説明

表示装置および電子機器

【課題】低コスト化を図りつつ、発光期間を複数種類に調整することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】発光制御線DSLに対して制御パルスを印加し、発光制御トランジスタTr3n,Tr3pのオン・オフ状態を制御して有機EL素子12の発光動作および消光動作を制御する。各サブピクセルが、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いたサブピクセル11Rn,Bnと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いたサブピクセル11Gpとのうちの一方からなっている。各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける発光期間を2種類に調整することができる。また、1つの発光制御線DSLに対して、サブピクセル11Rn,11Bnとサブピクセル11Gpとの双方が共通して接続されている。従来と比べ、使用する発光制御線の数が削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro Luminescence)素子等を用いて構成された表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)が開発され、商品化が進められている。
【0003】
有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL表示装置では光源(バックライト)が必要ないことから、光源を必要とする液晶表示装置と比べ、画像の視認性が高く、消費電力が低く、かつ素子の応答速度が速い。
【0004】
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様に、その駆動方式として、単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とが挙げられる。前者は、構造が単純であるものの、大型かつ高精細の表示装置の実現が難しいなどの問題がある。そのため、現在では、後者のアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式では、画素ごとに配した有機EL素子に流れる電流を、有機EL素子ごとに設けた駆動回路内の能動素子(一般にはTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ))によって制御するようになっている。
【0005】
ところで、このような有機EL表示装置では、有機EL素子の電流−電圧(I−V)特性が、時間の経過に従って劣化(経時劣化)することが知られている。有機EL素子を電流駆動する画素回路では、有機EL素子のI−V特性が経時変化すると、駆動トランジスタに流れる電流値が変化することから、有機EL素子自身に流れる電流値も変化し、それに応じて発光輝度も変化してしまう。
【0006】
また、有機EL表示装置では、各画素は、R(赤),G(緑),B(青)の3原色に対応する3つのサブピクセル(サブ画素)、あるいはこれにW(白)の色に対応するサブピクセルを加えた4つのサブピクセルにより構成されることが一般的である。この場合、各色のサブピクセルごとに、上記した有機EL素子の劣化の速度が異なることが知られており、これにより、各画素において経時的な色ずれが生じて表示画質が低下してしまうことになる。
【0007】
このように各色のサブピクセルごとに劣化速度が異なる要因としては、まず、有機EL素子における発光材料の特性(発光効率)が色ごとに異なることが主要因として挙げられる。ただし、この他にも、ホワイトバランスの調整を図るため、各色のサブピクセルごとに有機EL素子に流れる電流の密度(電流密度)が異なることも要因の1つとなっている。これは、一般に、有機EL素子における発光効率が相対的に低い色に対応するサブピクセルでは、他の色のサブピクセルと比べて電流密度を高く設定する必要があることから、劣化速度が早まってしまうためである。
【0008】
そこで、後者の要因(電流密度の相違)に起因した経時的な色ずれを抑制するため、例えば以下の2つの手法が提案されている。第1の手法は、各色のサブピクセルごとに開口率の大きさを異ならせることにより、上記のように電流密度を色ごとに異ならせることなく、色ごとの劣化速度の均一化を図るというものである(例えば、特許文献1参照)。また、第2の手法は、各画素において1つの色に対して複数個のサブピクセルを設けることにより、第1の手法と同様に電流密度を色ごとに異ならせることなく、色ごとの劣化速度の均一化を図るというものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−215559号公報
【特許文献2】特開2004−311440号公報
【特許文献3】特開2001−60076号公報
【特許文献4】特開2007−156383号公報
【特許文献5】特開2008−224853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記第1の手法では、例えばシャドーマスクを用いた蒸着によって有機EL素子を形成する場合、開口率の大きさを色ごとに変えるには、各色に応じたシャドーマスクが必要となる。このため、各色で開口率の大きさを同一とした場合(各色で共通のシャドーマスクを用いる場合)と比べて製造工程が増えてしまうことになり、コストアップの要因となる。
【0011】
一方、上記第2の手法では、1つの色に対して複数個のサブピクセルがあることに起因して、例えば1画素分の幅の白色線などの表示の際に、精細度の高い画像では、色がにじんで見えたり凸凹に見えたりする場合があった。すなわち、この第2の手法では、表示画質が低下してしまう場合が生じることになる。
【0012】
そこで、これら2つの手法のようにサブピクセルの構造(開口率の大きさや個数)を色ごとに異ならせることなく、かつ電流密度も色ごとに異ならせずに、色ごとの劣化速度の均一化を図るようにした手法も提案されている。具体的には、各色のサブピクセルごとに発光期間の長さを調整することにより、色ごとの劣化速度の均一化を図るようにしたものである(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0013】
しかしながら、この手法を用いる場合、発光期間を調整するための制御線を、各色のサブピクセルごとに個別に設ける必要が生じる。これにより、色ごとの制御線が多数配線されることに起因して、各画素の開口率の低下や、配線間のクリアランスの減少による製造不良の増加等が引き起こされ、総合的に低コスト化を図るのが困難となってしまう。
【0014】
また、これまで説明したようなサブピクセルの色に応じてではなく、例えば表示画面上の水平ライン(Hライン)の位置に応じて、発光期間のタイミングを調整することが求められる場合もある。例えば、奇数ラインと偶数ラインとで発光期間のタイミングを異ならせることにより、奇数フィールドの画像と偶数フィールドの画像とをそれぞれ生成するような場合である。
【0015】
このような場合にも、従来の手法では、発光期間を調整するための制御線を奇数ラインと偶数ラインとで個別に設ける必要が生じるため、上記と同様の理由により、総合的に低コスト化を図るのが困難となってしまう。
【0016】
このようにして従来の手法では、低コスト化を図りつつ、発光期間(具体的には、発光期間の長さやタイミング)を複数種類に調整することが困難であり、改善の余地があった。なお、これまで説明した問題は、有機EL表示装置には限られず、他の種類の自発光素子を用いた表示装置においても生じ得るものである。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化を図りつつ、発光期間を複数種類に調整することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の表示装置は、各々が、各色用発光素子および発光制御トランジスタをそれぞれ含む複数の各色用サブ画素からなる複数の画素と、各画素に接続された発光制御線と、この発光制御線に対して、発光制御トランジスタのオン・オフ状態を制御して各色用発光素子の発光動作および消光動作をそれぞれ制御するための制御パルスを印加する発光制御線駆動回路とを備えたものである。ここで、上記各色用サブ画素は、第1導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第1の各色用サブ画素と、上記第1導電型とは異なる第2導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第2の各色用サブ画素とのうちの一方からなる。また、一の発光制御線に対して、第1および第2の各色用サブ画素の双方が少なくとも1つずつ共通して接続されている。
【0019】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【0020】
本発明の表示装置および電子機器では、各画素に接続された発光制御線に対して制御パルスが印加されることにより、発光制御トランジスタのオン・オフ状態が制御され、各色用発光素子の発光動作および消光動作がそれぞれ制御される。また、各色用サブ画素は、第1導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第1の各色用サブ画素と、この第1導電型とは異なる第2導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第2の各色用サブ画素とのうちの一方から構成されている。これにより、発光制御線を用いて各色用サブ画素における発光期間(発光期間の長さやタイミング)を、複数種類(2種類)に調整することが可能となる。更に、一の発光制御線に対して上記第1および第2の各色用サブ画素の双方が少なくとも1つずつ共通して接続されていることにより、複数の各色用サブ画素に対して発光制御線が個別に接続されている従来の場合と比べ、使用する発光制御線の数が少なくて済む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表示装置および電子機器によれば、各画素に接続された発光制御線に対して制御パルスを印加することによって、発光制御トランジスタのオン・オフ状態を制御して各色用発光素子の発光動作および消光動作をそれぞれ制御すると共に、各色用サブ画素が、上記第1の各色用サブ画素と上記第2の各色用サブ画素とのうちの一方からなるようにしたので、発光制御線を用いて各色用サブ画素における発光期間を複数種類に調整することができる。また、一の発光制御線に対して、上記第1および第2の各色用サブ画素の双方が少なくとも1つずつ共通して接続されているようにしたので、従来と比べて使用する発光制御線の数を削減することができる。よって、低コスト化を図りつつ発光期間を複数種類に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の一例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した各画素内のサブピクセル構造および各配線の接続構造の一例を表す模式図である。
