表示装置及び表示方法
【課題】観視者に、より見やすい指標のCG画像を提示することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】生成部は、観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する。提示部は、前記CG画像を前記観視者の眼に提示する。前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成する。
【解決手段】生成部は、観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する。提示部は、前記CG画像を前記観視者の眼に提示する。前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物に搭載する表示装置として、ヘッドアップディスプレイ(HUD)がある。
【0003】
HUDは、乗り物の進行方向や、観視者に指示すべき位置を示す指標(例えば矢印)のCG画像を観視者(運転者)の眼に向かって提示する。
【0004】
このような表示装置においては、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−244355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る表示装置は、観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する生成部と、前記CG画像を前記観視者の眼に提示する提示部とを備える。前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記
乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る表示装置1を表すブロック図。
【図2】表示装置1の処理を表すフローチャート。
【図3】表示装置1の処理の一部の詳細を表すフローチャート。
【図4】指標10が示す位置の説明図。
【図5】表示装置1の使用例を表す図。
【図6】表示装置1の使用例を表す図。
【図7】第2の実施の形態に係る表示装置の使用例を表す図。
【図8】第2の実施の形態に係る表示装置の処理の一部の詳細を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置1を表すブロック図である。
【0012】
表示装置1は、ここでは車両20のナビゲーションシステムとともに用いられる車載用のヘッドアップディスプレイであり、指標10のCG画像を含んだ光束5を、観視者(ドライバー)100の眼101に提示する(片眼でも両眼でもよい)。指標10とは、車両20の進行方向や、観視者100に指示したい位置を矢印等で表したものである。これにより、観視者100は、指標10のCG画像をフロントガラス21より前方の風景に重畳された像として知覚する。
【0013】
表示装置1は、車両20が、最終的に到達すべき目的地(最終目的地)までの経路上にある一時的な目的地(一時目的地)に接近した時点で、指標10のCG画像の表示を開始する。一時目的地とは、最終目的地までの経路上で、観視者100に案内や注意を促す場面、例えば、右折や左折する必要がある交差点をいう。
【0014】
表示装置1は、観視者100から見える前方の風景内において、一時目的地に向かって指標10自体が順次移動しているように、さらに一時目的地に達した後は当該箇所で一定時間静止しているように、観視者100に知覚させる。これにより、表示装置1は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる。
【0015】
表示装置1は、生成部11と、記憶部12と、提示部13とを含む。
【0016】
生成部11は、経路決定部111と、所定位置決定部112と、位置判定部113と、CG画像生成部114と、を備える。生成部11及び記憶部12は、中央演算処理装置(CPU)及びCPUが用いるメモリにより実現されてよい。
【0017】
経路決定部111は、観視者100が所望する車両20の最終目的地の情報を受け取ると、地図情報を用いて、最終目的地に至るまでに、車両20が辿るべき経路を決定する。地図情報は、道路地図の情報を含む。例えば、地図情報は記憶部12に記憶されている。
【0018】
所定位置決定部112は、経路決定部111が決定した経路中において、一又は複数の一時目的地を決定して、記憶部12に記憶させる。
【0019】
位置判定部113は、車両情報を用いて、車両20がいずれか一の一時目的地に接近したか否かを判定する。車両情報は、車両20の現在位置及び速度の情報を含む。車両情報は、車両20の現在位置を測定する図示しない位置測定手段(例えば、GPS)や、車両20の速度を測定する速度測定手段25(例えば、スピードメータ等)から獲得される。
【0020】
一時目的地に車両20が接近した場合、CG画像生成部114は、複数の指標10のCG画像を生成する。各々の指標10は、開始位置(指標10が初めに指し示す経路上の位置)から一時目的地まで進み、さらに一時目的地で一定時間静止して観視者100に知覚されるように順次生成される。CG画像生成部114は、各指標10のCG画像を提示部13に出力する。詳細は後述する。
【0021】
提示部13は指標10のCG画像を含んだ光束5を観視者100に提示する。すなわち、提示部13は、光束5をフロントガラス21に向けて照射する。フロントガラス21には、コンバイナが設けられていてもよい。フロントガラス21は、光束5を観視者100の眼101に向かって反射させる。
【0022】
提示部13は、光源131と、制限部132と、拡散部133と、画像形成部134と、第1のレンズ135と、開口部136と、第2のレンズ137と、反射板138とを含む。
【0023】
第1のレンズ135の焦点距離をf1、第2のレンズ137の焦点距離をf2とすると、開口部136は、第1のレンズ135からf1の距離で、かつ第2のレンズ137からf2の距離の位置に設置されている。
【0024】
光源131から出射した光束5は、制限部132で、進行方向が制限された状態で、拡散部133を備えた画像形成部134へと入射する。拡散部133により、光束5は拡散されて一様に画像形成部134へと入射することができる。画像形成部134は、光束5を部分的に透過もしくは遮断することにより、指標10の形状をした光束5を形成する。
【0025】
画像形成部134を通った光束5は、第1のレンズ135と開口部136と第2のレンズ137を通過する。光束5は発散角(光束5が拡がっていく角度)が制御された状態で反射板138へと入射する。反射板138は、光束5をフロントガラス21に向けて反射させる。
【0026】
