説明

表示装置

【課題】輝度を向上することが可能であるとともに、視野角特性を制御可能な表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 配線基板120上において、マトリクス状に配置された画素PX毎に独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素に共通に形成された第2電極66と、第1電極60と第2電極66との間に保持された有機活性層64と、を備えた表示装置であって、各画素PXの周縁に沿った少なくとも一部に配置され、有機活性層64内で発生した光を反射する機能を有した反射層RLを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に係り、特に、複数の自発光性素子によって構成された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置として、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自発光性素子であることから、視野角が広く、バックライトを必要とせず薄型化が可能であり、消費電力が抑えられ、且つ応答速度が速いといった特徴を有している。
【0003】
これらの特徴から、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる、次世代平面表示装置の有力候補として注目を集めている。このような有機EL表示装置は、アレイ基板として陽極と陰極との間に発光機能を有する有機化合物を含む有機活性層を挟持した有機EL素子をマトリックス状に配置することにより構成される。
【0004】
しかしながら、このような有機EL表示装置においては、有機EL素子内で発生した光がアレイ基板を構成するガラス基板や絶縁膜、あるいは有機EL素子の内部に閉じ込められ、外部に有効に取り出すことができず、十分な輝度が得られないといった問題がある。そこで、有機EL素子内で発生した光の取出効率を向上するために、回折格子を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−163075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の有機EL表示装置においては、アレイ基板の法線方向から観察したときの輝度すなわち正面輝度を要求されるレベルまで確保することは極めて困難である。十分な正面輝度を得ようとするならば、有機EL素子内に大電流を供給する必要がある。これは、有機EL表示装置の消費電力の増大を招くとともに、有機EL素子の寿命を著しく短縮させてしまう。
【0006】
一方で、有機EL表示装置は、視野角特性に優れているといった特徴を有している。つまり、有機EL表示装置をアレイ基板の法線方向から観察したときに限らず、法線に対して数十度傾いた方向から観察したときであっても正面輝度と同レベルの輝度が得られるといった特徴を有している。しかしながら、携帯電話などの携帯端末機器に用いられる表示装置としては、プライバシー保護の観点から視野角を狭めるすなわち特定方向から観察したときの輝度が最も高くなるような要求が高まっている。
【0007】
そこで、この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、輝度を向上することが可能であるとともに、視野角特性を制御可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様による表示装置は、
基板上において、マトリクス状に配置された画素毎に独立島状に形成された第1電極と、前記第1電極に対向して配置され全画素に共通に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に保持された有機活性層と、を備えた表示装置であって、
各画素の周縁に沿った少なくとも一部に配置され、前記有機活性層内で発生した光を反射する機能を有した反射層を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第2の態様による表示装置は、
基板の一主面上において、マトリクス状に配置された画素毎に独立島状に形成された第1電極と、前記第1電極に対向して配置され全画素に共通に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に保持された有機活性層と、を備えた表示装置であって、
前記主面の法線方向とは異なる所定方向から観察した際の輝度が最大であることを特徴とする。
【0010】
上述した構成の表示装置によれば、有機活性層内で発生した光を有効利用することが可能となる。すなわち、基板内に閉じ込められ輝度に寄与しなかった光の一部は、反射層によって反射される。このため、反射方向を制御することにより、基板内部に閉じ込められていた光の一部を取り出すことができ、反射光を有効利用することができる。したがって、輝度の向上を図ることが可能となる。
【0011】
また、画素周縁における反射層の配置位置により視野角特性を制御することが可能となる。すなわち、画素の全周にわたって反射層を配置することにより、有機活性層内で発生した光のうち、画素の周囲に向かって拡散する光を画素の中央部に向けて反射することができ、基板の法線方向すなわち正面方向の輝度を向上することが可能となる。また、画素の周縁に沿った一部に反射層を配置することにより、画素の周囲に向かって拡散する一部の光を所定の反射方向に反射することができ、反射方向の輝度を向上することが可能となる。つまり、特定方向から観察した際の輝度が最大となり、視認可能な視野角を狭めることができる。このように輝度が最大となる特定方向は、各画素に設ける反射層の位置に応じて決定されるため、容易に視野角特性を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、輝度を向上することが可能であるとともに、視野角特性を制御可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、表示装置として、自己発光型表示装置、例えば有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示装置を例にして説明する。
