説明

表示装置及び表示装置の製造方法

【課題】カラーフィルタに限らず、他の配線等のズレ確認にも使用でき、且つ目視するだ
けで簡単にそのズレ量を検出することが可能なアライメント形成部を設けた表示装置を提
供すること。
【解決手段】本発明の表示装置1は、基板10上に複数の薄膜材料が積層された構成を備
える表示装置において、前記基板10上の所定位置にはアライメントマーク形成部20が
設けられており、前記アライメントマーク形成部20には所定形状に合わせて設けられた
目盛り21と、前記複数の薄膜材料と同一材料からなる複数の前記所定形状のアライメン
トマーク22と、が積層形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及び表示装置の製造方法に関するものである。更に詳しくは、測長す
ることなく単に顕微鏡等を用いて目視するだけで基板上に成膜された部材の位置ずれを確
認することが可能な、アライメントマーク形成部を有する表示装置及び表示装置の製造方
法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及している薄型の表示装置、例えば液晶表示装置や有機EL素子を用いた
表示装置等においては、基板上に各種配線を形成し、この配線に所定の信号を入力するこ
とで任意の画像を表示するようになっている。これらの表示装置のうち、例えば液晶表示
装置は、表面に各種配線等が積層形成された一対の基板間に液晶を挟持して構成されてい
る。
【0003】
このように表面に各種配線等が積層形成されている基板を用いる表示装置においては、
各種配線等の成膜が厳密に所定の位置に設けられているか否かを判別する必要がある。そ
こで、従来からこれらの配線等の位置決め精度を確認するための構成を有する表示装置が
考えられている(例えば下記特許文献1参照)。
【0004】
例えば、下記特許文献1に開示された色ズレ量確認マーク付きカラーフィルターは、透
明基板の額縁部分に色ズレ量確認マークを形成し、この色ズレ量確認マークを測定するこ
とでカラーフィルターのズレを検出するものである。
【特許文献1】特開平10−115702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された発明によれば、単に色ズレ量確認マークを測定するカラー
フィルターのズレ量を知ることが可能である。しかしながら、このような方法では、実際
にカラーフィルターがどの程度ずれているかが判断し難い。また、この方法はカラーフィ
ルターが半透明であるために採用できる確認方法であって、他の基板、例えば駆動用配線
等のズレの検出には採用することができない。
【0006】
加えて、特許文献1には、X・Y方向のパターンズレを確認するために、BMで出来たバ
ーニヤが各方向に対応して、シート状の基板端部に配置されている構造が開示されている
。この構造により、シート状でのパターンズレを流動中に確認し、次工程への流出防止が
可能となる。しかしシート状の場合、表示装置の基板端部にバーニヤが配置されてないた
め、パネル完成状態での微細なパターンズレを確認することが困難である。そして、明確
なパターンズレは判断できるが、積層した状態のパターンズレを目視で即座に判断する事
は出来ない。そのため、特許文献1のように夫々のレイヤー毎にパターンズレを確認する
バーニヤでは、幾層にも重畳されて発生する複合系の微細なズレは確認できない。また、
バーニヤが表示装置に搭載されていない場合、パネル完成状態での点灯検査で、微細なパ
ターンズレが原因となるフリッカ・クロストーク・光漏れ等の不良が確認された際に、ど
のレイヤーのパターンズレで発生した不良なのか特定できない。そのため、別の解析でレ
イヤーを特定する必要があり、フィードバックに時間がかかる。以上のことから、特許文
献1の構造は、多層構造のパターンズレを確認するには不向きな構造である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、カラー
フィルタに限らず、他の配線等のズレ確認にも使用でき、且つ目視するだけで簡単にその
ズレ量を検出することが可能なアライメント形成部を設けた表示装置を提供することであ
る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願の表示装置に係る発明は、基板上に複数の薄膜材料が
積層された構成を備える表示装置において、前記基板上の所定位置にはアライメントマー
ク形成部が設けられており、前記アライメントマーク形成部には所定形状に合わせて設け
られた目盛りと、前記複数の薄膜材料と同一材料からなる複数の前記所定形状のアライメ
ントマークと、が積層形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記表示装置によれば、基板上の所定位置に形成される薄膜材料の位置ズレを検出する
