説明

表示装置

【課題】3D特性(クロストーク)の劣化を低減することの可能な表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネルの光射出側の表面に位相差素子が貼り合わされている。位相差素子には、遅相軸の向きの互いに異なる2種類の位相差領域(右目用位相差領域,左目用位相差領域)が各画素に対応して配置されている。各位相差領域は、他の種類の位相差領域と接して配置されており、各位相差領域のうち、他の種類の位相差領域と接する辺部は、以下の式を満たす振幅aのうねりを有している。
0<a<amax(φ)
amax(φ)=−0.7/(φ−1.2)+0.35
φ=arctan(P/(4d))
P:画素のピッチ
d:画素と位相差素子との距離

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光の偏光状態を変化させる位相差素子を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、偏光眼鏡を用いるタイプの立体映像表示装置として、左目用画素と右目用画素とで異なる偏光状態の光を射出させるものがある。このような表示装置では、視聴者が偏光眼鏡をかけた上で、左目用画素からの射出光を左目のみに入射させ、右目用画素からの射出光を右目のみに入射させることにより、立体映像の観察が可能である。
【0003】
例えば、特許文献1,2では、左目用画素と右目用画素とで異なる偏光状態の光を射出させるために、部分的に液晶セルが形成された位相差素子や、遅相軸の互いに異なる複数種類の位相差材料が配置された位相差素子を設けることが提案されている。また、例えば、特許文献3では、パターニングされた光配向膜上に液晶を塗布し、重合させることにより形成された位相差素子を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5676975号明細書
【特許文献2】米国特許第5327285号明細書
【特許文献3】米国特許第3881706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の位相差素子は、立体映像表示装置の映像表示面に配置される。そのため、位相差素子と映像表示面との距離が長い場合に、視聴者が斜め方向から映像表示面を眺めたときには、表示パネル内の液晶セルと位相差素子との位置ずれが発生し、3D特性(クロストーク)が劣化する可能性がある。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、クロストークの劣化を低減することの可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術による表示装置は、複数の画素が行列状に配置された表示パネルと、表示パネルに貼り合わされた位相差素子とを備えたものである。この表示装置において、位相差素子は、遅相軸の向きの互いに異なる2種類以上の位相差領域が各画素に対応して配置された位相差層を有している。各位相差領域は、他の種類の位相差領域と接して配置されており、各位相差領域のうち、他の種類の位相差領域と接する辺部は、以下の式を満たす振幅aのうねりを有している。
0<a<amax(φ)
amax(φ)=−0.7/(φ−1.2)+0.35
φ=arctan(P/(4d))
P:画素のピッチ
d:画素と前記位相差素子との距離
【0008】
本技術による表示装置では、位相差素子に含まれる各位相差領域において、他の種類の位相差領域と接する辺部に、以下の式を満たす振幅aのうねりが設けられている。これにより、各位相差領域の辺部のうねりに起因して、右目用画像光が左目用の位相差領域に入り込んだり、その逆に左目用画像光が右目用の位相差領域に入り込んだりする割合が従来の割合よりも低減される。
【発明の効果】
【0009】
本技術による表示装置によれば、各位相差領域の辺部のうねりに起因した光の入り込みを抑えることができるようにしたので、クロストークの劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本技術による一実施の形態に係る表示装置の構成の一例を偏光眼鏡と共に表す斜視図である。
【図2】図1の表示装置の内部構成の一例を表す断面図である。
【図3】図2の位相差素子の構成の一例を表す断面図である。
【図4】図3の配向膜の構成の一例を表す断面図である。
【図5】図3の右目用位相差領域および左目用位相差領域の遅相軸の一例を他の光学部材の遅相軸または透過軸と共に表す概念図である。
【図6】図1の偏光眼鏡の右目用光学素子および左目用光学素子の構成の一例を表す斜視図である。
【図7】図2の表示パネルおよび位相差素子の一部を拡大して表す断面図である。
【図8】φとamax(φ)との関係を表す図である。
【図9】視野角とクロストークとの関係の一例を表す図である。
【図10】図2の位相差素子の製造方法の一例について説明するための模式図である。
【図11】図1の表示装置の映像を右目で観察する際の遅相軸および透過軸の一例について説明するための概念図である。
【図12】図1の表示装置の映像を右目で観察する際の遅相軸および透過軸の他の例について説明するための概念図である。
【図13】図1の表示装置の映像を左目で観察する際の遅相軸および透過軸の一例について説明するための概念図である。
【図14】図1の表示装置の映像を左目で観察する際の遅相軸および透過軸の他の例について説明するための概念図である。
【図15】図7の境界線の一変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
