説明

表示装置及び信号処理方法

【課題】表示装置が2画面表示等の複数画面表示を用いて、Source機器でDVD等を視聴している場合、不用意にDVD等の再生を停止しないようにする。また、CEC通信制御を行うとき、CECネットワーク上ではすべての機器が直接接続されているが、1つの機器の不具合により全体が影響を受けないCECネットワークを構築し、従来機器との互換性を保つようにする。
【解決手段】HDMIコネクタ毎にCECラインを分離し独立したCECネットワークを構成し、前記分離したCECラインをすべて管理するCEC制御部を設け、必要に応じCECメッセージをそれらの独立したCECネットワーク上に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、複数の機器の間でおこなわれる通信の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の機器の間で映像音声信号等を送受信するインターフェースの規格として、HDMI(High−Definition Multimedia Interface、登録商標)規格がある。このHDMI規格では、機器制御信号・制御プロトコルとしてCEC(Consumer Electronics Control)が規定されている。
【0003】
このCECに関して、特許文献1には、「各社で家庭内機器のCECを用いた連携動作に重点を置いた取組が加速しており、CECに対応した多種多様な機器が存在するようになる反面、CECの動作が不安定な機器の増加が予想でき、CEC通信不通が発生する機会も増加すると予想される。CEC不通のたびに全機器をHDMIケーブルの再接続を行わなければいけない」(特許文献1[0007]参照)ことを課題とし、その解決手段として「HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信制御を行うCEC通信装置であって、CEC通信装置を制御するCEC制御部と、CECコマンドを送受信するCEC送受信部と、リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部と、CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視部と、CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部を備え、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧する」(特許文献1[0009]参照)こと等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−15403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3台以上の機器がHDMI等のインターフェースにより接続されると、2台の機器を接続した場合に比べて処理が複雑となり、場合によっては接続された機器の制御に不備が生じるおそれがあり、ユーザにとって使い勝手が悪くなるという課題がある。
【0006】
例えば、1つの表示装置(Sink)に複数の再生装置(Source)が接続された場合に、Active Source(CECネットワークにおいて、出力する信号が有効となる装置。CEC規格ではActive Sourceは1つのCECライン上に1つと定義。)が変更されると、ユーザが意図していないにもかかわらず、再生装置の処理(例えばDVDの再生処理)が停止してしまうおそれがある。
【0007】
また、例えばHDMIにより接続された3台以上の機器を含むシステムにおいて、いずれかの機器のCEC出力端子がLowレベルに固定された場合、その影響でCECネットワーク全体のCEC通信制御ラインがLowレベルに固定され、CECネットワーク全体の制御が不可能となる問題がある。特許文献1では、CECネットワークのリセットによりCEC通信の復旧を行う技術的思想が開示されているが、接続された機器が所定の状態で常にCEC出力端子がLowレベルに固定される機器であった場合、CECネットワークのリセットによるCEC通信の復旧はできない。
【0008】
また、例えばCEC通信制御に用いる論理アドレスの数には制限があるため、制限数を超えた機器が接続されると、制限数を超えた分の機器の制御は不可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0010】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、映像信号及び/又は音声信号を出力する信号源が複数接続される表示装置であって、第1の信号源からの信号が入力される第1のコネクタと、第2の信号源からの信号が入力される第2のコネクタと、第1のコネクタ及び第2のコネクタに入力される映像信号及び音声信号を処理する映像音声信号処理部と、映像音声処理部で処理された映像信号を出力する映像出力部と、映像音声処理部で処理された音声信号を出力する音声出力部と、第1のコネクタ及び第2のコネクタに入力される制御信号を処理する制御部とを有し、制御部は、前記第1の信号源から入力された制御信号の内容に基づいて、制御信号を第2の信号源に転送するか否かを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、3台以上の機器がHDMI等のインターフェースにより接続された場合であっても、接続された機器の制御の不備を低減することが可能となり、ユーザの使い勝手を向上されることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示システムの一例を示すブロック図である。
