説明

表示装置および表示装置の制御方法並びにプログラム

【課題】表示画像をスクロールさせる際にそのスクロールをより滑らかなものとする。
【解決手段】接触物がタッチパネルに接触したときにタッチ位置TPに基づいて基準点位置RPや不感帯DZ,スクロール用目標位置SP*を設定し(S110〜S130)、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動したときにタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新し(S200)、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイを制御する単位スクロール制御を実行する(S220)ものにおいて、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動したときには、タッチ位置TPと単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RPとの間の位置を中心位置として不感帯DZを更新する(S230)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示装置としては、画像表示を行なう画像表示部と、画像表示部の前面に設けられた座標入力部(タッチパネル)とを備え、タッチパネルへの接触によって座標入力部からの入力データが発生してタッチ状態となったときには、入力データとして与えられる入力座標の変化ベクトルに基づいて画面をスクロールさせる制御を行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、入力座標の変化ベクトルに応じた変化量で画面をスクロールさせる制御を繰り返し行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−161628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、こうした表示装置では、指やペンなどの接触物の接触位置(入力座標)のぶれに伴って画面がスクロールしてしまう(揺れてしまう)のを抑止するために、接触物がタッチパネルに接触を開始したときに入力座標を中心位置として含む不感帯を設定し、その後、入力座標が不感帯内のときには画面をスクロールさせないようにすることが考えられている。この技術を用いて入力座標に応じて画面のスクロールさせる場合、入力座標が不感帯内のときには画面のスクロールの目標位置を更新せず、入力座標が不感帯外のときにはその入力座標を目標位置として更新し、最後に更新した目標位置側に画面をスクロールさせることが考えられる。この場合、入力座標が不感帯を超えて移動したときに、そのときの入力座標を中心位置として不感帯を更新するものとすると、不感帯の更新後に次に入力座標が不感帯を超えて移動するまでの時間が比較的長くなり、スクロールの目標位置の更新頻度が少なくなることにより、画面のスクロールが滑らかなものとならないことがあった。
【0005】
本発明の表示装置および表示装置の制御方法並びにプログラムは、表示画像をスクロールさせる際にそのスクロールをより滑らかなものとすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置および表示装置の制御方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の表示装置は、
画像表示面に画像を表示する表示手段と、前記表示手段の画像表示面に取り付けられて接触物の接触位置を検出するタッチパネルと、を備える表示装置であって、
接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定する不感帯設定手段と、
接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動していないときには前記画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動したときには該接触物の前記タッチパネルにおける接触位置を前記スクロール用目標位置として更新するスクロール用目標位置設定手段と、
前記設定されたスクロール用目標位置に応じて前記表示画像がスクロールするよう前記表示手段を制御するスクロール制御手段と、
を備え、
前記不感帯設定手段は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動したときには、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置と現在設定している前記不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を前記不感帯の中心位置として該不感帯を更新する手段である、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の表示装置では、接触物が前記タッチパネルに接触したときに接触物のタッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定し、接触物がタッチパネルに接触した状態で不感帯を超えて移動していないときには画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物がタッチパネルに接触した状態で不感帯を超えて移動したときには接触物のタッチパネルにおける接触位置をスクロール用目標位置として更新し、設定したスクロール用目標位置に応じて表示画像がスクロールするよう表示手段を制御するものにおいて、接触物がタッチパネルに接触した状態で現在設定している不感帯を超えて移動したときには、接触物のタッチパネルにおける接触位置と現在設定している不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を不感帯の中心位置として不感帯を更新する。これにより、接触物がタッチパネルに接触した状態で現在設定している不感帯を超えて移動したときに接触物のタッチパネルにおける接触位置を不感帯の中心位置として不感帯を更新するものに比して、接触物がタッチパネルに接触した状態で移動しているときに、接触物の接触位置が不感帯に入りにくくなったり次に不感帯外に移動するまでの時間が短くなったりするから、接触物の接触位置に基づくスクロール用目標位置の更新頻度を多くしてその移動をより滑らかなものとすることができる。この結果、このスクロール用目標位置に基づく表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。
【0009】
こうした本発明の表示装置において、接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置に対応する前記表示画像における位置を表示基準点として設定する表示基準点設定手段を備え、前記スクロール制御手段は、前記表示画像をスクロールさせる際、前記設定された表示基準点の前記表示手段における位置である基準点位置と前記設定されたスクロール用目標位置との距離より短い距離だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する単位スクロール制御を繰り返し実行する手段であり、前記不感帯設定手段は、前記単位スクロール制御の実行によって移動した前記基準点位置を前記両者間位置として前記不感帯の中心位置を更新する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、スクロール用目標位置が移動しているときには、その移動に対して基準点位置が遅れて追従することになるから、接触物等によって表示基準点が隠れてしまうのを抑制することができる。また、不感帯が接触物の移動に対して遅れて追従することになり、接触物がタッチパネルに接触した状態で移動しているときに、接触物の接触位置が不感帯に入りにくくなるようにすることができる。この態様の本発明の表示装置において、前記スクロール制御手段は、前記単位スクロール制御として、前記設定されたスクロール用目標位置と前記基準点位置との距離に対して所定割合だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する手段である、ものとすることもできる。ここで、「所定割合」は、スクロール用目標位置と基準点位置との距離に対して値0より大きく値1より小さい倍率、例えば、0.4倍,0.5倍,0.6倍などとすることもできる。
