説明

表示装置付きUSBメモリ装置

【課題】パソコンのUSBポートに装着しなくても、USBメモリ装置単独でウイルス感染を検出するとともに、USBメモリ装置に付設した表示装置に、USBメモリ本体内のデータ(フォルダ及びファイル一覧及びスキャンされたデータ等)を表示可能とする。
【解決手段】USBメモリ本体3と、接続端子部2と、スイッチ操作部4と、表示装置5と、電池6とを備え、USBメモリ本体3は、データ格納用メモリ8と、CPU9と、ウイルス対策ソフトが搭載されたメインメモリ10と、入力部11と、出力部12と、バス13とを備え、USBメモリ本体3内のデータについてCPU9によるウイルスの検出の結果を表示し、スイッチ操作部4の操作によりUSBメモリ本体3内のデータをスキャンし、表示装置5に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置付きUSBメモリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、USBメモリ(USBフラッシュメモリ等)が普及し、簡単にデータの記録、交換等に利用されている。また、セキュリティの観点から、USBメモリの筐体表面に指紋センサを設けた構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、USBメモリスティックにおいて、カバーと、パーソナルコンピュータのUSB接続ポートに装着される端子部と、カバーに貼設された電子ペーパとを備え、電子ペーパには、USBメモリスティックの所有者がデータの保存・消去・更新等を行った日付とは異なる接続月日や、使用回数等を確認することにより、所有者以外の他人が所有者の許可無くUSBメモリスティックを使用したか否かの確認を容易ならしめるセキュリティ情報を表示することができるという構成が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、ウイルスチェック機能搭載セキュリティUSBメモリは、すでに市販されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225661号公報
【特許文献2】特開2008−181348号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】EasyDisk・セキャアUSBメモリー、インターネット<URL:http://www.iodata.jp/product/usbmemory/easydisk/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通常、USBメモリの使用者は、複数のUSBメモリを使用していることが多く、あるUSBメモリ内にどのようなフォルダやファイルが記憶されているか、パソコンに装着することなく、簡単に確認したい場合がある。
【0008】
しかしながら、従来のUSBメモリには表示装置等は付設されていないから、USBメモリをパソコンに装着しない限り、USBメモリ内に記憶されたフォルダやファイルの一覧を閲覧したり、所望のファイルの有無等を確認したりすることはできない。
【0009】
また、近年、インターネット等の通信回線の普及によるデータの送受信によって、パソコンのウイルス感染が問題となっている。パソコンについては、ウイルス対策ソフトをインストールすれば、インターネット等からデータ受信の際に、ウイルス対策ソフトにより感染データを排除することができるので、かなりのウイルス感染は防げることができる。
【0010】
しかし、USBメモリについては、例えば、データをUSBメモリで他人から受領したような場合は、前述のとおり、従来のUSBメモリには表示装置等は付設されていないから、USBメモリ内に記憶されたフォルダやファイルの状況を閲覧し、ウイルスに感染されたファイル、ウイルス名、或いはUSBメモリのウイルスの感染の有無自体を確認したりすることはできない。
【0011】
要するに、USBメモリについては、パソコンに装着しないと、USBメモリ内のウイルスの感染状況を確認するようなことはできない。したがって、USBメモリをパソコンのUSBポートに装着してデータを取り込むと、パソコンがウイルスに感染される危険性があり、感染してしまった場合は、それをウイルス対策ソフトで検出することで、その除去等を行わなくてはならない。また、逆に、USBメモリ内のデータの感染に気がつかず、他人にそのUSBメモリを提供してしまうと、信用問題が生じる。
