説明

表示装置

【課題】低消費電力な表示装置を提供する。
【解決手段】反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で、発光層からの光を共振させる構造を有する発光素子をそれぞれ含む複数の画素を有し、比較的短波長な発光色に対応する画素(例えば青色及び/または緑色の画素)においては、カラーフィルタ層を設けない、又は透過率の高いカラーフィルタ層を設け、長波長の発光色に対応する画素(例えば赤色の画素)において選択的にカラーフィルタ層を設ける構成とすることで、色再現性を保ちつつ低消費電力の表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンス表示装置、及び該表示装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型、軽量化を図った表示装置(所謂フラットパネルディスプレイ)として、エレクトロルミネセンス(EL:Electroluminescence、以下ELとも記す)表示装置が注目されている。
【0003】
EL表示装置の多色表示化として、白色の発光素子とカラーフィルタを組み合わせる方法が検討されている(例えば、特許文献1)。この方法を用いると、それぞれ異なる色を呈する発光材料を用いた発光素子を画素毎に塗り分けて設ける必要がないため、高精細化を図ることが可能になるとされている。
【0004】
しかしながら、カラーフィルタを用いると、特定の波長領域以外の光はカラーフィルタに吸収されるために、光損失がおこり発光素子からの発光を有効利用することができない。そのため、所望の輝度を十分に得るためには、光損失分を発光素子の発光輝度を高めることで補う必要があるため、結果として表示装置の消費電力が高くなるといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】平07−220871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を鑑みて、本発明の一態様は、多色表示を行うEL表示装置において、消費電力を低減することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で、発光層からの光を共振させる構造を有する発光素子をそれぞれ含む複数の画素を有する。比較的短波長な発光色に対応する画素(例えば、青色及び/または緑色の画素)においては、カラーフィルタ層を設けない、又は透過率の高いカラーフィルタ層を設け、長波長の発光色に対応する画素(例えば赤色の画素)において選択的にカラーフィルタ層を設ける構成とすることで、色再現性を保ちつつ低消費電力の表示装置を提供する。また、各画素に含まれる複数の発光素子は、塗り分けを行うことなく各画素間で共通の構造を有している。これにより、高精細な表示装置を提供する。より具体的には、例えば以下の構成とすることができる。
【0008】
本発明の一態様は、第1の発光素子、第2の発光素子及び第3の発光素子が設けられた第1の基板と、第1の発光素子と重畳する第1の領域と、第2の発光素子と重畳する第2の領域と、第3の発光素子と重畳する第3の領域とを含み、少なくとも第3の領域にカラーフィルタ層が設けられた第2の基板と、を有し、第1の発光素子は、第1の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に、青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第1の発光層、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第2の発光層、及び赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第3の発光層を含み、第1の発光層の呈する光を第1の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させ、第2の発光素子は、第2の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に第1の発光層、第2の発光層、及び第3の発光層を含み、第2の発光層の呈する光を第2の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させ、第3の発光素子は、第3の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に第1の発光層、第2の発光層、及び第3の発光層を含み、第3の発光層の呈する光を第3の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させ、第1の領域の、青色の波長領域における最大透過率は80%以上であり、第2の領域の、緑色の波長領域における最大透過率は75%以上であり、第3の領域に設けられたカラーフィルタ層は、透過中心波長を赤色の波長領域に有する表示装置である。
【0009】
上記の表示装置において、第2の領域に、透過中心波長を緑色の波長領域に有するカラーフィルタ層が設けられていてもよい。
【0010】
また、上記の表示装置において、第2の領域に設けられたカラーフィルタ層は、380nm以上450nm以下の波長領域において最大透過率が10%以上であってもよい。
【0011】
また、上記の表示装置において、第1の領域に、透過中心波長を青色の波長領域に有するカラーフィルタ層が設けられていてもよい。
【0012】
また、上記の表示装置において、第1の領域に設けられたカラーフィルタ層は、570nm以上760nm以下の波長領域において最大透過率が5%以上であってもよい。
【0013】
また、上記の表示装置において、第2の発光素子は、第2の反射性を有する電極に接して第1の透光性を有する導電層を含み、第3の発光素子は、第3の反射性を有する電極に接して、第1の透光性を有する導電層と異なる膜厚を有する第2の透光性を有する導電層を含んでいてもよい。
【0014】
また、上記の表示装置において、第1の領域の面積は、第3の領域の面積よりも小さいのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態によって、低消費電力な表示装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明の一態様によって、色再現性のよい表示装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明の一態様によって、高精細な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図2】本発明の一態様に適用可能な発光素子を説明する図。
【図3】本発明の一態様の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図5】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図6】表示装置の使用形態の一例を説明する図。
【図7】実施例1の素子構造を説明する図。
【図8】実施例1の表示装置の特性を示す図。
【図9】実施例1の表示装置の特性を示す図。
【図10】カラーフィルタ層の透過率を示す図。
【図11】カラーフィルタ層の透過率を示す図。
【図12】実施例2の表示装置の特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
なお、本明細書等において、第1乃至第N(Nは自然数)として付される序数詞は構成要素の混同を避けるために便宜上用いるものであり、工程順または積層順等を数的に限定するものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態で示す表示装置は、第1の発光素子、第2の発光素子及び第3の発光素子が設けられた第1の基板と、第1の発光素子と重畳し、第1の発光素子と第2の基板とに挟まれる第1の領域(第1の画素に含まれる)と、第2の発光素子と重畳し、第2の発光素子と第2の基板とに挟まれる第2の領域(第2の画素に含まれる)と、第3の発光素子と重畳し、第3の発光素子と第2の基板に挟まれる第3の領域(第3の画素に含まれる)とを含み、少なくとも第3の領域にカラーフィルタ層が設けられた第2の基板と、を有する。
【0022】
第1の発光素子は、第1の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に、青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第1の発光層、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第2の発光層、及び赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第3の発光層を含み、第1の発光層の呈する光を第1の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させる。また、第2の発光素子は、第2の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に第1の発光層、第2の発光層、及び第3の発光層を含み、第2の発光層の呈する光を第2の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させる。また、第3の発光素子は、第3の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に第1の発光層、第2の発光層、及び第3の発光層を含み、第3の発光層の呈する光を第3の反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で共振させる。
【0023】
本実施の形態の表示装置は、第1の領域(第1の画素に含まれる)の、青色の波長領域における最大透過率は80%以上であり、第2の領域(第2の画素に含まれる)の、緑色の波長領域における最大透過率は75%以上であり、第3の領域(第3の画素に含まれる)に設けられたカラーフィルタ層は、透過中心波長を赤色の波長領域に有する。
【0024】
以下に具体的なEL表示装置の一形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0025】
図1(A)に本実施の形態の表示装置における表示部の断面図の構成例を示す。
【0026】
図1(A)に示す表示装置は、第1の画素130a、第2の画素130b及び第3の画素130cを有する。第1の画素130aは、基板100に設けられた第1の発光素子132aを含んで構成される。第2の画素130bは、基板100に設けられた第2の発光素子132bを含んで構成される。第3の画素130cは、基板100に設けられた第3の発光素子132cと、対向基板128において第3の発光素子132cと重畳する領域に設けられたカラーフィルタ層134cと、を含んで構成される。
【0027】
第1の発光素子132a、第2の発光素子132b及び第3の発光素子132cは、基板100上に互いに離間して配置された第1の反射性を有する電極102a、第2の反射性を有する電極102b、または第3の反射性を有する電極102cをそれぞれ有している。また、第1の発光素子132aと、第2の発光素子132bと、第3の発光素子132cとは、絶縁層126によって電気的に絶縁されている。
【0028】
絶縁層126は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、反射性を有する電極上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。絶縁層126はテーパを有していてもよく、逆テーパとすることもできる。
【0029】
第1の発光素子132aは、第1の反射性を有する電極102aと透光性を有する電極112との間に、EL層を有する。EL層は、少なくとも青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第1の発光層、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第2の発光層及び赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第3の発光層を含んで構成される。なお、第1乃至第3の発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を有する積層構造とすることもできる。また、EL層を複数層積層させてもよく、EL層の一と他のEL層との間に電荷発生層を設けてもよい。
【0030】
なお、本明細書等において、具体的には、青色の波長領域とは、430nm以上470nm以下の波長領域を示す。また、緑色の波長領域とは、500nm以上550nm以下の波長領域を示す。また、赤色の波長領域とは、600nm以上700nm以下の波長領域を示す。
【0031】
また、第2の発光素子132bは、第2の反射性を有する電極102bと透光性を有する電極112との間に、EL層を有し、第3の発光素子132cは、第3の反射性を有する電極102cと透光性を有する電極112との間にEL層を有する。第2の発光素子132b及び第3の発光素子132cに含まれるEL層は、第1の発光素子132aと共通化しており、連続膜で形成されている。なお、第1の発光素子132a、第2の発光素子132b及び第3の発光素子132cからの発光は、透光性を有する電極112側から射出される。
【0032】
本実施の形態においては、反射性を有する電極(第1の反射性を有する電極102a、第2の反射性を有する電極102b、第3の反射性を有する電極102c)と透光性を有する電極112との間に、第1の発光層を含む第1のEL層106と、電荷発生層108と、第2の発光層及び第3の発光層を含む第2のEL層110と、を順に積層させた構成を有するものとする。なお、本発明の一態様に適用可能な発光素子はこの構成に限られるものではなく、例えば、第1の発光層、第2の発光層、及び第3の発光層の積層順を入れ替えることも可能である。
【0033】
第1の発光素子132a、第2の発光素子132b及び第3の発光素子132cにおいて、第1のEL層106、電荷発生層108、及び第2のEL層110は、それぞれ画素間において共通化しており、連続膜で形成されている。従って、作製工程においてメタルマスクを用いた塗り分けが不要であるため、大面積を一括して成膜することも可能であり、表示装置の大型化及び生産性の向上を図ることができる。さらに、表示部において表示領域を拡大することができる。また、メタルマスクを用いた際に生じうる、パーティクルの混入等による欠陥を防止することができるため、歩留まりよく表示装置を生産することができる。
