説明

表示装置

【課題】湾曲を繰り返した場合であっても表示素子の耐久性に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】表示部2と、該表示部を駆動するための回路部4と、前記表示部の所定の方向Yの湾曲を抑制するための湾曲抑制部材3とを備えた表示装置であって、前記表示部は、フレキシブル基板21と、該フレキシブル基板上に形成された一対の上下の電極22,26間に少なくとも1層の表示要素28が挟持された表示素子20とを有し、前記所定の方向に対して直交方向Xに湾曲可能であり、前記電極の一方は金属よりなる電極26であり、他方は金属酸化物よりなるストライプ状に形成された電極22であり、該ストライプ状の電極の長辺が前記表示部の湾曲を抑制する所定の方向に配置されていることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部が湾曲可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データ処理装置やテレビ等の表示装置は、陰極線管が主流であったが、近年、省スペース化を目的として、例えばプラズマ表示素子、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と呼ぶ。)等を用いた平面型の表示装置が開発されている。しかし、これらの平面型の表示装置は、当初、ガラス等のフレキシブル性(可撓性)を有しない基板上に素子が形成されていたため、表示装置を紙のように湾曲させたり折り曲げたりすることが極めて困難であった。また、ガラス基板を用いた表示部は、落下等の衝撃によって破損しやすく、取り扱いに注意が必要であった。さらに、表示装置の大画面化にともない、装置重量が増加する傾向にあった。
【0003】
近年、移動や携帯を容易にするため、フレキシブル性を有する表示装置が提案されている。例えば、表示部をロールスクリーン状に巻取り可能な表示装置が開発されており、さらに、巻取った表示部を円筒形の収容器に収容可能な表示装置も提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらのフレキシブル性を有する表示装置は、例えばプラスティック等のフレキシブル性を有する基板(フレキシブル基板)上にEL素子等を形成することで巻取り可能な構造となっている。また、一方向には曲がるが、それと直交する方向には曲がらないように補強部材を設けた液晶表示素子も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−15858号公報
【特許文献2】特開2002−328625号公報
【特許文献3】特開平6−347772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フレキシブル基板を用いた表示装置では、特に、湾曲を繰り返した場合に加わる曲げ応力によって表示素子の耐久性が劣化するという、ガラス基板では想定していなかった課題があり、これを満たす十分な提案は未だなされていない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、湾曲を繰り返した場合であっても表示素子の耐久性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決される。
<1> 表示部と、該表示部を駆動するための回路部と、前記表示部の所定の方向の湾曲を抑制するための湾曲抑制部材とを備えた表示装置であって、前記表示部は、フレキシブル基板と、該フレキシブル基板上に形成された一対の上下の電極間に少なくとも1層の表示要素が挟持された表示素子とを有し、前記所定の方向に対して直交方向に湾曲可能であり、前記電極の一方は金属よりなる電極であり、他方は金属酸化物よりなるストライプ状に形成された電極であり、該ストライプ状の電極の長辺が前記表示部の湾曲を抑制する所定の方向に配置されていることを特徴とする表示装置。
【0008】
<2> 前記表示部を保持するための表示部保持部材をさらに備えていることを特徴とする<1>に記載の表示装置。
【0009】
<3> 前記表示部と前記表示部保持部材が摺動自在に係合されていることを特徴とする<2>に記載の表示装置。
【0010】
<4> 前記湾曲抑制部材を、前記フレキシブル基板又は前記表示部保持部材の少なくとも一部に備えることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の表示装置。
【0011】
<5> 前記湾曲抑制部材を複数備え、前記表示部を湾曲したときに隣接する湾曲抑制部材同士が接触することで前記表示部の湾曲量が制限されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の表示装置。
【0012】
<6> 前記表示素子が、印加された電界により発光又は変化する光学特性を有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の表示装置。
【0013】
<7> 前記表示素子が、発光素子であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の表示装置。
【0014】
<8> 前記表示素子が、有機EL素子であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の表示装置。
【0015】