【0014】
図1乃至図3に示すように、有機EL表示装置1は、画像を表示する表示エリア102を有するアレイ基板100と、アレイ基板100の少なくとも表示エリア102を密封する封止体200とを備えて構成されている。表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の画素PX(R、G、B)によって構成されている。
【0015】
各画素PX(R、G、B)は、オン画素とオフ画素とを電気的に分離し、かつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチ10及び画素スイッチ10を介して供給される映像信号に基づき表示素子へ所望の駆動電流を供給する駆動トランジスタ20と、駆動トランジスタ20のゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子30とを備えている。これら画素スイッチ10および駆動トランジスタ20は例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここではその半導体層にポリシリコンを用いている。
【0016】
各画素PX(R、G、B)は、表示素子としての有機EL素子40(R、G、B)をそれぞれ備えている。すなわち、赤色画素PXRは、赤色に発光する有機EL素子40Rを備えている。緑色画素PXGは、緑色に発光する有機EL素子40Gを備えている。青色画素PXBは、青色に発光する有機EL素子40Bを備えている。
【0017】
各種有機EL素子40(R、G、B)は、基本的に同一構造であり、画素PX毎に独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素PXに共通に形成された第2電極66と、これら第1電極60と第2電極66との間に保持された有機活性層64と、によって構成される。
【0018】
また、アレイ基板100は、画素PXの行方向(すなわち図1のY方向)に沿って配置された複数の走査線Ym(m=1、2、…)と、走査線Ymと略直交する方向(すなわち図1のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xn(n=1、2、…)と、有機EL素子40の第1電極60側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。さらに、アレイ基板100は、表示エリア102の外周に沿った周辺エリア104に、走査線Ymに走査信号を供給する走査線駆動回路107と、信号線Xnに映像信号を供給する信号線駆動回路108と、を備えている。
【0019】
すべての走査線Ymは、走査線駆動回路107に接続されている。また、すべての信号線Xnは、信号線駆動回路108に接続されている。画素スイッチ10は、ここでは走査線Ymと信号線Xnとの交差部近傍に配置されている。駆動トランジスタ20は、有機EL素子40と直列に接続されている。蓄積容量素子30は、画素スイッチ10と直列に、且つ駆動トランジスタ20と並列に接続されており、蓄積容量素子30の両電極は、駆動トランジスタ20のゲート電極及びソース電極にそれぞれ接続されている。
【0020】
電源供給線Pは、表示エリア102の周囲に配置された図示しない第1電極電源線に接続されている。有機EL素子40の第2電極66側端は、表示エリア102の周囲に配置されコモン電位ここでは接地電位を供給する図示しない第2電極電源線に接続されている。
【0021】
より詳細に説明すると、画素スイッチ10のゲート電極は走査線Ymに接続され、ソース電極は信号線Xnに接続され、ドレイン電極は蓄積容量素子30の一端及び駆動トランジスタ20のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ20のソース電極は蓄積容量素子30の他端及び電源供給線Pに接続され、ドレイン電極は有機EL素子40の第1電極60に接続されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、アレイ基板100は、配線基板120上に配置された有機EL素子40及び各画素PX(R、G、B)を分離する隔壁70を備えている。なお、配線基板120は、ガラス基板やプラスチックシートなどの絶縁性支持基板上に、画素スイッチ10、駆動トランジスタ20、蓄積容量素子30、走査線駆動回路107、信号線駆動回路108、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などを備えて構成されたものとする。
【0023】
有機EL素子40を構成する第1電極60は、配線基板120表面の絶縁膜上に配置される。この第1電極60は、ここではITO(Indium Tin Oxide:インジウム・ティン・オキサイド)やIZO(インジウム・ジンク・オキサイド)などの光透過性導電部材によって形成され、陽極として機能する。
【0024】
