説明

表示装置

【課題】表示器の前面側に発光表示される装飾部材を備える構成において、斬新な見映えの表示装置を提供する。
【解決手段】装飾リング15を、速度計S側からトリムリング15b、透明リング15a、トリムリング15cを同心上に配置し3者の壁面全体を密着させて構成した。装飾リング15を構成する3部材の壁面が密着することにより、透明リング15aの壁面は鏡面として機能するので、液晶パネル2の照明用画像Aからの光を高効率で透明リング15aの前面側へ導くことができる。これにより、透明リング15aの発光輝度を高めて、コンビネーションメータ1の見映えをより立体感を強めつつ斬新なものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器等を備えた表示装置に関するものであり、たとえば自動車等に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置としては、たとえば、バックライトにより透過照明される液晶パネルの前面側に透光性材質からなる装飾リングを配置し、この装飾リングを液晶パネルからの光により透過照明する構成のものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−201038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来の表示装置において、装飾リングはその全体が透光性を備えているので、表示装置の見映えが、変化に乏しい単調なものとなり易いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、表示器の前面側に発光表示される装飾部材を備える構成において、斬新な見映えの表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成する為、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
本発明の請求項1に記載の表示装置は、画面上に各種情報を画像として形成し発光表示する表示器と、表示器の前面側に表示器に重ねて配置された装飾部材とを備え、装飾部材は画像の形状と関連した形状に形成され、装飾部材は光透過部および光不透過部を組み合わせて構成され、表示器の画面上には光透過部に対応した位置に意匠画像部が形成され、意匠画像部からの光が光透過部を透過して光透過部の前面側に出射して視認されることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、表示器の画面上に形成された意匠画像部を直接視認させるのではなく、装飾部材の光透過部を透過させて視認させている。すなわち、意匠画像部は、表示器の画面よりも前面側に突き出して視認される。さらに、装飾部材は光透過部と光不透過部とを組み合わせ構成されている、つまり光透過部に隣接して光不透過部が配置されているため、光不透過部は光透過部の存在をより際立たせて見せる効果を果たしている。これにより、表示装置の見映えを、立体感が強調され且つ斬新なものとすることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の表示装置は、光透過部は透光性材質から形成され、光不透過部は不透光性材質から形成され、光透過部は表示器の視認方向に伸びる壁面を備え、壁面はほぼ全面において光不透過部材と密着していることを特徴としている。
【0009】
上述の構成によれば、光透過部の壁面に光不透過部が密着することにより、光透過部の壁面は鏡面として機能することになる。したがって、表示器の意匠画像部からの光が光透過部に入射して光透過部内を進行する際に、この光が光透過部の壁面に入射すると、鏡面状であるためにそこで反射して再度光透過部内を進行する。したがって、光透過部内に入射した意匠画像部からの光を高効率で光透過部の前面側へ導くことができる。これにより、光透過部の発光輝度を高めることができる。さらに、上述の構成によれば、意匠画像部からの光を高効率で光透過部の前面側へ導くことができるので、光透過部の高い発光輝度を維持しつつ、光透過部の高さ、すなわち視認方向における表示器の画面からの突き出し長さを長くすることが可能となる。たとえば、光透過部の高さが、視認者が光透過部を介して表示器の画面を直接視認できない程度であっても、光透過部を高い発光輝度で発光表示することができる。これにより、表示装置の見映えをより立体感を強めつつ斬新なものとすることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の表示装置は、光透過部の前面側表面に拡散反射層を設けたことを特徴としている。
【0011】
上述の構成とすれば、光透過部内を進行して光透過部の前面側表面に到達した光を、拡散反射層により光透過部外方の広範囲の方向に出射させることができる。したがって、視認者の姿勢が変化しても、光透過部は常に視認者から明るく視認される。これにより、表示装置の見映えを斬新なものとすることができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の表示装置は、光不透過部は不透光性材質から形成され、光透過部は光不透過部により囲まれた空間として形成されることを特徴としている。