画像形成部134が開口部136よりも光源131側にあることにより、開口部136が画像形成部134よりも光源131側にある場合に比べて、画像形成部134を通る光束5の透過率を高くすることができる。そのため、光源131の消費電力を抑えられる。
【0027】
光源131には発光ダイオードや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー等が用いられる。制限部132にはテーパライトガイド、拡散部133には拡散フィルターや拡散板、画像形成部134には液晶ディスプレイやデジタルミラーデバイス等が用いられる。
【0028】
図2は、表示装置1の指標表示の処理を表すフローチャートである。
【0029】
経路決定部111は、最終目的地までの経路を決定する(S201)。すなわち、経路決定部111は、記憶部12に記憶されている地図情報を読み出す。経路決定部111は、位置測定手段(例えば、GPS)を用いて、車両20の現在位置を割り出す。現在位置は、ある地点を基準とするような位置P(x,y)等で示されてよい。例えば、位置P(x,y)は、(経度,緯度)で表わされる経緯度座標で示されてもよい。
【0030】
最終目的地が設定されると(例えば、観視者100により、図示しない入力部に最終目的地が指定されると)、経路決定部111は、現在位置から最終目的地までに、車両20が辿るべき経路を決定する。
【0031】
所定位置決定部112は、最終目的地までの経路上において、一又は複数の一時目的地の位置を決定する(S202)。例えば、所定位置決定部112は、最終目的地までの経路上で右折や左折をすべき交差点の位置Pp=(Xpn,Ypn)(n=1,2,3,…)を一時目的地に決定し、得られた一時目的地の位置を記憶部12に記憶する。
【0032】
車両20の走行中、位置判定部113は、車両20が一時目的地に接近したか否かを判定する(S203)。該判定は、車両20の現在位置Pcから一時目的地Ppまでの距離Dが、所定値以内となったか否かで判定することができる。車両20の現在位置Pcは、車両20の先端の位置でも、車両20に乗車する観視者100の位置でも構わない。
【0033】
まず、位置判定部113は、位置測定手段を用いて、車両20の現在位置Pc=(Xc,Yc)を割り出す。次に位置判定部113は、車両20の現在位置Pcから一時目的地Ppまでの距離Dを求める。距離Dが、所定値以内となったか否かを判定する。
【0034】
例えば、位置判定部113は、距離Dが、100m以内となったか否かを判定する。該判定がNOの場合は、YES判定となるまで判定を繰り返す。
【0035】
該判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進み、一時目的地Ppで一定時間静止して観視者100に知覚されるような指標10のCG画像を生成する。(S204)。開始位置P0とは、指標10が初めに示す経路上の位置をいう。
【0036】
開始位置は、一時目的地Ppまでの距離が所定値以内となったときの車両20の現在位置Pc0から、一時目的地側に一定距離進んだ位置P0=(x0,y0)として予め設定されていてよい。例えば、一時目的地Ppまでの距離が、100mとなったときの車両20の現在位置Pc0から、一時目的地側に20m進んだ位置を開始位置P0として予め設定されていてよい。CG画像の生成は、開始位置P0から車両20が一時目的地Ppに到達するまで行なわれる。
【0037】
車両20が一時目的地Ppに到達すると、位置判定部113は、車両20が最終目的地までに辿る経路中に、次の一時目的地が存在するか否かを判定する(S205)。該判定がNOの場合、表示装置1は、処理を終了する。
【0038】
該判定がYESの場合、ステップS203に遷移し、次の一時目的地において、上記と同様の処理を行なう。
【0039】
以上、表示装置1の指標表示の処理について説明した。
【0040】
CG画像生成部114は、車両20に固定されたCG座標系(x´,y´)で定義されるCG空間に、指標10のCG画像を生成する。
【0041】
CG画像生成部114は、CG座標系での視点位置を、観視者100の実際の視点位置に予め一致させておくのが望ましい。例えば、CG座標系での原点を観視者100の実際の視点位置に一致させてもよい。
【0042】
これにより、CG画像生成部114は、指標10がフロントガラス21前方の風景上に重畳しているように、観視者100に知覚させることができる。また、CG画像生成部114は、一定時間ごとに、カメラやセンサ等(不図示)を用いて、観視者100の視点位置を計測し、CG座標系での視点位置を調節してもよい。
【0043】
CG画像生成処理の詳細について説明する。図3は、ステップS204の処理の詳細を表すフローチャートである。図4は、指標10と開始位置P0と一時目的地Ppとの関係を表す一例図である。図4(a)は、外部からの俯瞰図である。図4(b)は、観視者100の視点から見た図である。
【0044】
CG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進むように観視者100に知覚される、複数の指標10のCG画像を順次生成し、提示部13は、指標10のCG画像が生成される毎に、指標10のCG画像を観視者100に提示する。(S2041)。
【0045】
CG画像生成部114は、開始位置P0に対応するCG空間での座標q0´から、指標10のCG画像を生成し始める。例えば、CG画像生成部114は、車両20の現在位置Pc0及び開始位置P0を用いて、式1によりCG座標系(x´,y´)における指標10の座標q0´=(x0´,y0´)を決定してよい。
【数1】
【0046】
CG画像生成部114は、CG座標系における座標q0´=(x0´,y0´)に指標10のCG画像を生成する。指標10が矢印の場合は、矢印の先端が座標q0´=(x0´,y0´)にあるように、指標10のCG画像を生成してよい。
【0047】
CG画像生成部114は、一の指標10のCG画像を提示部13が提示したときにおける、車両20の速度に基づいて、式2によりその次に生成する指標10のCG座標系における座標qk´=(xk´,yk´)(k=1,2,・・・)を決定し、指標10の画像を順次生成してよい。式2は、開始位置P0から車両20の現在位置座標を差し引き、車両20の速度と指標10の速度を考慮して、CG座標系における座標qk´を求めるものである。
【0048】
すなわち、Δt(例えば、1/30秒)の間隔で座標qk´にk番目の指標10のCG画像を順次生成する。Δtは、提示部13が、指標10のCG画像の一枚分を提示する時間である。
【数2】
【0049】