<9> 前記表示部を収容するための収容部をさらに備えることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の表示装置。
【0016】
<10> 前記収容部が、前記表示部を巻取って収容し、かつ、収容された表示部を引き出すことができるものであることを特徴とする<9>に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示装置によれば、湾曲の繰り返しによる表示素子への曲げ応力の印加を抑制し、表示素子、特に電極の破損を抑制することができるため、長期にわたって安定した画像の表示が可能となる。特に、ストライプ状に形成された電極の長辺方向を、湾曲抑制部材の湾曲抑制方向と同一方向に配置したため、表示部(表示素子)を湾曲する際に、曲げ応力の印加を効果的に抑制でき、長期にわたって安定した表示が可能となる。
【0018】
また、本発明に係る表示装置は、例えば、表示部を巻取って収容し、収容した表示部を引き出すことが可能な大画面表示に好適に用いることができ、表示部の収容により保管場所の省スペース化を向上することができる。さらに、湾曲抑制部材が所定の方向の湾曲を制限することによって表示部の巻取りや引き出しを容易に行うことができる。加えて、湾曲抑制部材が湾曲方向の湾曲量を制限することにより過度に湾曲せず、人の手による保持性や視認性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明する。
本発明の表示装置は、表示部と、該表示部を駆動するための回路部と、前記表示部の所定の方向の湾曲を抑制するための湾曲抑制部材とを備えた表示装置であって、前記表示部は、フレキシブル基板と、該フレキシブル基板上に形成された一対の上下の電極間に少なくとも1層の表示要素が挟持された表示素子とを有し、前記所定の方向に対して直交方向に湾曲可能であり、一方の電極(以下、第1電極と称することがある。)は金属よりなる電極であり、他方の電極(以下、第2電極と称することがある。)は金属酸化物よりなるストライプ状に形成された電極であり、該ストライプ状の電極の長辺が前記表示部の湾曲を抑制する所定の方向に配置されていることを特徴としている。
【0020】
まず、表示素子として有機EL素子を備えた表示装置を例に用いて説明する。
図1は、本発明を適用した有機EL表示装置の構成の一例を示した概略斜視図である。この有機EL表示装置1は、フレキシブル性を有するフィルム状のプラスティック基板21の表面側(表示面側)に有機EL素子6が配置された表示部2を有し、また、表示部2を駆動するための回路部として、プラスティック基板21の一側端部に表示部2の駆動制御を行う駆動回路4が配置されている。さらに有機EL表示装置1全体に電源を供給する電源回路(図示せず)、表示信号を受信する信号処理回路(図示せず)等が配置されている。また、回路部4のまわりには、回路部4を収容するための回路収容部材5が配置されている。
さらに、この有機EL表示装置1の裏面側(非表示面側)には、表示部2が所定の方向に湾曲することを抑制するための湾曲抑制部材3が所定の間隔で配置されている。すなわち、図1に示す表示部2の面内で長手方向をX方向、短手方向をY方向としてXY方向を定義すると、Y方向(短辺方向)に延びる湾曲抑制部材3がX方向(長辺方向)に櫛歯状に並列することにより、表示部2がX方向には湾曲し、Y方向には湾曲しにくい構成となっている。
【0021】
〔表示部〕
図2は、表示部2と駆動回路4の電気的な接続状態を示す平面図である。図2に示されるように、表示部2は画素部10と配線部14に分けられる。画素部10には、フィルム状のプラスティック基板上に有機EL素子6がマトリックス状に配列されている。一方、配線部14には、各有機EL素子を駆動するために各有機EL素子と各駆動回路4とを電気的に接続する配線13(縦配線11及び横配線12)が配置されている。
【0022】
図3は、画素部10における各有機EL素子の構成を示す要部斜視図であり、図4は、その要部縦断面図である。
画素部10では、透明なフィルム状のプラスティック基板21上に透明電極である陽極22が所定の間隔を置いてストライプ状(帯状)に複数設けられており、湾曲が抑制されるY方向(湾曲するX方向と直交する方向)に陽極22の長辺が一致するように並列している。陽極22上には、図4に示されるように、正孔輸送層23、発光層24、および電子輸送層25が順次積層されてなるシート状の有機EL層28が設けられている。さらに陽極22と直交するようにしてストライプ状の陰極26が複数設けられ、その上に保護層27が設けられている。このような構成により、透明電極である陽極22と陰極26とが交差する位置に、すなわち一対の上下の電極22,26間に表示要素として有機EL層28が挟持されている。
【0023】
表示部2(画素部10及び配線部14)は、Y方向への湾曲量が、湾曲抑制部材3によって規制されるが、陽極22と直交するX方向には有意に湾曲可能となっている。ここでX方向に有意に湾曲可能とは、Y方向よりもX方向の湾曲量が大きいことを意味する。図1〜3に示される有機EL表示装置1においては、Y方向に延びる陽極22が、X方向に所定の間隔をあけてストライプ状に形成されているため、X方向への湾曲時においてそのストライプ(陽極22)の長辺方向(Y方向)に曲げ応力が実質的に加わらない構成となっている。
【0024】
次に、表示部2を構成するフィルム状プラスティック基板と有機EL素子について具体的に説明する。