【0010】
また、本発明の表示装置において、前記不感帯設定手段は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動した後、前記設定されたスクロール用目標位置側に徐々に移動する前記両者間位置を前記不感帯の中心位置として更新する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、不感帯が接触物の移動に対して遅れて追従することになり、接触物がタッチパネルに接触した状態で移動しているときに、接触物の接触位置が不感帯に入りにくくなるようにすることができる。この態様の本発明の表示装置において、接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置に対応する前記表示画像における位置を表示基準点として設定する表示基準点設定手段を備え、前記スクロール制御手段は、前記表示画像をスクロールさせる際、前記設定された表示基準点の前記表示手段における位置である基準点位置と前記設定されたスクロール用目標位置との距離より短い距離だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する単位スクロール制御を繰り返し実行する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、スクロール用目標位置が移動しているときには、その移動に対して表示基準点が遅れて追従することになるから、接触物等によって表示基準点が隠れてしまうのを抑制することができる。この態様の本発明の表示装置において、前記スクロール制御手段は、前記単位スクロール制御として、前記基準点位置が前記設定された不感帯の中心位置に一致するよう前記表示手段を制御する手段である、ものとすることもできる。
【0011】
本発明の表示装置の制御方法は、
画像表示面に画像を表示する表示手段と、前記表示手段の画像表示面に取り付けられて接触物の接触位置を検出するタッチパネルと、を備える表示装置の制御方法であって、
(a)接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定するステップと、
(b)接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動していないときには前記画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動したときには該接触物の前記タッチパネルにおける接触位置を前記スクロール用目標位置として更新するステップと、
(c)前記設定されたスクロール用目標位置に応じて前記表示画像がスクロールするよう前記表示手段を制御するステップと、
を含み、
前記ステップ(a)は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動したときには、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置と現在設定している前記不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を前記不感帯の中心位置として該不感帯を更新するステップである、
ことを特徴とする。
【0012】
この本発明の表示装置の制御方法では、接触物が前記タッチパネルに接触したときに接触物のタッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定し、接触物がタッチパネルに接触した状態で不感帯を超えて移動していないときには画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物がタッチパネルに接触した状態で不感帯を超えて移動したときには接触物のタッチパネルにおける接触位置をスクロール用目標位置として更新し、設定したスクロール用目標位置に応じて表示画像がスクロールするよう表示手段を制御するものにおいて、接触物がタッチパネルに接触した状態で現在設定している不感帯を超えて移動したときには、接触物のタッチパネルにおける接触位置と現在設定している不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を不感帯の中心位置として不感帯を更新する。これにより、接触物がタッチパネルに接触した状態で現在設定している不感帯を超えて移動したときに接触物のタッチパネルにおける接触位置を不感帯の中心位置として不感帯を更新するものに比して、接触物がタッチパネルに接触した状態で移動しているときに、接触物の接触位置が不感帯に入りにくくなったり次に不感帯外に移動するまでの時間が短くなったりするから、接触物の接触位置に基づくスクロール用目標位置の更新頻度を多くしてその移動をより滑らかなものとすることができる。この結果、このスクロール用目標位置に基づく表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。
【0013】
本発明のプログラムは、上述した表示装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスクやフラッシュメモリ,ROM,CD,DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピュータに実行させれば、上述した表示装置の制御方法の各ステップが実行されるため、表示装置の制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例である表示装置としてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット30により実行されるスクロール制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】接触物がタッチパネル24に接触を開始したときのステップS100〜S120の処理の様子の一例を示す説明図である。
【図4】タッチ位置TPが不感帯DZ外のときのステップS200〜S230の一連の処理の様子の一例を示す説明図である。
【図5】指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触した状態で一定速度で移動するときのタッチ位置TP,スクロール用目標位置SP*,基準点位置RP,不感帯DZの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。
【図6】指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動するときのタッチ位置TP,基準点位置RPの時間変化の様子の一例を示す説明図である。