Vckは、k番目の指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)を表す。CG画像生成部114は、速度測定手段25からVckを獲得すればよい。vkは、k番目の指標10の速度(ベクトル)を表す。このvkを用いて(k+1)番目の指標10が示す経路上の位置を決定することができる。Vc0は、開始位置P0を示す指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)である。v0は、開始位置P0を示す指標10の速度(ベクトル)である。なお、vkの大きさ(|vk|)は、固定値(例えば|v0|)であっても構わないが、車両20の速度の大きさよりも大きいほうが好ましい。
【0050】
また、CG画像生成部114は、指標10が車両20に追い抜かれないように、Vckの大きさ(|Vck|)に応じて|vk|の値を変更しても構わない。例えば、常に|vk|>|Vck|となるように、|Vck|に応じて|vk|の値を変更しても構わない。
【0051】
k=0とは、開始位置P0を示す指標10のことである。
【0052】
また、k番目の指標10の方向dk´は、式3に示すように、車両20の速度Vckの単位ベクトルの方向から、k番目の指標10の速度vkの単位ベクトルに向かう方向であるのが望ましい。
【数3】
【0053】
これにより、CG画像生成部114は、車両20の現在位置や速度に応じて、指標10が示す方向を修正することができる。
【0054】
図5は、指標10が、一時目的地まで進む様子を観視者100の視点から見た図である。図5中の括弧書きの記号は、CG座標系における座標qk´を示す。上述したように、CG画像生成部114は、開始位置から一時目的地に向かって指標10が進むように、CG座標系における座標qk´の位置に指標10のCG画像を生成し、提示部13は、CG画像を動画的に観視者100に提示する。これにより、観視者100は、指標10が経路上を進むように知覚する。
【0055】
CG画像生成部114は、一時目的地に到達する指標10のCG画像を生成した後、一時目的地で一定時間静止して、観視者100に知覚されるような指標10のCG画像を生成する。提示部13は、指標10のCG画像を動画的に観視者100に提示する(S2042)。
【0056】
すなわち、CG画像生成部114は、一時目的地に到達する指標10のCG画像を生成したか否かを、例えば、式4により判断してもよい。式4は、開始位置を決定した時点の車両の現在位置Pc0から、順次生成した指標10の経路上における位置が一時目的地Ppとなったときを表す式である。
【数4】
【0057】
式4中のδは、実装時における誤差を考慮した閾値である。例えば、δ=0.1等として、設定されていてもよい。
【0058】
CG画像生成部114は、車両20が一時目的地Ppに接近するにつれて、指標10のCG画像を、CG座標系における観視者100の視点位置に近づくように生成する。
【0059】
つまり、CG画像生成部114は、CG空間において指標10を、車両20の速度に基づいて後退させるCG画像を生成する。例えば、CG画像生成部114は、一の指標10のCG画像を提示部13が提示したときにおける、車両20の速度に基づいて、式5により指標10のCG座標系における座標Qs´=(xs´,ys´)(s=1,2,・・・)を決定してよい。
【数5】
【0060】
Vcsは、s番目の指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)を表す。
【0061】
また、s番目の指標10の方向ds´は、式6に示すように、車両20の速度Vcsの単位ベクトルの方向から、s番目の指標10の速度vsの単位ベクトルに向かう方向であるのが望ましい。
【数6】
【0062】
これにより、CG画像生成部114は、車両20の位置や速度に応じて、指標10が示す方向を修正することができる。
【0063】
図6は、指標10が、一時目的地で静止している様子を観視者100の視点から見た図である。図6(a)は、時刻t=Tにおける様子を表す。時刻t=Tでは、既に指標10は、一時目的地Ppに到達している。図6(b)は、時刻t=T+Δtにおける様子を表す。図6(c)は、時刻t=T+2Δtにおける様子を表す。図6中の括弧書きの記号は、CG座標系における座標Qs´の位置を示す。
【0064】
図6に示すように、車両20が一時目的地Ppに接近するにつれて、CG画像生成部114は、指標10のCG座標系における座標を、Qs´、Qs+1´、Qs+2´というように、徐々に観視者100の視点位置に近づくようにしている。これにより、観視者100は、指標10が一時目的地で静止しているように知覚する。
【0065】
CG画像生成部114は、位置測定手段等を用いて、車両20が一時目的地Ppに到達したか否かを判定する(S2043)。該判定がNOの場合、ステップS2042に遷移する。
【0066】
該判定がYESの場合、CG画像生成部114は、指標10のCG画像を生成することをやめる。提示部13は、指標10のCG画像を提示することをやめる(S2044)。
【0067】
以上、ステップS204の詳細について説明した。
【0068】
本実施形態の表示装置1は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる。
【0069】
なお、本実施の形態において、生成部11は、2次元座標(x,y)を用いて全ての処理を行なったがこれに限られない。例えば、3次元座標(x,y,z)を用いて処理を行なうことにより、生成部11は、経路の起伏等に応じて、指標10を生成する座標を決定することができる。
【0070】
また、CG画像生成部114は、指標10が開始位置P0から一時目的地Ppまで到達するまでに要する時間Tm、及び指標10が一時目的地Ppで静止している時間Tsを、車両20の車速に応じて変更してもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、一次目的地を観視者に指示する方法について記載したが、最終目的地を支持する方法についても同様である。
【0072】
本実施の形態では、車両に搭載される表示装置1を例にして説明したが、これに限られない。例えば、表示装置1は、船舶、ヘリコプター、飛行機等の一般的な乗り物に用いることもできる。
【0073】
また、本実施の形態では、提示部13は光束5を車両20のフロントガラス21に反射させて観視者100の眼101に提示する場合を例としたが、これに限られない。例えば、画像形成部134がフロントガラス21に備えられていてもよい。この場合、画像形成部134からの光束5は、直接観視者100の眼101に提示される。
【0074】
(変形例)
本実施形態の変形例では、CG画像生成部114が指標10のCG画像を予め定めた一定の速度u(ベクトル)で生成する。本変形例は、車両20が一定速度Ucで走行している場合等に適用することができる。これにより、CG画像生成部114は、式2を用いてCG空間における指標10の座標を決定する必要がなくなるため、処理コストを抑えることができる。以下、本変形例について説明する。