<フィルム状プラスティック基板>
フィルム状プラスティック基板21は、有機EL素子20の支持体となるものであり、フィルム状プラスティック基板21上に有機EL素子20を構成する各層22〜27が形成される。なお、有機EL素子20をさらに保護する目的で、有機EL素子20を覆うようにプラスティックフィルム等を設けても構わない。
【0025】
フィルム状プラスティック基板21に用いる材料としては、透過率の高い材料であれば特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等のプラスティックフィルムを好ましく用いることができる。
また、フィルム状プラスティック基板21には、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、有機EL素子20の傷付きを防止するためのハードコート層、フィルム状プラスティック基板21の平坦性や陽極22との密着性を向上するためのアンダーコート層等を適宜備えることも可能である。
【0026】
フィルム状プラスティック基板21の厚みは材料等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、50μm以上500μm以下とすることが好ましい。このような厚みを有するフィルム状プラスティック基板21であれば、十分な平坦性を保持するとともに可撓性を有し、基板21自体を自由に曲げることができる。
【0027】
<陽極>
陽極22に用いる材料としては、有機EL層28に正孔を供給し、有機EL層からの発光を透過する電極としての機能を有していれば特に制限はなく、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)等の金属酸化物を好ましく用いることができる。有機EL素子に用いる陽極材料として、より好ましくは、正孔注入性、生産性、導電性、透明性等の点でITOである。
【0028】
陽極22の厚みは、100nm以上500nm以下とすることが好ましい。このような厚みを有する陽極22であれば、陽極として十分に機能するとともに、可視光の透過率を十分高くすることができる。その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。また、陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
【0029】
陽極材料として用いられる前述の金属酸化物は、いずれも後述の陰極26に用いられる材料に比べて曲げ強度が小さい。ここで、曲げ強度とは、電極に曲げ応力が加えられたときの破断強度を意味する。材料としては、脆弱な金属酸化物の方が、金属や合金のような展性の大きい材料よりも曲げ強度は小さい。
【0030】
<正孔輸送層>
正孔輸送層23は、陽極22から正孔を受け取り発光層24に輸送する機能を有する層である。正孔輸送層23に使用する材料としては、例えばカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾールやフェニルアジンを配位子に有するIr錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
<発光層>
発光層24は、正孔輸送層23から正孔を受け取り、電子輸送層25から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。本発明における発光層24は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
【0032】
本発明に使用できる蛍光発光材料としては、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
また、本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくはルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。ランタノイド原子としては、好ましくはランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられ、より好ましくはネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムである。
【0034】
錯体の配位子としては、例えばハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子等が挙げられ、含窒素ヘテロ環配位子が特に好ましい。
【0035】
燐光発光材料は、発光層24中に、0.1〜40質量%含有されることが好ましく、0.5〜20質量%含有されることがより好ましい。
【0036】
また、本発明における発光層24に含有されるホスト材料としては、例えばカルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、前述の正孔輸送層23、後述の電子輸送層25の項で例示されている材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
<電子輸送層>
電子輸送層25は、陰極26から電子を受け取り発光層24に輸送する機能を有する層である。電子輸送層25に使用する材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
<陰極>