【0012】
上記特許文献1、2記載の発明は、いずれも基本的には、USBメモリに、他人がアクセスできないようにする手段、又は他人のアクセスを検出する手段に関するものであり、USBメモリに表示装置を付設してUSBメモリ内に記憶されたフォルダやファイルの一覧を閲覧可能であることや、ウイルス感染の防止、検出に関する内容は一切開示されていない。
【0013】
また、非特許文献1には、ウイルス対策を掲げるウイルスチェック機能搭載のセキュリティUSBメモリが開示されているが、このUSBメモリでは、あくまでも、パソコンに装着して初めてウイルスチェックを行うことができるものであり、パソコンを一々立ち上げなくてはならず、外出先のために自分のパソコンを利用できない時等には、ウイルスチェック機能は利用できない。
【0014】
要するに、非特許文献1に開示されているものは、パソコンに装着することなく、USBメモリ単独ではウイルスチェック機能を発揮することはできない。また、表示装置が付設されていないので、USBメモリ内に記憶されているフォルダやファイルの一覧を閲覧したりスキャン(本明細書での「スキャン」は、「ウイルススキャン」ではなく、単にフォルダやファイル名を上下方向に走査して確認する意味でのスキャンを意味する。)することはできない。
【0015】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、パソコンにUSBメモリに装着しなくても、USBメモリに付設した表示装置でUSBメモリ内に記憶されたフォルダやファイルの一覧を閲覧でき、またフォルダやファイルをスキャンできるUSBメモリ装置を実現することを課題とするものである。
【0016】
さらに、本発明は、USBメモリ単独でウイルス検出を行い感染の有無を知ることができ、USBメモリ内のデータのウイルス感染による、パソコン、他人等への被害を防止可能とし、トータルとして被害をUSBメモリ内のデータのみの最小限にとどめることが可能な、USBメモリ装置を実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記課題を解決するために、USBメモリ本体と、データ入出力用の接続端子部と、スイッチ操作部と、表示装置と、電池とを備えたUSBメモリ装置であって、前記USBメモリ本体は、データ格納用メモリと、CPUと、メインメモリと、入力部と、出力部と、バスとを備えており、前記接続端子部は、前記入力部と出力部とに接続され、パソコンに装着可能であり、前記メインメモリは、CPUが演算、制御の動作を行うプログラムに加え、ウイルスを検出するウイルス対策ソフトが搭載されており、前記CPUは、ウイルス対策ソフトにより動作してUSBメモリ本体内のデータについてウイルス検出を行い、前記表示装置は、前記出力部に接続されており、前記ウイルス検出の結果、ウイルスに感染されたデータがある場合は、感染の警告を表示装置に表示し、前記スイッチ操作部は、前記入力部に接続されており、該スイッチ操作部の操作により前記USBメモリ本体内のデータを表示装置に表示可能な構成であることを特徴とするUSBメモリ装置を提供する。
【0018】
前記表示装置に表示するUSBメモリ本体内のデータは、フォルダ及びファイルの一覧データ又はスキャンデータ、並びにウイルスに感染したファイル及びウイルス名を含む。
【0019】
前記ウイルス検出の結果、ウイルスを検出した場合は、該ウイルスを駆除し、ウイルスに感染されたファイルを削除することが可能であることが好ましい。
【0020】
前記出力部と接続端子部との間に、データスイッチ部を設け、該データスイッチ部は前記バスに接続されており、前記ウイルスが検出されると、接続端子部がオフ状態となり、接続端子部を介してパソコンへのデータの出力が不可能となる構成であることが好ましい。
【0021】
データ格納用メモリはフラッシュメモリであり、前記表示装置は液晶表示装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るUSBメモリ装置によれば、次のような効果が生じる。
