説明

表示装置

【課題】基板とフレキシブル配線基板とを適切に接合することが可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】透明基板1Aと、透明基板1Aに並列配置された複数の帯状部22A,22Bからなる端子部21A,21Bを有するアノード電極21Aおよびカソード電極21Bと、端子部21A,21Bに対して異方性導電樹脂を介して接合されたフレキシブル配線基板と、を備える有機EL表示装置Aであって、複数の帯状部22A,22Bのうち並列方向x中央寄りに位置する複数の帯状部22Aは、その幅w1が並列方向x端寄りに位置する複数の帯状部22Bの幅w2よりも小とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば有機EL表示装置などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置をはじめとして、マトリクス状に配置された複数の画素によって所望の画像を表示する表示装置が広く普及している。図5は、従来の有機EL表示装置の一例を示している。同図に示された有機EL表示装置Xは、1対の基板91A,91Bと、アノード電極92Aおよびカソード電極92Bとを備えている。アノード電極92Aおよびカソード電極93Aは、画素形成部94A,94Bを有している。画素形成部94A,94Bは、それぞれ並列配置された複数の帯状部からなる。これらの画素形成部94A,94Bどうしの交差部分には、有機層が挟まれている。これらの交差部分は、表示領域95内においてマトリクス状に配置された複数の画素を構成している。また、アノード電極92Aおよびカソード電極92Bは、それぞれ端子部93A,93Bを有している。端子部93A,93Bは、それぞれ方向xにおいて並列に配置された複数の帯状部からなる。これらの帯状部は、互いに等しい幅とされ、一定の配列ピッチで配置されている。端子部93A,93Bは、異方性導電フィルム(図示略)を介してフレキシブル配線基板(図示略)に接合される。
【0003】
しかしながら、上記異方性導電フィルムを用いて上記フレキシブル配線基板を接合する工程においては、上記フレキシブル配線基板越しに上記異方性導電性フィルムに対して加熱と加圧とがなされる。このため、上記フレキシブル配線基板が伸びてしまい、上記フレキシブル配線基板に形成された配線パターン(図示略)の配列ピッチが不揃いとなる。このようなことでは、上記配線パターンが端子部93A,93Bを構成する上記複数の帯状部に対してずれることとなり、アノード電極92Aおよびカソード電極92Bと上記フレキシブル配線基板とを適切に導通させることが阻害されていた。また、上記フレキシブル配線基板が伸びてしまった状態では、上記フレキシブル配線基板と基板91Aとを位置合わせすることが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−114677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、基板とフレキシブル配線基板とを適切に接合することが可能な表示装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される表示装置は、透明基板と、上記透明基板に並列配置された複数の帯状部からなる端子部を有する電極と、上記端子部に対して異方性導電樹脂を介して接合されたフレキシブル配線基板と、を備える表示装置であって、上記複数の帯状部のうち並列方向中央寄りに位置するものは、その幅が上記複数の帯状部のうち並列方向端寄りに位置するものの幅よりも小とされていることを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、上記フレキシブル配線基板を上記透明基板に接合するときの加熱および加圧処理によって上記フレキシブル配線基板が伸びてしまっても、上記複数の帯状部のうち上記並列方向端寄りにあるものは比較的広幅であるため、上記フレキシブル配線基板に形成された配線パターンと重なり合わせることが可能である。したがって、上記フレキシブル配線基板と上記電極とを適切に導通させることができる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の帯状部のうち並列方向中央寄りにおいて互いに隣り合うものどうしの配列ピッチは、上記複数の帯状部のうち並列方向端寄りにおいて互いに隣り合うものどうしの配列ピッチよりも小とされている。