像を示す図である。基準状態のサムネイル画像は、縦方向の長さL、横方向の長さSの四角形である。基準状態のサムネイル画像において、縦方向の辺は表示領域の縦方向と平行であり、横方向の辺は表示領域の横方向と平行である。制御部3は、基準状態のサムネイル画像に対して、横幅を維持したまま縦方向の変形を加え、右辺を左辺に対してS・sinθ・tanφだけずらす(図10(c))。次に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で横方向に縮小する(図10(d))。最後に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で縦方向に縮小する(図10(e))。変形後のサムネイル画像は、高さL・cosθ、幅S・cosθの平行四辺形であり、その右辺と左辺とはS・sinθ・sinφずれている。
【0033】
この例で、サムネイル画像の変形は、回転角θおよび俯角φという2つのパラメーターにより特徴付けられる。ここではまず、説明を簡単にするため、回転角θおよび俯角φが一定の場合を例として説明する。
【0034】
再び図8を参照する。ステップS106において、制御部3は、サムネイル画像群G1を生成する。サムネイル画像群G1は、複数のサムネイル画像を合成した画像である。サムネイル画像群G1において、複数のサムネイル画像は、これら複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なっている。この例で、複数のサムネイル画像は、1本の水平な直線上に上端が接するように配置される。複数のサムネイル画像は、ステップS102において取得されたデータにより示される順番に従って、例えば、左端が最初の画像で左端が最後の画像であるように配置される。ここで、第i番のサムネイル画像と第(i+1)番のサムネイル画像との間の間隔(距離)を、d(i)と表す。例えば、d(SS1)は、選択されているサムネイル画像と、順番がその次のサムネイル画像との間隔を表している。
【0035】
図11は、基準状態におけるサムネイル画像群G1を例示する図である。図11は、サムネイル画像群G1に10個のサムネイル画像が含まれる例を示している。基準状態において、これ10個のサムネイル画像は、共通のパラメーター(例えば、幅w、回転角θ、および俯角φ)を用いて変形されている。また、複数のサムネイル画像を重ね合わせる際のパラメーター(例えば、間隔d)もサムネイル画像によらず一定である。基準状態は、例えば、電子機器1000を初めて起動したときに表示されるメニュー画面に対応する。
【0036】
図12は、基準状態から変更されたサムネイル画像群G1を例示する図である。この例は、第5番のサムネイル画像が選択されている状態を示している。第i番のサムネイル画像における回転角θ(i)および間隔d(i)は、選択されているサムネイル画像との位置関係に応じて決められる。この例で、回転角θ(i)は、以下の条件を満たす。
(1)1≦i≦SS1の範囲において、選択されているサムネイル画像において(すなわちi=SS1のとき)θ(i)の絶対値は最小となる。
(2)1≦i≦SS1の範囲において、選択されているサムネイル画像から離れるにつれ、θ(i)の絶対値は大きくなる。すなわち、θ(i−1)≦θ(i)である。
(3)(SS1+1)≦i≦NSの範囲におけるθ(i)の符号は、1≦i≦SS1の範囲におけるθ(i)の符号と逆である。なお、NSはサムネイル画像群G1に含まれるサムネイル画像の数を示す。θ(i)の符号は、図10(a)により定義される。
(4)(SS1+1)≦i≦NSの範囲において、選択されているサムネイル画像の次のサムネイル画像において(すなわちi=SS1+1のとき)θ(i)の絶対値は最小となる。
(5)(SS1+1)≦i≦NSの範囲において、選択されているサムネイル画像の次のサムネイル画像から離れるにつれ、θ(i)の絶対値は大きくなる。すなわち、θ(i)≦θ(i+1)である。
【0037】
また、この例で、間隔d(i)は以下の条件を満たす。
(1)選択されているサムネイル画像を基準としたある範囲においては、選択されているサムネイル画像とその次のサムネイル画像との間隔が最大である。例えば、選択されているサムネイル画像以前のk個のサムネイル画像および選択されているサムネイル画像の次のサムネイル画像以後のk個のサムネイル画像をこの範囲とすると、(SS1−k+1)≦i≦(SS1+k)の範囲において、d(SS1)が最大である。
(2)(1)の範囲において、選択ページから離れるにつれて間隔d(i)は狭くなる(または等しい)。すなわち、(SS1−k+1)≦i≦SS1の範囲において、d(SS1)≦d(i)であり、(SS1+1)≦i≦(SS1+k)の範囲において、d(i+1)≦d(i)である。
(3)(1)の範囲を超えると、間隔d(p)は一定となる。すなわち、i<(SS1−k+1)および(SS1+k)<iの範囲において、d(i)は一定である。
(4)(1)の範囲の境界の外の間隔は、境界の中の間隔以下である。すなわち、d(SS1−k)≦d(SS1−k+1)であり、d(SS1+k)≦d(SS1+k+1)である。
【0038】
2つのサムネイル画像が重ねられる場合、以下の条件を満たす。
(1)選択されているサムネイル画像以前においては、順番が後のものが上になるように重ねられる。すなわち、1≦i≦SS1の範囲において、第(i+1)番のサムネイル画像は第i番のサムネイル画像より上に重ねられる。
(2)選択されているサムネイル画像の次のサムネイル画像以後においては、順番が前のもの上になるように重ねられる。すなわち、(SS1+1)≦i≦NSの範囲において、第i番のサムネイル画像は、第(i+1)番のサムネイル画像より上に重ねられる。
【0039】
回転角θ(i)についての条件(1)〜(5)、間隔d(i)についての条件(1)〜(4)、および重ね合わせについての条件(1)〜(2)により、サムネイル画像群G1には、見開き部分が形成される。見開き部分とは、サムネイル画像群G1において、最上位、最小回転角、かつ最大間隔で表示される2つのサムネイル画像をいう。図12の例では、選択されているサムネイル画像(第5番のサムネイル画像)およびその次の順番のサムネイル画像(第6番のサムネイル画像)が、見開き部分を構成する。
【0040】
再び図8を参照する。ステップS107において、制御部3は、生成したサムネイル画像群G1を、メニュー画面に表示する。サムネイル画像群G1が表示される位置(より具体的には、サムネイル画像群G1の代表点の位置)は、あらかじめ決められている。サムネイル画像群G1の代表点は、例えば、サムネイル画像群G1の外接矩形(この外接矩形の辺は、表示領域の辺に平行である)の左上頂点である。こうして、図7のメニュー画面が表示される。
【0041】
2−2.メニュー画面における動作 その1