ためのアライメントマーク形成部を設け、このアライメントメーク形成部に目盛りとアラ
イメントマークを積層成膜する。これにより、このアライメントマーク形成部を顕微鏡等
で目視することにより、簡単に基板上の薄膜材料からなる各種配線等のズレ量を認識でき
、以って基板の不良品を簡単な方法で判別することが可能となる。また、目盛りを設けた
ことで別途測定器等を用いる異なるズレ量を検出できるので、不良品の判別を短時間で行
うことが可能となる。また、流動中に確認できなかった微細なパターンズレ等は、パネル
完成状態でアライメントマークを確認する事で、どのレイヤーがパターンズレを生じてい
たか容易に確認する事が可能となる。
【0010】
また、上記発明において、前記目盛りは、積層された前記複数の薄膜材料のうちの最下
層に設けられた薄膜材料で形成されていると好ましい。
【0011】
上記好ましい態様によれば、目盛りを薄膜材料のうちの1つで形成することにより、目
盛りを形成するために別途製造工程を追加する必要がなくなる。また、この目盛りは薄膜
材料のうちの最下層に位置するものと同一材料・同一工程で形成されることになるので、
この最下層に位置する薄膜材料に対する以降に成膜される薄膜材料のズレ量を認識するこ
とが可能となり、各種薄膜材料の相対的な位置ズレを認識することが可能となる。
【0012】
また、上記発明において、前記複数のアライメントマークは、前記目盛りの長さよりも
短く、且つ前記目盛りの幅より細いと好ましい。
【0013】
上記好ましい態様によれば、平面視で目盛りが常に目視できるよう、目盛りの幅及び長
さをアライメントマークの幅及び長さより長く設定することで、視認性が向上し、不良品
の判定が簡単に行えるようになる。
【0014】
また、上記発明において、前記複数のアライメントマークは、下層に位置する前記アラ
イメントマークより上層に位置する前記アライメントマークの方が長さ及び幅の少なくと
も一方が小さく形成されていると好ましい。
【0015】
上記好ましい態様によれば、複数のアライメントマークの幅、あるいは長さを異ならせ
ることで、積層形成されていても容易に各層に対するズレ量を検出できるようになる。
【0016】
また、上記発明において、前記基板は、中心部が表示領域を形成するとともに前記表示
領域の外周囲が額縁領域を形成しており、前記アライメントマーク形成部は前記額縁領域
の隅部に形成されていると好ましい。
【0017】
上記好ましい態様によれば、アライメントマークは表示領域外に形成しても何ら問題な
いので、表示品質を低下させることなく表示領域内に形成された各種配線等の成膜精度を
認識することができるようになる。
【0018】
また、上記発明において、前記所定形状とは、十字状であると好ましい。
【0019】
上記好ましい態様によれば、十字状のアライメントマークは最も縦方向及び横方向のズ
レ量を認識しやすいため、視認性が更に向上する。
【0020】
本願の表示装置の製造方法に係る発明は、複数の薄膜材料が積層された基板を有する表
示装置を製造する方法であって、以下の(1)〜(2)に示す工程を含むことを特徴とす
る。
(1)前記複数の薄膜材料のうちの1つを前記基板上に成膜すると共に、前記基板上の所
定位置に設けられたアライメントマーク形成部に前記複数の薄膜材料のうちの1つと同一
材料からなる所定形状の目盛りを前記1つの薄膜材料と同時に形成する工程、
(2)前記複数の薄膜材料を前記基板上に順次成膜すると共に、前記アライメントマーク
形成部に前記薄膜材料と同一材料からなる前記所定形状のアライメントマークを前記複数
の薄膜材料と同時に順次形成する工程。
【0021】
上記表示装置の製造方法の発明によれば、アライメントマーク形成部に、複数の薄膜材
料と同時に目盛り及びアライメントマークを成膜することで、上述した効果を得ることが
できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態
は、本発明の技術思想を具体化するための表示装置及び表示装置の製造方法を例示するた
めの液晶表示装置であって、本発明をこの液晶表示装置に特定することを意図するもので
はなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のもの、例えば有機EL素子を用い
た表示装置等にも等しく適応し得るものである。
【0023】
また、以下に示す実施形態においては、TN(Twisted Nematic)モードあるいはVA(
Vertical Alignment)モードで駆動する液晶表示装置について説明するが、他のモード、
例えばIPS(In-Plane Switching)モードあるいはFFS(Fringe Field Switching)
モード等であっても同様に適応可能である。なお、この明細書における説明のために用い