【図3】図2に示した各サブピクセルの内部構成の一例を表す回路図である。
【図4】比較例1に係る画素内の各サブピクセル構造およびそれに対する発光制御線の接続構造と、その発光制御線に印加される制御パルスとを表す図である。
【図5】比較例2に係る画素内の各サブピクセル構造およびそれに対する発光制御線の接続構造を表す模式図である。
【図6】実施の形態に係る発光制御線に印加される制御パルスの一例を表すタイミング波形図である。
【図7】実施の形態に係る発光制御線に印加される制御パルスの他の例を表すタイミング波形図である。
【図8】実施の形態に係る発光制御線に印加される制御パルスの他の例を表すタイミング波形図である。
【図9】変形例1に係る各画素内のサブピクセル構造および発光制御線の接続構造を表す模式図である。
【図10】変形例2に係る各画素内のサブピクセル構造および発光制御線の接続構造を表す模式図である。
【図11】変形例3に係る各画素内のサブピクセル構造および発光制御線の接続構造を表す模式図である。
【図12】実施の形態および各変形例の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図13】実施の形態および各変形例の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図14】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図15】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図16】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図17】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(サブピクセル間で発光制御線を共通化:RGBのサブピクセル構造)
2.変形例
変形例1(サブピクセル間で発光制御線を共通化:RGBWのサブピクセル構造)
変形例2(水平ライン間で発光制御線を共通化)
変形例3(サブピクセルおよび水平ライン間で発光制御線を共通化)
3.モジュールおよび適用例
4.その他の変形例
【0024】
<1.実施の形態>
[表示装置の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置1の概略構成をブロック図で表したものである。この表示装置1は、表示パネル10(表示部)および駆動回路20を備えている。
【0025】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11がマトリクス状に配置された画素アレイ部13を有しており、外部から入力される映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づいて、アクティブマトリクス駆動により画像表示を行うものである。各画素11は、後述する複数の色に対応する複数のサブピクセル(各色用サブ画素)を含んで構成されている。
【0026】
画素アレイ部13は、行状に配置された複数の走査線WSLと、列状に配置された複数の信号線DTLと、走査線WSLに沿って行状に配置された複数の発光制御線DSLとを有している。これらの走査線WSL、信号線DTLおよび発光制御線DSLの一端側はそれぞれ、後述する駆動回路20に接続されている。また、上記した各画素11は、各走査線WSLと各信号線DTLとの交差部に対応して、行列状に配置(マトリクス配置)されている。なお、図1では、以下説明する複数の色に対応する複数の信号線(各色用信号線)DTLr,DTLg,DTLbを、簡略化して1つの信号線DTLとして示している。
【0027】
図2は、各画素11の内部構成を各配線と共に模式的に表したものである。
【0028】
各画素11は、例えば図2(A)に示したように、赤(R)、青(B)、および緑(G)の3原色に対応する3つのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにより構成されている。これらのうち、サブピクセル11Rn,11Bnではそれぞれ、後述する発光制御トランジスタ(発光制御トランジスタTr3n)が、nチャネル(第1導電型,n型)の(キャリアとして電子を用いた)トランジスタにより構成されている。一方、サブピクセル11Gpでは、後述する発光制御トランジスタ(発光制御トランジスタTr3p)が、pチャネル(第2導電型,p型)の(キャリアとして正孔(ホール)を用いた)トランジスタにより構成されている。すなわち、画素アレイ部13内のサブピクセルはそれぞれ、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル(第1の各色用サブ画素)と、pチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル(第2の各色用サブ画素)とのうちの一方からなっている。なお、各サブピクセルにおいて、符号「n」は、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセルであることを示し、符号「p」は、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセルであることを示している。
【0029】
また、ここでは、サブピクセル11Rnには、信号線DTLr、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Bnには、信号線DTLb、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Gpには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。すなわち、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpには、各色に対応する信号線DTLr,DTLb,DTLgがそれぞれ個別に接続されている一方、走査線WSLおよび発光制御線DSLは共通して接続されている。換言すると、1つの発光制御線DSLに対しては、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル(11Rn,11Bn)と、pチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル(11Gp)との双方が少なくとも1つずつ共通して接続されている。
【0030】
なお、図2(B)は、図2(A)に示した配線構造を簡略化して表したものであり、信号線DTL、走査線WSLおよび発光制御線DSLのうち、便宜上、発光制御線DSLのみを示している。以下に示す同様の配線構造の図では、図2(B)と同様にして配線構造を簡略化して示す(発光制御線DSLのみを示す)ものとし、他の配線(信号線DTLおよび走査線WSL)については、基本的には図2(A)と同様の構造になっているものとする。
【0031】
ここで、各画素11内のサブピクセル構造における上記発光制御トランジスタのnチャネルおよびpチャネルの組み合わせについては、図2(A),(B)に示したものには限られず、他の組み合わせであってもよい。すなわち、例えば図2(C)に示した画素11−1のように、サブピクセル11Rnが、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されている一方、サブピクセル11Bp,11Gpがそれぞれ、pチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されているようにしてもよい。ただし、説明の便宜上、本実施の形態では以下、基本的には図2(A),(B)に示した画素11について代表して説明するものとする。
【0032】
ただし、例えば、後述する各色光を発する有機EL素子(有機EL素子12R,12G,12B)における発光効率の値が相対的に近いサブピクセル同士では、同種類のチャネル(nチャネルまたはpチャネル)の発光制御トランジスタが共通して用いられているようにするのが望ましい。具体的には、例えば、赤色に対応するサブピクセル11Rと緑色に対応するサブピクセル11Gとにおいて一の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられると共に、青色に対応するサブピクセル11Bにおいて他の種類の発光制御トランジスタが単独で用いられている場合が挙げられる。これにより、後述する各サブピクセル11R,11G,11Bでの発光期間の制御の際に、発光効率の大きさに応じた効果的な制御が可能となるからである。
【0033】
あるいは、例えば、R,G,Bの各色に固有の視感度(視認性)の値が相対的に近いサブピクセル同士では、同種類のチャネル(nチャネルまたはpチャネル)の発光制御トランジスタが共通して用いられているようにするのが望ましい。具体的には、この場合も例えば、赤色に対応するサブピクセル11Rと緑色に対応するサブピクセル11Gとにおいて一の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられると共に、青色に対応するサブピクセル11Bにおいて他の種類の発光制御トランジスタが単独で用いられている場合が挙げられる。これにより、上記と同様の発光期間の制御の際に、視感度(視認性)の大きさに応じた効果的な制御が可能となるからである。
【0034】
図3(A)は、nチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル11Rn,11Gn,11Bnの内部構成(回路構成)の一例を表したものである。また、図3(B)は、pチャネルの発光制御トランジスタを用いて構成されたサブピクセル11Rp,11Gp,11Bpの内部構成(回路構成)の一例を表したものである。
【0035】
サブピクセル11Rn,11Gn,11Bn内には、有機EL素子12R,12G,12B(各色用発光素子)と、画素回路14nとが設けられている。一方、サブピクセル11Rp,11Gp,11Bp内には、有機EL素子12R,12G,12Bと、画素回路14pとが設けられている。なお、以下では、有機EL素子12R,12G,12Bの総称として、有機EL素子12を適宜用いるものとする。