【0034】
また、第1の発光素子132aと、第2の発光素子132bと、第3の発光素子132cとは、互いに異なる膜厚を有する第1の透光性を有する導電層104a、第2の透光性を有する導電層104b、または第3の透光性を有する導電層104cをそれぞれ含むことで、互いに異なる膜厚を有している。
【0035】
第1の発光素子132aに設けられる第1の透光性を有する導電層104aは、その膜厚を調整することによって、第1の反射性を有する電極102aと透光性を有する電極112との間で、第1の発光層の呈する光(青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する光)を共振させて強めるように光路長を調整する役割を有する。
【0036】
第2の発光素子132bに設けられる第2の透光性を有する導電層104bは、その膜厚を調整することによって、第2の反射性を有する電極102bと透光性を有する電極112との間で、第2の発光層の呈する光(緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する光)を共振させて強めるように光路長を調整する役割を有する。
【0037】
第3の発光素子132cに設けられる第3の透光性を有する導電層104cは、その膜厚を調整することによって、第3の反射性を有する電極102cと透光性を有する電極112との間で、第3の発光層の呈する光(赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する光)を共振させて強めるように光路長を調整する役割を有する。
【0038】
上記のように発光層の呈する光を共振させて強めるように光路長を調整することで、同じ電流を流した場合に、共振する波長の発光色に関してより大きな正面輝度を得ることができるようになるため、各発光素子の発光効率を向上させることができる。また各波長領域の発光を選択的に増幅することにより、色純度が向上した発光素子とすることができる。
【0039】
例えば、反射性を有する電極102(第1の反射性を有する電極102a、第2の反射性を有する電極102b、第3の反射性を有する電極102c)から透光性を有する電極112までの光学距離が、所望の光の波長の(2n−1)/4倍(nは自然数)になるように、透光性を有する導電層104(第1の透光性を有する導電層104a、第2の透光性を有する導電層104b、または第3の透光性を有する導電層104c)の膜厚を調整すればよい。
【0040】
なお、第1のEL層106等に機能層を設ける場合、当該機能層の膜厚を調整することによって、第1の反射性を有する電極102aと、透光性を有する電極112との光学距離を調整してもよい。この場合、第1の透光性を有する導電層104aは必ずしも設けなくともよい。
【0041】
図1(A)に示す表示装置において、第1の画素130aに含まれる第1の発光素子132aは光共振構造(マイクロキャビティ構造)によって、青色の色純度が向上した素子である。青色の波長領域は430nm以上470nm以下と短波長であるため、第1の発光素子132aにおける共振波長も短くなり、青色以外の色が混色しにくい。したがって、第1の画素130aは、カラーフィルタ層を設けない構成とした場合であっても良好な青色の色度特性を示すことが可能である。これにより、第1の画素130aにカラーフィルタ層を設けた場合に起こりえる光吸収を低減することができるため、光の利用効率を向上することができる。
【0042】
また、第2の画素130bに含まれる第2の発光素子132bは光共振構造(マイクロキャビティ構造)によって、緑色の色純度が向上した素子である。緑色の波長領域は500nm以上550nm以下と比較的短波長であるため、第2の画素130bにおいても、カラーフィルタ層を設けない構成とした場合であっても良好な緑色の色度特性を示すことが可能である。これにより、第2の画素130bにカラーフィルタ層を設けた場合に起こりえる光吸収を低減することができるため、光の利用効率を向上することができる。
【0043】
また、第3の画素130cに含まれる第3の発光素子132cは光共振構造(マイクロキャビティ構造)によって、赤色の色純度が向上した素子である。但し、赤色の波長領域は600nm以上700nm以下と長波長であるため、第3の発光素子132cにおける赤色光の共振波長が、短波長光(青色光など)の共振波長と近い波長となり、混色をおこすことがある。例えば、赤色光の1波長と青色光の3/2波長が合致するために、600nmの波長を共振させるような光学設計を行うと、400nmの波長も共振される場合がある。したがって、第3の画素130cには、カラーフィルタ層134cを設けることが好ましい。
【0044】
なお、カラーフィルタ層134cは、透過中心波長を赤色の波長領域に有する(例えば透過中心波長が690nmである)と、第3の発光素子132cからの発光を効率よく取り出すことが可能であるため好ましい。
【0045】
なお、本明細書において、透過中心波長とは、可視光領域(380nm〜780nm)において、カラーフィルタ層が透過する光の波長領域(好ましくは透過率が50%以上を示す波長領域)の中心波長である。例えば、透過中心波長を青色の波長領域に有するカラーフィルタ層で、透過する光の波長領域が380nm〜520nmの場合、透過中心波長は450nmとなる。透過中心波長を緑色の波長領域に有するカラーフィルタ層で、透過する光の波長領域が510nm〜590nmの場合、透過中心波長は550nmとなる。また、透過中心波長を赤色の波長領域に有するカラーフィルタ層で、透過する光の波長領域が600nm〜780nmの場合、透過中心波長は690nmとなる。
【0046】
カラーフィルタ層134cとしては、例えば有彩色の透光性樹脂を用いることができる。有彩色の透光性樹脂としては、感光性、非感光性の有機樹脂を用いることができるが、感光性の有機樹脂層を用いるとレジストマスク数を削減することができるため、工程が簡略化し好ましい。
【0047】
有彩色は、黒、灰、白などの無彩色を除く色であり、カラーフィルタ層は、着色された有彩色の光のみを透過する材料で形成される。有彩色としては、赤色、緑色、青色などを用いることができる。また、シアン、マゼンダ、イエロー(黄)などを用いてもよい。着色された有彩色の光のみを透過するとは、カラーフィルタ層における透過光は、その有彩色の光の波長にピークを有するということである。
【0048】
なお、本実施の形態においては、カラーフィルタ層134cが、対向基板128の内側に設けられる例を示すが、本発明の実施はこれに限られず、対向基板128の外側(発光素子と反対側)に設けることも可能である。または、第3の発光素子132c上にカラーフィルタ層として機能する有彩色の透光性樹脂層を形成してもよい。
【0049】
図1(A)に示すように、青(B)の画素である第1の画素130aと、緑(G)の画素である第2の画素130bにはカラーフィルタ層を設けず、赤(R)の画素である第3の画素130cに選択的にカラーフィルタ層134cを設ける構成とすることで、高い色再現性及び高いNTSC(National Television Standards Committee)比を維持しつつ表示装置の低消費電力化を図ることができる。
【0050】
なお、上述したように、第1の画素130aに設けられる第1の発光素子132aは、青色以外の色が混色しにくいため、第3の画素130cに設けられる第3の発光素子132cと比較してより高い利用効率を得ることができる。よって、第1の画素130aの面積を第3の画素130cと比較して縮小しても十分な色再現性を実現することが可能である。例えば、第1の発光素子132aの光利用効率が第3の発光素子132cの4倍であると、第1の画素130aの面積を第3の画素130cの4分の1以上3分の1以下とすることができる。第1の画素130aは、カラーフィルタ層を有しない画素であるため、第1の画素130aを縮小することで、表示面における第1の反射性を有する電極102aによる外光反射を低減することができるため、表示装置のコントラストを向上することができる。
【0051】
また、図1(A)に示す表示装置において、絶縁層126と重畳する領域に遮光層を設けてもよい。遮光層は、光を反射、又は吸収し、遮光性を有する材料を用いる。例えば、黒色の有機樹脂を用いることができ、感光性又は非感光性のポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック、チタンブラック等を混合させて形成すればよい。また、遮光性の金属膜を用いることもでき、例えばクロム、モリブデン、ニッケル、チタン、コバルト、銅、タングステン、又はアルミニウムなどを用いればよい。
【0052】
遮光層の形成方法は特に限定されず、材料に応じて、蒸着法、スパッタ法、CVD法などの乾式法、又はスピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)などの湿式法を用い、必要に応じてエッチング法(ドライエッチング又はウエットエッチング)により所望のパターンに加工すればよい。
【0053】
遮光層は隣り合う画素への光漏れを防止することができるため、遮光層を設けることで高コントラスト及び高精細な表示を行うことが可能になる。
【0054】
図1(A)に示す表示装置において、基板100としては、プラスチック(有機樹脂)、ガラス、または石英などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる部材が挙げられる。なお、基板100として、プラスチックを用いると、表示装置の軽量化を実現することができるため好ましい。また、基板100として水蒸気に対するバリア性が高く、放熱性が高いシート(例えば、ダイアモンドライクカーボン(DLC)を含むシート)を用いることもできる。
【0055】
また、図示しないが、基板100上に無機絶縁体を設ける構成としてもよい。無機絶縁体は、外部からの水等の汚染物質から保護する保護層、封止膜として機能する。無機絶縁体を設けることで、発光素子の劣化を軽減し、表示装置の耐久性や寿命を向上させることができる。
【0056】
無機絶縁体としては窒化膜、及び窒化酸化膜の単層又は積層を用いることができる。具体的には、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどを用いて、材料に合わせてCVD法、スパッタ法等により形成することができる。好ましくは、窒化珪素を用いてCVD法により形成するとよい。無機絶縁体の膜厚は100nm以上1μm以下程度とすればよい。また、無機絶縁体として、酸化アルミニウム膜、DLC膜、窒素含有炭素膜、硫化亜鉛及び酸化珪素を含む膜(ZnS・SiO膜)を用いてもよい。
【0057】
または、無機絶縁体として、膜厚の薄いガラス基板を用いることができる。例えば、30μm以上100μm以下の厚さのガラス基板を用いることができる。
【0058】
また、基板100の下面(発光素子が設けられる面と対向する面)には、金属板を設けてもよい。また、無機絶縁体を設ける場合には金属板を基板100の代わりに用いてもよい。金属板の膜厚に特に限定はないが、例えば、10μm以上200μm以下のものを用いると、表示装置の軽量化が図れるため好ましい。また、金属板を構成する材料としては特に限定はないが、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、または、アルミニウム合金若しくはステンレスなどの金属の合金などを好ましく用いることができる。
【0059】
金属板と基板100とは、接着層によって接着して設けることができる。接着層としては、可視光硬化性、紫外線硬化性、または熱硬化性の接着剤を用いることができる。これらの接着剤の材質としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。接着層に乾燥剤となる吸水物質を含ませてもよい。
【0060】
金属板は透水性が低いため、金属板を設けることで、発光素子への水分の侵入を抑制することが可能である。よって、金属板を設けることで、水分に起因する劣化が抑制された信頼性の高い表示装置とすることが可能である。
【0061】
なお、第1の発光素子132a、第2の発光素子132b及び第3の発光素子132cを覆う無機絶縁膜を設けてもよい。該無機絶縁膜は、外部からの水等の汚染物質から保護する保護層や封止膜として機能する。無機絶縁膜を設けることで、発光素子の劣化を軽減し、表示装置の耐久性や寿命を向上させることができる。無機絶縁膜の材料は、上述の無機絶縁体と同様の材料を用いることができる。
【0062】
基板100と対向基板128との間に乾燥剤となる吸水物質を設けてもよい。吸水物質は粉状など固体の状態で配置してもよいし、スパッタ法などの成膜法によって吸水物質を含む膜の状態で第1の発光素子132a、第2の発光素子132b及び第3の発光素子132c上に設けられてもよい。
【0063】
対向基板128としては、基板100と同様の材料を用いることができる。但し、対向基板128は可視光に対して透光性を有する必要がある。また、対向基板128に偏光板または光学フィルム等を設けてもよい。偏光板または光学フィルム等を設けることにより、第1の画素130a及び第2の画素130bにおける外光反射を防止し、コントラストを向上させることができる。
【0064】
または、第1の画素130a及び/または第2の画素130bに透過率の高いカラーフィルタ層を設けることで、低消費電力を維持しつつコントラストをより向上させた構成としてもよい。図1(B)に、図1(A)に示す表示装置において、第1の画素130a及び第2の画素130bに透過率の高いカラーフィルタ層を設ける構成例を示す。なお、図1(B)に示す表示装置の構成は、多くの部分で図1(A)に示した表示装置の構成と共通しているため、重複する部分の説明は省略することがある。
【0065】
図1(B)に示す表示装置は、第1の画素230a、第2の画素230b及び第3の画素130cを有する。第1の画素230aは、基板100に設けられた第1の発光素子132aと、対向基板128において第1の発光素子132aと重畳する領域に設けられたカラーフィルタ層134aと、を含んで構成される。第2の画素230bは、基板100に設けられた第2の発光素子132bと、対向基板128において第2の発光素子132bと重畳する領域に設けられたカラーフィルタ層134bと、を含んで構成される。第3の画素130cは、基板100に設けられた第3の発光素子132cと、対向基板128において第3の発光素子132cと重畳する領域に設けられたカラーフィルタ層134cと、を含んで構成される。
