表示装置及びそれを用いた電子機器
【課題】 本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置、電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明は、第1の発光素子と、第2の発光素子と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、第1の発光素子と、第2の発光素子と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型の発光素子を含む表示装置、テレビジョン装置に関する。
【0002】
また本発明は、自発光型の発光素子を含む表示装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を代表とする発光素子を含む表示装置の開発が進められ、自発光型ゆえの高画質、広視野角、薄型、軽量等の利点を活かして、幅広い利用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−323154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子は、周囲の温度(以下環境温度と表記)により、その抵抗値(内部抵抗値)が変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、温度が通常よりも高くなると抵抗値が低下し、温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。そのため、温度が高くなると電流値が増加して所望の輝度よりも高い輝度となり、温度が低くなると電流値が低下して所望の輝度よりも低い輝度となる。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と温度の関係のグラフ(図10(A)参照)に示す通りである。また、発光素子は、経時的にその電流値が減少する性質を有する。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と時間の関係のグラフ(図10(B)参照)に示す通りである。
【0005】
上述したような発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じたりすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の実情を鑑み、環境温度の変化と経時変化の補償機能を有する表示装置を提供する。本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の出力と経時特性に基づき補正した電源電位を発光素子に供給する電源回路とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の第1の電極の電位と経時特性に基づき補正した電源電位を発光素子に供給する電源回路とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の出力と経時特性に基づき補正した電源電位を供給する電源回路と、複数の画素を含む表示領域とを有する。そして、複数の画素の各々は、発光素子と、画素に対するビデオ信号の入力を制御する第1のトランジスタと、発光素子の発光と非発光を制御する第2のトランジスタと、ビデオ信号を保持する容量素子とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の表示装置は、モニター用発光素子に一定の電流を供給する定電流源を有することを特徴とする。また本発明の表示装置が含む発光素子とモニター用発光素子は、同一の基板上に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の表示装置が含む発光素子の第1の電極と第2の電極の一方は透光性を有し、他方は反射性を有することを特徴とする。また本発明の表示装置が含む発光素子の第1の電極と第2の電極は透光性を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記のいずれかの構成を含む表示装置を有するテレビジョン装置を提供することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1の発光素子と、第2の発光素子(モニター用発光素子に相当)と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路(経時測定回路に相当)と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路(記憶回路に相当)と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路(補正データ作成回路に相当)と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路(電源回路に相当)を有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、第1の発光素子を含む画素を複数含む表示領域と、第2の発光素子(モニター用発光素子に相当)と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路(経時測定回路に相当)と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路(記憶回路に相当)と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路(補正データ作成回路に相当)と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路(電源回路に相当)を有することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記のいずれかの構成を含む表示装置を用いた電子機器を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0016】
また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
【0018】
本発明の表示装置は、発光素子13とモニター用発光素子66とを有する(図1参照)。発光素子13とモニター用発光素子66は、同一の基板20上に設けられている。つまり、同一の作製条件により、同一の工程で作成されたものであり、環境温度の変化と経時変化に対して同じ特性を有する。
【0019】
また、本発明の表示装置は、経時測定回路101、記憶回路102、補正データ作成回路103、電源回路104、定電流源105を有する。これらの回路は、発光素子13とモニター用発光素子66と共に、同一の基板20上に設けられていてもよいし、別の基板上に設けられていてもよい。
【0020】
基板20上に設けられた画素領域40には、複数の画素がマトリクス状に設けられており、複数の画素の各々は発光素子13と少なくとも2つのトランジスタ(図1では駆動用トランジスタ12のみを例示)を含む。発光素子13は、基板20上に設けられたドライバ(ここでは第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43を例示)により、発光と非発光やその輝度が制御される。
【0021】
モニター用発光素子66は、基板20上に1つ又は複数設けられる。1つ又は複数のモニター用発光素子66を含むモニター用回路64は、画素領域40内に設けてもよいし、それ以外の領域に設けてもよい。但し、モニター用回路64は、画像の表示に影響を及ぼさないように、画素領域40以外の領域に設けるとよい。
【0022】
モニター用発光素子66には定電流源105により一定の電流が供給される。この状態で環境温度の変化と経時変化が生じると、モニター用発光素子66自体の抵抗値が変化する。そうすると、モニター用発光素子66の電流値は常に一定なため、モニター用発光素子66の両電極間の電位差が変化する。
【0023】
上記構成の場合、モニター用発光素子66が含む2つの電極のうち、対向電極の電位は変化せず、定電流源105に接続する側の電極(ここでは第1の電極とよぶ)の電位が変化する。変化したモニター用発光素子66の第1の電極の電位は、補正データ作成回路103に出力される。
【0024】
経時測定回路101は、電源回路104が発光素子13を含むパネルに電源を供給していた時間を測定する機能、又は、画素領域40内の各画素に供給するビデオ信号をサンプリングして、発光素子13を含む画素の点灯時間を測定する機能を有する。後者の機能の場合、画素領域40には複数の発光素子13を含む画素が設けられており、各々の発光素子13を含む画素で点灯時間が異なる。従って、各々の発光素子13を含む画素の点灯時間を算出した後、その平均値を用いるとよい。また、複数の発光素子13を含む画素から選別したいくつかの発光素子13を含む画素の点灯時間を算出し、その平均値を用いるとよい。経時測定回路101は、上記のどちらかの機能により得た経過時間に関する情報を含む信号を、補正データ作成回路103に出力する。
【0025】
記憶回路102は、発光素子13の電流電圧特性の経時特性を記憶する回路である。つまり、各経過時間における発光素子13の電流電圧特性を記憶しており、好ましくは1万時間から10万時間分のものを記憶する。記憶回路102は、経時測定回路101から供給される信号に基づき、その経過時間に対応した発光素子13の電流電圧特性のデータを補正データ作成回路103に出力する。
【0026】
補正データ作成回路103は、モニター用発光素子66の出力と、経時測定回路101の出力と、記憶回路102の出力に基づき、発光素子13を動作させる最適な電圧条件を算出する。つまり、所望の輝度が得られる最適な電圧条件を算出する。そして、その最適な電圧条件に関する情報を含む信号を電源回路104に出力する。
【0027】
電源回路104では、補正データ作成回路103から供給された信号に基づき、電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を発光素子13に供給する。
【0028】
なお、発光素子13を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。
【0029】
また、カラー表示を行う場合、赤(R)、緑(G)、青(B)に加えて、白(W)の各色に対応した画素を設けてもよい。この場合、赤、緑、青、白の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。このように、カラー表示を行う場合は、複数の色に対応した画素を設けて、その色に対応したモニター用発光素子66を設けるとよい。
【0030】
上記構成を有する本発明によると、モニター用発光素子66、経時測定回路101及び記憶回路102を用いて、発光素子の電圧条件を最適なものとすることで、温度変化と経時変化の両者に起因した発光素子の電流値の変化による影響を抑制することができる。また、本発明によると、ユーザーによる操作を必要としないため、エンドユーザに渡った後も継続して補正を続けることで、製品としての長寿命化が見込まれる。
【0031】
また、発光素子13とモニター用発光素子のデューティー比は異なるものであった。これは、発光素子13は、映像信号に基づき、発光又は非発光するのに対し、モニター用発光素子66は常に発光しているためである。つまり、ある一定の期間あたり(例えば、1フレーム期間あたり)の発光素子13の総電流量と、モニター用発光素子66の総電流量は異なるものであった。そのため、発光素子13とモニター用発光素子66を比較すると、モニター用発光素子66の方が、経時変化の進行が早かった。従って、モニター用発光素子66のみを用いて経時変化の補償を行うと、経時変化に起因した発光素子13の電流値の変化による影響を抑制することが困難であった。しかし、本発明は、経時測定回路101と記憶回路102を用いることにより、経時変化に起因した発光素子13の電流値の変化による影響を、より正確に抑制することができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明の表示装置には、アナログのビデオ信号、ディジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。但し、ディジタルのビデオ信号を用いる場合、そのビデオ信号が電圧を用いているのか、電流を用いているのかで異なる。つまり、発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがある。ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。ビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の表示装置には、電圧のビデオ信号を用いる。
(実施の形態2)
【0033】
本発明の表示装置の構成の一例について図面を参照して説明する。本発明の表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素10を複数有する(図2(A)参照)。画素10は、発光素子13と、容量素子16と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素10に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ11であり、もう1つは発光素子13の発光と非発光を制御する駆動用トランジスタ12である。スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12は電界効果型トランジスタであり、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3つの端子を有する。
【0034】
スイッチング用トランジスタ11のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は駆動用トランジスタ12のゲート電極に接続する。駆動用トランジスタ12のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)に接続し、他方は発光素子13の画素電極に接続する。発光素子13の対向電極は対向電源18に接続する。容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に設けられる。
【0035】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12の導電型は制約されず、Nチャネル型とPチャネル型のどちらの導電型でもよいが、図示する構成では、スイッチング用トランジスタ11はNチャネル型、駆動用トランジスタ12はPチャネル型の場合を示す。電源線Vxの電位と対向電源18の電位も制約されないが、発光素子13に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0036】