【0036】
図3(A)に示したように、画素回路14nは、書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1(第1のトランジスタ)、駆動トランジスタTr2(第2のトランジスタ)、発光制御トランジスタTr3n(第3のトランジスタ)および保持容量素子Csを用いて構成されている。すなわち、この画素回路14nは、いわゆる「3Tr1C」の回路構成となっている。ここで、書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および発光制御トランジスタTr3nはそれぞれ、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTにより形成されている。なお、トランジスタの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)であってもよい。また、画素回路14nの回路構成についても、発光制御回路が設けられているのであれば、上記した「3Tr1C」には限られない。
【0037】
この画素回路14nでは、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSLに接続され、ドレインが信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb)に接続され、ソースが、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。発光制御トランジスタTr3nのドレインは固定電源VDDに接続され、ゲートは発光制御線DSLに接続され、ソースは駆動トランジスタTr2のドレインに接続されている。また、駆動トランジスタTr2のソースは、保持容量素子Csの他端および有機EL素子12のアノードに接続され、有機EL素子12のカソードは固定電位VSS(例えば、接地電位)に設定されている。なお、この有機EL素子12のカソードは、各有機EL素子12の共通電極として機能しており、例えば、表示パネル10の表示領域全体に渡って連続して形成され、平板状の電極となっている。
【0038】
一方、図3(B)に示したように、画素回路14pは、書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2、発光制御トランジスタTr3p(第3のトランジスタ)および保持容量素子Csを用いて構成されている。すなわち、この画素回路14pも「3Tr1C」の回路構成となっている。ここで、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2はそれぞれ、nチャネルMOS型のTFTにより形成されている一方、発光制御トランジスタTr3pは、pチャネルMOS型のTFTにより形成されている。なお、ここでもトランジスタの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造であってもよいし、スタガー構造であってもよい。また、画素回路14pの回路構成についても、発光制御回路が設けられているのであれば、上記した「3Tr1C」には限られない。
【0039】
この画素回路14pでは、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSLに接続され、ドレインが信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb)に接続され、ソースが、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。発光制御トランジスタTr3pのソースは固定電源VDDに接続され、ゲートは発光制御線DSLに接続され、ドレインは駆動トランジスタTr2のドレインに接続されている。また、駆動トランジスタTr2のソースは、保持容量素子Csの他端および有機EL素子12のアノードに接続され、有機EL素子12のカソードは固定電位VSS(例えば、接地電位)に設定されている。
【0040】
(駆動回路20)
駆動回路20は、画素アレイ部13(表示パネル10)を駆動する(表示駆動を行う)ものである。具体的には、画素アレイ部13における複数の画素11を順次選択しつつ、選択された画素11内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpに対して映像信号20Aに基づく映像信号電圧を書き込むことにより、複数の画素11に対する表示駆動を行っている。この駆動回路20は、図1に示したように、映像信号処理回路21、タイミング生成回路22、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および発光制御線駆動回路25を有している。
【0041】
映像信号処理回路21は、外部から入力されるデジタルの映像信号20Aに対して所定の補正を行うと共に、補正した後の映像信号21Aを信号線駆動回路24に出力するものである。この所定の補正としては、例えば、ガンマ補正や、オーバードライブ補正などが挙げられる。
【0042】
タイミング生成回路22は、外部から入力される同期信号20Bに基づいて制御信号22Aを生成し出力することにより、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および発光制御線駆動回路25がそれぞれ、連動して動作するように制御するものである。
【0043】
走査線駆動回路23は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の走査線WSLに対して選択パルスを順次印加することにより、複数の画素11を順次選択するものである。具体的には、書き込みトランジスタTr1をオン状態に設定するときに印加する電圧Vonと、書き込みトランジスタTr1をオフ状態に設定するときに印加する電圧Voffとを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成するようになっている。ここで、電圧Vonは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧以上の値(一定値)となっており、電圧Voffは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧よりも低い値(一定値)となっている。
【0044】
信号線駆動回路24は、制御信号22Aに従って(同期して)、映像信号処理回路21から入力される映像信号21Aに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb)に印加するものである。具体的には、この映像信号21Aに基づく各色用のアナログの映像信号電圧を、各信号線DTLr,DTLg,DTLbに対して個別に印加する。これにより、走査線駆動回路23により選択された画素11内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpに対して、映像信号の書き込みを行うようになっている。なお、映像信号の書き込みとは、補助容量素子Csに対して上記映像信号電圧をプログラムし、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間に所定の電圧を印加することを意味している。
【0045】
発光制御線駆動回路25は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の発光制御線DSLに対して制御パルスを順次印加し、各画素11内のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける発光制御トランジスタTr3n,Tr3pのオン・オフ状態を制御するものである。これにより、各画素11内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける有機EL素子12の発光(点灯)動作および消光(消灯)動作の制御を行っている。言い換えると、上記制御パルスの幅(パルス幅)を調整することにより、各画素11内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける発光期間および消光期間の長さを制御する(PWM(Pulse Width Modulation)と同様の制御を行う)ようになっている。
【0046】
具体的には、発光制御トランジスタTr3nをオン状態に設定するときに印加する電圧VHと、この発光制御トランジスタTr3nをオフ状態に設定するときに印加する電圧VLとを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成している。換言すると、発光制御トランジスタTr3pをオフ状態に設定するときに印加する電圧VHと、この発光制御トランジスタTr3pをオン状態に設定するときに印加する電圧VLとを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成している。ここで、電圧VHは、発光制御トランジスタTr3nのオン電圧以上の値(一定値)となっている(「H(ハイ)状態」に対応する電圧)と共に、発光制御トランジスタTr3pのオン電圧よりも低い値(一定値)となっている(「L(ロー)状態」に対応する電圧)。一方、電圧VLは、発光制御トランジスタTr3nのオン電圧よりも低い値(一定値)となっている(「L状態」に対応する電圧)と共に、発光制御トランジスタTr3pのオン電圧以上の値(一定値)となっている(「H(ハイ)状態」に対応する電圧)。なお、このような発光制御線駆動回路25による各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpでの発光期間の制御動作の詳細については、後述する。
【0047】
[表示装置の作用・効果]
続いて、本実施の形態の表示装置1の作用および効果について説明する。
【0048】
(表示動作)
この表示装置1では、図1〜図3に示したように、駆動回路20が、表示パネル10(画素アレイ部13)内の各画素11(各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gp)に対し、映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づく表示駆動を行う。これにより、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gp内の有機EL素子12へ駆動電流が注入され、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。その結果、表示パネル10において、映像信号20Aに基づく画像表示がなされる。