られた各図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、
各層や各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示さ
れているものではない。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。図2は図1の液晶表示
装置のアレイ基板の1サブ画素を拡大して示す拡大平面図である。図3は図2のIII−III
線で切断した断面図である。図4はアライメントマーク形成部に形成される各層を分解し
て示す分解斜視図である。図5はアライメントマーク形成部の拡大平面図である。図6は
図5のVI−VI線で切断した断面図である。図7はアライメントマーク形成部の変形例を示
す拡大平面図である。
【0025】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置1は、図1に示すように、アレイ基板AR及び
カラーフィルタ基板CFと、両基板AR、CFを貼り合わせるシール材2と、アレイ基板
AR、カラーフィルタ基板CF及びシール材2により囲まれた領域に封入された液晶層4
0(図3参照)と、から構成されたいわゆるCOG(Chip On Glass)型の液晶表示装置
である。この液晶表示装置1においては、シール材2により囲まれた領域が表示領域DA
を形成しており、この表示領域DAの外側が額縁領域となっている。なお、図1には表示
領域DAに当たる領域に格子状のハッチングが施されている。
【0026】
アレイ基板ARは、図1〜図3に示すように、矩形状のガラス基板からなる透明基板1
0の表面に液晶駆動用の各種配線等が形成されたものである。このアレイ基板ARはカラ
ーフィルタ基板CFよりもその長手方向の長さが長く、両基板AR、CFを貼り合わせた
際に外部に延在する延在部10aが形成されるようになっている。この延在部10aには
駆動信号を出力するICチップあるいはLSI等からなるドライバDrと、後述するアラ
イメントマーク形成部20が設けられている。
【0027】
アレイ基板ARの透明基板10上の表示領域DA内には、図2に示すように、マトリク
ス状に複数本の走査線11及び信号線12が形成されており、この複数本の走査線11及
び信号線12は、表示領域DA外まで延出されて引回されてドライバDrに接続されてい
る。
【0028】
更に、アレイ基板ARの表示領域DA内には、図3に示すように、複数本の走査線11
及び信号線12に加えて、複数本の走査線11間に設けられこの走査線11と平行な複数
本の補助容量線13と、ソース電極S、ゲート電極G、ドレイン電極D、及び半導体層1
54からなるスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)と、走査線11
と信号線12とで囲まれた領域を覆う画素電極18と、が設けられている。なお、TFT
の半導体層15としてはポリシリコン(p−Si)、アモルファスシリコン(a−Si)
あるいはLTPS(Low Temperature Poly Silicon)が通常用いられる。また、複数本の
走査線11及び信号線12により囲まれた領域が1画素領域(サブ画素)PAを形成して
いる。
【0029】
カラーフィルタ基板CFは、図1及び図3に示すように、矩形状のガラス基板からなる
透明基板30の表面に液晶駆動用の各種配線等が形成されたものである。詳しくは、アレ
イ基板ARに形成された走査線11及び信号線12に合わせて格子状に形成されるととも
にアレイ基板ARに形成されたTFT上を覆うように形成された遮光層31と、各画素領
域PA1にそれぞれ形成された複数色、例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各
色からなるカラーフィルタ層32と、遮光層31及びカラーフィルタ層32とを覆う保護
膜33とを備えている。なお、遮光層31の形状は、上記のような格子状に必ずしも限定
されるものではなく、例えばストライプ状やTFT上を覆うだけの形状であってもよい。
【0030】
加えて、この保護膜33の表面には、アレイ基板ARに設けられた画素電極18との間
で電界を形成し液晶層40を駆動するためのITOまたはIZOからなる共通電極34と
、この共通電極34の表面を覆う配向膜35と、が形成されている。共通電極34は、カ
ラーフィルタ基板CFの額縁部分に形成されたトランスファ電極T(図1参照)を介して
アレイ基板AR側に引回されており、ドライバDrに接続されている。なお、このカラー
フィルタ基板CF及び上述したアレイ基板ARの外側表面には偏光板41(図3参照)が
配設されている。
【0031】
次に、図4〜図6を参照して液晶表示装置1に形成されるアライメントマーク形成部2
0の構成について詳細に説明する。なお、図5には、複数のアライメントマーク22〜2
4のそれぞれに異なるハッチングを施して示している。また、本実施形態においては、ア
