説明

表示装置

【課題】 ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する表示装置において、すべてのライトを同一条件で発光させたときの面輝度の均一性の劣化速度を遅くする。
【解決手段】 複数の画素の集合でなる表示領域を有する表示パネルと、複数のLEDライトを有する直下型のバックライトと、それぞれの前記画素の階調を制御する第1の制御手段と、それぞれの前記LEDライトの明るさを制御する第2の制御手段とを有する表示装置であって、前記表示装置の周辺の照度を測定する照度測定手段を有し、前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも高い場合は、すべての前記LEDライトの明るさを同じ明るさに決定し、あらかじめ定められた値よりも低い場合は、それぞれの前記画素の階調に基づいてそれぞれの前記LEDライトの明るさを決定する表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、LEDライトがマトリクス状に配置された直下型のバックライトを有する液晶表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置には、液晶表示パネルの後方に直下型のバックライトを配置したものがある。前記直下型のバックライトは、前記液晶表示パネルの表示領域と重畳する領域に複数のライトが配置されたバックライトであり、前記ライトには、たとえば、蛍光灯またはLEDライトが用いられる。
【0003】
前記LEDライトを用いた直下型のバックライト(以下、LEDバックライトという。)は、前記蛍光灯を用いた直下型のバックライトに比べて、低消費電力であり、かつ、薄型化が容易である。そのため、近年の液晶表示装置では、前記LEDバックライトを採用することが増えてきている。
【0004】
また、前記LEDバックライトは、前記液晶表示パネルの表示領域と重畳する領域に、複数の前記LEDライトがマトリクス状に配置されており、それぞれの前記LEDライトの明るさ(輝度)は、加える電流の大きさによって制御される。そのため、前記LEDバックライトを有する液晶表示装置は、たとえば、ローカルディミングまたは単にディミングと呼ばれる局所的な輝度制御(以下、ローカルディミング制御という。)が容易であるという利点もある。
【0005】
前記ローカルディミング制御は、たとえば、前記LEDバックライトの前記表示領域と重畳する領域を複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックの輝度を、前記ブロックごとに独立して制御する方法である(たとえば、特許文献1を参照。)。このとき、前記LEDバックライトは、複数の前記ブロックのそれぞれに1つ以上の前記LEDライトを配置しておく。またこのとき、それぞれの前記ブロックの輝度は、たとえば、前記表示領域の前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる画素の階調の平均値に基づいて決定する。そして、決定した輝度が高いブロックの前記LEDライトには大きな電流を加え、決定した輝度が低いブロックの前記LEDライトには小さな電流を加えることで、ブロックごとに輝度を制御する。
【0006】
このようにすると、前記表示領域のうちの、前記LEDライトの輝度が低いブロックと重畳する部分領域は暗く表示され、前記LEDライトの輝度が高いブロックと重畳する部分領域は明るく表示される。そのため、たとえば、あるフレーム期間に表示される映像または画像の中に、局所的に、階調が低い画素または黒表示の画素が多く含まれている部分領域がある場合に、その部分領域と他の明るい部分領域とのコントラスト感を高めることができる。
【特許文献1】特開2007−183608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記LEDライトの光束の劣化には電流依存性があり、大きな電流を加え続けた前記LEDライトは、小さな電流を加え続けた前記LEDライトよりも光束の劣化が早い。
【0008】
前記LEDバックライトにおいて、前記ローカルディミング制御をする場合は、前記ブロックごとに、前記LEDライトに加える電流の大きさを制御する。また、それぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさは、あらかじめ定められた期間毎に変更される。そのため、前記LEDバックライトは、前記ローカルディミング制御をすると、使用時間が長くなるにつれて、たとえば、すべてのLEDライトに同じ大きさの電流を加えたときの前記ブロックごとの輝度に差が生じるという問題がある。このような問題は、特に、同じ映像または画像を繰り返し表示する機会が多い場合に生じやすい。
【0009】
本発明の目的は、ローカルディミング制御を行うバックライトを有する表示装置において、たとえば、すべてのライトを同一条件で発光させたときの前記バックライトの面輝度の均一性の劣化速度を遅くすることが可能な技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0012】