【0066】
図1(B)において、カラーフィルタ層134aは、透過中心波長を青色の波長領域に有する(例えば透過中心波長が450nmである)と、第1の発光素子132aからの発光を効率よく取り出すことが可能であるため好ましい。
【0067】
通常、特定波長領域における透過率を高くしたカラーフィルタ層は、当該特定波長領域以外の波長の光も透過させやすくなるため、そのカラーフィルタ層から得られる色純度を低下させることがある。例えば、青色の波長領域において最大透過率が80%以上と高い透過率を有するカラーフィルタ層は、570nm以上760nm以下の波長領域において最大透過率が5%以上となることがある。また、緑色の波長領域において最大透過率が75%以上と高い透過率を有するカラーフィルタ層は、380nm以上450nm以下の波長領域において最大透過率が10%以上となることがある。したがって、色純度の低下を抑制するためには、ある程度透過率の低いカラーフィルタ層を用いることが望まれる。
【0068】
しかしながら、本実施の形態の表示装置に用いられる第1の発光素子132aは、第1の反射性を有する電極102aと透光性を有する電極112との光学距離を調整し、光の干渉を利用することで、第1の発光層からの青色発光の色純度を高めた発光素子である。よって、青色の波長領域以外の発光の強度を極めて低くすることができるため、青色の波長領域において高い透過率を有するカラーフィルタ層134aを用いても、高い色純度を維持することができる。例えば、カラーフィルタ層134aとして、青色の波長領域において最大透過率が80%以上であるカラーフィルタ層を用いることができる。このとき、カラーフィルタ層134aは570nm以上760nm以下の波長領域において最大透過率が5%以上であってもよい。なぜならば、光の干渉を利用して第1の発光層からの青色発光の色純度を高めることにより、570nm以上の可視光が微弱となるためである。
【0069】
このように高い透過率を有するカラーフィルタ層134aを適用することで、カラーフィルタ層134aによる光吸収を低減することができるため、光の利用効率を向上することができる。なお、青色の波長領域においてカラーフィルタ層134aの透過率を80%以上とするには、例えば、含有する着色材料の濃度を低濃度とすればよい。または、カラーフィルタ層134aの膜厚を薄くして、青色の波長領域における透過率を高めてもよい。
【0070】
また、図1(B)において、カラーフィルタ層134bは、透過中心波長を緑色の波長領域に有する(例えば透過中心波長が550nmである)と、第2の発光素子132bからの発光を効率よく取り出すことが可能であるため好ましい。
【0071】
第1の発光素子132aと同様に第2の発光素子132bは、第2の発光層からの緑色発光の色純度を高めた発光素子であるため、緑色の波長領域において高い透過率を有するカラーフィルタ層134bを用いても、高い色純度を維持することができる。例えば、カラーフィルタ層134bとして、緑色の波長領域において最大透過率が75%以上であるカラーフィルタ層を用いることができる。この時、カラーフィルタ層134bは380nm以上450nm以下の波長領域において最大透過率が10%以上であってもよい。なぜならば、光の干渉を利用して第2の発光層からの緑色発光の色純度を高めることにより、450nm以下の可視光が微弱となるためである。
【0072】
このように、緑色の波長領域において高い透過率を有するカラーフィルタ層134bを適用することで、カラーフィルタ層134bによる光吸収を低減することができるため、光の利用効率を向上することができる。また、カラーフィルタ層134bを用いることで、第2の画素230bにおける色純度をより向上させることができるため、表示装置の色再現性をより向上させることが可能である。
【0073】
なお、図1(B)においては、第1の画素230a及び第2の画素230bの双方にカラーフィルタ層を設ける構成を示したが、本発明の実施の形態はこれに限られず、第1の画素230aまたは第2の画素230bの一方と、第3の画素130cにカラーフィルタ層を設ける構成としてもよい。なお、第2の発光素子132aの共振波長は、第1の発光素子132bの共振波長より長い。そのため、第2の発光素子132bにおいて、緑色光の共振波長が、青色光の共振波長と近い波長となって混色をおこす可能性は、第1の発光素子132aにおいて混色をおこす可能性よりも高い。したがって、より良好な緑色の色度特性を得るためには、第2の画素230bにおいてカラーフィルタ層134bを設けることは特に有効である。
【0074】
また、発光素子の共振波長が短いほど混色をおこしにくいため、波長の短い画素ほど高い透過率を有するカラーフィルタ層を設けるのが好ましい。例えば、青(B)の画素である第1の画素230aに設けられるカラーフィルタ層134aの有する青色の波長領域における透過率は、緑(G)の画素である第2の画素230bに設けられるカラーフィルタ層134bの有する緑色の波長領域における透過率よりも高く、緑(G)の画素である第2の画素230bに設けられるカラーフィルタ層134bの有する緑色の波長領域における透過率は、赤(R)の画素である第3の画素130cに設けられるカラーフィルタ層134cの有する赤色の波長領域における透過率よりも高い構成とすることが好ましい。このような構成の表示装置とすることで、高い色純度及び低消費電力の双方を達成することができる。
【0075】
図1(B)に示す表示装置は、各画素にカラーフィルタ層を設けることで、表示部における外光反射を防止し、コントラストを向上させることができる。また、比較的短波長な発光色に対応する第1の画素230a及び第2の画素230bに透過率の高いカラーフィルタ層を設けることで、色再現性を保ちつつ低消費電力の表示装置とすることができる。
【0076】
図2に本実施の形態の表示装置における表示部の電極構造の平面図を示す。なお、図2においては、理解を容易にするため、構成要素の一部(例えば第2のEL層など)を省略して図示している。図2の表示装置は、パッシブマトリクス型の表示装置であり、ストライプ状に加工された反射性を有する電極102(第1の反射性を有する電極102a、第2の反射性を有する電極102b、及び第3の反射性を有する電極102c)と、ストライプ状に加工された透光性を有する電極112(第1の透光性を有する電極112a、第2の透光性を有する電極112b、及び第3の透光性を有する電極112c)と、が格子状に積層されている。
【0077】
第1の発光素子132a、第2の発光素子132b、及び第3の発光素子132cに含まれるEL層は、反射性を有する電極102と透光性を有する電極112との間の全面にわたって連続膜で設けられている。よって、メタルマスクによる塗り分けを必要とせず、高精細な表示装置とすることができる。例えば、水平解像度を350ppi以上、好ましくは400ppi以上とすることができる。
【0078】
図3に、本実施の形態の表示装置に適用可能な発光素子の構成例を示す。
【0079】
図3(A)に示す発光素子は、反射性を有する電極102と、透光性を有する導電層104と、第1のEL層106と、電荷発生層108と、第2のEL層110と、透光性を有する電極112と、を有する。
【0080】
第1の発光素子132a、第2の発光素子132b、第3の発光素子132cにおいて、反射性を有する電極102(第1の反射性を有する電極102a、第2の反射性を有する電極102b、及び第3の反射性を有する電極102c)は、光の取り出し方向と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。
【0081】
反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、又は金属酸化物膜を積層することでアルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。上述の材料は、地殻における存在量が多く安価であるため、発光素子の作製コストを低減することができ、好ましい。
【0082】
本実施の形態においては、反射性を有する電極102を発光素子の陽極として用いる場合を例に説明する。但し、本発明の実施の形態はこれに限られない。
【0083】
透光性を有する導電層104(第1の透光性を有する導電層104a、第2の透光性を有する導電層104b、第3の透光性を有する導電層104c)は、可視光に対する透光性を有する材料を用いて単層または積層で形成される。例えば、透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
【0084】
また、透光性を有する導電層104として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェン(PEDOT)またはその誘導体、若しくはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体またはその誘導体等が挙げられる。
【0085】
なお、第1の発光素子132a、第2の発光素子132b、及び第3の発光素子132cにおいて、反射性を有する電極102及び透光性を有する導電層104は、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって所定の形状に加工することができる。よって、微細なパターンの形成を制御性よく行うことができ、高精細な表示装置を得ることができる。
【0086】
また、透光性を有する導電層104を画素毎に独立して設けることで、透光性を有する導電層104の膜厚が非常に厚い場合や、透光性を有する導電層104の導電率が高い場合であってもクロストークを防止することができる。
【0087】
第1のEL層106は、少なくとも発光層が含まれていればよい。本実施の形態においては、第1のEL層106に、青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第1の発光層を有するものとする。また、発光層のほか、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(正孔輸送性及び電子輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。なお、発光層を複数層有していてもよい。
【0088】
例えば、第1のEL層106として、正孔注入層、正孔輸送層、第1の発光層、電子輸送層、電子注入層の積層構造とすることができる。なお、当然のことながら、反射性を有する電極102を陰極として用いる場合には、反射性を有する電極102側から順に、電子注入層、電子輸送層、第1の発光層、正孔輸送層、正孔注入層の積層構造とすればよい。
【0089】
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0090】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0091】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0092】
特に、正孔注入層として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、陽極からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層を形成することにより、陽極から第1のEL層106への正孔注入が容易となる。
【0093】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0094】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0095】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0096】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0097】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0098】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層に用いてもよい。
【0099】
なお、第1のEL層106に上述の複合材料を含む層を設ける場合、当該複合材料を含む層の膜厚を調整することによって、光路長を調整してもよい。この場合、第1の透光性を有する導電層104aは必ずしも設けなくともよい。
【0100】
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0101】
また、正孔輸送層には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0102】
また、正孔輸送層には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0103】
第1の発光層は、青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0104】
第1の発光層に用いることができる青色系の蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。
【0105】
また、第1の発光層に用いることができる青色系の燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。
【0106】
なお、第1の発光層としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0107】
本実施の形態で示す発光素子に適用可能なホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0108】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0109】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、第1の発光層の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0110】
また、第1の発光層として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。
【0111】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0112】
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層を構成する物質を用いることもできる。