上記構成を有する本発明の表示装置は、画素10に配置するトランジスタの個数が2つである点を特徴とする。上記特徴により、1つの画素10にレイアウトするトランジスタの個数が少なくし、またトランジスタの個数が少ないことから、必然的に配置する配線の本数を少なくすることができるため、高開口率、高精細化、高歩留まりを実現する。また、高開口率が実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、発光素子の電流密度を下げることができる。従って、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。また、駆動電圧を下げることで、発光素子13の信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、本発明の表示装置は、駆動用トランジスタ12を線形領域で動作させることを特徴とする。上記特徴により、飽和領域で動作させる場合と比較すると、発光素子13の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0038】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、多結晶半導体(ポリシリコン)、有機半導体等のいずれもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成するとよい。
【0039】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、タングステン(W)と窒化タングステン(WN、タングステン(W)と窒素(N)の組成比は制約されない)の積層構造や、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)とMo、Moと窒化モリブデン(MoN、モリブデン(Mo)と窒素(N)の組成比は制約されない)の積層構造を採用するとよい。
【0040】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域(ソース電極とドレイン電極)に接続する導電層(ソース配線又はドレイン配線)は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、チタン(Ti)とアルミニウムシリコン(Al−Si、アルミニウム(Al)を主成分とし、シリコン(Si)を含む材料を指す)とTi、MoとAl−SiとMo、MoNとAl−SiとMoNの積層構造を採用するとよい。または、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料を用いて形成するとよい。
【0041】
次に、上記構成を有する画素10のレイアウトを図3に示す。このレイアウトでは、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、容量素子16、発光素子13の画素電極に相当する導電層19を示す。また、このレイアウトのA−B−Cに対応する断面構造を図2(B)に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板20上にスイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、発光素子13、容量素子16が設けられている。
【0042】
発光素子13は、画素電極に相当する導電層19、電界発光層33、対向電極に相当する導電層34の積層体に相当する。導電層19、34の両者が透光性を有する場合、発光素子13は、導電層19に向かう方向と、導電層34に向かう方向に光を発する。つまり発光素子13は両面出射を行う。また、導電層19、34の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、発光素子13は導電層19に向かう方向のみか、導電層34に向かう方向のみに光を発する。つまり発光素子13は上面出射又は下面出射を行う。図2(B)の構造では、発光素子13が下面出射を行う場合の断面構造を示す。
【0043】
容量素子16は、駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に配置され、当該駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持する。容量素子16は、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート電極と同じ層に設けられた導電層22a、22b(以下総称して導電層22と表記)と、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層26と、導電層22と導電層26の間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。
【0044】
また、容量素子16は、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層26と、発光素子13の画素電極と同じ層に設けられた導電層36と、導電層26と導電層36との間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。なお、図3のレイアウトに示すように、導電層35は導電層36に接続する。
【0045】
上記特徴により、容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持するのに十分な容量値を得ることができる。また、容量素子16は、電源線を構成する導電層の下部に設けられており、そのために、容量素子16の配置による開口率の減少は生じない。また、容量素子16に、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート絶縁膜を用いていないため、ゲートリーク電流を減少させることができ、消費電力を削減することができる。
【0046】
また、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層24〜27の厚さは、500nm乃至2000nm、好ましくは500nm乃至1300nmである点を特徴とする。導電層24〜27は、ソース線Sxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、導電層24〜27の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。なお、導電層24〜27を厚くすると配線抵抗を小さくすることができるが、逆に、導電層24〜27を厚くしすぎると、パターン加工を正確に行うことが困難になったり、表面の凸凹が問題になったりする。つまり、導電層24〜27の厚さは、配線抵抗と、パターン加工のし易さと表面の凸凹の影響とを考慮して、上記の範囲内で決定するとよい。
【0047】
また、本発明の表示装置は、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を覆う絶縁層28、29(以下総称して第1の絶縁層30と表記)と、第1の絶縁層30上に設けられた第2の絶縁層31とを有し、第2の絶縁層31上に画素電極に相当する導電層19を有する点を特徴とする。仮に、第2の絶縁層31を設けないとすると、ソース配線又はドレイン配線に相当する導電層24〜27と、導電層19とは同じ層に設けることになる。そうすると、導電層19を設ける領域は、導電層24〜27を設けた領域以外に制約されてしまう。しかしながら、第2の絶縁層31を設けることにより、導電層19を設ける領域のマージンが広がり、高開口率を実現する。この構成は、上面出射の場合に特に有効である。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
【0048】
なお第1の絶縁層30と第2の絶縁層31は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミドやアクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1の絶縁層30と第2の絶縁層31を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。有機材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、置換基に少なくとも水素を含む有機基(例えば、アルキル基、芳香族炭化水素)が用いられるもの、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフルオロ基が用いられるもの、又はシリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に、少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基とが用いられるものである。
【0049】
また、隔壁層32(バンク、土手、又は絶縁層ともよぶ)は、無機材料と有機材料のどちらの材料を用いて形成してもよい。但し、隔壁層32に接するように、発光素子13の電界発光層を設けるため、当該電界発光層にピンホールなどが生じないように、隔壁層32はその曲率半径が連続的に変化する形状を有するとよい。また、隔壁層32は、画素間の輪郭を明確にするために、遮光性を有する材料により形成するとよい。
【0050】
また、本発明の表示装置は、上述した画素10がマトリクス状に複数配置された画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを有する(図4参照)。第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42は、画素領域40を挟んで対向するように配置するか、画素領域40の上下左右の四方のうちの一方に配置する。
【0051】
ソースドライバ43は、パルス出力回路44、ラッチ45及び選択回路46を有する。ラッチ45は第1のラッチ47と第2のラッチ48を有する。選択回路46は、トランジスタ49と、アナログスイッチ50を有する。トランジスタ49とアナログスイッチ50は、ソース線Sxに対応して、各列に設けられる。インバータ51は、WE信号(Write Erase)の反転信号を生成するためのものであり、外部からWE信号の反転信号を供給する場合には設けなくてもよい。
【0052】
トランジスタ49のゲート電極は選択信号線52に接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は電源53に接続する。アナログスイッチ50は、第2のラッチ48とソース線Sxの間に設けられる。つまり、アナログスイッチ50の入力ノードは第2のラッチ48に接続し、出力ノードはソース線Sxに接続する。アナログスイッチ50の2つの制御ノードは、一方は選択信号線52に接続し、他方はインバータ51を介して選択信号線52に接続する。電源53の電位は、画素10が含む駆動用トランジスタ12をオフにする電位であり、駆動用トランジスタ12がNチャネル型の場合は電源53の電位をLレベルとし、駆動用トランジスタ12がPチャネル型の場合は電源53の電位をHレベルとする。
【0053】
第1のゲートドライバ41はパルス出力回路54と選択回路55を有する。第2のゲートドライバ42はパルス出力回路56と選択回路57を有する。選択回路55、57は、選択信号線52に接続する。但し、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57は、インバータ58を介して選択信号線52に接続する。つまり、選択信号線52を介して、選択回路55、57に入力されるWE信号は、互いに電位が反転した関係にある。
【0054】
選択回路55、57の各々はトライステートバッファを有する。トライステートバッファの入力ノードはパルス出力回路54又はパルス出力回路56に接続し、制御ノードは選択信号線52に接続する。トライステートバッファの出力ノードはゲート線Gyに接続する。トライステートバッファは、選択信号線52から伝達される信号がHレベルのときに動作状態となり、Lレベルのときに不定状態となる。
【0055】
ソースドライバ43が含むパルス出力回路44、第1のゲートドライバ41が含むパルス出力回路54、第2のゲートドライバ42が含むパルス出力回路56は、複数のフリップフロップ回路からなるシフトレジスタやデコーダ回路に相当する。パルス出力回路44、54、56として、デコーダ回路を適用すれば、ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができる。ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができると、時間階調方式を適用した場合に生じる疑似輪郭の発生を抑制することができる。
【0056】
なおソースドライバ43の構成は上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42の構成も上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、ソースドライバ43、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42内に保護回路を設けてもよい。
【0057】
また本発明の表示装置は、電源制御回路63を有することを特徴とする(図4参照)。電源制御回路63は、発光素子13に電源を供給する電源回路61と制御回路62を有する。電源回路61は、駆動用トランジスタ12と電源線Vxを介して発光素子13の画素電極に接続する。また、電源回路61は、電源線を介して、発光素子13の対向電極に接続する。
【0058】
発光素子13に順方向バイアスの電圧を印加して、発光素子13に電流を流して発光させるときは、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも高くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位差を設定する。一方、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも低くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位を設定する。このような電源の設定は、制御回路62から電源回路61に所定の信号を供給することにより行われる。
【0059】
