説明

表示装置

【課題】複数の表示パネルを組合せた場合にも、表示パネルの非表示部の存在に起因する表示品質の劣化を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10は、LCDユニット14と、LCDユニット14に積層された光学レンズフィルム1とを備える。光学レンズフィルム1は、ベース体と複数の凸部とを含む。凸部は、ベース体の主面および裏面の少なくともいずれか一方に形成され、光の進行方向を変更するものである。ベース体の主面に沿った方向に延び、凸部と対向して位置する透明板19を仮定した場合に、ベース体および凸部を透過して出射される光の透明板19での視認表示領域35の重心位置が、凸部が形成されていない状態のベース体を透過して出射する光の透明板19での投影領域の重心位置からずれるように、凸部の構造は決定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に関し、より特定的には、表示される画像の表示位置を制御することが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置などの表示装置が知られている。このような表示装置においては、複数の表示パネルを繋ぎ合わせて大画面の表示装置を実現することが提案されている(たとえば、特開2006−47797号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。
【0003】
上述した特許文献1では、1枚の透明材料からなる前面板に複数の液晶表示パネルを繋ぎ合わせて装着したパネルユニットと、当該パネルユニットに対向し、各液晶表示パネルに対応した同数のバックライトを繋ぎ合わせて1枚の背面板に装着したバックライトユニットとからなる表示装置が提案されている。特許文献1では、液晶表示パネルの繋ぎ合わせ部において、隣接する液晶表示パネルの端部に形成される非表示部(接着シール材が設けられた部分)を重ね合わせるように配置することで、パネルユニットにおける上記繋ぎ合わせ部での非表示部の幅を狭くすることが提案されている。また、当該表示装置では、表示品質の向上を目的に拡散シートやレンズフィルムなどの従来周知の光学レンズフィルムがパネルユニットに設置されている。
【特許文献1】特開2006−47797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した表示装置では、液晶表示パネルの繋ぎ合わせ部に、幅が狭くなったとは言え非表示部が存在するため、表示品質の向上には限界があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、複数の表示パネルを組合せた場合にも、表示パネルの非表示部の存在に起因する表示品質の劣化を抑制することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った表示装置は、表示面を有する表示ユニットと、表示ユニットに積層され、表示ユニットの表示面から出射する光の出射範囲を規制する光学レンズフィルムとを備える。光学レンズフィルムは、ベース体と光学素子構造とを含む。ベース体は主面および当該主面と反対側に位置する裏面を有する。光学素子構造は、ベース体の主面および裏面の少なくともいずれか一方に形成され、光の進行方向を変更するものである。ベース体の主面に沿った方向に延び、光学素子構造と対向して位置する投影面を仮定した場合に、ベース体および光学素子構造を透過して出射される光の投影面での投影領域の重心位置が、光学素子構造が形成されていない状態のベース体を透過して出射する光の投影面での投影領域の重心位置からずれるように、光学素子構造の構造は決定されている。
【0007】
このようにすれば、光学素子構造の構成を調整することにより、当該光学レンズフィルムを透過した光の投影面上での投影領域を任意の方向へずらすことができる。このため、光学レンズフィルムを備える本発明による表示装置として、たとえば複数の表示ユニットを繋ぎ合せて大画面化した構成を採用する場合、表示ユニット同士の繋ぎ合わせ部分における非表示部(たとえば表示ユニットが液晶表示パネルである場合にはシール材が設けられた部分)と対向する投影面の領域に投影領域がシフトするように光学レンズフィルムを配置することができる。このようにすれば、投影面において非表示部と対向する領域に、投影領域を配置する(つまり画像を表示する)ことができる。この結果、光学レンズフィルムを追加するだけで表示ユニットの物理的な他の構造を特に変更することなく、複数の表示ユニットを用いて、繋ぎ目の目立たない(高画質の)表示装置を実現することができる。
【0008】
上記表示装置において、光学レンズフィルムは、表示ユニットの表示面上に配置されていてもよい。この場合、表示ユニットから出射する光の進行方向を光学レンズフィルムによって直接的に変更することができるので、投影面上での光音投影領域を確実に任意の方向へずらすことができる。
【0009】
上記表示装置において、表示ユニットは、表示面と反対側の裏面側から入射した光が表示面から出射されるものであってもよい。光学レンズフィルムは、表示ユニットの裏面側に配置されていてもよい。この場合、表示ユニットの表示面から出射した光は光学レンズフィルムを介することなく当該表示装置を見ているユーザの目に到達できるので、表示ユニットの表示する画像の品質が当該光学レンズフィルムの存在によって低下することを抑制できる。
【0010】