図13は、メニュー画面における動作例を説明する図である。図13は、サムネイル画像群G1において、選択されているサムネイル画像とは別のサムネイル画像が新たに選択された場合の動作例を示している。図13(A)は別のサムネイル画像を選択する前のメニュー画面を、図13(B)は、別のサムネイル画像を選択した後のメニュー画面を、それぞれ示している。サムネイル画像の選択は、操作部9を介して行われる。操作部9がタッチスクリーンを有する場合、タッチスクリーン上でサムネイル画像に対応する部分がユーザーによりタッチされることで、サムネイル画像が選択される。この例では、選択されているサムネイル画像とは別のサムネイル画像が新たに選択された場合、新たに選択されたサムネイル画像が見開き部分となるように、サムネイル画像群G1が変更される。
【0042】
図14は、サムネイル画像群G1の一部が選択された場合の動作を示すフローチャートである。図14のフローは、サムネイル画像群G1の一部が選択されたことを契機として開始される。
【0043】
ステップS201において、制御部3は、選択されたのが見開き部分であるか判断する。サムネイル画像群G1の一部が選択されると、操作部9は、選択された位置の特定に用いられる情報を示す信号を出力する。制御部3は、この信号に基づいて、選択されたのが見開き部分であるか判断する。見開き部分が選択されたと判断された場合(S201:YES)、制御部3は、処理を図17のフローに移行する。見開き部分以外が選択されたと判断された場合(S201:NO)、制御部3は、処理をステップS202に移行する。
【0044】
ステップS202において、制御部3は、サムネイル画像群G1の表示に用いられるパラメーターを更新する。具体的には、制御部3は、選択されているサムネイル画像を示すパラメーターSS1を、操作部9から出力された信号が示す位置に応じて更新する。図13の例では、i=7のサムネイル画像が新たに選択されている。この場合、SS1=7としてパラメーターSS1が更新される。ステップS202〜S206の処理は、ステップS104〜S107と同様の処理である。この結果、図13(B)に示されるサムネイル画像群G1が表示される。
【0045】
2−3.メニュー画面における動作例 その2
図15は、メニュー画面における別の動作例を説明する図である。図15は、サムネイル画像群G1において、見開き部分のサムネイル画像が選択された場合の動作例を示している。図15(A)はサムネイル画像を選択する前のメニュー画面を、図15(B)は、見開き部分のサムネイル画像を選択した後のメニュー画面を、それぞれ示している。この例では、見開き部分のサムネイル画像が選択された場合、選択されたサムネイル画像に割り当てられたアプリケーションプログラムの動作が実行され、その結果として、サムネイル画像群G1とは別のサムネイル画像群G2が表示される。以下、サムネイル画像群が複数存在する場合、「サムネイル画像群Gj」のように添字を用いて区別する。添字jは、サムネイル画像群の階層を示す。例えば、「サムネイル画像群G2」は第2階層のサムネイル画像群を表す。この例では、メニュー画面に最初に表示されるサムネイル画像群が第1階層のサムネイル画像群であり、第1階層のサムネイル画像群から呼び出されるサムネイル画像群が第2階層のサムネイル画像群である。一般化すると、サムネイル画像群G(j−1)から呼び出されるサムネイル画像群がサムネイル画像群Gjである。すなわち、この例で、サムネイル画像に割り当てられているアプリケーションプログラムの動作は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数のサムネイル画像を第j階層(第1列の一例)とは別の第(j+1)階層(第2列の一例)に新たに表示させる動作である。
【0046】
図16は、アプリケーションプログラムと動作との対応関係を示すデータを例示する図である。このデータは、記憶部8に記憶されている。このデータは、サムネイル画像群の識別子と、サムネイル画像の識別子(サムネイルID)と、アプリケーションプログラムの識別子(アプリID)と、そのサムネイル画像に割り当てられた動作と、その動作に対応する設定ファイルのファイル名とを含む。この例で、サムネイル画像に割り当てられた動作は、「全画面表示」または「サムネイル表示」である。「全画面表示」は、そのアプリケーションプログラムを起動し、そのアプリケーションプログラムの実行画面(ウインドウ)を表示領域のほぼ全面に表示することをいう。すなわち、動作「全画面表示」が割り当てられたサムネイル画像は、アプリケーションプログラムで利用可能なコンテンツ(文書、静止画、動画、音声等)に対応している。「サムネイル表示」は、そのアプリケーションプログラムに対応するサムネイル画像群をメニュー画面に表示することをいう。例えば、このデータは、サムネイルID「ワープロ1」に、アプリケーションプログラム「ワープロ」および動作「全画面表示」が割り当てられていることを示している。また、このデータは、サムネイルID「ブラウザー1」にアプリケーションプログラム「ブラウザー」および動作「全画面表示」が割り当てられていることを示しいてる。さらに、このデータは、サムネイルID「ブラウザー2」にアプリケーションプログラム「ブラウザー」および動作「サムネイル表示」が割り当てられ、サムネイル表示の設定ファイル名が「ブラウザー2設定」であることを示している。
【0047】
図17は、見開き部分のサムネイル画像が選択された場合の動作を示すフローチャートである。ステップS301において、制御部3は、選択されたサムネイル画像に割り当てられたアプリケーションプログラムおよび動作を取得する。具体的には、制御部3は、記憶部8から図16のデータを読み出し、選択されたサムネイル画像に割り当てられたアプリケーションプログラムおよび動作を取得する。ステップS302において、制御部3は、選択されたサムネイル画像に割り当てられた動作が、「サムネイル表示」であるか判断する。選択されたサムネイル画像に動作「サムネイル表示」が割り当てられている場合(S302:YES)、制御部3は、処理をステップS303に移行する。選択されたサムネイル画像に動作「全画面表示」が割り当てられている場合すなわち選択されたサムネイル画像に動作「サムネイル表示」が割り当てられていない場合(S302:NO)、制御部3は、処理をステップS304に移行する。
【0048】
ステップS303において、制御部3は、サムネイル画像群を生成および取得する。この処理は、ステップS101〜S107の処理と同様に行われる。この例では、新たなサムネイル画像群は、サムネイル画像群G1とは別の場所に表示される。
【0049】