陰極26は、有機EL層に電子を注入する電極としての機能を有していれば特に制限はなく、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。例えば、金属、合金、等が挙げられるが、好ましくは金属である。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等の低仕事関数を有する金属材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
<保護層>
保護層27は、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有していれば、特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
以上のようなフィルム状プラスティック基板21と有機EL素子20、すなわち、陽極22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25、陰極26等により画素部10が構成される。そして、有機EL素子20の陽極22と陰極26との間に直流電圧を選択的に印加することにより、陽極22から注入された正孔が正孔輸送層23を経て、また陰極26から注入された電子が電子輸送層25を経て移動し、それぞれ発光層24に到達する。その結果、発光層24においては、電子と正孔との再結合が生じ、ここから所定の波長で発光が生じる。また、発光層24の材料を選択することにより、R、G、Bの三色を発光するフルカラー用、マルチカラー用の画素部とすることができる。
【0041】
<配線部>
配線部14には、2種類の配線、すなわち、有機EL素子20の陰極26から引き出された縦配線11と、陽極22から引き出された横配線12とにより構成された配線13が配置されている。
【0042】
縦配線11は、陰極26より引き出され、表示部2(フィルム状プラスティック基板21)上において、X方向、すなわち、駆動回路4と直交する方向に配置されている。そして、縦配線11は、画素部10からそのまま略直線状に回路部(駆動回路4)まで配置され、各有機EL素子20と駆動回路4とを接続している。
【0043】
一方、横配線12は、陽極22より引き出され、表示部(フィルム状プラスティック基板21)2上において駆動回路4と平行な方向に対して約45°の角度で回路部(駆動回路4)の方向に引き出され、さらに略直線状に駆動回路4まで配置され、各有機EL素子20と駆動回路4とを接続している。
【0044】
図2では、横配線12は、画素部10を略半分に分けて両方向に引き出されている。このように横配線12を画素部10の両方向に引き出すことにより、画素部10を表示部2の略中心部に配置することができる。なお、横配線12は必ずしも画素部10の両方向に引き出す必要はなく、横配線12を画素部10のどちらか一方のみに引き出しても良い。
【0045】
縦配線11及び横配線12の材料としては、例えばAu、Cr、Al、Cu等の比抵抗率が低く、化学的に安定な材料が挙げられる。
【0046】
〔湾曲抑制部材〕
図1では、複数の棒状の湾曲抑制部材3が表示部2の裏面に直接配置されている。このように、分離した複数の湾曲抑制部材3を配置する場合には、Y方向の湾曲を制限するため、湾曲抑制部材3同士の間隔が狭い方が好ましく、湾曲抑制部材3の剛性がフィルム状プラスティック基板21よりも高い方が好ましい。
【0047】
湾曲抑制部材3の材料としては、表示部2の湾曲を制限する機能を有していれば、特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。例えば金属、プラスティック、木材、紙類、セラミックス、等が挙げられる。
【0048】
湾曲抑制部材3は、上記のような材料からなる棒状の部材を表示部2のフィルム状プラスティック基板21の裏面側に接着剤を用いて接着したり、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂をフィルム状プラスティック基板21の裏面側に塗布した後、湾曲抑制部材3のパターンに硬化することで配置することができる。
【0049】
以上のように構成された表示部2において、画素部10の陽極22のストライプ長辺方向および湾曲制限構造3の湾曲制限方向は、湾曲方向Xに対して直交する方向と同一方向になるように構成されている。したがって、表示部2の湾曲に際して、陽極22には曲げ応力が実質的に加わらず、結果として湾曲を繰り返しても、長期にわたって表示部により安定した表示が可能となる。
【0050】
上記においては、湾曲方向(X方向)とストライプ状の陽極22の長辺方向(Y方向)とのなす角度、および湾曲方向と湾曲抑制部材3の湾曲制限方向とのなす角度が90°になる場合、すなわち、直交する場合について説明したが、本発明に係わる有機EL表示装置は、必ずしも前記角度が90°である必要はない。
例えば、製造上の誤差等により、90°から多少傾いても陽極22の破断防止の効果を得ることが可能である。また、高品質の画像表示を目的として、画素をデルタ配列とした場合、パッシブマトリックス型表示素子では、陽極と陰極を直交させず、陽極を画素配列に合わせて傾けることもできる。このとき、陽極と陰極のなす角は、10°〜30°となる。このような観点から、本発明においては直交方向とは、90°±30°の範囲を利用できる。
【0051】
〔回路部〕