【図2】従来のCECネットワークの一例を示すブロック図である。
【図3】本実施例におけるCECネットワークを示すブロック図である。
【図4】本実施例における情報処理装置のブロック図である。
【図5】本実施例におけるCECメッセージの送受信を示す図である。
【図6】本実施例における別なCECメッセージの送受信を示す図である。
【図7】本実施例におけるCEC通信制御処理の第1のフローチャートである。
【図8】本実施例におけるCEC通信制御処理の第2のフローチャートである。
【図9】本実施例におけるCEC通信制御処理の第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
近年、シリアル通信を用いて1つの機器から他の機器を操作することが増えている。一例として、HDMI規格では、テレビジョン受像機(TV)やDVDプレイヤ、DVD/HDDレコーダなどの情報処理装置を相互に制御するCECが追補に定義されている。CECは、単線双方向非同期シリアル通信である。
【0014】
さらにテレビは複数のHDMI入力コネクタを搭載しており、テレビが受信した放送と他の情報処理装置から入力された映像信号を同時に表示、または他の情報処理装置から入力された映像信号と他の情報処理装置から入力された映像信号を同時に表示するような処理が行われる。
【0015】
また、CEC規格ではActive Sourceという概念があり、Active Sourceとは情報処理装置の出力する信号が有効であることを示し、CEC規格において、Active Sourceは1つのCECライン上に1つと定義されている。
【0016】
また、CECのラインは基本的にCECネットワーク上の全ての機器と直接接続されているため、1つの機器の不具合がネットワーク全体に影響を与える。例えば、1つの機器のソフトの不具合によってCEC出力端子がLowレベルに固定された場合、その影響でネットワーク全体の通信ラインがLowレベルに固定され、CECネットワーク全体が通信不能となる。
【0017】
次に、従来の情報処理装置で構成されるシステムについて、Active Source に着目しながら図面を用いて説明する。図1は従来の表示システムの一例を示すブロック図である。図1では、主となる情報処理装置を表示装置100である場合を例にとって示す。表示装置100は、再生装置101が出力する映像と、再生装置101が出力する映像とを同時に表示しているものとする。再生装置はそれぞれCECに対応しており、図中の太い矢印で示したHDMIケーブルにより接続され各々が映像信号、音声信号を表示装置100へ供給している。
【0018】
CEC対応の情報処理装置間では表示装置100のリモコン103で、CEC通信制御を用いて再生装置101や再生装置102の操作を行うことができ、表示装置100が再生装置101の出力する映像信号、音声信号を選択している場合、CEC規格で再生装置101が Active Source となることが定められているため、再生装置101が Active Source 状態となる。
【0019】
ここで、再生装置101がDVD等を再生している状態で、表示装置100が再生装置102の出力する映像信号、音声信号を選択した場合、CEC規格で Active Source である機器は1つと定められているため再生装置102が Active Source となり再生装置101は Active Source 状態を失い、DVD再生を停止する場合がある。
【0020】
前記は表示装置100が、再生装置101が出力する映像と、再生装置102が出力する映像とを2画面で表示している例であるが、これは表示装置100がテレビジョン放送受信時に受信したテレビジョン放送と、再生装置101や再生装置102等の他の情報処理装置から入力される映像信号とで2画面表示している場合も同様で、また2画面表示時に限ることではなく表示装置100が複数の経路の映像を同時に表示する場合も同様である。
【0021】
図2はCEC対応機器を複数台接続した場合の従来のCECネットワークの一例を示すブロック図である。図2の通りCECラインがネットワーク上の全ての機器と直接接続されているとき、HDMI信号の受信機能を持つSink機器や、HDMI信号の送受信機能を持つRepeater機器やHDMI信号の送信機能を持つSource機器の何れが何らかの原因によりCEC出力端子がLowレベルに固定された場合、前記影響でCECネットワーク全体のCEC通信制御ラインがLowレベルに固定され、CECネットワーク全体がCEC通信制御不可能となることもある。