【図7】変形例のスクロール制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】変形例のスクロール制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例である表示装置としてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。ナビゲーション装置20は、図示するように、画像表示面22aを有するディスプレイ22と、ディスプレイ22の画像表示面22aに取り付けられたタッチパネル24と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備える。このナビゲーション装置20は、図示しない自動車に搭載されて車載バッテリからの電力供給を受けて作動する。
【0017】
ディスプレイ22は、文字や画像を表示する矩形状の画像表示面22aを有する例えば液晶ディスプレイとして構成されている。タッチパネル24は、指やペンなどの接触物のタッチパネルにおける接触位置であるタッチ位置TPを検出するタッチパネルとして構成されている。なお、タッチパネル24によるタッチ位置TPの検出方式としては、抵抗膜方式や静電容量方式,赤外線方式,電磁誘導方式,表面弾性波方式などを用いることができる。
【0018】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット30には、タッチパネル24からのタッチ位置TPや、HDD40から読み出したデータ,GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の進行方向やその変化を検出する例えばジャイロセンサによって構成された方位センサ52からの信号などが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット30は、車両全体をコントロールする図示しない車両用電子制御ユニットと通信ポートを介して接続されており、車両の状態に関するデータを通信により入力すると共に必要に応じてナビゲーション装置20の状態に関するデータを通信により出力する。
【0019】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、GPS受信機50からの信号や方位センサ52からの信号に基づいて車両の現在位置を特定するロケーション処理や、ディスプレイ22に道路を含む地図画像を表示する地図表示処理,操作者によるタッチパネル24の操作に基づいて目的地を入力する目的地入力処理,目的地への走行ルートを探索して地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理などの各種処理を実行する。
【0020】
次に、こうして構成された実施例の表示装置としてのナビゲーション装置20の動作、特に、操作者が指やペンなどの接触物をタッチパネル24に接触させた状態で移動させたとき(いわゆるドラッグ操作を行なったとき)に、その接触物の移動に伴ってディスプレイ22に表示されている画像である表示画像をスクロールさせる際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット30により実行されるスクロール制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、接触物がタッチパネル24に接触したとき(接触を開始したとき)に実行が開始される。
【0021】
スクロール制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、タッチパネル24からのタッチ位置TPを取得し(ステップS100)、取得したタッチ位置TPに対応する表示画像における位置を表示基準点として設定すると共に(ステップS110)、タッチ位置TPを中心位置として含む不感帯DZを設定し(ステップS120)、タッチ位置TPを表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置SP*として設定する(ステップS130)。ここで、表示基準点は、表示画像における位置(例えば、○○駅や□□会社,△△学校など)であり、タッチ位置TPや、表示基準点の画像表示面22aにおける位置である基準点位置RP,不感帯DZの中心位置,スクロール用目標位置SP*は、それぞれ、タッチパネル24や画像表示面22aにおける位置(例えば、横方向をX方向,縦方向をY方向とするXY座標系の座標(x,y))である。したがって、表示画像がスクロールする際に、表示基準点の表示画像における位置は移動しないが、基準点位置RPの画像表示面22aにおける位置は移動することになる。また、不感帯DZは、接触物がタッチパネル24に接触した状態でその接触物のタッチパネル24における接触位置がぶれたときにそのぶれに伴って表示画像がスクロールしてしまうの抑止するために設定されるものである。この不感帯DZは、実施例では、中心位置から所定距離(例えば、ディスプレイ22の3ドットや5ドット,7ドットに相当する距離など)の範囲(円形の範囲)を設定するものとした。ステップS110〜S130の処理は、接触物がタッチパネル24に接触を開始したときに、そのときのタッチ位置TPに基づいて基準点位置RP(表示基準点の画像表示面22aにおける位置),不感帯DZ,スクロール用目標位置SP*を設定する処理である。以下、このときのタッチ位置TP,基準点位置RP,不感帯DZ,スクロール用目標位置SP*を、それぞれ、初期タッチ位置TP,初期基準点位置RP0,初期不感帯DZ0,初期スクロール用目標位置SP0と称することがある。
【0022】
図3は、接触物がタッチパネル24に接触を開始したときのステップS110〜S130の処理の様子の一例を示す説明図である。図3中、上側の図は画像表示面22aの様子を示し、下側の図は上側の図の点線で囲んだ範囲の拡大図である。この図3の下側の図は、タッチ位置TPや不感帯DZなどを説明するために画像表示面22aにおける一部の範囲(例えば、上述のXY座標系の4つの座標(x1,y1),(x2,y1),(x1,y2),(x2,y2)で囲まれた範囲)を拡大したものである。図3から分かるように、このときには、タッチ位置TP,基準点位置RP,スクロール用目標位置SP*が一致しており、その位置を中心として不感帯DZが設定されている。なお、タッチ位置TPや基準点位置RP,不感帯DZ,スクロール用目標位置SP*は概念を示したものであり、実際には、画像表示面22aに表示しないものとした。
【0023】
続いて、接触物がタッチパネル24に接触しているか否かを判定し(ステップS140)、接触物がタッチパネル24に接触していないと判定されたときには、本ルーチンを終了する。ここで、接触物がタッチパネル24に接触しているか否かの判定は、タッチパネル24からタッチ位置TPが入力されているか否かを調べることによって行なうことができる。
【0024】
接触物がタッチパネル24に接触していると判定されたときには、タッチパネル24からのタッチ位置TPを取得し(ステップS150)、取得したタッチ位置TPが不感帯DZ内か不感帯DZ外かを判定する(ステップS160,S170)。そして、タッチ位置TPが不感帯DZ内であると判定されたときには、スクロール用目標位置SP*を更新せず(保持し)、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致しているか否かを判定する(ステップS180,S190)。このステップS180,S190の判定は、表示画像をスクロールさせる必要があるか否かを判定する処理である。実施例では、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離と、後述の単位スクロール制御の実行によって移動させることができる基準点位置RPの移動量の最小値としての最小移動量(例えば、ディスプレイ22の1ドットに相当する距離など)とを比較し、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離が最小移動量以上のときにはスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとは略一致していないと判定し、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離が最小移動量未満(値0を含む)のときにはスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとは略一致していると判定するものとした。