回路部は、表示部2の一側端部に配置され、有機EL素子20の駆動制御を行う駆動回路4、有機EL表示装置1全体に電源を供給する電源回路(図示せず)、表示信号を受信する信号処理回路(図示せず)等が配置されている。
また、回路類を覆う回路収容部材5が設けられている。回路収容部材5は回路類を保護するとともに、表示部2を巻取って収容する際の軸となるものである。回路収容部材5の形状は角柱形や円筒形を採用することができるが、表示部2を巻取って収容する際に表示部2の表面に傷を付けたり、不均一な応力がかからないようにするため、丸みを帯びた形状とすることが好ましい。また、表示部2を巻取って収容する際の軸としての機能を考慮した場合、回路収容部材5の直径又は太さは、表示部2を構成する材料の機械的強度等を考慮して所定の寸法とすることが好ましい。
【0052】
また、図5に示すように、有機EL表示装置1は、表示部2を保持するための表示部保持部材31,34を設けておくことが好ましい。表示部2は、上下の表示部保持部材31,34によって挟むように保持される。一方の表示部保持部材31は、表示部2の非表示面側に配置され、保持部材31の裏面には湾曲抑制部材32が配置されている。他方の表示部保持部材34は、表示部2の表示面側に配置され、表示部2の表示領域(画素部10)に対応する開口を有している。これらの表示部保持部材31,34は、フレキシブル性を有する材料で形成することで、表示部保持部材31,34が取り付けられていても、有機EL表示装置1の表示部2はX方向には湾曲することが可能となる。さらに、図5に示す有機EL表示装置1では、表示部2と表示部保持部材31,34は、X方向、すなわち表示部が湾曲する方向に摺動自在に係合されている。従って、表示部2の湾曲の際、表示部2は表示部保持部材31,34の間で移動することができ、それによって有機EL表示装置1の湾曲により加えられる応力を緩和できる。
【0053】
表示部保持部材31,34の材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。例えば金属、プラスティック、紙類、皮革、等が挙げられる。
【0054】
また、上述した有機EL表示装置1においては、保護層27側から有機EL素子20の発光を取り出す構成とすることもできる。このような場合には、電極や有機EL層の構成がフィルム状プラスチック基板側から発光を取り出す有機EL素子20を用いた場合とは逆になり、図6に示すような構成の有機EL素子40を形成する。すなわち、この有機EL素子40は、基板41上に陰極46が形成されており、次いで有機EL層48として、電子輸送層45、発光層44、正孔輸送層43が順次形成される。そして、有機EL層48上に陽極42が形成され、さらに陽極42上に保護層47が形成された構成となる。
【0055】
以上のように構成された有機EL素子40を備えた表示部2において、画素部10の陽極42は、湾曲方向に対して直交する方向に配置される。したがって、表示部2の湾曲に際して、陽極42には曲げ応力が実質的に加わらず、結果として表示部2の巻き取りや収容を繰り返し行っても、陽極42の破断が抑制され、表示部2において長期にわたって安定した表示が可能となる。
【0056】
ここで、基板41は、フレキシブル基板であればよく、フィルム状プラスティック基板でも良いが、有機EL素子40からの発光を取り出す必要がないため、フィルム状金属基板等のフレキシブル性を有する不透明基板も用いることができる。フィルム状金属基板は、フィルム状プラスティック基板よりもガスバリア性が高いため好ましい。なお、フィルム状金属を有機EL素子40の基板として用いる場合には、基板41と陰極46との間に、陰極46同士の電気絶縁性を確保するための絶縁層を、さらに設ける必要がある。
【0057】
このようなフィルム状金属基板41に用いる材料としては、例えばステンレス、Fe、Al、Ni、Co、Cuやこれらの合金等、常温・常圧においてフィルム状態とすることが可能な金属であれば何れの金属も用いることができる。
【0058】
また、上記では、画素部10を有機EL素子20、40により構成した有機EL表示装置について説明したが、本発明に係るEL表示装置は、これに限定されることはなく、画素部10が無機EL素子から構成された無機EL表示装置としても良い。
【0059】
無機EL表示装置は、画素部が無機EL素子をマトリックス状に多数配列した構成とされる。図7は、無機EL素子50の構成を示す要部縦断面図である。すなわち、無機EL表示装置の画素部は、例えば透明基板であるフィルム状プラスチック基板51上にストライプ状の透明電極である第1電極52が複数設けられ、その上に第1誘電体層53と発光層54と第2誘電体層55とが積層されてなるシート状の無機EL層58が設けられている。そして、第1電極52と直交するようにして、反射電極としてのストライプ状の第2電極56が複数設けられ、さらに、第2電極56上に保護層57が設けられている。このような構成により、透明電極である第1電極52と第2電極56とが交差する位置に、すなわち上下の電極52,56間に表示要素として無機EL層58が挟持されることになる。
【0060】
ここで、発光層54に用いる材料としては、ZnS、CaS、SrS、BaAl等の硫化物母体に、Mn、Cu等の遷移金属元素やEu,Ce,Tb、Er、Tm、Sm等の希土類元素をドーパントとして加えた材料を用いることが好ましい。
第1誘電体層53及び第2誘電体層55に用いる材料としては、Y、Ta、TiO、BaTiO、SrTiO等の高誘電率を有する材料を用いることが好ましい。