(1)複数のLEDライトを有するバックライトと、前記LEDライトからの光の透過率を変えることで階調を表現する画素の集合でなる表示領域を有する表示パネルと、それぞれの前記画素の階調を制御する第1の制御手段と、それぞれの前記LEDライトの明るさを制御する第2の制御手段とを有し、前記複数のLEDライトは、前記表示パネルの前記表示領域と重畳する領域に配置されている表示装置であって、前記表示装置の周辺の照度を測定する照度測定手段を有し、前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも高い場合は、すべての前記LEDライトの明るさを同じ明るさに決定し、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合は、前記第1の制御手段によって制御された前記画素の階調に基づいてそれぞれの前記LEDライトの明るさを決定する表示装置。
【0013】
(2)前記(1)の表示装置において、前記バックライトは、前記表示パネルの前記表示領域と重畳する領域を複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックのそれぞれに1つ以上の前記LEDライトを配置してなり、前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値に基づいてそれぞれの前記LEDライトの明るさを決定する表示装置。
【0014】
(3)前記(2)の表示装置において、前記LEDライトの明るさは、前記LEDライトに加える電流の大きさによって制御される表示装置。
【0015】
(4)前記(3)の表示装置において、当該表示装置は、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係を定義した対応データを有し、前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値を算出し、算出した前記平均値と前記対応データからそれぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさを決定する表示装置。
【0016】
(5)前記(3)の表示装置において、当該表示装置は、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係を定義した対応データを2つ以上有し、前記2つ以上の前記対応データは、それぞれ、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係が異なり、前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記測定した照度の値に応じて前記2つ以上の前記対応データのうちの1つの前記対応データを選択し、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値を算出し、算出した前記平均値と選択した前記対応データからそれぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさを決定する表示装置。
【0017】
(6)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルは、一対の基板の間に液晶材料を封入した液晶表示パネルである表示装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示装置によれば、前記バックライトは、当該表示装置の周辺の照度があらかじめ定められた値よりも低くなった場合にのみ、前記ローカルディミング制御をする。そのため、本発明の表示装置は、従来の、常時ローカルディミング制御をする場合に比べ、たとえば、すべてのLEDライトに同じ大きさの電流を加えたときの前記バックライトの面輝度の均一性の劣化速度を遅くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1(a)および図1(b)は、本発明に関わる表示装置の動作原理を説明するための模式図である。
図1(a)は、ローカルディミング制御の原理を示す模式斜視図である。図1(b)は、階調の平均値とLEDライトに加える電流値との関係の一例を示す模式グラフ図である。
なお、図1(b)のグラフ図において、横軸は、表示パネルの表示領域のうちの1つの部分領域に含まれる画素の階調の平均値KAVGであり、各画素の表示階調が256階調である場合を示している。また、図1(b)において、縦軸は、LEDライトに加える電流Iの相対値であり、階調の平均値KAVGが最大(255階調)のときにLEDライトに加える電流の大きさを1にしている。
【0021】
本発明は、たとえば、ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する液晶表示装置に適用される。前記ローカルディミング制御が可能なバックライトとしては、たとえば、直下型のLEDバックライトがある。
【0022】