ライメントマーク形成部20をアレイ基板ARの表示領域DAの外側の額縁領域の一隅部
(図1中における左下部分)に形成した例について説明するが、このアライメントマーク
形成部20はアレイ基板ARの額縁領域内であれば他の隅部に形成してもよく、またカラ
ーフィルタ基板CFの額縁領域に同様のものを設けることも可能である。
【0032】
アライメントマーク形成部20には、図4及び図5に示すように、縦横に延びる十字状
の目盛り21と、この目盛り21上に積層形成された複数(本実施形態においては3つ)
のアライメントマーク22〜24と、が配設されている。このうち、目盛り21は、主線
が縦横に延在した十字状をなし、この主線の側面から所定間隔をおいて複数本の従線が延
びた形状の薄膜部材により形成されている。
【0033】
また、複数のアライメントマーク22〜24は、目盛り21上に順に積層形成された十
字状の薄膜部材で形成されている。また、この複数のアライメントマーク22〜24は、
最も下層に形成されたアライメントマーク22の幅W1及び長さL1に対して、他の2つ
のアライメントマーク23、24の幅W2、W3及び長さL2、L3が短く設定されてい
る。加えて、上記他の2つのアライメントマーク23、24は、下層に位置するアライメ
ントマーク23の幅W2及び長さL2に対して、上層に位置するアライメントマーク24
の幅W3及び長さL3が短く設定されている。更には、最も下層に形成されたアライメン
トマーク22の幅W1及び長さL1は、目盛り21の幅及び長さよりも短く設定されてい
る。なお、上記アライメントマーク22〜24において「幅」と規定したのはこれら十字
状のアライメントマーク22〜24の行方向(図5における横方向)に延在する部分の幅
であり、「長さ」と規定したのはこの行方向に延在する部分の長手方向の長さである。ま
た、アライメントマーク22〜24の列方向(図5における縦方向)に延在する部分の幅
及び長さは行方向に延在する部分と同様のものとする。
【0034】
このように、複数のアライメントマーク22〜24がそれぞれ異なる幅及び長さに設定
されているので、このアライメントマーク22〜24の成膜時に正確な位置決めがなされ
ていれば、図6に示すように、これらのアライメントマーク22〜24の先端部は階段状
に配設されることになる。
【0035】
なお、上記実施形態においては複数のアライメントマーク22〜24の幅W1〜W3及
び長さL1〜L3を、下層から上層に向かって段階的に短くしたものについて例示したが
、これに限らず、例えば図7に示すアライメントマーク形成部20'のように、下層から
上層に向かってアライメントマーク22'〜24'の長さL1〜L3は段階的に短くし、幅
W1〜W3は段階的に長くしてもよい。すなわち、幅及び長さのうちの少なくとも一方を
段階的に短くすれば足りる。
【0036】
次に、主に図2、図3及び図6を参照して、本実施形態に係る液晶表示装置1のアレイ
基板ARの製造工程について説明を行う。
先ず、透明基板10上に所定厚のアルミニウム、モリブデン、クロム、チタンあるいは
これらの合金からなる導電物質を成膜する。なお、前述した材料以外の材料でも可能であ
る。そして、周知のフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによりその一部
をエッチング除去して、横方向に伸びる複数本の走査線11と、これら複数本の走査線1
1間に位置する補助容量線13と、走査線11から延在するゲート電極Gと、補助容量線
13の一部を拡幅して形成される補助容量電極13aと、を形成すると共に、アライメン
トマーク形成部20に図4及び図5に示すような目盛り21を形成する。なお、この目盛
り21の形成は、上述の走査線11、補助容量線13、ゲート電極G及び補助容量電極1
3aを形成する際にパターン形成に用いられるマスクパターンに予めこの目盛り21に合
わせた構成を設けておけばよく、何ら製造工数を増加させることがない。
【0037】
次に、前記工程によって走査線11や補助容量線13、及び目盛り21等が形成された
透明基板10上を覆うように公知のプラズマCVD法あるいはスパッタリング法等を用い
て所定厚のゲート絶縁膜14が成膜される。このゲート絶縁膜14としては窒化シリコン
(SiN)、酸化シリコン(SiO)等からなる透明な無機絶縁材料が用いられる。
【0038】
次に、ゲート絶縁膜14上に半導体材料、例えばa−Siを成膜する。そして、ゲート
電極Gを覆う部分と、目盛り21上の一部を残してa−Si層をエッチング除去し、TF
Tの一部となる半導体層15及び1層目のアライメントマーク22を形成する。そして同
様の手法により、上述の工程で複数の層が形成された透明基板10上に更に導電性物質を
成膜し、走査線11に対して交差する方向に延びる複数本の信号線12、この信号線12