上記表示装置において、光学素子構造は、互いに並行に延びる複数の凸部を含んでいてもよい。凸部の延びる方向に対して垂直な方向における凸部の断面形状は三角様形状であってもよい。この場合、凸部の形状を調整することで、光学レンズフィルムを透過する光の進行方向を、たとえば凸部の延びる方向に垂直な方向に屈曲させることができる。この結果、投影面における投影領域を確実にシフトさせることができる。このため、表示装置から出射する光による画像の投影領域を確実にシフトさせることができる。なお、ここで三角様形状とは、三角形および三角形の少なくとも1辺(1辺、2辺、あるいはすべての辺)が曲線状になっている形状を含む。曲線状の辺は、外側に凸形状となっていてもよいし、三角様形状の内側に凸形状となっていてもよい。あるいは、曲線状の辺は、外側に凸形状部分と内側に凸形状部分とが混在していてもよい。また、辺の一部のみが曲線状となっていてもよい。
【0011】
上記表示装置では、光学素子構造を構成する凸部の断面形状において、主面に沿った方向に対する、凸部の一対の側壁がなす角度をθ1、θ2としたときに、角度θ1が5°超え45°未満、角度θ2が60°超え、(tanθ1)/(tanθ2)が0.50未満となるように、凸部の形状が決定されていてもよい。この場合、光学レンズフィルムを介して出射する光の投影領域を、光学レンズフィルムが存在しない場合にくらべて確実にシフトさせる(平行移動させる)ことができる。
【0012】
上記表示装置において、光学素子構造は、ベース体の主面および裏面の両方に形成されていてもよい。この場合、ベース体の主面と裏面との両方の光学素子構造によって、光学レンズフィルムを透過する光の進行方向を制御することができるので、投影面における投影領域のシフト量をより大きくすることができる。この結果、表示装置から出射する光による画像の投影領域のシフト量をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の表示パネルを繋ぎ合せた、高画質の表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明による表示装置の実施の形態1としての液晶表示装置を示す断面模式図である。図2は、図1に示した表示装置を構成する光学レンズフィルムを示す部分斜視模式図である。図3は、図2に示した光学レンズフィルムの断面模式図である。図1〜図3を参照して、本発明による表示装置および光学レンズフィルムを説明する。
【0016】
図1に示した表示装置10は、バックライト11と、当該バックライト上に配置されたLCDユニット14と、LCDユニット14の表示面側に配置された本発明による光学レンズフィルム1と、光学レンズフィルム1上に配置された透明板19とを備える。具体的には、バックライト11の光出射面上に拡散板12および輝度向上フィルム13といった光学フィルムが配置されている。この光学フィルム上にLCDユニット14が配置されている。LCDユニット14は、液晶セル15と、当該液晶セル15の表面および裏面のそれぞれの上に配置された位相差板16と、それぞれの位相差板16の外周表面上に配置された偏光板17とを備える。液晶セル15は、スペーサを介して対向するように配置された2枚のガラス製基板の間に液晶駆動用の薄膜トランジスタや液晶が配置された構造となっている。そして、LCDユニット14においてバックライト11側の面と反対側の出射面上に本発明による光学レンズフィルム1が配置されている。つまり、図1に示した表示装置は、表示面を有する表示ユニットとしてのLCDユニット14と、LCDユニット14に積層され、LCDユニット14の表示面から出射する光の出射範囲を規制する光学レンズフィルム1とを備える。さらに、光学レンズフィルム1上に透明板19が配置されている。透明板19は透明又は半透明の板状体または膜であり、その材質としては任意の材料を用いることができる。なお、この透明板19はLCDユニット14などを保護するための保護部材として配置されているが、当該透明板を配置しない構成とすることもできる。
【0017】
図1に示した表示装置10では、バックライト11から出射した光が拡散板12および輝度向上フィルム13を介してLCDユニット14に裏面側から入射する。そして、LCDユニット14において液晶セル15内の液晶がその配向方向などを電界によって制御されることにより、LCDユニット14の各画素の表示が制御される。その結果、所定の画像を構成する光がLCDユニット14の表面側(光学レンズフィルム1が配置された側)から出射する。そして、LCDユニット14から光学レンズフィルム1に入射した光は、光学レンズフィルム1の作用によりその軌跡が屈曲される。そのため、透明板19上に投影された表示領域である視認表示領域35(表示装置10を見ているユーザが視認できる画像の透明板19上での表示領域)は、光学レンズフィルム1が無い場合に透明板19上に投影される表示領域であるLCDユニット表示領域25から距離Wだけずれた状態になる。
【0018】
