説明

表示装置

【課題】モアレの発生を抑制して視認性に優れた可撓性を有する表示装置を提供する。
【解決手段】透光性を有する風防部材25と情報を表示する表示パネル1との間に透光性を有する基材シート21の両面にビーズ22が分散された拡散板20が配設され、表示パネル1は可撓性を有する構成とした表示装置。これにより、拡散板と表示パネルの接触面、及び、拡散板と風防部材の接触面に隙間が確保されるので、モアレの発生を抑制することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有し、薄型で低消費電力の表示パネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から薄型の表示装置としては、液晶表示装置が各種の電子機器に広く使用されており、近年ではコンピュータやテレビジョン等の大型カラーディスプレイとしても使用されるようになっている。また、テレビジョンの大型カラーディスプレイとしては、プラズマディスプレイも使用されている。しかし、液晶表示装置やプラズマディスプレイはCRT表示装置に比べれば格段に薄型になったとはいえ、まだ用途によっては充分に薄くはないし、可撓性も無く、また、携帯機器のディスプレイとして使用する場合には消費電力の更なる低減が望まれている。
【0003】
そこで、更なる薄型化と低消費電力化を実現する表示装置として、電気泳動表示素子を用いた電子ペーパーとも称される表示装置が開発され、電子ブックや電子新聞、電子広告看板や案内表示板などへの利用が試みられている。そして、この電気泳動表示素子を用いた表示装置として、外光が暗い場合にフロントライトから光を照射し、視認性を高めた表示装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ここで、特許文献1に開示されている表示装置を図面に基づいて説明する。図8において、従来の表示装置50は、表示パネル51と導光板60を備えている。表示パネル51は、透明な支持基体52と背面基板53を有し、これらの間に挟まれたセル構造を有するスペーサ54を有している。そして、支持基体52及び背面基板53とで形成された空間55に色及び帯電極性が異なる白色粒子56及び黒色粒子57とを備えている。
【0005】
また、支持基体52は複数の透明電極52aを有しており、この透明電極52aに対応して形成されるカラーフィルター58を備えている。また、支持基体52の上面には偏光板59が配設されている。また、背面基板53は共通電極53aを備えている。
【0006】
また、導光板60は上面にプリズム部61を有し、導光板60の側面には発光素子62を備え、側面から光を照射するフロントライトとして機能する。そして、導光板60は表示パネル51の支持基体52に配設される偏光板59に密着して重ねられ表示装置50として一体化される。
【0007】
この表示装置50は、複数の透明電極52aと共通電極53aの間に所定の電圧が印加されることにより、電気泳動によって白色粒子56と黒色粒子57が移動し、表示動作が行われる。また、外光が暗い場合には発光素子62を点灯し、照射光63がプリズム部61で反射しながら導光板60の内部を進み、これにより、表示パネル51の全域に光が到達するので、暗所でも表示の視認性を確保できることが示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−139750号公報(第10頁、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで従来例のように、電気泳動表示素子を用いた表示装置は、電子ペーパーとも称されるように、薄型、低消費電力であると共に、ある程度の可撓性を備えており、紙に近い取り扱いが可能である。しかしながら、可撓性を有することによって不具合も生じている
。すなわち、電気泳動表示素子を用いた表示パネルが可撓性を有することで曲げられた場合などにおいて、表示パネルと導光板の隙間が微妙に変化する現象が起きる。この隙間の変化によって、表示パネルと導光板の接触面が密着したり僅かに離れたりすると、その接触面の微妙な変化によってモアレ(干渉縞)が生じ、表示品質が低下するという問題がある。
【0010】
図9は従来の表示装置で生じたモアレの一例を示している。図9において、70は従来の表示パネルの表示エリアであり、71〜73は略円形状に現れたモアレの一例である。このモアレ71〜73は、ニュートンリングの原理によって生じた光の干渉縞であり、表示パネルと導光板などの接触面が密着したり僅かに離れたりすることで発生する。すなわち、図8で示した従来の表示装置50において、表示パネル51の表面の偏光板59と導光板60が接触する接触面の微妙な変化でこのようなモアレが発生する。
【0011】