第1電極52に用いる材料としては、ITO、IZO、AZO、GZO等の透過率の高い材料を用いることが好ましい。
第2電極56に用いる材料としては、Al、Cr、Au、Ag等の反射率の高い金属、及びそれらの合金を用いることが好ましい。
【0061】
また、フレキシブル基板としては、上記のようなフィルム状プラスチック基板51に限定されず、フィルム状金属基板等の不透明基板も用いることができる。フィルム状金属基板は、フィルム状プラスティック基板よりも耐熱性が高いため、成膜時の基板温度が必要な発光層54及び誘電体層53,55を形成するのに好ましい。なお、フィルム状金属を無機EL素子50の基板として用いる場合には、第1電極52と第2電極56の位置を逆にして保護層57側から無機EL層58からの発光を取り出すように構成し、基板51と第2電極56との間に、第2電極56同士の電気絶縁性を確保するための絶縁層を、さらに設ける必要がある。
【0062】
以上のように構成された無機EL素子50を備えた表示部2において、画素部10の第1電極52は、有機EL素子の場合と同様に湾曲方向に対して直交する方向に配置される。したがって、表示部2の湾曲に際して、第1電極52には曲げ応力が実質的に加わらず、結果として湾曲を繰り返しても、第1電極52の破断が抑制され、表示部において長期にわたって安定した表示が可能となる。
【0063】
また、上記では、画素部10が有機EL素子20等により構成したEL表示装置について説明したが、本発明に係る表示装置の表示素子は、EL素子等の発光素子に限定されることはなく、印加された電界により発光又は変化する光学特性を有するものを用いることができる。例えば画素部10が電気泳動素子から構成された電気泳動表示装置しても良い。
【0064】
電気泳動表示装置は、画素部が電気泳動素子をマトリックス状に多数配列した構成とされる。図8は、電気泳動素子60の構成を示す要部縦断面図である。電気泳動表示装置の画素部は、例えば透明基板であるフィルム状プラスチック基板61上にストライプ状の透明電極である第1電極62が複数設けられ、その上に誘電体層63と誘電体層63中に分散され、2色の異なる電荷に帯電した顔料を有するマイクロカプセル64とからなる表示層66が設けられている。さらに、第1電極62と直交するようにして、反射電極としてのストライプ状の第2電極65が複数設けられている。このような構成の電気泳動素子60とすることにより、透明電極である第1電極62と第2電極65とが交差する位置に、すなわち上下の電極62,65間に表示要素として表示層66が挟持されることになる。
【0065】
以上のように構成された電気泳動素子60を備えた表示部2において、画素部10の第1電極62は、有機EL素子の場合と同様に湾曲方向に対して直交する方向に配置される。したがって、表示部2の湾曲に際して、第1電極62には曲げ応力が実質的に加わらず、結果として湾曲を繰り返しても、第1電極62の破断が発生せず、表示部において長期にわたって安定した表示が可能となる。
【0066】
上記において、画素部がEL素子や電気泳動素子により構成されたパッシブマトリックス型のフレキシブル表示装置について説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、信号配線、又は表示素子の一方のストライプ状表示電極の材料に金属酸化物を用いた表示素子から構成されるフレキシブル表示装置に適用することができる。
【0067】
また、上記において、棒状の湾曲抑制部材を備えたフレキシブル表示装置について説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、種々の形状、構成を有する湾曲抑制部材をフレキシブル表示装置に適用することができる。例えば、湾曲抑制部材をフレキシブル基板又は表示部保持部材の少なくとも一部に備えたものとすることができる。
【0068】
図9は、樹脂マトリックス71中に複数の円柱状の湾曲抑制部材72を埋設した板状部材70の構成を示した概略斜視図である。この板状部材70は、例えば剛性の高い金属線のような円柱状の湾曲抑制部材72と樹脂部材71をキャスト法等を用いて一体的に形成することで得ることができる。これにより、板状部材70は、X方向に湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。このような板状部材70は、表示素子のフレキシブル基板およびフレキシブル表示装置の表示部保持部材として用いることができる。
【0069】
また、図10は、樹脂マトリックス81中に複数の球状の湾曲抑制部材82を列状に埋設した板状部材80の構成を示した概略斜視図である。このような板状部材80は、例えばガラスビーズのような剛性の高い球状の湾曲抑制部材82と樹脂部材81をキャスト法等を用いて一体的に形成することで得ることができる。これにより、板状部材80は、X方向に湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。この板状部材80も、表示素子のフレキシブル基板およびフレキシブル表示装置の表示部保持部材として用いることができる。
【0070】
また、図11は、波板状の湾曲抑制部材92を2枚の平板部材91で挟んだ板状部材90の構成を示した概略斜視図である。この板状部材90は、例えば金属板をプレス成形した波板状の湾曲抑制部材92と平板部材91を接着、溶接、等を用いて一体的に形成することで得ることができる。これにより、板状部材90は、X方向に湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。この板状部材90も、表示素子のフレキシブル基板およびフレキシブル表示装置の表示部保持部材として用いることができる。