次に、表示装置10を構成する光学レンズフィルム1の構成を説明する。図2に示すように、光学レンズフィルム1は、フィルム状のベース体7の表面に、複数の線状に延びる凸部2が平行に形成された状態になっている。当該凸部2は、光学レンズフィルム1のベース体7の表面全体に形成されている。凸部2の延在方向に対して垂直な方向における断面の形状は図2に示すように三角形状になっている。すなわち、この発明に従った表示装置10を構成する画像シフトレンズフィルムとしての光学レンズフィルム1は、ベース体7と光学素子構造としての凸部2とを備える。ベース体7は、主面および当該主面と反対側に位置する裏面を有するシート状の部材である。凸部2は、ベース体7の主面および裏面の少なくともいずれか一方に形成された、光の進行方向を変更する構造である。上記光学レンズフィルム1においては、ベース体7の主面に沿った方向に延び、凸部2と対向して位置する投影面(すなわち図1の透明板19)を仮定した場合に、ベース体7および凸部2を透過して出射される光の投影面での投影領域(図1の視認表示領域35)の重心位置が、凸部2が形成されていない状態のベース体を透過して出射する光の投影面での投影領域(図1のLCDユニット表示領域25)の重心位置からずれるように、凸部2の構造は決定されている。凸部2は、互いに並行に延びる複数の凸部であって、凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における凸部2の断面形状は三角様形状である。
【0019】
図2に示した光学レンズフィルム1の凸部2の2つの斜面(側壁8、9)の長さL1、L2、凸部2の幅に相当するピッチP、および光学レンズフィルム1の裏面と平行な方向(線分18により示される方向)に対する当該側壁8、9の角度θ1、θ2は、図3に示すように光学レンズフィルム1の裏面側(凸部2が形成されていない側)から矢印40に示すように光が入射したときに、当該光を出射する領域が矢印に示す方向にずれるように(つまり光学レンズフィルム1の表面側に対向する位置に投影面としての透明板19を配置した場合に、透明板19における当該光の投影領域である視認表示領域35の重心位置が、光学レンズフィルム1が存在しない場合とは異なる位置になるように)決定されている。
【0020】
ここで、光学レンズフィルム1の具体的な構成例としては、たとえば上記幅Pを0.5mm、凸部2の側壁8と線分18との間の角度θ1を5°超え45°未満、凸部2の側壁9と線分18との間の角度θ2を60°超え、(tanθ1)/(tanθ2)を0.50未満とすることができる。また、上記角度θ1は、より好ましくは10°以上40°以下、さらに好ましくは15°以上35℃以下とすることができる。また、上記角度θ2は、より好ましくは60°超え90°以下、さらに好ましくは70°以上80°以下とすることができる。また、上記幅Pは、0.1mm以上1mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.7mm以下とすることができる。また、光学レンズフィルムの材質をポリカーボネートとすることができる。
【0021】
上述した表示装置10の特徴的な構成を要約すれば、表示装置10は、表示面を有する表示ユニットとしてのLCDユニット14と、LCDユニット14に積層され、LCDユニット14の表示面から出射する光の出射範囲を規制する光学レンズフィルム1とを備える。光学レンズフィルム1は、ベース体7と光学素子構造としての複数の凸部2とを含む。ベース体7は主面および当該主面と反対側に位置する裏面を有する。凸部2は、ベース体7の主面および裏面の少なくともいずれか一方に形成され、光の進行方向を変更するものである。ベース体7の主面に沿った方向に延び、凸部2と対向して位置する投影面(透明板19)を仮定した場合に、ベース体7および凸部2を透過して出射される光の透明板19での投影領域(視認表示領域35)の重心位置が、凸部2が形成されていない状態のベース体7を透過して出射する光の透明板19での投影領域の重心位置からずれるように、凸部2の構造は決定されている。
【0022】
このようにすれば、光学レンズフィルム1を介して出射する光の投影領域(視認表示領域35)を、光学レンズフィルム1が存在しない場合にくらべてシフトさせる(平行移動させる)ことができる。このため、当該光学レンズフィルム1を、たとえば後述するように複数の表示ユニットを繋ぎ合せて大画面化した表示装置に適用した場合、表示パネル同士の繋ぎ合わせ部分における非表示部(たとえば表示ユニットが液晶表示パネルである場合にはシール材が設けられた部分)と対向する投影面(透明板19)の領域に投影領域(視認表示領域35)をシフトさせる(つまり画像を表示する)ことができる。この結果、光学レンズフィルム1を追加するだけで、表示ユニットの物理的な他の構造を特に変更することなく、複数の表示ユニットを用いて、繋ぎ目の目立たない(高画質の)表示装置を実現することができる。
【0023】
次に、上述した光学レンズフィルム1の金型を用いたモールドによる製造方法を以下説明する。
【0024】
光学レンズフィルム1の製造方法では、まず、当該光学レンズフィルム1の表面形状に対応する凹部が形成された金型を準備する。この金型と対向定盤との間に、光学レンズフィルム1を構成する樹脂製薄膜をセットする。その状態で、樹脂製薄膜を加熱する。その後、加熱した樹脂製薄膜を金型と対向定盤とで挟みこむように押圧することにより、モールドを行なう。放冷後、脱型すると、図2などに示す光学レンズフィルム1が得られる。
【0025】
樹脂製薄膜の加熱は、たとえば、樹脂製薄膜を金型と対向定盤との間に挟んでから加熱する方式、または樹脂製薄膜のみを予め非接触の状態で加熱する方式などを任意に採用することができる。樹脂製薄膜の加熱は、金型や対向定盤の直下に設置したヒータなどにより行なうことができるが、金型や対向定盤の内部に加熱機能を導入(金型や対向定盤の内部にヒータなどを設置)し、当該加熱機能を利用して行なうこともできる。
【0026】
樹脂製薄膜の加熱では、樹脂の流動開始温度以上に加熱する態様が好ましい。このように樹脂製薄膜を流動開始温度以上に加熱してから、金型と対向定盤とで当該樹脂製薄膜を押圧する加圧加工を実施することにより、樹脂の流動現象を利用して、金型の表面に形成された凹部の形状を樹脂製薄膜の表面に転写することができる。このようにして、本発明による光学レンズフィルム1を製造することができる。