図18は、サムネイル表示の設定ファイルを例示する図である。設定ファイルとして記憶されているデータは、サムネイルIDと、元画像種別と、関連データと、並び順とを含む。サムネイルIDは、サムネイル画像の識別子である。元画像種別は、元画像の種別を示す。この例で、元画像の種別は、「静的」または「動的」である。「静的」な画像とは、あらかじめ決められた所定の画像をいう。静的な画像の一例としては、例えば、アイコン、スクリーンショット、またはアニメーションがある。「動的」な画像とは、そのアプリケーションプログラムの処理に応じて変化する画像をいう。動的な画像の一例としては、例えば、検索プログラムにおいてある検索語を用いて検索した結果を示す画面、ブラウザーにおいてあるURLを入力したときに表示される画面、または時計プログラムにおいて現在時刻を示す画面がある。関連データは、元画像の生成に用いられるパラメーターを示す。元画像の種別が「静的」である場合、関連データは、元画像のファイル名を示す。元画像のデータが「動的」である場合、関連データは、アプリケーションプログラムの動作時に用いられるパラメーターを示す。このパラメーターの一例としては、例えば、検索プログラムにおける検索語、ブラウザーにおけるURL、または時計プログラムにおける標準時からのずれがある。図18の例は、検索プログラムが割り当てられたサムネイル画像の設定ファイルを示している。サムネイルID「a1」のサムネイル画像は、元画像の種別が「静的」であり、関連データ(元画像のファイル名)が「aaa1」であることが示されている。また、サムネイルID「a2」のサムネイル画像は、元画像の種別が「動的」であり、関連データ(この場合は検索語)が「物理」であることが示されている。ステップS303のうち、ステップS101およびステップS102の処理に相当する部分では、制御部3は、記憶部8からこの設定ファイルを読み出して情報を取得する。
【0050】
既に説明したように、この例では、異なる階層に属するサムネイル画像群は、異なる位置に表示される。より具体的には、第(j+1)階層のサムネイル画像群は、第j階層のサムネイル画像群よりも表示領域において上方向に位置するように表示される。ステップS303のうちステップS103の処理に相当する部分では、サムネイル画像群の階層に応じた表示位置を示すパラメーターが取得される。また、サムネイル画像群G2は、サムネイル画像群G1のうち、どのサムネイル画像から呼び出されたのか視覚的に認識可能なように、呼び出し元のサムネイル画像と結ばれる線が表示される。
【0051】
再び図17を参照する。ステップS303において、制御部3は、選択されたサムネイル画像に割り当てられたアプリケーションプログラムを起動する。電子機器1000は、このアプリケーションプログラムに従って動作する。例えば、ブラウザーが起動された場合、ブラウザーのウインドウが表示領域のほぼ全面に表示される。
【0052】
図19は、サムネイル画像群G2からサムネイル画像群G3を呼び出す例を示す図である。図19は、図15(B)の状態から、サムネイル画像群G3を呼び出した後の状態を示している。図15は、サムネイル画像G1からサムネイル画像G2を呼び出す例を示していたが、サムネイル画像群G2からサムネイル画像群G3を呼び出す場合も同様である。すなわち、この例では、第2列(サムネイル画像群G2)のいずれかの部分が特定されると、表示制御手段1104は、第2列からみて第1列(サムネイル画像群G1)に対して所定の方向にある第3列に、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像(サムネイル画像群G3)を表示させる。
【0053】
2−4.アプリケーションプログラムおよび動作の例
ここでは、見開き部分のサムネイル画像が選択された場合の具体的動作例、特に、アプリケーションプログラムの具体例をいくつか説明する。
【0054】
(1)検索プログラム
検索プログラムのサムネイル画像が選択された場合、次の階層において、ある検索語を用いて検索した結果を示す画面がサムネイル画像として表示される。検索語は、例えば検索履歴から取得される。この場合、サムネイル画像群は、例えば、履歴の上位k件の検索語をそれぞれ用いた検索結果の画面の、k個のサムネイル画像と、検索窓を表示した画面のサムネイル画像とを含む。
【0055】
(2)ファイルブラウザー
ファイルブラウザーのサムネイル画像が選択された場合、次の階層において、ある階層のフォルダー(ディレクトリー)の各々に対応するサムネイル画像が表示される。この場合、サムネイル画像群は、例えば、所定の階層に存在するフォルダーの各々に対応するサムネイル画像と、その階層に存在するファイルの各々に対応するサムネイル画像とを含む。サムネイル画像群の階層が深くなるにつれ、サムネイル画像に対応するフォルダの階層も深くなる。
【0056】
(3)ウェブブラウザー
ウェブブラウザーのサムネイル画像が選択された場合、次の階層において、あるURLで特定されるHTML文書のサムネイル画像が表示される。さらにその次の階層において、そのHTML文書においてハイパーリンクされた別のHTML文書がサムネイル画像として表示される。サムネイル画像群の階層が深くなるにつれ、一番最初のHTML文書からのリンクの数が増える。
【0057】
(4)ショッピングプログラム(買い物プログラム)
ショッピングプログラムのサムネイル画像が選択された場合、サムネイル画像群の階層に応じて、表示される内容が異なる。例えば、第2階層において商品毎のサムネイル画像が、第3階層においてある商品の口コミのコメントを示す複数のサムネイル画像が、それぞれ表示される。
【0058】
(5)スケジューラー(カレンダー)
スケジューラーのサムネイル画像が選択された場合、サムネイル画像群の階層に応じて、表示される内容が異なる。例えば、第2階層において本日の前後2ヶ月のカレンダーのサムネイル画像が、第3階層において週毎のカレンダーのサムネイル画像が、第4階層において、1週間の曜日毎のカレンダーのサムネイル画像が表示される。
【0059】
(6)時計
時計プログラムのサムネイル画像が選択された場合、次の階層において、世界各地の現在時刻を表示した画面のサムネイル画像が表示される。例えば、日本標準時、米国東部標準時、英国標準時のそれぞれに基づく時刻を表示した画面のサムネイル画像が表示される。
【0060】
2−5.表示書き換え
次に、ステップS107等における画像の書き換え処理の詳細を説明する。電子機器1000において、白(低濃度または低階調)から黒(高濃度または高階調)または黒から白への、画素の表示状態は、複数フレームに渡る電圧の印加(電荷の蓄積)により変化する。すなわち、1フレームだけの電圧の印加では、画素は所望の表示状態にはならない。
【0061】
図20は、コントローラー2の機能構成を示すブロック図である。コントローラー2は、書き換え判断部201と、書込状態判断部202と、書込制御部203と、データ更新部204と、予定画像更新部205とを有する。これらの機能は、ハードウェアにより実現される。別の例で、コントローラー2にプロセッサーを設け、このプロセッサーがプログラムを実行することにより各ブロックが実現されてもよい。
【0062】
