説明

表示装置

【課題】色温度及び/又は輝度の設定変更に伴って出力階調の分解能が低減されることがなく、高品質な画像表示を行うことができる表示装置を提供する。
【解決手段】予めEEPROM50に記憶した初期LUT70を基に、出力階調の数を増した中間LUT71を中間LUT生成部14が生成する。色温度補正指示部12は色温度設定を基に色補正値テーブル60から色補正値を取得する。γ補正用LUT生成部15は、色補正値に基づいて中間LUT71から出力階調を抽出してγ補正用LUT72を生成する。ASIC30は、γ補正用LUT生成部15が生成したγ補正用LUT72を用いてγ補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色温度及び/又は輝度等の表示特性に係る設定が変更された場合であっても、表示品質を劣化させることなく色温度及び/又は輝度等の表示特性を変更することができる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどによる表示部を備えて、PC(Personal Computer)又は再生装置等の外部装置から与えられる信号に応じて画像を表示する表示装置が普及している。近年では表示装置は様々な目的に利用されており、例えば医療用に利用される表示装置の場合などでは、高品質な表示を行うことができる表示装置が求められる。また、表示装置に対しては表示特性として明るさ(輝度)、色温度又はコントラスト等の種々の設定を行うことができ、表示装置の使用目的又は表示装置の周辺環境等に応じてユーザが好みの設定に変更することができるようにしてある。
【0003】
図10は、従来の表示装置の構成を示すブロック図であり、色温度の設定変更に関する機能ブロックを抜き出して図示してある。従来の表示装置は、液晶パネルモジュール20、ASIC (Application Specific Integrated Circuit) 30、色演算回路40、マイクロプロセッサ110、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)50及び色補正値テーブル60等を備えている。表示装置には図示しないPC又は再生装置等の外部装置から表示画像に係るR(赤)、G(緑)及びB(青)の信号が入力される。RGBの入力信号は、表示装置の色演算回路40、ASIC30及びその他の画像処理回路により種々の画像処理が施され、液晶パネルモジュール20へ与えられて画像として表示される。ここで、外部装置から入力されるRGBの入力信号は、各8ビット(即ち256階調)の入力階調を有するデジタル信号である。色演算回路40及びASIC30はマイクロプロセッサ110の制御により処理を行うようにしてある。
【0004】
マイクロプロセッサ110は、制御部111及びバッファ13等を有している。マイクロプロセッサ110の制御部111は、所謂CPU(Central Processing Unit)などで構成されるものであり、図示しないROM(Read Only Memory)などに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、種々の演算処理及び制御処理等を行うようにしてある。図示の例では、制御部111がプログラムを実行することによって、色温度の設定に係る処理を行う色温度補正指示部112が実現された状態が示してある。色温度補正指示部112は、表示装置の筐体前面部に設けられた操作部によりユーザが設定した色温度設定を受け付けて、色補正値テーブル60から色補正値を取得し、取得した色補正値を色演算回路40へ与えるようにしてある。
【0005】
図11は、色補正値テーブル60の一例を示す模式図であり、ユーザが表示装置の色温度を4000Kから10000Kまで500K間隔で設定することができる場合である。色補正値テーブル60には、1つの色温度に対してRGBの各色についての色補正値が記憶してある。色補正値は、最大値が”1.00”の正の数値である。例えば、色温度が6500Kの場合、RGBの各色の色補正値は全て”1.00”である。また例えば、色温度が5000Kの場合、Rの色補正値は”1.00”であり、Gの色補正値は”0.93”であり、Bの色補正値は”0.81”である。なお、色補正値テーブル60の色補正値は、液晶パネルモジュール20の表示特性により最適な値が異なるため、表示装置の製造工程又は検査工程等において表示特性を測定して色補正値を決定し、予め記憶しておく。色補正値テーブル60は、EEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子(図10中のEEPROM50と共用であってよい)に予め記憶される。
【0006】
色演算回路40は、入力信号として与えられた各色の階調に、制御部111の色温度補正指示部112から与えられた各色の色補正値をそれぞれ乗算して、ASIC30へ与えるようにしてある。ASIC30は、γ補正用LUT(Look Up Table)170及びFRC(Frame Rate Control)回路31等を有しており、色演算回路40から与えられた各8ビットのRGBの階調をγ補正用LUT170を用いてγ補正し、各10ビットのRGBの階調としてFRC回路31へ与えるようにしてある。γ補正処理は既存の技術であるため詳細な処理については説明を省略するが、γ補正用LUT170には8ビットの入力階調に対して1つの10ビットの出力階調が記憶してあり、ASIC30は与えられた8ビットのRGBの入力階調に対応する10ビットのRGBの出力階調をγ補正用LUT170から取得するのみでγ補正処理を行うことができる。
【0007】
γ補正用LUT170に記憶された階調値は、液晶パネルモジュール20の表示特性により最適な値が異なるため、表示装置の製造工程又は検査工程等において表示特性を測定して階調値を決定し、EEPROM50にγ補正用LUT170として予め記憶される。マイクロプロセッサ110は、表示装置の起動時(電源投入時又は初期化処理時)にEEPROM50からγ補正用LUT170を読み出してバッファ13に一時的に記憶し、記憶したγ補正用LUT170をASIC30へ与えるようにしてある。
【0008】
FRC回路31は、γ補正処理によって各10ビットに変換されたRGBの階調値を基に、FRC技術による高品質表示を行うための各8ビットのRGBの階調値を生成して液晶パネルモジュール20へ出力するようにしてある。FRC技術とは、人間が認識できない程度の短期間に異なる2つの階調を切り替えて表示し、残像効果を利用して擬似的に2つの階調の中間階調を表示する技術である。例えば1秒間に60フレームの画像表示を行う場合、4/60秒を周期とし、4フレームを利用して表示階調を変化させることにより、8ビットの階調表示を行う液晶パネルモジュール20を利用して10ビットの精度の画像表示を行うことができる。よって、FRC回路31は、与えられた10ビットのRGBの階調値を基に、4フレームで擬似的に10ビットの精度で表示を行うための8ビットのRGBの階調値を生成して出力する。