本発明は、電源制御回路63を用いて、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加することで、発光素子13の経時劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、発光素子13は、異物の付着や、陽極又は陰極にある微細な突起によるピンホール、電界発光層の不均一性を起因として、陽極と陰極が短絡する初期不良が生じることがある。このような初期不良が発生すると、信号に応じた画素の点灯及び非点灯が行われず、電流のほとんどすべてが陽極と陰極の短絡部を流れて素子全体が消光する現象が生じたり、特定の画素が点灯又は非点灯しない現象が生じたりして、画像の表示が良好に行われないという問題が発生する。しかしながら、本発明の構成によると、発光素子に逆方向バイアスを印加することができるため、陽極と陰極の短絡部のみに局所的に電流を流し、短絡部を発熱させ、その結果、短絡部を酸化又は炭化して絶縁化(高抵抗化)することができる。その結果、初期不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、このような初期不良の絶縁化(高抵抗化)は、出荷前に行うとよい。また、初期不良だけでなく、時間の経過に伴い、新たに陽極と陰極の短絡部が発生することがある。このような不良は進行性不良とも呼ばれるが、本発明の構成によると、定期的に発光素子に逆方向バイアスを印加することができるので、進行性不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加するタイミングには特に制約はない。
【0060】
本発明の表示装置は、上述したように、モニター用発光素子66を含むモニター用回路64と、経時測定回路101、記憶回路102、補正データ作成回路103及び定電流源105等を有するモニター用制御回路65を有することを特徴とする。モニター用回路64やモニター用制御回路65の詳しい構成については、実施の形態1において前述した通りであるため、詳細な説明は省略する。上記構成を有する本発明は、環境温度の変化や経時変化による発光素子の電流値の変動を抑制して、信頼性を向上させることができる。
【0061】
次に、上記構成を有する本発明の表示装置の動作について図面を参照して説明する。まず、ソースドライバの動作について図5(A)を用いて説明する。パルス出力回路44には、クロック信号(以下SCKと表記)、クロック反転信号(以下SCKBと表記)及びスタートパルス(以下SSPと表記)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、第1のラッチ47にサンプリングパルスを出力する。データが入力される第1のラッチ47は、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、1列目から最終列目までビデオ信号を保持する。第2のラッチ48は、ラッチパルスが入力されると、第1のラッチ47に保持されていたビデオ信号を、一斉に第2のラッチ48に転送する。
【0062】
ここで、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における選択回路46の動作について説明する。期間T1、T2は水平走査期間の半分の期間に相当し、期間T1を第1のサブゲート選択期間、期間T2を第2のサブゲート選択期間とよぶ。
【0063】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルであり、トランジスタ49はオン状態、アナログスイッチ50は非導通状態となる。そうすると、複数の信号線S1〜Snは、各列に配置されたトランジスタ49を介して、電源53と電気的に接続する。つまり、複数の信号線S1〜Snは、電源53と同電位になる。
【0064】
このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は同電位となる。つまり、発光素子13が含む両電極間には電流が流れず非発光となる。このように、ビデオ線に入力されるビデオ信号の状態に関係なく、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達されて、当該スイッチング用トランジスタ11がオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が同電位になる動作を消去動作とよぶ。
【0065】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルであり、トランジスタ49はオフ状態、アナログスイッチ50は導通状態となる。そうすると、第2のラッチ48に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に複数の信号線S1〜Snに伝達される。このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、ビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、入力されたビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は、互いに異なる電位又は同電位となる。より詳しくは、駆動用トランジスタ12がオン状態になると、発光素子13が含む2つの電極は互いに異なる電位となり、発光素子13に電流が流れる。つまり、発光素子13は発光する。なお発光素子13に流れる電流は、駆動用トランジスタ12のソースとドレインの間に流れる電流と同じである。
【0066】
一方、駆動用トランジスタ12がオフ状態になると、発光素子13が含む2つの電極は同電位となり、発光素子13に電流は流れない。つまり、発光素子13は非発光となる。このように、ビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12がオン状態又はオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が互いに異なる電位又は同電位となる動作を書き込み動作とよぶ。
【0067】
次に、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42の動作について説明する。パルス出力回路54には、G1CK、G1CKB、G1SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路55に順次パルスを出力する。パルス出力回路56には、G2CK、G2CKB、G2SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路57に順次パルスを出力する。図5(B)には、i行目、j行目、k行目、p行目(i、j、k、pは自然数、1≦i、j、k、p≦n)の各列の選択回路55、57に供給されるパルスの電位を示す。
【0068】
ここで、ソースドライバ43の動作の説明と同様に、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における第1のゲートドライバ41が含む選択回路55と、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57の動作について説明する。なお、図5(B)のタイミングチャートでは、第1のゲートドライバ41から信号が伝達されたゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)の電位をGy41と表記し、第2のゲートドライバ42から信号が伝達されたゲート線の電位をGy42と表記する。そして、言うまでもなく、Gy41とGy42は、同じ配線を示す。
【0069】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、LレベルのWE信号が入力され、選択回路55は不定状態となる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、WE信号が反転したHレベルの信号が入力され、選択回路57は動作状態となる。つまり、選択回路57はHレベルの信号(行選択信号)をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第2のゲートドライバ42によりi行目のゲート線Giが選択される。
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13の両電極の電位は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13が非発光となる消去動作が行われる。
【0070】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、HレベルのWE信号が入力され、選択回路55は動作状態となる。つまり、選択回路55はHレベルの信号をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第1のゲートドライバ41により、i行目のゲート線Giが選択される。
【0071】
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む第2のラッチ48からビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極の電位は、互いに異なる電位又は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13は発光又は非発光となる書き込み動作が行われる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、Lレベルの信号が入力され、不定状態となる。
【0072】
このように、ゲート線Gyは、期間T1(第1のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択され、期間T2(第2のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択される。つまり、ゲート線は、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42により、相補的に制御される。そして、第1及び第2のサブゲート選択期間において、一方で消去動作を行って、他方で書き込み動作を行う。
【0073】
なお第1のゲートドライバ41がi行目のゲート線Giを選択する期間では、第2のゲートドライバ42は動作していない状態(選択回路57が不定状態)、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。同様に、第2のゲートドライバ42がi行目のゲート線Giに行選択信号を伝達する期間は、第1のゲートドライバ41は不定状態、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。
【0074】
また上記のような動作を行う本発明は、発光素子13を強制的にオフにすることができるために、デューティ比の向上を実現する。さらに、発光素子13を強制的にオフにすることができるにも関わらず、容量素子16の電荷を放電するTFTを設ける必要がないために、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。
【0075】
なお、本発明は、ゲート選択期間を2分割する上記の形態に制約されない。ゲート選択期間を3つ以上に分割してもよい。
(実施の形態3)
【0076】
本発明の表示装置に適用することができる画素回路の例について説明する。図6(A)は、図2(A)に示した画素10に、消去用トランジスタ91と、消去用のゲート線Ryを新たに設けた構成の画素回路(3つのTFTが設けられた画素回路)である。消去用トランジスタ91の配置により、強制的に発光素子13に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素10に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比を向上させて、動画の表示は特に良好に行うことができる。
【0077】
図6(B)は、図2(A)に示した画素10の駆動用トランジスタ12を削除して、新たに、トランジスタ92、93と、電源線Vax(x、lは自然数、1≦x≦l)とを設けた画素回路(4つのTFTが設けられた画素回路)である。電源線Vaxは電源94に接続する。本構成では、トランジスタ92のゲート電極を一定の電位に保持した電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ92のゲート電極の電位を固定にし、なおかつ飽和領域で動作させる。また、トランジスタ93は線形領域で動作させて、そのゲート電極には、画素10の点灯又は非点灯の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ93のソースとドレインの間電圧の値は小さいため、トランジスタ93のゲート・ソース間電圧の僅かな変動は、発光素子13に流れる電流値には影響を及ぼさない。従って、発光素子13に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ92により決定される。上記構成を有する本発明は、トランジスタ92の特性バラツキに起因した発光素子13の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。
【0078】
また、上記以外の画素回路として、図2(A)の画素10において、スイッチング用トランジスタ11を削除した画素回路(1つのTFTが設けられた画素回路)を適用してもよい。この場合、パッシブマトリクス型のディスプレイと同じ動作を行う。
【0079】
また、上記以外の画素回路として、図示しないが、カレントミラー回路を適用した画素回路を用いてもよい。
【0080】
また、電界発光層には、一重項励起からの発光を呈する材料(以下一重項励起材料と表記)や、三重項励起からの発光を呈する材料(以下三重項励起材料と表記)を用いる。例えば、赤色に発光する発光素子、緑色に発光する発光素子及び青色に発光する発光素子のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色のものを三重項励起発光材料で形成し、他のものを一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという利点がある。
【0081】
また、赤色のものと緑色のものとを三重項励起発光材料で形成し、青色のものを一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、さらなる低消費電力化を図ることができる。なお三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などがある。また、電界発光層には、低分子材料、中分子材料、高分子材料のいずれの材料を用いてもよい。
【0082】