書き換え判断部201は、VRAM4に記憶されている画像データと、予定画像データ記憶領域7に記憶されている画像データとを比較し、両者が異なるか否か判断する。書込状態判断部202は、書込データ記憶領域6に記憶されているデータを参照し、画素を黒から白または白から黒へ変化させるための書き換え動作が進行中か否か判断する。書込データ記憶領域6は、各画素について黒から白へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第1書込データ)を記憶する白書込データ記憶領域6Aと、各画素について白から黒へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第2書込データ)を記憶する黒書込データ記憶領域6Bとを有する。
【0063】
書込制御部203は、所望の画素の画素電極13aに対してデータ信号が供給されるように走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54を制御する。データ更新部204は、白書込データ記憶領域6Aと黒書込データ記憶領域6Bにデータを書き込む。予定画像更新部205は、予定画像データ記憶領域7に記憶されている画像データをVRAM4に記憶されている画像データで上書きする。
【0064】
図21は、コントローラー2による表示部1の駆動処理を示すフローチャートである。以下において、表示部1における第i行第j列の画素を、画素Pijという。VRAM4において、画素Pijの階調を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Aijという。この例で、記憶領域Aijに記憶されるデータは、0(黒)または7(白)の2値である。予定画像データ記憶領域7において、画素Pijの予定画像データを記憶する領域を、記憶領域Bijという。予定画像データとは、進行中の書き込み処理が終了したときの表示部1の状態を示すデータをいう。この例で、記憶領域Bijに記憶されるデータは、0(黒)または7(白)の2値である。書込データ記憶領域6は、白書込データ記憶領域6Aおよび黒書込データ記憶領域6Bとを有する。白書込データ記憶領域6Aは、第1書込データとして階調を黒から白に書き換える画素における残り電圧印加回数を記憶する。黒書込データ記憶領域6Bは、第2書込データとして階調を白から黒に書き換える画素における残り電圧印加回数を記憶する。白書込データ記憶領域6Aにおいて、画素Pijの残り電圧印加回数を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Cijという。黒書込データ記憶領域6Bにおいて、画素Pijの残り電圧印加回数を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Dijという。
【0065】
ステップS11およびS12において、書込状態判断部202は、変数iおよびjの値を初期化する。この例では、変数iおよびjは、i=1およびj=1に初期化される。ステップS13において、書込状態判断部202は、変数iおよびjで特定される画素Pijを選択する。例えば、変数iの値が1であり、変数jの値が1である場合、画素P11が選択される。
【0066】
ステップS14において、書込状態判断部202は、記憶領域Cijに記憶されている第1書込データと、記憶領域Dijに記憶されている第2書込データの両方が0であるか判断する。すなわち、書込状態判断部202は、画素Pijについて書き込み処理が継続中ではないか判断する。画素Pijについて第1書込データと第2書込データの両方が0である場合(ステップS14:YES)、書込状態判断部202は、処理をステップS16に移行する。画素Pijについて第1書込データおよび第2書込データの一方が0でない場合(ステップS14:NO)、書込状態判断部202は、処理をステップS15に移行する。
【0067】
ステップS15において、データ更新部204は、第1書込データおよび第2書込データのうち、値が0以外のデータから1を減算する。なお、第1書込データおよび第2書込データのうち、値が0のデータについては、データ更新部204は、1を減算しない。ステップS19において、データ更新部204は、変数jの値がデータ線の本数nと同じであるか否か判断する。変数jの値がnでない場合(ステップS19:NO)、データ更新部204は、変数jの値に1を加える(ステップS20)。変数jの値に1を加えると、データ更新部204は、処理をステップS13に移行する。変数jの値がnである場合(ステップS19:YES)、データ更新部204は、処理をステップS21に移行する。ステップS21において、データ更新部204は、変数iの値が走査線の本数mと同じであるか判断する。変数iの値がmでない場合(ステップS21:NO)、データ更新部204は、変数iの値に1を加える(ステップS22)。変数iの値に1を加えると、データ更新部204は、処理をステップS12へ移行する。変数iの値がmである場合(ステップS21:YES)、データ更新部204は、処理をステップS23に移行する。ステップS23において、書込制御部203は、走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54とを制御して画素駆動回路を駆動する。
【0068】
ステップS16(判断工程)において、書き換え判断部201は、記憶領域Aijに記憶されているデータと、記憶領域Bijに記憶されているデータとが同じであるか判断する。これらのデータが異なっている場合(ステップS16:NO)、書き換え判断部201は、処理をステップS17に移行する。
【0069】
ステップS17(データ更新工程)において、データ更新部204は、画素Pijの階調を記憶領域Aijの階調に変更するまでに必要な画素への電圧の印加回数を書込データ記憶領域6に書き込む。ステップS18において、予定画像更新部205は、記憶領域Bijの内容を記憶領域Aijに記憶されている内容で上書きする。
【0070】
図22は、メモリーに記憶されているデータを例示する図である。ここでは、表示部1の一部である4行4列の画素P11〜P44を例として説明する。この例では、画素の階調は0〜7の8段階で表される。階調7は白に、階調0は黒にそれぞれ対応している。図面を見やすくするため画素に数値が記載されているが、この数字が表示されているわけではない。図22の例では、画素P11、P12、P21、およびP22は黒であり、それ以外の画素は白である。書き込みが進行中の画素はなく、すべての画素について書き込みは完了した状態である。
【0071】
図23は、VRAM4の書き換えが行われた状態を例示する図である。この例では、画素P33、P34、P43、およびP44が黒であり、それ以外の画素は白である。VRAM4の書き換え、すなわち、VRAM4へのデータの書き込み(データ書き込み工程)は、制御部3により行われる。いま、図23の状態でステップS13において画素P11が選択された場合を例として説明する。この場合、記憶領域C11およびD11に記憶されているデータは共に0なので、ステップS14における判断結果はYESである。次に、記憶領域A11のデータと記憶領域B11のデータとは同じでないので、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域C11に、記憶領域B11のデータが書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B11に記憶領域A11のデータが書き込まれる。