【0049】
具体的には、図2および図3を参照すると、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpでは、以下のようにして映像信号の書き込み動作が行われる。まず、信号線DTLの電圧が映像信号電圧となっており、かつ発光制御線DSLの電圧が電圧VH(「H」状態)あるいは電圧VL(「L」状態)となっている期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Voffから電圧Vonに上げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、このときの信号線DTLの電圧に対応する映像信号電圧へと上昇する。その結果、補助容量素子Csに対して映像信号電圧が書き込まれ、保持される。また、ここでは、発光制御トランジスタTr3nあるいは発光制御トランジスタTr3pはオン状態となっている。すなわち、サブピクセル11Rn,11Bnでは、発光制御線DSLの電圧が電圧VH(「H」状態)となっている場合に対応し、サブピクセル11Gpでは、発光制御線DSLの電圧が電圧VL(「L」状態)となっている場合に対応する。
【0050】
このとき、有機EL素子12のアノード電圧は、この段階ではまだ、有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vca(=VSS)とを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さく、有機EL素子12はカットオフ状態となっている。すなわち、この段階では、有機EL素子12のアノード−カソード間には電流が流れない(有機EL素子12が発光しない)。したがって、駆動トランジスタTr2から供給される電流Idは、有機EL素子12のアノード−カソード間に並列に存在する素子容量(図示せず)へと流れ、この素子容量が充電される。
【0051】
次に、信号線DTLが映像信号電圧のまま保持されていると共に発光制御トランジスタがオン状態を保持している期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Vonから電圧Voffへと下げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなる。すると、この駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが一定に保持された状態で、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Idが流れる。その結果、この駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが上昇すると共に、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgもまた、保持容量素子Csを介した容量カップリングにより、連動して上昇する。そして、これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも大きくなる。よって、有機EL素子12のアノード−カソード間に電流Idが流れ、有機EL素子12が所望の輝度で発光する。
【0052】
次に、駆動回路20は、所定の期間が経過したのち、有機EL素子12の発光期間を終了させる。具体的には、発光制御線駆動回路25が、発光制御線DSLの電圧を、電圧VHから電圧VLへと下げる(「H」状態から「L」状態へと移行させる)、あるいは、電圧VLから電圧VHへと上げる(「L」状態から「H」状態へと移行させる)。すると、発光制御トランジスタTr3nあるいは発光制御トランジスタTr3pがオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが下降していく。これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さくなり、アノード−カソード間に電流Idが流れなくなる。その結果、これ以降は有機EL素子12が消光する(消光期間へと移行する)。このようにして、発光制御線DSLに対して印加する制御パルスの幅(「H」状態の期間の長さ)に応じて、各画素11内の各サブピクセル11Rn,11Bnにおける発光期間の長さを制御することが可能となっている。また、同様に制御パルスの幅(「L」状態の期間の長さ)に応じて、各画素11内の各サブピクセル11Gpにおける発光期間の長さを制御することが可能となっている。
【0053】
なお、その後は、駆動回路20は、これまで説明した発光動作および消光動作がフレーム期間(1垂直期間、1V期間)ごとに周期的に繰り返されるように、表示駆動を行う。また、それと共に、駆動回路20は、例えば1水平期間ごとに、発光制御線DSLに印加する制御パルスおよび走査線WSLに印加する選択パルスをそれぞれ、行方向に走査させる。以上のようにして、表示装置1における表示動作(駆動回路20による表示駆動)がなされる。
【0054】
(特徴的部分の作用)
次に、本実施の形態の表示装置1における特徴的部分の作用について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ詳細に説明する。
【0055】
(比較例1)
図4(A)は、比較例1に係る画素101内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnの構造と、これらのサブピクセルに対する発光制御線DSLの接続構造とを模式的に表したものである。また、図4(B)は、この比較例1に係る発光制御線DSLに印加される制御パルスのタイミング波形の一例を表したものである。
【0056】
比較例1では、まず、図4(A)に示したように、図2に示した本実施の形態とは異なり、画素101内の3つ(全て)のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnが、いずれも、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたものとなっている。また、画素101内のこれらのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnに対してそれぞれ、1つ(単一)の発光制御線DSLが共通して接続されている。
【0057】
そして、例えば図4(B)に示したように、1つの発光制御線DSLに対して制御パルスを順次印加することにより、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnにおける有機EL素子12の発光(点灯)動作および消光(消灯)動作の制御が可能となっている。すなわち、ここでは各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnがnチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されているため、図中に示したように、制御パルスの「H」期間が、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnの発光(点灯)期間となる。一方、制御パルスの「L」期間は、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnの消光(消灯)期間となる。
【0058】
また、図中に示した制御パルスの幅(パルス幅)を調整することにより、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnにおける発光期間および消光期間の長さの制御(PWM制御)が可能となっている。具体的には、制御パルスの「H」期間(点灯期間)のパルス幅と、「L」期間(消灯期間)のパルス幅との比率を制御することにより、1V(1垂直)期間内における発光期間および消灯期間の長さ(比率)の制御が可能となっている。
【0059】
ところが、この比較例1では、以下説明するような問題が生じ得る。
【0060】
すなわち、まず、有機EL表示装置では一般に、有機EL素子の電流−電圧(I−V)特性が、時間の経過に従って劣化(経時劣化)することが知られている。有機EL素子を電流駆動する画素回路(例えば、図3(A)に示した画素回路14n)では、有機EL素子のI−V特性が経時変化すると、駆動トランジスタ(例えば、図3(A)に示した駆動トランジスタTr2)に流れる電流値Idが変化する。したがって、この電流値Idの変化に応じて有機EL素子自身に流れる電流値も変化し、それに応じて発光輝度も変化してしまう。
【0061】
また、有機EL表示装置では一般に、各色のサブピクセルごとに、このような有機EL素子の劣化の速度が異なることも知られている。したがって、例えば比較例1のように、画素101が3つの色に対応するサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnにより構成されている場合、画素101において経時的な色ずれが生じて表示画質が低下してしまうことになる。
【0062】
このように、例えば各色のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnごとに劣化速度が異なる要因としては、まず、有機EL素子(例えば、図3(A)中の有機EL素子12R,12G,12B)における発光効率が色ごとに異なることが主要因として挙げられる。ただし、この他にも、比較例1を含めた従来例では、ホワイトバランスの調整を図るため、各色のサブピクセル(例えば、サブピクセル11Rn,11Bn,11Gn)ごとに、有機EL素子に流れる電流の密度(電流密度)が異なるように設定されることも要因の1つとなっている。一般に、有機EL素子における発光効率が相対的に低い色に対応するサブピクセルでは、他の色のサブピクセルと比べて電流密度を高く設定する必要があることから、劣化速度が早まってしまうためである。
【0063】
そこで、このような電流密度の相違に起因した経時的な色ずれを抑制するため、比較例1において、例えば以下の2つの手法を適用することが考えられる。第1の手法は、各色のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnごとに開口率の大きさを異ならせることにより、上記のように電流密度を色ごとに異ならせることなく、色ごとの劣化速度の均一化を図るというものである。また、第2の手法は、各画素101において1つの色に対して複数個のサブピクセルを設けることにより、第1の手法と同様に電流密度を色ごとに異ならせることなく、色ごとの劣化速度の均一化を図るというものである。