発光素子は、下から陽極、電界発光層、陰極を順に積層する順積み構造や、下から陰極、電界発光層、陽極を順に積層する逆積み構造のどちらを用いてもよい。発光素子が含む陽極又は陰極には、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)や、ITOに酸化珪素が添加された材料、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)などを用いるとよい。
【0083】
また、発光素子を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。この場合、発光素子の光の出射側に、その発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすると、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。また、フィルターを設けると、従来必要であるとされていた円偏光板等を省略することが可能となり、電界発光層から出射する光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素領域を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0084】
また、電界発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、発光素子の光の出射側に特定の波長の光を透過するフィルターを設けた構成とすれば、カラー表示を行うことができる。
(実施の形態4)
【0085】
発光素子の経時変化の進行の度合いは、初期に大きく、時間と共に段々少なくなっていく。従って、発光素子を用いた表示装置では、発光素子の輝度調整前(例えば出荷前)に、全ての発光素子の初期の経時変化を生じさせてしまう初期エージング処理を行うとよい。
【0086】
このような初期エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じさせておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、経時変化を起因とした焼き付きなどの現象を軽減することができる。
【0087】
なお、初期エージング処理は、発光素子をある期間だけ発光させることで行うが、好ましくは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時間で生じることになる。
【0088】
図12(B)は、二次電池9604を搭載した電子機器9602であり、画素部が発光素子で形成された表示装置9603が装着されている。表示装置9603には、実施の形態1〜3で示すように、モニター用発光素子の出力と経時特性と経時測定回路の出力に基づき補正した電源電位を供給する電源回路を備えている。この電子機器9602を充電器にセットして充電をするときに、全ての画素を点灯又は点滅させる信号処理、標準画像(例えば待ち受け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングすることにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅させる処理などを行うとよい(図12(B)参照)。上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低減を目的として行う上記の処理は、フラッシュアウト処理とよぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当該処理後に、焼き付きが生じたとしても、その焼き付いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階調以下に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、画像をなるべく固定化しないようにする処理を行うとよい。このように動作させることのできる電子機器9602の態様としては、携帯電話機、コンピュータ、電子手帳、電子書籍などがある。また、他の態様としては、図12(A)で示すように、映像や文字図形を表示する電子機器9600にも適用することができる。この電子機器9600の表示部9601は実施の形態1〜3で説明した表示装置を適用している(図12(A)参照)。
【0089】
また、経時変化の補償機能には限界があり、ある期間を過ぎたら、経時変化を補正することができなくなる。この限界とは、例えば、本発明では、抵抗値の増加を、電源電位を増加させることで、補償しているが、表示装置に搭載させた電源ICがその増加に対応できない場合などである。その場合、表示装置の表示部9601に「長くご使用ありがとうございました 表示限界です」という表示を行うとよい(図12(A)参照)。
(実施の形態5)
【0090】
本発明の表示装置の一形態である、画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを搭載したパネルについて説明する。基板20上には、発光素子13を含む画素を複数有する画素領域40、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42、ソースドライバ43及び接続フィルム407が設けられる(図7(A)参照)。接続フィルム407は外部回路(ICチップ)と接続する。
【0091】
図7(B)は、図7(A)に示すパネルのA−Bにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、ソースドライバ43に設けられたCMOS回路410を示す。
【0092】
画素領域40と第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子13は、該シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子13を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板20上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
【0093】
また、図11は、図7(A)に示すパネルのC−Dにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、第1のゲートドライバ41に設けられたCMOS回路412、第2のゲートドライバ42に設けられたCMOS回路411を示す。図示するパネルでは、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42と重なるようにシール材408が設けられている点を特徴とする。上記特徴により、狭額縁化を実現する。
【0094】
なお上記の図7、11に示す構成では、発光素子13の画素電極は透光性を有し、発光素子13の対向電極は遮光性を有する。従って、発光素子13は下面出射を行う。
【0095】
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極は遮光性を有し、発光素子13の対向電極は透光性を有する場合がある(図8(A)参照)。この場合、発光素子13は上面出射を行う。
【0096】
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極と、発光素子13の対向電極の両者が透光性を有する場合がある(図8(B)参照)。この場合、発光素子13は両面出射を行う。
【0097】
下面出射と両面出射を行う場合は、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域に接続する導電層(ソース配線又はドレイン配線)は、アルミニウム(Al)と、モリブデン(Mo)等の反射率の低い材料とを組み合わせたもので形成するとよい。具体的には、MoとAl−SiとMo、MoNとAl−SiとMoN等の積層構造を採用するとよい。そうすれば、発光素子から発せられた光がソース配線又はドレイン配線に反射することを防止することができ、光を外部に取り出すことができる。本発明の表示装置には、下面出射、上面出射、両面出射のいずれの構成を採用してもよい。
【0098】
なお、画素領域40は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたTFTにより構成し、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板20上に貼り合わせたり、基板20に接続する接続フィルム407に貼り合わせたりしてもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
(実施の形態6)
【0099】
発光素子を含む画素領域を備えた電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図9を参照して説明する。
【0100】
携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる(図9(A)参照)。表示部9202は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0101】
デジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる(図9(B)参照)。表示部9701は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0102】
携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる(図9(C)参照)。表示部9102は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0103】
携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる(図9(D)参照)。表示部9302は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。このようなテレビジョン装置は携帯電話などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広く適用することができる。
【0104】
携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる(図9(E)参照)。表示部9402は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0105】
テレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる(図9(F)参照)。表示部9502は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0106】
上記に挙げた電子機器において、二次電池を用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時間を長持ちさせることができ、二次電池を充電する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図3】本発明の表示装置のレイアウトを説明する図。
【図4】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図5】本発明の表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートを示す図。
【図6】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図7】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図8】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図9】本発明の表示装置を用いた電子機器の一例を説明する図。
【図10】発光素子の温度特性と経時特性を示すグラフ。
【図11】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図12】本発明の表示装置の使用形態を説明する図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型の発光素子を含む表示装置、テレビジョン装置に関する。
【0002】
また本発明は、自発光型の発光素子を含む表示装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を代表とする発光素子を含む表示装置の開発が進められ、自発光型ゆえの高画質、広視野角、薄型、軽量等の利点を活かして、幅広い利用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−323154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子は、周囲の温度(以下環境温度と表記)により、その抵抗値(内部抵抗値)が変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、温度が通常よりも高くなると抵抗値が低下し、温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。そのため、温度が高くなると電流値が増加して所望の輝度よりも高い輝度となり、温度が低くなると電流値が低下して所望の輝度よりも低い輝度となる。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と温度の関係のグラフ(図10(A)参照)に示す通りである。また、発光素子は、経時的にその電流値が減少する性質を有する。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と時間の関係のグラフ(図10(B)参照)に示す通りである。
【0005】