本発明に関わる液晶表示装置は、たとえば、図1(a)に示すように、液晶表示パネル1と直下型のLEDバックライト2とを有する。LEDバックライト2は、液晶表示パネル1の表示領域DAと重畳する領域RAに、複数のLEDライト(図示しない)がマトリクス状に配置されている。このとき、LEDバックライト2の領域RAは、たとえば、x方向の寸法がBx、y方向の寸法がByの36個のブロックQij(1≦i≦6,1≦j≦6)に分割されており、それぞれのブロックQijには、1個または複数個のLEDライトが配置されている。なお、図1(a)では、LEDバックライト2の領域RAを36個のブロックQijに分割しているが、他の個数のブロックに分割してもよいことはもちろんである。
【0023】
また、1個の前記LEDライトは、たとえば、赤色発光のLEDチップ、緑色発光のLEDチップ、および青色発光のLEDチップを有する1つの発光部品であり、各LEDチップのアノードとカソードの間に電流を流すことで白色発光するライトである。また、前記1個の前記LEDライトは、たとえば、赤色発光のLEDチップを有する1つの発光部品、緑色発光のLEDチップを有する1つの発光部品、および青色発光のLEDチップを有する1つの発光部品の3つの発光部品を接続して一体化したものであってもよい。またさらに、1個の前記LEDライトは、たとえば、青色発光のLEDチップまたは近紫外発光のLEDチップと蛍光体とにより白色光を得る1つの発光部品であってもよい。
【0024】
前記LEDライトは、加える電流の大きさを変えることで明るさ(輝度)を制御できる。そのため、LEDバックライト2の領域RAをブロックQijに分割した場合、たとえば、ブロックQijごとに、含まれるLEDライトに加える電流の大きさを変えることで、それぞれのブロックQijの輝度を変えることができる。このとき、ブロックQijから出射した光は、それぞれ、液晶表示パネル1の表示領域DAの部分領域Pijに照射される。そのため、表示領域DAの部分領域Pijのうちの、階調が低い画素が多い部分領域Pに光を照射するブロックQの輝度を低くし、階調が高い画素が多い部分領域P’に光を照射するブロックQ’の輝度を高くすると、表示領域DAに表示された映像または画像の局所的なコントラスト感を高めることができる。これが、ローカルディミング制御の原理である。
【0025】
LEDバックライト2に対してローカルディミング制御をする場合、それぞれのブロックQijの輝度、すなわちそれぞれのブロックQijに含まれる前記LEDライトに加える電流の大きさは、たとえば、図1(b)に示すような対応データに基づいて決定する。ローカルディミング制御において、ブロックQ11に含まれる前記LEDライトに加える電流の大きさを決定するときには、たとえば、まず、表示領域DAの全体に表示する映像または画像の階調データから、ブロックQ11と重畳する部分領域P11に含まれる画素の階調の平均値KAVGを算出する。そして、算出した階調の平均値KAVGと、図1(b)に示したような対応データから、ブロックQ11に含まれる前記LEDライトに加える電流I(I11)を決定する。
【0026】
なお、階調の平均値KAVGの算出方法には種々の方法があり、たとえば、特許文献1に記載されたような方法で算出すればよい。
【0027】
また、残りのブロックQij(i,j≠1)についても同様の手順で、ブロックQij(i,j≠1)ごとに、前記LEDライトに加える電流Iを決定する。
【0028】
図2は、LEDライトの光束の電流依存性を示す模式グラフ図である。
なお、図2において、横軸は、LEDライトの発光時間T(単位は時間)であり、T2<T1である。また、図2において、縦軸は、LEDライトの光束LFの相対値であり、使用開始時の光束を1にしている。
【0029】
前記LEDライトは、使用を開始してから一定の期間が経過すると光束が劣化し、同じ電流を加えたときの輝度が低下する。このとき、前記LEDライトの光束の劣化は、加える電流の大きさに依存し、たとえば、図2に示すように、加える電流が大きいほど、光束の劣化が始まるまでの期間が短くなる。なお、図2に示したグラフにおいて、実線で示した分布は、前記LEDライトに加える電流を一定の小さな値Iminにしたときの光束の相対値の計時変化であり、このときは、使用時間がT1時間に達した頃から光束の劣化が始まる。また、図2に示したグラフにおいて、波線で示した分布は、前記LEDライトに加える電流を一定の大きな値Imax(>Imin)にしたときの光束の相対値の計時変化であり、このときは、使用時間がT2(<T1)時間に達した頃から光束の劣化が始まる。
【0030】
従来のローカルディミング制御を行わないLEDバックライトの場合、それぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさは、通常一定であるため、すべての前記LEDライトの光束の劣化の度合いはほぼ等しい。そのため、前記LEDバックライトの使用時間が長くなるにつれて表示領域全体の面輝度が低くなるものの、面輝度の均一性は保たれる。
【0031】
しかしながら、ローカルディミング制御を行うLEDバックライトの場合、ブロックQijごとにLEDライトに加える電流の大きさを変えるので、使用時間が長くなるにつれて、たとえば、すべてのLEDライトに同じ大きさの電流を加えたときの前記ブロックごとの輝度に差が生じるという問題がある。このような問題は、特に、同じ映像または画像を繰り返し表示する機会が多い場合に生じやすい。
【実施例】
【0032】
図3(a)および図3(b)は、本発明による一実施例の液晶表示装置の概略構成を示す模式図である。