【0113】
電荷発生層108は、発光素子に電圧を印加することで電荷が発生し、陰極側のEL層に正孔を注入し、陽極側のEL層に電子を注入する機能を有する。
【0114】
電荷発生層108は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層108は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。
【0115】
図3(A)に示すように積層されるEL層の間に電荷発生層を配置すると、電流密度を低く保ったまま、高輝度でありながら長寿命な素子とできる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0116】
なお、電荷発生層108の膜厚を調整することによって、第1の反射性を有する電極102aと、透光性を有する電極112との光学距離を調整することも可能である。この場合、第1の透光性を有する導電層104aは、必ずしも設けなくともよい。
【0117】
第2のEL層110は、少なくとも発光層を含めばよい。本実施の形態においては、第2のEL層110に、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第2の発光層及び赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第3の発光層を有するものとする。また、発光層のほか、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(正孔輸送性及び電子輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。また、第1のEL層106と同様の構成としてもよいし、第1のEL層とは異なる積層構造を有する構成としてもよい。例えば、第2のEL層110として、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、第3の発光層、電子輸送層、電子注入バッファー層、電子リレー層、及び透光性を有する電極112と接する複合材料層を有する積層構造とすることができる。なお、第2のEL層110は、発光層を3層以上有する構成としてもよい。
【0118】
第2の発光層は、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0119】
第2の発光層に用いることができる緑色系の蛍光性化合物としては、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。
【0120】
また、緑色系の燐光性化合物としては、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))などが挙げられる。
【0121】
なお、第1の発光層と同様に、第2の発光層としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。
【0122】
また、第2の発光層に含まれる発光性の有機化合物として高分子化合物を用いることができる。具体的には、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。
【0123】
第3の発光層は、赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0124】
赤色系の蛍光性化合物としては、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0125】
また、橙色〜赤色系の燐光性化合物としては、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。
【0126】
なお、第1及び第2の発光層と同様に、第3の発光層としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。
【0127】
また、第3の発光層に含まれる発光性の有機化合物として高分子化合物を用いることができる。具体的には、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0128】
第2のEL層110において、透光性を有する電極112と接する複合材料層を設けることで、特にスパッタリング法を用いて透光性を有する電極112を形成する際に、第2のEL層110が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0129】
さらに、電子注入バッファー層を設けることで、複合材料層と電子輸送層との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層で生じた電子を電子輸送層に容易に注入することができる。
【0130】
電子注入バッファー層には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0131】
また、電子注入バッファー層が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0132】
さらに、電子注入バッファー層と複合材料層との間に、電子リレー層を形成することが好ましい。電子リレー層は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層を設けることで、電子注入バッファー層へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0133】
複合材料層と電子注入バッファー層との間に電子リレー層が挟まれた構造は、複合材料層に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0134】
電子リレー層は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0135】
電子リレー層に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0136】
電子リレー層に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0137】
電子リレー層に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0138】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0139】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0140】
電子リレー層はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0141】
電子リレー層にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0142】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0143】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0144】
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’ビス2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0145】
なお、電子リレー層にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層を形成すれば良い。
【0146】
正孔注入層、正孔輸送層、及び電子輸送層は前述の材料を用いてそれぞれ形成すれば良い。
【0147】
透光性を有する電極112は、光の取り出し方向に設けられるため、透光性を有する材料を用いて形成する。透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
【0148】
また、透光性を有する電極112として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすればよい。
【0149】
なお、本実施の形態の表示装置に適用可能な発光素子の素子構造は、図3(A)に限られるものではない。例えば、第1のEL層106に発光層を2層積層させ、第2のEL層に単層の発光層を含ませる構成としてもよい。または、図3(B)に示すように、反射性を有する電極102上に、透光性を有する導電層104、第1の発光層を含む第1のEL層114、第1の電荷発生層108a、第2の発光層を含む第2のEL層116、第2の電荷発生層108b、第3の発光層を含む第3のEL層118、及び透光性を有する電極112を順に積層させた構成としてもよい。
【0150】
または、図3(C)に示すように、反射性を有する電極102上に、透光性を有する導電層104と、第1の発光層120a、第2の発光層120b及び第3の発光層120cを含むEL層120と、透光性を有する電極112と、を順に積層させた構成としてもよい。また、反射性を有する電極102と透光性を有する電極112との間に挟持される発光層の呈する発光色を、反射性を有する電極102側から順に長波長としてもよい。
【0151】
本実施の形態で示す表示装置は、反射性を有する電極102と透光性を有する電極112との間で、発光層からの光を共振させる構造をそれぞれ有する発光素子を含む複数の画素を有し、比較的短波長な発光色に対応する画素(例えば青色及び/または緑色の画素)においては、カラーフィルタ層を設けない、又は透過率の高いカラーフィルタ層を設け、長波長の発光色に対応する画素(例えば赤色の画素)において選択的にカラーフィルタ層を設ける構成を有する。これによって、色再現性を保ちつつ低消費電力の表示装置を提供することができる。
【0152】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0153】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様のアクティブマトリクス型の表示装置について図4を用いて説明する。なお、図4(A)は、表示装置を示す平面図、図4(B)は図4(A)をA−B及びC−Dで切断した断面図である。
【0154】
図4(A)(B)の表示装置は、素子基板410と封止基板404とがシール材405によって固着されており、駆動回路部(ソース側駆動回路401、ゲート側駆動回路403)、複数の画素を含む画素部402を有している例である。
【0155】
なお、配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における表示装置には、表示装置本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0156】
駆動回路部(ソース側駆動回路401、ゲート側駆動回路403)は複数のトランジスタを含み、画素部402に含まれる複数の画素はそれぞれ、スイッチング用トランジスタと、電流制御用トランジスタとそのドレイン電極に電気的に接続された第1の電極とを含む。
【0157】
素子基板410上には駆動回路部(ソース側駆動回路401、ゲート側駆動回路403)及び画素部402が形成されているが、図4(B)では、駆動回路部であるソース側駆動回路401と、画素部402中の3つの画素を示す。
【0158】
画素部402に含まれる複数の画素は少なくとも2色以上の画素を含むが、本実施の形態では、青(B)の画素420a、緑(G)の画素420b、赤(R)の画素420c、3色の画素を有する例を示す。
【0159】
画素420a、420b、420cはそれぞれ発光素子418a、418b、418cと、該発光素子418a、418b、418cと電気的に接続し、スイッチング用トランジスタとして機能するトランジスタ412a、412b、412cを有している。また、画素420cは、発光素子418cと重畳するカラーフィルタ層434cを有している。
【0160】
また、発光素子418a、418b、418cはそれぞれ反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する導電層415a、415b、415cを含み、反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する導電層415a、415b、415cの積層上に、第1の発光層が設けられた第1のEL層431と、電荷発生層432と、第2の発光層及び第3の発光層が設けられた第2のEL層433と、透光性を有する電極417とからなる積層を有している。
【0161】
透光性を有する導電層415a、415b、415cの膜厚をそれぞれ調整し、青(B)の画素420aにおいて、第1の発光層の呈する青色光を、反射性を有する電極413aと、透光性を有する電極417との間で共振させ、緑(G)の画素420bにおいて、第2の発光層の呈する緑色光を、反射性を有する電極413bと、透光性を有する電極417との間で共振させ、赤(R)の画素420cにおいて、第3の発光層の呈する赤色光を、反射性を有する電極413cと、透光性を有する電極417との間で共振させる。
【0162】
また、カラーフィルタ層434cとしては、透過中心波長を赤色の波長領域に有するカラーフィルタ層を用いることができる。
【0163】
発光層の呈する発光色に合わせて、反射性を有する電極と透光性を有する電極との光学距離を最適化することによって、高い色純度及び高い発光効率で各色の光を取り出すことができる。また、選択的に赤(R)の画素のみにカラーフィルタ層434cを設けることで、表示装置の低消費電力化及び高い色再現性を実現することができる。また、発光層を画素毎にメタルマスクにより塗り分けせず、連続膜で形成することによるメタルマスクを用いることによる歩留まりの低下や工程の複雑化を回避することができる。
【0164】
なお、ソース側駆動回路401はnチャネル型トランジスタ423とpチャネル型トランジスタ424とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、トランジスタで形成される種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上にソース側駆動回路及びゲート側駆動回路を形成する例を示すが、必ずしもその必要はなく、ソース側駆動回路及びゲート側駆動回路の一部、又は全部を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0165】