から延設され半導体層15に接続されるソース電極S、補助容量電極13a上を覆うとと
もに一端が半導体層15に接続されるドレイン電極D、及び2層目のアライメントマーク
23をパターニングする。これにより、透明基板10の走査線11と信号線12との交差
部近傍にTFTが形成されるとともに、1層目のアライメントマーク22上に2層目のア
ライメントマークが重畳形成される。なお、これらのアライメントマーク22、23の形
成においても、上述の各種配線等を形成する際に用いるマスクパターンを変更するだけで
簡単に形成することができる。
【0039】
さらにまた、これらの各種配線を覆うように表面の安定化のための透明な無機絶縁材料
、例えばSiNあるいはSiOからなるパッシベーション膜16を成膜し、続いて、
アレイ基板ARの表面を平坦化するための透明な感光性樹脂材料、例えばフォトレジスト
からなる層間膜17が成膜される。この層間膜17は、TFTが形成された透明基板10
の表面にフォトレジスト等の感光性樹脂材料からなる膜を形成し、プリベークした後、公
知の露光装置を用いて露光すると共に現像処理して、表示領域DAに層間膜17を形成し
た後、光反応処理及びベーキング処理を行なう。このうち、光反応処理は、感光性樹脂膜
の透明性を向上させる目的でUV光を照射して感光性官能基を光反応させる処理である。
また、ベーキング処理は、加熱処理を行うことにより、パターン形成された感光性樹脂を
焼成し、樹脂内の化学反応(主には架橋反応)によって化学的、物理的に安定な絶縁膜と
して基板上に形成する処理である。また、層間膜17及びパッシベーション膜16の補助
容量電極13a上に位置する部分には、後述する画素電極18とドレイン電極Dとを電気
的に接続するためのコンタクトホールCHが設けられる。このコンタクトホールCHは、
露光形成される層間膜17の成膜プロセス時に層間膜17に形成された穴の底部に露出し
たパッシベーション膜16をエッチング除去することにより形成される。
【0040】
そして、走査線11及び信号線12によって囲まれた1画素領域PAとアライメントマ
ーク形成部20に、例えばITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxid
e)からなる画素電極19と、3層目のアライメントマーク24を形成する。画素電極1
9は、好ましくはその外縁部が走査線11及び信号線12上に位置し、かつ隣接する画素
電極19同士が非接続状態となるように設ける。最後に、上述の工程を経て複数層が形成
された基板上に配向膜19を成膜し、配向膜19の表面をラビング処理する。以上の工程
によりアレイ基板ARが製造される。
【0041】
以上の工程により順次形成される目盛り21及びアライメントマーク22〜24は、と
もに液晶駆動用の各種配線と同時に形成される。また、その成膜は、液晶駆動用の各種配
線をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする際に使用されるマスクパターンに予
め目盛り21及びアライメントマーク22〜24に対応する開口あるいは遮光部を形成す
ることで成膜するので、これら目盛り21及びアライメントマーク22〜24は、必ず同
一工程で成膜される各種配線等に追従した位置に形成されることになる。すなわち、マス
クパターンに形成される開口あるいは遮光部を予めアライメントマーク形成部20に正確
に位置合わせしておけば、各種配線のズレ量に伴って目盛り21に対するアライメントマ
ーク22〜24の成膜位置もズレることになる。
【0042】
したがって、このアレイ基板AR上の各種配線等のズレ量を検出する際には、このアラ
イメントマーク形成部20を顕微鏡等を用いて目視することにより、簡単にズレの有無を
判別することができる。また、目盛り21を走査線11等と同時に形成したので、アライ
メントマーク形成部20を目視した際、目盛り21に対してアライメントマーク22〜2
4の端部が何れの位置にあるか、そしてその位置が予め求めておいた許容値以内であるか
を何らの測長手段をも用いずに知ることができるため、不良品の判別を容易に行うことが
できるようになる。なお、この判別を行うタイミングとしては、各種配線等を全て成膜し
た後でも良いし、各アライメントマーク22〜24が成膜される毎に確認するようにして
も良い。
【0043】
また、上述のアライメントマーク形成部を有する表示装置であれば、従来技術に比して
、流動中のシート状およびパネル完成状態でも、明確なパターンズレだけでなく微細なパ
ターンズレが一目で確認できるようになる。更に、アライメントマークを十字状とした場
合、全てのレイヤーが同じ十字状で積層されているため、レイヤー毎にパターン形状が異
なる表示領域内のパターンを確認するよりパターンズレを確認し易い。したがって、本発
明の表示装置に設けられたアライメントマーク形成部は、多層構造のパターンズレを確認