【0075】
ステップS203における位置判定部113の判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、CG空間内で指標10を一定速度で進めたCG画像を順次生成する。
【0076】
このとき、CG画像生成部114は、指標10の速度u(一定値)と、車両20の現在位置Pc0から一時目的地Ppまでの距離Dと、車両20の速度Uc(一定値)と、一の画像の提示時間Δtとに基づき、一時目的地Ppまで進むように観視者100に知覚されるCG画像を生成する。
【0077】
例えば、指標10速度u=80(m/s)、距離D=100(m)、車両20の速度Uc=60(m/s)Δt=1/30(s)である場合、CG画像生成部114は、150枚のCG画像を順次生成することにより、一時目的地Ppまで指標10が進むように、観視者100に知覚させることができる。
【0078】
その後、一時目的地Ppで指標10が静止するように観視者100に知覚させる際は、CG画像生成部114は本実施の形態と同様の処理を行なう。
【0079】
本変形例により、CG画像生成部114の処理コストを抑えることができる。
【0080】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、CG画像生成部114の処理が第1の実施の形態の場合と異なる。図7は、本実施の形態の表示装置の使用例を表す図である。本実施の形態におけるCG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進む指標10のCG画像の生成中に、一時目的地Ppで静止している別の指標30のCG画像を生成する。指標30の形は、例えば、一時目的地Ppに略垂直に立つような棒状の形であってよい。これにより、観視者100は、一時目的地Ppをより直感的に認識することができる。
【0081】
図8は、本実施の形態における、指標30のCG画像を生成・提示する処理を表すフローチャートである。
【0082】
本実施の形態では、第1の実施の形態における、ステップS204の処理を図8に示すステップS804に置き換えた処理を行ない、指標30のCG画像を生成・提示する。ステップS204の処理とステップS804の処理とを並列に行う。以下、ステップS804の処理について説明する。
【0083】
ステップS203の判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、一時目的地Ppで静止して観視者100に知覚されるような指標30のCG画像を生成し、提示部13はCG画像を提示する(S8041)。
【0084】
例えば、CG画像生成部114は、式5を用いて、指標10のCG座標系における座標Qs´を決定し、その位置に指標30を配置すればよい。
【0085】
CG画像生成部114は、位置測定手段等を用いて、車両20が一時目的地Ppに到達したか否かを判定する(S8042)。該判定がNOの場合、ステップS8041に遷移する。
【0086】
該判定がYESの場合、CG画像生成部114は、指標30のCG画像を生成することをやめる。提示部13は、指標30のCG画像を提示することをやめる(S8043)。
【0087】
CG画像生成部114は、図8に示す処理と図3に示す処理を並列に行うことにより、開始位置P0から一時目的地Ppまで進む指標10のCG画像の生成中に、一時目的地Ppで静止している別の指標30のCG画像を生成する。
【0088】
なお、指標30が棒状の場合、CG画像生成部114は、予め定めた高さから下の部分を半透明にして、指標30を生成してもよい。これにより、車両20が走行する路面の起伏の影響を受けて、車両20が振動する場合であっても、観視者100は、一時目的地Ppを認識することができる。
【0089】
以上、上述した実施の形態により、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置を提供することができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 表示装置
5 光束
10、30 指標
11 生成部
12 記憶部
13 提示部
20 車両
21 フロントガラス
25 速度測定手段
100 観視者
101 眼
111 経路決定部
112 所定位置決定部
113 位置判定部
114 CG画像生成部
131 光源
132 制限部
133 拡散部
134 画像形成部
135 第1のレンズ
136 開口部
137 第2のレンズ
138 反射板
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物に搭載する表示装置として、ヘッドアップディスプレイ(HUD)がある。
【0003】
HUDは、乗り物の進行方向や、観視者に指示すべき位置を示す指標(例えば矢印)のCG画像を観視者(運転者)の眼に向かって提示する。
【0004】
このような表示装置においては、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−244355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る表示装置は、観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する生成部と、前記CG画像を前記観視者の眼に提示する提示部とを備える。前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記
乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る表示装置1を表すブロック図。
【図2】表示装置1の処理を表すフローチャート。
【図3】表示装置1の処理の一部の詳細を表すフローチャート。
【図4】指標10が示す位置の説明図。
【図5】表示装置1の使用例を表す図。
【図6】表示装置1の使用例を表す図。
【図7】第2の実施の形態に係る表示装置の使用例を表す図。
【図8】第2の実施の形態に係る表示装置の処理の一部の詳細を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置1を表すブロック図である。
【0012】
表示装置1は、ここでは車両20のナビゲーションシステムとともに用いられる車載用のヘッドアップディスプレイであり、指標10のCG画像を含んだ光束5を、観視者(ドライバー)100の眼101に提示する(片眼でも両眼でもよい)。指標10とは、車両20の進行方向や、観視者100に指示したい位置を矢印等で表したものである。これにより、観視者100は、指標10のCG画像をフロントガラス21より前方の風景に重畳された像として知覚する。