【0027】
光学レンズフィルム1を構成する樹脂は、比較的狭い温度範囲で溶融し、冷却すると急速に硬化する樹脂を用いれば、スループットが高くなるため好ましい。したがって、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミドなどが好適である。また、屈折率の値から考えると、光学レンズフィルム1を構成する材料として、アクリル樹脂や上記ポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどを用いてもよい。樹脂製薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、厚さ20μm以上が好ましく、厚さ100μm以上がより好ましい。
【0028】
次に、上述した光学レンズフィルム1の製造方法において用いる金型の製造方法を説明する。まず、ベースとなる基板を準備する。基板上にレジストを形成する。基板としては、たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼などからなる金属製基板(導電性基板)を用いる。また、チタン、クロムなどの金属材料をスパッタリングしたシリコン基板などを用いてもよい。レジストには、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂材料、またはX線もしくは紫外線(UV)に感受性を有する化学増幅型樹脂材料などを用いる。レジストの厚さは、形成しようとする金型に合せて任意に設定することができ、たとえば、数100μmに設定することができる。
【0029】
つぎに、レジスト上にマスクを配置し、当該マスクを介してX線またはUVなどのエネルギー線を照射する。高いアスペクト比を有する金型が必要であるときは、UV(波長365nmなど)より短波長であるX線(波長0.4nm)を使用する態様が好ましい。また、X線の中でも指向性が高い点で、シンクロトロン放射のX線(以下、「SR」という。)を使用するLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法は、ディープなリソグラフィが可能である。そのため、LIGA法を用いれば、数100μmの高さの微細構造体(凸部2)をサブミクロンオーダの高精度で大量に製造することができるので、厚手の樹脂製薄膜用の金型を提供できる点で有利である。以下では、X線を照射する態様を例示する。
【0030】
レジスト上に配置されたマスクは、透光性基材と、当該透光性基材の表面において金型のパターンに応じて形成されたX線吸収層とからなる。透光性基材には、SiN、SiC、ダイヤモンド、チタンなどを用いる。また、X線吸収層には、金、タングステン、タンタルなどの重金属あるいはその化合物などを用いる。基板上のレジストが、たとえば、ポジレジストである場合、X線の照射により、レジストのうち、X線が照射された領域のレジストは露光され変質(分子鎖が切断)するが、マスクのX線吸収層により遮光された(X線が照射されなかった)領域のレジストは露光されない。このため、現像により、レジストのうちX線により変質した部分のみが除去され、マスクのパターンに応じた平面形状を有する、(X線が照射されなかった領域のレジストからなる)樹脂型が得られる。
【0031】
つぎに、当該樹脂型に対してメッキを行ない、樹脂型の表面上に金属材料層を堆積する。金属材料層は、樹脂型の凹凸部をすべて埋設するように、つまり樹脂型の高さより厚みが大きくなるように形成される。金属材料層は、電鋳(電解メッキ)または無電解メッキにより形成することができる。電鋳は、金属イオン溶液を用いて導電性基板上に金属材料層を形成することをいう。導電性基板を給電部として電鋳を行なうことにより、樹脂型に金属材料層を堆積することができる。
【0032】
一方、無電解メッキは、ニッケルなどの金属イオン溶液に、還元剤として次亜リン酸ナトリウムなどを加え、90℃〜100℃に加熱して行ない、電流を流すことなく樹脂型上に金属材料層を形成することができる。樹脂型の表面に、あらかじめPdなどの触媒を付与しておくと、メッキ効率を向上することができる。
【0033】
樹脂型の高さを越えてメッキすることにより、金型の台座を形成することができる。金属材料層の材料としては、ニッケル、銅、鉄、ロジウムまたはそれらの合金などを用いるが、金型の耐摩耗性を高める点で、ニッケルまたはニッケルマンガンなどのニッケル合金が好ましい。メッキ後、酸もしくはアルカリによりウエットエッチングし、または、機械加工により、樹脂型のベースとなっていた基板を除去する。つづいて、ウエットエッチングまたはプラズマアッシングにより樹脂型を構成していたレジストを除去すると、金属材料層からなる金型が得られる。
【0034】
上述した製造方法においては、導電性の基板を除去して金型を製造したが、別の方法により金型を製造することもできる。以下、具体的に説明する。
【0035】
まず、基板上に、レジストを形成する。つぎに、レジスト上にマスクを配置し、上述した方法と同様にリソグラフィを行なう。露光後、現像によりX線が照射された領域のレジストを除去すると、X線が照射されなかった領域のレジストからなる樹脂型が得られる。
【0036】
