説明

表示装置および表示プログラム

【課題】 表示部に表示された文書を表す画像データにおいて、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる表示装置および表示プログラムを提供する。
【解決手段】 表示装置1では、近似曲線生成部68は、タッチパネル2に手書き入力された入力線分Lと重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字Cおよび第2端部文字Cを含む任意の複数の文字に接して、文字配列方向に沿って延びる第1曲線Bおよび第2曲線Bを文字ごとに生成する。そして、帯状領域生成部69は、第1曲線Bと第2曲線Bとの間で幅が規定される帯状領域Oを生成し、生成した帯状領域O内を文書画像データが透過するような色、透明度で表示パネル3に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルと一体的に形成されたタッチパネルを備え、表示パネルに表示された文書画像を表す画像データと重なるようにタッチパネルに手書き入力された線分に基づいて、文書画像を表す画像データを透過するような色、透明度で塗り潰された曲線線分を生成し、その曲線線分を表示パネルに表示することができる表示装置および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子黒板システム、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、電子手帳などには、液晶ディスプレイなどの表示パネルと、この表示パネルと一体的に形成されたタッチパネルとを含んで構成される、手書きで入力された文字を表示可能な表示装置が備えられている。表示装置は、タッチパネルに対する入力操作により手書き入力された軌跡の入力座標データに基づいて、文書画像を表す画像データを取得し、その取得した文書画像を表す画像データを表示パネルに表示する。また、表示装置は、PDF形式のデータファイル等の電子文書ファイルを、文書画像を表す画像データとして取得し、その取得した文書画像を表す画像データを表示パネルに表示する。
【0003】
このような表示装置において、表示パネルに表示された文書画像を表す画像データの所望部分に、注目のための修飾記号を付加する技術が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、表示パネルに表示された文書画像を表す画像データの、ユーザが所望する文字列部分に、文字列を塗り潰す線分を付加するような修飾編集機能に関する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術によれば、表示パネルに表示された文書画像を表す画像データの任意の文字列に対応して、タッチパネルを介して手書きで線分を入力することによって、任意の文字列の画像に重なり、かつ文字列の画像が透過するように、直線線分が表示される。
【0005】
このように、ユーザは、所望する任意の文字列に対応して手書きで線分を入力するだけで、文字列の視認性を損なわず、手書き線分を体裁よく直線線分として表示させることができる。そのため、任意の文字列に対して蛍光ペンで定規を用いて直線を上書きしたように、文字列を修飾編集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−282785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の技術は、直線状に配列した任意の文字列に対して、直線線分を付加して修飾するものである。そのため、特許文献1に開示の技術では、タッチパネルに対して手書き入力された軌跡に基づく文書画像を表す画像データや、PDF形式のデータファイル等の電子文書ファイルに基づく文書画像を表す画像データなどに含まれる、直線状に配列されていない文字列に対しては、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができない。
【0008】
したがって本発明の目的は、表示部に表示された文書画像を表す画像データにおいて、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる表示装置および表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、文書画像を表す画像データを取得する文書画像データ取得部と、
前記文書画像データ取得部が取得した文書画像を表す画像データに基づいて、文書画像を表示する表示部と、
前記表示部の表面上に積層されて、前記表示部と一体的に形成され、手書き入力によって指示された点の位置を表す座標データを出力する入力部と、
前記入力部から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、前記表示部に表示された文書画像と重なるように手書き入力された入力線分を認識し、入力線分の両端点の座標データを取得する入力線分認識部と、
前記入力線分の両端点の座標データに基づいて、前記入力線分と重なった文書画像から文字領域を抽出し、抽出した文字領域に含まれる文字列を認識し、1文字ごとの文字の軌跡を表す座標データを取得する文字認識部と、
前記文字認識部が取得した1文字ごとの座標データに基づいて、前記文字認識部が認識した文字列を構成する文字のうち、前記入力線分の両端点のそれぞれに最も近接する2つの文字である第1端部文字および第2端部文字を含む任意の文字を抽出し、抽出した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データを取得する文字抽出部と、
前記文字抽出部が抽出した各文字の外接矩形における前記文字列の文字配列方向に延びる2辺のそれぞれを含む、各文字に対する2つの接線線分である第1接線線分および第2接線線分を、文字ごとに生成する文字接線生成部と、