図3(a)は、本実施例の液晶表示装置の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。図3(b)は、図3(a)のLED制御手段の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。
【0033】
本実施例の液晶表示装置は、たとえば、図3(a)に示すように、液晶表示パネル1、LEDバックライト2、データドライバ3、走査ドライバ4、LED制御手段5、タイミングコントローラ6、および照度センサ7を有する。
【0034】
液晶表示パネル1は、透過型または半透過型の液晶表示パネルであり、たとえば、複数本の走査信号線GLと複数本の映像信号線DLを有する。このとき、液晶表示パネル1の表示領域DAは、たとえば、最も外側に配置された2本の走査信号線GLと、最も外側に配置された2本の映像信号線DLとで囲まれる領域に相当する。またこのとき、表示領域DAにおいて1つの画素が占有する領域は、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本の映像信号線DLとで囲まれた領域に相当し、それぞれの画素が占有する領域には、たとえば、TFT素子、画素電極、および対向電極などが配置されている。
【0035】
なお、本実施例の液晶表示装置における液晶表示パネル1は、透過型または半透過型の液晶表示パネルであればよく、それぞれの画素の構成は、たとえば、従来の透過型または半透過型の液晶表示パネルにおける画素の構成と同じでよい。すなわち、それぞれの画素の構成は、たとえば、画素電極と対向電極との電位差により液晶分子の配向を制御して光の透過率を変えることで階調を表現できる構成であれば、どのような構成であってもよい。そのため、本実施例では、液晶表示パネル1における画素の構成などの詳細な説明を省略する。
【0036】
LEDバックライト2は、ローカルディミング制御が可能なバックライトであり、表示領域DAと重畳する領域に、複数のLEDライト201がマトリクス状に配置されている。このとき、それぞれのLEDライト201は、明るさ(輝度)の制御を独立して行えるようになっている。なお、1つのLEDライト201は、1個のLEDライトであってもよいし、複数個のLEDライトが直列または並列に接続されたLEDライト群であってもよい。
【0037】
データドライバ3は、たとえば、液晶表示パネル1の映像信号線DLに加える映像信号(階調信号)を生成する駆動回路である。
【0038】
走査ドライバ4は、たとえば、液晶表示パネル1の走査信号線GLに加える走査信号を生成する駆動回路である。
【0039】
LED制御手段5は、それぞれのLEDライト201の明るさ、すなわちそれぞれのLEDライト201に加える電流の大きさを制御する制御回路である。
【0040】
タイミングコントローラ6は、たとえば、データドライバ3、走査ドライバ4、およびLED制御手段5の動作タイミングを制御する制御回路である。
【0041】
照度センサ7は、たとえば、フォトダイオードのようなものであり、表示装置の周辺の照度を検出できる位置に配置される。
【0042】
また、LED制御手段5は、たとえば、図3(b)に示すように、LD制御判定手段501、電流値決定手段502、階調−電流対応データ503、および電流印加手段504とを有する。
【0043】
LD制御判定手段501は、照度センサ7からの検出信号Sbrに基づいて、LEDバックライト2のローカルディミング制御を行うか否かを判定する手段である。このとき、LD制御判定手段501は、たとえば、下記表1のように、検出信号Sbrがあらかじめ定められた値S以下の場合(Sbr≦S)はLD制御信号SVを1にしてローカルディミング制御をONにさせ、検出信号Sbrがあらかじめ定められた値Sよりも大きい場合(S<Sbr)はLD制御信号SVを0にしてローカルディミング制御をOFFにさせる。
【0044】
【表1】

【0045】
電流値決定手段502は、たとえば、LD制御信号SVに基づいてローカルディミング制御を行うか否かを識別し、ローカルディミング制御を行うと識別した場合(SV=1の場合)は、タイミングコントローラ5から入力される映像信号DATA、および階調−電流対応データ503に基づいて、それぞれのLEDライト201に加える電流の大きさを決定する。映像信号DATAは、タイミングコントローラ6からデータドライバ3に出力される映像信号(階調信号)と同様の構成であり、たとえば、表示パネル1の各画素の階調を制御するための情報を有する信号である。また、ローカルディミング制御を行わないと識別した場合(SV=0の場合)は、タイミングコントローラ5から入力される映像信号DATAを使わずに、すべてのLEDライト201に加える電流の大きさを同じ値に決定する。
【0046】
電流印加手段504は、電流値決定手段502で決定したそれぞれのLEDライト201に加える電流の大きさに基づき、たとえば、タイミングコントローラ5からの電力Iを利用して、それぞれのLEDライト201に加える電流I(電力)を生成し、それぞれのLEDライト201に供給する。
【0047】