【0022】
また、CEC通信制御を行うためには論理アドレスを取得する必要がある。論理アドレスとは、CEC対応機器の種類を示す値で、例えば Recording Device を示す論理アドレスが3つ、Tuner を示す論理アドレスが4つ、Playback Device を示す論理アドレスが3つ、Audio System を示す論理アドレスが1つ、等が用意されており、情報処理装置は前記論理アドレスを1つ取得することで、CEC通信制御が可能になる。
【0023】
このとき例えばCECネットワーク上にCEC対応DVD/HDDレコーダを4台接続した場合、前記4台のDVD/HDDレコーダは Recording Device を示す論理アドレスを取得しようと試みるが、Recording Device を示す論理アドレスは3つしか存在しないため、1台のDVD/HDDレコーダは論理アドレスを取得できずCEC通信制御が不可能となる。同様にCECネットワーク上にCEC対応オーディオアンプを2台接続した場合、前記2台のオーディオアンプは Audio System を示す論理アドレスを取得しようと試みるが、Audio System を示す論理アドレスは1つしか存在しないため、1台のオーディオアンプは論理アドレスを取得できずCEC通信制御が不可能となることもある。
【0024】
以下の実施例では、情報処理装置が何れの映像信号、音声信号の経路を選択している状況においても、再生装置がDVD等の再生を停止することがなく、1つの情報処理装置の不具合があっても、CECネットワーク全体に悪影響を及ぼすことのない、且つ従来の情報処理装置との互換性を保つ情報処理装置、及び情報処理装置のCEC通信制御処理を説明する。
【0025】
HDMIを用いた機器の制御の実施例について、図を参照しながら説明する。
【0026】
図3は、本実施例におけるCEC対応機器を複数台接続した場合のCECネットワークを示すブロック図である。本実施例においては、各々の情報処理装置のHDMI入力毎にCECラインを分離する。また、HDMI信号の送受信機能を持つ情報処理装置(Repeater)については、HDMI入出力間でCECラインを分離する。
【0027】
これにより、分離したCECネットワーク毎にActive Sourceを制御し、Source機器が不用意にDVD等の再生を停止しないようにすることができ、また、何れかの情報処理装置が何らかの原因によりCEC出力端子がLowレベルに固定された場合においても、CECネットワーク全体がCEC通信制御不可能とならないようにすることができる。
【0028】
図4は、本実施例における情報処理装置のブロック図である。図4を用いて、情報処理装置が表示装置40である場合を例にとって、全体の動作を説明する。
【0029】
放送受信アンテナ(図示せず)で受信されたテレビジョン放送電波信号は放送受信処理部410に供給され、ユーザが希望するチャンネルの放送信号が抽出されて所定の周波数帯域に周波数変換され放送局側で伝送のために施された変調処理を解除するべく復調される。ディジタル放送の場合は一つの放送チャンネルに複数のコンテンツが時分割多重されることが多いが、放送受信処理部410はさらに、ユーザが希望する一つのコンテンツを選択するデマルチプレクサ処理等、所定の処理を行う。放送受信処理部410の出力信号は映像、音声処理部413に供給される。
【0030】
次に外部機器との信号の授受に関して説明する。表示装置40は複数個(N個)のHDMIコネクタ1〜N(401〜40N)を有しており、各コネクタは各々の情報処理装置である外部機器1〜N(41〜4N)が有するHDMIコネクタ(図示せず)とHDMIケーブルを介して接続されている。外部機器1〜Nとは前記したようにDVD/HDDレコーダのような記録装置であっても良く、DVDプレイヤのような再生装置であっても良く、スピーカを駆動するオーディオシステムであっても良い。
【0031】
もちろんこれらが混在しても良いし、何れかのHDMIコネクタには外部機器が接続されていないような使い方であっても良い。図3でも示したようにいずれかの外部機器を介して、さらに別な外部機器が接続されていても良い。表示装置40が有するHDMIコネクタは複数であれば良く、例えば図3のように2個であっても良い。
【0032】
ユーザが記録装置や再生装置のような外部機器から供給される映像コンテンツを鑑賞する場合には、まずユーザが何れの外部機器から供給される映像、音声信号を希望するかを、例えば、図1で示すようなリモコン103から制御部414に対し指示を行う。制御部414はHDMI受信部411を制御して、ユーザが希望する外部機器から供給された映像、音声信号を映像・音声処理部413に供給するようにする。
【0033】
制御部414は、前記と同様にユーザの例えばリモコンからの指示に基づき、ユーザの希望する映像信号を映像・音声処理部413から表示部415に供給し映像を表示させる。
【0034】