有機活性層64は、少なくとも発光機能を有する有機化合物を含み、各色共通に形成されるホールバッファ層、エレクトロンバッファ層、及び各色毎に形成される有機発光層の3層積層で構成されても良く、機能的に複合された2層または単層で構成されても良い。例えば、ホールバッファ層は、陽極および有機発光層間に配置され、芳香族アミン誘導体やポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体などの薄膜によって形成される。発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。この発光層は、例えば高分子系の発光材料を採用する場合には、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)やポリフルオレン誘導体またはその前駆体などの薄膜により構成される。
【0025】
第2電極66は、有機活性層64上に各有機EL素子40に共通に配置される。この第2電極66は、例えばCa(カルシウム)、Al(アルミニウム)、Ba(バリウム)、Ag(銀)、Yb(イッテルビウム)などの電子注入機能を有する金属膜によって形成され、陰極として機能している。この第2電極66は、陰極として機能する金属膜の表面をカバーメタルで被覆した2層構造であっても良い。カバーメタルは、例えばアルミニウムによって形成される。
【0026】
隔壁70は、配線基板120上に独立島状に形成された第1電極60の周縁に沿って格子状またはストライプ状に配置されている。この隔壁70は、有機活性層64を構成する材料に対して親液性を有する有機材料によって形成された第1絶縁層71、及び、第1絶縁層71上に配置され疎液性を有する有機材料によって形成された第2絶縁層72を積層した構造を有している。このような構造の隔壁70は、第1電極60を画素毎に電気的に分離するとともに、第1電極60を露出し、第1電極60上への有機活性層64の配置を可能とする。第1絶縁層71によって規定される部分すなわち第1電極60が露出した部分は、実質的に表示に寄与する開口部APとなる。
【0027】
このように構成された有機EL素子40では、第1電極60と第2電極66との間に挟持された有機活性層64に電子及びホールを注入し、これらを再結合させることにより励起子を生成し、この励起子の失活時に生じる所定波長の光放出により発光する。ここでは、このEL発光は、アレイ基板100の下面側すなわち第1電極60側から出射される。
【0028】
ところで、アレイ基板100は、各画素PXに反射層RLを備えている。この反射層RLは、有機活性層64内で発生したEL発光を反射する機能を有している。この反射層RLは、各画素PXの周縁に沿った少なくとも一部に配置される。このような反射層RLは、アルミニウムなどの金属材料で形成しても良いし、反射機能を有していれば他の材料で形成しても良い。
【0029】
なお、反射層RLは、アレイ基板内に形成される各種配線のいずれか(例えばアルミニウム配線)で形成しても良い。この場合、反射層RLを配置する位置にいずれかの配線を引き回せば良いため、反射層RLを形成するための別個の工程が不要となり、製造コストを低減できるとともに製造歩留まりを向上することができる。また、反射層RLは、画素毎に独立して形成しても良い。この場合、配線の配置位置にかかわらず、所望の位置に反射層RLを配置することが可能となり、視野角特性を制御しやすくなる。
【0030】
以下に、反射層RLの配置位置が異なる構造例と、それぞれの構造例における特徴について説明する。なお、以下の構造例では、各画素PXは、アレイ基板主面内において、0°−180°方位に沿って延びた対向する2辺と、90°−270°方位に沿って延びた対向する2辺とで囲まれた略矩形状であるものとする。
【0031】
(第1構造例)
図2及び図3に示すように、第1構造例の有機EL表示装置は、各画素PXの全周に沿って配置された反射層RLを備えている。すなわち、反射層RLは、略矩形状の第1電極60の周縁に沿って配置されている。図3に示した例では、反射層RLは、第1電極60の周縁に密着している。
【0032】
有機EL表示装置では、有機活性層64内で発生したEL発光のうち、アレイ基板100の下面側から出射されなかった光すなわち配線基板120内もしくは第1電極60内に閉じ込められた光は、輝度に寄与せず、有効利用されていなかった。そこで、上述したような反射層RLを設けたことにより、画素PXの周縁に向かって拡散する光の一部をアレイ基板100の下面側に向けて反射することが可能となる(例えば図3に矢印Aで示した出射経路)。つまり、反射層RLによって反射された反射光を有効利用することができ、輝度を向上することが可能となる。特に、反射層RLは画素PXの全周にわたって配置されているため、画素PXの周縁(画素の4辺)に向かって拡散する光を画素PXの中央部に向けて反射することができ、アレイ基板100の法線方向すなわち正面方向の輝度を向上することが可能となる。
【0033】
ここで、第1構造例の有機EL表示装置における視野角特性について説明する。なお、比較例として、画素の形状及び開口部の面積(発光に寄与する面積)が同一であり、かつ、反射層RLを備えていない有機EL表示装置を用いた。両者の視野角特性を比較するに当たり、1有機EL素子当たりに流れる電流が同一となるように駆動させ、輝度計を用いて互いの視野角特性すなわち傾き角θに対する相対輝度を測定した。なお、傾き角θは、図4に示すように、マトリクス状に配置された画素PXを備えたアレイ基板100の法線Zを0°とし、この法線Zに対する傾きに相当するものとする。
【0034】
図5は画素PXの0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図であり、図6は画素PXの90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【0035】