本実施例の液晶表示装置において液晶表示パネル1に映像または画像を表示させる動作、すなわち、外部から入力された映像信号、クロック信号、および電力などに基づいて表示領域DAの各画素の階調(光の透過率)を制御する動作については、従来の液晶表示装置で行っている動作と同じでよい。そのため、液晶表示パネル1に映像または画像を表示させる動作に関する詳細な説明は省略する。
【0048】
図4は、本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの動作手順の一例を示す模式フロー図である。
【0049】
本実施例の液晶表示装置においてLEDバックライト2を動作させるときには、たとえば、図4に示すように、まず、表示装置周辺の照度を測定する(ステップ801)。ステップ801は、照度センサ7を用いて行い、照度センサ7で測定した結果(たとえば、検出信号Sbr)を、LD制御判定手段501に入力する。
【0050】
次に、LD制御判定手段501において、測定した照度があらかじめ定められた閾値以下であるか判定する(ステップ802)。ステップ802は、たとえば、前記表1のような判定テーブルに基づいて行い、測定した照度が閾値以下の場合(Sbr≦Sの場合)はLD制御信号SVを1にして電流値決定手段502に出力する。また、測定した照度が閾値よりも大きい場合(S<Sbr)はLD制御信号SVを0にして電流値決定手段502に出力する。なお、ステップ802の判定で用いる照度の閾値は、適宜変更可能であるが、たとえば、200〜1000lx(ルクス)程度にすることが好ましい。
【0051】
ステップ802の判定において、測定した照度が閾値以下である場合(yesの場合)は、ローカルディミング制御をONにする。そのため、次に、映像信号DATAから部分領域Pij毎の平均階調(階調の平均値)を算出し(ステップ803)、部分領域Pijの平均階調からブロックQijのLEDライト201に印加する(加える)電流の値を決定する(ステップ804)。ステップ803およびステップ804は、電流値決定手段502で行う。このとき、ステップ803は、たとえば、1フレーム分の映像信号DATAを部分領域Pijごとの部分信号に分割し、前記部分信号に含まれる階調情報(または輝度情報)からその平均値を算出する。また、ステップ804は、ステップ803で算出した部分領域Pijの平均階調と、たとえば、図1(b)に示したような階調−電流対応データ503に基づいて、それぞれのブロックQijのLEDライト201に印加する電流の値を決定する。また、ステップ804で決定したそれぞれのLEDライト201に印加する電流値に関する情報は、電流印加手段504に出力する。
【0052】
一方、ステップ802の判定において、測定した照度が閾値よりも大きい場合(noの場合)は、ローカルディミング制御をOFFにする。そのため、次に、全ブロックQijのLEDライト201に印加する電流を同じ値にする(ステップ805)。ステップ805は、電流値決定手段502で行う。また、ステップ805で決定したそれぞれのLEDライト201に印加する電流値に関する情報は、電流印加手段504に出力する。
【0053】
次に、ステップ803およびステップ804の処理で決定したそれぞれのLEDライト201に印加する電流値、またはステップ805の処理で決定したそれぞれのLEDライト201に印加する電流値に基づいて、実際にそれぞれのLEDライト201に印加する電流を生成し、それぞれのLEDライト201に印加する(ステップ806)。ステップ806は、電流印加手段504で行う。また、生成した電流をそれぞれのLEDライト201に印加するときには、たとえば、ステップ803で使用した映像信号による像を液晶表示パネル1に表示するタイミングと同期させて印加する。
【0054】
ステップ801乃至ステップ806の一連の処理を行って、たとえば、1フレーム分の映像データの表示に同期させたLEDバックライト2の動作制御が済んだら、再びステップ801に戻り、次の1フレーム分の映像データの表示に同期させたLEDバックライト2の動作制御を行う。
【0055】
このようなLEDバックライト2の動作制御を行うと、たとえば、液晶表示装置が設置されている部屋の明るさに応じて、ローカルディミング制御のON/OFFを自動で切り替えることができる。
【0056】
ところで、ローカルディミング制御というのは、表示する映像または画像の階調(輝度)の分布に応じて、表示領域DA内にバックライトが明るい部分領域とバックライトが暗い部分領域を作ることで、局所的なコントラスト感を向上させる制御方法である。
【0057】
しかしながら、ローカルディミング制御は、液晶表示装置が設置されている空間の照度が低い場合に有効であり、液晶表示装置が設置されている空間の照度が高い場合は、たとえば、液晶表示パネル1の表示面における外光の反射などの影響により、ローカルディミング制御を行ってもコントラスト感はほとんど変わらない。すなわち、液晶表示装置が設置されている空間の照度が高い場合、ローカルディミング制御をONにしたときのコントラスト感とOFFにしたときのコントラスト感は、ほとんど変わらない。そのため、本実施例の液晶表示装置は、照度の閾値(値S)を適切な値に設定すれば、ローカルディミング制御によりコントラスト感を向上させる効果が損なわれることはない。
【0058】