前記文字接線生成部が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第1曲線と、文字ごとのそれぞれの第2接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第2曲線とを生成する近似曲線生成部と、
前記近似曲線生成部が生成した前記第1曲線と前記第2曲線との間で規定される幅を有する帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を前記文書画像を透過するような色で前記表示部に表示させる帯状領域生成部と、を備えることを特徴とする表示装置である。
【0010】
また本発明の表示装置において、前記文書画像データ取得部は、前記入力部に対する手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、文書画像を表す画像データを取得することを特徴とする。
【0011】
また本発明の表示装置において、前記近似曲線生成部は、前記文字接線生成部が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分の両端点を通る近似曲線を前記第1曲線として生成し、文字ごとのそれぞれの第2接線線分の両端点を通る近似曲線を前記第2曲線として生成することを特徴とする。
【0012】
また本発明の表示装置において、前記帯状領域生成部は、前記第1端部文字に対応する前記第1接線線分と前記第2接線線分との外方側端点を通る直線、前記第2端部文字に対応する前記第1接線線分と前記第2接線線分との外方側端点を通る直線、前記第1曲線、および前記第2曲線で囲まれた領域を、帯状領域として生成することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、入力部および表示部を備えるコンピュータを、前記表示装置として機能させることを特徴とする表示プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置は、文書画像データ取得部が取得した文書画像を表す画像データに基づいて、文書画像を表示部に表示する装置である。さらに、表示装置は、入力部と、入力線分認識部と、文字認識部と、文字抽出部と、文字接線生成部と、近似曲線生成部と、帯状領域生成部とを備える。
【0015】
入力部は、表示部の表面上に積層されて表示部と一体的に形成され、手書き入力によって指示された点の位置を表す座標データを出力する。入力線分認識部は、たとえばユーザが、表示部に表示された文書画像と重なるように、入力部に対して線分を手書き入力した場合、その手書き入力された入力線分を認識し、入力線分の両端点の座標データを取得する。文字認識部は、入力線分の両端点の座標データに基づいて、入力線分と重なった文書画像から文字領域を抽出し、抽出した文字領域に含まれる文字列を認識し、1文字ごとの文字の軌跡を表す座標データを取得する。文字抽出部は、文字認識部が取得した1文字ごとの座標データに基づいて、文字認識部が認識した文字列を構成する文字のうち、入力線分の両端点のそれぞれに最も近接する第1端部文字および第2端部文字を含む任意の文字を抽出し、抽出した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データを取得する。
【0016】
文字接線生成部は、文字抽出部が抽出した各文字に対する2つの接線線分である第1接線線分および第2接線線分を文字ごとに生成する。この第1接線線分および第2接線線分は、各文字の外接矩形における、文字列の文字配列方向に延びる2辺のそれぞれを含む線分である。近似曲線生成部は、文字接線生成部が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第1曲線と、文字ごとのそれぞれの第2接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第2曲線とを生成する。そして、帯状領域生成部は、近似曲線生成部が生成した第1曲線と第2曲線との間で規定される幅を有する帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を文書画像を透過するような色で表示部に表示させる。
【0017】
本発明の表示装置では、近似曲線生成部が生成する第1曲線および第2曲線は、入力部に手書き入力された入力線分と重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字および第2端部文字を含む任意の複数の文字に接して、文字配列方向に沿って延びる曲線となる。そして、帯状領域生成部は、上記のような第1曲線と第2曲線との間で幅が規定される帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を文書画像を透過するような色、透明度で表示部に表示させる。これによって、表示部に表示された文書画像において、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる。
【0018】
また本発明によれば、文書画像データ取得部は、入力部に対する手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、文書画像を表す画像データを取得する。文書画像データ取得部によって取得された、入力部に対するユーザの入力操作によって手書き入力された軌跡に基づく文書画像を表す画像データは、表示部に表示される。
【0019】
本発明の表示装置では、上記のようにして表示部に表示された文書画像と重なるように手書き入力された入力線分に基づいて、帯状領域生成部によって帯状領域が生成される。生成される帯状領域は、入力線分と重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字および第2端部文字を含む任意の複数の文字に接する第1曲線と第2曲線との間で幅が規定され、文書画像を透過するような色、透明度で塗り潰された領域である。このようにして、表示装置は、入力部に対して手書き入力された軌跡に基づく文書画像に含まれる、曲線状に配列された文字列に対して、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる。