【0009】
液晶パネルモジュール20は、液晶パネル、この液晶パネルの駆動回路及びバックライト等で構成されている。ASIC30から出力された各8ビットのRGBの階調値は液晶パネルモジュール20の駆動回路に与えられ、駆動回路が階調値に応じた電圧を液晶パネルに印加して液晶物質の光透過率を変化させることによって、バックライトから照射された光の透過量を画素毎に制御して映像を階調表示する。なお、液晶パネルモジュール20は、RGBの各色につき8ビットの精度で表示を行うものであるが、図10に示した表示装置においては、FRC回路31により擬似的に10ビットの精度の画像表示を行うことができる。
【0010】
また、特許文献1においては、液晶パネルの表示特性に係る設定が変更された場合に、必要に応じて液晶パネルの駆動電圧−透過率特性を簡易特性又は詳細特性に切り替え、この特性を用いてガンマ補正データを算出してガンマ補正用LUTに書き込むことにより、高精度、高速且つ低コストなガンマ補正を行うことができるデジタルガンマ補正方法及びこの方法を利用した液晶装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−296149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の図10に示した従来の表示装置は、色温度の設定に応じて色補正値テーブル60から色補正値を取得し、入力されたRGBの階調値に色補正値を乗算することで、所望の色温度での画像表示を行うようにしてある。しかしながら、色補正値テーブル60から取得する色補正値は”1.00”以下の値であるため、従来の表示装置では色温度の設定により画像の表示品質の低下が発生するという問題があった。
【0012】
図12は、従来の表示装置での色温度設定による表示品質の低下を説明するための模式図であり、RGBのいずれか一色について、ASIC30のγ補正用LUT170に入力される入力階調を横軸に示し、γ補正用LUT170にて得られる出力階調を縦軸に示したグラフである。また、(a)に色補正値が”1.00”の場合を示し、(b)に色補正値が”0.80”の場合を示してある。色補正値が”1.00”の場合、入力された8ビットのRGBの入力階調は、色演算回路40にて値が変化されることなく、ASIC30のγ補正用LUT170に入力される。よって、γ補正用LUT170には256階調の入力階調が入力され、ASIC30は256個の10ビットの出力階調をFRC31へ出力することができる。
【0013】
これに対して色補正値が”0.80”の場合、入力された8ビットのRGBの入力階調は、色演算回路40にて値が0.80倍に変化されるため、0〜204の範囲の入力階調がγ補正用LUT170に入力される。よって、γ補正用LUT170には205階調の入力階調が入力され、ASIC30は205個の出力階調しかFRC31へ出力することができない。即ち、色補正値が”1.00”の場合にはFRC31への入力階調の分解能が256であるのに対して、色補正値が”0.80”の場合には分解能が205に低下し、液晶パネルの表示性能を十分に発揮することができず、表示品質の低下を招来する。
【0014】
また、特許文献1に記載のデジタルガンマ補正方法及び液晶装置は、ユーザがブライトネス調整、コントラスト調整又は色温度調整等の設定を行う際に、簡易特性のガンマ補正データで処理を行うことにより、設定変更時の高速処理を実現することを目的としたものである。また、特許文献1には、ユーザの設定に応じてLUTに格納されるガンマ補正データを変更することが記載されているが、その方法の詳細については言及されていない。
【0015】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、出力階調の初期値を初期テーブルに記憶しておき、初期テーブルを基に出力階調の数を増した中間テーブルを作成し、色温度及び/又は輝度の設定により決定した補正値に応じて中間テーブルから出力階調を抽出して、入力階調に対応付けて抽出した出力階調を記憶した補正テーブルを生成する構成とすることにより、出力階調の分解能を低下させることなく色温度及び/又は輝度の設定変更に応じた補正テーブルを作成して階調補正を行うことができる表示装置を提供することにある。
【0016】
また本発明の他の目的とするところは、初期テーブルに記憶された各出力階調の値に基づいて補間値を取得し、出力階調の数を増した中間テーブルを生成する構成とすることにより、初期テーブルより出力階調の数を増した中間テーブルを容易に生成することができる表示装置を提供することにある。
【0017】
また本発明の他の目的とするところは、あらかじめ記憶する初期テーブルを出力階調のビット数が入力階調のビット数より多い構成とすることにより、高精度の階調補正を行うことができる表示装置を提供することにある。
【0018】
また本発明の他の目的とするところは、中間テーブルはビット数が初期テーブルの出力階調のビット数に等しいインデックスに出力階調を対応付けて記憶したテーブルとし、中間テーブルのインデックスの最大値を初期テーブルの入力階調の最大値に、初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差に応じた数を乗じた値とすることにより、初期テーブルの出力階調の精度に応じて出力階調の数を有効に増した中間テーブルを作成することができる表示装置を提供することにある。
【0019】
また本発明の他の目的とするところは、色温度に対する補正値を色補正値テーブルに予め記憶しておき、設定された色温度から色補正値テーブルを基に補正値を決定する構成とすることにより、補正値の決定を容易に行うことができる表示装置を提供することにある。
【0020】
また本発明の他の目的とするところは、バックライトの制御量に対する補正値を色補正値テーブルに予め記憶しておき、設定された輝度に応じた制御量から色補正値テーブルを基に補正値を決定する構成とすることにより、補正値の決定を容易に行うことができる表示装置を提供することにある。
【0021】