また、液晶表示装置が設置されている空間の照度が高い場合にローカルディミング制御をOFFにすれば、その期間は、すべてのLEDライト201に同じ大きさの電流が加わることになる。そのため、液晶表示装置が設置されている空間の照度によらず常時ローカルディミング制御を行う場合に比べ、それぞれのLEDライト201の光束の劣化の度合いのばらつきが小さくなる。したがって、本実施例の液晶表示装置は、たとえば、すべてのLEDライトに同じ大きさの電流を加えたときの前記バックライトの面輝度の均一性の劣化速度を遅くすることができる。
【0059】
図5は、本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの動作手順の変形例を示す模式フロー図である。
【0060】
図4に示したLEDバックライト2の動作手順は、たとえば、映像の1フレーム分ごとに照度を測定し、ローカルディミング制御を行うか否かの判定を行っている。しかしながら、液晶表示装置で映像または画像を表示するときには、たとえば、長時間にわたって照度が一定の場合も多い。そのような場合に、LEDバックライト2を、図4に示したような手順で動作させるのは効率的ではない。したがって、本実施例の液晶表示装置において、LEDバックライト2を動作させるときには、たとえば、図5に示したような手順で動作させてもよい。
【0061】
図5に示したLEDバックライト2の動作手順では、まず、表示装置周辺の照度を測定する(ステップ801)。次に、ステップ801で測定した照度に基づいて、ローカルディミング制御(LD制御)をONまたはOFFにし、それぞれのLEDライト201に電流を加える(ステップ807)。ステップ807は、ステップ803およびステップ804の処理、またはステップ805の処理を行う。
【0062】
次に、照度測定のタイミングになったか否かを判定する(ステップ808)。ステップ808は、たとえば、前回の測定(ステップ801)をした時刻からの経過時間で判定する。また、ステップ808は、たとえば、前回の測定(ステップ801)のときの照度と判定時の照度との差があらかじめ定められた値よりも大きくなっているか否かで判定してもよい。
【0063】
ステップ808において、照度測定のタイミングではないと判定された場合(noの場合)は、ステップ807に戻り、判定前と同じ条件でステップ803およびステップ804の処理、またはステップ805の処理を行う。
【0064】
ステップ808において、照度測定のタイミングであると判定された場合(yesの場合)は、ステップ801に戻って照度を測定し、その測定結果に基づいてステップ803およびステップ804の処理、またはステップ805の処理を行う。
【0065】
このようにすることで、照度の測定回数を減らすことができ、たとえば、LED制御手段5の動作に要する電力を小さくすることができる。
【0066】
図6は、本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの制御方法の変形例を示す模式グラフ図である。
なお、図6のグラフ図において、横軸は、表示パネルの表示領域のうちの1つの部分領域に含まれる画素の階調の平均値KAVGであり、各画素の表示階調が256階調である場合を示している。また、図6において、縦軸は、LEDライトに加える電流Iの相対値であり、階調の平均値KAVGが最大(255階調)のときにLEDライトに加える電流の大きさを1にしている。
【0067】
本実施例では、LEDバックライト2の制御方法の一例として、たとえば、図4に示したように、表示装置周辺の照度(検出信号Sbr)が、ある1つの閾値Sよりも小さい場合はローカルディミング制御をONにし、ある1つの閾値Sよりも大きい場合はローカルディミング制御をOFFにする場合を挙げている。
【0068】
しかしながら、本実施例の液晶表示装置のように、周辺の照度に応じてローカルディミング制御のON/OFFを自動で切り替える場合、たとえば、閾値を2つ以上設けて、ローカルディミング制御の効果を段階的に変化させてもよい。すなわち、周辺の照度に応じてローカルディミング制御のON/OFFを自動で切り替える場合は、たとえば、下記表2に示すように、Sp1,Sp2(>Sp1)の2つの閾値を用意し、測定した照度(検出信号Sbr)が閾値Sp1以下の場合は対応データIK2を用いたローカルディミング制御を行い、測定した照度(検出信号Sbr)が閾値Sp1よりも大きく、かつ閾値Sp2以下の場合は対応データIK1を用いたローカルディミング制御を行うようにしてもよい。また、測定した照度(検出信号Sbr)が閾値Sp2よりも大きい場合は、ローカルディミング制御をOFFにする。
【0069】
【表2】

【0070】
このとき、2つの対応データIK1,IK2は、それぞれ、階調の平均値KAVGとLEDライト201に加える電流Iの相対値との関係が、たとえば、図6に示したような関係になっているデータにする。
【0071】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1(a)】ローカルディミング制御の原理を示す模式斜視図である。
【図1(b)】階調の平均値とLEDライトに加える電流値との関係の一例を示す模式グラフ図である。
【図2】LEDライトの光束の電流依存性を示す模式グラフ図である。
【図3(a)】本実施例の液晶表示装置の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。