【0013】
表示装置1は、車両20が、最終的に到達すべき目的地(最終目的地)までの経路上にある一時的な目的地(一時目的地)に接近した時点で、指標10のCG画像の表示を開始する。一時目的地とは、最終目的地までの経路上で、観視者100に案内や注意を促す場面、例えば、右折や左折する必要がある交差点をいう。
【0014】
表示装置1は、観視者100から見える前方の風景内において、一時目的地に向かって指標10自体が順次移動しているように、さらに一時目的地に達した後は当該箇所で一定時間静止しているように、観視者100に知覚させる。これにより、表示装置1は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる。
【0015】
表示装置1は、生成部11と、記憶部12と、提示部13とを含む。
【0016】
生成部11は、経路決定部111と、所定位置決定部112と、位置判定部113と、CG画像生成部114と、を備える。生成部11及び記憶部12は、中央演算処理装置(CPU)及びCPUが用いるメモリにより実現されてよい。
【0017】
経路決定部111は、観視者100が所望する車両20の最終目的地の情報を受け取ると、地図情報を用いて、最終目的地に至るまでに、車両20が辿るべき経路を決定する。地図情報は、道路地図の情報を含む。例えば、地図情報は記憶部12に記憶されている。
【0018】
所定位置決定部112は、経路決定部111が決定した経路中において、一又は複数の一時目的地を決定して、記憶部12に記憶させる。
【0019】
位置判定部113は、車両情報を用いて、車両20がいずれか一の一時目的地に接近したか否かを判定する。車両情報は、車両20の現在位置及び速度の情報を含む。車両情報は、車両20の現在位置を測定する図示しない位置測定手段(例えば、GPS)や、車両20の速度を測定する速度測定手段25(例えば、スピードメータ等)から獲得される。
【0020】
一時目的地に車両20が接近した場合、CG画像生成部114は、複数の指標10のCG画像を生成する。各々の指標10は、開始位置(指標10が初めに指し示す経路上の位置)から一時目的地まで進み、さらに一時目的地で一定時間静止して観視者100に知覚されるように順次生成される。CG画像生成部114は、各指標10のCG画像を提示部13に出力する。詳細は後述する。
【0021】
提示部13は指標10のCG画像を含んだ光束5を観視者100に提示する。すなわち、提示部13は、光束5をフロントガラス21に向けて照射する。フロントガラス21には、コンバイナが設けられていてもよい。フロントガラス21は、光束5を観視者100の眼101に向かって反射させる。
【0022】
提示部13は、光源131と、制限部132と、拡散部133と、画像形成部134と、第1のレンズ135と、開口部136と、第2のレンズ137と、反射板138とを含む。
【0023】
第1のレンズ135の焦点距離をf1、第2のレンズ137の焦点距離をf2とすると、開口部136は、第1のレンズ135からf1の距離で、かつ第2のレンズ137からf2の距離の位置に設置されている。
【0024】
光源131から出射した光束5は、制限部132で、進行方向が制限された状態で、拡散部133を備えた画像形成部134へと入射する。拡散部133により、光束5は拡散されて一様に画像形成部134へと入射することができる。画像形成部134は、光束5を部分的に透過もしくは遮断することにより、指標10の形状をした光束5を形成する。
【0025】
画像形成部134を通った光束5は、第1のレンズ135と開口部136と第2のレンズ137を通過する。光束5は発散角(光束5が拡がっていく角度)が制御された状態で反射板138へと入射する。反射板138は、光束5をフロントガラス21に向けて反射させる。
【0026】
画像形成部134が開口部136よりも光源131側にあることにより、開口部136が画像形成部134よりも光源131側にある場合に比べて、画像形成部134を通る光束5の透過率を高くすることができる。そのため、光源131の消費電力を抑えられる。
【0027】
光源131には発光ダイオードや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー等が用いられる。制限部132にはテーパライトガイド、拡散部133には拡散フィルターや拡散板、画像形成部134には液晶ディスプレイやデジタルミラーデバイス等が用いられる。
【0028】
図2は、表示装置1の指標表示の処理を表すフローチャートである。
【0029】
経路決定部111は、最終目的地までの経路を決定する(S201)。すなわち、経路決定部111は、記憶部12に記憶されている地図情報を読み出す。経路決定部111は、位置測定手段(例えば、GPS)を用いて、車両20の現在位置を割り出す。現在位置は、ある地点を基準とするような位置P(x,y)等で示されてよい。例えば、位置P(x,y)は、(経度,緯度)で表わされる経緯度座標で示されてもよい。
【0030】
最終目的地が設定されると(例えば、観視者100により、図示しない入力部に最終目的地が指定されると)、経路決定部111は、現在位置から最終目的地までに、車両20が辿るべき経路を決定する。
【0031】
所定位置決定部112は、最終目的地までの経路上において、一又は複数の一時目的地の位置を決定する(S202)。例えば、所定位置決定部112は、最終目的地までの経路上で右折や左折をすべき交差点の位置Pp=(Xpn,Ypn)(n=1,2,3,…)を一時目的地に決定し、得られた一時目的地の位置を記憶部12に記憶する。
【0032】
車両20の走行中、位置判定部113は、車両20が一時目的地に接近したか否かを判定する(S203)。該判定は、車両20の現在位置Pcから一時目的地Ppまでの距離Dが、所定値以内となったか否かで判定することができる。車両20の現在位置Pcは、車両20の先端の位置でも、車両20に乗車する観視者100の位置でも構わない。
【0033】
まず、位置判定部113は、位置測定手段を用いて、車両20の現在位置Pc=(Xc,Yc)を割り出す。次に位置判定部113は、車両20の現在位置Pcから一時目的地Ppまでの距離Dを求める。距離Dが、所定値以内となったか否かを判定する。
【0034】
例えば、位置判定部113は、距離Dが、100m以内となったか否かを判定する。該判定がNOの場合は、YES判定となるまで判定を繰り返す。
【0035】
該判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進み、一時目的地Ppで一定時間静止して観視者100に知覚されるような指標10のCG画像を生成する。(S204)。開始位置P0とは、指標10が初めに示す経路上の位置をいう。
【0036】