【0064】
ところが、第1の手法では、例えばシャドーマスクを用いた蒸着によって有機EL素子12を形成する場合、開口率の大きさを色ごとに変えるには、各色に応じたシャドーマスクが必要となる。このため、各色で開口率の大きさを同一とした場合(各色で共通のシャドーマスクを用いる場合)と比べて製造工程が増えてしまうことになり、コストアップの要因となる。
【0065】
一方、第2の手法では、1つの色に対して複数個のサブピクセルがあることに起因して、例えば1画素分の幅の白色線などの表示の際に、精細度の高い画像では、色がにじんで見えたり凸凹に見えたりする場合が生じ得る。すなわち、この第2の手法では、表示画質が低下してしまうことになる。
【0066】
そこで、これらの手法とは別の手法として、比較例1において、前述した制御パルスの幅(図4(B))を調整して各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnにおける発光期間の長さを調整することにより、色ごとの劣化速度の均一化を図ることが考えられる。しかしながら、この比較例1では前述したように(図4(A))、まず、画素101内の3つのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnに対し、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。そして、画素101内の3つ(全て)のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnが、いずれも、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたものとなっている。したがって、比較例1では、この発光制御線DSLを用いて各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnごとに発光期間の長さを調整することはできない。すなわち、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnでは、全て同一(共通)のタイミングで発光(点灯)動作および消光(消灯)動作を行わざるを得ないことになる。
【0067】
(比較例2)
一方、図5に示した比較例2に係る画素101内の各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnでは、上記比較例1とは異なり、各サブピクセル11Rn,11Bn,Gnに対し、3つの発光制御線DSLr,DSLb,DSLgが個別に接続されている。これにより、比較例2では比較例1とは異なり、これら3つの発光制御線DSLr,DSLb,DSLgを用いて、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnごとに発光期間の長さを調整し、色ごとの劣化速度の均一化を図ることが可能となる。すなわち、この比較例2では、サブピクセルの構造(開口率の大きさや個数)を色ごとに異ならせることなく、かつ電流密度も色ごとに異ならせずに、色ごとの劣化速度の均一化を図ることが可能となっている。
【0068】
ところが、この比較例2では上記のように、発光期間を調整するための発光制御線(ここでは、3つの発光制御線DSLr,DSLb,DSLg)を、各色のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnごとに個別に設ける必要がある。このため、色ごとの発光制御線DSLr,DSLb,DSLgが多数配線されることに起因して、各画素101の開口率の低下や、配線間のクリアランスの減少による製造不良の増加等が引き起こされ、総合的に低コスト化を図るのが困難となってしまう。
【0069】
(実施の形態)
これに対して、本実施の形態の表示装置1では、例えば図2(B),(C)に示したように、まず上記比較例1と同様に、画素11内の3つのサブピクセルに対し、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。具体的には、図2(B)では、画素11内の3つのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gpに対し、図2(C)では、画素11内の3つのサブピクセル11Rn,11Bp,11Gpに対し、それぞれ、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。
【0070】
ただし、本実施の形態では、比較例1とは異なり、画素11内の3つのサブピクセルが、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いたものと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いたものと、の双方により構成されている。具体的には、例えば図2(B)では、サブピクセル11Rn,11Bnがそれぞれ、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成され、サブピクセル11Gpが、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されている。また、例えば図2(C)では、サブピクセル11Rnが、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成され、サブピクセル11Bp,11Gpがそれぞれ、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されている。
【0071】
これにより、本実施の形態では、各画素11内において、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いたサブピクセルと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いたサブピクセルとにより、発光期間を複数種類(2種類)に調整することが可能となる。具体的には、発光期間の長さやタイミングを複数種類(2種類)に調整することが可能となる。したがって、上記比較例2と同様に、各サブピクセルにおける構造(例えば、開口率の大きさや個数)および電流密度を色ごとに異ならせることなく、色ごとの劣化速度の均一化を図ることが可能となる。すなわち、サブピクセルでの構造や電流密度を各色同士で共通化しつつ、色ごとの劣化速度の相違に起因した経時的な色ずれを抑えることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態では上記したように、上記比較例2とは異なり、画素11内の3つのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gpに対し、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。換言すると、1つの発光制御線DSLに対し、サブピクセル11Rn,11Bnと、サブピクセル11Gpとの双方が共通して接続されている。
【0073】
これにより、本実施の形態では、3つのサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnに対して発光制御線DSLr,DSLb,DSLgが個別に接続されている比較例2と比べ、使用する発光制御線の数が少なくて済む。すなわち、この場合、比較例2では3つの発光制御線DSLr,DSLb,DSLgを用いているのに対し、本実施の形態では1つの発光制御線DSLを用いれば済むことになる。したがって、本実施の形態では各サブピクセルに共通の1つの発光制御線DSLを用いているにも関わらず、比較例2と同様に、サブピクセルでの構造や電流密度を各色同士で共通化しつつ、色ごとの劣化速度の相違に起因した経時的な色ずれを抑えることが可能となる。
【0074】
ここで、本実施の形態では、上記したような、1つの発光制御線DSLを用いた各サブピクセルでの発光期間の調整(制御)動作は、具体的には以下のようにして行う。なお、以下の図6〜図8の説明では、図2(A),(B)に示した画素11のサブピクセル構造を例に挙げて説明するが、例えば図2(C)に示した画素11等の他のサブピクセル構造についても同様となる。
【0075】
すなわち、例えば図6に示したようにして、発光制御線駆動回路25は、1つの発光制御線DSLに対して制御パルスを順次印加し、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける有機EL素子12の発光(点灯)動作および消光(消灯)動作の制御を行う。
【0076】
具体的には、ここでは、サブピクセル11Rn,11Bnはそれぞれ、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されている。このため、図中に示したように、制御パルスのH期間ΔTHが、この発光制御トランジスタTr3nのオン期間となり、これによりサブピクセル11Rn,11Bnの発光(点灯)期間となる。また、制御パルスのL期間ΔTLが、発光制御トランジスタTr3nのオフ期間となり、これによりサブピクセル11Rn,11Bnの消光(消灯)期間となる。
【0077】
一方、サブピクセル11Gpは、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されている。このため、図中に示したように、制御パルスのL期間ΔTLが、この発光制御トランジスタTr3pのオン期間となり、これによりサブピクセル11Gpの発光(点灯)期間となる。また、制御パルスのH期間ΔTHが、発光制御トランジスタTr3pのオフ期間となり、これによりサブピクセル11Gpの消光(消灯)期間となる。
【0078】
また、例えば図7に示したように、発光制御線駆動回路25は、発光制御線DSLに印加される制御パルスの幅を調整することにより、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける発光期間および消光期間の長さの制御(PWM制御)を行う。具体的には、制御パルスのH期間ΔTHの長さと、L期間ΔTLの長さとの比率を制御することにより、1V期間内における発光期間および消灯期間の長さ(比率)の制御を行う。より詳細には、制御パルスのH期間ΔTHの長さに応じて、サブピクセル11Rn,11Bnにおける発光(点灯)期間の長さと、サブピクセル11Gpにおける消光(消灯)期間の長さとをそれぞれ制御する。また、制御パルスのL期間ΔTLの長さに応じて、サブピクセル11Rn,11Bnにおける消光(消灯)期間の長さと、サブピクセル11Gpにおける発光(点灯)期間の長さとをそれぞれ制御する。