また、導光板や表示パネルを保護するために、装置の表示エリアに透明な風防部材が配設されることが多いが、この風防部材と導光板の隙間の微妙な変化によってもモアレは発生する。このようなモアレが発生すると、表示パネルの視認性が低下すると共に、使用者に違和感や不快感を与えることになり、大きな問題である。
【0012】
このようなモアレを防ぐには、表示パネルと導光板などが、接触しないように一定の隙間を設けるか、接触面に接着剤を塗布して固着させる方法等が考えられる。接触を防ぐ為には、大きな隙間(0.3mm〜1.0mm程度)を設ける必要があり、表示装置の厚さが厚くなる。また、接着剤で固着させる場合、工程が追加され、また接着剤との間に気泡が入りやすく、歩留りが低下する可能性がある。また、接着面が広範囲だったり、曲面であったりすると、接着剤の塗布が困難であり、また、接着剤よって可撓性が失われたりするなどの問題がある。
【0013】
本発明の目的は上記課題を解決し、モアレの発生を抑制して視認性に優れた可撓性を有する表示装置を提供することである。また、本発明のもう1つの目的は、低コストのフロントライトを構成し、暗所でも表示の視認性を確保できる表示装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、下記記載の構成を採用する。
【0015】
本発明の表示装置は、透光性を有する風防部材と情報を表示する表示パネルとの間に、透光性を有する基材シートの両面にビーズが分散して固着された拡散板が配設され、風防部材と拡散板と表示パネルが積層されると共に、表示パネルは可撓性を有することを特徴とする。
【0016】
これにより、拡散板の両面にビーズが分散されているので、拡散板と表示パネルの接触面、及び、拡散板と風防部材の接触面に僅かではあるが隙間が確保され、表示パネルが可撓性を有することで、それぞれの接触面が微妙に変化しても、モアレの発生を抑制し、視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。
【0017】
また、拡散板の側端部に発光素子が配設され、拡散板は発光素子からの光を表示パネルに供給するように構成されることを特徴とする。
【0018】
これにより、外光が暗い場合には、発光素子を点灯して拡散板によって表示パネルを照らすことが出来るので、明所でも暗所でも、視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。
【0019】
また、拡散板は基材シートの厚みが0.1mm以下であり、ヘイズ値は10%以下であることを特徴とする。
【0020】
これにより、モアレの発生が抑制され、極めて薄型で視認性に優れた表示装置を提供出来る。
【0021】
また、拡散板は基材シートの厚みが0.1mm〜0.25mmであり、ヘイズ値は10%〜20%であることを特徴とする。
【0022】
これにより、モアレの発生が抑制され、また、拡散板は導光板としての働きを兼ねて発光素子の光を効率よく表示パネルに供給するので、明所でも暗所でも視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。
【0023】
また、発光素子は発光ダイオードであることを特徴とする。
【0024】
これにより、表示パネルを効率よく明るく照らすことが出来るので、暗所でも視認性に優れた低消費電力の表示装置を実現できる。
【0025】
また、表示パネルは、一対の基板の電極間に印加される電圧の極性に応じて帯電粒子が電気泳動により移動する電気泳動型表示パネルであることを特徴とする。
【0026】
これにより、帯電粒子の移動によって表示を行う電気泳動型表示パネルは、メモリ性を有するので、極めて低消費電力で視認性に優れた表示装置を提供できる。
【0027】
また、前記表示パネルを駆動する駆動手段と発光素子を駆動する電源回路とが、一体化されたことを特徴とする。
【0028】
これにより、表示パネルを駆動する駆動手段と発光素子を駆動する電源回路とが、一体化されているので、小型で取り扱いが容易な表示装置を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0029】
上記の如く本発明によれば、拡散板の両面にビーズが分散され、両面とも凹凸形状となっているので、拡散板と表示パネルの接触面、及び、拡散板と風防部材の接触面がビーズによって僅かではあるが所定の隙間が確保される。これにより、表示パネルが可撓性を有することで、それぞれの接触面が微妙に変化しても、モアレの発生を抑制し、視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の実施例1に係わる表示装置の模式断面図であり、図2は本発明の実施例1に係わる表示装置の正面図である。図1は図2のA−A´断面図である。尚、実施例1の特徴は、薄い拡散板を用いることで薄型に徹した表示装置を実現することである。図1及び図2において、10は本発明の実施例1の表示装置である。この表示装置10は、表示パネル1と拡散板20、及び、風防部材25が積層された構造である。