開始位置は、一時目的地Ppまでの距離が所定値以内となったときの車両20の現在位置Pc0から、一時目的地側に一定距離進んだ位置P0=(x0,y0)として予め設定されていてよい。例えば、一時目的地Ppまでの距離が、100mとなったときの車両20の現在位置Pc0から、一時目的地側に20m進んだ位置を開始位置P0として予め設定されていてよい。CG画像の生成は、開始位置P0から車両20が一時目的地Ppに到達するまで行なわれる。
【0037】
車両20が一時目的地Ppに到達すると、位置判定部113は、車両20が最終目的地までに辿る経路中に、次の一時目的地が存在するか否かを判定する(S205)。該判定がNOの場合、表示装置1は、処理を終了する。
【0038】
該判定がYESの場合、ステップS203に遷移し、次の一時目的地において、上記と同様の処理を行なう。
【0039】
以上、表示装置1の指標表示の処理について説明した。
【0040】
CG画像生成部114は、車両20に固定されたCG座標系(x´,y´)で定義されるCG空間に、指標10のCG画像を生成する。
【0041】
CG画像生成部114は、CG座標系での視点位置を、観視者100の実際の視点位置に予め一致させておくのが望ましい。例えば、CG座標系での原点を観視者100の実際の視点位置に一致させてもよい。
【0042】
これにより、CG画像生成部114は、指標10がフロントガラス21前方の風景上に重畳しているように、観視者100に知覚させることができる。また、CG画像生成部114は、一定時間ごとに、カメラやセンサ等(不図示)を用いて、観視者100の視点位置を計測し、CG座標系での視点位置を調節してもよい。
【0043】
CG画像生成処理の詳細について説明する。図3は、ステップS204の処理の詳細を表すフローチャートである。図4は、指標10と開始位置P0と一時目的地Ppとの関係を表す一例図である。図4(a)は、外部からの俯瞰図である。図4(b)は、観視者100の視点から見た図である。
【0044】
CG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進むように観視者100に知覚される、複数の指標10のCG画像を順次生成し、提示部13は、指標10のCG画像が生成される毎に、指標10のCG画像を観視者100に提示する。(S2041)。
【0045】
CG画像生成部114は、開始位置P0に対応するCG空間での座標q0´から、指標10のCG画像を生成し始める。例えば、CG画像生成部114は、車両20の現在位置Pc0及び開始位置P0を用いて、式1によりCG座標系(x´,y´)における指標10の座標q0´=(x0´,y0´)を決定してよい。
【数1】
【0046】
CG画像生成部114は、CG座標系における座標q0´=(x0´,y0´)に指標10のCG画像を生成する。指標10が矢印の場合は、矢印の先端が座標q0´=(x0´,y0´)にあるように、指標10のCG画像を生成してよい。
【0047】
CG画像生成部114は、一の指標10のCG画像を提示部13が提示したときにおける、車両20の速度に基づいて、式2によりその次に生成する指標10のCG座標系における座標qk´=(xk´,yk´)(k=1,2,・・・)を決定し、指標10の画像を順次生成してよい。式2は、開始位置P0から車両20の現在位置座標を差し引き、車両20の速度と指標10の速度を考慮して、CG座標系における座標qk´を求めるものである。
【0048】
すなわち、Δt(例えば、1/30秒)の間隔で座標qk´にk番目の指標10のCG画像を順次生成する。Δtは、提示部13が、指標10のCG画像の一枚分を提示する時間である。
【数2】
【0049】
Vckは、k番目の指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)を表す。CG画像生成部114は、速度測定手段25からVckを獲得すればよい。vkは、k番目の指標10の速度(ベクトル)を表す。このvkを用いて(k+1)番目の指標10が示す経路上の位置を決定することができる。Vc0は、開始位置P0を示す指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)である。v0は、開始位置P0を示す指標10の速度(ベクトル)である。なお、vkの大きさ(|vk|)は、固定値(例えば|v0|)であっても構わないが、車両20の速度の大きさよりも大きいほうが好ましい。
【0050】
また、CG画像生成部114は、指標10が車両20に追い抜かれないように、Vckの大きさ(|Vck|)に応じて|vk|の値を変更しても構わない。例えば、常に|vk|>|Vck|となるように、|Vck|に応じて|vk|の値を変更しても構わない。
【0051】
k=0とは、開始位置P0を示す指標10のことである。
【0052】
また、k番目の指標10の方向dk´は、式3に示すように、車両20の速度Vckの単位ベクトルの方向から、k番目の指標10の速度vkの単位ベクトルに向かう方向であるのが望ましい。
【数3】
【0053】
これにより、CG画像生成部114は、車両20の現在位置や速度に応じて、指標10が示す方向を修正することができる。
【0054】
図5は、指標10が、一時目的地まで進む様子を観視者100の視点から見た図である。図5中の括弧書きの記号は、CG座標系における座標qk´を示す。上述したように、CG画像生成部114は、開始位置から一時目的地に向かって指標10が進むように、CG座標系における座標qk´の位置に指標10のCG画像を生成し、提示部13は、CG画像を動画的に観視者100に提示する。これにより、観視者100は、指標10が経路上を進むように知覚する。
【0055】
CG画像生成部114は、一時目的地に到達する指標10のCG画像を生成した後、一時目的地で一定時間静止して、観視者100に知覚されるような指標10のCG画像を生成する。提示部13は、指標10のCG画像を動画的に観視者100に提示する(S2042)。
【0056】
すなわち、CG画像生成部114は、一時目的地に到達する指標10のCG画像を生成したか否かを、例えば、式4により判断してもよい。式4は、開始位置を決定した時点の車両の現在位置Pc0から、順次生成した指標10の経路上における位置が一時目的地Ppとなったときを表す式である。
【数4】
【0057】
式4中のδは、実装時における誤差を考慮した閾値である。例えば、δ=0.1等として、設定されていてもよい。
【0058】
CG画像生成部114は、車両20が一時目的地Ppに接近するにつれて、指標10のCG画像を、CG座標系における観視者100の視点位置に近づくように生成する。
【0059】
つまり、CG画像生成部114は、CG空間において指標10を、車両20の速度に基づいて後退させるCG画像を生成する。例えば、CG画像生成部114は、一の指標10のCG画像を提示部13が提示したときにおける、車両20の速度に基づいて、式5により指標10のCG座標系における座標Qs´=(xs´,ys´)(s=1,2,・・・)を決定してよい。