【0072】
図24は、記憶領域B11のデータが書き換えられた状態を例示する図である。次に、対象となる画素が画素P12に更新される。記憶領域C12およびD12に記憶されているデータは共に0なので、ステップS14における判断結果はYESである。次に、記憶領域A12のデータと記憶領域B12のデータとは同じでないので、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域C12に、電圧印加回数(この例では7回)を示すデータが書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B12に記憶領域A12のデータが書き込まれる。
【0073】
図25は、記憶領域B12のデータが書き換えられた状態を例示する図である。同様にして処理が画素P44まで進むと、予定画像データ記憶領域7に記憶されているデータはVRAM4に記憶されているデータと同じになる。
【0074】
図26は、すべての画素についてデータが書き換えられた状態を例示する図である。黒から白に階調を書き換える画素については、記憶領域Cij(C11、C12、C21、およびC22)に記憶されているデータが「7」になっている。白から黒に階調を書き換える画素については、記憶領域Dij(D33、D34、D43、およびD44)に記憶されているデータが「7」になっている。記憶領域CijおよびDijにおいて、それ以外の画素についてのデータは「0」になっている。
【0075】
データの書き換えが終わると、書込制御部203は表示部1を駆動する。第i行の走査線が選択されたときに、記憶領域Cijのデータが0以外である画素については、透明電極32の電位Vcomを基準として画素電極13aの電位が低くなる電圧を印加させる制御を、書込制御部203が行う。記憶領域Dijのデータが0以外である画素については、透明電極32の電位Vcomを基準として画素電極13aの電位(以下、透明電極32の電位Vcomを基準とした、画素電極13aと透明電極32と電位差を単に「画素の電圧」という)が高くなる電圧を印加させる制御を、書込制御部203が行う。例えば、画素P11については、記憶領域C11に記憶されているデータが0ではない。したがって、第1行の走査線が選択されたとき、第1列のデータ線には画素の電圧を−15Vとする電圧が印加される。別の例で、画素P33については、記憶領域D33に記憶されているデータが0ではない。したがって、第3行の走査線が選択されたとき、第3列のデータ線には画素の電圧を+15Vとする電圧が印加される。さらに、記憶領域Cijのデータも記憶領域Dijのデータも0である画素Pijに対しては、画素の電圧を0Vとする電圧が第j行のデータ線に印加される。
【0076】
図27は、図26の状態から1フレームの電圧印加後の状態を例示する図である。表示部1の画素において、荷電粒子が移動したことにより階調が変化している。この例では、画素P11、P12、P21、およびP22が黒から1フレームの電圧印加分明るい階調になり、画素P33、P34、P43、およびP44が白から1フレームの電圧印加分暗い階調になっている。
【0077】
1フレームの電圧印加が修了すると、コントローラー2における処理は、再びステップS11から繰り返される。図27の状態でステップS13において画素P11が選択された場合、記憶領域C11に記憶されているデータは0ではないので、ステップS14における判断結果はNOである。ステップS15において、記憶領域C11に記憶されているデータ(0ではないデータ)から1が減算され、記憶領域C11のデータは6になる。同様にして、すべての画素について記憶領域のデータが書き換えられる。
【0078】
図28は、すべての画素について書込データ記憶領域のデータの書き換えが終了した状態を例示する図である。図27の状態と比較すると、記憶領域C11、C12、C21、およびC22のデータ、並びに記憶領域D33、D34、D43、およびD44のデータが6になっている点が異なっている。
【0079】
図29は、図28に示した状態から2回目のステップS23の処理が行われた直後の状態を示した図である。図28の状態と比較すると、記憶領域C11、C12、C21、およびC22のデータ、並びに記憶領域D33、D34、D43、およびD44のデータが5になっている点が異なっている。さらに、表示部1における画素P11、P12、P21、およびP22の階調が3になっており、画素P33、P34、P43、およびP44の階調が4になっている点が図28の状態と異なっている。ここで、図29の状態のとき(2回目のステップS23の処理が行われた直後)にVRAM4のデータが書き換えられた場合の動作を考える。
【0080】
図30は、VRAM4のデータが書き換えられた状態を例示する図である。この例では、第1行および第4行の画素がすべて白に、第2行および第3行の画素がすべて黒である。この状態で、コントローラー2は、ステップS11からの処理を実行する。例えば、ステップS13において画素P21が選択された場合、ステップS14における判断結果はNOである。ステップS15において、記憶領域C21のデータは1が減算されて4になる。別の例で、ステップS13において画素P23が選択された場合、ステップS14における判断結果はYESである。さらに、ステップS16における判断結果葉NOである。したがって、処理はステップS17に進む。ステップS17において、記憶領域D23のデータとして7が書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B23のデータとして、記憶領域A23のデータが書き込まれる。このように、VRAM4のデータが書き換えられても、書き換え処理が進行中の画素(図30の例では、画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)については、進行中の書き換え処理(書き換えられる前のVRAM4のデータに基づく画素の書き換え処理)がそのまま進められる。一方、書き換え処理が進行中でない画素(画素P13、P14、P23、P24、P31、P32、P41、およびP42)については、書き換えられたVRAM4のデータに基づく画素の書き換え処理が行われる。
【0081】
図31は、図30の状態からすべての画素についてデータの書き換えが終了した状態を例示する図である。図30の状態と比較すると、記憶領域B23、B24、B31、およびB32のデータが0に書き換えられている点が異なっている。また、記憶領域C11、C12、C21、C22、D33、D34、D43、およびD44のデータが4に書き換えられている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが7に書き換えられている点が異なっている。