【0020】
また本発明によれば、近似曲線生成部は、文字ごとのそれぞれの第1接線線分の両端点を通る近似曲線を第1曲線として生成し、文字ごとのそれぞれの第2接線線分の両端点を通る近似曲線を第2曲線として生成する。このようにして、近似曲線生成部は、入力部に手書き入力された入力線分と重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字および第2端部文字を含む任意の複数の文字に接して、文字配列方向に沿って延びる第1曲線および第2曲線を生成することができる。
【0021】
また本発明によれば、帯状領域生成部は、第1端部文字に対応する第1接線線分と第2接線線分との外方側端点を通る直線、第2端部文字に対応する第1接線線分と第2接線線分との外方側端点を通る直線、第1曲線、および第2曲線で囲まれた領域を、帯状領域として生成する。このようにして、帯状領域生成部は、第1曲線と第2曲線との間で幅が規定される帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を文書画像を透過するような色、透明度で表示部に表示させることができる。
【0022】
また本発明によれば、表示プログラムは、入力部および表示部を備えるコンピュータを、前記表示装置として機能させるためのプログラムである。このような表示プログラムは、表示部に表示された文書画像において、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することが可能な表示処理を、ソフトウェアで制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の一形態に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【図3】表示装置1における入力線分認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】表示装置1における入力線分認識処理の動作を説明するための図である。
【図5】表示装置1における修飾編集範囲設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】表示装置1における修飾編集範囲設定処理の動作を説明するための図である。
【図7】表示装置1における文字認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図8A】表示装置1における文字認識処理の動作を説明するための図である。
【図8B】表示装置1における文字認識処理の動作を説明するための図である。
【図8C】表示装置1における文字認識処理の動作を説明するための図である。
【図9】表示装置1における文字抽出処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】表示装置1における文字抽出処理の動作を説明するための図である。
【図11】表示装置1における接線線分生成処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】表示装置1における接線線分生成処理の動作を説明するための図である。
【図13】表示装置1における近似曲線生成処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】表示装置1における近似曲線生成処理の動作を説明するための図である。
【図15】表示装置1における帯状領域生成処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】表示装置1における帯状領域生成処理の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。表示装置1は、入力部である透明なタッチパネル2と、表示部である表示パネル3と、タッチパネルデータ処理部4と、表示データ処理部5と、制御手段であるCPU6と、メモリなどで構成される第1記憶手段7と、HDDなどで構成される第2記憶手段8とを含む。表示装置1は、タッチパネル2に対して手書き入力された軌跡に基づく文書画像を表す画像データ(以下、「文書画像データ」という)や、PDF形式のデータファイル等の電子文書ファイルに基づく文書画像データなどを表示パネル3に表示する装置である。
【0025】
本実施形態の表示装置1では、タッチパネル2は、直交座標が設定された入力面を有し、表示パネル3の表面上に積層されて、表示パネル3と一体的に形成されている。このタッチパネル2は、入力面に対する入力操作によって手書き入力され、入力された座標点を表わす座標データを出力する。タッチパネルデータ処理部4は、タッチパネルドライバによって実現され、表示データ処理部5は、表示ドライバによって実現される。
【0026】
上記以外の入力方式として赤外線を遮る赤外線遮断方式、静電容量結合方式、電磁誘導方式、カメラ方式等のタブレットを用いることも可能である。
【0027】
CPU6は、文書画像データ取得部60と、座標データ取得部61と、軌跡表示指示部62と、入力線分認識部63と、修飾編集範囲設定部64と、文字認識部65と、文字抽出部66と、文字接線生成部67と、近似曲線生成部68と、帯状領域生成部69とを含む。
【0028】
文書画像データ取得部60は、タッチパネル2に対して手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、文書画像データを取得する。また、文書画像データ取得部60は、PDF形式のデータファイル等の電子文書ファイルに基づく文書画像データを取得する。文書画像データ取得部60によって取得された文書画像データに基づいて、表示パネル3に文書画像が表示される。
【0029】
座標データ取得部61は、タッチパネル2から出力される座標データを取得する。軌跡表示指示部62は、タッチパネル2に入力される手書き入力の座標データを表示パネル3に送信し、この座標データに基づいた手書き入力の軌跡を表示パネル3に表示させる。
【0030】