制御部414は、前記と同様にユーザの例えばリモコンからの指示に基づき、ユーザの希望する音声信号を映像・音声処理部413からスピーカ416に供給し音声を発生させる。
【0035】
外部機器からHDMI受信部411に供給され、HDMI受信部411から映像・音声処理部413に供給される映像、音声信号は図中では1つの矢印で示しているが、複数の外部機器から供給される複数の映像、音声信号を同時に伝送する場合がある。つまり、表示部415には複数の外部機器から供給される複数の映像を同時に表示する場合がある。
【0036】
また、表示部415には、表示装置40が受信し、放送受信処理部410で処理したテレビジョン放送と外部機器から供給される映像を同時に表示する場合がある。
【0037】
CEC制御部412は、HDMIコネクタ1〜N(401〜40N)の各々と分離して接続され、外部機器1〜N(41〜4N)に対し、HDMIコネクタ1〜N(401〜40N)を介して、CEC規格に基づく外部機器に対する双方向制御を行う。このとき、CEC制御部412は所定の事項に基づきCECメッセージを各々に分離したCECネットワークに転送する制御を行う。
【0038】
制御部414、CEC制御部412とHDMI受信部411に関しては、別なブロックとして示したが、これに限定するものではない。例えば同じブロックとし半導体デバイス上で同じ半導体チップに組み入れられて良い。
【0039】
次に、図5と図6を用いて、CEC制御部412が所定の事項に基づきCECメッセージを各々の分離したCECネットワークに転送する実施例を具体的なCECメッセージを例にとって説明する。
【0040】
図5は、本実施例におけるCECメッセージの送受信を示す図である。表示装置52は、CECネットワークに接続されるCEC対応機器の位置を示す物理アドレスが[0000]である。外部機器51は物理アドレスが[1000]であり、表示装置52のHDMI入力1に接続されていることを示している。
【0041】
また、外部機器53は物理アドレスが[2000]であり、表示装置52のHDMI入力2に接続されていることを示している。ここでは、表示装置52と外部機器51で1つのCECネットワークを構成しており、表示装置52と外部機器53で1つのCECネットワークを構成している。
【0042】
例えば、図中のように外部機器51が <Device Vendor ID> という外部機器51のメーカーIDを示すCECメッセージを発行する場合、<Device Vendor ID> メッセージはCEC規格で Broadcastメッセージと呼ばれるCECネットワークに接続されるすべてのCEC対応機器に対して発行するCECメッセージと定義されているため、表示装置52は前記CECメッセージを外部機器53に転送する。
【0043】
また例えば、図中のように外部機器51が <Active Source> という外部機器51がActive Sourceであることを示すCECメッセージを発行する場合、<Active Source> メッセージは前記CECメッセージと同様にBroadcastメッセージと定義されているが、表示装置52はActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージを外部機器53に転送しない。
【0044】
また例えば、図中のように外部機器53が <Active Source> メッセージを発行する場合も、表示装置52はActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージを外部機器51に転送しない。
【0045】
この処理により、表示装置52は各々の分離したCECネットワーク毎にActive Sourceを管理することができる。 図6は、本実施例における他のCECメッセージの送受信を示す図である。表示装置62は、物理アドレスが[0000]である。外部機器61は物理アドレスが[1000]であり、表示装置62のHDMI入力1に接続されていることを示している。また、オーディオシステム63は物理アドレスが[2000]であり、表示装置62のHDMI入力2に接続されていることを示している。また、外部機器64は物理アドレスが[2100]であり、オーディオシステム63のHDMI入力1に接続されていることを示している。
【0046】
ここでは、表示装置62と外部機器61で1つのCECネットワークを構成しており、表示装置62とオーディオシステム63と外部機器64で1つのCECネットワークを構成している。ここでオーディオシステム63も本実施例によるCECネットワーク構成を有するならば表示装置62とオーディオシステム63で1つのCECネットワークを構成し、オーディオシステム63と外部機器64で1つのCECネットワークを構成することになるが、本図では表示装置62とオーディオシステム63と外部機器64で1つのCECネットワークを構成していることとする。
【0047】