【0082】
図32は、図31の状態からステップS23の処理が行われた状態を例示する図である。VRAM4のデータの書き換え前から既に書き換え処理が進行中であった画素(画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)については、書き換え後のVRAM4のデータによらず、従前の書き換え処理が継続される。VRAM4のデータの書き換え後に書き換えが必要になった画素のうち、VRAM4のデータの書き換え前には書き換え処理が行われていなかった画素(画素P13、P14、P31、およびP32)については、書き換え後のVRAM4のデータに基づく画素の書き換えが開始される。
【0083】
図33は、図32からさらに書き換え処理が進められ、VRAM4のデータの書き換え前から既に書き換え処理が進行中であった画素(画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)について、所定回数の電圧の印加が終了した状態を例示する図である。この状態では、書込データ記憶領域6においては、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータは3であり、これ以外の記憶領域のデータは0である。表示部1において、画素P23、P24、P31、およびP32の階調は2である。画素P33、P34、P43、およびP44の階調は0である。それ以外の画素の階調は7である。この状態で、ステップS13において画素P21が選択された場合を例として考える。この場合、ステップS14における判断結果はYESである。さらに、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域D21のデータとして7が書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B21に記憶領域A21のデータと同じ0がデータとして書き込まれる。
【0084】
図34は、すべての画素についてデータの書き換えが完了した状態を例示する図である。図33と比較すると、記憶領域B21およびB22の値が7になっており、記憶領域B43およびB44のデータが0になっている点が異なっている。また、記憶領域C43、C44、D21、およびD22のデータが7になっている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが2になっている点が異なっている。
【0085】
図35は、図34の状態から画素の書き換えが行われた状態を例示する図である。図34の状態と比較すると、画素P23、P24、P31、およびP32の階調が1になっている点が異なっている。また、画素P21およびP22の階調が6になっており、画素P43およびP44の階調が1になっている点が異なっている。
【0086】
図36は、図35の状態から処理が1フレーム進んだ状態を例示する図である。図35の状態と比較すると、画素P23、P24、P31、およびP32の階調が0になっている点が異なっている。また、画素P21およびP22の階調が5になっており、画素P43およびP44の階調が2になっている点が異なっている。さらに、記憶領域C43、C44、D21、およびD22のデータが6になっている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが1になっている点が異なっている。
【0087】
図37は、図36の状態から処理が進められた状態を例示する図である。この状態では、VRAM4のデータと表示部1の階調とが一致している。また、書込データ記憶領域に記憶されているデータはすべて0であり、すべての画素について書き込み処理が終了していることが示されている。
【0088】
まとめると、表示書き換え処理において、表示部1は、複数の画素を有し、画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の階調が変更される。この表示書き換え処理は、表示部1に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の書き込み動作によって表示部1に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、複数の画素において階調を変更する画素を判断するステップ(ステップS16)と、階調を変更する画素と判断された画素が書き込み動作中ではない場合には、画像データの定める階調となるようにその画素に対して前記書き込み動作を開始し、判断工程において階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、画像データの定める階調となるようにその画素に対して書き込み動作を開始するステップ(ステップS23)とを有する。
【0089】
本実施形態によれば、先に書き換えが開始された領域と新たに書き換えを行う領域とが部分的に重なった場合でも、新たに書き換えを開始する時に書き換えが進行中でなかった部分については、書き換えが直ぐに開始される。したがって、ユーザーには表示速度が早く感じられる。また、本実施形態によれば、単一のフレーム内において、正電圧が印加される画素と負電圧が印加される画素を共存させることができる(このように、単一のフレームで正電圧と負電圧の両方を選択できる駆動を、「両極駆動」という)。
【0090】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0091】
3−1.変形例1
図38は、変形例1に係るメニュー画面を例示する図である。この例で、メニュー画面は、サムネイル画像群G1−1と、サムネイル画像群G1−2とを含む。サムネイル画像群G1−1およびサムネイル画像群G1−2は、ともに第1階層のサムネイル画像群である。サムネイル画像群G1−1は、実施形態で説明したサムネイル画像群G1と同様である。サムネイル画像群G1−2は、サムネイル画像群G1−1とは異なるパラメーターを用いて生成される。具体的には、サムネイル画像群G1−1においては複数のサムネイル画像が左右方向に並べられているのに対し、サムネイル画像群G1−2においては複数のサムネイル画像が上下方向に並べられている。サムネイル画像群G1−1の左右方向の両端には、サムネイル画像群G1−1の端部を示す画像BEが表示されている。図38の例では、画像BEはブックエンドを模した画像である。すなわち、サムネイル画像群G1−1は2つのブックエンドに挟まれて並べられた本を模しており、サムネイル画像群G1−2は、2つのブックエンドの外に縦に詰まれた本を模している。サムネイル画像群G1−1については、実施形態で説明した見開き表示が行われるが、サムネイル画像群G1−2については、見開き表示は行われない。
【0092】
3−2.変形例2