つぎに、樹脂型を構成するレジストの頂上部を覆うように、導電性基板を形成する。その後、樹脂型のベースとなっていた基板を除去する。そして、導電性基板をメッキ電極として電鋳を行ない、樹脂型に金属材料層を堆積する。その後、必要に応じて、研磨または研削により金属材料層の厚さを所定の厚さに揃えてから、ウエットエッチングまたはプラズマアッシングにより樹脂型を除去すると、導電性基板と金属材料層とからなる金型が得られる。この金型は、導電性基板を金型の台座として利用するため、台座を形成するために必要な電鋳時間を省略することができる。また、台座は、電鋳により形成するものではないため、内部応力による金型の反りが少ない。
【0037】
光学レンズフィルム1を形成するために用いる金型は、さらに別の方法により製造することもできる。たとえば、モールドにより樹脂型を形成する工程と、基板上で樹脂型に金属材料からなる層をメッキにより形成する工程と、樹脂型を除去する工程とを備える方法により金型を製造することができる。
【0038】
このとき、モールドにより樹脂型を形成する工程において使用する親金型は、前述のリソグラフィにより製造できる。そのため、当該親金型として精密な微細構造体を用いることができる。この場合、当該親金型により製造される子金型も精密な微細構造体である。このため、樹脂製薄膜に微細で、寸法精度の高い成形を施すことができる。また、金型によりモールドするため、再現性よく成形体を一体成形できる。また、成形体の表面粗さ(Ra)を所定の値(たとえば10nm)以下に抑えることが可能である。
【0039】
上述したモールドを用いる金型の製造方法を、以下具体的に説明する。まず、凸部を有する金型(親金型)を用いて、射出成形などのモールドを行ない、凹凸形状部を有する樹脂型を製造する。樹脂型の材質は、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンまたはポリカーボネートなどである。つぎに、樹脂型の頂上部を覆うように、導電性基板を形成した後、樹脂型を研磨または研削する。この研磨または研削により、樹脂型のベース部分が除去され、導電性基板の表面に樹脂からなるパターンが形成された状態になる。つまり、導電性基板をベースとした樹脂型が形成される。
【0040】
その後、導電性基板メッキ電極として電鋳を行ない、樹脂型に金属材料層を堆積する。必要に応じて、研磨または研削により金属材料層を所定の厚さに揃えた後、ウエットエッチングまたはプラズマアッシングにより樹脂型を除去する。この結果、導電性基板をベースとして、当該導電性基板表面に金属材料層が所定のパターンで形成された金型が得られる。この金型は、導電性基板を金型の台座(ベース)として利用するため、台座を形成するために必要な電鋳時間を省略することができる。また、台座は、電鋳により形成していないため、内部応力による金型の反りが少ない。
【0041】
上述した金型は、さらに別の方法により製造することもできる。以下、具体的に説明する。
【0042】
まず、凸部を有する金型(親金型)を用いてモールドを行ない、樹脂型を製造する。つぎに、樹脂型上に、無電解メッキにより金属材料層を形成する。その後、ウエットエッチングまたはプラズマアッシングにより樹脂型を除去すると金型が得られる。なお、上述した光学レンズフィルム1の製造方法は一例であって、当該光学レンズフィルム1の構造を実現できれば任意の製造方法を適用することができる。
【0043】
図4は、図1に示した本発明による表示装置の第1の変形例を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明による表示装置の第1の変形例を説明する。
【0044】
図4に示した表示装置10は、基本的には、図1に示した表示装置10と同様の構造を備えるが、光学レンズフィルム1の配置が異なっている。すなわち、図4に示した表示装置10においては、LCDユニット14とバックライト11との間、より具体的にはLCDユニット14と輝度向上フィルム13との間に光学レンズフィルム1が配置されている。このような構造としても、図1に示した表示装置10と同様の効果を得ることができる。
【0045】
図5は、図1に示した本発明による表示装置の第2の変形例を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明による表示装置の第2の変形例を説明する。
【0046】
図5に示した表示装置10は、シフト表示ユニット60と透明板19とをそなえる。シフト表示ユニット60は、表示ユニット20と表示ユニットの表示面上に配置された光学レンズフィルム1とを含む。表示ユニット20としては、光を出射する表示ユニットであれば任意の構造を採用することができる。たとえば、表示ユニット20としては、プラズマディスプレイユニット、電界放出ディスプレイユニット(FEDユニット)、EL(エレクトロルミネッセンス)ユニットなど任意の方式の表示ユニットを採用することができる。この場合も、図1に示した表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図6は、図2および図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を示す断面模式図である。図7は、図6に示した光学レンズフィルムの構造を説明するための拡大断面模式図である。図6および図7を参照して、図2および図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を説明する。
【0048】