【0079】
この際、発光制御線駆動回路25は、有機素子12における発光効率が相対的に高い色に対応するサブピクセルでは、発光効率が相対的に低い色に対応するサブピクセルと比べて発光期間が短くなるように、制御パルスのH期間ΔTHおよびL期間ΔTLの長さをそれぞれ調整する。これにより、色ごとの劣化速度の相違に起因した経時的な色ずれを抑えることが可能となる。例えば、ここでは、サブピクセル11Gpではサブピクセル11Rn,11Bnと比べ、発光期間が短くなっている。
【0080】
更に、例えば図8(A)に示したように、発光制御線駆動回路25は、例えば図7に示したデューティ比(制御パルスのH期間ΔTHの長さとL期間ΔTLの長さとの比率)を保ちつつ、制御パルスの周波数成分を高くするように制御するのが望ましい。言い換えると、制御パルスのH期間ΔTHおよびL期間ΔTLがそれぞれ、1V期間内に複数回ずつ設けられるように、制御パルスの周波数を制御するのが望ましい。これにより、動画表示時等における画像の輪郭部での残色(色付き,色割れ)が軽減される。
【0081】
また、例えば図8(B)に示したように、発光制御線駆動回路25は、制御パルスが「H」状態および「L状態」のいずれの状態でもない電位となる期間(図中の期間ΔT0)が設けられるように、制御パルスを制御するようにしてもよい。この「H」状態および「L状態」のいずれの状態でもない電位としては、例えば、接地電位あるいはトランジスタTr3n,Tr3pの閾値電圧の中間値が挙げられる。つまり、発光制御線駆動回路25は、トランジスタTr3n,Tr3pのいずれもがオフ状態に設定される期間が設けられるように、制御パルスを制御するようにしてもよい。このように、制御パルスにおいて、H期間ΔTHおよびL期間ΔTLに加えて上記期間ΔT0を設けるようにすれば、サブピクセル11Rn,11Bnと、サブピクセル11Gpとの双方において非発光(消灯)状態となる期間を設けることができる。なお、更に好ましくは、図中に示したように、サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpのいずれもが非発光(消灯)状態となる期間を、1V期間中に連続的に設けるようにすれば、いわゆる黒挿入効果によって残像を軽減し、動画特性を向上することができる。
【0082】
以上のように本実施の形態では、各画素11に接続された発光制御線DSLに対して制御パルスを印加することによって、発光制御トランジスタTr3n,Tr3pのオン・オフ状態を制御して有機EL素子12の発光動作および消光動作をそれぞれ制御する。また、画素アレイ部13内のサブピクセルがそれぞれ、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル(サブピクセル11Rn,Bn)と、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル(サブピクセル11Gp)とのうちの一方からなっている。これにより、発光制御線DSLを用いて、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gpにおける発光期間を2種類に調整することができる。更に、1つの発光制御線DSLに対して、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Rn,11Bnと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Gpとの双方が共通して接続されているようにしたので、従来と比べて使用する発光制御線の数を削減することができる。よって、低コスト化を図りつつ発光期間を複数種類(2種類)に調整することが可能となる。
【0083】
また、各画素11における開口率の向上による素子信頼性の向上や、発光制御線の配線間のクリアランスの拡大による不良率の低下、駆動回路20の規模の縮小によって有効画面外サイズが縮小されることによるデザイン性の向上、ならびに駆動回路20に外部集積回路を用いる場合には出力数削減によるサイズおよびコストの抑制を図ることが可能となる。
【0084】
更に、各画素11において外光反射を抑制するために開口率を小さくした場合にも、同一の輝度を得るために電流密度を上げるのではなく、サブピクセルごとに発光時間を長くすることによって、同一の輝度を得ることができる。すなわち、外光反射の抑制と素子の劣化の抑制とを両立させることが可能となる。
【0085】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1〜3)について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
(変形例1)
図9(A),(B)は、変形例1に係る画素(画素11−2,11−3)内の各サブピクセルに対する発光制御線DSLの接続構造を模式的に表したものである。本変形例では、以下説明するように、各画素が、赤(R)、青(B)、緑(G)および白(W)の4色に対応する4つのサブピクセルにより構成されている。
【0087】
具体的には、図9(A)に示した画素11―2では、発光制御線以外については図示していないが、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Rnには、信号線DTLr、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。同様に、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Bnには、信号線DTLb、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。一方、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Gpには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。同様に、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Wpには、信号線DTLw、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。
【0088】
すなわち、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gp,11Wpには、各色に対応する信号線DTLr,DTLb,DTLg,DTLwがそれぞれ個別に接続されている一方、走査線WSLおよび発光制御線DSLは共通して接続されている。換言すると、1つの発光制御線DSLに対して、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Rn,11Bnと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Gp,11Wpとの双方が少なくとも1つずつ共通して接続されている。
【0089】
一方、図9(B)に示した画素11―3では、発光制御線以外については図示していないが、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Rnには、信号線DTLr、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。同様に、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Bnには、信号線DTLb、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。また、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Gnには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。一方、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Wpには、信号線DTLw、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。
【0090】
すなわち、各サブピクセル11Rn,11Bn,11Gn,11Wpには、各色に対応する信号線DTLr,DTLb,DTLg,DTLwがそれぞれ個別に接続されている一方、走査線WSLおよび発光制御線DSLは共通して接続されている。換言すると、1つの発光制御線DSLに対して、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いて構成されたサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いて構成されたサブピクセル11Wpとの双方が少なくとも1つずつ共通して接続されている。
【0091】
このような構成の本変形例においても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、低コスト化を図りつつ発光期間を複数種類(2種類)に調整することが可能となる。
【0092】
なお、本変形例においても、同種類のチャネルの発光制御トランジスタを用いるサブピクセルの組み合わせについては、上記実施の形態と同様のことが言える。すなわち、例えば、有機EL素子12R,12G,12B,12W(有機EL素子12Wは図示せず)における発光効率の値が相対的に近いサブピクセル同士では、同種類のチャネル(nチャネルまたはpチャネル)の発光制御トランジスタが共通して用いられているようにするのが望ましい。具体的には、例えば、白色,赤色,緑色に対応するサブピクセル11W,11R,11Gにおいて一の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられると共に、青色に対応するサブピクセル11Bにおいて他の種類のチャネルの発光制御トランジスタが単独で用いられている場合が挙げられる。また、例えば、赤色,緑色,青色に対応するサブピクセル11R,11G,11Bにおいて一の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられると共に、白色に対応するサブピクセル11Wにおいて他の種類のチャネルの発光制御トランジスタが単独で用いられている場合が挙げられる。
【0093】