次に、CEC通信制御を用いてオーディオシステム63が表示装置62のスピーカを消音しオーディオシステム63のスピーカから音声を発生している場合に、オーディオシステム63が発生させる音声を、Active Sourceによって、表示装置62から入力される音声信号とオーディオシステム63のHDMI入力から入力される音声信号とを切り替える必要がある場合を例にとって説明する。
【0048】
例えば、図中のように外部機器64が <Device Vendor ID> メッセージを発行する場合、前記CECメッセージはBroadcastメッセージなのでオーディオシステム63と表示装置62が受信し、表示装置62は前記CECメッセージを外部機器61に転送する。
【0049】
また例えば、図中のようにオーディオシステム63とは別なCECネットワークに存在する外部機器61が <Active Source> メッセージを発行する場合、表示装置62から入力される音声信号をオーディオシステム63に選択させるため、Active Source が変わる可能性のあるCECメッセージであっても、表示装置62は前記CECメッセージをオーディオシステム63と外部機器64に転送する。
【0050】
表示装置62がオーディオシステム63や外部機器64に対して<Active Source>メッセージを転送することにより、外部機器64はActive Sourceの状態ではなくなることになり、DVD等を再生していた場合に再生停止する可能性があるが、オーディオシステム63は表示装置62から入力される音声信号を出力するモードに切り換えることができる。
【0051】
このように、表示装置62がActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージを転送する転送先のCECネットワークにオーディオシステムが存在するか否かを判別し、オーディオシステムを含むCECネットワークであると判別した場合は、Active Source が変わる可能性のあるCECメッセージであっても当該メッセージを転送することにより、オーディオシステムが選択する音声信号を変更することができる。
【0052】
また例えば、図中のように外部機器64が <Active Source> メッセージを発行する場合、前記CECメッセージはBroadcastメッセージなのでオーディオシステム63と表示装置62が受信する。この外部機器64からの<Active Source>メッセージを外部機器61に転送すると、外部機器61がActive Sourceの状態を失う可能性があるため、表示装置62は前記CECメッセージを外部機器61に転送しない。
【0053】
このように、表示装置62がActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージを発行したCECネットワークにオーディオシステムが存在するか否かを判別し、オーディオシステムが存在するCECネットワークから受信した<Active source>メッセージを転送した場合、転送先の機器がActive Sourceの状態を失う可能性があるため、オーディオシステムが存在するCECネットワークからのActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージは他の機器にを転送しない。
【0054】
次に、図7〜図9に基づき、情報処理装置が別なCECネットワークに所定のCECメッセージを転送する方法について説明する。以下では一例として、別なCECネットワークに所定のCECメッセージを転送する機器が、表示装置40である場合を例にとって説明する。もちろん他の情報処理装置であっても同様の動作を行うことができ、本発明の範疇にある。
【0055】
図7は、本実施例におけるCEC通信制御処理の第1のフローチャートである。ステップS701で、表示装置40のCEC制御部412は、検知したCECメッセージの宛先が表示装置40に接続される外部機器1〜N(41〜4N)に存在するかを判定する。
【0056】
ステップS701での判定の結果、前記CECメッセージが外部機器1〜N(41〜4N)の何れかが宛先と判定された場合(図中のY)、ステップS702でCEC制御部412は前記CECメッセージに対して、前記CECメッセージを受信したことを示すACKを返し、前記宛先の外部機器に前記CECメッセージを転送しフローを終了する。
【0057】
ステップS701での判定の結果、前記CECメッセージが外部機器1〜N(41〜4N)に存在しないと判定された場合(図中のN)、ステップS703でCEC制御部412は特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージであるかを判定する。
【0058】
ステップS703での判定の結果、前記CECメッセージが特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージでないと判定された場合(図中のN)、表示装置40宛のCECメッセージもしくは、外部機器1〜N(41〜4N)に存在しない機器宛のCECメッセージとなり、転送する情報処理装置は存在しないのでフローを終了する。
【0059】