図6および図7に示した光学レンズフィルム1は、基本的には図2および図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、線状に延びる凸部2の断面形状(凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における断面形状)が異なっている。すなわち、図6および図7に示した光学レンズフィルム1では、ピッチPで形成されている凸部2の側壁8、9が外側に凸形状の曲面状となっている。このような光学レンズフィルム1を表示装置に適用した場合も、図2および図3に示した光学レンズフィルム1を表示装置に適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0049】
ここで、図6および図7に示した光学レンズフィルム1の凸部2における側壁8については、その中心点50(図7に示す断面での側壁8の中間点)を通る接線と線分18とのなす角度を側壁8と線分18とのなす角度θ1と規定する。また、側壁9についても、その中心点51(図7に示す断面での側壁9の中間点)を通る接線と線分18とのなす角度を側壁9と線分18とのなす角度θ2と規定する。また、側壁8と側壁9との接続点である頂角と、側壁8と線分18との交点との間を結ぶ直線の長さを側壁8の長さL1と規定する。また、上記頂角と、側壁9と線分18との交点との間を結ぶ直線の長さを側壁9の長さL2と規定する。このように規定したピッチP、角度θ1、θ2および長さL1、L2は、たとえば図2および図3に示した凸部2における上記ピッチP、角度θ1、θ2および長さL1、L2と同様の値とすることができる。
【0050】
図8は、図2および図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を示す断面模式図である。図9は、図8に示した光学レンズフィルムの構造を説明するための拡大断面模式図である。図8および図9を参照して、図2および図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を説明する。
【0051】
図8および図9に示した光学レンズフィルム1は、基本的には図2および図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、線状に延びる凸部2の断面形状(凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における断面形状)が異なっている。すなわち、図8および図9に示した光学レンズフィルム1では、ピッチPで形成されている凸部2の側壁8、9が内側に凸形状の曲面状となっている。このような光学レンズフィルム1を表示装置に適用した場合も、図2および図3に示した光学レンズフィルム1を表示装置に適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0052】
ここで、図8および図9に示した光学レンズフィルム1の凸部2における側壁8については、その中心点50を通る接線と線分18とのなす角度を側壁8と線分18とのなす角度θ1と規定する。また、側壁9についても、その中心点51を通る接線と線分18とのなす角度を側壁9と線分18とのなす角度θ2と規定する。また、側壁8と側壁9との接続点である頂角と、側壁8と線分18との交点との間を結ぶ直線の長さを側壁8の長さL1と規定する。また、上記頂角と、側壁9と線分18との交点との間を結ぶ直線の長さを側壁9の長さL2と規定する。このように規定したピッチP、角度θ1、θ2および長さL1、L2は、たとえば図1および図2に示した凸部2における上記ピッチP、角度θ1、θ2および長さL1、L2と同様の値とすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
図10は、本発明による表示装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図11は、図10に示した表示装置における画像シフトレンズフィルムの配置を説明するための平面模式図である。図12は、図10に示した表示装置における透明板に投影される視認表示領域を説明するための模式図である。図10〜図12を参照して、表示装置の実施の形態2を説明する。
【0054】
図10〜図12を参照して、表示装置は2つの表示ユニット20を繋ぎ合せて大画面化された表示装置であって、表示ユニット20および光学レンズフィルム1を含むシフト表示ユニット60を2つと、当該光学レンズフィルム1から見て表示ユニット20と反対側に配置された透明板19とを備える。なお、この透明板19は必須の構成ではなく、透明板19を設置しない構成とすることもできる。1組のシフト表示ユニット60は互いに隣接して並ぶように配置されている。シフト表示ユニット60を構成する表示ユニット20としては、任意の構成を採用できるが、たとえば液晶表示ユニットを用いてもよい。また、光学レンズフィルム1の構成は基本的に図1および図2に示した光学レンズフィルム1の構成と同様である。
【0055】
隣接するシフト表示ユニット60の表示ユニット20は、図10に示すように互いに間隙を介して配置されていてもよいが、互いに側面が接触した状態とされていてもよい。
【0056】
それぞれのシフト表示ユニット60における光学レンズフィルム1では、図11に示すように矢印27に示す方向と垂直な方向に延びるように凸部2(図1参照)の稜線3が形成されている。ここで、矢印27は透明板19において視認表示領域35がシフトする方向を示している。つまり、光学レンズフィルム1は、一方の表示ユニット20の出射領域45から出射される光による画像の表示領域を他方の表示ユニット20側にシフトするように配置されている。また異なる観点から言えば、光学レンズフィルム1は、1組のシフト表示ユニット60の接続部に向けて視認表示領域35をシフトするように構成されている。