あるいは、例えば、R,G,B,Wの各色に固有の視感度(視認性)の値が相対的に近いサブピクセル同士で、同種類のチャネル(nチャネルまたはpチャネル)の発光制御トランジスタが共通して用いられているようにするのが望ましい。具体的には、例えば、白色,緑色に対応するサブピクセル11W,11Gにおいて一の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられると共に、赤色,青色に対応するサブピクセル11R,11Bにおいて他の種類のチャネルの発光制御トランジスタが共通して用いられている場合が挙げられる。
【0094】
(変形例2)
図10(A),(B)は、変形例2に係る画素(画素11n,11p,11n−1,11p−1)内の各サブピクセルに対する発光制御線DSL(発光制御線DSLr,DSLb,DSLg,DSLw)の接続構造を模式的に表したものである。
【0095】
図10(A)では、ある1つの水平ライン(例えば奇数ライン;第1の水平ライン)における画素11n内には、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いてなるサブピクセル11Rn,11Bn,11Gnが選択的に設けられている。また、他の1つの水平ライン(例えば偶数ライン;第2の水平ライン)における画素11p内には、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いてなるサブピクセル11Rp,11Bp,11Gpが選択的に設けられている。そして、これらの画素11nおよび画素11pに対して、各色のサブピクセル用の複数(ここでは3つ)の発光制御線DSLr,DSLb,DSLgがそれぞれ、共通して接続されている。具体的には、画素11n内のサブピクセル11Rnと画素11p内のサブピクセル11Rpとに対して、発光制御線DSLrが共通して接続されている。画素11n内のサブピクセル11Bnと画素11p内のサブピクセル11Gpとに対して、発光制御線DSLbが共通して接続されている。画素11n内のサブピクセル11Gnと画素11p内のサブピクセル11Gpとに対して、発光制御線DSLgが共通して接続されている。
【0096】
図10(B)では、ある1つの水平ライン(例えば奇数ライン;第1の水平ライン)における画素11n−1内には、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いてなるサブピクセル11Rn,11Bn,11Gn,11Wnが選択的に設けられている。また、他の1つの水平ライン(例えば偶数ライン;第2の水平ライン)における画素11p−1内には、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いてなるサブピクセル11Rp,11Bp,11Gp,11Wpが選択的に設けられている。そして、これらの画素11n−1および画素11p−1に対して、各色のサブピクセル用の複数(ここでは4つ)の発光制御線DSLr,DSLb,DSLg,DSLwがそれぞれ、共通して接続されている。具体的には、画素11n−1内のサブピクセル11Rnと画素11p−1内のサブピクセル11Rpとに対して、発光制御線DSLrが共通して接続されている。画素11n−1内のサブピクセル11Bnと画素11p−1内のサブピクセル11Gpとに対して、発光制御線DSLbが共通して接続されている。画素11n−1内のサブピクセル11Gnと画素11p−1内のサブピクセル11Gpとに対して、発光制御線DSLgが共通して接続されている。画素11n−1内のサブピクセル11Wnと画素11p−1内のサブピクセル11Wpとに対して、発光制御線DSLwが共通して接続されている。
【0097】
このようにして本変形例では、これまで説明したようなサブピクセルの色に応じてではなく、表示画面上の水平ライン(Hライン)の位置に応じて、nチャネルの発光制御トランジスタTr3nを用いてなるサブピクセルと、pチャネルの発光制御トランジスタTr3pを用いてなるサブピクセルとを選択的に設けるようにしたので、発光期間を調整するための制御線を水平ラインの位置に応じて個別に設けることなく、水平ラインの位置に応じて発光期間のタイミングを複数種類(2種類)に異ならせることができる。よって、例えば奇数フィールドの画像と偶数フィールドの画像とをそれぞれ生成するような場合などに、低コスト化を図りつつ発光タイミングを複数種類(2種類)に調整することが可能となる。
【0098】
(変形例3)
図11(A),(B)は、変形例3に係る画素(画素11n,11p,11n−1,11p−1)内の各サブピクセルに対する発光制御線DSLの接続構造を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態または上記変形例1と、上記変形例2とを組み合わせたものに対応している。
【0099】
図11(A)では、ある1つの水平ライン(例えば奇数ライン;第1の水平ライン)における画素11n内には、サブピクセル11Rn,11Bn,11Gnが選択的に設けられている。また、他の1つの水平ライン(例えば偶数ライン;第2の水平ライン)における画素11p内には、サブピクセル11Rp,11Bp,11Gpが選択的に設けられている。そして、これらの画素11nおよび画素11pに対して、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。具体的には、画素11n内のサブピクセル11Rn,Bn,Gnと、画素11p内のサブピクセル11Rp,11Bp,11Gpとに対して、発光制御線DSLが共通して接続されている。すなわち、ある1つの水平ラインにおける画素11n内の全てのサブピクセル11Rn,11B,11Gnと、他の1つの水平ラインにおける画素11p内の全てのサブピクセル11Rp,11Bp,11Gpとに対して、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。
【0100】
図11(B)では、ある1つの水平ライン(例えば奇数ライン;第1の水平ライン)における画素11n−1内には、サブピクセル11Rn,11Bn,11Gn,11Wnが選択的に設けられている。また、他の1つの水平ライン(例えば偶数ライン;第2の水平ライン)における画素11p−1内には、サブピクセル11Rp,11Bp,11Gp,11Wpが選択的に設けられている。そして、これらの画素11n−1および画素11p−1に対して、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。具体的には、画素11n−1内のサブピクセル11Rn,11Bn,11Gn,11Wnと、画素11p−1内のサブピクセル11Rp,11Bp,11Gp,11Wpとに対して、発光制御線DSLが共通して接続されている。すなわち、ある1つの水平ラインにおける画素11n−1内の全てのサブピクセル11Rn,11B,11Gn,11Wnと、他の1つの水平ラインにおける画素11p−1内の全てのサブピクセル11Rp,11Bp,11Gp,11Wpとに対して、1つの発光制御線DSLが共通して接続されている。
【0101】
このようにして本変形例では、各画素内の全てのサブピクセルに対しても共通の発光制御線DSLを接続させるようにしたので、上記変形例2における効果に加え、発光制御線の配線数を削減して更に低コスト化を図ることが可能となる。
【0102】
<3.モジュールおよび適用例>
続いて、図12〜図17を参照して、上記実施の形態および各変形例で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置1は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、この表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0103】
(モジュール)
表示装置1は、例えば、図12に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板31の一辺に、封止用基板32から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、駆動回路20の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0104】
(適用例1)
図13は、表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が表示装置1により構成されている。
【0105】
(適用例2)
図14は、表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が表示装置1により構成されている。
【0106】
(適用例3)
図15は、表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が表示装置1により構成されている。
【0107】
(適用例4)
図16は、表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が表示装置1により構成されている。
【0108】
(適用例5)
図17は、表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、表示装置1により構成されている。
【0109】
<4.その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0110】
例えば、上記実施の形態等では、表示装置1がアクティブマトリクス型である場合について説明したが、アクティブマトリクス駆動のための画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明したものに限られない。すなわち、必要に応じて、容量素子やトランジスタ等を画素回路14n,14pに追加したり置き換えたりするようにしてもよい。その場合、画素回路14n,14pの変更に応じて、上述した走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および発光制御線駆動回路25の他に、必要な駆動回路を追加するようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態等では、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および発光制御線駆動回路25における駆動動作を、タイミング生成回路22が制御する場合について説明したが、他の回路がこれらの駆動動作を制御するようにしてもよい。また、このような走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および発光制御線駆動回路25に対する制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0112】