上述したような発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じたりすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の実情を鑑み、環境温度の変化と経時変化の補償機能を有する表示装置を提供する。本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の出力と経時特性に基づき補正した電源電位を発光素子に供給する電源回路とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の第1の電極の電位と経時特性に基づき補正した電源電位を発光素子に供給する電源回路とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の表示装置は、発光素子と、モニター用発光素子と、発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する記憶回路と、モニター用発光素子の出力と経時特性に基づき補正した電源電位を供給する電源回路と、複数の画素を含む表示領域とを有する。そして、複数の画素の各々は、発光素子と、画素に対するビデオ信号の入力を制御する第1のトランジスタと、発光素子の発光と非発光を制御する第2のトランジスタと、ビデオ信号を保持する容量素子とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の表示装置は、モニター用発光素子に一定の電流を供給する定電流源を有することを特徴とする。また本発明の表示装置が含む発光素子とモニター用発光素子は、同一の基板上に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の表示装置が含む発光素子の第1の電極と第2の電極の一方は透光性を有し、他方は反射性を有することを特徴とする。また本発明の表示装置が含む発光素子の第1の電極と第2の電極は透光性を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記のいずれかの構成を含む表示装置を有するテレビジョン装置を提供することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1の発光素子と、第2の発光素子(モニター用発光素子に相当)と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路(経時測定回路に相当)と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路(記憶回路に相当)と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路(補正データ作成回路に相当)と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路(電源回路に相当)を有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、第1の発光素子を含む画素を複数含む表示領域と、第2の発光素子(モニター用発光素子に相当)と、第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路(経時測定回路に相当)と、第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路(記憶回路に相当)と、第2の発光素子の出力、第1の回路の出力及び経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路(補正データ作成回路に相当)と、補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を第1の発光素子に供給する第4の回路(電源回路に相当)を有することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記のいずれかの構成を含む表示装置を用いた電子機器を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0016】
また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
【0018】
本発明の表示装置は、発光素子13とモニター用発光素子66とを有する(図1参照)。発光素子13とモニター用発光素子66は、同一の基板20上に設けられている。つまり、同一の作製条件により、同一の工程で作成されたものであり、環境温度の変化と経時変化に対して同じ特性を有する。
【0019】
また、本発明の表示装置は、経時測定回路101、記憶回路102、補正データ作成回路103、電源回路104、定電流源105を有する。これらの回路は、発光素子13とモニター用発光素子66と共に、同一の基板20上に設けられていてもよいし、別の基板上に設けられていてもよい。
【0020】
基板20上に設けられた画素領域40には、複数の画素がマトリクス状に設けられており、複数の画素の各々は発光素子13と少なくとも2つのトランジスタ(図1では駆動用トランジスタ12のみを例示)を含む。発光素子13は、基板20上に設けられたドライバ(ここでは第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43を例示)により、発光と非発光やその輝度が制御される。
【0021】
モニター用発光素子66は、基板20上に1つ又は複数設けられる。1つ又は複数のモニター用発光素子66を含むモニター用回路64は、画素領域40内に設けてもよいし、それ以外の領域に設けてもよい。但し、モニター用回路64は、画像の表示に影響を及ぼさないように、画素領域40以外の領域に設けるとよい。
【0022】
モニター用発光素子66には定電流源105により一定の電流が供給される。この状態で環境温度の変化と経時変化が生じると、モニター用発光素子66自体の抵抗値が変化する。そうすると、モニター用発光素子66の電流値は常に一定なため、モニター用発光素子66の両電極間の電位差が変化する。
【0023】
上記構成の場合、モニター用発光素子66が含む2つの電極のうち、対向電極の電位は変化せず、定電流源105に接続する側の電極(ここでは第1の電極とよぶ)の電位が変化する。変化したモニター用発光素子66の第1の電極の電位は、補正データ作成回路103に出力される。
【0024】
経時測定回路101は、電源回路104が発光素子13を含むパネルに電源を供給していた時間を測定する機能、又は、画素領域40内の各画素に供給するビデオ信号をサンプリングして、発光素子13を含む画素の点灯時間を測定する機能を有する。後者の機能の場合、画素領域40には複数の発光素子13を含む画素が設けられており、各々の発光素子13を含む画素で点灯時間が異なる。従って、各々の発光素子13を含む画素の点灯時間を算出した後、その平均値を用いるとよい。また、複数の発光素子13を含む画素から選別したいくつかの発光素子13を含む画素の点灯時間を算出し、その平均値を用いるとよい。経時測定回路101は、上記のどちらかの機能により得た経過時間に関する情報を含む信号を、補正データ作成回路103に出力する。
【0025】
記憶回路102は、発光素子13の電流電圧特性の経時特性を記憶する回路である。つまり、各経過時間における発光素子13の電流電圧特性を記憶しており、好ましくは1万時間から10万時間分のものを記憶する。記憶回路102は、経時測定回路101から供給される信号に基づき、その経過時間に対応した発光素子13の電流電圧特性のデータを補正データ作成回路103に出力する。
【0026】
補正データ作成回路103は、モニター用発光素子66の出力と、経時測定回路101の出力と、記憶回路102の出力に基づき、発光素子13を動作させる最適な電圧条件を算出する。つまり、所望の輝度が得られる最適な電圧条件を算出する。そして、その最適な電圧条件に関する情報を含む信号を電源回路104に出力する。
【0027】
電源回路104では、補正データ作成回路103から供給された信号に基づき、電源電位を補正し、かつ、補正した電源電位を発光素子13に供給する。
【0028】
なお、発光素子13を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。
【0029】
また、カラー表示を行う場合、赤(R)、緑(G)、青(B)に加えて、白(W)の各色に対応した画素を設けてもよい。この場合、赤、緑、青、白の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。このように、カラー表示を行う場合は、複数の色に対応した画素を設けて、その色に対応したモニター用発光素子66を設けるとよい。
【0030】
上記構成を有する本発明によると、モニター用発光素子66、経時測定回路101及び記憶回路102を用いて、発光素子の電圧条件を最適なものとすることで、温度変化と経時変化の両者に起因した発光素子の電流値の変化による影響を抑制することができる。また、本発明によると、ユーザーによる操作を必要としないため、エンドユーザに渡った後も継続して補正を続けることで、製品としての長寿命化が見込まれる。
【0031】
また、発光素子13とモニター用発光素子のデューティー比は異なるものであった。これは、発光素子13は、映像信号に基づき、発光又は非発光するのに対し、モニター用発光素子66は常に発光しているためである。つまり、ある一定の期間あたり(例えば、1フレーム期間あたり)の発光素子13の総電流量と、モニター用発光素子66の総電流量は異なるものであった。そのため、発光素子13とモニター用発光素子66を比較すると、モニター用発光素子66の方が、経時変化の進行が早かった。従って、モニター用発光素子66のみを用いて経時変化の補償を行うと、経時変化に起因した発光素子13の電流値の変化による影響を抑制することが困難であった。しかし、本発明は、経時測定回路101と記憶回路102を用いることにより、経時変化に起因した発光素子13の電流値の変化による影響を、より正確に抑制することができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明の表示装置には、アナログのビデオ信号、ディジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。但し、ディジタルのビデオ信号を用いる場合、そのビデオ信号が電圧を用いているのか、電流を用いているのかで異なる。つまり、発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがある。ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。ビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の表示装置には、電圧のビデオ信号を用いる。
(実施の形態2)
【0033】
本発明の表示装置の構成の一例について図面を参照して説明する。本発明の表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素10を複数有する(図2(A)参照)。画素10は、発光素子13と、容量素子16と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素10に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ11であり、もう1つは発光素子13の発光と非発光を制御する駆動用トランジスタ12である。スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12は電界効果型トランジスタであり、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3つの端子を有する。
【0034】
スイッチング用トランジスタ11のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は駆動用トランジスタ12のゲート電極に接続する。駆動用トランジスタ12のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)に接続し、他方は発光素子13の画素電極に接続する。発光素子13の対向電極は対向電源18に接続する。容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に設けられる。
【0035】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12の導電型は制約されず、Nチャネル型とPチャネル型のどちらの導電型でもよいが、図示する構成では、スイッチング用トランジスタ11はNチャネル型、駆動用トランジスタ12はPチャネル型の場合を示す。電源線Vxの電位と対向電源18の電位も制約されないが、発光素子13に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0036】
上記構成を有する本発明の表示装置は、画素10に配置するトランジスタの個数が2つである点を特徴とする。上記特徴により、1つの画素10にレイアウトするトランジスタの個数が少なくし、またトランジスタの個数が少ないことから、必然的に配置する配線の本数を少なくすることができるため、高開口率、高精細化、高歩留まりを実現する。また、高開口率が実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、発光素子の電流密度を下げることができる。従って、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。また、駆動電圧を下げることで、発光素子13の信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、本発明の表示装置は、駆動用トランジスタ12を線形領域で動作させることを特徴とする。上記特徴により、飽和領域で動作させる場合と比較すると、発光素子13の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0038】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、多結晶半導体(ポリシリコン)、有機半導体等のいずれもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成するとよい。
【0039】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、タングステン(W)と窒化タングステン(WN、タングステン(W)と窒素(N)の組成比は制約されない)の積層構造や、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)とMo、Moと窒化モリブデン(MoN、モリブデン(Mo)と窒素(N)の組成比は制約されない)の積層構造を採用するとよい。
【0040】
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域(ソース電極とドレイン電極)に接続する導電層(ソース配線又はドレイン配線)は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、チタン(Ti)とアルミニウムシリコン(Al−Si、アルミニウム(Al)を主成分とし、シリコン(Si)を含む材料を指す)とTi、MoとAl−SiとMo、MoNとAl−SiとMoNの積層構造を採用するとよい。または、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料を用いて形成するとよい。
【0041】