入力線分認識部63は、タッチパネル2から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、表示パネル3に表示された文書画像と重なるように手書き入力された入力線分を認識し、入力線分の両端点の座標データを取得する。入力線分認識部63が認識する入力線分は、ユーザのタッチパネル2の入力面に対する入力操作によって設定される。
【0031】
修飾編集範囲設定部64は、入力線分認識部63が取得した入力線分の両端点の座標データに基づいて、表示パネル3に表示された文書画像のうち、入力線分と重なった特定領域の範囲を示す修飾編集範囲を設定する。この修飾編集範囲設定部64が設定する修飾編集範囲が、後述する帯状領域生成部69により生成される帯状領域で、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集される対象領域となる。
【0032】
文字認識部65は、修飾編集範囲設定部64が設定した修飾編集範囲内における文書画像から文字領域を抽出し、抽出した文字領域に含まれる文字列を認識し、1文字ごとの文字の軌跡を表す座標データを取得する。文字認識部65は、OCR(Optical Character Recognition)技術を利用して、文字領域に含まれる文字の認識を行う。また、文字認識部65は、認識した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データ、X軸に対する各文字の傾き、各文字のサイズデータを取得する。
【0033】
文字抽出部66は、文字認識部65が取得した1文字ごとの座標データに基づいて、文字認識部65が認識した文字列を構成する文字のうち、入力線分の両端点のそれぞれに最も近接する第1端部文字および第2端部文字を含む任意の文字を抽出し、抽出した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データを取得する。また、文字抽出部66は、抽出した各文字の傾き、各文字のサイズデータを取得する。
【0034】
文字接線生成部67は、文字抽出部66が抽出した各文字に対する2つの接線線分である第1接線線分および第2接線線分を文字ごとに生成する。この第1接線線分および第2接線線分は、各文字の外接矩形における、文字列の文字配列方向に延びる2辺のそれぞれを含む線分である。
【0035】
近似曲線生成部68は、文字接線生成部67が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分上の任意の点(制御点)を通るように曲線近似された第1曲線と、文字ごとのそれぞれの第2接線線分上の任意の点(制御点)を通るように曲線近似された第2曲線とを生成する。
【0036】
帯状領域生成部69は、近似曲線生成部68が生成した第1曲線と第2曲線との間で規定される幅を有する帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を文書画像を透過するような色、透明度で表示パネル3に表示させる。
【0037】
本実施形態の表示装置1では、近似曲線生成部68が生成する第1曲線および第2曲線は、タッチパネル2に手書き入力された入力線分と重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字および第2端部文字を含む任意の複数の文字に接して、文字配列方向に沿って延びる曲線となる。そして、帯状領域生成部69は、上記のような第1曲線と第2曲線との間で幅が規定される帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を文書画像を透過するような色、透明度で表示パネル3に表示させる。これによって、表示パネル3に表示された文書画像において、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる。
【0038】
第1記憶手段7は、表示装置1におけるワーキングメモリとしての機能を有する。第1記憶手段7は、表示情報記憶部70と、座標データ記憶部71と、認識文字情報記憶部72と、認識文字数記憶部73と、抽出文字情報記憶部74と、接線線分情報記憶部75と、近似曲線生成用制御点記憶部76と、標準文字サイズ情報記憶部77と、文字サンプル情報記憶部78とを含む。
【0039】
表示情報記憶部70は、表示パネル3に表示されている表示情報を記憶する。座標データ記憶部71は、タッチパネル2から出力された入力線分の座標データ、および、手書き入力された軌跡に基づく座標データを記憶する。認識文字情報記憶部72は、文字認識部65が取得した認識文字の外接矩形の座標データ、X軸に対する文字傾き、サイズデータなどの認識文字の情報を記憶する。認識文字数記憶部73は、文字認識部65が認識した文字の数を記憶する。抽出文字情報記憶部74は、文字抽出部66が取得した抽出文字の外接矩形の座標データ、X軸に対する文字傾き、サイズデータなどの抽出文字の情報を記憶する。
【0040】
接線線分情報記憶部75は、文字接線生成部67が生成した、各抽出文字に対応する第1接線線分および第2接線線分の座標データを記憶する。近似曲線生成用制御点記憶部76は、近似曲線生成部68が第1曲線および第2曲線を生成するときに用いる、第1接線線分および第2接線線分上に位置する任意の制御点の座標データを記憶する。標準文字サイズ情報記憶部77は、修飾編集範囲設定部64が修飾編集範囲を設定するときに用いる、予め定める標準文字のサイズ(高さ、幅)に関する情報を記憶する。文字サンプル情報記憶部78は、文字認識部65が文字認識処理を実行するときに用いる、比較用の文字サンプルの形状に関する情報を記憶する。
【0041】
第2記憶手段8は、ソフトウェア記憶部80と、ドライバ記憶部81と、ユーザ設定表示画面記憶部82とを含む。ソフトウェア記憶部80は、表示装置1を動作させるためのソフトウェアを記憶する。ドライバ記憶部81は、タッチパネルデータ処理部4を実現するタッチパネルドライバと、表示データ処理部5を実現する表示ドライバとを記憶する。ユーザ設定表示画面記憶部82は、表示装置1を操作するユーザが設定する、表示パネル3の設定に関する情報を記憶する。