図5及び図6に示すように、比較例においては、法線Zに対して60°程度傾いた方向から観察したときであっても法線方向(θ=0°)から観察したときと略同一の輝度であるのに対して、第1構造例においては、特定方向から観察した際の輝度が最大となる。すなわち、第1構造例においては、法線方向から観察した際の輝度が最大となり、しかも、θ=0°から60°付近までは比較例よりも高い輝度が得られた。この第1構造例においては、法線方向の輝度は、比較例の約1.3倍であった。
【0036】
また、いずれの方位の傾き角θについても傾き角θが大きくなるほど輝度が低くなるような分布が得られた。さらに、0°−180°方位についても90°−270°方位についても、傾き角θが60°付近までの範囲では観察方向を問わず、いずれの方向から観察した場合であっても高い輝度が得られ、幅広い用途での利用が可能となる。また、法線方向の輝度について、比較例と同レベルに設定した場合、第1構造例の有機EL表示装置の消費電力を低減することができ、且つ、周辺から画面の表示内容が見えにくいという特徴が得られる。
【0037】
(第2構造例)
図7に示すように、第2構造例の有機EL表示装置は、各画素PXの対向する2辺に沿って配置された反射層RLを備えている。ここでは、反射層RLは、90°−270°方位に沿った2辺に沿って配置されている。この第2構造例においては、画素PXの周縁のうち対向する2辺に向かって拡散する光すなわち0°−180°方位に向かって拡散する光を画素PXの中央部に向けて反射することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0038】
ここで、第2構造例の有機EL表示装置における視野角特性について説明する。図8は画素PXの0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図であり、図9は画素PXの90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【0039】
図8及び図9に示すように、第2構造例においては、特定方向から観察した際の輝度が最大となる。すなわち、第2構造例においては、0°−180°方位については法線方向から観察した際の輝度が最大となり、しかも、θ=0°から60°付近までは比較例よりも高い輝度が得られた。また、90°−270°方位については全ての傾き角θについて略均一な輝度が得られるとともに比較例よりも高い輝度が得られた。この第2構造例においては、法線方向の輝度は、比較例の約1.15倍であった。
【0040】
このように、第2構造例では、画素PXの0°−180°方位に沿った2辺に沿って反射層RLが配置されていないため、第1構造例ほど高い輝度は得られないが、0°−180°方位と90°−270°方位とで異なる輝度分布が得られ、幅広い用途での利用が可能となる。
【0041】
例えば、携帯端末機器に第2構造例の有機EL表示装置を採用した場合、0°−180°方位を画面の左右方位に対応させ、90°−270°方位を画面の上下方位に対応させることにより、利用者にとっては、正面方向から上下方位に視角を振った際に高い輝度での表示が可能となり、また、画面の左右方位については視野角を狭めることができる(正面方向から数十度傾いた範囲のみ高い輝度が得られる)ため、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0042】
(第3構造例)
図10に示すように、第3構造例の有機EL表示装置は、各画素PXの1辺に沿って配置された反射層RLを備えている。ここでは、反射層RLは、90°−270°方位に沿った1辺のみに配置されているものとする。この第3構造例においては、画素PXの周縁のうち、特定の1辺に向かって拡散する光を画素PXの中央部に向けて反射することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0043】
ここで、第3構造例の有機EL表示装置における視野角特性について説明する。図11は画素PXの0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図であり、図12は画素PXの90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【0044】
図11及び図12に示すように、第3構造例においては、特定方向から観察した際の輝度が最大となる。すなわち、第3構造例においては、0°−180°方位については法線方向とは異なる方向(φ=180°、θ=20°)から観察した際の輝度が最大となり、しかも、θ=0°から60°付近までは比較例よりも高い輝度が得られた。また、90°−270°方位については全ての傾き角θについて略均一な輝度が得られるとともに比較例よりも高い輝度が得られた。この第3構造例においては、傾き角が20°の方向における輝度は、比較例の約1.15倍であった。
【0045】
このように、第3構造例では、第1構造例ほど高い輝度は得られないが、視野角特性を制御することが可能となり、0°−180°方位と90°−270°方位とで異なる輝度分布が得られ、しかも、正面方向以外の方向での輝度が最大となるため、幅広い用途での利用が可能となる。
【0046】
例えば、利用者の頭上付近に設置されるような表示装置に第3構造例の有機EL表示装置を採用した場合、0°−180°方位を画面の上下方位に対応させ、90°−270°方位を画面の左右方位に対応させることにより、正面方向より下方から表示装置を観察した際の輝度が最大となる。このため、利用者が表示装置を見上げる方向での輝度が高くなり、しかも左右方位についてはいずれの方向からも高い輝度が得られる。
【0047】