【数5】
【0060】
Vcsは、s番目の指標10のCG画像の提示時における車両20の速度(ベクトル)を表す。
【0061】
また、s番目の指標10の方向ds´は、式6に示すように、車両20の速度Vcsの単位ベクトルの方向から、s番目の指標10の速度vsの単位ベクトルに向かう方向であるのが望ましい。
【数6】
【0062】
これにより、CG画像生成部114は、車両20の位置や速度に応じて、指標10が示す方向を修正することができる。
【0063】
図6は、指標10が、一時目的地で静止している様子を観視者100の視点から見た図である。図6(a)は、時刻t=Tにおける様子を表す。時刻t=Tでは、既に指標10は、一時目的地Ppに到達している。図6(b)は、時刻t=T+Δtにおける様子を表す。図6(c)は、時刻t=T+2Δtにおける様子を表す。図6中の括弧書きの記号は、CG座標系における座標Qs´の位置を示す。
【0064】
図6に示すように、車両20が一時目的地Ppに接近するにつれて、CG画像生成部114は、指標10のCG座標系における座標を、Qs´、Qs+1´、Qs+2´というように、徐々に観視者100の視点位置に近づくようにしている。これにより、観視者100は、指標10が一時目的地で静止しているように知覚する。
【0065】
CG画像生成部114は、位置測定手段等を用いて、車両20が一時目的地Ppに到達したか否かを判定する(S2043)。該判定がNOの場合、ステップS2042に遷移する。
【0066】
該判定がYESの場合、CG画像生成部114は、指標10のCG画像を生成することをやめる。提示部13は、指標10のCG画像を提示することをやめる(S2044)。
【0067】
以上、ステップS204の詳細について説明した。
【0068】
本実施形態の表示装置1は、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる。
【0069】
なお、本実施の形態において、生成部11は、2次元座標(x,y)を用いて全ての処理を行なったがこれに限られない。例えば、3次元座標(x,y,z)を用いて処理を行なうことにより、生成部11は、経路の起伏等に応じて、指標10を生成する座標を決定することができる。
【0070】
また、CG画像生成部114は、指標10が開始位置P0から一時目的地Ppまで到達するまでに要する時間Tm、及び指標10が一時目的地Ppで静止している時間Tsを、車両20の車速に応じて変更してもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、一次目的地を観視者に指示する方法について記載したが、最終目的地を支持する方法についても同様である。
【0072】
本実施の形態では、車両に搭載される表示装置1を例にして説明したが、これに限られない。例えば、表示装置1は、船舶、ヘリコプター、飛行機等の一般的な乗り物に用いることもできる。
【0073】
また、本実施の形態では、提示部13は光束5を車両20のフロントガラス21に反射させて観視者100の眼101に提示する場合を例としたが、これに限られない。例えば、画像形成部134がフロントガラス21に備えられていてもよい。この場合、画像形成部134からの光束5は、直接観視者100の眼101に提示される。
【0074】
(変形例)
本実施形態の変形例では、CG画像生成部114が指標10のCG画像を予め定めた一定の速度u(ベクトル)で生成する。本変形例は、車両20が一定速度Ucで走行している場合等に適用することができる。これにより、CG画像生成部114は、式2を用いてCG空間における指標10の座標を決定する必要がなくなるため、処理コストを抑えることができる。以下、本変形例について説明する。
【0075】
ステップS203における位置判定部113の判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、CG空間内で指標10を一定速度で進めたCG画像を順次生成する。
【0076】
このとき、CG画像生成部114は、指標10の速度u(一定値)と、車両20の現在位置Pc0から一時目的地Ppまでの距離Dと、車両20の速度Uc(一定値)と、一の画像の提示時間Δtとに基づき、一時目的地Ppまで進むように観視者100に知覚されるCG画像を生成する。
【0077】
例えば、指標10速度u=80(m/s)、距離D=100(m)、車両20の速度Uc=60(m/s)Δt=1/30(s)である場合、CG画像生成部114は、150枚のCG画像を順次生成することにより、一時目的地Ppまで指標10が進むように、観視者100に知覚させることができる。
【0078】
その後、一時目的地Ppで指標10が静止するように観視者100に知覚させる際は、CG画像生成部114は本実施の形態と同様の処理を行なう。
【0079】
本変形例により、CG画像生成部114の処理コストを抑えることができる。
【0080】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、CG画像生成部114の処理が第1の実施の形態の場合と異なる。図7は、本実施の形態の表示装置の使用例を表す図である。本実施の形態におけるCG画像生成部114は、開始位置P0から一時目的地Ppまで進む指標10のCG画像の生成中に、一時目的地Ppで静止している別の指標30のCG画像を生成する。指標30の形は、例えば、一時目的地Ppに略垂直に立つような棒状の形であってよい。これにより、観視者100は、一時目的地Ppをより直感的に認識することができる。
【0081】
図8は、本実施の形態における、指標30のCG画像を生成・提示する処理を表すフローチャートである。
【0082】
本実施の形態では、第1の実施の形態における、ステップS204の処理を図8に示すステップS804に置き換えた処理を行ない、指標30のCG画像を生成・提示する。ステップS204の処理とステップS804の処理とを並列に行う。以下、ステップS804の処理について説明する。
【0083】
ステップS203の判定がYESとなった場合、CG画像生成部114は、一時目的地Ppで静止して観視者100に知覚されるような指標30のCG画像を生成し、提示部13はCG画像を提示する(S8041)。
【0084】
例えば、CG画像生成部114は、式5を用いて、指標10のCG座標系における座標Qs´を決定し、その位置に指標30を配置すればよい。
【0085】
CG画像生成部114は、位置測定手段等を用いて、車両20が一時目的地Ppに到達したか否かを判定する(S8042)。該判定がNOの場合、ステップS8041に遷移する。
【0086】