次に、上記構成を有する画素10のレイアウトを図3に示す。このレイアウトでは、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、容量素子16、発光素子13の画素電極に相当する導電層19を示す。また、このレイアウトのA−B−Cに対応する断面構造を図2(B)に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板20上にスイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、発光素子13、容量素子16が設けられている。
【0042】
発光素子13は、画素電極に相当する導電層19、電界発光層33、対向電極に相当する導電層34の積層体に相当する。導電層19、34の両者が透光性を有する場合、発光素子13は、導電層19に向かう方向と、導電層34に向かう方向に光を発する。つまり発光素子13は両面出射を行う。また、導電層19、34の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、発光素子13は導電層19に向かう方向のみか、導電層34に向かう方向のみに光を発する。つまり発光素子13は上面出射又は下面出射を行う。図2(B)の構造では、発光素子13が下面出射を行う場合の断面構造を示す。
【0043】
容量素子16は、駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に配置され、当該駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持する。容量素子16は、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート電極と同じ層に設けられた導電層22a、22b(以下総称して導電層22と表記)と、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層26と、導電層22と導電層26の間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。
【0044】
また、容量素子16は、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層26と、発光素子13の画素電極と同じ層に設けられた導電層36と、導電層26と導電層36との間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。なお、図3のレイアウトに示すように、導電層35は導電層36に接続する。
【0045】
上記特徴により、容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持するのに十分な容量値を得ることができる。また、容量素子16は、電源線を構成する導電層の下部に設けられており、そのために、容量素子16の配置による開口率の減少は生じない。また、容量素子16に、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート絶縁膜を用いていないため、ゲートリーク電流を減少させることができ、消費電力を削減することができる。
【0046】
また、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層24〜27の厚さは、500nm乃至2000nm、好ましくは500nm乃至1300nmである点を特徴とする。導電層24〜27は、ソース線Sxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、導電層24〜27の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。なお、導電層24〜27を厚くすると配線抵抗を小さくすることができるが、逆に、導電層24〜27を厚くしすぎると、パターン加工を正確に行うことが困難になったり、表面の凸凹が問題になったりする。つまり、導電層24〜27の厚さは、配線抵抗と、パターン加工のし易さと表面の凸凹の影響とを考慮して、上記の範囲内で決定するとよい。
【0047】
また、本発明の表示装置は、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を覆う絶縁層28、29(以下総称して第1の絶縁層30と表記)と、第1の絶縁層30上に設けられた第2の絶縁層31とを有し、第2の絶縁層31上に画素電極に相当する導電層19を有する点を特徴とする。仮に、第2の絶縁層31を設けないとすると、ソース配線又はドレイン配線に相当する導電層24〜27と、導電層19とは同じ層に設けることになる。そうすると、導電層19を設ける領域は、導電層24〜27を設けた領域以外に制約されてしまう。しかしながら、第2の絶縁層31を設けることにより、導電層19を設ける領域のマージンが広がり、高開口率を実現する。この構成は、上面出射の場合に特に有効である。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
【0048】
なお第1の絶縁層30と第2の絶縁層31は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミドやアクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1の絶縁層30と第2の絶縁層31を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。有機材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、置換基に少なくとも水素を含む有機基(例えば、アルキル基、芳香族炭化水素)が用いられるもの、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフルオロ基が用いられるもの、又はシリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に、少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基とが用いられるものである。
【0049】
また、隔壁層32(バンク、土手、又は絶縁層ともよぶ)は、無機材料と有機材料のどちらの材料を用いて形成してもよい。但し、隔壁層32に接するように、発光素子13の電界発光層を設けるため、当該電界発光層にピンホールなどが生じないように、隔壁層32はその曲率半径が連続的に変化する形状を有するとよい。また、隔壁層32は、画素間の輪郭を明確にするために、遮光性を有する材料により形成するとよい。
【0050】
また、本発明の表示装置は、上述した画素10がマトリクス状に複数配置された画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを有する(図4参照)。第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42は、画素領域40を挟んで対向するように配置するか、画素領域40の上下左右の四方のうちの一方に配置する。
【0051】
ソースドライバ43は、パルス出力回路44、ラッチ45及び選択回路46を有する。ラッチ45は第1のラッチ47と第2のラッチ48を有する。選択回路46は、トランジスタ49と、アナログスイッチ50を有する。トランジスタ49とアナログスイッチ50は、ソース線Sxに対応して、各列に設けられる。インバータ51は、WE信号(Write Erase)の反転信号を生成するためのものであり、外部からWE信号の反転信号を供給する場合には設けなくてもよい。
【0052】
トランジスタ49のゲート電極は選択信号線52に接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は電源53に接続する。アナログスイッチ50は、第2のラッチ48とソース線Sxの間に設けられる。つまり、アナログスイッチ50の入力ノードは第2のラッチ48に接続し、出力ノードはソース線Sxに接続する。アナログスイッチ50の2つの制御ノードは、一方は選択信号線52に接続し、他方はインバータ51を介して選択信号線52に接続する。電源53の電位は、画素10が含む駆動用トランジスタ12をオフにする電位であり、駆動用トランジスタ12がNチャネル型の場合は電源53の電位をLレベルとし、駆動用トランジスタ12がPチャネル型の場合は電源53の電位をHレベルとする。
【0053】
第1のゲートドライバ41はパルス出力回路54と選択回路55を有する。第2のゲートドライバ42はパルス出力回路56と選択回路57を有する。選択回路55、57は、選択信号線52に接続する。但し、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57は、インバータ58を介して選択信号線52に接続する。つまり、選択信号線52を介して、選択回路55、57に入力されるWE信号は、互いに電位が反転した関係にある。
【0054】
選択回路55、57の各々はトライステートバッファを有する。トライステートバッファの入力ノードはパルス出力回路54又はパルス出力回路56に接続し、制御ノードは選択信号線52に接続する。トライステートバッファの出力ノードはゲート線Gyに接続する。トライステートバッファは、選択信号線52から伝達される信号がHレベルのときに動作状態となり、Lレベルのときに不定状態となる。
【0055】
ソースドライバ43が含むパルス出力回路44、第1のゲートドライバ41が含むパルス出力回路54、第2のゲートドライバ42が含むパルス出力回路56は、複数のフリップフロップ回路からなるシフトレジスタやデコーダ回路に相当する。パルス出力回路44、54、56として、デコーダ回路を適用すれば、ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができる。ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができると、時間階調方式を適用した場合に生じる疑似輪郭の発生を抑制することができる。
【0056】
なおソースドライバ43の構成は上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42の構成も上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、ソースドライバ43、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42内に保護回路を設けてもよい。
【0057】
また本発明の表示装置は、電源制御回路63を有することを特徴とする(図4参照)。電源制御回路63は、発光素子13に電源を供給する電源回路61と制御回路62を有する。電源回路61は、駆動用トランジスタ12と電源線Vxを介して発光素子13の画素電極に接続する。また、電源回路61は、電源線を介して、発光素子13の対向電極に接続する。
【0058】
発光素子13に順方向バイアスの電圧を印加して、発光素子13に電流を流して発光させるときは、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも高くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位差を設定する。一方、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも低くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位を設定する。このような電源の設定は、制御回路62から電源回路61に所定の信号を供給することにより行われる。
【0059】
本発明は、電源制御回路63を用いて、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加することで、発光素子13の経時劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、発光素子13は、異物の付着や、陽極又は陰極にある微細な突起によるピンホール、電界発光層の不均一性を起因として、陽極と陰極が短絡する初期不良が生じることがある。このような初期不良が発生すると、信号に応じた画素の点灯及び非点灯が行われず、電流のほとんどすべてが陽極と陰極の短絡部を流れて素子全体が消光する現象が生じたり、特定の画素が点灯又は非点灯しない現象が生じたりして、画像の表示が良好に行われないという問題が発生する。しかしながら、本発明の構成によると、発光素子に逆方向バイアスを印加することができるため、陽極と陰極の短絡部のみに局所的に電流を流し、短絡部を発熱させ、その結果、短絡部を酸化又は炭化して絶縁化(高抵抗化)することができる。その結果、初期不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、このような初期不良の絶縁化(高抵抗化)は、出荷前に行うとよい。また、初期不良だけでなく、時間の経過に伴い、新たに陽極と陰極の短絡部が発生することがある。このような不良は進行性不良とも呼ばれるが、本発明の構成によると、定期的に発光素子に逆方向バイアスを印加することができるので、進行性不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加するタイミングには特に制約はない。
【0060】
本発明の表示装置は、上述したように、モニター用発光素子66を含むモニター用回路64と、経時測定回路101、記憶回路102、補正データ作成回路103及び定電流源105等を有するモニター用制御回路65を有することを特徴とする。モニター用回路64やモニター用制御回路65の詳しい構成については、実施の形態1において前述した通りであるため、詳細な説明は省略する。上記構成を有する本発明は、環境温度の変化や経時変化による発光素子の電流値の変動を抑制して、信頼性を向上させることができる。
【0061】
次に、上記構成を有する本発明の表示装置の動作について図面を参照して説明する。まず、ソースドライバの動作について図5(A)を用いて説明する。パルス出力回路44には、クロック信号(以下SCKと表記)、クロック反転信号(以下SCKBと表記)及びスタートパルス(以下SSPと表記)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、第1のラッチ47にサンプリングパルスを出力する。データが入力される第1のラッチ47は、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、1列目から最終列目までビデオ信号を保持する。第2のラッチ48は、ラッチパルスが入力されると、第1のラッチ47に保持されていたビデオ信号を、一斉に第2のラッチ48に転送する。
【0062】
ここで、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における選択回路46の動作について説明する。期間T1、T2は水平走査期間の半分の期間に相当し、期間T1を第1のサブゲート選択期間、期間T2を第2のサブゲート選択期間とよぶ。