(1)USBメモリ装置に電源電池及び表示装置を設け、USBメモリ装置内のデータ(フォルダ、ファイル等)が一覧でき、スキャン可能な構成としたので、利用者は、パソコンに装着しなくて、USBメモリ装置単独で、USBメモリ装置内のデータの状況を簡単に知ることができる。
【0023】
(2)これによって、パソコンにUSBメモリを接続しないでも、付設の表示装置でUSBメモリ本体内のデータ(フォルダ及びファイル一覧)を閲覧することができ、USBメモリのパソコンへの無駄な抜き差しを回避することが可能となる。例えば、USBメモリ本体内にどのようなデータが記憶されているのか、単に確認するためのみで、パソコンに接続したりする必要がなくなる。
【0024】
(3)そして、利用者は、USBメモリ装置のウイルス感染の状況を、パソコンに装着しなくてもUSBメモリ装置単独で簡単、明瞭に把握でき、感染した場合には感染ファイル及びそのウイルス名を特定して表示し、削除することも可能である。その結果、パソコンへのウイルス感染も防止可能となる。パソコン、他人等への被害を防止可能とでき、トータルとしてのウイルス感染による被害をUSBメモリ装置内のデータのみの最小限にとどめることができる。
【0025】
(4)ウイルスに感染している場合は、必要に応じて、USBメモリ装置からパソコンへのデータ出力を遮断するデータスイッチ部を設けることにより、USBメモリ装置をパソコンへ誤って装着しても、パソコンへのウイルスに感染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係るUSBメモリ装置の外観を示す図であり、(a)は上方から見た平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は下方から見た平面図である。
【図2】図2は、本発明に係るUSBメモリ装置の実施例1の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係るUSBメモリ装置の実施例1の作用を説明するフロー図である。
【図4】図4は、本発明に係るUSBメモリ装置の実施例2の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るUSBメモリ装置を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0028】
図1(a)〜(c)は、本発明に係るUSBメモリ装置の実施例1の外観を示す図である。本発明のUSBメモリ装置1は、その外観は、後記するデータ入出力用の接続端子部2がパソコンのUSBポートに挿入して装着可能であれば、デザイン性を考慮し、スティック形状、カード形状、楕円形状、球状等、どのような形状であってもよい。本実施例1では、図1に示すような、通常のUSBメモリスティックと同様なスティック形状のもので説明する。
【0029】
本実施例1のUSBメモリ装置1は、USBメモリ本体(機能部)3と、データ入出力用の接続端子部(以下、「接続端子部」という。)2と、スイッチ操作部4と、表示装置5と、電池6とを備えている。接続端子部2には、蓋7が着脱可能に装着される。
【0030】
USBメモリ本体3は、図2にブロック図で示すように、データ格納用メモリ8と、CPU9と、メインメモリ10と、入力部11と、出力部12と、バス(データ及びアドレスバス)13と、を備えている。要するに、USBメモリ本体3は、通常のUSBメモリの有するデータ格納用メモリ8に加えて、プログラムで動作するCPU9を有し、コンピュータ機能を備えている。
【0031】
データ格納用メモリ8は、パソコンに対して入出力されるデータを格納するためのメモリであり、通常のUSBメモリが有するフラッシュメモリ(フラッシュROM等)から構成される。メインメモリ10は、CPU9が演算、制御の動作を行うためのプログラムと、ウイルスを検出するウイルス対策ソフトが(常駐ソフトとして)搭載されている。
【0032】
入力部11は、スイッチ操作部4からの操作信号を入力し、またパソコン等からデータを入力する部分である。出力部12は、接続端子部2を介して、格納しているデータをパソコンに出力し、また表示装置5に表示すべきデータを出力する部分である。バス13は、データ格納用メモリ8、CPU9、メインメモリ10、入力部11及び出力部12を互いに接続し、データバス及びアドレスバスとして機能する。