1.1 表示装置の構成
1.2 偏光眼鏡の構成
1.3 位相差素子の製造方法
1.4 表示装置の基本動作
1.5 効果
2.変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[1.1 表示装置1の構成]
図1は、本技術による一実施の形態に係る表示装置1を、後述する偏光眼鏡2とともに斜視的に表したものである。図2は、図1の表示装置1の断面構成の一例を表したものである。表示装置1は、偏光眼鏡2を眼球の前に装着した観察者(図示せず)に対して立体映像を表示する偏光眼鏡方式の表示装置である。この表示装置1は、バックライトユニット10、液晶表示パネル20および位相差素子30をこの順に積層して構成されたものである。この表示装置1において、位相差素子30の表面が映像表示面1Aとなっており、観察者側に向けられている。
【0013】
なお、本実施の形態では、映像表示面1Aが垂直面(鉛直面)と平行となるように表示装置1が配置されている。映像表示面1Aは、例えば長方形状となっており、映像表示面1Aの長手方向が、例えば水平方向(図中のy軸方向)と平行となっている。観察者は偏光眼鏡2を眼球の前に装着した上で、映像表示面1Aを観察するものとする。偏光眼鏡2は円偏光タイプであり、表示装置1は円偏光眼鏡用の表示装置である。
【0014】
(バックライトユニット10)
バックライトユニット10は、液晶表示パネル20を背後から照明するものであり、例えば、反射板、光源および光学シート(いずれも図示せず)を有している。反射板は、光源からの射出光を光学シート側に戻すものであり、反射、散乱、拡散などの機能を有している。光源は、例えば、複数の線状光源が等間隔で並列配置されたり、複数の点状光源が2次元配列されたりしたものである。なお、線状光源としては、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)などが挙げられる。点状光源としては、例えば、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などが挙げられる。光学シートは、光源からの光の面内輝度分布を均一化したり、光源からの光の発散角や偏光状態を所望の範囲内に調整したりするものであり、例えば、拡散板、拡散シート、プリズムシート、反射型偏光素子、位相差板などを含んで構成されている。なお、光源は、エッジライト方式のものでもよく、その場合には、必要に応じて導光板や導光フィルムが用いられる。
【0015】
(液晶表示パネル20)
液晶表示パネル20は、複数の画素が2次元配列された透過型の表示パネルであり、映像信号に応じて各画素を駆動することによって画像を表示するものである。液晶表示パネル20は、例えば、図2に示したように、バックライトユニット10側から順に、偏光子21A、透明基板22、画素電極23、配向膜24、液晶層25、配向膜26、共通電極27、カラーフィルタ28、透明基板29および偏光子21Bを有している。
【0016】
ここで、偏光子21Aは、液晶表示パネル20の光入射側に配置された偏光板であり、偏光子21Bは液晶表示パネル20の光射出側に配置された偏光板である。偏光子21A,21Bは、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。偏光子21A,21Bはそれぞれ、例えば、偏光軸が互いに所定の角度だけ(例えば90度)異なるように配置されており、これによりバックライトユニット10からの射出光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。なお、偏光板は、板状に限定されない。
【0017】
偏光子21Aの透過軸の向きは、バックライトユニット10から射出された光を透過可能な範囲内に設定される。例えば、バックライトユニット10から射出される光の偏光軸が垂直方向となっている場合には、偏光子21Aの透過軸も垂直方向を向いており、バックライトユニット10から射出される光の偏光軸が水平方向となっている場合には、偏光子21Aの透過軸も水平方向を向いている。なお、バックライトユニット10から射出される光は直線偏光光である場合に限られるものではなく、円偏光や、楕円偏光、無偏光であってもよい。
【0018】
偏光子21Bの偏光軸の向きは、液晶表示パネル20を透過した光を透過可能な範囲内に設定される。例えば、偏光子21Aの偏光軸の向きが水平方向となっている場合には、偏光子21Bの偏光軸は偏光子21Aの偏光軸と直交する方向(垂直方向)を向いている。また、例えば、偏光子21Aの偏光軸の向きが垂直方向となっている場合には、偏光子21Bの偏光軸は偏光子21Aの偏光軸と直交する方向(水平方向)を向いている。なお、上記の偏光軸と、上記の透過軸とは互いに同義である。
【0019】
透明基板22,29は、一般に、可視光に対して透明な基板である。なお、バックライトユニット10側の透明基板22には、例えば、画素電極23に電気的に接続された駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)および配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。画素電極23は、例えば酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)からなり、画素ごとの電極として機能する。配向膜24,26は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。液晶層25は、例えばVA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶からなる。液晶層25は、図示しない駆動回路からの印加電圧により、バックライトユニット10からの射出光を画素ごとに透過または遮断する機能を有している。共通電極27は、例えばITOからなり、各画素電極23に対する共通の対向電極として機能する。