なお、反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する導電層415a、415b、415cの端部を覆って絶縁物414が形成されている。
【0166】
被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物414の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物414として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。ここでは、絶縁物414をポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0167】
カラーフィルタ層434c、反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する導電層415a、415b、415c、第1のEL層431、電荷発生層432、第2のEL層433、及び透光性を有する電極417の材料としては、実施の形態1で示した材料をそれぞれ適用することが可能である。
【0168】
さらにシール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより、素子基板410、封止基板404、及びシール材405で囲まれた空間407に発光素子418が備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、有機樹脂、シール材405で充填される場合もある。有機樹脂及びシール材405には吸湿性を有する物質を含む材料を用いてもよい。
【0169】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0170】
本実施の形態のように、下地膜となる絶縁膜411を素子基板410とトランジスタの半導体層の間に設けてもよい。絶縁膜は、素子基板410からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による単層、又は積層構造により形成することができる。
【0171】
本明細書に開示する表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
【0172】
ゲート電極層の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0173】
例えば、ゲート電極層の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金層またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した積層構造とすることが好ましい。
【0174】
ゲート絶縁層は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0175】
半導体層に用いる材料は特に限定されず、トランジスタ412a、412b、412c、423、424に要求される特性に応じて適宜設定すればよい。半導体層に用いることのできる材料の例を説明する。
【0176】
半導体層を形成する材料としては、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いた気相成長法や、スパッタリング法で作製される非晶質(アモルファスともいう)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0177】
半導体層として、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体を用いることができる。半導体層として単結晶半導体を用いると、トランジスタサイズを微細化することが可能となるため、表示部において画素をさらに高精細化することができる。半導体層として単結晶半導体を用いる場合には、単結晶半導体層が設けられたSOI基板を適用することができる。または、シリコンウエハ等の半導体基板を用いてもよい。
【0178】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0179】
また、酸化物半導体を用いてもよく、酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O、In−Ga−O系や、In−O系、Sn−O系、Zn−O系などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0180】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0181】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、原子数比で、In/Zn=0.5〜50、好ましくはIn/Zn=1〜20、さらに好ましくはIn/Zn=1.5〜15とする。Znの原子数比を好ましい前記範囲とすることで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。ここで、化合物の原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0182】
酸化物半導体層として、単結晶構造ではなく、非晶質構造でもない構造であり、C軸に配向した結晶(C Axis Aligned Crystal; CAACとも呼ぶ)を有する酸化物半導体を用いることができる。
【0183】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層の材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、Al単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0184】
トランジスタを覆う絶縁膜419は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタリング法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ガリウム膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。
【0185】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。シロキサン系樹脂は塗布法により成膜し、焼成することによって絶縁膜419として用いることができる。
【0186】
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜419を形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0187】
以上のようにして、本発明の一態様の発光素子を有するアクティブマトリクス型の表示装置を得ることができる。
【0188】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0189】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した表示装置を表示パネルとして含み、三次元(3D)表示が可能な表示装置について、図面を参照して説明する。
【0190】
図5(A)に示す表示装置は、表示パネル10と、表示パネル10の光射出側、すなわち表示装置を視認者が視認する側に設けられたシャッターパネル20と、を有している。なお、表示パネル10として、上記実施の形態で示した表示装置を用いるものとする。
【0191】
シャッターパネル20は、複数の光学シャッター領域を有する。光学シャッター領域には、液晶素子と、当該液晶素子の透過状態又は非透過状態を選択するスイッチング素子とを含む。液晶素子を非透過状態とすることによって、表示パネル10からの発光を遮光することが可能である。
【0192】
表示パネル10からの発光に対して、選択的に遮光領域(バリア領域)を設けることによって、特定の視野角が与えられ、右目用と左目用とで異なる空間領域に発光が得られ、各々の目に対応する像のみが視認者に認識される。これによって、表示装置による表示を三次元表示とすることができる。すなわち、図5(A)において、シャッターパネル20は所謂視差バリアとして機能し、シャッターパネル20を配置することにより、表示パネル10からの発光に視差を与え、三次元表示を行う表示装置とすることができる。また、シャッターパネル20に遮光領域を設けない場合(シャッターパネル20に含まれる全ての液晶素子を透過状態とする場合)は、二次元表示とすることができ、シャッターパネル20に含まれる液晶素子のスイッチングにより三次元表示又は二次元表示の切り替えを行うことができる。
【0193】
なお、シャッターパネル20に含まれる複数の光学シャッター領域は、ドット状の光学シャッター領域毎にスイッチング素子が設けられるアクティブマトリクス駆動方式としてもよいし、複数の光学シャッター領域毎にスイッチング素子が設けられるパッシブマトリクス駆動方式としてもよい。
【0194】
液晶素子の電極は、スイッチング素子と接続する電極をストライプ状とし、他方を平板状とする構成として、ライン状の光学シャッター領域を形成してもよい。また、一対のストライプ状の電極を格子状に液晶を介して重ね合わせる構成、又はスイッチング素子と接続する電極をドット状とする構成を用いることで、ドット状に光学シャッター領域を形成することができ、より精細な遮光領域又は透光領域の制御が可能となる。
【0195】
光学シャッター領域をアクティブマトリクス駆動方式で駆動させ、表示パネル10が有する複数の画素130毎及びシャッターパネル20が有する光学シャッター領域毎に駆動を制御することによって三次元表示と二次元表示の併存を可能とすることができる。
【0196】
また、本実施の形態では図示しないが、シャッターパネル20に偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどは適宜設ける。シャッターパネル20は、様々な構成の透過型の液晶素子、及び様々な液晶モードを用いることができる。
【0197】
本実施の形態に係る表示装置は、表示パネル10が有する複数の画素130と、シャッターパネル20が有する複数の光学シャッター領域との駆動をそれぞれ制御することによって三次元表示と二次元表示を可能とする表示装置である。ここで、表示パネル10に要求される駆動周波数と、シャッターパネル20に要求される駆動周波数は異なる。すなわち、表示パネル10には動画表示を行うために定常的に駆動させることが要求されるが、シャッターパネル20には三次元表示または二次元表示の切り替えに併せて定期的又は不定期に駆動することが要求される。この場合、シャッターパネル20の駆動を要求される期間は、シャッターパネル20が状態を保持している期間と比較して著しく短くなる。
【0198】
図5(A)示す表示装置は、表示パネル10及びシャッターパネル20の動作を制御する制御部30をさらに有する構成とするのが好ましい。制御部30は、表示パネル10における動画表示を制御する機能と、シャッターパネル20を所望の期間(以下、動作期間とも表記する)のみ動作させ、且つ動作期間以外の期間(以下、保持期間とも表記する)においてはシャッターパネル20の状態を保持させる機能と、を有する。シャッターパネル20の動作において保持期間を設けることで、表示装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0199】
図5(B)に、光学シャッター領域の等価回路図の一例を示す。光学シャッター領域は、トランジスタ207と、トランジスタ207を介して信号が入力される液晶素子206と、当該信号の電位を保持する容量素子208とを有する構成とすることができる。当該信号の電位に応じて液晶素子206が有する液晶の配向が制御されることで光を透過するか否かが選択される。したがって、上述した動作を行うためには、当該信号の電位を長期間に渡って保持することが要求される。当該要求を満たす手段として、トランジスタ207のチャネル領域を酸化物半導体によって形成することが好ましい。これにより、トランジスタ207を介した電荷のリークを抑制し、当該信号の電位の変動を抑制することができるためである。
【0200】
酸化物半導体は、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低いため、酸化物半導体をトランジスタ207の半導体層に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体を有するトランジスタに比べて、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。酸化物半導体としては、実施の形態2で示した材料を用いることができる。
【0201】
高純度化された酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。高純度化された酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)による水素濃度の測定値が、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、更に好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、更に好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。
【0202】
なお、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、様々な実験により証明することができる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース端子とドレイン端子間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm(「A/μm」は、チャネル幅1μm当たりの電流値を表す)以下であることが分かる。
【0203】
なお、半導体膜中及び導電膜中の水素濃度測定は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)を用いて測定することができる。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動がなく、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の極大値又は極小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。更に、当該膜が存在する領域において、極大値を有する山型のピーク、極小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0204】