【0071】
また、図12は、複数の棒状の湾曲抑制部材102を平紐部材101で編み込んだ平板部材100の構成を示した概略斜視図である。これにより、板状部材100は、X方向に湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。この板状部材100は、フレキシブル表示装置の表示部保持部材として用いることができる。
【0072】
上記において、種々の構造、形状を有する湾曲抑制部材について記載したが、本発明のフレキシブル表示装置は、さらに湾曲抑制部材に湾曲量を制限する構造を有することが好ましい。
【0073】
図13aは、複数の台形断面を有する棒状の湾曲抑制部材112が、平板部材111上に隣接するように配置された平板部材110の構成を示した概略斜視図である。さらに、図13bは板状部材110を湾曲させた状態を示した概略斜視図である。図13bに示されるように、隣接する湾曲抑制部材112同士が接触すると、板状部材110はそれ以上湾曲不可能となる。これにより、板状部材110はX方向に一定量湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。このような板状部材110を表示素子を形成するためのフレキシブル基板あるいは表示部保持部材に適用した有機EL表示装置では、湾曲動作を繰り返しても、陽極22以外の部材も劣化が発生し難くなり、さらに長期にわたって表示部により安定した表示が可能となる。
【0074】
図14は、平板部材121の両面において複数の台形断面を有する棒状の湾曲抑制部材122が隣接するように配置された板状部材120の構成を示した概略斜視図である。これにより、板状部材120は、X方向の上下いずれにおいても一定量湾曲し、Y方向に湾曲しにくい構成とすることができる。このような板状部材120は、フレキシブル表示装置の表示部保持部材として用いることができる。
【0075】
本発明のフレキシブル表示装置は、種々の形態の電子媒体に応用可能である。例えば表示部2を収容するための収容部をさらに備えることもできる。図15aは、巻取り収容可能な有機EL表示装置1であって、使用している状態を示した概略斜視図である。図15bは、表示部2を巻取って筐体123中に収容した状態を示した概略斜視図である。この表示部2は、筐体123の開口部124から引き出し可能となっており、表示部2の筐体123への巻き取り収容と、筐体123から表示部2の引き出しとが可能となっている。そして図15bの如く表示部2を巻取り収容した際に、或いは、図15aの如く筐体から表示部2を引き出した際に、湾曲抑制部材3により所定の方向への湾曲が制限されることで、陽極22の破断が発生せず、長期にわたって表示部の安定な表示が可能となる。
【0076】
図16aは、見開き型のフレキシブル表示装置130であって、使用している状態を示した概略斜視図である。図16bは、見開き型のフレキシブル表示装置130であって、閉じている状態を示した概略斜視図である。2つの表示部131が、蝶番機能を有する回路部132で接続された見開き型のフレキシブル表示装置130であって、回路部132を軸にして開閉することができる。表示部131の非表示面上には、湾曲量を制限可能な複数の湾曲抑制部材133が隣接するように配置されており、表示部131を一定量湾曲させることができる。これによって、フレキシブル表示装置を手で保持した際に、手で持ち易いように表示部131が湾曲して左右にほぼ均等にバランスするため、非常に高い保持性を有することができる。
【0077】
上記において、画素部がEL素子や電気泳動素子により構成されたパッシブマトリックス型のフレキシブル表示装置について記載したが、本発明はこれらに限定されることはなく、信号配線、又は表示素子の一方のストライプ状表示電極の材料に金属酸化物を用いた表示素子から構成されるフレキシブル表示装置に適用することができる。
【0078】
以上のように、ストライプ状の電極の長辺を所定の方向(湾曲を抑制する方向)に配置することで、湾曲を繰り返した場合であってもストライプ状の電極のストライプ方向(長辺方向)に曲げ応力がほとんどかからないため、電極の破損が抑制され、長期にわたって安定した表示が可能となる。それによって、画面の大型化と、表示装置の小型化及び軽量化を図ることができるとともに、落下等による衝撃にも強い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明を適用した有機EL表示装置の一構成例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明を適用した有機EL表示装置の表示部と回路部の構成を示した要部平面図である。
【図3】本発明を適用した有機EL表示装置に備えられた有機EL素子の構成を示す要部斜視図である。
【図4】本発明を適用した有機EL表示装置に備えられた有機EL素子の構成を示す要部断面図である。
【図5a】本発明を適用した表示部保持部材を備えた有機EL表示装置の一構成例を示す概略斜視図である。
【図5b】図5aに示した有機EL表示装置のA−A´線断面図である。
【図6】有機EL素子の他の構成例を示す要部断面図である。
【図7】無機EL素子の一構成例を示す要部断面図である。
【図8】マイクロカプセル型電気泳動素子の一構成例を示す要部断面図である。