【0020】
カラーフィルタ28は、画素電極23に対応して配置された複数のフィルタ部28Aと、画素電極23の周辺領域に対応して配置されたブラックマトリクス部28Bとを有している。フィルタ部28Aは、光透過性を有しており、かつ、バックライトユニット10からの光を、例えば、赤、緑または青に色分離するようになっている。ブラックマトリクス部28Bは、遮光性を有している。液晶表示パネル20において、フィルタ部28Aと対向する部分が液晶表示パネル20の画素20Aを構成しており、画素20A内において、フィルタ部28Aは、映像表示面1A側に配置されている。
【0021】
(位相差素子30)
次に、位相差素子30について説明する。図3は、位相差素子30の構成の一例を斜視的に表したものである。位相差素子30は、液晶表示パネル20の偏光子21Bを透過した光の偏光状態を変化させるものである。位相差素子30は、液晶表示パネル20の光射出側の表面(偏光子21B)に粘着剤(図示せず)などによって貼り付けられている。位相差素子30は、例えば、図2に示したように、映像表示面1A側から順に、基材31、配向膜32および位相差層33を有している。なお、図示しないが、基材31、配向膜32および位相差層33は、液晶表示パネル20側からこの順に配置されていてもよい。
【0022】
基材31は、配向膜32および位相差層33を支持するものであり、例えば、透明樹脂フィルムによって構成されている。透明樹脂フィルムとしては、光学異方性の小さい、つまり複屈折の小さいものが好ましい。配向膜32は、液晶などの配向性材料を特定の配向させる機能を有するものである。配向膜32は、透明な樹脂、例えば、UV硬化型、電子線硬化型、または熱可塑性の透明樹脂によって構成されている。配向膜32は、基材31の表面に設けられており、例えば、図4(A)に示したように、配向方向が互いに異なる2種類の配向領域(右目用配向領域32A,左目用配向領域32B)を有している。右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bは、例えば、共通する一の方向(水平方向)に延在する帯状の形状となっており、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bの短手方向(垂直方向)に交互に配置されている。右目用配向領域32Aの長手方向(水平方向)に延在する辺部と、左目用配向領域32Bの長手方向(水平方向)に延在する辺部は、互いに接している。右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bは、液晶表示パネル20の画素20Aに対応して配置されており、例えば、液晶表示パネル20の短手方向(垂直方向)の画素ピッチに対応するピッチで配置されている。
【0023】
右目用配向領域32Aは、例えば、図4(A),(B)に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向に延在する複数の溝V1を有している。一方、左目用配向領域32Bは、例えば、図4(A),(B)に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向であって、かつ溝V1の延在方向と直交する方向に延在する複数の溝V2を有している。溝V1,V2はそれぞれ、例えば、図4(A),(B)に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3が垂直方向または水平方向を向いている場合には斜め45°方向に延在している。また、図示しないが、偏光子21Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、溝V1が例えば水平方向に延在しており、溝V2が例えば垂直方向に延在している。
【0024】
各溝V1は、一の方向に直線状に延在していてもよいし、例えば、揺らぎながら(蛇行しながら)一の方向に延在していてもよい。各溝V1の断面形状は、例えばV字状となっている。同様に、各溝V2の断面形状も、例えばV字状となっている。言い換えると、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32B全体の断面形状は、鋸歯状となっている。その溝構造において、ピッチは小さい方が好ましく、数μm以下であり、さらに好ましくは数百nm以下である。このような形状は、例えば、型を用いた転写によって一括形成される。また、配向膜32は、上記で示した溝構造によるものではなく、偏光UV照射によって形成された光配向膜であってもよい。光配向膜は、偏光UVを照射したときにUVの偏光方向に配向する材料をあらかじめ塗布しておき、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bにそれぞれ異なる方向に偏光したUV光を照射することにより製造可能である。
【0025】
位相差層33は、光学異方性を有する薄い層である。この位相差層33は、例えば、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bの表面に設けられたものである。位相差層33は、例えば、図3に示したように、遅相軸の向きが互いに異なる2種類の位相差領域(右目用位相差領域33A,左目用位相差領域33B)を有している。