【0042】
次に、本実施形態の表示装置1の動作について、図2を用いて説明する。図2は、表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【0043】
ステップs1では、文書画像データ取得部60は、たとえば、タッチパネル2に対して手書き入力された軌跡に対応する座標データに基づいて、文書画像データを取得する。文書画像データ取得部60によって取得された文書画像データに基づいて、表示パネル3に文書画像が表示される。
【0044】
次に、ステップs2では、修飾編集を実行する指示を表す指示信号がタッチパネル2を介して入力された後に、タッチパネル2に対する手書き入力の入力操作がなされることで、表示装置1は、入力線分認識処理を行う。
【0045】
図3は、表示装置1における入力線分認識処理の動作を示すフローチャートである。図4は、表示装置1における入力線分認識処理の動作を説明するための図である。
【0046】
入力線分認識部63は、図4(a)に示すように、表示パネル3の表示面31に文書画像が表示された状態で、タッチパネル2の入力面21に対する手書き入力の入力操作がなされることで、入力線分認識処理を行う。図4(a)では、表示パネル3の表示面31には、手書き入力された軌跡に基づく「強調したい文字をマーク」という文字列からなる文書画像が表示されている。この「強調したい文字をマーク」という文字列における各文字は、表示面31のX軸左端部側からX軸右端部側に向かうにつれて、Y軸方向下方側に配置されるように、曲線状に配列されている。
【0047】
まず、ステップs2−1では、入力線分認識部63は、タッチパネル2の入力面21に対する入力線分Lの手書き入力が開始されたか否かを判定する。入力線分認識部63は、手書き入力の入力開始点Tに対応する座標データがタッチパネル2から出力された場合に、入力線分Lの手書き入力が開始されたと判定する。入力線分認識部63が入力線分Lの手書き入力が開始されたと判定した場合にはステップs2−2に進み、入力線分Lの手書き入力が開始されていないと判定した場合にはステップs2−1を繰返す。なお、タッチパネル2から出力された入力開始点Tに対応する座標データは、座標データ記憶部71に記憶される。
【0048】
ステップs2−2では、入力線分認識部63は、座標データ記憶部71から入力開始点Tに対応する座標データを取得する。
【0049】
次に、ステップs2−3では、入力線分認識部63は、タッチパネル2の入力面21に対する入力線分Lの手書き入力が終了したか否かを判定する。入力線分認識部63は、予め定める時間経過してもタッチパネル2の入力面21に対する入力操作が行われない場合に、入力線分Lの手書き入力が終了したと判定する。入力線分認識部63が入力線分Lの手書き入力が終了したと判定した場合にはステップs2−4に進み、入力線分Lの手書き入力が終了していないと判定した場合にはステップs2−3を繰返す。なお、入力線分Lの手書き入力による軌跡に対応する座標データは、入力終了点Tの座標データも含めて座標データ記憶部71に記憶される。
【0050】
ステップs2−4では、入力線分認識部63は、座標データ記憶部71から入力終了点Tに対応する座標データを取得する。
【0051】
以上のようにして、入力線分認識部63は、図4(b)に示すように、表示パネル3の表示面31に表示された文書画像と重なるように手書き入力された入力線分Lを認識し、入力線分の両端点である入力開始点Tの座標データ、および入力終了点Tの座標データを取得する。
【0052】
図2に戻って、ステップs2において入力線分認識処理が終了すると、ステップs3に進む。ステップs3では、表示装置1は、修飾編集範囲設定処理を行う。
【0053】
図5は、表示装置1における修飾編集範囲設定処理の動作を示すフローチャートである。図6は、表示装置1における修飾編集範囲設定処理の動作を説明するための図である。修飾編集範囲設定部64は、入力線分認識部63が取得した入力線分Lの両端点(入力開始点Tおよび入力終了点T)の座標データに基づいて、表示パネル3の表示面31に表示された文書画像のうち、入力線分Lと重なった修飾編集範囲を設定する。
【0054】
まず、ステップs3−1では、修飾編集範囲設定部64は、標準文字サイズ情報記憶部77から標準文字のサイズ情報を読出す。なお、標準文字の幅サイズ(X軸方向のサイズ)を「Sx」とし、高さサイズ(Y軸方向のサイズ)を「Sy」とする。
【0055】
次に、ステップs3−2では、修飾編集範囲設定部64は、図6(a)に示すように、入力開始点TからX軸方向外方側に「Sx/2」、Y軸方向上方側に「Sy/2」だけ移動した位置を第1基準点Rとして設定する。次に、ステップs3−3では、修飾編集範囲設定部64は、入力終了点TからX軸方向外方側に「Sx/2」、Y軸方向下方側に「Sy/2」だけ移動した位置を第2基準点Rとして設定する。
【0056】
そして、ステップs3−4では、修飾編集範囲設定部64は、図6(b)に示すように、第1基準点Rと第2基準点Rとを対角線の頂点とする矩形範囲を、修飾編集範囲Rとして設定し、修飾編集範囲設定処理を終了する。
【0057】
図2に戻って、ステップs3において修飾編集範囲設定処理が終了すると、ステップs4に進む。ステップs4では、表示装置1は、文字認識処理を行う。
【0058】
図7は、表示装置1における文字認識処理の動作を示すフローチャートである。図8A〜図8Cは、表示装置1における文字認識処理の動作を説明するための図である。文字認識部65は、修飾編集範囲設定部64が設定した修飾編集範囲R内における文書画像から文字領域を抽出し、抽出した文字領域に含まれる文字列を認識する。
【0059】
まず、ステップs4−1では、文字認識部65は、図8A(a)に示すように、入力開始点Tから表示面31の周縁右端部まで、X軸に平行に延びる水平線Lを生成する。そして、文字認識部65は、図8A(b)に示すように、水平線Lが修飾編集範囲R内の文字と重ならない位置まで、水平線LをY軸方向上方側に移動させる。これによって、水平線Lは、点Tから表示面31の周縁右端部まで、X軸に平行に延びる線となる。