【0057】
透明板19における一方のシフト表示領域からの光による一方の視認表示領域35は、隣接する他のシフト表示ユニット60からの光による他方の視認表示領域35と連続するように(間隙を形成することなく)配置されている。この結果、2つのシフト表示ユニット60を用いて、図12に示すようにあたかも1つの連続した表示画像(2つの視認表示領域35が連続して配置された1つの表示領域)を得ることができる表示装置を実現できる。
【0058】
なお、このような1つの連続した表示画像を実現するため、光学レンズフィルム1における凸部2(図2参照)の形状や光学レンズフィルムの表示ユニット20に対する位置などは任意に調整することができる。
【0059】
(実施の形態3)
図13は、本発明による表示装置の実施の形態3を構成する光学レンズフィルムの配置を説明するための平面模式図である。図14は、図13に示した表示装置における透明板に投影される投影領域を説明するための模式図である。図13および図14を参照して、表示装置の実施の形態3を説明する。
【0060】
図13および図14を参照して、本発明による表示装置は、基本的には図10〜図12に示した表示装置と同様の構成を備えるが、4つのシフト表示ユニットを用いて1つの表示画面を構成する点が異なっている。また、それぞれ光学レンズフィルム1を有する4つのシフト表示ユニットは、図13に示すように2行×2列という構成で配置されている。図13に示すようにシフト表示ユニットにおける表示ユニットの出射領域45の間には間隙が形成されている。この間隙の影響を排除して、4つのシフト表示ユニットにより図14に示すような1つの大きな画像を形成するためには、透明板19における4つの視認表示領域35が隙間無く連続するように配置される必要がある。
【0061】
そのため、図13および図14に示した表示装置では、図13に示すように4つのシフト表示ユニットの角部が集まる表示装置の中央部に向けて(図13の矢印27に示す方向に向けて)、各シフト表示ユニットにおける視認表示領域35の位置をシフトさせる必要がある。このため、各シフト表示ユニットにおける光学レンズフィルム1では、図13に示すように矢印27に示す方向に対して垂直な方向に稜線3が延びるように、凸部が形成されている。また、異なる観点から言えば、各シフト表示ユニットにおける光学レンズフィルム1は、表示装置の中央部から最も離れた各シフト表示ユニットの角部から、表示装置の中央部に向かう方向(矢印27に示す方向)に直行する方向に、凸部2の稜線3が延びるように構成されている。このようにすれば、凸部2の形状を制御することで、各シフト表示ユニットにおける視認表示領域35の位置を上記中央部寄りにシフトさせることができる。この結果、4つのシフト表示ユニットを用いて1つの大画面を構成することができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態2および実施の形態3では、シフト表示ユニットの前面に保護部材として透明板19を配置したが、当該透明板19は必須の構成ではなく、装置構成によっては当該透明板19を配置しない構成としてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、光学レンズフィルム1において一方の主面のみに凸部2を形成しているが、当該凸部2の形成された光学レンズフィルム1の表面をシフト表示ユニット60側に配置してもよいし、シフト表示ユニット60に対向する側とは反対側に配置してもよい。また、光学レンズフィルム1において、凸部2を表面および裏面の両面に形成してもよい。また、光学レンズフィルム1において、凸部2の形状として三角様形状とすることができる。具体的には、凸部2の断面形状としては、三角形あるいは三角形の少なくとも1辺(1辺、2辺、あるいはすべての辺)が曲線状になっている形状としてもよい。曲線状の辺は、外側に凸形状となっていてもよいし、凸部2の内側に凸形状となっていてもよい。あるいは、曲線状の辺は、外側に凸形状部分と内側に凸形状部分とが混在していてもよい。また、辺の一部のみが曲線状となっていてもよい。
【0064】
(実施例)
本発明の効果を確認するため、画像シフトレンズフィルムの凸部の形状を変更したフィルムの試料を作成し、その効果を確認した。
【0065】
(試料)
図2および図3に示したような構造であって、角度θ1および角度θ2を変更した画像シフトレンズフィルムの試料(試料1〜試料4)を準備した。画像シフトレンズフィルムのベース体の厚みは300μm、凸部のピッチPはいずれも50μmとした。また、フィルムの材料としてはアクリル樹脂を用いた。
【0066】
(測定方法)
上述した各試料の画像シフトレンズフィルムを液晶表示装置の表面に配置し、当該液層表示装置で画像を表示させることで、画像がシフトするか(つまり液晶表示装置の出射面の領域からずれた位置に画像が確認できるか)、画像の品質(二重像などになっていないか)を目視で評価した。
【0067】
(測定結果)
測定結果を、表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
なお、表1には、各試料の角度θ1および角度θ2の値も示されている。表1における「シフト画像」の欄は、画像がシフトしたかどうかの確認結果を示しており、画像の位置がシフトしたことが認められた場合には○を、認められなかった場合には×を記載している。また、表1における「二重像」の欄は、画像が二重に見えたかどうかの評価結果を示しており、二重像が認められない場合には○を、認められた場合には×を記載している。