【0063】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルであり、トランジスタ49はオン状態、アナログスイッチ50は非導通状態となる。そうすると、複数の信号線S1〜Snは、各列に配置されたトランジスタ49を介して、電源53と電気的に接続する。つまり、複数の信号線S1〜Snは、電源53と同電位になる。
【0064】
このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は同電位となる。つまり、発光素子13が含む両電極間には電流が流れず非発光となる。このように、ビデオ線に入力されるビデオ信号の状態に関係なく、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達されて、当該スイッチング用トランジスタ11がオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が同電位になる動作を消去動作とよぶ。
【0065】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルであり、トランジスタ49はオフ状態、アナログスイッチ50は導通状態となる。そうすると、第2のラッチ48に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に複数の信号線S1〜Snに伝達される。このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、ビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、入力されたビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は、互いに異なる電位又は同電位となる。より詳しくは、駆動用トランジスタ12がオン状態になると、発光素子13が含む2つの電極は互いに異なる電位となり、発光素子13に電流が流れる。つまり、発光素子13は発光する。なお発光素子13に流れる電流は、駆動用トランジスタ12のソースとドレインの間に流れる電流と同じである。
【0066】
一方、駆動用トランジスタ12がオフ状態になると、発光素子13が含む2つの電極は同電位となり、発光素子13に電流は流れない。つまり、発光素子13は非発光となる。このように、ビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12がオン状態又はオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が互いに異なる電位又は同電位となる動作を書き込み動作とよぶ。
【0067】
次に、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42の動作について説明する。パルス出力回路54には、G1CK、G1CKB、G1SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路55に順次パルスを出力する。パルス出力回路56には、G2CK、G2CKB、G2SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路57に順次パルスを出力する。図5(B)には、i行目、j行目、k行目、p行目(i、j、k、pは自然数、1≦i、j、k、p≦n)の各列の選択回路55、57に供給されるパルスの電位を示す。
【0068】
ここで、ソースドライバ43の動作の説明と同様に、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における第1のゲートドライバ41が含む選択回路55と、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57の動作について説明する。なお、図5(B)のタイミングチャートでは、第1のゲートドライバ41から信号が伝達されたゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)の電位をGy41と表記し、第2のゲートドライバ42から信号が伝達されたゲート線の電位をGy42と表記する。そして、言うまでもなく、Gy41とGy42は、同じ配線を示す。
【0069】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、LレベルのWE信号が入力され、選択回路55は不定状態となる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、WE信号が反転したHレベルの信号が入力され、選択回路57は動作状態となる。つまり、選択回路57はHレベルの信号(行選択信号)をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第2のゲートドライバ42によりi行目のゲート線Giが選択される。
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13の両電極の電位は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13が非発光となる消去動作が行われる。
【0070】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、HレベルのWE信号が入力され、選択回路55は動作状態となる。つまり、選択回路55はHレベルの信号をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第1のゲートドライバ41により、i行目のゲート線Giが選択される。
【0071】
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む第2のラッチ48からビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極の電位は、互いに異なる電位又は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13は発光又は非発光となる書き込み動作が行われる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、Lレベルの信号が入力され、不定状態となる。
【0072】
このように、ゲート線Gyは、期間T1(第1のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択され、期間T2(第2のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択される。つまり、ゲート線は、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42により、相補的に制御される。そして、第1及び第2のサブゲート選択期間において、一方で消去動作を行って、他方で書き込み動作を行う。
【0073】
なお第1のゲートドライバ41がi行目のゲート線Giを選択する期間では、第2のゲートドライバ42は動作していない状態(選択回路57が不定状態)、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。同様に、第2のゲートドライバ42がi行目のゲート線Giに行選択信号を伝達する期間は、第1のゲートドライバ41は不定状態、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。
【0074】
また上記のような動作を行う本発明は、発光素子13を強制的にオフにすることができるために、デューティ比の向上を実現する。さらに、発光素子13を強制的にオフにすることができるにも関わらず、容量素子16の電荷を放電するTFTを設ける必要がないために、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。
【0075】
なお、本発明は、ゲート選択期間を2分割する上記の形態に制約されない。ゲート選択期間を3つ以上に分割してもよい。
(実施の形態3)
【0076】
本発明の表示装置に適用することができる画素回路の例について説明する。図6(A)は、図2(A)に示した画素10に、消去用トランジスタ91と、消去用のゲート線Ryを新たに設けた構成の画素回路(3つのTFTが設けられた画素回路)である。消去用トランジスタ91の配置により、強制的に発光素子13に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素10に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比を向上させて、動画の表示は特に良好に行うことができる。
【0077】
図6(B)は、図2(A)に示した画素10の駆動用トランジスタ12を削除して、新たに、トランジスタ92、93と、電源線Vax(x、lは自然数、1≦x≦l)とを設けた画素回路(4つのTFTが設けられた画素回路)である。電源線Vaxは電源94に接続する。本構成では、トランジスタ92のゲート電極を一定の電位に保持した電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ92のゲート電極の電位を固定にし、なおかつ飽和領域で動作させる。また、トランジスタ93は線形領域で動作させて、そのゲート電極には、画素10の点灯又は非点灯の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ93のソースとドレインの間電圧の値は小さいため、トランジスタ93のゲート・ソース間電圧の僅かな変動は、発光素子13に流れる電流値には影響を及ぼさない。従って、発光素子13に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ92により決定される。上記構成を有する本発明は、トランジスタ92の特性バラツキに起因した発光素子13の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。
【0078】
また、上記以外の画素回路として、図2(A)の画素10において、スイッチング用トランジスタ11を削除した画素回路(1つのTFTが設けられた画素回路)を適用してもよい。この場合、パッシブマトリクス型のディスプレイと同じ動作を行う。
【0079】
また、上記以外の画素回路として、図示しないが、カレントミラー回路を適用した画素回路を用いてもよい。
【0080】
また、電界発光層には、一重項励起からの発光を呈する材料(以下一重項励起材料と表記)や、三重項励起からの発光を呈する材料(以下三重項励起材料と表記)を用いる。例えば、赤色に発光する発光素子、緑色に発光する発光素子及び青色に発光する発光素子のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色のものを三重項励起発光材料で形成し、他のものを一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという利点がある。
【0081】
また、赤色のものと緑色のものとを三重項励起発光材料で形成し、青色のものを一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、さらなる低消費電力化を図ることができる。なお三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などがある。また、電界発光層には、低分子材料、中分子材料、高分子材料のいずれの材料を用いてもよい。
【0082】
発光素子は、下から陽極、電界発光層、陰極を順に積層する順積み構造や、下から陰極、電界発光層、陽極を順に積層する逆積み構造のどちらを用いてもよい。発光素子が含む陽極又は陰極には、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)や、ITOに酸化珪素が添加された材料、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)などを用いるとよい。
【0083】
また、発光素子を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、色毎に電源電位を補正するとよい。この場合、発光素子の光の出射側に、その発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすると、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。また、フィルターを設けると、従来必要であるとされていた円偏光板等を省略することが可能となり、電界発光層から出射する光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素領域を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0084】
また、電界発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、発光素子の光の出射側に特定の波長の光を透過するフィルターを設けた構成とすれば、カラー表示を行うことができる。
(実施の形態4)
【0085】
発光素子の経時変化の進行の度合いは、初期に大きく、時間と共に段々少なくなっていく。従って、発光素子を用いた表示装置では、発光素子の輝度調整前(例えば出荷前)に、全ての発光素子の初期の経時変化を生じさせてしまう初期エージング処理を行うとよい。
【0086】
このような初期エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じさせておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、経時変化を起因とした焼き付きなどの現象を軽減することができる。
【0087】
なお、初期エージング処理は、発光素子をある期間だけ発光させることで行うが、好ましくは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時間で生じることになる。
【0088】