変形例1において、サムネイル画像群G1−2が、条件に応じて変更されてもよい。例えば、サムネイル画像の並び順が、サムネイル画像が選択された頻度(サムネイル画像の使用頻度)に応じて変更されてもよい。具体的には、使用頻度の高いサムネイル画像が上に位置するように、並び順が変更されてもよい。別の例で、使用頻度の高いサムネイル画像が大きくなるように、サムネイル画像の大きさが変更されてもよい。さらに別の例で、使用頻度の高いサムネイル画像と使用頻度の低いサムネイル画像との識別性を高めるため、使用頻度に応じてサムネイル画像の色が変更されてもよい。
【0093】
3−3.変形例3
変形例1において、サムネイル画像群G1−1に属するサムネイル画像と、サムネイル画像群G1−2に属するサムネイル画像とが、条件に応じて変更されてもよい。例えば、サムネイル画像群G1−1において使用頻度の最も低いサムネイル画像と、サムネイル画像群G1−2において使用頻度の最も高いサムネイル画像とが入れ替えられてもよい。別の例で、ユーザーの指示に応じて、サムネイル画像群G1−2に属するサムネイル画像が、サムネイル画像群G1−1に移動されてもよい。
【0094】
3−4.変形例4
サムネイル画像群におけるサムネイル画像の並び順が、条件に応じて変更されてもよい。実施形態において、サムネイル画像の並び順は図9で例示したデータによって決められており、ユーザーから特段の指示がない限りはサムネイル画像の並び順は変更されなかった。変形例4において、サムネイル画像の並び順は、ユーザーの指示によらずに自動的に変更される。例えば、見開き部分に位置するサムネイル画像に割り当てられたアプリケーションプログラムと関連性の高いサムネイル画像が、見開き部分の隣に移動されてもよい。この場合、アプリケーションプログラムとサムネイル画像との関連性は、設定ファイルにより定義される。設定ファイルは記憶部8に記憶されており、制御部3は記憶部8から設定ファイルを読み出して関連性を判断し、サムネイル画像の配置を変更する。
【0095】
3−5.変形例5
図39は、変形例5に係る表示画像を例示する図である。サムネイル画像群は、その全体が表示されず一部だけが表示されてもよい。図39の例では、サムネイル画像群については、ページの上端から予め定められた範囲である上部のみが表示され、この上部より下の下部は表示されない。
【0096】
3−6.変形例6
図40は、変形例6に係るサムネイル画像の配置を例示する図である。サムネイル画像群におけるサムネイル画像の配置は、実施形態で説明したものに限定されない。サムネイル画像は、表示領域の右から左方向へページ番号の降順に配置されてもよい。また、隣接する2つのサムネイル画像は、上辺または下辺の位置が一致していなくてもよい。図40の例では、選択ページのサムネイル画像より左側に表示されるサムネイル画像は、選択ページから離れるにつれて上方向にずれている。選択ページの1ページ前のサムネイル画像より右側に表示されるサムネイル画像は、選択ページの1ページ前のサムネイル画像から離れるにつれて上方向にずれている。
【0097】
3−7.変形例7
サムネイル画像の大きさは、実施形態で説明したものに限定されない。サムネイル画像の大きさは、予め定められていてもよい。別の例で、サムネイル画像の大きさは、ユーザーの指示入力に応じて変更されてもよい。さらに別の例で、サムネイル画像の大きさは、表示部1の解像度に応じて変更されてもよい。この構成は、例えば、電子機器1000がパーソナルコンピューターである場合など、ディスプレイ装置を交換可能な装置に対して有効である。また、サムネイル画像の大きさは、すべてのページについて同一でなくてもよい。具体的には、選択ページのサムネイル画像を、選択ページ以外のページのサムネイル画像より大きくしてもよい。また、第2選択ページのサムネイル画像を、第2選択ページの前後のページのサムネイル画像より大きくしてもよい。さらに別の例で、選択ページのサムネイル画像が最も大きく、選択ページから離れたページになるにつれてサムネイル画像が小さくなってもよい。さらに別の例で、選択ページから予め定められた範囲内のページのサムネイル画像は、選択ページと同じ大きさであり、この範囲外のページのサムネイル画像は、選択ページのサムネイル画像より小さくてもよい。
【0098】
3−8.変形例8
サムネイル画像群を生成する際のパラメーターの設定は、実施形態で説明したものに限定されない。回転角θ、間隔d、重ね合わせ等の条件は、実施形態で説明したものに限定されず、他の条件が用いられてもよい。また、上下方向の表示位置、サムネイル画像のサイズ、表示色など、実施形態で説明した以外のパラメーターが用いられてもよい。
【0099】
実施形態では、サムネイル画像群に含まれる複数のサムネイル画像のうち、単一のサムネイル画像が選択される例を説明した。しかし、単一のサムネイル画像群の中から、2つ以上のサムネイル画像が選択されてもよい。すなわち、単一のサムネイル画像群は、複数の見開き部分を有していてもよい。別の例で、サムネイル画像の選択に順位が与えられ、順位に応じてパラメーターが変更されてもよい。例えば、第1順位で選択されたサムネイル画像が見開き部分に位置するよう回転角θおよび間隔dが変更され、第2順位で選択されたサムネイル画像が表示領域の上向きに飛び出すように、表示位置が変更されてもよい。
【0100】
3−9.変形例9
サムネイル画像の変形は実施形態で説明したものに限定されない。例えば、回転角θは選択ページによらず一定であってもよい。また、俯角φはゼロ(俯瞰しない)であってもよいし、マイナス(下から見上げる)であってもよい。
【0101】
3−10.変形例10
図41は、変形例10に係るサムネイル画像群を例示する図である。サムネイル画像群と選択ページとの位置関係は実施形態で説明したものに限定されない。図42では、サムネイル画像群と選択ページとが重ならないように表示される。別の例で、第1選択画像Pを表示せずにサムネイル画像群P11だけを表示するようにしてもよい。なお、サムネイル画像群P11だけを表示する場合、第1選択画像Pと共に表示する場合と比較して各サムネイル画像のサイズを大きくしてもよい。
【0102】
3−11.変形例11
電子機器1000は、サムネイル画像の表示および非表示を切り換えられる構成を有していてもよい。表示および非表示の切り換えは、例えば、操作部9を介した指示入力に応じて切り換えられる。具体的には、ボタン9Bが押下されると表示されているサムネイル画像が消去され、サムネイル画像が表示されていない状態においてボタン9Aが押下されるとサムネイル画像が表示されてもよい。サムネイル画像を消去する場合には、サムネイル画像を下方向へスクロールさせて消去してもよい。サムネイル画像を表示する場合には、サムネイル画像を表示領域の下端から上方向へスクロールさせて表示してもよい。
【0103】
3−12.変形例12
操作部9の構成は実施形態で説明したものに限定されない。操作部9は、表示部1においてスタイラスペンで触れられた位置の情報を取得する位置入力装置を有していてもよい。電子機器1000は、この位置入力装置で得た位置情報によりスタイラスペンの位置や移動軌跡を取得し、取得した位置や移動軌跡に応じて電子機器1000の各部を制御してもよい。