【0033】
接続端子部2は、USBメモリ本体3から突出して形成されており、入力部11及び出力部12と接続されており、パソコンのUSBポートに挿入して、パソコンに装着する端子部である。
【0034】
スイッチ操作部4は、入力部11に接続されており、後記する表示装置へのフォルダやファイルの一覧表示及びそれらのスキャン(本明細書でのスキャンは、「ウイルススキャン」ではなく、単にフォルダやファイル名を上下方向に走査して確認する意味でのスキャンを意味する。)等の操作を行い、また、ウイルス対策ソフトに基づく検出動作を開始させるためのものである。スイッチ操作部4の具体的な操作手段としては、プッシュスイッチ、回転スイッチ、その他のスイッチ等がある。
【0035】
本実施例1では、スイッチ操作部4の操作手段として、プッシュ式のボタンスイッチを採用した構成について説明する。スイッチ操作部4は、電源スイッチボタン14と、切替スイッチボタン15、16と、削除スイッチボタン17とを備えている。
【0036】
電源スイッチボタン14は、電池6から成る電源のオンオフを行う電源の開閉切り替え用のスイッチボタンであり、これを押すと、USBメモリ本体3(CPU9及び表示装置5等)が動作状態となり、表示装置5が点灯して表示動作を開始する。また、ウイルス検出動作を開始する。
【0037】
切替スイッチボタン15、16は、メインメモリ10及びデータ格納用メモリ8に格納されたデータのフォルダ及びファイルをスキャンして、表示装置5に、フォルダ及びファイルの一覧表示、及びスキャン内容を表示するスイッチである。切替スイッチボタン15、16を連続的に二押し(ダブル押し)又は一押して、操作信号を発生し、これを入力部11に送り入力部11は、CPU9を動作させるデジタル信号を発生してCPU9に送る。
【0038】
切替スイッチボタン15、16は、いずれも連続的に二押し毎にフォルダをスキャンするデジタル信号を、また、一押しする毎にファイルをスキャンするデジタル信号を、入力部11で発生させる構成である。このデジタル信号をCPU9は受けて、その演算、制御の動作を行うプログラムに従って、フォルダやファイルをスキャンし、表示装置に表示する。これにより、利用者は、USBメモリ装置1をパソコンに装着することなく、USBメモリ装置1単独で、そのUSBメモリ本体3内に記憶されたフォルダやファイルを確認することができる。また、ウイルスに感染されたファイル及びそのウイルス名を表示することができる。
【0039】
上記切替スイッチボタン15、16のうち、切替スイッチボタン15は、フォルダ及びそのフォルダ内のファイルから成るツリーを、下方にスキャンするように構成されている。また、上記切替スイッチボタン15、16のうち、切替スイッチボタン16は、フォルダ及びそのフォルダ内のファイルから成るツリーを、上方にスキャンするように構成されている。なお、このような操作手段は、いろいろな実施の態様があり、上記切替スイッチボタン15、16の構成に限定されることはない。
【0040】
削除スイッチボタン17は、後記するように、利用者によりスキャンされ選択されたフォルダやファイルを削除し、またウイルスを駆除するための操作用のスイッチである。即ち、フォルダ又はファイルをスキャンして選択し、削除スイッチボタン17を一押しすると、入力部11が、当該選択したフォルダやファイルを削除する指令信号を発生し、CPU9に伝達するものである。
【0041】
これにより、利用者にとって不要となったフォルダやファイル、又は表示装置にウイルス名付きで表示された感染したファイル(「感染ファイル」ともいう。)を削除することができる。なお、削除スイッチボタン17を連続的に二押しすれば、感染ファイル及びそのウイルス名を表示装置に表示の有無にかかわらず、入力部11が、ウイルスを自動的に駆除する信号を発生する。
【0042】
電池6は、USBメモリ本体3及び表示装置5に接続され、マイコン本体及び表示装置5の電源として機能するものであり、ボタン電池6等が使用される。或いは、電池6として、蓄電池でもよい。蓄電池の場合は、USBメモリ装置1をパソコンに装着した際に、パソコンを通じて補給される電源で充電可能な構成とすることが好ましい。