【0013】
上述の構成によれば、光透過部は光不透過部によって囲まれた空間、すなわち空気層として形成されている。この場合、表示器の意匠画像部から出射した光は、光透過部周囲の光不透過部の壁面で反射を繰り返して進行し、装飾部材から出射する。したがって、請求項1に記載の表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の表示装置は、光不透過部の光透過部と対向する壁面に高光反射率の光反射層が形成されたことを特徴としている。
【0015】
上述の構成とすれば、表示器の意匠画像部から出射した光を高効率で装飾部材の前面側に導いて出射させて、装飾部材の発光輝度を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項6に記載の表示装置は、画像は指示図形を備え、指示図形はその指示する情報の変化を動きにより指示し、表示器の指示図形の延長上且つ意匠画像部に点状または線状且つ周囲より輝度の高い高輝度部が形成され、高輝度部は指示図形の動きと連動して移動することを特徴としている。
【0017】
上述の構成によれば、視認者は、表示器の画面上に現れた指示図形の動きと、それに連動して光透過部に表示される高輝度部の動きの両方を視認する。したがって、指示図形が指示する情報の視認性を向上することができる。同時に、指示図形に加えて高輝度部を表示することにより、表示装置の見映えを斬新なものとすることができる。
【0018】
本発明の請求項7に記載の表示装置は、表示器の画像は指針の回動角度位置により物理量を指示する指針計器であり、指示図形は前記指針であり、装飾部材は指針の回転中心と同心上の環状に形成され且つ指針の先端から離れた位置に配置されることを特徴としている。
【0019】
上述の構成とすれば、指針先端から離れた光透過部上且つ指針の先端の延長上に高輝度部が形成され、この高輝度部は、指針の回動に連動してあたかも指針と一体であるかの如くに回動するので、請求項6に記載の発明の効果を確実に実現することができる。
【0020】
この場合、本発明の請求項8に記載の表示装置のように、装飾部材の内周側に隣接して配置された透光性材質からなる意匠部材と、意匠部材の端部から意匠部材内に光を入射可能に配置された光源とを備え意匠部材には指針計器の表示意匠が形成され、表示意匠は意匠部材内を進行する光源からの光を反射して発光表示される構成とすれば、指針計器の表示意匠の見映えを斬新なものとすることができる。
【0021】
本発明の請求項9に記載の表示装置は、表示器の画像はナビゲーションシステムの進路指示表示画像であり、指示図形は進路指示矢印であり、装飾部材は進路指示表示画像の外側に形成され且つ進路指示矢印の先端から離れた位置に配置されることを特徴としている。
【0022】
上述の構成とすれば、進路指示矢印先端から離れた光透過部上且つ進路指示矢印の先端の延長上に高輝度部が形成され、この高輝度部は、進路指示矢印の回動に連動してあたかも進路指示矢印と一体であるかの如くに回動するので、請求項6に記載の発明の効果を確実に実現することができる。
【0023】
本発明の請求項10に記載の表示装置は、表示器は液晶表示器であることを特徴としている。これにより、画像を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による表示装置を、自動車に搭載されるコンビネーションメータ1に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
コンビネーションメータ1は、自動車車室内運転席前方のインストルメントパネル内に配置され、自動車の運転に必要な情報や自動車各部の作動状態に関する情報を液晶パネル2の画面21上に画像として形成して、運転者に視認させるものである。本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1においては、図1に示すように、当該自動車の走行速度を指示する速度計Sおよび目的地までの進路を指示するナビゲーションガイドNが、液晶パネル2の画面21上に画像として形成されている。
【0026】
以下に、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の構成について説明する。
【0027】
本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1においては、表示器として液晶表示器が用いられている。詳しくは、TFT(Thin Film Transistor)型のドットマトリクスタイプが用いられている。液晶パネル2は、図2に示すように、その背後(図2の右側)に配置されたバックライト(図示せず)により透過照明されて発光表示される。液晶パネル2においては、その画面21上に、上述した速度計SおよびナビゲーションガイドNが画像として形成されている。