【0032】
表示パネル1は、一対の基板の電極間に印加される電圧の極性に応じて帯電粒子が電気泳動により移動する電気泳動型表示パネルである。ここで、2は透明な樹脂基板であり、裏面全体にITO(酸化インジューム錫)膜による透明な共通電極3が形成されている。
4はフレキシブルプリント基板(以下FPCと略す)であり、共通電極3に対向する面に画素毎のセグメント電極5が形成される。
【0033】
6は電子インクとも称されるマイクロカプセル表示層であり、共通電極3とセグメント電極5の間に形成される。このマイクロカプセル表示層6は、バインダや界面活性剤、増粘剤、純水等の混合体中に直径が数十μm程度の微小なマイクロカプセル7が多数分散している。すなわち、表示パネル1は、透明な樹脂基板2とFPC4が一対の基板として配設され、その対向面の一方に共通電極3が形成され、他方の面にセグメント電極5が形成され、その間にマイクロカプセル7が封入された構造である。
【0034】
また、15は透明な上防湿フィルムであり、透明基材の表面にフッ素系物質や酸化物をコートしたフィルムや、あるいは、透明基材の間にフッ素系物質や酸化物を挟んだフィルムである。この上防湿フィルム15と、アルミ箔を樹脂等に接着した下防湿フィルム9とを接着剤等で、それぞれ樹脂基板2とFPC4に貼り付け、表示パネル1として一体化している。また、FPC4は、下防湿フィルム9から外側に延出した接続部4aを有しており、この接続部4aには、表示パネル1を駆動する駆動手段としての駆動IC11が実装され、また、接続部4aの先端には、外部から電源や表示情報を入力する接続端子12が形成される。これにより、表示装置10は外部から電源と表示情報を入力し、表示パネル1に様々の情報を表示することが出来る。また、駆動IC11がFPC4に実装され一体化しているので、小型で取り扱いが容易な表示装置を提供することが出来る。
【0035】
次に拡散板20は、透光性を有する基材シート21の両面にビーズ22が分散された構造である。尚、拡散板20の構造の詳細は後述する。また、風防部材25は透明な樹脂部材等によってなり、拡散板20に密着し、拡散板20、及び、表示パネル1を機械的に保護するものである。このように、拡散板20は表示パネル1と風防部材25の間に配設され、表示装置10は表示パネル1と拡散板20と風防部材25の順で積層された構造である。
【0036】
また、図2に示すように表示パネル1は表示エリア13を有し、表示エリア13内には、前述したセグメント電極5によって形成される画素14が配設されている。この画素14は、図示するような7セグメントや任意のマークの他、ドットマトリクス状のパターンであっても良い。これにより、表示エリア13の画素14は、風防部材25と拡散板20を通して見ることが出来る。
【0037】
次に、図3に基づいて拡散板20の詳細な構造を説明する。図3は拡散板20の模式的な拡大断面図である。図3において、拡散板20は前述した如く、透光性を有する基材シート21の両面にビーズ22が分散されている。基材シート21は無色透明の合成樹脂から形成され、合成樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などが好ましいが、特に限定されるものはない。また、基材シート21の厚みは、0.1mm以下で、好ましくは、0.05mm程度が良い。
【0038】
また、基材シート21の両面は、バインダー23が塗布され、このバインダー23内にビーズ22が分散している。これにより、基材シート21の両面にバインダー23を塗布することで、ビーズ22は基材シート21の両面に分散され固着される。このビーズ22は、略球形のビーズであり、その材質はアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニール等が好ましい。また、ビーズ22及びバインダー23は、拡散板20を透過する光線量を多くするために無色透明であり、ビーズ22の粒径は、数μm程度が好ましいが特に限定されない。
【0039】
また、拡散板20のヘイズ値は10%以下で、好ましくは5%程度が良い。これにより
、拡散板20は、外光を適度に拡散して表示パネル1に供給するので、表示パネル1は、コントラストに優れた見やすい表示を実現することが出来る。
【0040】
このように、拡散板20の両面にはビーズ22が分散されているので、表示パネル1の樹脂基板2の表面、及び、風防部材25の内側の面の両方が、ビーズ22が分散した拡散板20の面と接している。すなわち、表示パネル1の樹脂基板2の表面と拡散板20の一方の面は、ビーズ22を介して接触するので、接触面の全体はビーズ22によって僅かではあるが隙間が確保され、接触面が直接密着することがない。また同様に、風防部材25の内側の面と拡散板20の他方の面も、ビーズ22を介して接触するので、接触面の全体はビーズ22によって僅かではあるが隙間が確保され、接触面が直接密着することがない。
【0041】