また本発明の他の目的とするところは、初期テーブルに記憶された出力階調の数に等しい数の出力階調を中間テーブルから抽出して補正テーブルを生成する構成とすることにより、初期テーブルと同等の精度を有する補正テーブルにて階調補正を行うことができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1発明に係る表示装置は、入力画像の入力階調を表示部の駆動に係る出力階調に補正する補正手段を備え、該補正手段が階調を補正した画像を前記表示部に表示する表示装置において、入力階調に対する出力階調の初期値が予め記憶された初期テーブルと、該初期テーブルを基に、出力階調の数を前記初期テーブルより増した中間テーブルを生成する中間テーブル生成手段と、設定された色温度及び/又は輝度に応じて入力画像の階調を補正するための補正値を決定する補正値決定手段と、前記補正値に応じて前記中間テーブルから出力階調を抽出し、入力階調に対応付けて抽出した出力階調を記憶した補正テーブルを生成する補正テーブル生成手段とを備え、前記補正手段は、前記補正テーブルにより入力画像の階調を補正するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、例えば表示装置の製造工程などにて表示特性を測定し、測定結果に基づいて所謂γ補正のためのデータとして入力階調に対する出力階調を決定し、初期値として初期テーブルに記憶しておく。表示装置は、起動時又は設定変更時等に初期テーブルを読み出して、例えば補間処理などを行うことによって初期テーブルよりも出力階調の数を増した中間テーブルを作成する。また、表示装置は、設定された色温度及び/又は輝度に応じて階調補正のための補正値を決定し、この補正値に応じて中間テーブルから所望の出力階調を抽出して補正テーブルを作成する。出力階調の数を補間処理などにより増し、その中から所望の出力階調を抽出して補正テーブルを作成するため、設定された色温度及び/又は輝度に適した範囲の出力階調を有する補正テーブルを作成でき、設定変更により分解能を低減することなく補正テーブルにて階調補正を行うことが可能となる。
【0024】
また、第2発明に係る表示装置は、前記中間テーブル生成手段が、前記初期テーブルに複数記憶された各出力階調の値に基づき補間値を取得し、該補間値により出力階調の数を増した中間テーブルを生成するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、初期テーブルに記憶された出力階調を基に補間処理を行って補間値を取得する。補間処理の方法は、線形補間などの簡単な方法であってもよく、2次補間又は3次補間等の方法であってもよい。これにより取得した補間値と、初期テーブルの出力階調とにより、出力階調の数を増した中間テーブルを生成することができる。例えば線形補間を利用し、出力階調の数を4倍に増した中間テーブルを生成する場合には、初期テーブルの出力階調間を線形補間によるそれぞれ3つの補間値で補間すればよい。これにより、容易に且つ精度よく中間テーブルを生成することができる。
【0026】
また、第3発明に係る表示装置は、前記入力階調及び出力階調は複数のビットで表され、前記初期テーブルの出力階調のビット数は、入力階調のビット数より多いことを特徴とする。
【0027】
本発明においては、入力階調及び出力階調が例えば8ビットなどの複数のビットで表わされる場合に、初期テーブルの出力階調を例えば10ビットなどの入力階調より多いビット数とする。これにより、表示装置の製造工程などで測定された表示特性を詳細に反映した初期テーブルを記憶しておくことができ、FRC技術などを用いることによって高精細な表示を行うことができる。
【0028】
また、第4発明に係る表示装置は、前記中間テーブルが、ビット数が前記出力階調に等しいインデックスと、前記出力階調とが対応付けて記憶してあり、前記インデックスの最大値は、前記初期テーブルの入力階調の最大値に、前記初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差に応じた数を乗じた値であることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、中間テーブルは、ビット数が初期テーブルの出力階調のビット数に等しいインデックスと、出力階調とを対応付けて記憶したテーブルとする。また、中間テーブルのインデックスの最大値は、初期テーブルの入力階調の最大値に、初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差に応じた数を乗じた値とする。例えば、初期テーブルの入力階調の最大値が255であり、初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差が2ビットの場合には、中間テーブルのインデックスの最大値を255×4(2ビット)=1020とする。これにより、初期テーブルの出力階調のビット数に規定される分解能に合わせて出力階調の数を増加させた中間テーブルを作成することができる。
【0030】
また、第5発明に係る表示装置は、色温度に対する前記補正値が予め記憶された色補正値テーブルを更に備え、前記補正値決定手段は、設定された色温度及び前記色補正値テーブルを基に前記補正値を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、例えば表示装置の製造工程などにて表示特性を測定し、測定結果に基づいて色温度に対する入力階調の補正値を決定し、色補正値テーブルに記憶しておく。色温度の設定が変更された場合には、色補正値テーブルから対応する補正値を決定し、補正値に応じた入力階調の階調補正を行うことができる。色補正値テーブルを用いることにより、色温度の設定変更時に容易に補正値を決定することができ、階調補正を高速に行うことができる。
【0032】
また、第6発明に係る表示装置は、設定された輝度に応じてバックライトの制御量を決定する制御量決定手段と、バックライトの制御量に対する前記補正値が予め記憶された色補正値テーブルとを更に備え、前記補正値決定手段は、前記制御量決定手段が決定した制御量及び前記色補正値テーブルを基に前記補正値を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、バックライトの制御量(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティ比など)に対する表示輝度の特性値を表示装置の製造工程などにて測定し、測定結果を基に制御量に対する補正値を予め算出して色補正値テーブルに記憶しておく。輝度の設定が変更された場合には、輝度の設定に応じた制御量に基づいて色補正テーブルから補正値を決定し、補正値に応じた入力階調の階調補正を行うことができる。これにより、輝度の設定に応じた補正値を容易に取得することができ、輝度の変更による色度(色味)の変化を防止するように階調値の補正処理を行うことができる。
【0034】
また、第7発明に係る表示装置は、前記補正テーブル生成手段が、前記初期テーブルに記憶された出力階調の数に等しい数の出力階調を前記中間テーブルから抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、初期テーブルに記憶された出力階調の数に等しい数の出力階調を中間テーブルから抽出して補正テーブルを生成する。これにより、出力階調の数が多い中間テーブルから、初期テーブルと同規模の補正テーブルを生成して階調補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明による場合は、予め記憶した初期テーブルを基に出力階調の数を増した中間テーブルを作成し、色温度及び/又は輝度の設定により決定した補正値に応じて中間テーブルから出力階調を抽出して補正テーブルを生成し、補正テーブルを用いて入力階調の階調補正を行う構成とすることにより、色温度及び/又は輝度の設定変更により出力階調の分解能が低減されることなく、表示装置はいずれの設定であっても簡単な処理で補正テーブルを生成して高品質な画像表示を行うことができる。