【0025】
スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していると判定されたときには、表示画像をスクロールさせる必要はないと判断し、表示画像をスクロールさせることなく(基準点位置RPを移動させることなく)、ステップS140に戻る。いま、接触物がタッチパネル24に接触を開始したときからタッチ位置TPが不感帯DZ(初期不感帯DZ0)を超えて移動していないときを考える。まず、接触物がタッチパネル24に接触を開始したときには、タッチ位置TP,基準点位置RP,スクロール用目標位置SP*(初期タッチ位置TP0,初期基準点位置RP0,初期スクロール用目標位置SP0)は略一致している(図3の下側の図参照)。そして、この状態からタッチ位置TPが不感帯DZ(初期不感帯DZ0)を超えて移動していないときには、スクロール用目標位置SP*が更新されない(保持されている)ため、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致している状態が継続する。したがって、例えば、接触物が初期タッチ位置TP0近傍でぶれたときなどに、表示画像がスクロールされないようにすることができる。
【0026】
ステップS160,S170でタッチ位置TPが不感帯DZ外であると判定されたときには、ステップS140で取得したタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新する(ステップS200)。そして、この処理でスクロール用目標位置SP*を更新したときや、ステップS180,S190でスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していないと判定されたときには、表示画像をスクロールさせる必要があると判断し、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づいて表示画像の1回あたりのスクロールの目標量である単位目標スクロール量S*を設定し(ステップS210)、設定した単位目標スクロール量S*だけ基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイ22を制御する単位スクロール制御を実行し(ステップS220)、単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新して(ステップS230)、ステップS140に戻る。図4は、タッチ位置TPが不感帯DZ外のときのステップS200〜S230の一連の処理の様子の一例を示す説明図である。図4は、図3の下側の図と画像表示面22aにおける同一範囲の表示画像を示したものである。図4から分かるように、タッチ位置TPが不感帯DZ外のときには、そのタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新し(図4(a)参照)、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)単位スクロール制御を実行し(図4(b)参照)、この単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新する(図4(c)参照)。以下、単位目標スクロール量S*を設定する処理(ステップ210)や単位スクロール制御を実行する処理(ステップS220),不感帯DZを更新する処理(ステップS230)について順に説明する。
【0027】
まず、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づいて単位目標スクロール量S*を設定すると共に設定した単位目標スクロール量S*だけ基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイ22を制御する単位スクロール制御を実行する処理(ステップS210,S220)について説明する。ここで、単位目標スクロール量S*の設定は、実施例では、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離に対して値0より大きく値1より小さい係数k(例えば、0.4や0.5,0.6など)を乗じて得られる値を設定することによって行なうものとした。したがって、単位スクロール制御では、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離より短い距離だけ基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう表示画像をスクロールさせることになる。これにより、スクロール用目標位置SP*が移動している(更新されている)ときには、単位スクロール制御を実行する毎に、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れて追従するよう表示画像をスクロールさせることになる。また、スクロール用目標位置SP*が移動していない(保持されている)ときには、単位スクロール制御を実行する毎に、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*に徐々に近づくよう表示画像をスクロールさせることになる。これらの結果、接触物が移動しているときなどに、基準点位置RPが接触物などによって隠れてしまうのを抑制することができる。
【0028】
次に、単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新する処理(ステップS230)について説明する。まず、実施例では、上述したように、単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行することから、単位スクロール制御を実行した直後の基準点位置RPは、単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RPより単位目標スクロール量S*だけスクロール用目標位置SP*側の位置となる。また、上述したように、単位目標スクロール量S*は、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離より短い距離である。これらより、更新後の不感帯DZの中心位置(単位スクロール制御を実行した直後の基準点位置RP)は、スクロール用目標位置SP*と更新前の不感帯DZの中心位置(単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RP)との間の位置となることが分かる。ここで、タッチ位置TPが不感帯DZ外のときに、そのタッチ位置TPがスクロール用目標位置SP*として更新されることを踏まえると、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動した直後には、更新後の不感帯DZの中心位置は、タッチ位置TPと更新前の不感帯DZの中心位置との間の位置となることが分かる。
【0029】