ステップS703での判定の結果、前記CECメッセージが特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージであると判定された場合(図中のY)、ステップS704でCEC制御部412は前記CECメッセージが、表示装置40が構成する別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージであるかを判定する。上述の通り、別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージであるかの判定は、Active Source が変わる可能性のあるメッセージであるか否かにより判定する。表示装置40は、Active Source が変わる可能性のあるBroadcastメッセージは転送しないように判定し、それ以外のBroadcastメッセージは転送するように判定する。
【0060】
ステップS704での判定の結果、前記CECメッセージが、表示装置40が構成する別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージでないと判定された場合(図中のN)、CECメッセージの転送は行わないのでフローを終了する。
【0061】
ステップS704での判定の結果、前記CECメッセージが、表示装置40が構成する別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージであると判定された場合(図中のY)、ステップS705でCEC制御部412は前記CECメッセージを特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージで、表示装置40が構成するすべてのCECネットワークに転送しフローを終了する。
【0062】
この処理により、分離したCECネットワーク毎に必ず別なActive Sourceを管理することができる。
【0063】
次に図7とは若干異なる動作フローの例を説明する。
【0064】
図8は、本実施例におけるCEC通信制御処理の第2のフローチャートである。図8は、図7と同様に、情報処理装置が別なCECネットワークに所定のCECメッセージを転送する方法について示しているが、CEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードとしている場合を示している。このため、ステップS704の判定の結果によってステップS801及びステップS802が追加されている点が異なる。
【0065】
先の図7において、ステップS704の判定の結果、表示装置40が構成する別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージでないと判定された場合(図中のN)、そのままフローを終了していたが、図8では、ステップS801でCEC制御部412は音声モードがCEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードであるときは特別に表示装置40が構成する別なCECネットワークに転送する特殊転送対象のCECメッセージであるかを判定する。
【0066】
上述の通り、別なCECネットワークに転送する対象のCECメッセージであるかの判定は、表示装置がActive Source が変わる可能性のあるCECメッセージを発行したCECネットワークにオーディオシステムが存在するか否かを判別し、オーディオシステムに入力される映像、音声信号を切り換えるのに必要なCECメッセージであれば、<Active Source>メッセージであっても特殊転送対象とする。
【0067】
ステップS801の判定の結果、前記特殊転送対象のCECメッセージでないと判定された場合(図中のN)、そのままフローを終了する。
【0068】
ステップS801の判定の結果、前記特殊転送対象のCECメッセージであると判定された場合(図中のN)、ステップS802でCEC制御部412は現在の音声モードがCEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードであるかを判定する。
【0069】
ステップS802の判定の結果、現在の音声モードがCEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードでないと判定された場合(図中のN)、そのままフローを終了する。
【0070】
ステップS802の判定の結果、現在の音声モードがCEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードであると判定された場合(図中のY)、ステップS705でCEC制御部412は前記CECメッセージを特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージで、表示装置40が構成するすべてのCECネットワークに転送しフローを終了する。
【0071】