【0026】
右目用位相差領域33Aは、右目用配向領域32A上に形成されており、左目用位相差領域33Bは、左目用配向領域32B上に形成されている。従って、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bは、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bと同様、共通する一の方向(水平方向)に延在する帯状の形状となっている。さらに、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bは、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bの短手方向(垂直方向)に交互に配置されている。右目用位相差領域33Aの長手方向(水平方向)に延在する辺部と、左目用位相差領域33Bの長手方向(水平方向)に延在する辺部は、互いに接しており、その互いに接する境界線Lbは、水平方向に延在している。右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bは、液晶表示パネル20の画素20Aに対応して配置されており、例えば、液晶表示パネル20の短手方向(垂直方向)の画素ピッチに対応するピッチで配置されている。なお、液晶表示パネル20の画素20Aと位相差素子30との関係については、後に詳述する。
【0027】
右目用位相差領域33Aは、例えば、図3に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向に遅相軸AX1を有している。一方、左目用位相差領域33Bは、例えば、図3に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向であって、かつ遅相軸AX1と直交する方向に遅相軸AX2を有している。遅相軸AX1,AX2はそれぞれ、例えば、図3に示したように、偏光子21Bの偏光軸AX3が垂直方向または水平方向を向いている場合には斜め45°方向を向いている。また、図示しないが、偏光子21Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、遅相軸AX1が例えば水平方向に延在しており、遅相軸AX2が例えば垂直方向を向いている。遅相軸AX1は、溝V1の延在方向を向いており、遅相軸AX2は、溝V2の延在方向を向いている。
【0028】
さらに、遅相軸AX1は、例えば、図5(A),(B)に示したように、偏光眼鏡2の右目用位相差板41A(後述)の遅相軸AX4の向きと同一の方向を向いており、偏光眼鏡2の左目用位相差板42A(後述)の遅相軸AX5の向きと異なる方向を向いている。一方、遅相軸AX2は、例えば、遅相軸AX5の向きと同一の方向を向いており、遅相軸AX4の向きと異なる方向を向いている。
【0029】
位相差層33は、例えば、重合した高分子液晶材料を含んで構成されている。すなわち、位相差層33では、液晶分子の配向状態が固定されている。高分子液晶材料としては、相転移温度(液晶相−等方相)、液晶材料の屈折率波長分散特性、粘性特性、プロセス温度などに応じて選定された材料が用いられる。
【0030】
位相差層33において、溝V1と右目用位相差領域33Aとの界面付近では、液晶分子の長軸が、溝V1の延在方向に沿うように配列しており、溝V2と左目用位相差領域33Bとの界面付近では、液晶分子の長軸が、溝V2の延在方向に沿うように配列している。すなわち、溝V1および溝V2の形状および延在方向により、液晶分子の配向が制御され、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bの光学軸が設定される。
【0031】
また、位相差層33において、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bの構成材料や厚みを調整することにより、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bのリタデーション値が設定される。このリタデーション値は、基材31が位相差を有する場合には、基材31の位相差をも考慮して設定されることが好ましい。なお、本実施の形態では、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bは互いに同一の材料および厚みにより構成され、これにより、リタデーションの絶対値が互いに等しくなっている。
【0032】
[1.2 偏光眼鏡2の構成]
次に、図1、図6を参照しつつ、偏光眼鏡2について説明する。偏光眼鏡2は、観察者(図示せず)の眼球の前に装着されるものであり、表示装置1の映像表示面1Aに映し出される映像を観察する際に観察者によって用いられるものである。この偏光眼鏡2は、例えば、円偏光眼鏡であり、例えば、図1に示したように、右目用光学素子41、左目用光学素子42、およびフレーム43を有している。
【0033】
フレーム43は、右目用光学素子41および左目用光学素子42を支持するものである。フレーム43の形状は、特に限られるものではないが、例えば、図1に示したように、観察者(図示せず)の鼻および耳にひっかける形状となっている。右目用光学素子41および左目用光学素子42は、表示装置1の映像表示面1Aと対向した状態で用いられる。右目用光学素子41および左目用光学素子42は、図1に示したように、できるだけ一の水平面内に配置した状態で用いられることが好ましいが、多少傾いた平坦面内に配置した状態で用いられてもよい。