図5は、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動するときのタッチ位置TP,スクロール用目標位置SP*,基準点位置RP,不感帯DZの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。図中、「t0」は、接触物がタッチパネル24に接触を開始してタッチ位置TP(初期タッチ位置TP0)を取得して基準点位置RP(初期基準点位置RP0)や不感帯DZ(初期不感帯DZ0),スクロール用目標位置SP*(初期スクロール用目標位置SP0)を設定したときを示す。また、「t11」〜「t43」は接触物の移動開始後の各時刻を示す。「t11」〜「t43」における1番目(前者)の数字は、ステップS140〜S230の一連の処理を行なったときを示す。また、「t11」〜「t43」における2番目(後者)の数字は、「1」はタッチ位置TPを取得したとき(ステップS140)を示し、「2」はスクロール用目標位置SP*を更新したとき(ステップS200)を示し、「3」は単位スクロール制御を実行すると共に不感帯DZを更新したとき(ステップS210〜S230)を示す。まず、接触物がタッチパネル24に接触を開始したときにタッチ位置TPを取得して基準点位置RPや不感帯DZ,スクロール用目標位置SP*を設定する(時刻t0)。そして、タッチ位置TPを取得したときに(時刻t11)、取得したタッチ位置TPが不感帯DZ内のときには、スクロール用目標位置SP*を更新せず、表示画像をスクロールさせず(基準点位置RPを移動させず)、不感帯DZを更新しない。このため、図5では、時刻t12,t13については図示していない。一方、タッチ位置TPを取得したときに(時刻t21)、取得したタッチ位置TPが不感帯DZ外のときには、取得したタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新し(時刻t22)、更新したスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づいて単位スクロール制御を実行して表示画像をスクロールさせると共にそれによって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新する(時刻t23)。いま、接触物が一定速度で移動するときを考えているから、次に、タッチ位置TPを取得したときに(時刻t31)、取得したタッチ位置TPが不感帯DZ外のときには、時刻t22,t23と同様に、スクロール用目標位置SP*を設定し(時刻t32)、単位スクロール制御を実行して表示画像をスクロールさせると共に不感帯DZを更新する(時刻t33)。したがって、不感帯DZの中心位置(基準点位置RP)および不感帯DZは、スクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れて追従することになる。これにより、接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動するときに、タッチ位置TPが不感帯DZ内に入りにくくすることができ、表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。そして、その後、タッチ位置TPを取得したときに(時刻t41)、タッチ位置TPが不感帯DZ内のときには、スクロール用目標位置SP*については更新しないが(時刻t42)、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していなければ、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう単位スクロール制御を実行して表示画像をスクロールさせると共に不感帯DZを更新する(時刻t43)。
【0030】
いま、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触した状態で一定速度で移動するときを考える。まず、接触物がタッチパネル24に接触したときに、そのタッチ位置TP(初期タッチ位置TP0)に基づいて基準点位置RP(初期基準点位置RP0)や不感帯DZ(初期不感帯DZ0)などを設定する。その後、タッチ位置TPが不感帯DZ外に移動したときに、そのタッチ位置TPを中心位置として不感帯DZを更新するものとする(比較例)と、不感帯DZの更新後に次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が長くなる、即ち、不感帯DZの更新後に次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が初期タッチ位置TP0から初期不感帯DZ0外に移動するまでの時間と同様の時間となる。タッチ位置TPが不感帯DZ内のときには、スクロール用目標位置SP*は更新されないため、接触物が一定速度で移動しているにも拘わらず、スクロール用目標位置SP*の更新頻度が低くなる。スクロール用目標位置SP*の更新頻度が低い(保持されることが多い)と、スクロール用目標位置SP*の移動が滑らかなものとはならず、そのスクロール用目標位置SP*に基づく表示画像のスクロール(基準点位置RPの移動)が滑らかなものではなくなることがある。これに対して、実施例では、タッチ位置TPが不感帯DZ外に移動したときに、そのタッチ位置TP(スクロール用目標位置SP*)と現在の不感帯DZの中心位置(単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RP)との間の位置を中心位置として不感帯DZを更新するから、タッチ位置TPが移動しているときに、不感帯DZの更新後に最初に取得したタッチ位置TPが不感帯DZ内に入りにくくなったり、不感帯DZの更新後に次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が短くなったりする。これにより、接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動するときに、スクロール用目標位置SP*の更新頻度をより多くしてその移動をより滑らかなものとすることができるから、スクロール用目標位置SP*に基づく表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。
【0031】
図6は、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動するときのタッチ位置TP,基準点位置RPの時間変化の様子の一例を示す説明図である。図中、上側の図は、タッチ位置TPが不感帯DZ外に移動したときに単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新する実施例の様子を示し、下側の図は、タッチ位置TPが不感帯DZ外に移動したときにそのタッチ位置TPを中心位置として不感帯DZを更新する比較例の様子を示す。また、図6の例では、タッチ位置TPと基準点位置RPとスクロール用目標位置SP*とが略一致している状態(時刻t0)からタッチ位置TPが上述の所定距離(不感帯DZを定めるための距離)より若干小さな一定速度で移動し(時刻T1〜T10)、その後に、タッチ位置TPが変化しない(時刻T11〜T13)ものとした。比較例では、上述したように、不感帯DZの更新後に次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が長くなることから、スクロール用目標位置SP*の更新頻度が低くなり(保持される頻度が高くなり)、表示画像のスクロール(基準点位置RPの移動)が滑らかなものとならないことがある。一方、実施例では、不感帯DZの更新後に最初に取得したタッチ位置TPが不感帯DZ内に入りにくくなったり不感帯DZの更新後に次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が短くなったりするから、スクロール用目標位置SP*の更新頻度が多くなり、表示画像のスクロール(基準点位置RPの移動)をより滑らかなものとすることができる。なお、実施例も比較例も、タッチ位置TPが不感帯DZ外に移動した後にタッチ位置TPが変更されなくなったとき(時刻T11〜T13)には、基準点位置RPが最後に設定されたスクロール用目標位置SP*に近づくように表示画像をスクロールさせている。