これにより、表示パネル1が可撓性を有することで、表示パネル1が曲げられた場合などにおいて、表示パネル1と拡散板20、及び、拡散板20と風防部材25の隙間が微妙に変化したとしても、接触面は密着することがない。この結果、表示エリアでのモアレの発生が抑制され、視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。また、拡散板20の両面にビーズ22が分散されることで、片面にのみビーズ22が分散された拡散板に比べて、光の拡散性を向上させることが出来るので、表示エリア全体を明るくし、コントラストに優れた表示装置を実現できる。
【0042】
次の図4に基づいて、本発明の表示装置の概略動作を説明する。図4は表示パネル1の主要部分と拡散板20の模式的な拡大断面図である。図4において、マイクロカプセル表示層6に分散されているマイクロカプセル7は、透明なメタクリル樹脂等からなるカプセル殻7aの内部に、帯電粒子として酸化チタン等からなる白色粒子8aとカーボンブラック等からなる黒色粒子8bが、シリコーンオイル等の粘性の高い透明な分散媒7bに分散された状態で封入されている。そして、白色粒子8aは負に帯電され、黒色粒子8bは正に帯電されている。
【0043】
そして、このマイクロカプセル表示層6を挟むように配置された電極のうち、一方の全面一体の共通電極3を接地し、他方のFPC4上のセグメント電極5に負電圧を印加した部分では、その電界によってマイクロカプセル7内の負に帯電した白色粒子8aが透明な共通電極3側へ、正に帯電した黒色粒子8bはセグメント電極5側へ移動するので、拡散板20を通した視認側(矢印Aの方向)から見ると、その画素部分は白色粒子8aの反射によって白く見える。
【0044】
一方、セグメント電極5に正電圧を印加した部分では、その逆向きの電界によってマイクロカプセル7内の正に帯電した黒色粒子8bが透明な共通電極3側へ、負に帯電した白色粒子8aはセグメント電極5側へ移動するので、その画素部分は黒色粒子8bによって光が吸収されて黒く見える。
【0045】
したがって、共通電極3とセグメント電極5との間に印加する電圧の極性によって、白又は黒に表示状態を変化させることができる。このとき白色粒子8aと黒色粒子8bは分散媒7b中を電気泳動によって移動するが、分散媒7bの粘度が高いので、電圧を印加して表示状態を変化させた後、その電圧の印加を停止しても、それぞれの粒子の分子間力により、その表示状態を保持するメモリ性効果を持つことが出来る。これにより、表示パネル1は、表示を変化させる時だけ駆動電圧を印加すればよいので、消費電力が極めて少ない表示装置を実現できる。
【0046】
また、表示パネル1は、拡散板20を通して見ることになるので、外部からの光は、拡散板20によって適度に拡散され、これによって、表示エリア全体が明るくなり、コント
ラストが高く視認性に優れた表示を実現することが出来る。また、前述した如く、拡散板20の両面にはビーズ22が分散されているので、表示パネル1と拡散板20、及び、拡散板20と風防部材25の隙間でのモアレの発生が抑制され、視認性が良く、使用者に違和感や不快感を与えることのない、高品質の表示装置を提供することが出来る。また、拡散板20は極めて薄い基材シートによって形成されて表示パネル1に積層しているので、表示装置の更なる薄型化を実現でき、可撓性を有する電子ペーパーとして幅広く利用することが出来る。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の実施例2を説明する。図5は本発明の実施例2に係わる表示装置の模式断面図であり、図6は本発明の実施例2に係わる表示装置の正面図である。図5は図6のB−B´断面図である。尚、実施例2の特徴は、フロントライトとしての発光素子を備え、両面ビーズの拡散板を導光板として兼用する表示装置を実現することである。また、実施例2の基本構成は実施例1と同様であるので、実施例1と同一要素には同一番号を付し重複する説明は一部省略する。
【0048】
図5及び図6において、30は本発明の実施例2の表示装置である。この表示装置30は、表示パネル1と拡散板40、及び、風防部材25が積層された構造である。ここで、表示パネル1と風防部材25の構成は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0049】
拡散板40は、透光性を有する基材シート41の両面にビーズ22が分散されている。基材シート41は無色透明の合成樹脂から形成され、合成樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などが好ましいが、特に限定されるものはない。この基材シート41の厚みは、実施例1の拡散板より厚く、0.1mm〜0.25mm程度が好ましい。
【0050】