【0028】
はじめに、速度計Sの構成について説明する。
【0029】
速度計Sは指針計器として形成されている。すなわち、図1に示すように、数字22、指示図形である指針23、および文字24が画面21上に画像として形成されている。さらに、液晶パネル2上に重ねて配置された、意匠部材である後述する目盛リング3に表示意匠である目盛31が形成されている。指針23は、自動車の走行速度に対応して画面21上において仮想中心Cの回りに回転して表示される。指示図形としての指針23が数字22および目盛31を指示することにより、走行速度が表示される。ここで、数字22は、図1に示すように、仮想中心Cを中心とした同一円弧上に沿い且つ放射状に配列されている。
【0030】
液晶パネル2の前面側(図2において左側)には、目盛リング3が液晶パネル2に重ねて配置されている。目盛リング3は、透光性材質、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂から形成されている。目盛リング3は、速度計Sの形状に関連した形状、すなわち、図1に示すように、一部が切れた円環状に形成され、液晶パネル2上に指針23の回転中心である仮想中心Cと同軸上に配置されている。目盛リング3は、液晶パネル2上において、図1に示すように、液晶パネル2の画面21に形成される指針23の先端よりも離れた位置、つまり指針23よりも外周側に配置されている。目盛リング3は、速度計Sの表示意匠である目盛31を備えている。
【0031】
目盛31は、目盛リング3の裏側(図2において、右側)に細長い凹部を設けることにより形成されている。目盛31としての凹部の断面形状は、図3に示すように、逆V字状であり、2つの斜面31a、31bから構成されている。目盛31は、目盛リング3に仮想中心Cを中心とする放射状に設けられている。目盛リング3の両端面32には、それぞれに目盛リング3内に光を入射可能に光源である発光ダイオード4が配置されている。目盛リング3内を進行する発光ダイオード4からの光は、図3に示すように、斜面31a、31bで反射して目盛リング3からコンビネーションメータ1の前面側、つまり運転者側に出射する。この反射光が目盛31として視認される。各端面32から目盛リング3内に入射した発光ダイオード4からの光は、目盛リング3の各面において反射を繰り返しながら目盛リング3内を進行して、それぞれ反対側の端面32付近まで到達する。その間に、途中にある斜面31a、31bに入射しそこで反射される。これにより、目盛リング3に設けられたすべての目盛31は、ほぼ同じ明るさで発光表示される。
【0032】
次に、ナビゲーションガイドNの構成について説明する。
【0033】
ナビゲーションガイドNは、図1に示すように、液晶パネル2上に画像として形成された指示図形である進路矢印25により、目的地に到る進路を指示するものである。自動車が交差点に接近すると、図1に示すように、その交差点の模式図が表示されるとともに、自車が進むべき方向が交差点の模式図上に重ねて表示される。図1の場合、交差点は五叉路であり、自車の進むべき方向は右約45°方向であることを指示している。これらの表示は、自動車に搭載されているナビゲーションシステム装置14からの表示信号に基づいて行われている。ナビゲーションシステム装置14としては、衛星からの位置信号および内蔵する慣性航法装置からの信号に基づいて自車の位置を算出する公知のものである。現在走行中の道路をそのまま進めばよいときには、ナビゲーションガイドNには、進路矢印25のみが表示され、進路矢印25は図1中において上方を指している。
【0034】
次に、液晶パネル2の前面側に配置されている装飾部材である装飾リング15について説明する。
【0035】
装飾部材15は、全体としては、図1に示すように、目盛リング3と同軸上の円弧状に形成されている。装飾部材15は、目盛リング3と同様に、図2に示すように、液晶パネル2の表面に密着させて重ねて配置されている。装飾部材15は、目盛リング3側からその外周側に向かって、光不透過部であるトリムリング15b、光透過部である透明リング15a、光不透過部であるトリムリング15cを順番に配列し互いに密着させて構成されている。
【0036】
透明リング15aは、無色透明のアクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂等から形成されている。トリムリング15b、15cは、遮光性を備えるように、たとえばABS樹脂にクロムめっきを施して形成されている。
【0037】
トリムリング15b、15cには、クロムめっき層Pが、図5に示すように、液晶パネル2に対向する面を除くすべての表面に施されている。したがって、トリムリング15b、15cの透明リング15aと対向する壁面である壁面15ba、15caにも、クロムめっき層Pが施されている。壁面15ba、15caに施されたクロムめっき層Pは、高反射率の光反射層として機能する。