【0034】
右目用光学素子41は、例えば、図6に示したように、右目用位相差板41Aおよび偏光板41Bを有している。右目用位相差板41Aおよび偏光板41Bは、表示装置1側から順に配置されている。一方、左目用光学素子42は、例えば、図6に示したように、左目用位相差板42Aおよび偏光板42Bを有している。左目用位相差板42Aおよび偏光板42Bは、表示装置1側から順に配置されている。
【0035】
右目用光学素子41および左目用光学素子42は、上で例示したもの以外の部材を有していてもよい。例えば、右目用光学素子41および左目用光学素子42の光射出側(観察者側)の面に、偏光板41B,42Bが破損したときに破損片が観察者の眼球に飛散するのを防止する保護フィルム(図示せず)や保護のためのコーティング層(図示せず)が設けられていてもよい。また、右目用光学素子41および左目用光学素子42は、例えば、図6に示したように、平坦な板状の形状となっていてもよいし、図示しないが、光入射側に突出した湾曲形状となっていてもよい。
【0036】
偏光板41B,42Bは、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるようになっている。例えば、図5(A),(B)に示したように、偏光板41B,42Bの偏光軸AX6,AX7はそれぞれ、表示装置1の偏光板21Bの偏光軸AX3と直交する方向を向いている。偏光軸AX6,AX7はそれぞれ、例えば、図5(A)に示したように、偏光板21Bの偏光軸AX3が垂直方向を向いている場合には水平方向を向いており、例えば、図5(B)に示したように、偏光板21Bの偏光軸AX3が水平方向を向いている場合には垂直方向を向いている。また、図示しないが、偏光板21Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、偏光軸AX6,AX7は、それと直交する方向(−45°)を向いている。
【0037】
右目用位相差板41Aおよび左目用位相差板42Aは、光学異方性を有する薄い層またはフィルムである。右目用位相差板41Aの遅相軸AX4は、図5(A),(B)に示したように、偏光軸AX6と45°で交差する方向を向いている。また、左目用位相差板42Aの遅相軸AX5は、図5(A),(B)に示したように、偏光軸AX7と45°で交差する方向を向いており、かつ遅相軸AX4と直交する方向を向いている。遅相軸AX4,AX5はそれぞれ、例えば、図5(A),(B)に示したように、偏光軸AX6,AX7が水平方向または垂直方向を向いている場合には、水平方向および垂直方向のいずれの方向とも交差する方向を向いている。また、図示しないが、偏光軸AX6,AX7が斜め45°方向を向いている場合には、遅相軸AX4が例えば水平方向を向いており、遅相軸AX5が例えば垂直方向を向いている。
【0038】
また、遅相軸AX4は、右目用位相差領域33Aの遅相軸AX1の向きと同一の方向を向いており、左目用位相差領域33Bの遅相軸AX2の向きと異なる方向を向いている。一方、遅相軸AX5は、遅相軸AX2と同一の方向を向いており、遅相軸AX1の向きと異なる方向を向いている。
【0039】
(画素20Aと位相差素子30との関係)
次に、画素20Aと位相差素子30との関係について説明する。図7は、液晶表示パネル20および位相差素子30の断面の一部を拡大して表したものである。液晶表示パネル20では、右目用の映像光を生成する画素20A(図中のRと描かれた部位)と、左目用の映像光を生成する画素20A(図中のLと描かれた部位)が1画素行ごとに交互に配置されている。画素行と直交する方向(垂直方向)において、互いに隣り合う右目用の画素20Aおよび左目用の画素20Aの間には、ブラックマトリクス部28Bが設けられている。さらに、図7には示されていないが、画素行と平行な方向(水平方向)においても、互いに隣り合う右目用の画素20A同士の間には、ブラックマトリクス部28Bが設けられている。同様に、画素行と平行な方向(水平方向)において、互いに隣り合う左目用の画素20A同士の間にも、ブラックマトリクス部28Bが設けられている。右目用の画素20Aの映像表示面1A側には、フィルタ部28Aが配置されており、このフィルタ部28Aが右目用の画素20Aの開口部として機能している。同様に、左目用の画素20Aの映像表示面1A側にも、フィルタ部28Aが配置されており、このフィルタ部28Aが左目用の画素20Aの開口部として機能している。各フィルタ部28Aの垂直方向の幅D1と、垂直方向において互いに隣接するフィルタ部28A同士の間の距離D2とは、互いに等しくなっている。
【0040】
画素20Aと位相差素子30との間には、透明基板29および偏光子21Bが配置されている。従って、透明基板29および偏光子21Bの合計厚さが画素20Aと位相差素子30との間の距離dを規定している。また、位相差層33の右目用位相差領域33Aは、右目用の画素20A(フィルタ部28A)の垂直方向の中心線Lc1と、右目用位相差領域33Aの垂直方向の中心線Lc2とが互いに同一面内となるように配置されている。同様に、位相差層33の左目用位相差領域33Bは、左目用の画素20A(フィルタ部28A)の垂直方向の中心線Lc3と、左目用位相差領域33Bの垂直方向の中心線Lc4とが互いに同一面内となるように配置されている。さらに、右目用位相差領域33Aの垂直方向の幅D3は、画素20AピッチPと等しくなっており、左目用位相差領域33Bの垂直方向の幅D4も、画素20AピッチPと等しくなっている。従って、境界線Lbと画素20Aの上端とのずれ量D5と、距離dとが、右目用の映像光の左目用位相差領域33Bへの漏れ量や、左目用の映像光の右目用位相差領域33Aへの漏れ量を規定している。より具体的には、ずれ量D5および距離dを用いて得られる角度φ(=arctan(D5/d))=arctan(P/(4d)))が、上記の漏れ量と相関関係にある。