また、基材シート41の両面は、実施例1(図3参照)と同様にバインダー23が塗布され、このバインダー23内にビーズ22が分散されて基材シート41の両面に固着される。このビーズ22は、実施例1と同様に略球形のビーズであり、また、ビーズ22及びバインダー23は、拡散板40を透過する光線量を多くするために無色透明であり、ビーズ22の粒径は数μm程度が好ましい。
【0051】
また、拡散板40のヘイズ値は、高い値ほど表示は明るくなるがコントラストは低下するので、その範囲は10%〜20%が好ましい。本実施例では、拡散板40を導光板として機能させるので、先の実施例1で使用した拡散板よりもヘイズ値が大きいものを採用した。これにより、拡散板40は外光を適度に拡散して表示パネル1に供給するので、表示パネル1はコントラストに優れた見やすい表示を実現することが出来ると共に、後述する発光素子からの照射光を適度に拡散しながら表示パネル1に供給することが出来る。
【0052】
また、図6に示す様に、この拡散板40の左右の側端部には凹部41a、41bが形成され、この凹部41a、41bに填め込まれるように発光素子としての発光ダイオード(以下LEDと略す)42a、42bが対向して配設されている。このLED42a、42bは、所謂フロントライトとして表示パネル1の表示エリア13を照射する。すなわち、拡散板40は、LED42a、42bからの照射光を表示パネル1に供給する導光板としての機能を兼ね備えている。これにより、暗所でも視認性に優れた表示装置を実現出来る。尚、拡散板40の外形は、本実施例では表示パネル1の外形より少し小さくしてあるが、表示パネル1の外形より大きくても、特に、問題はない。
【0053】
尚、LED42a、42bは、本実施例では基材シート41の左右に一つずつ配設されているが、この構成に限定されず、例えば、ひとつのLEDからの照射光で十分であれば
、基材シート41の左右のどちらか片方のみにLEDを配設しても良い。また、LEDは表示エリア13の上下に配設しても良い。このように、本発明の表示装置は、フロントライトの発光素子としてLEDを用いているので、小型で発光効率に優れていると共に、R、G、B、及び白色光などの様々な光を用いて表示パネルを照らすことが出来る。
【0054】
また、43は両面粘着テープであり、拡散板40の外周を囲うように貼られて拡散板40と表示パネル1とを固着する。これは、拡散板40が表示パネル1の導光板としての機能を備えているので、拡散板40と表示パネル1の位置ズレが生じて拡散板40からの照射光の均一性が崩れることを防ぐためである。
【0055】
次に、図7に基づいて、拡散板40の導光板としての作用を説明する。図7は拡散板40内部の光の進行の一例を示した模式図である。図7において、拡散板40は透明な基材シート41の両面に塗布されたバインダー23内にビーズ22が分散されており、側端部にはLED42aが配設されている。
【0056】
ここで、LED42aから照射光45が出射されると、基材シート41に入射した照射光45は、様々な角度で基材シート41の内部を進み、その一部は基材シート41の片方の面のビーズ22に当たって反射し、対面側から外部に出射する照射光45aとなる。また、照射光45の他の一部は、基材シート41の両面のビーズ22に当たって反射を繰り返し、基材シート41の内部を進行してLED42aから離れた位置で外部に出射する照射光45bとなる。
【0057】
また、図示しないが照射光45は、更に様々な角度でビーズ22や基材シート41の表面で反射を繰り返し、拡散されながらLED42aから離れる方向に進み、隣接する表示パネル1の全面にほぼ均一に光が照射される。尚、図7はLED42aからの照射光についてのみ示したが、対向して配設されるLED42bからの照射光についても同様に作用するので説明は省略する。このように拡散板40は、LED42a、42bからの照射光45を効率よく伝達し、表示パネル1に供給することが出来る。
【0058】
また、外光が明るい場合には、LED42a、42bが点灯する必要はなく、図示しないが外光は拡散板40に入射し、適度に拡散されて表示パネル1に供給される。尚、LED42a、42bは、図示しない接続手段によって電源回路に接続され、電源回路によって点灯制御すれば、LED42a、42bの制御を容易に実現することが出来る。また、LED42a、42bを駆動する電源回路を表示パネル1の駆動手段である駆動IC11に組み込み、一体化することによって、より小型化が実現出来る。
【0059】
以上のように、本発明の表示装置は、外光が暗い場合には、図示するようにLED42a、42bを点灯して拡散板40によって表示パネル1の全域を照らすことが出来、また、外光が明るい場合には、外光を適度に拡散して表示パネル1の全域を照らすことが出来る。この結果、明所でも暗所でも、常に視認性に優れた表示装置を提供することが出来る。
【0060】