【0043】
表示装置5は、液晶表示装置が使用され、その表示面18がUSBメモリ装置1の平坦部と面一となるように埋設されて取り付けられている。液晶表示装置5は、出力部12に接続され、出力部12からの出力信号を受けて、USBメモリ装置1内に記憶されているフォルダ及びファイルを表示するとともに、ウイルス検出情報(ウイルスの感染の有無、感染ファイル及びそのウイルス名等)を表示する。
【0044】
本発明のUSBメモリ装置1の特徴的な構成は、第1に、メインメモリ10を設け、このメインメモリ10に、CPUが演算、制御の動作を行うプログラムに加えてウイルス検出ソフトが搭載されている構成であり、第2に、表示装置5が付設されており、この表示装置5で、フォルダ及びファイルを表示するとともに、ウイルス検出情報を即座に表示可能とする構成である。
【0045】
メインメモリ10に搭載されたCPUが演算、制御の動作を行うプログラムは、切替スイッチボタン15、16の操作により、CPU9を動作させて、メインメモリ10及びデータ格納用メモリ8に格納されたデータについて、フォルダ及びフォルダ内のファイルを一覧するとともに、それらをスキャンして、表示装置5に表示させる機能を有する。
【0046】
また、メインメモリ10に搭載されたウイルス検出ソフトは、CPU9を動作させて、USBメモリ本体3内のデータについてウイルス検出を行い、ウイルスに感染していれば、表示装置5にウイルスの感染警告を表示させる機能を有するとともに、検出した感染ファイル及びそのウイルス名を表示装置5に表示する機能を有する。
【0047】
そして、ウイルス検出ソフトは、CPU9を動作させて、USBメモリ本体3内のメインメモリ及びデータ格納用メモリ8に格納されたデータについてウイルスの検出(ウイルスチェック)を行い、ウイルスに感染されたファイルがあれば、それにウイルス名、感染のマーク等を付与し、表示装置5に表示する機能を有する。
【0048】
さらに、ウイルス検出ソフトは、USBメモリ本体3に感染したウイルスを駆除する機能を有するとともに、ウイルスに感染したファイルを削除する機能も有する。
【0049】
ところで、インターネット上では、新種のウイルスが時々刻々と生じているので、これに対応して、メインメモリ10に搭載されたウイルス検出ソフトは、ウイルス対策ソフトを利用するパソコンにおける場合と同様に、日頃からバージョンアップされなくてはならない。
【0050】
そのために、パソコンにバージョンアップされたウイルス検出ソフトを取り込み、USBメモリ装置1をパソコンに装着して、バージョンアップされたウイルス検出ソフトをパソコンからUSBメモリ装置1にダウンロードして、メインメモリ10に搭載されたウイルス検出ソフトをバージョンアップする構成とすることが好ましい。
【0051】
(作用)
本発明に係るUSBメモリ装置1の機能をさらに明確にするために、以上の構成から成るUSBメモリ装置1の作用を、主に、CPUが演算、制御の動作を行うためのプログラム及びウイルス検出ソフトによる動作を中心として、図3に示すフロー図を参照して説明する。
【0052】
図3において、電源スイッチボタン14を押すと電池6の電源が入り(電源ON、(ア)参照)、USBメモリ本体3及び表示装置5が動作状態となり、表示装置5が点灯して表示動作を開始する。また、電源が入りウイルス検出ソフトによりCPU9が動作し、ウイルスの検出動作が開始する((イ)参照)。
【0053】
ウイルス検出動作が終了後、フォルダ一覧を表示し、またウイルスを検出した場合は、表示装置5にウイルス感染警告を表示する((ウ)参照)。なお、表示動作の開始直後にフォルダ一覧を表示する構成としてもよい。
【0054】
ウイルス感染警告の表示がない場合((ク)参照)は、電源OFFして終了((サ)参照)してもよいが、この場合は、利用者はパソコンに装着しても安全である。しかし、ウイルス感染警告の表示がでた場合((ケ)参照)は、電源をOFFして終了((シ)参照)してもよいが、この場合は、利用者はパソコンに装着すると危険であるから、装着しない方がよい。
【0055】
ここで、利用者が、USBメモリ本体3に記憶されているフォルダやファイルはどのようなものがあるか確認したい場合、或いはウイルスに感染されたファイル及びそのウイルス名を見たい場合は、次のようにして、フォルダ及びファイルのスキャンをすることができる。