【0032】
以上説明した実施例の表示装置としてのナビゲーション装置20によれば、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触したときにタッチ位置TPに基づいて基準点位置RPとタッチ位置TPを中心位置として含む不感帯DZとスクロール用目標位置SP*とを設定し、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動していないときにはスクロール用目標位置SP*を更新せず、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動したときにはタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新し、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイ22を制御する単位スクロール制御を実行するものにおいて、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動したときには、タッチ位置TP(スクロール用目標位置SP*)と単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RPとの間の位置を中心位置として不感帯DZを更新することにより、このときにタッチ位置TPを中心位置として不感帯DZを更新するものに比して、接触物が移動しているとき(タッチ位置TPが移動しているとき)に、タッチ位置TPが不感帯DZに入りにくくなったり次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が短くなったりするから、スクロール用目標位置SP*の更新頻度をより多くしてその移動をより滑らかなものとすることができる。この結果、このスクロール用目標位置SP*に基づく表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。
【0033】
また、実施例の表示装置としてのナビゲーション装置20によれば、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離より短い距離を単位目標スクロール量S*として用いて基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイ22を制御する単位スクロール制御を実行する、即ち、スクロール用目標位置SP*が移動していない(保持されている)ときには、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*に徐々に近づくよう表示画像をスクロールさせ、スクロール用目標位置SP*が移動している(更新されている)ときには、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れて追従するよう表示画像をスクロールさせるものとしたから、接触物がタッチパネル24に接触した状態で移動しているときなどに、基準点位置RPが接触物などによって隠れてしまうのを抑制することができる。
【0034】
実施例のナビゲーション装置20では、中心位置から所定距離の範囲(円形の範囲)を不感帯DZとして設定するものとしたが、中心位置を重心とする四角形の範囲などを不感帯DZとして設定するものとしてもよい。
【0035】
実施例のナビゲーション装置20では、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離に係数k(0<k<1)を乗じた値を単位目標スクロール量S*として用いて単位スクロール制御を実行するものとしたが、スクロール用目標位置SP*が移動していない(保持されている)ときには基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*に徐々に近づくよう表示画像をスクロールさせ、スクロール用目標位置SP*が移動している(更新されている)ときには、基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れて追従するよう表示画像をスクロールさせるものであれば如何なるものとしてもよく、例えば、スクロール用目標位置SP*が更新されたときの基準点位置RPとそのときのスクロール用目標位置SP*との距離よりも小さな所定量(例えば、両者の距離の数分の1など)を単位目標スクロール量S*として用いて単位スクロール制御を実行するものなどとしてもよい。
【0036】
実施例のナビゲーション装置20では、単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行した直後の基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新するもの、即ち、単位スクロール制御を実行した後に不感帯DZを更新するものとしたが、単位目標スクロール量S*と単位スクロール制御の実行による基準点位置RPの移動量とは同一であると考えられるから、単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RPより単位目標スクロール量S*だけスクロール用目標位置SP*側の位置を中心位置として不感帯DZを更新してから単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行するものとしてもよい。
【0037】
実施例のナビゲーション装置20では、タッチ位置TPが不感帯DZ外のときには、タッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として設定すると共に設定したスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づいて単位スクロール制御を実行し、その単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新するものとしたが、単位スクロール制御の実行によって移動した基準点位置RPとは異なる位置を中心位置として不感帯DZを更新するものとしてもよい。この場合のスクロール制御ルーチンの一例を図7に示す。図7のルーチンは、図2のルーチンにステップS202の処理を追加すると共に図2のルーチンのステップS230の処理を実行しない点を除いて、図2のルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を省略する。この図7のスクロール制御ルーチンでは、ステップS160,S170でタッチ位置TPが不感帯DZ外であると判定されてステップS200でそのタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新したときや、ステップS160,S170でタッチ位置TPが不感帯DZ内であると判定されたがステップS180,S190でスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していないと判定されたときには、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの間の位置を中心位置として不感帯DZを更新する(ステップS202)。そして、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づいて単位目標スクロール量S*を設定すると共に(ステップS210)、設定した単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行して(ステップS220)、ステップS140に戻る。