【0037】
また、本発明による場合は、初期テーブルに記憶された複数の出力階調それぞれの間を、等数の補間値で補間して中間テーブルを生成する構成とすることにより、初期テーブルより出力階調の数を増した中間テーブルを容易に且つ精度よく生成することができる。よって表示装置は、色温度及び/又は輝度の設定変更に伴う処理を高精度に且つ高速に行うことができる。
【0038】
また、本発明による場合は、初期テーブルを出力階調のビット数が入力階調のビット数より多い構成とすることにより、高精度の階調補正を行うことができ、FRC技術などによって表示装置がより高品質な画像表示を行うことができる。
【0039】
また、本発明による場合は、中間テーブルのインデックスの最大値を、初期テーブルの入力階調の最大値に、初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差に応じた数を乗じた値とすることにより、初期テーブルの出力階調の精度に応じて出力階調の数を増加させた中間テーブルを作成することができ、中間テーブルから出力階調を抽出することで精度のよい補正テーブルを生成することができるため、表示装置は高品質な画像表示を行うことができる。
【0040】
また、本発明による場合は、設定された色温度から予め記憶された色補正値テーブルを基に補正値を決定する構成とすることにより、色温度の設定変更時に容易に補正値を決定することができるため、色温度の設定変更に伴う階調補正の処理を高速に行うことができる。
【0041】
また、本発明による場合は、設定された輝度に応じた制御量から予め記憶された色補正値テーブルを基に補正値を決定する構成とすることにより、輝度の設定変更によるバックライトの制御量の変化に対応して、入力階調の補正処理を容易に行うことができるため、輝度の設定変更に伴う階調補正の処理を高精度に且つ高速に行うことができる。
【0042】
また、本発明による場合は、初期テーブルに記憶された出力階調の数に等しい数の出力階調を中間テーブルから抽出して補正テーブルを生成する構成とすることにより、出力階調の数が多い中間テーブルから、初期テーブルと同規模の補正テーブルを生成して階調補正を行うことができるため、表示装置は初期テーブルと同等の精度で補正テーブルによる階調補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を示すブロック図であり、色温度の設定変更に関する機能ブロックを抜き出して図示してある。図において10はマイクロプロセッサであり、マイクロプロセッサ10は表示装置が備える液晶パネルモジュール20、ASIC30、色演算回路40、EEPROM50及び色補正値テーブル60等の各部の制御処理、並びに各種の演算処理等を行うようにしてある。本実施の形態に係る表示装置には、図示しないPC又は再生装置等の外部装置から表示画像に係るRGBの3つの信号が入力される。RGBの入力信号は、表示装置の色演算回路40、ASIC30及びその他の画像処理回路により種々の画像処理が施され、液晶パネルモジュール20へ与えられて画像として表示される。ここで、外部装置から入力されるRGBの入力信号は、各8ビット(即ち256階調)の入力階調を有するデジタル信号である。
【0044】
マイクロプロセッサ10は、制御部11及びバッファ13等を有している。制御部11は所謂CPUなどで構成されるものであり、図示しないROMなどに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。図示の例では、制御部11がプログラムを実行することによって、色温度の設定に係る処理を行う色温度補正指示部12、中間LUT生成部14及びγ補正用LUT生成部15が実現された状態を示してある。なお、制御部に実現された色温度補正指示部12が本発明の補正値決定手段を構成し、中間LUT生成部14が中間テーブル生成手段を構成し、γ補正用LUT生成部15が補正テーブル生成手段を構成している。バッファ13は、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ素子で構成されている。
【0045】
色演算回路40は、マイクロプロセッサ10の制御部11による制御に従って、入力されたRGBの入力階調に対して種々の演算処理を施すことにより、表示画像の明るさ及びコントラスト等の表示特性を調整するようにしてある。ただし、図10に示した従来の表示装置では色演算回路40が色温度の調整を行うが、本発明に係る表示装置では色演算回路40は色温度の調整を行わない。色演算回路40は、種々の演算処理を施した8ビットのRGBの階調をASIC30へ出力するようにしてある。
【0046】
ASIC30は、γ補正用LUT72及びFRC回路31等を有しており、色演算回路40から与えられた各8ビットのRGBの階調をγ補正用LUT72を用いてγ補正し、各10ビットのRGBの階調としてFRC回路31へ与えるようにしてある。即ち、ASIC30は、本発明の補正手段を構成するものであり、γ補正用LUT72は補正テーブルに相当するものである。γ補正処理は既存の技術であるため詳細な処理については説明を省略するが、γ補正用LUT72には8ビットの入力階調に対して1つの10ビットの出力階調が記憶してあり、ASIC30は与えられた8ビットのRGBの入力階調に対応する10ビットのRGBの出力階調をγ補正用LUT72から取得するのみでγ補正処理を行うことができる。
【0047】
FRC回路31は、γ補正処理によって各10ビットに変換されたRGBの階調値を基に、FRC技術による高品質表示を行うための各8ビットのRGBの階調値を生成して液晶パネルモジュール20へ出力するようにしてある。FRC技術とは、人間が認識できない程度の短期間に異なる2つの階調を切り替えて表示し、残像効果を利用して擬似的に2つの階調の中間階調を表示する技術である。例えば1秒間に60フレームの画像表示を行う場合、4/60秒を周期とし、4フレームを利用して表示階調を変化させることにより、8ビットの階調表示を行う液晶パネルモジュール20を利用して10ビットの精度の画像表示を行うことができる。よって、FRC回路31は、与えられた10ビットのRGBの階調値を基に、4フレームで擬似的に10ビットの精度で表示を行うための8ビットのRGBの階調値を生成して出力する。
【0048】