この処理により、オーディオシステムは音声入力を切り換えるために必要な<Active Source>メッセージを受信し、別なCECネットワークに接続される外部機器の音声(表示装置からの音声出力)を選択することができる。
【0072】
次に図8とは若干異なる動作フローの例を説明する。
【0073】
図9は、本実施例におけるCEC通信制御処理の第3のフローチャートである。図9は、図8と同様に、CEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードとしている場合に情報処理装置が別なCECネットワークに所定のCECメッセージを転送する方法について示しているが、ステップS802の判定の結果によってステップS901が追加されている点が異なる。
【0074】
先の図8において、ステップS802の判定の結果、現在の音声モードがCEC通信制御を用いて表示装置のスピーカを消音しオーディオシステムのスピーカから音声を発生するモードであると判定された場合(図中のY)、ステップS705でCEC制御部412は前記CECメッセージを特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージで、表示装置40が構成するすべてのCECネットワークに転送するフローであったが、図9では、ステップS901でCEC制御部412は前記CECメッセージがオーディオシステムの接続されるCECネットワークからであるかを判定する。
【0075】
ステップS901の判定の結果、前記CECメッセージがオーディオシステムの接続されるCECネットワークからであると判定された場合、(図中のY)、そのままフローを終了する。
【0076】
ステップS901の判定の結果、前記CECメッセージがオーディオシステムの接続されるCECネットワークからでないと判定された場合、(図中のN)、ステップS705でCEC制御部412は前記CECメッセージを特定の情報処理装置宛ではないBroadcastメッセージで、表示装置40が構成するすべてのCECネットワークに転送しフローを終了する。
【0077】
この処理により、オーディオシステムは音声入力を切り換えるために必要な<Active Source>メッセージを受信し、別なCECネットワークに接続される外部機器の音声(表示装置からの音声出力)を選択することができ、上記に加えて別なCECネットワークに接続される外部機器がActive Sourceを失う可能性のあるCECメッセージを受信することにより、Active Sourceを失うことを最小限にすることができる。
【0078】
次に、図5に基づき、情報処理装置が別なCECネットワークとは独立させCEC規格で定められる論理アドレス数を超える外部の情報処理装置とCEC通信制御を同時に行う方法について説明する。以下では一例として、前記情報処理装置が、表示装置52である場合を例にとって説明する。もちろん他の情報処理装置であっても同様の動作を行うことができ、本発明の範疇にある。
【0079】
このとき、外部機器51と外部機器53が共に論理アドレスAudio Systemを取得しようと試みた場合、外部機器51と外部機器53が共に論理アドレスAudio Systemを取得することが可能で、表示装置52は外部機器51と外部機器53に対して、同時に、もしくは選択しCEC通信制御が可能となる。
【0080】
独立したCECネットワーク間でCECメッセージを転送する場合、同様な論理アドレスを取得している複数の外部の情報処理装置の中から唯一な物理アドレスにより1つの情報処理装置を選択し、前述の情報処理装置が別なCECネットワークに所定のCECメッセージを転送する方法に基づき、前記CECメッセージを転送することが可能である。
【0081】
前記CECメッセージを転送する前記外部の情報処理装置を決定する方法としては、優先順位をつけても良いし、ユーザが任意に設定できても良い。
【0082】
図5のように独立したCECネットワークが2つであれば、表示装置52はCEC規格で定められる論理アドレスの約2倍の外部の情報処理装置を制御することが可能となり、例えば、独立したCECネットワークがN個であれば、表示装置52はCEC規格で定められる論理アドレスの約N倍の外部の情報処理装置を制御することが可能となる。
【0083】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば図4で示した表示装置40のブロック図は一例であって、いくつかの変形例が考えられる。また、表示装置以外の情報処理装置では、異なるブロック図となることは言うまでもない。このほかにも本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【0084】
本実施例によれば、情報処理装置が何れの映像信号、音声信号の経路を選択している状況においても、再生装置がDVD等の再生を停止することがなく複数画面表示することができ、CECネットワークに接続される何れの情報処理装置が何らかの原因によりCEC出力端子がLowレベルに固定された状況においても、他の情報処理装置に悪影響を及ぼすことのなく、他の情報処理装置は従来のCECネットワークと何も変わらないCEC通信制御が可能となる。また、CEC規格で定められる論理アドレス数を超える情報処理装置と接続した場合においても、CEC通信制御を同時に行うことが可能な情報処理装置、及び情報処理装置のCEC通信制御処理方法を提供でき、従来の情報処理装置との互換性を保ちユーザの使い勝手を向上できるという効果がある。