【0060】
次に、ステップs4−2では、文字認識部65は、図8A(c)に示すように、修飾編集範囲R内のいずれかの文字と点接触するまで水平線Lを点Tを中心に回転させて、文字認識基準線Lを生成する。次に、ステップs4−3では、文字認識部65は、図8B(d)に示すように、点Tを通り、文字認識基準線Lに垂直な垂線Lを生成する。
【0061】
次に、ステップs4−4では、文字認識部65は、図8B(e)に示すように、垂線Lを、その傾きが変化しないように表示面31の周縁右端部に向けて平行移動させながら、垂線Lと文字との交点Aの数を算出する。次に、ステップs4−5では、文字認識部65は、垂線Lと文字との交点Aの数に基づいてヒストグラムを作成し、そのヒストグラムを2値化する。
【0062】
次に、ステップs4−6では、文字認識部65は、図8B(f)に示すように、2値化の結果に基づいて、修飾編集範囲R内における文書画像を1文字ごとに分離する。
【0063】
そして、ステップs4−7では、文字認識部65は、図8C(g)に示すように、分離した文字に対して文字認識を実施し、各文字の軌跡を表す座標データを取得するとともに、認識した文字の情報を取得する。具体的には、文字認識部65は、図8C(h)に示すように、分離した各文字に対応する比較用の標準的な文字サンプルを、文字サンプル情報記憶部78から読出して、その文字サンプルと分離した各文字とを比較することで、認識文字の情報を取得する。まず、文字認識部65は、分離した各文字に対して、文字サンプルを回転させながらマッチングさせ、最もマッチした文字サンプルのX軸に対する傾斜角度を、分離した各文字の傾き「Ri」として算出する。次に、文字認識部65は、分離した各文字に対して、文字サンプルの大きさを変化させ、最もマッチした文字サンプルのサイズを、分離した各文字のサイズデータ(幅サイズWi、高さサイズHi)として算出する。
【0064】
このようにして算出した文字の傾き「Ri」、文字のサイズデータを用いて、文字認識部65は、分離した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データを取得する。文字認識部65は、外接矩形の座標データとして、外接矩形の4つの頂点、すなわち、上辺のX軸左端部側の頂点PU1、上辺のX軸右端部側の頂点PU2、下辺のX軸左端部側の頂点PL1、下辺のX軸右端部側の頂点PL2の座標データを取得する。
【0065】
なお、文字認識部65が取得した文字の傾き「Ri」、文字のサイズデータ、および外接矩形の座標データなどの認識文字の情報は、認識文字情報記憶部72に記憶される。
【0066】
図2に戻って、ステップs4において文字認識処理が終了すると、ステップs5に進む。ステップs5では、認識文字数記憶部73は、文字認識部65が認識した文字の数を記憶する。たとえば、文字認識部65が「強調したい文字をマーク」という文書画像データから、1文字ごとに文字を認識した場合には、「強」、「調」、「し」、「た」、「い」、「文」、「字」、「を」、「マ」、「ー」、および「ク」の合計11個の文字が認識されるので、認識文字数記憶部73には、認識文字数として「11」が記憶される。
【0067】
次に、ステップs6では、表示装置1は、文字抽出処理を行う。図9は、表示装置1における文字抽出処理の動作を示すフローチャートである。図10は、表示装置1における文字抽出処理の動作を説明するための図である。文字抽出部66は、文字認識部65が認識した文字列を構成する文字から任意の文字を抽出する。
【0068】
まず、ステップs6−1では、文字抽出部66は、図10に示すように、文字認識部65が認識した文字のうち、入力線分Lの入力開始点Tに最も近接する第1端部文字Cを抽出する。図10では、第1端部文字Cは、「強」である。
【0069】
次に、ステップs6−2では、文字抽出部66は、文字認識部65が認識した文字のうち、入力線分Lの入力終了点Tに最も近接する第2端部文字Cを抽出する。図10では、第2端部文字Cは、「ク」である。
【0070】
次に、ステップs6−3では、文字抽出部66は、認識文字数記憶部73から認識文字数の情報を読出し、認識文字数「n」が予め定める文字数「N」以下であるか否かを判定する。文字抽出部66が文字数「N」以下であると判定した場合にはステップs6−4に進み、文字数「N」を超えると判定した場合にはステップs6−5に進む。
【0071】
ステップs6−4では、文字抽出部66は、文字認識結果の2文字目から(n−1)文字目までを中間文字Cとして抽出する。
【0072】
ステップs6−5では、文字抽出部66は、文字認識結果の2文字目から(n−1)文字目までの文字のうち、間の文字数が等間隔となるように、(N−2)個の文字を中間文字Csとして抽出する。たとえば、「強」、「調」、「し」、「た」、「い」、「文」、「字」、「を」、「マ」、「ー」、および「ク」の合計11個(認識文字数n=11)の文字が配列され、予め定める文字数「N」が「3」である場合、中間文字Csの文字数は、(N−2)=1個であり、その中間文字Cとして「文」が抽出される。中間文字Cである「文」は、2文字目の「調」から(n−1)文字目までの「ー」のうち、第1端部文字Cである「強」との間に「調」、「し」、「た」、および「い」の4文字が配置され、第2端部文字Cである「ク」との間に「字」、「を」、「マ」、および「ー」の4文字が配置されている。
【0073】
また、認識文字数「n」が「10」であり、文字数「N」が「3」である場合、文字抽出部66は、(N−2)=1個の中間文字Cとして、たとえば5文字目の文字を抽出する。この場合には、第1端部文字Cと中間文字Cとの間には3文字、第2端部文字Cと中間文字Cとの間には4文字が配置されているが、このような場合においても、間の文字数が等間隔であると見なす。
【0074】
また、文字抽出部66は、抽出した第1端部文字C、第2端部文字C、および中間文字Cの、文字の傾き「Ri」、文字のサイズデータ(幅サイズWi、高さサイズHi)、および外接矩形の座標データなどの抽出文字の情報を取得する。
【0075】