透明リング15a、トリムリング15bおよびトリムリング15cはそれぞれの界面全域を密着させて固定されている。
【0038】
液晶パネル2の画面21には、図3に示すように、透明リング15aと重なる部分、あるいは透明リング15aと重なる部分よりわずかに広い部分に、意匠画像部である照明用画像Aが形成されている。照明用画像Aは、装飾リング15の透明リング15aを発光表示させるための光源の役割を果たすものであり、透明リング15aは、照明用画像Aから発せられた光により透過照明されて発光表示される。これにより、装飾部材15は、円弧状に発光表示される透明リング15aの両側に金属光沢調のトリムリング15b、15cが縁取りのように配されて視認される。
【0039】
照明用画像Aから発せられた光は、透明リング15a内に入射し、その光の一部は、図3に示すように透明リング15aの壁面で反射を繰り返しながら進行して、透明リング15aから出射する。ここで、透明リング15a、トリムリング15bおよびトリムリング15cはそれぞれの界面全域を密着させて固定されている。言い換えると、透明リング15aと、その両側に配置されたトリムリング15bおよびトリムリング15cとは対向する面全体を密着させて固定されている。このため、透明リング15aのトリムリング15bと対向する壁面およびトリムリング15cと対向する壁面は、透明リング15a内を進行する光に対して、鏡面として作用する。したがって、透明リング15a内に入射した照明用画像Aからの光は、各壁面において高効率で反射されほとんど減衰することなく透明リング15aの前面へ導かれる。これにより、透明リング15aの液晶パネル2からの突き出し長さ(図4中におけるH)を長くして装飾リング15の立体感を強調する構成とした場合でも、透明リング15a内に入射した照明用画像Aからの光を高効率で透明リング15aの前面へ導いて出射させて、透明リング15aの発光輝度を高めることができる。また、トリムリング15b、15cの透明リング15aと対向する壁面である壁面15ba、15caには、光反射層としてのクロムめっき層Pが施されている。このため、透明リング15aから光が漏れても、その光は、壁面15ba、15caのクロムめっき層Pで反射されて再び透明リング15a内を進行する。したがって、透明リング15a内に入射した照明用画像Aからの光を高効率で透明リング15aの前面へ導いて出射させて、透明リング15aの発光輝度を高めることができる。
【0040】
意匠画像部である照明用画像Aには、指針23の延長上に相当する部分に、図1に示すように、点状で周囲よりも輝度が高い高輝度部である指針インジケータ26が画像として形成されている。指針インジケータ26は、常に指針23と一体的に仮想中心Cを中心として回転する。これを運転者側から見ると、透明リング15a上における指針23の先端の延長上に明るい輝点として指針インジケータ26が視認される。そして、走行速度の変化に対応して指針23が回動すると、それと同期して指針インジケータ26も、常に指針23の延長上に有るように回動する。これにより、速度計Sの見映えを斬新なものとしつつ速度計Sの視認性を高めることができる。ここで、装飾リング15、詳しくは装飾リング15の内周側にあるトリムリング15bは、図1に示すように、指針23の先端から離れて設置されている。これにより、指針23と指針インジケータ26とは完全に分離して2つの表示として視認される。
【0041】
さらに、意匠画像部である照明用画像Aには、進路矢印25の延長上に相当する部分に、図1に示すように、線状で周囲よりも輝度が高い高輝度部である進路矢印インジケータ27が画像として形成されている。進路矢印インジケータ27は、進路矢印25の指示方向が変わると、それに連動して常に進路矢印25の延長上にあるように仮想中心Cを中心として回転する。これを運転者側から見ると、透明リング15a上における進路矢印25の先端の延長上に明るい輝線として進路矢印インジケータ27が視認される。そして、指示される進路方向の変化に対応して進路矢印25が回動すると、それと同期して進路矢印インジケータ27も、常に進路矢印25の延長上に有るように回動する。これにより、ナビゲーションガイドNの見映えを斬新なものとしつつナビゲーションガイドNの視認性を高めることができる。ここで、装飾リング15、詳しくは装飾リング15の内周側にあるトリムリング15bは、図1に示すように、進路矢印25の先端から離れて設置されている。これにより、進路矢印25と進路矢印インジケータ27とは完全に分離して2つの表示として視認される。
【0042】
液晶パネル2の裏側には、図2に示すように、プリント基板5が配置されている。プリント基板5は、たとえばガラスエポキシ基板等からなりからなりコンビネーションメータ1の電気回路を形成している。プリント基板5には、上述した液晶パネル2、発光ダイオード4が電気的に接続されている。液晶パネル2とプリント基板5との接続には、たとえば図示しないFPC(Flexible Printed Circuit)が用いられている。プリント基板5には、液晶パネル2の表示作動を制御するコントローラ10が実装されている。コントローラ10は、外部からの電気信号、すなわち車速センサ13からの検出信号に基づいて自動車の走行速度を算出しそれを表示させるべく液晶パネル2を駆動するとともに、ナビゲーションシステム装置14からの位置信号に基づいて、ナビゲーションガイドN上に進路矢印25を表示するように液晶パネル2を駆動する。コントローラ10は、たとえばマイクロコンピュータ等から構成されている。また、コントローラ10は、発光ダイオード4の点灯・消灯制御も行っている。