更に、上記実施の形態等では、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2がそれぞれ、nチャネルのトランジスタ(例えば、nチャネルMOS型のTFT)により形成されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2がそれぞれ、pチャネルのトランジスタ(例えば、pチャネルMOS型のTFT)により形成されていてもよい。
【0113】
加えて、上記の実施の形態等では、発光素子の一例として有機EL素子を用いた場合について説明したが、本発明は、このような有機EL素子には限られず、例えば無機EL素子、FEDやPDPの発光素子など、その他の発光素子にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…表示装置、10…表示パネル、11,11n,11p,11−1〜11−3,11n−1,11p−1…画素、11Rn,11Gn,11Bn,11Wn,11Rp,11Gp,11Bp,11Wp…サブピクセル、12,12R,12G,12B…有機EL素子、13…画素アレイ部、14n,14p…画素回路、20…駆動回路、20A,21A…映像信号、20B…同期信号、21…映像信号処理回路、22…タイミング生成回路、22A…制御信号、23…走査線駆動回路、24…信号線駆動回路、25…発光制御線駆動回路、WSL…走査線、DTL,DTLr,DTLg,DTLb…信号線、DSL,DSLr,DSLg,DSLb,DSLw…発光制御線、Tr1…書き込みトランジスタ、Tr2…駆動トランジスタ、Tr3n,Tr3p…発光制御トランジスタ、Cs…保持容量素子、Id…電流、Vg…ゲート電位、Vs…ソース電位、Vgs…ゲート−ソース間電圧、VDD…固定電源、VSS…固定電位、ΔTH…H(ハイ)期間、ΔTL…L(ロー)期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、各色用発光素子および発光制御トランジスタをそれぞれ含む複数の各色用サブ画素からなる複数の画素と、
各画素に接続された発光制御線と、
前記発光制御線に対して、前記発光制御トランジスタのオン・オフ状態を制御して前記各色用発光素子の発光動作および消光動作をそれぞれ制御するための制御パルスを印加する発光制御線駆動回路と
を備え、
前記各色用サブ画素が、
第1導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第1の各色用サブ画素と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第2の各色用サブ画素と
のうちの一方からなり、
一の発光制御線に対して、前記第1および第2の各色用サブ画素の双方が、少なくとも1つずつ共通して接続されている
表示装置。
【請求項2】
前記第1導電型の発光制御トランジスタが、n型のトランジスタであり、
前記第2導電型の発光制御トランジスタが、p型のトランジスタである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の各色用サブ画素では、
前記制御パルスのH(ハイ)期間に、前記第1導電型の発光制御トランジスタがオン状態に設定されて前記発光動作がなされると共に、
前記制御パルスのL(ロー)期間に、前記第1導電型の発光制御トランジスタがオフ状態に設定されて前記消光動作がなされ、
前記第2の各色用サブ画素では、
前記制御パルスのL期間に、前記第2導電型の発光制御トランジスタがオン状態に設定されて前記発光動作がなされると共に、
前記制御パルスのH期間に、前記第2導電型の発光制御トランジスタがオフ状態に設定されて前記消光動作がなされる
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光制御線駆動回路は、
前記制御パルスのH期間の長さに応じて、前記第1の各色用サブ画素における発光期間の長さと、前記第2の各色用サブ画素における消光期間の長さとをそれぞれ制御し、
前記制御パルスのL期間の長さに応じて、前記第1の各色用サブ画素における消光期間の長さと、前記第2の各色用サブ画素における発光期間の長さとをそれぞれ制御する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光制御線駆動回路は、前記制御パルスのH期間およびL期間がそれぞれ、1垂直期間内に複数回ずつ設けられるように、前記制御パルスを制御する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光制御線駆動回路は、前記第1導電型および第2導電型の発光制御トランジスタのいずれもがオフ状態に設定される期間が設けられるように、前記制御パルスを制御する
請求項4記載の表示装置
【請求項7】
前記発光制御線駆動回路は、各色用発光素子における発光効率が相対的に高い各色用サブ画素では、各色用発光素子における発光効率が相対的に低い各色用サブ画素と比べて発光期間が短くなるように、前記制御パルスのH期間およびL期間の長さをそれぞれ調整する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
各画素において、
前記第1および第2の各色用サブ画素がそれぞれ設けられると共に、全ての各色用サブ画素に対して1つの発光制御線が共通して接続されている
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
各色用発光素子における発光効率の値が相対的に近い各色用サブ画素同士が、共通して前記第1または第2の各色用サブ画素に設定されている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
各色に固有の視感度の値が相対的に近い各色用サブ画素同士が、共通して前記第1または第2の各色用サブ画素に設定されている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
各画素内に前記第1の各色用サブ画素のみが選択的に設けられてなる第1の水平ラインにおける第1の各色用サブ画素と、
各画素内に前記第2の各色用サブ画素のみが選択的に設けられてなる第2の水平ラインにおける第2の各色用サブ画素と
に対して、1または複数の発光制御線が共通して接続されている
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の水平ラインにおける全ての第1の各色用サブ画素と、前記第2の水平ラインにおける全ての第2の各色用サブ画素とに対して、1つの発光制御線が共通して接続されている
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
各画素が、赤(R),緑(G),青(B)の3色に対応する3つの各色用サブ画素により構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
各画素が、赤(R),緑(G),青(B),白(W)の4色に対応する4つの各色用サブ画素により構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
各画素において、前記複数の各色用サブ画素に共通して接続された走査線と、
各画素において、前記複数の各色用サブ画素に個別に接続された複数の各色用信号線と、
前記走査線に対して、前記複数の画素を順次選択するための選択パルスを印加する走査線駆動回路と、
前記複数の各色用信号線に対して各色用の映像信号電圧を個別に印加することにより、前記走査線駆動回路により選択された画素内の前記複数の各色用サブ画素に対してそれぞれ映像信号の書き込みを行う信号線駆動回路とを備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数の各色用サブ画素はそれぞれ、前記各色用発光素子としての有機電界発光素子と、第1および第2のトランジスタと、前記発光制御トランジスタとしての第3のトランジスタと、保持容量素子とを含み、
前記第1のトランジスタのゲートが前記走査線に接続され、
前記第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が前記各色用信号線に接続されると共に、他方が前記第2のトランジスタのゲートおよび前記保持容量素子の一端に接続され、
前記第3のトランジスタのゲートが前記発光制御線に接続され、
前記第3のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が固定電源に接続されると共に、他方が前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうちの一方に接続され、
前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうちの他方が、前記保持容量素子の他端および前記有機電界発光素子のアノードに接続され、
前記有機電界発光素子のカソードが固定電位に設定されている
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
各々が、各色用発光素子および発光制御トランジスタをそれぞれ含む複数の各色用サブ画素からなる複数の画素と、
各画素に接続された発光制御線と、
前記発光制御線に対して、前記発光制御トランジスタのオン・オフ状態を制御して前記各色用発光素子の発光動作および消光動作をそれぞれ制御するための制御パルスを印加する発光制御線駆動回路と
を有し、
前記各色用サブ画素が、
第1導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第1の各色用サブ画素と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の発光制御トランジスタを用いて構成された第2の各色用サブ画素と
のうちの一方からなり、
一の発光制御線に対して、前記第1および第2の各色用サブ画素の双方が、少なくとも1つずつ共通して接続されている
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−145396(P2011−145396A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5084(P2010−5084)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】