図5(C)、(D)は、図5(A)に示す制御部30の動作例を示すフローチャートである。具体的には、図5(C)は、制御部30の表示パネル10に対する制御動作例を示すフローチャートであり、図5(D)は、制御部30のシャッターパネル20に対する制御動作例を示すフローチャートである。
【0205】
制御部30が動作を開始すると表示パネル10に対して表示制御信号を出力する(図5(C)参照)。ここで、表示制御信号とは、マトリクス状に配設された複数の画素130のそれぞれに対する画像信号、動作を制御するための信号(例えば、クロック信号)などを指す。そして、当該表示制御信号は、制御部30が表示パネル10における表示を継続する限り表示パネル10に対して定常的に供給される。
【0206】
また、制御部30が動作している状態であって、表示装置において三次元表示を行う場合、制御部30がシャッターパネル20に対して遮光制御信号を出力する(図5(D)参照)。ここで、遮光制御信号とは、トランジスタ207に対する制御信号(液晶素子206を遮光するか否かを決定する信号)、動作を制御するための信号(例えば、クロック信号)などを指す。そして、トランジスタ207に対する制御信号を供給した後に、遮光制御信号の供給を停止する。なお、三次元表示を行う領域を変更する場合は、再度、制御部30がシャッターパネル20に対して遮光制御信号を出力する。このように、当該遮光制御信号は、三次元表示を行う際にシャッターパネル20に対して定期的又は不定期に供給される。
【0207】
なお、図5(D)に示すフローチャートにおいて、遮光制御信号が長期間に渡ってシャッターパネル20に供給されない場合には、三次元表示を行うための遮光制御信号を再度シャッターパネル20に対して供給する(リフレッシュする)構成とすることもできる。すなわち、表示装置において長期間に渡って三次元表示が行われる場合には、三次元表示を行うための遮光制御信号をシャッターパネル20に対して適宜(定期的又は不定期に)供給する構成とすることもできる。
【0208】
以上示したように、表示パネル10と、表示パネル10の光射出側に配置されたシャッターパネル20とを有する構成とすることで、三次元表示が可能な表示装置とすることができる。また、当該表示装置に用いられる表示パネルとして、上記実施の形態で示した表示装置を用いることで、色再現性が高く、低消費電力な三次元表示が可能となる。また、高精細な三次元表示が可能となる。
【0209】
また、本実施の形態の動作を行うことによって、シャッターパネル20を定常的に駆動する必要がなくなるため、表示装置の消費電力をより低減することが可能となる。
【0210】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0211】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る表示装置は、ノート型などのパーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。本実施の形態においては、これら電子機器の具体例を、図6を参照して説明する。
【0212】
図6(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。表示部5003または表示部5004には、上記実施の形態で示した表示装置を用いることができる。表示部5003または表示部5004に上記実施の形態で示した表示装置を用いることで、色再現性が高く、消費電力の低い携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図6(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0213】
図6(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5201、表示部5202、キーボード5203、ポインティングデバイス5204等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5202に上記実施の形態で示した表示装置を用いることができる。表示部5202に上記実施の形態で示した表示装置を用いることで、色再現性が高く、消費電力の低いノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。
【0214】
図6(C)は携帯情報端末であり、筐体5401、表示部5402、操作キー5403等を有する。表示部5402には、上記実施の形態で示した表示装置を用いることができる。表示部5402に上記実施の形態で示した表示装置を用いることで、色再現性が高く、消費電力の低い携帯情報端末を提供することができる。
【0215】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0216】
本実施例では、本発明の一態様の表示装置の特性の測定結果を、図面及び表を用いて説明する。
【0217】
本実施例で用いた発光素子R、発光素子G、発光素子Bの作製方法を、図7を用いて説明する。また、本実施例で用いた有機化合物(Bphen、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn))、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))の構造式を以下に示す。
【0218】
【化1】

【0219】
【化2】

【0220】
発光素子R、発光素子G、発光素子Bにおいて、ガラス基板である基板1100上に、アルミニウム−チタン合金膜、チタン膜を順にスパッタリング法で成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は6nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。本実施例において、第1の電極1101は、陽極として用いた。
【0221】
発光素子R、発光素子Gにおいては、第1の電極1101上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の導電層1104を形成した。発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bにおいてそれぞれマイクロキャビティ効果を奏するために、発光素子Rにおいては、第1の導電層1104の膜厚を90nm、発光素子Gにおいては第1の導電層1104の膜厚を40nmとし、発光素子Bにおいては第1の導電層1104を設けない構造とした。
【0222】
次に、第1の電極1101及び第1の導電層1104が形成された面が下方となるように、第1の電極1101及び第1の導電層1104が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101又は第1の導電層1104上に、PCzPAと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。PCzPAと酸化モリブデンの比率は、重量比で1:0.5(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節し、その膜厚は、20nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0223】
次に、正孔注入層1111上に、PCzPAを膜厚20nm成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0224】
正孔輸送層1112上に、CzPAと1,6mMemFLPAPrnとを、CzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.05(重量比)となるように共蒸着することにより、発光層1113を形成した。膜厚は30nmとした。
【0225】
発光層1113上に、CzPAを膜厚5nmとなるように成膜し、電子輸送層1114aを形成した。
【0226】
電子輸送層1114a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、電子輸送層1114bを形成した。
【0227】
電子輸送層1114b上に、カルシウム(Ca)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115aを形成し、電子注入層1115a上に銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115bを形成した。
【0228】
電子注入層1115b上に、PCzPAと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、電荷発生層1102を形成した。PCzPAと酸化モリブデンの比率は、重量比で1:0.5(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節し、その膜厚は、30nmとした。
【0229】
電荷発生層1102上に、BPAFLPを膜厚20nm成膜し、正孔輸送層1212を形成した。
【0230】
正孔輸送層1212上に、2mDBTPDBq−IIと、PCBA1BPと、Ir(mppm)(acac)とを、2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(mppm)(acac)=0.8:0.2:0.6(重量比)となるように共蒸着することにより、発光層1213を形成した。膜厚は20nmとした。
【0231】
発光層1213上に、2mDBTPDBq−IIとIr(tppr)(dpm)とを、2mDBTPDBq−II:Ir(tppr)(dpm)=1:0.02(重量比)となるように共蒸着することにより、発光層1313を形成した。膜厚は20nmとした。
【0232】
発光層1313上に、2mDBTPDBq−IIを膜厚15nmとなるように成膜し、電子輸送層1214aを形成した。
【0233】
電子輸送層1214a上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、電子輸送層1214bを形成した。
【0234】
電子輸送層1214b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1215を形成した。
【0235】
電子注入層1215上に銀とマグネシウムを銀:マグネシウム=10:1(体積比)で膜厚10nm成膜し、第2の導電層1105として銀及びマグネシウムを含む(AgMg)膜を形成した。
【0236】
第2の導電層1105上に、インジウム錫酸化物をスパッタリング法によって膜厚50nmで成膜し、第2の電極1103を形成した。
【0237】
以上の工程によって、本実施例で用いた発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bを作製した。
【0238】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0239】
以上により得られたた発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bの素子構造を表1に示す。
【0240】
【表1】

【0241】
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業を行った後、それぞれの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0242】
それぞれの発光素子の発光スペクトルを、図9に示す。図9において、発光素子Rは細い実線、発光素子Gは太い実線、発光素子Bは太い点線でそれぞれ示されており、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を示す。
【0243】
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bは、反射性を有する電極である第1の電極1101と、透光性を有する電極である第2の電極1103との光学距離をマイクロキャビティ効果が得られるように調整されているため、それぞれ所望のスペクトルが増強され、色純度が高い。
【0244】
図9に示すように、発光素子Rからは、607nm付近にピークを有する発光層1313からの良好な赤色発光が得られている。また、発光素子Gからは、538nm付近にピークを有する発光層1213からの良好な緑色発光が得られている。また、発光素子Bからは、463nm付近にピークを有する発光層1113からの良好な青色発光が得られている。
【0245】
次に、発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bをそのまま用いて画素R、画素G、画素Bを作製し、発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bにそれぞれカラーフィルタ層CF(R)、カラーフィルタ層CF(G)、カラーフィルタ層CF(B)を重ねて用いて画素RCF、画素GCF、画素BCFを作製した。
【0246】
カラーフィルタ層CF(R)は材料としてCR−7001W(富士フイルム株式会社製)、カラーフィルタ層CF(G)は材料としてCG−7001W(富士フイルム株式会社製)、カラーフィルタ層CF(B)は材料としてCB−7001W(富士フイルム株式会社製)をそれぞれ用い、ガラス基板上に塗布した後、220℃で1時間焼成して形成した。なお、膜厚は1.3〜1.4μmであった。なお、ガラス基板へのカラーフィルタ層の材料の塗布は、スピンコート法を用いて行い、スピンコート法の回転数をカラーフィルタ層CF(R)においては500rpm、カラーフィルタ層CF(G)においては500rpm、カラーフィルタ層CF(B)においては1000rpmとした。
【0247】
カラーフィルタ層CF(R)、カラーフィルタ層CF(G)、カラーフィルタ層CF(B)の波長と透過率の関係を図10に示す。図10において、カラーフィルタ層CF(R)は菱形のドット、カラーフィルタ層CF(G)は四角形のドット、カラーフィルタ層CF(B)は三角形のドットで示している。透過率の測定は、光源よりガラス基板を透過した光を100%としており、U−4000型自記分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で行った。