このような構成によれば、上記フレキシブル配線基板が加熱および加圧によって上記並列方向端寄りの部分ほど伸びたとしても、上記フレキシブル配線基板の配線パターンと上記複数の帯状部のうち上記配列方向端寄りに位置するものとを良好に重ね合わせることが可能である。したがって、上記フレキシブル配線基板と上記電極とを導通させるのに好適である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の帯状部に対して上記複数の帯状部の配列方向外方に配置されており、上記複数の帯状部と同一の材質からなり、上記電極には電気的に属さない1以上の追加の帯状部を備えており、上記追加の帯状部は、その幅が上記複数の帯状部のうちもっとも幅が狭いものの幅以下とされている。このような構成によれば、上記フレキシブル配線基板と上記透明基板とを正確に位置合わせすることが可能である。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明に係る表示装置の一例を示している。本実施形態の有機EL表示装置Aは、透明基板1A、封止基板1B、アノード電極2A、カソード電極2B、ダミー電極3、異方性導電フィルム4、およびフレキシブル配線基板5を備えている。なお、図1および図2においては、説明の便宜上異方性導電フィルム4およびフレキシブル配線基板5を省略している。
【0013】
透明基板1Aは、たとえばガラス製であり、アノード電極2A、カソード電極2B、ダミー電極3、および有機層(図示略)を支持するためのものである。本実施形態においては、透明基板1Aは、矩形状とされている。透明基板1Aの図中下面は、有機EL表示装置Aの表示領域10とされている。すなわち、有機EL表示装置Aは、透明基板1Aを透して光を出射する、いわゆるボトムエミッション型として構成されている。
【0014】
封止基板1Bは、たとえばガラス製であり、アノード電極2A、カソード電極2B、ダミー電極3、および上記有機層を保護するためのものである。封止基板1Bは、矩形状とされており、方向xに垂直な方向における寸法が透明基板1Aよりも小とされている。
【0015】
アノード電極2Aは、上記有機層に対してホールを供給するためのものであり、画素形成部23Aと端子部21Aとを有している。画素形成部23Aは、それぞれが方向xと垂直な方向に延びる複数の帯状部によって構成されており、たとえばITOからなることにより透明な部分とされている。端子部21Aは、透明基板1Aの一端縁寄り部分において、方向x中央寄りに配置されている。図2に示すように、端子部21Aは、複数の帯状部22Aによって構成されている。複数の帯状部22Aは、それぞれが方向xと垂直な方向に延びており、方向Xに沿って並列配置されている。帯状部22Aは、たとえばAl、Ag、Mo、Crからなる。端子部21Aは、図3に示すように、異方性導電フィルム4を介してフレキシブル配線基板5に接合される部分である。
【0016】
カソード電極2Bは、上記有機層に対して電子を供給するためのものであり、画素形成部23Bと端子部21Bとを有している。画素形成部23Bは、それぞれが方向xに延びる帯状部によって構成されており、たとえばAlなどの比較的反射率が高い金属からなる。端子部21Bは、透明基板1Aの一端縁寄り部分において、方向x両端寄りに配置されており、端子部21Aを挟んだ格好とされている。図2に示すように、端子部21Bは、複数の帯状部22Bによって構成されている。複数の帯状部22Bは、それぞれが方向xと垂直な方向に延びており、方向xに沿って並列配置されている。帯状部22Bは、たとえばAl、Ag、Mo、Crからなる。端子部21Bは、端子部21Aと同様に、異方性導電フィルム4を介してフレキシブル配線基板5に接合される部分である。
【0017】
画素形成部23Aと画素形成部23Bとの交差部分には、上記有機層が挟まれている。この有機層は、アノード電極2Aからのホールとカソード電極2Bからの電子とが供給されることにより、所定の波長の光を発するものである。これにより、画素形成部23Aと画素形成部23Bとの交差部分が、画素を構成している。上記有機層は、たとえばホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層が積層された構造となっている。
【0018】