【0041】
ところで、図7の右上の枠内には、境界線Lbの構成の一例が示されている。境界線Lbは、以下の式(1)〜(3)を満たす振幅aのうねりを有している。ここで、amax(φ)は、下記の式(4),(5)で定義される2種類のクロストークのうち悪い方の値が5%となるときの振幅aの最大値である。なお、下記の式(4),(5)は、観察方向として、上下視野角±5度の範囲を対象とする。
【0042】
0<a<amax(φ)…(1)
amax(φ)=−0.7/(φ−1.2)+0.35…(2)
φ=arctan(P/(4d))…(3)
【0043】
左目用画像光のクロストーク=(左目用画像光を、偏光眼鏡2の右目用光学素子41を介して見たときの輝度)/(左目用画像光を、偏光眼鏡2の左目用光学素子42を介して見たときの輝度)…(4)
右目用画像光のクロストーク=(右目用画像光を、偏光眼鏡2の左目用光学素子42を介して見たときの輝度)/(右目用画像光を、偏光眼鏡2の右目用光学素子41を介して見たときの輝度)…(5)
【0044】
境界線Lbは直線状となっているのが理想的であるが、実際に光学顕微鏡で観察してみると、意外にも、うねった形状となっている。境界線Lbのうねりは、配向膜32を光配向膜で構成したときに大きくなりやすく、配向膜32を後述の製造方法(型転写)で製造したときに小さくなりやすい。実際、上市されている表示装置の1つで光配向膜の境界線を計測してみると、境界線Lbのうねりは、上記の式を満たさない程に大きくなっていた。
【0045】
境界線Lbのうねりが上記の式を満たさない程に大きくなると、境界線Lbのうねりにより、クロストークが悪くなる。従って、境界線Lbのうねりをできるだけ小さくすることにより、クロストークの悪化を低減することが可能となる。図8は、クロストークが5%となるときの、角度φと、amax(φ)との関係をシミュレーションにより求めたものである。図8中のひし形のドットはd=900μmのときの結果であり、図8中の正方形のドットはd=700μmのときの結果であり、図8中の三角形のドットはd=500μmのときの結果である。なお、図8には、画素20Aおよび位相差素子30が図7に記載の関係となっていると仮定したときの結果が示されている。図8に示したシミュレーションの結果から、amax(φ)≦−0.7/(φ−1.2)+0.35を満たすとき、クロストークを5%以下に抑えることができることがわかる。
【0046】
図9は、視野角とクロストークとの関係をシミュレーションにより求めたものである。図9(A)は、パネルサイズ23インチ、画素ピッチ265μmにおける結果であり、図9(B)は、パネルサイズ47インチ、画素ピッチ542μmにおける結果であり、図9(C)は、パネルサイズ55インチ、画素ピッチ630μmにおける結果である。なお、なお、図9には、画素20Aおよび位相差素子30が図7に記載の関係となっていると仮定したときの結果が示されている。図9から、画素ピッチが大きくなるにつれて、つまり角度φが大きくなるにつれて、クロストークを5%以下に抑えることができる振幅aの最大値も大きくなることがわかる。また、図9から、画素ピッチが大きくなるにつれて、クロストークを5%以下に抑えることができる視野角の最大値も大きくなることがわかる。
【0047】
[1.3 位相差素子30の製造方法]
次に、位相差素子30の製造方法の一例について説明する。以下では、位相差素子30に含まれる配向膜32を板状の原盤を用いて製造する場合について説明しているが、ロール状の原盤を用いて製造することももちろん可能である。
【0048】
図10(A),(B)は、位相差素子30を製造する過程を示したものである。まず、右目用配向領域32Aの表面凹凸の反転パターンを有する複数の凹凸領域110Aと、左目用配向領域32Bの表面凹凸の反転パターンを有する複数の凹凸領域110Bとが表面に交互に形成された板状の原盤110を用意する。次に、原盤110の表面に、例えばUV硬化アクリル樹脂液を含むUV硬化樹脂層32Dを配置したのち、UV硬化樹脂層32Dを基材31で封止する(図10(A))。次に、図示しないが、UV硬化樹脂層32Dに紫外線を照射して、UV硬化樹脂層32Dを硬化させる。これにより、基材31上に、右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bが交互に配置された配向膜32が形成される。その後、原盤110を剥離する。
【0049】
次に、配向膜32の表面に、液晶性モノマーを含む液晶層33Dを、例えばロールコータ120でコーティングして形成する(図10(B))。このとき、液晶層33Dには、必要に応じて、液晶性モノマーを溶解させるための溶媒、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、レベリング剤などを用いることができる。溶媒としては、特に限定されないが、液晶性モノマーの溶解性が高く、室温での蒸気圧が低く、また室温で蒸発しにくいものを用いることが好ましい。室温で蒸発しにくい溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン(PGMEA)、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが挙げられる。これは、室温で蒸発しやすい溶媒を用いると、液晶層33Dを塗布形成後の溶媒の蒸発速度が速すぎて、溶媒の蒸発後に形成される液晶性モノマーの配向に乱れが生じやすくなるためである。