液晶パネルモジュール20は、液晶パネル、この液晶パネルの駆動回路及びバックライト等で構成されている。ASIC30から出力された各8ビットのRGBの階調値は液晶パネルモジュール20の駆動回路に与えられ、駆動回路が階調値に応じた電圧を液晶パネルに印加して液晶物質の光透過率を変化させることによって、バックライトから照射された光の透過量を画素毎に制御して映像を階調表示する。なお、液晶パネルモジュール20は、RGBの各色につき8ビットの精度で表示を行うものであるが、本実施形態に係る表示装置においては、FRC回路31により擬似的に10ビットの精度の画像表示を行うことができる。
【0049】
表示装置には、例えば筺体の正面部分などに、ユーザが各種の設定操作を行うための一又は複数のスイッチを有する操作部(図示は省略する)が設けてあり、ユーザが操作部を利用して表示に係る色温度の設定を行うことができるようにしてある。ユーザによる色温度の設定は、制御部11の色温度補正指示部12へ与えられると共に、図示しないEEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子に記憶されて、表示装置の起動時に色温度補正指示部12が色温度の設定を読み出すことができるようにしてある。なお、本実施の形態においては、色温度を4000Kから10000Kまで500K毎に設定することができるものとするが、一例であって、色温度の範囲をこれに限定するものではない。
【0050】
色温度補正指示部12は、ユーザが設定した色温度設定を基に色補正値テーブル60からRGBの各色補正値を取得し、γ補正用LUT生成部15へ与えるようにしてある。なお、色補正値テーブル60は、図11に示した従来の色補正値テーブルと同じであってよい。色補正値テーブル60には1つの色温度に対してRGBの各色についての色補正値が記憶してあり、色補正値は、最大値が”1.00”の正の数値である。色補正値テーブル60の各色補正値は、液晶パネルモジュール20の表示特性により最適な値が異なるため、表示装置の製造工程又は検査工程等において表示特性を測定して色補正値を決定し、予め記憶しておく。色補正値テーブル60は、EEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子(EEPROM50と共用であってよい)に予め記憶される。
【0051】
EEPROM50には初期LUT70が記憶してある。初期LUT70は、ASIC30のγ補正用LUT72の初期値であり、上述の色補正値が”1.00”の場合におけるγ補正処理の入力階調及び出力階調の対応が記憶してある。また、初期LUT70は本発明の初期テーブルに相当する。初期LUT70に記憶される階調値は、液晶パネルモジュール20の表示特性により最適な値が異なるため、表示装置の製造工程又は検査工程等において表示特性を測定して値を決定し、EEPROM50に初期LUT70として予め記憶される。なお、図1に示した本実施の形態の表示装置の初期LUT70は、図10に示した従来の表示装置のγ補正用LUT170と同じであってよい。
【0052】
マイクロプロセッサ10の制御部11は、表示装置の起動時にEEPROM50から初期LUT70を読み出し、中間LUT生成部14にて初期LUT70を基に中間LUT71を生成し、バッファ13に中間LUT71を記憶するようにしてある。中間LUT生成部14にて生成される中間LUT71が、本発明の中間テーブルに相当するものである。また、制御部11のγ補正用LUT生成部15は、色温度補正指示部12から与えられた色補正値と、バッファ13に記憶された中間LUT71とを基にγ補正用LUT72を生成してASIC30へ与えるようにしてある。
【0053】
図2は、中間LUT生成部14及びγ補正用LUT生成部15が行う処理を説明するための模式図である。なお、図2においては、RGBの3つの階調のうち1つの階調について着目し、1つの階調についての初期LUT70、中間LUT71及びγ補正用LUT72の例を示してある。また図3は、初期LUT70及びγ補正用LUT72の一例を示すグラフであり、(a)に初期LUT70の一例を示し、(b)にγ補正用LUT72の一例を示してある。なお、図3に示すグラフは、横軸に入力階調を示し、縦軸に出力階調を示してある。また、図2及び図3に示す例は、色温度補正指示部12からγ補正用LUT生成部15へ色補正値として”0.8”が与えられた場合を示してある。
【0054】
初期LUT70は、0〜255の8ビット(256階調)の入力階調に対して、10ビットの出力階調がそれぞれ1つ割り当てられたテーブルである。また、図示の例では、初期LUT70の出力階調は0〜1020の範囲としてあり、出力階調の最大値1020は入力階調の最大値255を4倍した値に設定してある。
【0055】
中間LUT生成部14は、初期LUT70の出力階調と入力階調とのビット数の差(2ビット)に応じて、初期LUT70を伸張する(本例では4倍に伸長する)ことにより中間LUT71を生成する。中間LUT71は、0〜1020のインデックスiに対して、10ビットの出力階調がそれぞれ割り当てられたテーブルである。なお、中間LUT71のインデックスiの最大値1020は、初期LUT70の出力階調の最大値1020(即ち、初期LUT70の入力階調の最大値255の4倍)に等しくしてある。
【0056】
中間LUT生成部14は、中間LUT71のインデックスi=0、4、8…1020(4の倍数)に対応する出力階調として、初期LUT70の出力階調を順に割り当てる。即ち、中間LUT生成部14は以下の(1)式を満たすように中間LUT71の一部をまず生成する。なお、(1)式において、出力階調[i]は、テーブル中のi番目の出力階調を表すものとする。
中間LUT71の出力階調[i]=初期LUT70の出力階調[i/4] …(1)
ただし、i=0、4、8…1020
【0057】
次いで、中間LUT生成部14は、中間LUT71の出力階調が未だ割り当てられていない部分、即ちインデックスi=1、2、3、5、6、7…(4の倍数以外)に対応する部分の出力階調を線形補間により補間する。例えば、インデックスi=1、2、3の出力階調はインデックスi=0、4の出力階調を基に線形補間され、同様にインデックスi=5、6、7の出力階調はインデックスi=4、8の出力階調を基に線形補間される。中間LUT生成部14は未割当の出力階調をすべて線形補間し、中間LUT71の生成を終了する。
【0058】
γ補正用LUT生成部15は、1021個の出力階調を有する中間LUT71から256個の出力階調を抽出することによって、γ補正用LUT72を生成する。γ補正用LUT72は、初期LUT70と同じ構成であり、0〜255の8ビット(256階調)の入力階調に対して、10ビットの出力階調がそれぞれ割り当てられたテーブルである。また、γ補正用LUT生成部15がいずれの出力階調を中間LUT71から抽出するかは、色温度補正指示部12から与えられる色補正値に規定される。このとき、γ補正用LUT生成部15は、以下の(2)式を満たすように中間LUT71から出力階調を抽出してγ補正用LUT72を生成する。なお、(2)式において、Nはγ補正用LUT72の入力階調を表すものとする。また、N×色補正値×4の値は四捨五入又は切り上げ等により整数化する。