なお、文字抽出部66が取得した文字の傾き「Ri」、文字のサイズデータ、および外接矩形の座標データなどの抽出文字の情報は、抽出文字情報記憶部74に記憶される。
【0076】
図2に戻って、ステップs6において文字抽出処理が終了すると、ステップs7に進む。ステップs7では、表示装置1は、接線線分生成処理を行う。
【0077】
図11は、表示装置1における接線線分生成処理の動作を示すフローチャートである。図12は、表示装置1における接線線分生成処理の動作を説明するための図である。文字接線生成部67は、文字抽出部66が抽出した各文字に対する2つの接線線分である第1接線線分Sおよび第2接線線分Sを文字ごとに生成する。
【0078】
まず、ステップs7−1では、文字接線生成部67は、抽出文字情報記憶部74から抽出文字の情報を読出す。
【0079】
次に、ステップs7−2では、文字接線生成部67は、図12に示すように、文字抽出部66が抽出した各文字の外接矩形における、文字列の文字配列方向(X軸方向)に延びる上辺を含む第1接線線分Sを文字ごとに生成する。本実施形態では、文字接線生成部67は、外接矩形の上辺のX軸左端部側の頂点PU1から、上辺のX軸右端部側の頂点PU2まで延びる線分を、第1接線線分Sとして生成する。この第1接線線分Sは、線分の長さが文字の幅サイズWiに対応する長さであり、傾きが文字の傾きRiに対応する。
【0080】
次に、ステップs7−3では、文字接線生成部67は、文字抽出部66が抽出した各文字の外接矩形における、文字列の文字配列方向(X軸方向)に延びる下辺を含む第2接線線分Sを文字ごとに生成する。本実施形態では、文字接線生成部67は、外接矩形の下辺のX軸左端部側の頂点PL1から、下辺のX軸右端部側の頂点PL2まで延びる線分を、第2接線線分Sとして生成する。この第2接線線分Sは、線分の長さが文字の幅サイズWiに対応する長さであり、傾きが文字の傾きRiに対応する。
【0081】
文字接線生成部67は、上記のように生成した第1接線線分Sの両端点SU1,SU2の座標データを取得する。端点SU1は頂点PU1に対応し、端点SU2は頂点PU2に対応する。また、文字接線生成部67は、第2接線線分Sの両端点SL1,SL2の座標データを取得する。端点SL1は頂点PL1に対応し、端点SL2は頂点PL2に対応する。
【0082】
なお、文字接線生成部67が取得した第1接線線分Sの両端点SU1,SU2の座標データ、第2接線線分Sの両端点SL1,SL2の座標データは、近似曲線生成用制御点記憶部76に記憶される。
【0083】
図2に戻って、ステップs7において接線線分生成処理が終了すると、ステップs8に進む。ステップs8では、表示装置1は、近似曲線生成処理を行う。
【0084】
図13は、表示装置1における近似曲線生成処理の動作を示すフローチャートである。図14は、表示装置1における近似曲線生成処理の動作を説明するための図である。近似曲線生成部68は、第1曲線Bと、第2曲線Bとを生成する。
【0085】
まず、ステップs8−1では、近似曲線生成部68は、近似曲線生成用制御点記憶部76から、文字抽出部66が抽出した各文字に対応して、第1接線線分Sの両端点SU1,SU2の座標データ、第2接線線分Sの両端点SL1,SL2の座標データを読出す。
【0086】
次に、ステップs8−2では、近似曲線生成部68は、図14に示すように、文字抽出部66が抽出した各文字に対応する、文字ごとのそれぞれの第1接線線分Sの両端点SU1,SU2を通る近似曲線(ベジェ曲線)を、第1曲線Bとして生成する。
【0087】
そして、ステップs8−3では、近似曲線生成部68は、文字抽出部66が抽出した各文字に対応する、文字ごとのそれぞれの第2接線線分Sの両端点SL1,SL2を通る近似曲線(ベジェ曲線)を、第2曲線Bとして生成する。
【0088】
図2に戻って、ステップs8において近似曲線生成処理が終了すると、ステップs9に進む。ステップs9では、表示装置1は、帯状領域生成処理を行う。
【0089】
図15は、表示装置1における帯状領域生成処理の動作を示すフローチャートである。図16は、表示装置1における帯状領域生成処理の動作を説明するための図である。帯状領域生成部69は、近似曲線生成部68が生成した第1曲線Bと第2曲線Bとの間で幅が規定され、文書画像を透過する帯状領域を生成する。
【0090】
まず、ステップs9−1では、帯状領域生成部69は、図16(a)に示すように、第1接線線分Sの端点SU1と、第2接線線分Sの端点SL1とを結ぶ直線Lを生成する。次に、ステップs9−2では、帯状領域生成部69は、第1接線線分Sの端点SU2と、第2接線線分Sの端点SL2とを結ぶ直線Lを生成する。
【0091】
そして、ステップs9−3では、帯状領域生成部69は、図16(b)に示すように、第1曲線Bと、第2曲線Bと、直線Lと、直線Lとで囲まれた領域を、帯状領域Oとして生成し、生成した帯状領域O内を文書画像を透過するような色、透明度で表示パネル3に表示させる。この帯状領域Oは、文書画像を透過するような色、透明度で塗り潰された領域である。
【0092】
以上のように、本実施形態の表示装置1では、近似曲線生成部68が生成する第1曲線Bおよび第2曲線Bは、タッチパネル2に手書き入力された入力線分Lと重なった文字列を構成する文字のうち、第1端部文字Cおよび第2端部文字Cを含む任意の複数の文字に接して、文字配列方向に沿って延びる曲線となる。そして、帯状領域生成部69は、上記のような第1曲線Bと第2曲線Bとの間で幅が規定される帯状領域Oを生成し、生成した帯状領域O内を文書画像を透過するような色、透明度で表示パネル3に表示させる。これによって、表示パネル3に表示された文書画像において、曲線状に配列された文字列に対しても、蛍光ペンで上書きしたように修飾編集することができる。
【0093】
また本発明のさらに他の実施の形態として、コンピュータを前述した表示装置1として機能させるために、コンピュータに実行させるための表示プログラム(実行形式プログラム、中間コードプログラムおよびソースプログラムの少なくともいずれか1つ)、およびこの表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することも可能である。
【0094】