【0050】
続いて、図示しないが、液晶層33Dの液晶性モノマーの配向処理(加熱処理)を行う。この加熱処理は、液晶性モノマーの相転移温度以上であって、特に溶媒を用いた場合には、この溶媒が乾燥する温度以上の温度で行うようにする。ここで、前工程における液晶性モノマーのコーティングによって、液晶性モノマーと配向膜32との界面にずり応力が働き、流れによる配向(流動配向)や力による配向(外力配向)が生じ、液晶分子が意図しない方向に配向してしまうことがある。上記加熱処理は、このような意図しない方向に配向してしまった液晶性モノマーの配向状態を一旦キャンセルするために行われる。これにより、液晶層33Dでは、溶媒が乾燥して液晶性モノマーのみとなり、その状態は等方相となる。
【0051】
この後、図示しないが、液晶層33Dを相転移温度よりも少し低い温度まで徐冷する。これにより、液晶性モノマーは、配向膜32の表面に形成された右目用配向領域32Aおよび左目用配向領域32Bのパターンに応じて配向する。すなわち、液晶性モノマーが溝V1および溝V2の延在方向に沿って配向する。
【0052】
続いて、図示しないが、配向処理後の液晶層33Dに対して、例えばUV光を照射することにより、液晶性モノマーを重合させる。なお、このとき、処理温度は、一般に室温付近であることが多いが、リタデーション値を調整するために温度を相転移温度以下の温度まで上げてもよい。これにより、溝V1および溝V2の延在方向に沿って液晶分子の配向状態が固定され、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bが形成される。以上により、位相差素子30が完成する。
【0053】
[1.4 基本動作]
次に、本実施の形態の表示装置2において画像を表示する際の基本動作の一例について、図11(A),(B)〜図14(A),(B)を参照しつつ説明する。
【0054】
図11(A),(B)および図12(A),(B)は、位相差層33の右目用位相差領域33Aに入射した右目用画像光L1のみに着目し、偏光眼鏡2を介して、光L1が左右の目でどのように認識されるかを例示した概念図である。また、図13(A),(B)および図14(A),(B)は、位相差層33の右目用領域33Bに入射した左目用画像光L2のみに着目し、偏光眼鏡2を介して、光L2が左右の目でどのように認識されるかを例示した概念図である。なお、実際には、右目用画像光L1および左目用画像光L2は、混在した状態で出力されるが、図11(A),(B)〜図14(A),(B)では、説明の便宜上、右目用画像光L1と左目用画像光L2を別個に分けて記述した。
【0055】
まず、バックライト10から照射された光が液晶表示パネル20に入射している状態で、映像信号として右目用画像および左目用画像を含む視差信号が液晶表示パネル20に入力される。すると、奇数行の画素から右目用画像光L1が出力され(図11(A),(B)または図12(A),(B))、偶数行の画素から左目用画像光L2が出力される(図13(A),(B)または図14(A),(B))。
【0056】
その後、右目用画像光L1および左目用画像光L2は、位相差素子30の右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bによって楕円偏光に変換されたのち、表示装置1の映像表示面1Aから外部に出力される。その後、表示装置1の外部に出力された光は、偏光眼鏡2に入射し、右目用位相差板41Aおよび左目用位相差板42Aによって楕円偏光から直線偏光に戻されたのち、偏光板41B,42Bに入射する。
【0057】
このとき、偏光板41B,42Bへの入射光のうち右目用画像光L1に対応する光の偏光軸は、偏光板41Bの偏光軸AX6と平行となっており、偏光板42Bの偏光軸AX7と直交している。従って、偏光板41B,42Bへの入射光のうち右目用画像光L1に対応する光は、偏光板41Bだけを透過して、観察者の右目に到達する(図11(A),(B)または図12(A),(B))。
【0058】
一方、偏光板41B,42Bへの入射光のうち左目用画像光L2に対応する光の偏光軸は、偏光板41Bの偏光軸AX6と直交しており、偏光板42Bの偏光軸AX7と平行となっている。従って、偏光板41B,42Bへの入射光のうち左目用画像光L2に対応する光は、偏光板42Bだけを透過して、観察者の左目に到達する(図13(A),(B)または図14(A),(B))。
【0059】
このようにして、右目用画像光L1に対応する光が観察者の右目に到達し、左目用画像光L2に対応する光が観察者の左目に到達した結果、観察者は表示装置1の映像表示面1Aに立体画像が表示されているかのように認識することができる。
【0060】
[1.5 効果]
次に、本実施の形態の表示装置1の効果について説明する。本実施の形態では、液晶表示パネル20に貼り合わされた位相差素子30において、右目用位相差領域33Aおよび左目用位相差領域33Bの境界線Lbは、上記の式(1)〜(3)を満たす振幅aのうねりを有している。これにより、境界線Lbのうねりに起因して、右目用画像光が左目用位相差領域33Bに入り込んだり、その逆に左目用画像光が右目用位相差領域33Aに入り込んだりする割合を従来の割合よりも低減することができる。その結果、クロストークの劣化を低減することができる。
【0061】
<2.変形例>