γ補正用LUT72の出力階調[N]=中間LUT71の出力階調[N×色補正値×4] …(2)
ただし、N=0、1…255
【0059】
図示の例では、γ補正用LUT72は、256階調の入力階調に対して0〜816の範囲の出力階調がそれぞれ割り当てられている。初期LUT70とγ補正用LUT72とを比較してみると、初期LUT70の出力階調の最大値は1020であり、γ補正用LUT72の出力階調の最大値は816であり、γ補正用LUT72は出力階調の最大値が約0.8倍(即ち、色補正値倍)されている。よって、γ補正用LUT生成部15が生成したγ補正LUT72を用いてASIC30がγ補正を行うことにより、ユーザの設定に応じた色温度での画像表示を行うことができる。また、γ補正用LUT72の入力階調及び出力階調の数、即ち分解能は256であるため、色温度設定に基づく色補正値に関係なく液晶パネル及びFRC回路31の性能を十分に発揮して画像表示を行うことができる。
【0060】
図4は、本発明に係る表示装置が起動時に行う色温度設定の処理手順を示すフローチャートであり、マイクロプロセッサ10の制御部11にて行われる処理である。なお図示は省略するが、表示装置は起動時に各部をリセットするPOR(パワーオンリセット)回路を有しており、起動して所定時間が経過した後にPORが解除された場合に処理を開始するようにしてある。制御部11は、PORが解除されたか否かを調べ(ステップS1)、PORが解除されていない場合には(S1:NO)、PORが解除されるまで待機する。PORが解除された場合(S1:YES)、制御部11はEEPROM50から初期LUT70を読み出し(ステップS2)、中間LUT生成部14にて中間LUT71の生成処理を行う(ステップS3)。
【0061】
中間LUT71の生成処理の終了後、制御部11は、不揮発性メモリ素子などに記憶された色温度設定を色温度補正指示部12にて取得し(ステップS4)、色補正値テーブル60を参照して色補正値を取得し(ステップS5)、γ補正用LUT生成部15へ色補正値を与える。次いで、制御部11は、γ補正用LUT15にて、色補正値及び中間LUT71を基にγ補正用LUT72の生成処理を行う(ステップS6)。γ補正用LUT72の生成処理の終了後、制御部11は、生成したγ補正用LUT72をASIC30へ与えて画像表示を開始し(ステップS7)、起動時の処理を終了する。
【0062】
図5は、本発明に係る表示装置が行う中間LUT71の生成処理の手順を示すフローチャートであり、図4のステップS3にて制御部11の中間LUT生成部14が行う処理である。なお、図5においては2つの変数n及びiを用いて処理を行うが、変数nは初期テーブル70の入力階調を示し、変数iは中間LUT71のインデックスを示すものであり、制御部11のレジスタ又はメモリ等を利用して実現される。まず制御部11の中間LUT生成部14は、2つの変数n及びiの値を0に初期化し(ステップS21)、初期LUT70の入力階調nに対応する出力階調を、インデックスiに対応する出力階調として中間LUT71に記憶する(ステップS22)。次いで中間LUT生成部14は、変数nに1を加算すると共に、変数iに4を加算し(ステップS23)、変数nの値が256を超えたか否かを調べる(ステップS24)。変数nの値が256を超えていない場合(S24:NO)、中間LUT生成部14はステップS22へ戻り、上述の処理を繰り返し行う。
【0063】
変数nの値が256を超えた場合(S24:YES)、中間LUT生成部14は変数iの値を0に初期化し(ステップS25)、中間LUT71のi+1、i+2、i+3に対応する3つの出力階調の値を線形補間により補間する(ステップS26)。次いで、中間LUT生成部14は、変数iに4を加算し(ステップS27)、変数iの値が1020を超えたか否かを調べる(ステップS28)。変数iの値が1020を超えない場合(S28:NO)、中間LUT生成部14はステップS26へ戻り、線形補間を繰り返し行う。変数iの値が1020を超えた場合(S28:YES)、中間LUT生成部14は中間LUT71の生成処理を終了する。
【0064】
図6は、本発明に係る表示装置が行うγ補正用LUT72の生成処理の手順を示すフローチャートであり、図4のステップS6にてγ補正用LUT生成部15が行う処理である。なお、図6においては2つの変数i及びNを用いて処理を行うが、変数iは中間LUT71のインデックスを示し、変数Nはγ補正用LUT72の入力階調を示すものであり、制御部11のレジスタ又はメモリ等を利用して実現される。まず制御部11のγ補正用LUT生成部15は、変数Nの値を0に初期化し(ステップS41)、変数iの値を”N×色補正値×4”とする(ステップS42)。変数の値を設定した後、γ補正用LUT生成部15は、中間LUT71のインデックスiの出力階調を、入力階調Nに対応する出力階調としてγ補正用LUT72に記憶する(ステップS43)。
【0065】
次いで、γ補正用LUT生成部15は、変数Nの値に1を加算し(ステップS44)、変数Nの値が256を超えるか否かを調べる(ステップS45)。変数Nの値が256を超えない場合(S45:NO)、γ補正用LUT生成部15はステップS42へ戻り、ステップS42〜S44の処理を繰り返し行う。変数Nの値が256を超える場合(S45:YES)、γ補正用LUT生成部15は、γ補正用LUT72の生成処理を終了する。
【0066】
上述の図4に示した処理は表示装置の起動時に行われる処理であるが、γ補正用LUT72はユーザが色温度設定を変更した場合にも更新される。図7は、本発明に係る表示装置が色温度設定が変更された場合に行う処理の手順を示すフローチャートであり、マイクロプロセッサ10の制御部11にて行われる処理である。制御部11は、色温度の設定が変更されたか否かを調べ(ステップS61)、色温度の設定が変更されていない場合には(S61:NO)、色温度の設定が変更されるまで待機する。色温度の設定が変更された場合(S61:YES)、制御部11は色演算回路40及びASIC30等の処理を停止して画像表示を停止する(ステップS62)。
【0067】
次いで、制御部11は、変更された色温度設定を取得し(ステップS63)、色補正値テーブル60を参照して色補正値を取得して(ステップS64)、γ補正用LUT生成部15へ色補正値を与える。
【0068】