ここで、不感帯DZの更新は、この変形例では、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RP(単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RP)との距離に値0より大きく値1より小さい係数k2(例えば、0.4や0.5,0.6など)を乗じて得られる距離だけ基準点位置RPよりスクロール用目標位置SP*側の位置を中心位置として不感帯DZを更新するものとした。したがって、タッチ位置TPが不感帯DZ外でスクロール用目標位置SP*が移動している(更新されている)ときには、不感帯DZの中心位置がスクロール用目標位置SP*側に徐々に移動することになる。また、タッチ位置TPが不感帯DZ内でスクロール用目標位置SP*が移動していない(保持されている)ときでスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していないときには、単位スクロール制御の実行によって基準点位置RPが移動することから、不感帯DZの中心位置がスクロール用目標位置SP*側に徐々に近づくことになる。この変形例でも、実施例と同様に、タッチ位置TPを中心位置として不感帯DZを更新するものに比して、接触物が移動しているとき(タッチ位置TPが移動しているとき)に、タッチ位置TPが不感帯DZに入りにくくなったり次にタッチ位置TPが不感帯DZ外に移動するまでの時間が短くなったりするから、スクロール用目標位置SP*の更新頻度をより多くしてその移動をより滑らかなものとすることができ、このスクロール用目標位置SP*に基づく表示画像のスクロールをより滑らかなものとすることができる。
【0038】
この変形例の場合、不感帯DZの中心位置の移動量と単位目標スクロール量S*(表示画像の1回あたりのスクロール量)とが関連している必要がないと考えられることから、単位目標スクロール量S*については、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの距離をそのまま用いる、即ち、スクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れずに表示画像をスクロールさせるものなどとしてもよい。なお、実施例のナビゲーション装置20の場合、即ち、タッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として設定すると共にスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づく単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行してその直後の基準点位置RPを中心位置として不感帯DZを更新する場合、スクロール用目標位置SP*の移動に対して遅れずに表示画像をスクロールさせると、スクロール用目標位置SP*の位置を中心位置として不感帯DZを更新することになってしまうことから、この場合には、実施例で説明したように、スクロール用目標位置SP*の移動に対して基準点位置RPが遅れて追従するよう表示画像をスクロールさせる必要がある。
【0039】
また、この変形例の場合、不感帯DZの中心位置の移動と単位スクロール制御の実行による基準点位置RPの移動(表示画像のスクロール)とが関連している必要がないと考えられることから、タッチ位置TPが不感帯DZ内であると判定されたときには、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致しているか否かに拘わらず不感帯DZを更新しない(図7のルーチンにおいて、ステップS160,S170でタッチ位置TPが不感帯DZ内であると判定され、ステップS180,S190でスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していないと判定されたときには、ステップS210の処理に進む)ものとしてもよい。
【0040】
さらに、この変形例では、実施例のナビゲーション装置20と同様に、不感帯DZの中心位置に拘わらず、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとに基づく単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行するものとしたが、この変形例では、単位スクロール制御の実行前に不感帯DZを更新していることから、不感帯DZの中心位置に基づいて単位スクロール制御を実行するものとしてもよい。この場合のスクロール制御ルーチンの一例を図8に示す。図8のルーチンは、図7のルーチンのステップS210の処理に代えてステップS210cの処理を実行する点を除いて、図7のルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を省略する。図8のスクロール制御ルーチンでは、ステップS202でスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの間の位置を中心位置として不感帯DZを更新すると、不感帯DZの中心位置と基準点位置RPとに基づいて単位目標スクロール量S*を設定し(ステップS210b)、設定した単位目標スクロール量S*を用いて単位スクロール制御を実行し(ステップS220)、ステップS140に戻る。ここで、単位目標スクロール量S*の設定は、不感帯DZの中心位置がスクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとの間の位置であることから、不感帯DZの中心位置と基準点位置RPとの距離をそのまま用いるものとしてもよい。この場合、不感帯DZの中心位置の設定に用いる係数k2が単位目標スクロール量S*の設定に用いる係数k1と同一の値であるものとすれば、不感帯DZの移動や表示画像のスクロールは、結果として実施例と同様のものとなる。なお、単位目標スクロール量S*は、不感帯DZの中心位置と基準点位置RPとの距離に係数k3を乗じて得られる値を用いるものとしてもよい。
【0041】
実施例では、本発明を表示装置としてのナビゲーション装置20に適用するものとしたが、ナビゲーション装置20に限定されるものではなく、例えば、携帯電話や情報端末,複写装置,ファクシミリ,プリンター,家庭用ゲーム機など、画像表示面に画像を表示する表示手段と、その表示手段の画像表示面に取り付けられて接触物の接触位置を検出するタッチパネルと、を備える表示装置であれば如何なるものとしても構わない。
【0042】
また、実施例では、本発明を表示装置としてのナビゲーション装置20に適用するものとしたが、表示装置の制御方法の形態としてもよいし、表示装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【0043】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、ディスプレイ22が「表示手段」に相当し、タッチパネル24が「タッチパネル」に相当し、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触を開始したときに、タッチ位置TPを中心位置として含む不感帯DZを設定する図2のスクロール制御ルーチンのステップS110の処理や、タッチ位置TPが不感帯DZ外のときにはタッチ位置TPと単位スクロール制御を実行する直前の基準点位置RPとの間の位置を中心位置として不感帯DZを更新する図2のスクロール制御ルーチンのステップS230の処理を実行する電子制御ユニット30が「不感帯設定手段」に相当し、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動していないときにはスクロール用目標位置SP*を更新せず、タッチ位置TPが不感帯DZを超えて移動したときにはタッチ位置TPをスクロール用目標位置SP*として更新する図2のスクロール制御ルーチンのステップS170,S200の処理を実行する電子制御ユニット30が「スクロール用目標位置設定手段」に相当し、スクロール用目標位置SP*と基準点位置RPとが略一致していないときに基準点位置RPがスクロール用目標位置SP*側に移動するよう(表示画像がスクロールするよう)ディスプレイ22を制御する単位スクロール制御を実行する図2のスクロール制御ルーチンのステップS220の処理を実行する電子制御ユニット30が「スクロール制御手段」に相当する。また、指やペンなどの接触物がタッチパネル24に接触を開始したときに、タッチ位置TPに対応する表示画像における位置を表示基準点として設定する図2のスクロール制御ルーチンのステップS110の処理を実行する電子制御ユニット30が「表示基準点設定手段」に相当する。