【0056】
即ち、切替スイッチボタン15又は切替スイッチボタン16をダブル押し(連続して二押し)すると、パソコンにUSBメモリ装置1を装着することなく、表示装置5において、フォルダ一覧中のフォルダを次々とスキャンし、見ることができ、選択することができる((エ)参照)。この場合、切替スイッチボタン15をダブル押しすると、フォルダを下方にスキャンして選択することができる。同様に、切替スイッチボタン16をダブル押しすると、フォルダを上方にスキャンして選択することができる。
【0057】
選択されたフォルダについて、切替スイッチボタン15又は切替スイッチボタン16を一押しすると((オ)参照)、パソコンにUSBメモリ装置1を装着することなく、選択したフォルダ内のファイルを一覧表示することができる((カ)参照)。
【0058】
そして、切替スイッチボタン15又は切替スイッチボタン16を一押しする毎に、上記選択したフォルダ内のファイルを、スキャンして見ることができ、選択することができる((キ)参照)。この場合、切替スイッチボタン15を一押しする毎に、選択したフォルダ内のファイルを下方にスキャンして見ることができ、選択することができる。また、切替スイッチボタン16を一押しする毎に、選択したフォルダ内のファイルを上方にスキャンして見ることができ、選択することができる。
【0059】
ウイルスに感染した場合は、ウイルスを表示装置に表示し、感染ファイルにウイルス名や感染を示すマークを付与するようにすれば、上記ファイルのスキャンによって、感染ファイルを特定することが可能となる。
【0060】
以上の操作をして、利用者は、ウイルス感染の有無にかかわらず、USBメモリ装置1の表示装置5による表示及びウイルス検出を終了する場合は、電源をOFFする((サ)、(シ)参照)。この場合、ウイルス感染警告の表示がなく((ク)参照)、利用者が電源をOFFする((サ)参照)場合は、USBメモリ装置1をパソコンに装着しても、ウイルス感染のおそれはないので安全である。
【0061】
また、ウイルス感染があっても、上記のとおり、そのウイルスを駆除し、表示装置5の表示画面中で感染ファイルを選択して削除ボタンを押すことにより、削除し((コ)参照)、電源をOFF((サ)参照)した場合も、USBメモリ装置1をパソコンに装着しても、ウイルス感染のおそれはないので安全である。
【0062】
しかし、感染警告の表示がでた場合((ケ)参照)において、利用者が電源をOFFした((シ)参照)場合は、USBメモリ装置1をパソコンに装着するとパソコンへのウイルス感染の危険があるので、パソコンに装着しない方がよい。
【0063】
このようにして、ウイルスに感染の有無により、パソコンに装着してもよいか、装着しない方がよいか、判断することが可能となる。また、感染した場合でも、利用者はウイルスを駆除し、また感染したファイルを削除することができる((コ)参照)。この結果、パソコンへの感染を完全に防止することができる。
【0064】
(変形例)
上記USBメモリ装置1の実施例1の変形例を以下説明する。上記実施例1において、表示装置5に加えて、ウイルスを検出した場合に警報を発するブザー(図示せず)を付設すれば、利用者により確実にウイルスに感染したことを警告することができる。なお、表示装置5を付設せず、ブザーのみを付設して、ブザーのみで利用者にウイルスに感染したことを警告するような構成としてもよい。
【実施例2】
【0065】
図4は、本発明に係るUSBメモリ装置の実施例2を示すブロック図である。この実施例2は、実施例1とほぼ同じ構成であるが、USBメモリ装置20内のデータについてウイルス感染を検出した場合は、パソコンとのデータの交換を禁止するために、データの入出力をオンオフするデータスイッチ部19をUSBメモリ本体21に設けた構成を特徴とする。
【0066】
実施例2のUSBメモリ装置20について、実施例1と同じ構成は省略し、実施例2の特徴的な構成のみを以下説明する。出力部12と、接続端子部2との間にデータスイッチ部19が設けられている。このデータスイッチ部19は、USBメモリ本体3に設けられ、バス13に接続されている。
【0067】