図12(B)は、二次電池9604を搭載した電子機器9602であり、画素部が発光素子で形成された表示装置9603が装着されている。表示装置9603には、実施の形態1〜3で示すように、モニター用発光素子の出力と経時特性と経時測定回路の出力に基づき補正した電源電位を供給する電源回路を備えている。この電子機器9602を充電器にセットして充電をするときに、全ての画素を点灯又は点滅させる信号処理、標準画像(例えば待ち受け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングすることにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅させる処理などを行うとよい(図12(B)参照)。上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低減を目的として行う上記の処理は、フラッシュアウト処理とよぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当該処理後に、焼き付きが生じたとしても、その焼き付いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階調以下に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、画像をなるべく固定化しないようにする処理を行うとよい。このように動作させることのできる電子機器9602の態様としては、携帯電話機、コンピュータ、電子手帳、電子書籍などがある。また、他の態様としては、図12(A)で示すように、映像や文字図形を表示する電子機器9600にも適用することができる。この電子機器9600の表示部9601は実施の形態1〜3で説明した表示装置を適用している(図12(A)参照)。
【0089】
また、経時変化の補償機能には限界があり、ある期間を過ぎたら、経時変化を補正することができなくなる。この限界とは、例えば、本発明では、抵抗値の増加を、電源電位を増加させることで、補償しているが、表示装置に搭載させた電源ICがその増加に対応できない場合などである。その場合、表示装置の表示部9601に「長くご使用ありがとうございました 表示限界です」という表示を行うとよい(図12(A)参照)。
(実施の形態5)
【0090】
本発明の表示装置の一形態である、画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを搭載したパネルについて説明する。基板20上には、発光素子13を含む画素を複数有する画素領域40、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42、ソースドライバ43及び接続フィルム407が設けられる(図7(A)参照)。接続フィルム407は外部回路(ICチップ)と接続する。
【0091】
図7(B)は、図7(A)に示すパネルのA−Bにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、ソースドライバ43に設けられたCMOS回路410を示す。
【0092】
画素領域40と第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子13は、該シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子13を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板20上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
【0093】
また、図11は、図7(A)に示すパネルのC−Dにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、第1のゲートドライバ41に設けられたCMOS回路412、第2のゲートドライバ42に設けられたCMOS回路411を示す。図示するパネルでは、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42と重なるようにシール材408が設けられている点を特徴とする。上記特徴により、狭額縁化を実現する。
【0094】
なお上記の図7、11に示す構成では、発光素子13の画素電極は透光性を有し、発光素子13の対向電極は遮光性を有する。従って、発光素子13は下面出射を行う。
【0095】
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極は遮光性を有し、発光素子13の対向電極は透光性を有する場合がある(図8(A)参照)。この場合、発光素子13は上面出射を行う。
【0096】
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極と、発光素子13の対向電極の両者が透光性を有する場合がある(図8(B)参照)。この場合、発光素子13は両面出射を行う。
【0097】
下面出射と両面出射を行う場合は、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域に接続する導電層(ソース配線又はドレイン配線)は、アルミニウム(Al)と、モリブデン(Mo)等の反射率の低い材料とを組み合わせたもので形成するとよい。具体的には、MoとAl−SiとMo、MoNとAl−SiとMoN等の積層構造を採用するとよい。そうすれば、発光素子から発せられた光がソース配線又はドレイン配線に反射することを防止することができ、光を外部に取り出すことができる。本発明の表示装置には、下面出射、上面出射、両面出射のいずれの構成を採用してもよい。
【0098】
なお、画素領域40は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたTFTにより構成し、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板20上に貼り合わせたり、基板20に接続する接続フィルム407に貼り合わせたりしてもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
(実施の形態6)
【0099】
発光素子を含む画素領域を備えた電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図9を参照して説明する。
【0100】
携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる(図9(A)参照)。表示部9202は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0101】
デジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる(図9(B)参照)。表示部9701は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0102】
携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる(図9(C)参照)。表示部9102は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0103】
携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる(図9(D)参照)。表示部9302は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。このようなテレビジョン装置は携帯電話などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広く適用することができる。
【0104】
携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる(図9(E)参照)。表示部9402は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0105】
テレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる(図9(F)参照)。表示部9502は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。また、モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
【0106】
上記に挙げた電子機器において、二次電池を用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時間を長持ちさせることができ、二次電池を充電する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図3】本発明の表示装置のレイアウトを説明する図。
【図4】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図5】本発明の表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートを示す図。
【図6】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図7】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図8】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図9】本発明の表示装置を用いた電子機器の一例を説明する図。
【図10】発光素子の温度特性と経時特性を示すグラフ。
【図11】本発明の表示装置の一形態であるパネルを説明する図。
【図12】本発明の表示装置の使用形態を説明する図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子と、
第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、
前記第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、
前記第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、
前記第2の発光素子の出力、前記第1の回路の出力及び前記経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、
前記補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した前記電源電位を前記第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1の発光素子を含む画素を複数有する表示領域と、
第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、
前記第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、
前記第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、
前記第2の発光素子の出力、前記第1の回路の出力及び前記経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、
前記補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した前記電源電位を前記第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記画素は、前記画素に対するビデオ信号の入力を制御する第1のトランジスタ、前記第1の発光素子の発光と非発光を制御する第2のトランジスタ及び前記ビデオ信号を保持する容量素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子は、同一の基板上に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の発光素子の第1の電極と第2の電極の一方は透光性を有し、他方は反射性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1の発光素子の第1の電極と第2の電極は透光性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の表示装置を用いた電子機器。
【請求項1】
第1の発光素子と、
第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、
前記第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、
前記第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、
前記第2の発光素子の出力、前記第1の回路の出力及び前記経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、
前記補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した前記電源電位を前記第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1の発光素子を含む画素を複数有する表示領域と、
第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に一定の電流を供給する定電流源と、
前記第1の発光素子に電源を供給する時間を測定する第1の回路と、
前記第1の発光素子の電流電圧特性の経時特性を記憶する第2の回路と、
前記第2の発光素子の出力、前記第1の回路の出力及び前記経時特性に基づき、補正データを作成する第3の回路と、
前記補正データに基づき電源電位を補正し、かつ、補正した前記電源電位を前記第1の発光素子に供給する第4の回路を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記画素は、前記画素に対するビデオ信号の入力を制御する第1のトランジスタ、前記第1の発光素子の発光と非発光を制御する第2のトランジスタ及び前記ビデオ信号を保持する容量素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子は、同一の基板上に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の発光素子の第1の電極と第2の電極の一方は透光性を有し、他方は反射性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1の発光素子の第1の電極と第2の電極は透光性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の表示装置を用いた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−11410(P2006−11410A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147898(P2005−147898)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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