【図9】本発明に適用可能な湾曲抑制部材の一構成例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明に適用可能な湾曲抑制部材の他の構成例を示す概略斜視図である。
【図11】本発明に適用可能な湾曲抑制部材の他の構成例を示す概略斜視図である。
【図12】本発明に適用可能な湾曲抑制部材の他の構成例を示す概略斜視図である。
【図13a】湾曲量制限構造を有する本発明に適用可能な湾曲抑制部材の一構成例であって、湾曲前の状態を示す概略斜視図である。
【図13b】湾曲量制限構造を有する本発明に適用可能な湾曲抑制部材の一構成例であって、湾曲後の状態を示す概略斜視図である。
【図14】湾曲量制限構造を両面に有する本発明に適用可能な湾曲抑制部材の一構成例を示す概略斜視図である。
【図15a】本発明を適用した有機EL表示装置の一構成例であって、使用する状態を示す概略斜視図である。
【図15b】本発明を適用した有機EL表示装置の一構成例であって、表示部を巻取って収容する状態を示す概略斜視図である。
【図16a】本発明を適用した見開き型の有機EL表示装置の一構成例であって、使用する状態を示す概略斜視図である。
【図16b】本発明を適用した見開き型の有機EL表示装置の一構成例であって、表示部を閉じた状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1:有機EL表示装置
2:表示部
3:湾曲抑制部材
4:駆動回路(回路部)
5:回路収容部材
6:有機EL素子
10:画素部
11:縦配線
12:横配線
13:配線
14:配線部
20:有機EL素子
21:フィルム状プラスティック基板
22:陽極
23:正孔輸送層
24:有機発光層
25:電子輸送層
26:陰極
27:保護層
28:有機EL層
31、34:表示部保持部材
32:湾曲抑制部材
33:回路収容部材
40:トップエミッション型有機EL素子
41:フィルム状金属基板
50:無機EL素子
51:フィルム状プラスティック基板
52:第1電極
53:第1誘電体層
54:無機発光層
55:第2誘電体層
56:第2電極
57:保護層
58:無機EL層
60:電気泳動素子
61:フィルム状プラスティック基板(フレキシブル基板)
62:第1電極
63:誘電体層
64:マイクロカプセル
65:第2電極
66:表示層
70、80、90、100、110、120:板状部材
71、81:樹脂マトリックス
72、82、92、102、112、122:湾曲抑制部材
91、111、121:平板部材
101:平紐部材
123:筐体(表示部収容部)
130:見開き型有機EL表示装置
131:表示部
132:回路部
133:湾曲抑制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、該表示部を駆動するための回路部と、前記表示部の所定の方向の湾曲を抑制するための湾曲抑制部材とを備えた表示装置であって、前記表示部は、フレキシブル基板と、該フレキシブル基板上に形成された一対の上下の電極間に少なくとも1層の表示要素が挟持された表示素子とを有し、前記所定の方向に対して直交方向に湾曲可能であり、前記電極の一方は金属よりなる電極であり、他方は金属酸化物よりなるストライプ状に形成された電極であり、該ストライプ状の電極の長辺が前記表示部の湾曲を抑制する所定の方向に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示部を保持するための表示部保持部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部と前記表示部保持部材が摺動自在に係合されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記湾曲抑制部材を、前記フレキシブル基板又は前記表示部保持部材の少なくとも一部に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記湾曲抑制部材を複数備え、前記表示部を湾曲したときに隣接する湾曲抑制部材同士が接触することで前記表示部の湾曲量が制限されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示素子が、印加された電界により発光又は変化する光学特性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示素子が、発光素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示素子が、有機EL素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示部を収容するための収容部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記収容部が、前記表示部を巻取って収容し、かつ、収容された表示部を引き出すことができるものであることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【公開番号】特開2008−46565(P2008−46565A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224625(P2006−224625)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】