するのにも適しているため、カラーフィルタ基板のみならずアレイ基板にも汎用すること
ができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、目盛り21及びアライメントマーク22〜24を走査線
11、半導体層15、信号線12及び画素電極19などの配線と同時に形成したものにつ
いて説明したが、位置決めが必要な部材の数に合わせてアライメントマークの数は任意に
変更することができる。具体的には、本実施形態の液晶表示装置1が半透過型の液晶表示
装置である場合には反射板の成膜に合わせてアライメントマークを形成するように変更す
ることができる。また、目盛り21及びアライメントマーク22〜24は十字状に形成し
たが、他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
【図2】図2は図1の液晶表示装置のアレイ基板の1サブ画素を拡大して示す拡大平面図である。
【図3】図3は図2のIII−III線で切断した断面図である。
【図4】図4はアライメントマーク形成部に形成される各層を分解して示す分解斜視図である。
【図5】図5はアライメントマーク形成部の拡大平面図である。
【図6】図6は図5のVI−VI線で切断した断面図である。
【図7】図7はアライメントマーク形成部の変形例を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:(液晶)表示装置 2:シール材 10、30:透明基板 11:走査線 12:信
号線 13:補助容量線 13a:補助容量電極 14:ゲート絶縁膜 15:半導体層
16:パッシベーション膜 17:層間膜 18:画素電極 19、35:配向膜 2
0:アライメントマーク形成部 21:目盛り 22〜24:アライメントマーク 31
:遮光膜 32:カラーフィルタ層 33:保護膜 34:共通電極 AR:アレイ基板
CF:カラーフィルタ基板 CH:コンタクトホール S:ソース電極 D:ドレイン
電極 G:ゲート電極 DA:表示領域 PA:画素領域 Dr:ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の薄膜材料が積層された構成を備える表示装置において、前記基板上の所
定位置にはアライメントマーク形成部が設けられており、前記アライメントマーク形成部
には所定形状に合わせて設けられた目盛りと、前記複数の薄膜材料と同一材料からなる複
数の前記所定形状のアライメントマークと、が積層形成されていることを特徴とする表示
装置。
【請求項2】
前記目盛りは、積層された前記複数の薄膜材料のうちの最下層に設けられた薄膜材料で
形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のアライメントマークは、前記目盛りの長さよりも短く、且つ前記目盛りの幅
より細いことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数のアライメントマークは、下層に位置する前記アライメントマークより上層に
位置する前記アライメントマークの方が長さ及び幅の少なくとも一方が小さく形成されて
いることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板は、中心部が表示領域を形成するとともに前記表示領域の外周囲が額縁領域を
形成しており、前記アライメントマーク形成部は前記額縁領域の隅部に形成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記所定形状とは、十字状であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
複数の薄膜材料が積層された基板を有する表示装置を製造する方法であって、以下の(
1)〜(2)に示す工程を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
(1)前記複数の薄膜材料のうちの1つを前記基板上に成膜すると共に、前記基板上の所
定位置に設けられたアライメントマーク形成部に前記複数の薄膜材料のうちの1つと同一
材料からなる所定形状の目盛りを前記1つの薄膜材料と同時に形成する工程、
(2)前記複数の薄膜材料を前記基板上に順次成膜すると共に、前記アライメントマーク
形成部に前記薄膜材料と同一材料からなる前記所定形状のアライメントマークを前記複数
の薄膜材料と同時に順次形成する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192667(P2009−192667A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31421(P2008−31421)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】