ダミー電極3は、透明基板1Aの一端縁寄り部分において、方向x両端縁付近に配置されている。ダミー電極3は、フレキシブル配線基板5を透明基板1Aに接合するときに、フレキシブル配線基板5と透明基板1Aとを位置あわせするために利用されるものであり、アノード電極2Aおよびカソード電極2Bとは導通していない。図2に示すように、ダミー電極3は、複数の帯状部31によって構成されている。帯状部31は、方向xに垂直な方向に延びており、複数の帯状部22A,22Bと同一の素材であるAl、Ag、Mo、Crなどによって形成されている。
【0019】
図2に示すように、複数の帯状部22A,22B,31は、方向Xにおいて並列配置されている。複数の帯状部22Aは、一定の配列ピッチp1で配置されている。複数の帯状部22Bは、一定の配列ピッチp2で配置されている。複数の帯状部31は、一定の配列ピッチp3で配列されている。本実施形態においては、配列ピッチp1は、配列ピッチp2よりも小とされている。そして、配列ピッチp3は、配列ピッチp1以下とされている。また、帯状部22Aの幅w1は、帯状部22Bの幅w2よりも小とされており、帯状部31の幅w3は、帯状部22Aの幅w2以下とされている。
【0020】
異方性導電フィルム4は、絶縁性の樹脂に導電性を有する多数の微粒子が混入されたものであり、フレキシブル配線基板5を透明基板1Aに対して接合するとともに、フレキシブル配線基板5とアノード電極2Aおよびカソード電極2Bとを導通させるためのものである。異方性導電フィルム4は、本発明で言う異方性導電樹脂の一例であり、加熱および加圧を施すことにより、硬化する性質を有する。
【0021】
フレキシブル配線基板5は、有機EL表示装置Aに対して機外から電源供給および表示指令信号の送信を行うためのものであり、樹脂層51と配線パターン52とからなる。樹脂層51は、たとえばポリイミド樹脂製であり、可撓性を有する。
【0022】
配線パターン52は、Cu、Alなどの金属膜がパターニングされたものである。図3および図4に示すように、配線パターン52は、端子部21A,21Bと対向する複数の帯状部を有している。これらの帯状部は、フレキシブル配線基板5が透明基板1Aに接合される前の状態で、基本的には複数の帯状部22Aと同じ配列ピッチp1で並列配置されている。例外として、配線パターン52の複数の帯状部のうち方向x両端寄りに位置するもの(図4においては左方の3つの帯状部)は、ダミー電極3の複数の帯状部31と同じ配列ピッチp3で並列配置されている。
【0023】
フレキシブル配線基板5には、駆動IC6が搭載されている。駆動IC6は、フレキシブル配線基板5を介して機外から送信された表示指令にしたがって、アノード電極2Aおよびカソード電極2Bを用いたパッシブマトリクス制御により、表示領域10に所望の画像を表示させる制御を行うものである。
【0024】
次に、有機EL表示装置の作用について説明する。
【0025】
図4に示すように、フレキシブル配線基板5を透明基板1Aに接合するときには、フレキシブル配線基板5を介して異方性導電フィルム4に対して加熱および加圧を行う。これは、異方性導電フィルム4を硬化させるためである。この加熱および加圧により、フレキシブル配線基板5は、方向xにおいて伸ばされる。このため、配線パターン52の複数の帯状部の配列ピッチが、方向x両端寄りに位置するものほど大となる。本実施形態によれば、配線パターン52の複数の帯状部のうち方向x中央寄りに位置するものは、配列ピッチがほとんど大きくならないため、比較的小さい配列ピッチp1で配列された細い幅w1の複数の帯状部22Aと良好に重なり合う。一方、配線パターン52の複数の帯状部のうち方向x両端寄りに位置するものは、配列ピッチの拡大が顕著であるため、比較的大きい配列ピッチp2で配列された太い幅W2の複数の帯状部22Bと良好に重なり合う。したがって、フレキシブル配線基板5の配線パターン5とアノード電極2Aおよびカソード電極2Bとを適切に導通させることができる。
【0026】
本実施形態においては、表示領域10に画像を表示させるために、カソード電極2Bの画素形成部23Bに対して所定の周波数で走査を行い、この走査に応じてアノード電極2Aの画素形成部23Aを構成する複数の帯状部を選択的に導通させる。このため、カソード電極2Bの帯状部22Bに流れる電流は、アノード電極2Aの帯状部22Aに流れる電流の数百倍となる。帯状部22Bの幅w2が帯状部22Aの幅w1よりも大であるため、帯状部22Bの電気抵抗は、帯状部22Aの電気抵抗よりも小である。したがって、帯状部22Bに流れる比較的大きな電流が不当にジュール熱となって散逸することを防止可能であり、省電力化を図ることができる。
【0027】