次いで、制御部11は、γ補正用LUT生成部15にて、色補正値及び中間LUT71を基にγ補正用LUT72の生成処理を行う(ステップS65)。ステップS65にて行うγ補正用LUT72の生成処理は、図6に示した処理と同じであるため、説明は省略する。なお、γ補正用LUT72の生成処理に必要な中間LUT71は、表示装置の起動時に生成してバッファ13に記憶したものを用いればよい。ただし、バッファ13に中間LUT71が記憶されていない場合には、図5に示した処理を再度行って中間LUT71を生成してもよい。γ補正用LUT72の生成処理の終了後、制御部11は、生成したγ補正用LUT72をASIC30へ与えて画像表示を再開し(ステップS66)、処理を終了する。
【0069】
以上の構成の表示装置においては、予めEEPROM50に記憶した初期LUT70を基に出力階調の数を増した中間LUT71を中間LUT生成部14が生成し、色温度設定から色補正値テーブル60を参照して取得した色補正値に基づいて、中間LUT71から出力階調を抽出してγ補正用LUT72をγ補正用LUT生成部15が生成する構成とすることにより、色温度設定の変更により出力階調の分解能が低減されることなく、表示装置が簡単な処理でγ補正用LUT72を生成して高品質な画像表示を行うことができる。
【0070】
また、中間LUT生成部14は、初期LUT70に記憶された各出力階調の間を、線形補間による3つの補間値で補間して中間LUT71を生成する構成とすることにより、初期LUT70より出力階調の数を増した中間LUT71を容易に且つ精度よく生成することができる。また、初期LUT70及びγ補正用LUT72は8ビットの入力階調に対して10ビットの出力階調を記憶し、出力階調のビット数が入力階調のビット数より多い構成とすることにより、ASIC30にてγ補正処理を高精度に行うことができ、FRC回路31にてFRC技術による高品質な画像表示を行うことができる。また、中間LUT71のインデックスiの最大値を、初期LUT70の出力階調の最大値255に、初期LUT70の出力階調及び入力階調のビット差(2ビット)に応じた数(4)を乗じた値とすることにより、初期LUT70の出力階調の精度に応じた中間LUT71を生成することができる。
【0071】
また、色温度に対する補正値を予め色補正値テーブル60に記憶しておき、設定された色温度から色温度補正指示部12が色補正値テーブル60を参照して色補正値を取得する構成とすることにより、色温度の設定変更に伴う色補正値の決定を容易に行うことができ、γ補正用LUT72の生成に係る処理をより高速に行うことができる。また、初期LUT70の出力階調の数(256個)に等しい数の出力階調を中間LUT71から抽出してγ補正用LUT72を生成する構成とすることにより、出力階調の数が多い中間LUT71から、初期LUT70と同規模のγ補正用LUT72を生成してγ補正処理を行うことができるため、色温度の設定にかかわらず表示装置は初期LUT71の分解能を損なわずに高精度な画像表示を行うことができる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、マイクロプロセッサ10が制御部11及びバッファ13を有する構成としたが、これに限るものではなく、バッファ13はマイクロプロセッサ10外のメモリ素子を利用する構成であってもよい。また、ASIC30内に設けたFRC回路31及びγ補正用LUT72と、色演算回路40とをマイクロプロセッサ10内に設ける構成としてもよい。また、制御部11内に設けた色温度補正指示部12、中間LUT生成部14及びγ補正用LUT生成部15等は、ソフトウェアで実現する構成であってもよく、専用のハードウェアで実現する構成であってもよい。また、図2及び図3に示した初期LUT70、中間LUT71及びγ補正用LUT72は一例であってこれに限るものではない。また、γ補正用LUT生成部15は、上述の(2)式に示すように、N×色補正値×4の演算を行って中間LUT71から抽出する出力階調を決定する構成としたが、これに限るものではなく、以下の変形例に示す構成であってもよい。
【0073】
(実施の形態2)
近年、高色域に対応したCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp、冷陰極管)が表示装置のバックライトとして用いられ始め、表示装置の表示品質向上が図られている。しかし、高色域CCFLを用いた表示装置にてバックライトの輝度を変化させた場合、CCFLの蛍光材が発光強度のバランスを崩して色度(ホワイトバランス)が変化する。このため表示装置は、バックライトの輝度に応じて入力画像に係るRGBの入力階調を調整し、色度の補正を行う必要がある。
【0074】
そこで、実施の形態2においては、バックライトの輝度を変化させた場合であっても色度の変化が生じることがない表示装置について説明する。実施の形態1に係る表示装置は色温度の設定に応じてγ補正用LUT72を生成する構成であるが、実施の形態2に係る表示装置は、上述の問題に対応するため、更に輝度の設定に応じてγ補正用LUT72を生成する構成である。
【0075】
図8は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る表示装置のマイクロプロセッサ210は、制御部211にPWM生成部216及び色度補正指示部217を更に有している。なお、PWM生成部216は本発明の制御量決定手段を構成するものであり、色度補正指示部217は補正値決定手段を構成するものである。
【0076】
PWM生成部216は、ユーザによる輝度の設定を受け付けて、輝度設定に応じたPWM信号を生成してバックライト用インバータ回路225へ出力することにより、液晶パネルモジュール20のバックライトの明るさを調整するようにしてある。また、PWM生成部216は、例えばPWM信号のデューティ比などのバックライトの制御量を色度補正指示部217へ与えるようにしてある。即ち、PWM生成部216は、輝度の設定を基にバックライトの制御量を決定し、決定した制御量を色度補正指示部217へ与えるようにしてある。
【0077】
色度補正指示部217は、PWM生成部216から与えられた制御量を基に、色補正値テーブル265を参照して、制御量に応じた色補正値を取得するようにしてある。図9は、色補正値テーブル265の一例を示す模式図である。色補正値テーブル265は、PWM信号のデューティ比などを10ビットの情報で表わした制御量と、この制御量でバックライトを駆動した場合にRGBの各階調を補正するための補正値とを対応付けて記憶してある。なお各補正値は、バックライトの特性により最適な値が異なるため、例えば表示装置の製造工程にて、輝度の設定を変更した場合の液晶パネルの表示特性を測定し、測定結果に基づいて最適な補正値を決定して色補正値テーブル265として予め記憶する。色補正値テーブル265はEEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子(図示は省略する、ただしEEPROM50に記憶してもよい)に予め記憶される。
【0078】