該判定がYESの場合、CG画像生成部114は、指標30のCG画像を生成することをやめる。提示部13は、指標30のCG画像を提示することをやめる(S8043)。
【0087】
CG画像生成部114は、図8に示す処理と図3に示す処理を並列に行うことにより、開始位置P0から一時目的地Ppまで進む指標10のCG画像の生成中に、一時目的地Ppで静止している別の指標30のCG画像を生成する。
【0088】
なお、指標30が棒状の場合、CG画像生成部114は、予め定めた高さから下の部分を半透明にして、指標30を生成してもよい。これにより、車両20が走行する路面の起伏の影響を受けて、車両20が振動する場合であっても、観視者100は、一時目的地Ppを認識することができる。
【0089】
以上、上述した実施の形態により、観視者に対し、より見やすい指標のCG画像を提示することができる表示装置を提供することができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 表示装置
5 光束
10、30 指標
11 生成部
12 記憶部
13 提示部
20 車両
21 フロントガラス
25 速度測定手段
100 観視者
101 眼
111 経路決定部
112 所定位置決定部
113 位置判定部
114 CG画像生成部
131 光源
132 制限部
133 拡散部
134 画像形成部
135 第1のレンズ
136 開口部
137 第2のレンズ
138 反射板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に搭載される表示装置であって、
観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する生成部と、
前記CG画像を前記観視者の眼に提示する提示部と、を備え、
前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することにより、
前記指標が、前記風景上において、前記乗り物側から遠方へと進み、さらに所定位置で一定時間静止するように前記観視者に知覚させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記生成部は、
地図情報を用いて、前記乗り物の最終目的地までの経路を決定する経路決定部と、
前記経路に基づいて前記所定位置を決定する所定位置決定部と、
前記乗り物から前記所定位置までの距離が所定の閾値以下となったか否かを判定する位置判定部と、
判定が真の場合に、前記CG画像の群を生成するCG画像生成部と、
を有することを特徴とする、請求項1の表示装置。
【請求項3】
前記CG画像生成部は、
前記CG空間内において、前記乗り物の速度に基づいて、前記指標を配置する座標を計算し、計算した前記座標に前記指標を配置した前記画像を順次生成する
ことを特徴とする、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記CG画像生成部は、
前記指標の画像の生成を開始するとともに、前記所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退する前記指標の画像を生成する
ことを特徴とする、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
乗り物に搭載される表示装置の表示方法であって、
観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成し、
前記CG画像を前記観視者の眼に提示し、
前記生成の際は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することにより、
前記指標が、前記風景上において、前記乗り物側から遠方へと進み、さらに所定位置で一定時間静止するように前記観視者に知覚させる
ことを特徴とする表示方法。
【請求項1】
乗り物に搭載される表示装置であって、
観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成する生成部と、
前記CG画像を前記観視者の眼に提示する提示部と、を備え、
前記生成部は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することにより、
前記指標が、前記風景上において、前記乗り物側から遠方へと進み、さらに所定位置で一定時間静止するように前記観視者に知覚させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記生成部は、
地図情報を用いて、前記乗り物の最終目的地までの経路を決定する経路決定部と、
前記経路に基づいて前記所定位置を決定する所定位置決定部と、
前記乗り物から前記所定位置までの距離が所定の閾値以下となったか否かを判定する位置判定部と、
判定が真の場合に、前記CG画像の群を生成するCG画像生成部と、
を有することを特徴とする、請求項1の表示装置。
【請求項3】
前記CG画像生成部は、
前記CG空間内において、前記乗り物の速度に基づいて、前記指標を配置する座標を計算し、計算した前記座標に前記指標を配置した前記画像を順次生成する
ことを特徴とする、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記CG画像生成部は、
前記指標の画像の生成を開始するとともに、前記所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退する前記指標の画像を生成する
ことを特徴とする、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
乗り物に搭載される表示装置の表示方法であって、
観視者に知覚させる指標のCG画像を、前記観視者の視点位置からみた風景に対応させた座標系を持つCG空間内において生成し、
前記CG画像を前記観視者の眼に提示し、
前記生成の際は、前記CG空間内において前記指標を進め、かつ、所定座標から前記乗り物の速度に応じて後退させる前記CG画像の群を生成することにより、
前記指標が、前記風景上において、前記乗り物側から遠方へと進み、さらに所定位置で一定時間静止するように前記観視者に知覚させる
ことを特徴とする表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−253097(P2011−253097A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127753(P2010−127753)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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