【0043】
液晶パネル2の前面側には見返し板7が装着されている。見返し板7は、たとえば樹脂材料等から略枠状に形成されて、液晶パネル2の外周部に密着して配置されている。見返し板7の視認者側(図2の左側)端部には透明カバー8が取り付けられている。透明カバー8は、透光性材料、たとえばアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂等の薄板から形成され、コンビネーションメータ1内への異物(塵埃、水滴等)の侵入を防ぎ液晶パネル2表面を清浄に維持している。
【0044】
見返し板7の背後(図2の右側)には、ケーシング6が配置されている。ケーシング6は、たとえば樹脂材料等から形成され、上述した液晶パネル2、プリント基板5等を収容固定している。
【0045】
ケーシング6の背後(図2の右側)には、ロアカバー9が配置されている。ロアカバー9は、ケーシング6の後端側開口を覆ってケーシング6内部への埃、水分等の侵入を防止している。
【0046】
次に、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成について、図5に基づき説明する。
【0047】
本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1において、図5に示すように、
コントローラ10には、バッテリ12から電力が常時供給されている。また、コントローラ10には、イグニッションスイッチ11が、その作動状態(ONまたはOFF)を検出可能に接続されている。コントローラ10には、液晶パネル2および発光ダイオード4が接続されている。コントローラ10には、当該自動車の走行速度を検出する車速センサ13が検出信号を入力可能に接続されている。車速センサ13は、たとえば変速機の出力軸の回転数、たとえばプロペラシャフトの回転数を検出している。コントローラ10には、ナビゲーションシステム装置14が進路指示情報信号を入力可能に接続されている。
【0048】
次に、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の作動について説明する。
【0049】
運転者によりイグニッションスイッチ11がONされると、コントローラ10は、それを検知してコンビネーションメータ1を作動状態に制御する。すなわち、コントローラ10は、液晶パネル2を作動状態とし発光ダイオード4を点灯させる。液晶パネル2が作動状態になると、その画面21上に次の3つの画像が形成される。第1に、数字22および指針23からなる速度計Sが形成され、車速センサ13からの検出信号に基づいてコントローラ10により算出された自動車の走行速度が表示される。第2に、進路矢印25等からなるナビゲーションガイドNga形成され、ナビゲーションシステム装置14からの進路指示情報信号に基づいてコントローラ10により算出された自動車の進路が進路矢印25として表示される。第3に、装飾リング15の透明リング15aを照明するための照明画像Aが形成され、照明用画像Aから発せられる光により透過照明されて、透明リング15aが発光表示される。このとき、照明画像Aにおいて、速度計Sの指針23の延長上には指針インジケータ26が、また、ナビゲーションガイドNの進路矢印25の延長上には進路矢印インジケータ27が、それぞれ形成される。照明用画像Aにおいて、指針インジケータ26および進路矢印インジケータ27の発光輝度は、それらの周囲部分の発光輝度よりも高く、たとえば、運転者が見て際立って明るく見えるくらいに設定されている。
【0050】
次に、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の特徴である、装飾部材である装飾リング15の作用効果、および高輝度部である指針インジケータ26および進路矢印インジケータ27を設けたことによる作用効果について説明する。
【0051】