上記実施の形態では、境界線Lbは、規則的または周期的なうねりとなっている場合が例示されていたが、例えば、不規則なうねりとなっていてもよいし、例えば、図15(A),(B)に示したように、上側または下側に弓なりに曲がっていてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、位相差素子30の位相差領域(右目用位相差領域33A,左目用位相差領域33B)が水平方向に延在している場合が例示されていたが、それ以外の方向に延在していてもかまわない。例えば、図示しないが、位相差素子30の位相差領域(右目用位相差領域33A,左目用位相差領域33B)が垂直方向に延在していていてもよい。ただし、その場合には、上記実施の形態の説明において、「垂直方向」を「水平方向」に読み替え、「水平方向」を「垂直方向」に読み替えることが必要である。
【0063】
また、上記実施の形態では、位相差素子30の位相差領域は2種類しかなかったが、3種類以上あってもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、偏光眼鏡2が円偏光タイプであり、表示装置1としては円偏光眼鏡用の表示装置である場合について説明をしたが、偏光眼鏡2が直線偏光タイプであり、表示装置1として直線偏光眼鏡用の表示装置である場合についても本技術を適用できる。
【0065】
なお、本明細書において、「等しい」、「同一」、「平行」、「直交」、「垂直」、「水平」という場合には、本技術の効果を損なわない限度において、それぞれが、略等しい、略同一、略平行、略直交、略垂直、略水平の場合を含むものとする。例えば、製造誤差、バラツキ等の諸要因に起因する誤差を含んでもよいものとする。
【0066】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(A)
複数の画素が行列状に配置された表示パネルと、
前記表示パネルに貼り合わされた位相差素子と
を備え、
前記位相差素子は、遅相軸の向きの互いに異なる2種類以上の位相差領域が各画素に対応して配置された位相差層を有し、
各位相差領域は、他の種類の位相差領域と接して配置されており、
各位相差領域のうち、他の種類の位相差領域と接する辺部は、以下の式を満たす振幅aのうねりを有する
表示装置。
0<a<amax(φ)
amax(φ)=−0.7/(φ−1.2)+0.35
φ=arctan(P/(4d))
P:前記画素のピッチ
d:前記画素と前記位相差素子との距離
(B)
前記表示パネルは、各画素のうち前記位相差素子側に、光透過性のフィルタ部を有し、さらに、前記フィルタ部と同一面内にブラックマトリクス部を有し、
前記位相差領域は、当該位相差領域の中心線と前記フィルタ部の中心線とが互いに同一面内となるように配置されている
(A)に記載の表示装置。
(C)
各フィルタ部の幅と、互いに隣接するフィルタ部同士の間の距離とは、互いに等しくなっている
(B)に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0067】
1…表示装置、1A…映像表示面、2…偏光眼鏡、10…バックライトユニット、20…液晶表示パネル、20A…画素、21A,21B…偏光子、22,29…透明基板、23…画素電極、24,26…配向膜、25…液晶層、27…共通電極、28…カラーフィルタ、28A…フィルタ部、28B…ブラックマトリクス部、30…位相差素子、31…基材、32…配向膜、32A…右目用配向領域、32B…左目用配向領域、33…位相差層、33A…右目用位相差領域、33B…左目用位相差領域、41…右目用光学素子、41A…右目用位相差領域、41B,42B…偏光板、42…左目用光学素子、42A…左目用位相差板、43…フレーム、AX3,AX6,AX7…偏光軸、AX1,AX2,AX4,AX5…遅相軸、L1…右目用画像光、L2…左目用画像光、Lb…境界線、V1,V2…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に配置された表示パネルと、
前記表示パネルに貼り合わされた位相差素子と
を備え、
前記位相差素子は、遅相軸の向きの互いに異なる2種類以上の位相差領域が各画素に対応して配置された位相差層を有し、
各位相差領域は、他の種類の位相差領域と接して配置されており、
各位相差領域のうち、他の種類の位相差領域と接する辺部は、以下の式を満たす振幅aのうねりを有する
表示装置。
0<a<amax(φ)
amax(φ)=−0.7/(φ−1.2)+0.35
φ=arctan(P/(4d))
P:前記画素のピッチ
d:前記画素と前記位相差素子との距離
【請求項2】
前記表示パネルは、各画素のうち前記位相差素子側に、光透過性のフィルタ部を有し、さらに、前記フィルタ部と同一面内にブラックマトリクス部を有し、
前記位相差領域は、当該位相差領域の中心線と前記フィルタ部の中心線とが互いに同一面内となるように配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
各フィルタ部の幅と、互いに隣接するフィルタ部同士の間の距離とは、互いに等しくなっている
請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−33175(P2013−33175A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170008(P2011−170008)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】