【0248】
輝度約1000cd/mが得られる条件で、画素R、画素G、画素B、画素RCF、画素GCF、及び画素BCFのそれぞれにおいて、電流効率、CIE色度座標(x、y)、電圧を測定した。
【0249】
画素Rにおいては、電流効率は27cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.40、y=0.31)、電圧は6.4Vであった。画素Gにおいては、電流効率は55cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.38、y=0.60)、電圧は6.0Vであった。画素Bにおいては、電流効率は8.2cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.16、y=0.16)、電圧は7.6Vであった。
【0250】
画素RCFにおいては、電流効率は6.0cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.67、y=0.32)、電圧は7.0Vであった。画素GCFにおいては、電流効率は33cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.31、y=0.67)、電圧は6.2Vであった。画素BCFにおいては、電流効率は3.4cd/Aであり、CIE色度座標は(x=0.14、y=0.10)、電圧は8.4Vであった。
【0251】
画素R、画素G、画素B、画素RCF、画素GCF、及び画素BCFの色度を図8の色度座標に示す。図8において、画素Rは黒い菱形のドット、画素Gは黒い四角形のドット、画素Bは黒い三角形のドット、画素RCFは白い菱形のドット、画素GCFは白い四角形のドット、画素BCFは白い三角形のドット、実線はNTSCで定められたNTSC比である。
【0252】
図8で示すように、画素Bと画素BCF、画素Gと画素GCFとは色度座標において、画素Rと画素RCFよりずれが少なく、カラーフィルタ層を設けない画素B、画素Gであっても色純度が高いことがわかる。
【0253】
次に、画素R、画素G、画素B、画素RCF、画素GCF、及び画素BCFをそれぞれ組み合わせて、比較表示装置1、比較表示装置2、表示装置1、表示装置2を作製し、NTSC比と白色の消費電力を算出した。比較表示装置1、比較表示装置2、表示装置1、及び表示装置2の画素構成、NTSC比、消費電力を表2に示す。
【0254】
【表2】

【0255】
比較表示装置1は赤色画素に画素RCF、緑色画素に画素GCF、青色画素に画素BCFを設け、全ての画素にカラーフィルタ層を設けた構成であり、消費電力が高い。また、比較表示装置2は、赤色画素に画素R,緑色画素に画素G、青色画素に画素Bを設け、全ての画素にカラーフィルタ層に設けない構成であり、NTSC比が低い。
【0256】
一方、本発明の一態様を適用した表示装置1は、赤色画素に画素RCF、緑色画素に画素GCF、青色画素に画素Bを設け、赤色画素と緑色画素のみカラーフィルタ層を設けて色純度を高めてNTSC比を76%とし、青色画素にはカラーフィルタ層を設けずに消費電力を比較表示装置1に対して0.80まで抑えている。同様に、本発明の一態様を適用した表示装置2は、赤色画素に画素RCF、緑色画素に画素G、青色画素に画素Bを設け、赤色画素のみカラーフィルタ層を設けて色純度を高めてNTSC比を60%とし、緑色画素と青色画素にはカラーフィルタ層を設けずに消費電力を比較表示装置1に対して0.66まで抑えている。
【0257】
また、図11に高透過率を有するカラーフィルタ層CF(G)及びカラーフィルタ層CF(B)の波長と透過率の関係を示す。図11において、カラーフィルタ層CF(G)は太線、カラーフィルタ層CF(B)は細線で示している。透過率の測定は、光源よりガラス基板を透過した光を100%としており、U−4000型自記分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で行った。
【0258】
図11に示すカラーフィルタ層CF(G)及びカラーフィルタ層CF(B)は、上記に示したカラーフィルタ層CF(G)またはカラーフィルタ層CF(B)と同じ材料をそれぞれ用い、スピンコート法の回転数をカラーフィルタ層CF(G)においては1500rpm以上、カラーフィルタ層CF(B)においては2000rpm以上とすることで膜厚を薄くし、透過率を高めたカラーフィルタ層である。
【0259】
図11より、青色の波長領域において最大透過率が80%以上であるカラーフィルタ層CF(B)は、570nm以上760nm以下の波長領域における最大透過率が5%以上であった。また、緑色の波長領域において最大透過率が75%以上であるカラーフィルタ層CF(G)は、380nm以上450nm以下の波長領域において最大透過率が10%以上であった。
【0260】
本実施例の表示装置に用いられる発光素子Bは、図9に示すように、570nm以上にスペクトルをほとんど有しない。したがって、青色の波長領域における最大透過率が80%となるようカラーフィルタ層CF(B)の膜厚を薄くして、570nm以上760nm以下の透過率が5%以上生じた場合にも、問題なく該カラーフィルタ層CF(B)を用いることができる。
【0261】
同様に、本実施例の表示装置に用いられる発光素子Gは、図9に示すように、450nm以下にスペクトルをほとんど有しない。したがって、緑色の波長領域における最大透過率が75%となるようカラーフィルタ層CF(G)の膜厚を薄くして、380nm以上450nm以下の透過率が10%以上生じた場合にも、問題なく該カラーフィルタ層CF(G)を用いることができる。
【0262】
以上示したように、本発明の一態様を適用した表示装置1及び表示装置2のように、少なくとも赤色画素のみカラーフィルタ層を設け、青色画素及び緑色画素にはカラーフィルタ層を設けない構成、あるいは透過率の高いカラーフィルタ層を用いる構成とすることによって、色純度が高く、低消費電力な表示装置を提供することができることが確認できた。
【実施例2】
【0263】
本実施例では、本発明の一態様のアクティブマトリクス型の表示装置を作製し、その特性を測定した。本実施例では、本発明の一態様である、一部の画素において、カラーフィルタ層を設けない表示装置(実施例パネル)と、全ての画素にカラーフィルタ層を設けた表示装置(比較例パネル)を作製し、その特性を比較した。測定結果を図面及び表を用いて説明する。
【0264】
まず、本実施例で作製した実施例パネル及び比較例パネルの構造について説明する。
【0265】
実施例パネルはスイッチング用のトランジスタや駆動トランジスタが設けられたシリコン基板上に、表示エリアのサイズが対角3.93inch(79.92mm×59.94mm)、R、G、Bの各画素が、457.6ppiの精細度で横1440画素、縦1080画素ずつとなるように作製した。
【0266】
実施例パネルに用いた画素は、実施例1に示した画素と同様の構成の画素である。具体的には、赤(R)の画素として実施例1に示す画素RCFを、緑(G)の画素として実施例1に示す画素GCFを、青(B)の画素として実施例1に示す画素Bと同様の構成の画素を用いた。
【0267】
比較例パネルも、実施例パネルと同様のサイズ、精細度となるように作製した。
【0268】
比較例パネルに用いた画素は、実施例1に示した画素とは異なる構成の発光素子を適用した。ここで、比較例パネルに用いた発光素子の構成について説明する。
【0269】
比較例パネルに用いた比較発光素子は、実施例1に示す発光素子と比較して、電子輸送層1114及び電子注入層1115の構造が異なっており、他の層に関しては同様の構成である。したがって、ここでは、電子輸送層及び電子注入層の構造のみについて詳細を述べる。
【0270】
比較発光素子の電子輸送層1114には、CzPAを膜厚15nm形成した。電子注入層1115としては、BPhenと、Caとを、BPhen:Ca=1:0.04(重量比)となるように共蒸着した電子注入層1115aと、CuPcを膜厚2nm形成した電子注入層1115bとの積層構造とした。
【0271】
表3に比較発光素子の素子構造を示す。
【0272】
【表3】

【0273】
上記の構造の比較発光素子R、比較発光素子G、比較発光素子Bに、それぞれカラーフィルタ層を設けた比較例画素RCF、比較例画素GCF、比較例画素BCFを用いて、比較例パネルを形成した。なお、カラーフィルタ層としては、実施例1に示すカラーフィルタ層と同様のものを用いた。
【0274】
上記の方法によって作製した実施例パネルと比較例パネルとの特性を測定した。なお、比較例パネルに用いた発光素子は、実施例パネルに用いた発光素子と電子輸送層及び電子注入層の構造が異なっているが、この違いによる発光素子の発光特性や電気特性の差は小さいため、比較例として用いて問題ない。
【0275】
図12に、実施例パネル及び比較例パネルの色度座標について示す。図12(A)には、比較例パネルを、図12(B)には実施例パネルの色度座標を示す。図12において、それぞれの表示パネルが有する赤(R)の画素は菱形のドット、緑(G)の画素は四角形のドット、青(B)の画素は三角形のドット、表示パネルが出す白色(W)は丸のドットで示した。実線はNTSCで定められたNTSC比を示す。
【0276】
比較例パネルが示す白色の色度座標は(x=0.30、y=0.37)であり、実施例パネルが示す白色の色度座標は(x=0.31、y=0.30)である。また、実施例パネル及び比較例パネルのNTSC比は、どちらも59%である。したがって、実施例パネルは、比較例パネルと比較して、青色の画素にカラーフィルタ層を設けない構成としても、色純度が同程度の表示パネルを作製できることが分かった。
【0277】
表4に、実施例パネルと、比較例パネルの消費電力及びNTSC比について示す。
【0278】
【表4】

【0279】
表4に示す点灯率20%換算の消費電力とは、点灯率が100%とした消費電力(全消費電力)の値から、スイッチング用トランジスタや駆動回路といったドライバー部が消費する電力を差し引いた電力(画素の消費電力)を元に、画素の点灯率が20%となったときの画素の消費電力を求め、そこにドライバーの電力を加えた値である。
【0280】
実施例パネルは、青の画素にはカラーフィルタ層を設けない構成としているため、全消費電力が、比較例パネルに対して0.62に抑えられ、点灯率20%換算の場合においても、0.67に抑えられている。
【0281】
また、実施例パネルは、反射性を有する電極と透光性を有する電極との間で発光層からの光を共振させる構造をそれぞれ有する発光素子を含み、色純度を高めている。したがって、一部の画素(本実施例においては青色の画素)のカラーフィルタ層を設けなくとも、全ての画素にカラーフィルタ層を設けた比較例パネルと同様のNTSC比を示す。
【0282】
以上の結果から、本実施例で作製した実施例パネルは、色再現性を保ちつつ、消費電力を低減することができた。
【0283】
(参考例)
本参考例では、実施例の発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bで用いた材料について説明する。
【0284】
<1,6mMemFLPAPrnの合成例>
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bの材料に用いたN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)を合成する例を示す。
【0285】
[ステップ1:3−メチルフェニル−3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルアミン(略称:mMemFLPA)の合成法]
【0286】
9−(3−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン3.2g(8.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.3g(24.1mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン40.0mL、m−トルイジン0.9mL(8.3mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)44.5mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にして2.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=1:1)により精製し、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の白色固体2.8gを、収率82%で得た。上記ステップ1の合成スキームを下記(J−1)に示す。
【0287】
【化3】

【0288】
[ステップ2:N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)の合成法]
【0289】
1,6−ジブロモピレン0.6g(1.7mmol)、3−メチルフェニル−3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルアミン1.4g(3.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.5g(5.1mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン21.0mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)34.9mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にして3.0時間攪拌した。攪拌後、トルエンを400mL加えて加熱し、熱いまま、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=3:2)により精製し、黄色固体を得た。得られた黄色固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の黄色固体を1.2g、収率67%で得た。
【0290】
得られた黄色固体1.0gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、317℃で黄色固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体1.0gを、収率93%で得た。上記ステップ2の合成スキームを下記(J−2)に示す。
【0291】
【化4】