【0104】
3−13.他の変形例
電子機器1000は、電子ブックリーダーに限定されない。電子機器1000は、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、または携帯ゲーム機であってもよい。これらの電子機器において、図6に示される機能は、制御部3がプログラムを実行することにより実現されてもよい。このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピューター読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。別の例で、このプログラムは、通信回線を介して電子機器1000にダウンロードされてもよい。こうして取得されたプログラムは、電子機器1000にインストールされて使用される。
【0105】
画素の等価回路は、実施形態で説明されたものに限定されない。画素電極13aと透明電極32との間に制御された電圧を印加できる構成であれば、スイッチング素子および容量素子はどのように組み合わせられてもよい。また、この画素を駆動する方法は、実施形態で説明した両極駆動に限定されない。単一のフレームにおいては単一の極性の電圧が画素に印加される、片極駆動が行われてもよい。
【0106】
画素の構造は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、荷電粒子の極性は実施形態で説明したものに限定されない。黒の電気泳動粒子が負に帯電し、白の電気泳動粒子が正に帯電していてもよい。この場合は、画素に印加する電圧の極性は実施形態で説明したものと逆になる。また、表示素子は、マイクロカプセルを用いた電気泳動方式の表示素子に限定されない。液晶素子または有機EL(Electro Luminescence)素子など、他の表示素子が用いられてもよい。実施形態において、表示部1はモノクロ2階調表示の機能を有していたが、モノクロ3階調以上またはカラー表示の機能を有していてもよい。
【0107】
図6に示した電子機器1000機能の一部、または、図7等のフローチャートで説明した処理の一部は、省略されてもよい。例えば、実施形態では、制御部3が書籍データからサムネイル画像を生成する例を説明したが、制御部3はサムネイル画像を生成しなくてもよい。この場合、例えば書籍データにサムネイル画像が含まれている。制御部3は、書籍データからサムネイル画像を取得する。
【0108】
表示部1に表示される画像は、電子書籍の画像に限定されない。表示部1に表示される画像は、論文、報告書、資料、図表、写真、ウェブサイトなどであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…表示部、2…コントローラー、3…制御部、4…VRAM、5…RAM、8…記憶部、9…操作部、10…第1基板、11…基板、12…回路層、20…電気泳動層、21…マイクロカプセル、22…バインダー、30…第2基板、31…フィルム、32…透明電極、53…走査線駆動回路、54…データ線駆動回路、61…トランジスター、62…画素、63…保持容量、64…走査線、65…データ線、201…書き換え判断部、202…書込状態判断部、203…書込制御部、204…データ更新部、205…予定画像更新部、1000…電子機器、1101…表示手段、1102…再配置手段、1103…実行手段、1104…表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を第1列に表示する表示手段と、
前記第1列のうちいずれかの部分が特定されると、前記特定された部分を見開き部分とし前記複数の画像を再配置する再配置手段と、
前記見開き部分が特定されると、前記見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行する実行手段と、
前記実行手段により前記動作が実行された場合、前記実行された動作に応じた表示を行うように前記表示手段を制御する表示制御手段と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記アプリケーションプログラムの前記動作は、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を前記第1列とは別の第2列に新たに表示させる動作である
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2列のいずれかの部分が特定されると、前記表示制御手段は、前記第2列からみて前記第1列に対して所定の方向にある第3列に、各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記実行された動作に応じて表示される複数の画像の各々は、アプリケーションプログラムまたはコンテンツに対応している
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、複数の画素を有し、
前記複数の画素の階調は、各画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により変更され、
前記表示制御手段は、前記表示手段に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の前記書き込み動作によって前記表示手段に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、前記複数の画素において階調を変更する画素を判断し、前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始する
を有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の表示装置を有する電子機器。
【請求項7】
各々にアプリケーションプログラムの動作が割り当てられた複数の画像を表示手段において第1列に表示するステップと、
前記第1列のうちいずれかの部分が特定されると、前記特定された部分を見開き部分とし前記複数の画像を再配置するステップと、
前記見開き部分が特定されると、前記見開き部分に位置する画像に対応するアプリケーションプログラムの動作を実行するステップと、
前記動作が実行された場合、前記実行された動作に応じた表示を行うように前記表示手段を制御するステップと
を有する表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−238223(P2012−238223A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107428(P2011−107428)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】