また、実施例2の拡散板40は、実施例1と同様に、基材シート41の両面にビーズ22が分散されているので、表示パネル1の樹脂基板2の表面、及び、風防部材25の内側の面の両方が、ビーズ22が分散した拡散板40の面と接している。これにより、表示パネル1が可撓性を有することで、表示パネル1が曲げられた場合などにおいて、表示パネル1と拡散板40、及び、拡散板40と風防部材25の隙間が微妙に変化したとしても、モアレの発生を抑制し、視認性が良く、使用者に違和感や不快感を与えることのない表示装置を提供することが出来る。
【0061】
また、本発明の拡散板は、従来例のように表面をプリズム状に加工する必要が無く、ビーズを混入したバインダーを基材シートの表面に塗布するだけで拡散板を製造することが出来る。このため、製造コストが安く、大面積の表示パネルにも容易に対応できるので、表示面積の大きな表示装置を容易に、且つ、安価に実現することが可能である。
【0062】
尚、本発明の実施例は限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することが出来る。すなわち、本発明の表示パネルは、電気泳動型表示パネルとして示したが、これに限定されず、例えば、プラスチック液晶表示素子などを用いた可撓性を有する表示装置に適応することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1に係わる表示装置の模式断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係わる表示装置の正面図である。
【図3】本発明の実施例1に係わる拡散板の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係わる表示装置の概略動作を説明する表示パネルと拡散板の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係わる表示装置の模式断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係わる表示装置の正面図である。
【図7】本発明の実施例2に係わる拡散板内部の光の進行の一例を示す模式図である。
【図8】従来の表示装置の断面図である。
【図9】従来の表示装置で生じたモアレの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 表示パネル
2 樹脂基板
3 共通電極
4 フレキシブルプリント基板(FPC)
4a 接続部
5 セグメント電極
6 マイクロカプセル表示層
7 マイクロカプセル
7a カプセル殻
7b 分散媒
8a 白色粒子
8b 黒色粒子
9 下防湿フィルム
10、30 表示装置
11 駆動IC
12 接続端子
13 表示エリア
14 画素
15 上防湿フィルム
20、40 拡散板
21、41 基材シート
22 ビーズ
23 バインダー
25 風防部材
41a、41b 凹部
42a、42b 発光ダイオード(LED)
43 両面粘着テープ
45、45a、45b 照射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する風防部材と、情報を表示する表示パネルとの間に、
透光性を有する基材シートの両面にビーズが分散して固着された拡散板が配設され、
前記風防部材と前記拡散板と前記表示パネルが積層されると共に、前記表示パネルは可撓性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記拡散板の側端部に発光素子が配設され、前記拡散板は前記発光素子からの光を前記表示パネルに供給するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記拡散板は前記基材シートの厚みが0.1mm以下であり、ヘイズ値は10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記拡散板は前記基材シートの厚みが0.1mm〜0.25mmであり、ヘイズ値は10%〜20%であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は発光ダイオードであることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、一対の基板の電極間に印加される電圧の極性に応じて帯電粒子が電気泳動により移動する電気泳動型表示パネルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルを駆動する駆動手段と前記発光素子を駆動する電源回路とが、一体化されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−8473(P2010−8473A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164348(P2008−164348)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】