【0292】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)であることを確認した。
【0293】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=2.21(s,6H)、6.67(d,J=7.2Hz,2H)、6.74(d,J=7.2Hz,2H)、7.17−7.23(m,34H)、7.62(d,J=7.8Hz,4H)、7.74(d,J=7.8Hz,2H)、7.86(d,J=9.0Hz,2H)、8.04(d,J=8.7Hz,4H)
【0294】
<2mDBTPDBq−IIの合成例>
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bの材料に用いた2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)を合成する例を示す。
【0295】
[2mDBTPDBq−IIの合成]
2mDBTPDBq−IIの合成スキームを(C−1)に示す。
【0296】
【化5】

【0297】
2L三口フラスコに2−クロロジベンゾ[f,h]キノキサリン5.3g(20mmol)、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸6.1g(20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)460mg(0.4mmol)、トルエン300mL、エタノール20mL、2Mの炭酸カリウム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物を窒素気流下、100℃で7.5時間攪拌した。室温まで冷ました後、得られた混合物を濾過して白色の濾物を得た。得られた濾物を水、エタノールの順で洗浄した後、乾燥させた。得られた固体を約600mLの熱トルエンに溶かし、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引濾過し、無色透明の濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。クロマトグラフィーは、熱トルエンを展開溶媒に用いて行った。ここで得られた固体にアセトンとエタノールを加えて超音波を照射した後、生じた懸濁物を濾取して乾燥させたところ、目的物の白色粉末を収量7.85g、収率80%で得た。
【0298】
上記目的物は、熱トルエンには比較的可溶であったが、冷めると析出しやすい材料であった。また、アセトン、エタノールなど他の有機溶剤には難溶であった。そのため、この溶解性の差を利用して、上記の様に、簡便な方法で収率よく合成することができた。具体的には、反応終了後、室温に戻して析出させた固体を濾取することで、大部分の不純物を簡便に除くことができた。また、熱トルエンを展開溶媒とした、カラムクロマトグラフィーにより、析出しやすい目的物も簡便に精製することができた。
【0299】
得られた白色粉末4.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力5.0Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色粉末を300℃で加熱して行った。昇華精製後、目的物の白色粉末を3.5g、収率88%で得た。
【0300】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)であることを確認した。
【0301】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.45−7.52(m,2H),7.59−7.65(m,2H),7.71−7.91(m,7H),8.20−8.25(m,2H),8.41(d,J=7.8Hz,1H),8.65(d,J=7.5Hz,2H),8.77−8.78(m,1H),9.23(dd,J=7.2Hz,1.5Hz,1H),9.42(dd,J=7.8Hz,1.5Hz,1H),9.48(s,1H)。
【0302】
<Ir(mppm)(acac)の合成例>
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bの材料に用いた(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))を合成する例を示す。
【0303】
[ステップ1;4−メチル−6−フェニルピリミジン(略称:Hmppm)の合成]
まず、4−クロロ−6−メチルピリミジン4.90gとフェニルボロン酸4.80g、炭酸ナトリウム4.03g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPhCl)0.16g、水20mL、アセトニトリル10mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。ここでさらにフェニルボロン酸2.28g、炭酸ナトリウム2.02g、Pd(PPhCl0.082g、水5mL、アセトニトリル10mLをフラスコに入れ、再度マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。その後この溶液に水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。得られた抽出液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタン:酢酸エチル=9:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のピリミジン誘導体Hmppmを得た(橙色油状物、収率46%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。以下にステップ1の合成スキーム(b−1)を示す。
【0304】
【化6】

【0305】
[ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(mppm)Cl])の合成]
次に、2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHmppm1.51g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)1.26gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで洗浄し、濾過することにより複核錯体[Ir(mppm)Cl]を得た(暗緑色粉末、収率77%)。以下にステップ2の合成スキーム(b−2)を示す。
【0306】
【化7】

【0307】
[ステップ3;(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))の合成]
さらに、2−エトキシエタノール40mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(mppm)Cl]1.84g、アセチルアセトン0.48g、炭酸ナトリウム1.73gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射し、反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンに溶解して濾過し、不溶物を除去した。得られた濾液を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。その後、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶化することにより、目的物を黄色粉末として得た(収率44%)。以下にステップ3の合成スキーム(b−3)を示す。
【0308】
【化8】

【0309】
上記ステップ3で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、この化合物が目的物である(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))が得られたことがわかった。
【0310】
H−NMR.δ(CDCl):1.78(s,6H),2.81(s,6H),5.24(s,1H),6.37(d,2H),6.77(t,2H),6.85(t,2H),7.61−7.63(m,4H),8.97(s,2H).
【符号の説明】
【0311】
10 表示パネル
20 シャッターパネル
30 制御部
100 基板
102 電極
102a 電極
102b 電極
102c 電極
104 導電層
104a 導電層
104b 導電層
104c 導電層
106 EL層
108 電荷発生層
108a 電荷発生層
108b 電荷発生層
110 EL層
112 電極
112a 電極
112b 電極
112c 電極
114 EL層
116 EL層
118 EL層
120 EL層
120a 発光層
120b 発光層
120c 発光層
126 絶縁層
128 対向基板
130 画素
130a 画素
130b 画素
130c 画素
132a 発光素子
132b 発光素子
132c 発光素子
134a カラーフィルタ層
134b カラーフィルタ層
134c カラーフィルタ層
206 液晶素子
207 トランジスタ
208 容量素子
230a 画素
230b 画素
401 ソース側駆動回路
402 画素部
403 ゲート側駆動回路
404 封止基板
405 シール材
407 空間
408 配線
410 素子基板
411 絶縁膜
412a トランジスタ
412b トランジスタ
412c トランジスタ
413a 電極
413b 電極
413c 電極
414 絶縁物
415a 導電層
415b 導電層
415c 導電層
417 電極
418 発光素子
418a 発光素子
418b 発光素子
418c 発光素子
419 絶縁膜
420a 画素
420b 画素
420c 画素
423 nチャネル型トランジスタ
424 pチャネル型トランジスタ
431 EL層
432 電荷発生層
433 EL層
434c カラーフィルタ層
1100 基板
1101 電極
1102 電荷発生層
1103 電極
1104 導電層
1105 導電層
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1114a 電子輸送層
1114b 電子輸送層
1115 電子注入層
1115a 電子注入層
1115b 電子注入層
1212 正孔輸送層
1213 発光層
1214a 電子輸送層
1214b 電子輸送層
1215 電子注入層
1313 発光層
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
5201 筐体
5202 表示部
5203 キーボード
5204 ポインティングデバイス
5401 筐体
5402 表示部
5403 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子、第2の発光素子及び第3の発光素子が設けられた第1の基板と、
前記第1の発光素子と重畳する第1の領域と、前記第2の発光素子と重畳する第2の領域と、前記第3の発光素子と重畳する第3の領域とを含み、少なくとも前記第3の領域にカラーフィルタ層が設けられた第2の基板と、を有し、
前記第1の発光素子は、第1の反射性を有する電極と、透光性を有する電極との間に、青色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第1の発光層、緑色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第2の発光層、及び赤色の波長領域に発光スペクトルの最大ピークを有する第3の発光層を含み、前記第1の発光層の呈する光を前記第1の反射性を有する電極と前記透光性を有する電極との間で共振させ、
前記第2の発光素子は、第2の反射性を有する電極と、前記透光性を有する電極との間に前記第1の発光層、前記第2の発光層、及び前記第3の発光層を含み、前記第2の発光層の呈する光を前記第2の反射性を有する電極と前記透光性を有する電極との間で共振させ、
前記第3の発光素子は、第3の反射性を有する電極と、前記透光性を有する電極との間に前記第1の発光層、前記第2の発光層、及び前記第3の発光層を含み、前記第3の発光層の呈する光を前記第3の反射性を有する電極と前記透光性を有する電極との間で共振させ、
前記第1の領域の、青色の波長領域における最大透過率は80%以上であり、
前記第2の領域の、緑色の波長領域における最大透過率は75%以上であり、
前記第3の領域に設けられたカラーフィルタ層は、透過中心波長を赤色の波長領域に有する表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の領域に、透過中心波長を緑色の波長領域に有するカラーフィルタ層が設けられた表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第2の領域に設けられたカラーフィルタ層は、380nm以上450nm以下の波長領域において最大透過率が10%以上である表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記第1の領域に、透過中心波長を青色の波長領域に有するカラーフィルタ層が設けられた表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の領域に設けられたカラーフィルタ層は、570nm以上760nm以下の波長領域において最大透過率が5%以上である表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記第2の発光素子は、前記第2の反射性を有する電極に接して第1の透光性を有する導電層を含み、
前記第3の発光素子は、前記第3の反射性を有する電極に接して、前記第1の透光性を有する導電層と異なる膜厚を有する第2の透光性を有する導電層を含む表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記第1の領域の面積は、前記第3の領域の面積よりも小さい表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−199231(P2012−199231A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45125(P2012−45125)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】