なお、表示プログラムを記録する記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、たとえばCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)のようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0095】
いずれの場合においても、格納されている表示プログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいは、いずれの場合も表示プログラムを読み出し、読み出された表示プログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、その表示プログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0096】
上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスクやCD−ROM/MO(Magneto Optical disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0097】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成を持つことで、通信ネットワークから表示プログラムをダウンロードするように流動的に表示プログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークから表示プログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、本発明は、上記表示プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0098】
1 表示装置
2 タッチパネル
3 表示パネル
60 文書画像データ取得部
61 座標データ取得部
62 軌跡表示指示部
63 入力線分認識部
64 修飾編集範囲設定部
65 文字認識部
66 文字抽出部
67 文字接線生成部
68 近似曲線生成部
69 帯状領域生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書画像を表す画像データを取得する文書画像データ取得部と、
前記文書画像データ取得部が取得した文書画像を表す画像データに基づいて、文書画像を表示する表示部と、
前記表示部の表面上に積層されて、前記表示部と一体的に形成され、手書き入力によって指示された点の位置を表す座標データを出力する入力部と、
前記入力部から出力される手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、前記表示部に表示された文書画像と重なるように手書き入力された入力線分を認識し、入力線分の両端点の座標データを取得する入力線分認識部と、
前記入力線分の両端点の座標データに基づいて、前記入力線分と重なった文書画像から文字領域を抽出し、抽出した文字領域に含まれる文字列を認識し、1文字ごとの文字の軌跡を表す座標データを取得する文字認識部と、
前記文字認識部が取得した1文字ごとの座標データに基づいて、前記文字認識部が認識した文字列を構成する文字のうち、前記入力線分の両端点のそれぞれに最も近接する2つの文字である第1端部文字および第2端部文字を含む任意の文字を抽出し、抽出した各文字の外接矩形を設定し、その外接矩形の座標データを取得する文字抽出部と、
前記文字抽出部が抽出した各文字の外接矩形における前記文字列の文字配列方向に延びる2辺のそれぞれを含む、各文字に対する2つの接線線分である第1接線線分および第2接線線分を、文字ごとに生成する文字接線生成部と、
前記文字接線生成部が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第1曲線と、文字ごとのそれぞれの第2接線線分上の任意の点を通るように曲線近似された第2曲線とを生成する近似曲線生成部と、
前記近似曲線生成部が生成した前記第1曲線と前記第2曲線との間で規定される幅を有する帯状領域を生成し、生成した帯状領域内を前記文書画像を透過するような色で前記表示部に表示させる帯状領域生成部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記文書画像データ取得部は、前記入力部に対する手書き入力の軌跡に対応する座標データに基づいて、文書画像を表す画像データを取得することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記近似曲線生成部は、前記文字接線生成部が生成した文字ごとのそれぞれの第1接線線分の両端点を通る近似曲線を前記第1曲線として生成し、文字ごとのそれぞれの第2接線線分の両端点を通る近似曲線を前記第2曲線として生成することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記帯状領域生成部は、前記第1端部文字に対応する前記第1接線線分と前記第2接線線分との外方側端点を通る直線、前記第2端部文字に対応する前記第1接線線分と前記第2接線線分との外方側端点を通る直線、前記第1曲線、および前記第2曲線で囲まれた領域を、帯状領域として生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
入力部および表示部を備えるコンピュータを、請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置として機能させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−243167(P2012−243167A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114220(P2011−114220)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】