色度補正指示部217は、PWM生成部216から与えられた制御量を基に色補正値テーブル265から取得した色補正値を、γ補正用LUT生成部215へ与えるようにしてある。γ補正用LUT生成部215には、色温度補正指示部12から色温度設定に基づく色補正値が与えられ、且つ、色度補正指示部217から輝度設定に基づく色補正値が与えられている。よって、γ補正用LUT生成部215は、色温度補正指示部12及び色度補正指示部217からそれぞれ与えられた色補正値を色毎に乗算した値を最終的な色補正値として用い、上述の(2)式に基づいてγ補正用LUT72を生成するようにしてある。
【0079】
以上の構成の実施の形態2に係る表示装置は、色温度設定のみならず輝度設定に応じてγ補正用LUT72を生成することができるため、色温度設定及び輝度設定の変化に伴って分解能が低下し、表示画質が低下することを防止でき、より高品質な画像の表示を行うことができる。
【0080】
なお、実施の形態2においては、色温度の設定に応じた色補正値を取得するための色温度補正指示部12及び色補正値テーブル60と、輝度の設定に応じた色補正値を取得するための色度補正指示部217及び色補正値テーブル265とを、表示装置がそれぞれ別に備える構成としたが、これに限るものではなく、色温度の設定、バックライトの制御量及び色補正値の3つを対応付けた色補正値テーブルを予め作成しておき、1つの色度補正指示部が色温度及び制御量を基に色補正値テーブルから色補正値を取得する構成としてもよい。
【0081】
なお、実施の形態2に係る表示装置のその他の構成は、実施の形態1に係る表示装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】中間LUT生成部及びγ補正用LUT生成部が行う処理を説明するための模式図である。
【図3】初期LUT及びγ補正LUTの一例を示すグラフである。
【図4】本発明に係る表示装置が起動時に行う色温度設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る表示装置が行う中間LUTの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る表示装置が行うγ補正用LUTの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る表示装置が色温度設定が変更された場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図9】色補正値テーブルの一例を示す模式図である。
【図10】従来の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図11】色補正値テーブルの一例を示す模式図である。
【図12】従来の表示装置での色温度設定による表示品質の低下を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0083】
10 マイクロプロセッサ
11 制御部
12 色温度補正指示部(補正値決定手段)
13 バッファ
14 中間LUT生成部(中間テーブル生成手段)
15 γ補正用LUT生成部(補正テーブル生成手段)
20 液晶パネルモジュール(表示部)
30 ASIC(補正手段)
31 FRC回路
40 色演算回路
50 EEPROM
60 色補正値テーブル
70 初期LUT(初期テーブル)
71 中間LUT(中間テーブル)
72 γ補正用LUT
210 マイクロプロセッサ
211 制御部
215 γ補正用LUT生成部(補正テーブル生成手段)
216 PWM生成部(制御量決定手段)
217 色度補正指示部(補正値決定手段)
225 バックライト用インバータ
265 色補正値テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像の入力階調を表示部の駆動に係る出力階調に補正する補正手段を備え、該補正手段が階調を補正した画像を前記表示部に表示する表示装置において、
入力階調に対する出力階調の初期値が予め記憶された初期テーブルと、
該初期テーブルを基に、出力階調の数を前記初期テーブルより増した中間テーブルを生成する中間テーブル生成手段と、
設定された色温度及び/又は輝度に応じて入力画像の階調を補正するための補正値を決定する補正値決定手段と、
前記補正値に応じて前記中間テーブルから出力階調を抽出し、入力階調に対応付けて抽出した出力階調を記憶した補正テーブルを生成する補正テーブル生成手段と
を備え、
前記補正手段は、前記補正テーブルにより入力画像の階調を補正するようにしてあること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記中間テーブル生成手段は、前記初期テーブルに複数記憶された各出力階調の値に基づき補間値を取得し、該補間値により出力階調の数を増した中間テーブルを生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記入力階調及び出力階調は複数のビットで表され、
前記初期テーブルの出力階調のビット数は、入力階調のビット数より多いこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記中間テーブルは、ビット数が前記出力階調に等しいインデックスと、前記出力階調とが対応付けて記憶してあり、
前記インデックスの最大値は、前記初期テーブルの入力階調の最大値に、前記初期テーブルの出力階調及び入力階調のビット数の差に応じた数を乗じた値であること
を特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
色温度に対する前記補正値が予め記憶された色補正値テーブルを更に備え、
前記補正値決定手段は、設定された色温度及び前記色補正値テーブルを基に前記補正値を決定するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
設定された輝度に応じてバックライトの制御量を決定する制御量決定手段と、
バックライトの制御量に対する前記補正値が予め記憶された色補正値テーブルと
を更に備え、
前記補正値決定手段は、前記制御量決定手段が決定した制御量及び前記色補正値テーブルを基に前記補正値を決定するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
前記補正テーブル生成手段は、前記初期テーブルに記憶された出力階調の数に等しい数の出力階調を前記中間テーブルから抽出するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−109761(P2009−109761A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282228(P2007−282228)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】