【0070】
表1からもわかるように、試料1〜試料4のすべてでは画像のシフトは認められたものの、試料2については二重像も検出された。このため、画像のシフト効果を得られるとともに、二重像の発生の無い良好な品質の画像を得るためには、θ1<θ2とした上で、(tanθ1)/(tanθ2)<0.5、角度θ1が5°超え45°未満、角度θ2が60°超え、といった条件を満足するように、画像シフトレンズフィルムを形成すればよいと考えられる。
【0071】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、複数の表示ユニットを組合せて大画面を構成する表示装置に特に有利に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による表示装置の実施の形態1としての液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図2】図1に示した表示装置を構成する光学レンズフィルムを示す部分斜視模式図である。
【図3】図2に示した光学レンズフィルムの断面模式図である。
【図4】図1に示した本発明による表示装置の第1の変形例を示す断面模式図である。
【図5】図1に示した本発明による表示装置の第2の変形例を示す断面模式図である。
【図6】図2および図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を示す断面模式図である。
【図7】図6に示した光学レンズフィルムの構造を説明するための拡大断面模式図である。
【図8】図2および図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を示す断面模式図である。
【図9】図8に示した光学レンズフィルムの構造を説明するための拡大断面模式図である。
【図10】本発明による表示装置の実施の形態2を示す断面模式図である。
【図11】図10に示した表示装置における画像シフトレンズフィルムの配置を説明するための平面模式図である。
【図12】図10に示した表示装置における透明板に投影される視認表示領域を説明するための模式図である。
【図13】本発明による表示装置の実施の形態3を構成する光学レンズフィルムの配置を説明するための平面模式図である。
【図14】図13に示した表示装置における透明板に投影される投影領域を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1 光学レンズフィルム、2 凸部、3 稜線、7 ベース体、8,9 凸部の側壁、10 表示装置、11 バックライト、12 拡散板、13 輝度向上フィルム、14 LCDユニット、15 液晶セル、16 位相差板、17 偏光板、18 線分、19 透明板、20 表示ユニット、25 ユニット表示領域、27,40 矢印、35 視認表示領域、45 出射領域、50,51 中心点、60 シフト表示ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットに積層され、前記表示ユニットの表示面から出射する光の出射範囲を規制する光学レンズフィルムとを備え、
前記光学レンズフィルムは、
主面および前記主面と反対側に位置する裏面を有するベース体と、
前記ベース体の前記主面および前記裏面の少なくともいずれか一方に形成された、光の進行方向を変更する光学素子構造とを含み、
前記ベース体の主面に沿った方向に延び、前記光学素子構造と対向して位置する投影面を仮定した場合に、前記ベース体および前記光学素子構造を透過して出射される光の前記投影面での投影領域の重心位置が、前記光学素子構造が形成されていない状態の前記ベース体を透過して出射する光の前記投影面での投影領域の重心位置からずれるように、前記光学素子構造の構造は決定されている、表示装置。
【請求項2】
前記光学レンズフィルムは、前記表示ユニットの前記表示面上に配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示ユニットは、前記表示面と反対側の裏面側から入射した光が前記表示面から出射されるものであり、
前記光学レンズフィルムは、前記表示ユニットの前記裏面側に配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光学素子構造は、互いに並行に延びる複数の凸部を含み、
前記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における前記凸部の断面形状が三角様形状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記凸部の断面形状において、前記主面に沿った方向に対する、前記凸部の一対の側壁がなす角度をθ1、θ2としたときに、角度θ1が5°超え45°未満、角度θ2が60°超え、(tanθ1)/(tanθ2)が0.50未満となるように、前記凸部の形状は決定されている、請求項4に記載に表示装置。
【請求項6】
前記光学素子構造は、前記ベース体の前記主面および前記裏面の両方に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−38960(P2010−38960A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198400(P2008−198400)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】