そして、USBメモリ装置20内に格納されたデータについてウイルスを検出すると、CPU9の動作によりデータスイッチ部19をオフにする信号を発生して、これをバス13を介してデータスイッチ部19に伝達して、データスイッチ部19をオフとし、しかも電源をOFFとしてもデータスイッチ部19をオフ状態に維持するような構成とする。
【0068】
これによって、利用者がUSBメモリ装置1をパソコンに装着しても、パソコンへのデータの出力ができなくなるので、パソコンのウイルスの感染を防止することができる。なお、データスイッチ部19を設けなくても、ウイルス対策ソフトよりCPU9を動作させて、データをパソコンに出力させない機能を行うような構成としてもよい。
【0069】
以上、本発明に係るUSBメモリ装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係るUSBメモリ装置は上記のような構成であるから、UABメモリスティックをはじめ、SDカード等のフラッシュメモリを利用した各種のメモリ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 USBメモリ装置
2 データ入出力用の接続端子部
3 USBメモリ本体(機能部)
4 スイッチ操作部
5 表示装置
6 電池
7 蓋
8 データ格納用メモリ
9 CPU
10 メインメモリ
11 入力部
12 出力部
13 バス(データバス及びアドレスバス)
14 電源スイッチボタン
15、16 切替スイッチボタン
17 削除スイッチボタン
18 表示装置の表示面
19 データスイッチ部
20 USBメモリ装置
21 USBメモリ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBメモリ本体と、データ入出力用の接続端子部と、スイッチ操作部と、表示装置と、電池とを備えたUSBメモリ装置であって、
前記USBメモリ本体は、データ格納用メモリと、CPUと、メインメモリと、入力部と、出力部と、バスとを備えており、
前記接続端子部は、前記入力部と出力部とに接続され、パソコンに装着可能であり、
前記メインメモリは、CPUが演算、制御するプログラムに加え、ウイルスを検出するウイルス対策ソフトが搭載されており、
前記CPUは、ウイルス対策ソフトにより動作してUSBメモリ本体内のデータについてウイルス検出を行い、
前記表示装置は、前記出力部に接続されており、前記ウイルス検出の結果、ウイルスに感染されたデータがある場合は、感染の警告を表示装置に表示し、
前記スイッチ操作部は、前記入力部に接続されており、該スイッチ操作部の操作により前記USBメモリ本体内のデータを表示装置に表示可能な構成であることを特徴とするUSBメモリ装置。
【請求項2】
前記表示装置に表示するUSBメモリ本体内のデータは、フォルダ及びファイルの一覧データ又はスキャンデータ、並びにウイルスに感染したファイル及びウイルス名を含むことを特徴とする請求項1記載のUSBメモリ装置。
【請求項3】
前記ウイルス検出の結果、ウイルスを検出した場合は、該ウイルスを駆除し、ウイルスに感染されたファイルを削除することが可能であることを特徴とする請求項2記載のUSBメモリ装置。
【請求項4】
前記出力部と接続端子部との間に、データスイッチ部を設け、該データスイッチ部は前記バスに接続されており、前記ウイルスが検出されると、接続端子部がオフ状態となり、接続端子部を介してパソコンへのデータの出力が不可能となる構成であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のUSBメモリ装置。
【請求項5】
データ格納用メモリはフラッシュメモリであり、前記表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のUSBメモリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−218082(P2010−218082A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62427(P2009−62427)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】