また、フレキシブル配線基板5を透明基板1Aに接合するときには、透明基板1Aに形成されたダミー電極3とフレキシブル配線基板5の配線パターン52に含まれる複数の帯状部のうち方向x両端寄りに位置するものとを重なり合わせれば、フレキシブル配線基板5と透明基板1Aとを正確に位置合わせすることができる。この位置あわせは、透明基板1Aを透して、複数の帯状部31と配線パターン52の帯状部のうち複数の帯状部31と対向するものが重なり合うことを目視することによって簡単に確認できる。複数の帯状部31と配線パターン52の帯状部のうち複数の帯状部31と対向するものとは、いずれも配列ピッチp3で配置されている。この配列ピッチp3は、比較的密に配列された複数の帯状部22Aの配列ピッチp1以下とされている。したがって、アノード電極2Aおよびカソード電極2Bの複数の帯状部22A,22Bとフレキシブル配線基板5の配線パターン52に含まれれる複数の帯状部とを正確に位置決めすることができる。
【0028】
本発明に係る表示装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る表示装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0029】
ダミー電極3を複数の帯状部31によって構成すれば、フレキシブル配線基板5と透明基板1Aとの位置合わせに有利であるが、本発明はこれに限定されず、1つだけの帯状部31からなるダミー電極3を備える構成であっても、その幅w3をアノード電極2Aの帯状部22Aの幅w1以下とすれば、正確な位置決めを行うことができる。上述した有機EL表示装置は、本発明に係る表示装置の一例であり、液晶表示装置など様々な表示装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る有機EL表示装置の一例を示す要部平面図である。
【図2】本発明に係る有機EL表示装置の一例を示す要部拡大平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う要部断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】従来の表示装置の一例を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0031】
A 有機EL表示装置
p1,p2,p3 配列ピッチ
w1,w2,w3 幅
x (並列)方向
1A 透明基板
1B 封止基板
2 電極
2A アノード電極
2B カソード電極
3 ダミー電極
4 異方性導電フィルム
5 フレキシブル配線基板
6 駆動IC
10 表示領域
21A,21B 端子部
22A,22B 帯状部
23A,23B 画素形成部
31 帯状部
51 樹脂層
52 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
上記透明基板に並列配置された複数の帯状部からなる端子部を有する電極と、
上記端子部に対して異方性導電樹脂を介して接合されたフレキシブル配線基板と、
を備える表示装置であって、
上記複数の帯状部のうち並列方向中央寄りに位置するものは、その幅が上記複数の帯状部のうち並列方向端寄りに位置するものの幅よりも小とされていることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
上記複数の帯状部のうち並列方向中央寄りにおいて互いに隣り合うものどうしの配列ピッチは、上記複数の帯状部のうち並列方向端寄りにおいて互いに隣り合うものどうしの配列ピッチよりも小とされている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記複数の帯状部に対して上記複数の帯状部の配列方向外方に配置されており、上記複数の帯状部と同一の材質からなり、上記電極には電気的に属さない1以上の追加の帯状部を備えており、
上記追加の帯状部は、その幅が上記複数の帯状部のうちもっとも幅が狭いものの幅以下とされている、請求項1または2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−3114(P2008−3114A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169604(P2006−169604)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】