【0044】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0045】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、表示装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、22a 画像表示面、24 タッチパネル、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU.34 ROM
36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスク(HDD)、50 GPS受信機、52 方位センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示面に画像を表示する表示手段と、前記表示手段の画像表示面に取り付けられて接触物の接触位置を検出するタッチパネルと、を備える表示装置であって、
接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定する不感帯設定手段と、
接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動していないときには前記画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動したときには該接触物の前記タッチパネルにおける接触位置を前記スクロール用目標位置として更新するスクロール用目標位置設定手段と、
前記設定されたスクロール用目標位置に応じて前記表示画像がスクロールするよう前記表示手段を制御するスクロール制御手段と、
を備え、
前記不感帯設定手段は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動したときには、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置と現在設定している前記不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を前記不感帯の中心位置として該不感帯を更新する手段である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置であって、
接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置に対応する前記表示画像における位置を表示基準点として設定する表示基準点設定手段を備え、
前記スクロール制御手段は、前記表示画像をスクロールさせる際、前記設定された表示基準点の前記表示手段における位置である基準点位置と前記設定されたスクロール用目標位置との距離より短い距離だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する単位スクロール制御を繰り返し実行する手段であり、
前記不感帯設定手段は、前記単位スクロール制御の実行によって移動した前記基準点位置を前記両者間位置として前記不感帯の中心位置を更新する手段である、
表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示装置であって、
前記スクロール制御手段は、前記単位スクロール制御として、前記設定されたスクロール用目標位置と前記基準点位置との距離に対して所定割合だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する手段である、
表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置であって、
前記不感帯設定手段は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動した後、前記設定されたスクロール用目標位置側に徐々に移動する前記両者間位置を前記不感帯の中心位置として更新する手段である、
表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の表示装置であって、
接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置に対応する前記表示画像における位置を表示基準点として設定する表示基準点設定手段を備え、
前記スクロール制御手段は、前記表示画像をスクロールさせる際、前記設定された表示基準点の前記表示手段における位置である基準点位置と前記設定されたスクロール用目標位置との距離より短い距離だけ前記基準点位置が前記設定されたスクロール用目標位置側に移動するよう前記表示手段を制御する単位スクロール制御を繰り返し実行する手段である、
表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の表示装置であって、
前記スクロール制御手段は、前記単位スクロール制御として、前記基準点位置が前記設定された不感帯の中心位置に一致するよう前記表示手段を制御する手段である、
表示装置。
【請求項7】
画像表示面に画像を表示する表示手段と、前記表示手段の画像表示面に取り付けられて接触物の接触位置を検出するタッチパネルと、を備える表示装置の制御方法であって、
(a)接触物が前記タッチパネルに接触したとき、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置を中心位置として含む範囲を不感帯として設定するステップと、
(b)接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動していないときには前記画像表示面に表示される画像である表示画像のスクロールの目標位置であるスクロール用目標位置を保持し、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で前記設定された不感帯を超えて移動したときには該接触物の前記タッチパネルにおける接触位置を前記スクロール用目標位置として更新するステップと、
(c)前記設定されたスクロール用目標位置に応じて前記表示画像がスクロールするよう前記表示手段を制御するステップと、
を含み、
前記ステップ(a)は、接触物が前記タッチパネルに接触した状態で、現在設定している前記不感帯を超えて移動したときには、該接触物の該タッチパネルにおける接触位置と現在設定している前記不感帯の中心位置との間の位置である両者間位置を前記不感帯の中心位置として該不感帯を更新するステップである、
ことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の表示装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−208678(P2012−208678A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73157(P2011−73157)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】