本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1において、装飾リング15は液晶パネル2の前面側、つまり運転者側に重ねて配置されているため、装飾リング15の透明リング15aの表面は、液晶パネル2の画面21よりも前面側に突き出している。この透明リング15aが液晶パネル2の照明用画像Aからの光により透過照明されると、透明リング15aの表面が明るく光って視認される。これにより、コンビネーションメータ1の見映えを立体感豊かなものとすることができる。さらに、照明用画像A上の速度計Sの指針23の延長上に指針インジケータ26を、ナビゲーションガイドNの進路矢印25の延長上に進路矢印インジケータ27を、それぞれ高輝度部として形成している。ここで、装飾リング15、詳しくは装飾リング15の内周側にあるトリムリング15bは、図1に示すように、指針23の先端および進路矢印25の先端からから離れて設置されている。これにより、指針23と指針インジケータ26とは完全に分離して2つの表示として視認されるとともに、進路矢印25と進路矢印インジケータ27とも完全に分離して2つの表示として視認される。このため、自動車の走行速度は、指針23と指針インジケータ26との2つの指示図形により指示され、目的地までの進路が進路矢印25と進路矢印インジケータ27との2つの指示図形により指示される。これにより、運転者が走行速度および自車の進路を確実に読取ることができるとともに、コンビネーションメータ1の見映えを斬新なものとすることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるコンビネーションメータ1について説明する。
【0053】
本発明の第2実施形態によるコンビネーションメータ1は、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1に対して、装飾リング15の透明リング15aの前面側表面に、図7に示すように、拡散反射層である、しぼ面Kを形成している。しぼ面Kは無数の微細な凹凸からなる面で、たとえば、透明リング15aを樹脂材料を成型加工して作る際に、型により転写して形成される。ここで、拡散反射層としてしぼ面K以外の拡散反射層を設けても良い。たとえば明色の着色層を設ける、あるいは拡散反射層が形成された樹脂シートを貼着する等してもよい。照明用画像Aから発せられた光が透明リング15a内を進行して前面側表面に至り、しぼ面Kに入射すると、この光はしぼ面Kで拡散反射されて、図7に示すように、しぼ面Kへ入射する直前の角度に比べてより拡大された広い範囲に出射する。これにより、視認者である運転者の姿勢が変化しても、透明リング15a、すなわち装飾リング15は常に運転者から明るく視認される。したがって、コンビネーションメータ1の見映えを斬新なものとすることができる。
【0054】
以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるコンビネーションメータ1においては、装飾リング15のトリムリング15b、15cをABS樹脂から形成するとともに光不透過とするためにクロムめっき層Pを施しているが、このような組み合わせに限る必要はない。クロムめっき層の代わりに遮光性塗料層を設ける、あるいはABS樹脂そのものに着色してもよい。また、ABS樹脂に替えて他の樹脂を用いてもよいし、樹脂ではなく金属材料、たとえばアルミニウム、ステンレス鋼等から形成してもよい。
【0055】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるコンビネーションメータ1においては、意匠部材である目盛リング3に設けられた表示意匠を目盛31としているが、これに替えて数字を設けてもよい。
【0056】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるコンビネーションメータ1においては、液晶パネル2上に目盛リング3を設け、そこに速度計Sの目盛31を形成しているが、目盛リング3を廃止し、代わりに液晶パネル2の画面21に速度計Sの目盛を画像として形成してもよい。
【0057】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるコンビネーションメータ1においては、液晶パネル2の画面上に形成される画像を、速度計SおよびナビゲーションガイドNとしているが、この組み合わせに限る必要はなく、これらのうちの少なくとも一方を他の種類の表示画像、たとえば、当該自動車のエンジン回転速度を指示するタコメータ、燃料タンク内の残存燃料量を指示する燃料計等に置き換えてもよい。
【0058】
また、以上説明した、本発明の第1実施形態および第2実施形態によるコンビネーションメータ1では、速度計Sの形状を円形とし、それに対応して装飾リング15の平面形状を円形(円弧状)としているが、円形に限定する必要はなく、他の形状としてもよい。たとえば、両者を楕円形としてもよい。
【0059】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態においては、表示装置を、自動車に搭載されるコンビネーションメータ1に適用した場合を例に説明したが、車両用の表示装置に限定する必要は無く、他の民生用機器等に組み込まれている表示装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態による表示装置であるコンビネーションメータ1の部分正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図1中のIII−III線断面図である。
【図4】図1中のIV部拡大図である。