【図3(b)】図3(a)のLED制御手段の概略構成の一例を示す模式ブロック図である。
【図4】本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの動作手順の一例を示す模式フロー図である。
【図5】本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの動作手順の変形例を示す模式フロー図である。
【図6】本実施例の液晶表示装置におけるLEDバックライトの制御方法の変形例を示す模式グラフ図である。
【符号の説明】
【0073】
1…液晶表示パネル
2…LEDバックライト
201…LEDライト
3…データドライバ
4…走査ドライバ
5…LED制御手段
501…LD制御判定手段
502…電流値決定手段
503…階調−電流対応データ
504…電流印加手段
6…タイミングコントローラ
7…照度センサ
GL…走査信号線
DL…映像信号線
br…検出信号
SV…LD制御信号
DATA…映像信号
…電力
…LEDライトに加える電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED(Light Emitting Diode)ライトを有するバックライトと、前記LEDライトからの光の透過率を変えることで階調を表現する画素の集合でなる表示領域を有する表示パネルと、それぞれの前記画素の階調を制御する第1の制御手段と、それぞれの前記LEDライトの明るさを制御する第2の制御手段とを有し、前記複数のLEDライトは、前記表示パネルの前記表示領域と重畳する領域に配置されている表示装置であって、
前記表示装置の周辺の照度を測定する照度測定手段を有し、
前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも高い場合は、すべての前記LEDライトの明るさを同じ明るさに決定し、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合は、前記第1の制御手段によって制御された前記画素の階調に基づいてそれぞれの前記LEDライトの明るさを決定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記バックライトは、前記表示パネルの前記表示領域と重畳する領域を複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックのそれぞれに1つ以上の前記LEDライトを配置してなり、
前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値に基づいてそれぞれの前記LEDライトの明るさを決定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LEDライトの明るさは、前記LEDライトに加える電流の大きさによって制御されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
当該表示装置は、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係を定義した対応データを有し、
前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値を算出し、算出した前記平均値と前記対応データからそれぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさを決定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
当該表示装置は、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係を定義した対応データを2つ以上有し、
前記2つ以上の前記対応データは、それぞれ、前記画素の階調の平均値と前記LEDライトに加える電流の大きさとの関係が異なり、
前記第2の制御手段は、前記照度測定手段で測定した照度があらかじめ定められた値よりも低い場合、前記測定した照度の値に応じて前記2つ以上の前記対応データのうちの1つの前記対応データを選択し、前記ブロックごとに、前記表示領域のうちの前記ブロックと重畳する部分領域に含まれる前記画素の階調の平均値を算出し、算出した前記平均値と選択した前記対応データからそれぞれの前記LEDライトに加える電流の大きさを決定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、一対の基板の間に液晶材料を封入した液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1(a)】
image rotate

【図1(b)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−204825(P2009−204825A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46233(P2008−46233)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】