【符号の説明】
【0085】
100, 40, 52, 62:表示装置、 101, 102:再生装置、 103:表示装置操作用リモコン、
41〜4N, 51, 53, 61, 64:外部機器、
401〜40N:HDMIコネクタ、 410:放送受信処理部、 411:HDMI受信部、 412:CEC制御部、
413:映像・音声処理部、 414:制御部、 415:表示部、 416:スピーカ、 63:オーディオシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号及び/又は音声信号を出力する信号源が複数接続される表示装置であって、
第1の信号源からの信号が入力される第1のコネクタと、
第2の信号源からの信号が入力される第2のコネクタと、
前記第1のコネクタ及び第2のコネクタに入力される映像信号及び音声信号を処理する映像音声信号処理部と、
前記映像音声処理部で処理された映像信号を出力する映像出力部と、
前記映像音声処理部で処理された音声信号を出力する音声出力部と、
前記第1のコネクタ及び第2のコネクタに入力される制御信号を処理する制御部とを有し、
前記制御部は、前記第1の信号源から入力された制御信号の内容に基づいて、当該制御信号を前記第2の信号源に転送するか否かを決定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1の表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であった場合に、当該制御信号を前記第2の信号源に転送することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2の表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であっても、当該制御信号が、出力する信号が有効となる装置を変更する内容であった場合は、当該制御信号を前記第2の信号源に転送しないことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3の表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であって、出力する信号が有効となる装置を変更する内容であっても、前記第2の信号源にオーディオシステムを有する機器が接続されている場合は、当該制御信号を前記第2の信号源に転送することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
映像信号及び/又は音声信号を出力する信号源が複数接続される表示装置における信号処理方法であって、
第1の信号源からの信号が入力されるステップと、
第2の信号源からの信号が入力されるステップと、
前記第1の信号源及び前記第2の信号源から入力される映像信号及び音声信号を処理するステップと、
前記処理した映像信号を出力するステップと、
前記処理した音声信号を出力するステップと、
前記第1の信号源から送信された制御信号を処理するステップとを有し、
前記第1の信号源から入力された制御信号の内容に基づいて、当該制御信号を前記第2の信号源に転送するか否かを決定することを特徴とする信号処理方法。
【請求項6】
請求項5の信号処理方法であって、
前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であった場合に、当該制御信号を前記第2の信号源に転送することを特徴とする信号処理方法。
【請求項7】
請求項6の信号処理方法であって、
前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であっても、当該制御信号が、出力する信号が有効となる装置を変更する内容であった場合は、当該制御信号を前記第2の信号源に転送しないことを特徴とする信号処理方法。
【請求項8】
請求項7の信号処理方法であって、
前記第1の信号源から入力された制御信号が前記表示装置以外の機器も宛先とする信号であって、出力する信号が有効となる装置を変更する内容であっても、前記第2の信号源にオーディオシステムを有する機器が接続されている場合は、当該制御信号を前記第2の信号源に転送することを特徴とする信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−70205(P2012−70205A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213019(P2010−213019)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】