以上説明したように、この実施の形態に係る表示装置によれば、画素の周縁に反射層を設けたことにより、有機活性層において発生したEL発光を有効に外部に出射させることが可能となるとともに、特定方向の輝度を向上させ、視野角を傾けると(傾き角が大きくなると)輝度が低下するという視野角特性を得ることができる。また、反射層の配置位置及びその形状を種々変更することにより、表示装置の視野角特性を制御することが可能となる。
【0048】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0049】
上述した実施の形態では、画素が略矩形状であって、第1構造例では画素の全周に沿って反射層を備え、第2構造例では画素の対向する2辺に沿って反射層を備え、第3構造例では画素の一辺に沿って反射層を備えた例について説明したが、反射層は、画素の周縁に沿った少なくとも一部に配置すれば良く、画素の一辺上に島状に配置しても良いし、直交する2辺に配置しても良い。また、画素が矩形状ではなく多角形状であっても、また、画素が円形状や楕円形状であっても、同様に、反射層はその周縁の少なくとも一部に配置すれば良い。画素の一部に反射層を配置する場合、各画素の同じ位置に反射層を設けることで高い指向性を得ることができる。
【0050】
また、反射層は、画素の周縁に沿った少なくとも一部に配置されていれば良く、反射層を第1電極の周縁に密着するように配置しても良いし、有機活性層内で発生した光を透過する光透過性を有する絶縁層を反射層と第1電極との間に介しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態にかかる有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置における1画素分の構造を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示した1画素をa−a’線で切断したときの構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、アレイ基板内における方位φ及び傾き角θを説明するための図である。
【図5】図5は、第1構造例における画素の0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【図6】図6は、第1構造例における画素の90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【図7】図7は、第2構造例に係る1画素分の構造を概略的に示す平面図である。
【図8】図8は、第2構造例における画素の0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【図9】図9は、第2構造例における画素の90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【図10】図10は、第3構造例に係る1画素分の構造を概略的に示す平面図である。
【図11】図11は、第3構造例における画素の0°−180°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【図12】図12は、第3構造例における画素の90°−270°方位における傾き角θに対する相対輝度の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…有機EL表示装置
10…画素スイッチ
20…駆動制御素子
40…有機EL素子
60…第1電極
64…有機発光層
66…第2電極
70…隔壁
100…アレイ基板
120…配線基板
RL…反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上において、マトリクス状に配置された画素毎に独立島状に形成された第1電極と、前記第1電極に対向して配置され全画素に共通に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に保持された有機活性層と、を備えた表示装置であって、
各画素の周縁に沿った少なくとも一部に配置され、前記有機活性層内で発生した光を反射する機能を有した反射層を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記反射層は、各画素の全周に沿って配置されたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射層は、前記第1電極の周縁に沿って配置されたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記反射層は、配線の一部であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
基板の一主面上において、マトリクス状に配置された画素毎に独立島状に形成された第1電極と、前記第1電極に対向して配置され全画素に共通に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に保持された有機活性層と、を備えた表示装置であって、
前記主面の法線方向とは異なる所定方向から観察した際の輝度が最大であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
各画素の周縁に沿った一部に配置され、前記有機活性層内で発生した光を反射する機能を有した反射層を備えたことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−73345(P2007−73345A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259365(P2005−259365)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】