【図5】装飾リング15の構成を説明する模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成を説明する模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態による表示装置であるコンビネーションメータ1の部分断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 コンビネーションメータ(表示装置)
2 液晶パネル(表示器、液晶表示器)
21 画面
22 数字(画像)
23 指針(画像)
24 文字(画像)
25 進路指示矢印(画像)
26 指針インジケータ(高輝度部)
27 進路矢印インジケータ(高輝度部)
3 目盛リング(意匠部材)
31 目盛(表示意匠)
32 端面
4 発光ダイオード(光源)
5 プリント基板
6 ケーシング
7 見返し板
8 透明カバー
9 ロアカバー
10 コントローラ
11 イグニッションスイッチ
12 バッテリ
13 車速センサ
14 ナビゲーションシステム装置
15 装飾リング(装飾部材)
15a 透明リング(光透過部)
15b トリムリング(光不透過部)
15ba 壁面
15c トリムリング(光不透過部)
15ca 壁面
A 照明用画像
C 中心
H 長さ
K しぼ面(拡散反射層)
N ナビゲーションガイド(画像)
P クロムめっき層(光反射層)
S 速度計(画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に各種情報を画像として形成し発光表示する表示器と、
前記表示器の前面側に前記表示器に重ねて配置された装飾部材とを備え、
前記装飾部材は前記画像の形状と関連した形状に形成され、
前記装飾部材は光透過部および光不透過部を組み合わせて構成され、
前記表示器の前記画面上には前記光透過部に対応した位置に意匠画像部が形成され、
前記意匠画像部からの光が前記光透過部を透過して前記光透過部の前面側に出射して視認されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光透過部は透光性材質から形成され、
前記光不透過部は不透光性材質から形成され、
前記光透過部は前記表示器の視認方向に伸びる壁面を備え、
前記壁面はほぼ全面において前記光不透過部材と密着していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光透過部の前面側表面に拡散反射層を設けたことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光不透過部は不透光性材質から形成され、
前記光透過部は前記光不透過部により囲まれた空間として形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光不透過部の前記光透過部と対向する壁面に高光反射率の光反射層が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記画像は指示図形を備え、
前記指示図形はその指示する情報の変化を動きにより指示し、
前記表示器の前記指示図形の延長上且つ前記意匠画像部に点状または線状且つ周囲より輝度の高い高輝度部が形成され、
前記高輝度部は前記指示図形の動きと連動して移動することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示器の前記画像は指針の回動角度位置により物理量を指示する指針計器であり、
前記指示図形は前記指針であり、
前記装飾部材は前記指針の回転中心と同心上の環状に形成され且つ前記指針の先端から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記装飾部材の内周側に隣接して配置された透光性材質からなる意匠部材と、
前記意匠部材の端部から前記意匠部材内に光を入射可能に配置された光源とを備え
前記意匠部材には前記指針計器の表示意匠が形成され、
前記表示意匠は前記意匠部材内を進行する前記光源からの光を反射して発光表示されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示器の前記画像はナビゲーションシステムの進路指示表示画像であり、
前記指示図形は進路指示矢印であり、
前記装飾部材は前記進路指示表示画像の外側に形成され且つ前記進路指示矢印の先端から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示器は液晶表示器であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−102093(P2008−102093A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286745(P2006−286745)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】