説明

表示装置

本発明の表示装置は、電気泳動表示体の前面側に光が入射しなくなると(ステップS102「Yes」)、前記電気泳動表示体の全画素を白色とする(ステップS103)。そのため、前記電気泳動表示体に表示されているコンテンツをそのまま複写するために、複写機のコンタクトガラスに前記電気泳動表示体の前面側が伏せて載置されると、前記電気泳動表示体に表示されていたコンテンツが全て消去され、その結果、前記電気泳動表示体に表示されているコンテンツがそのまま前記複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコンテンツを反射型表示体等に表示させる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示装置としては、例えば、特開平11−271799号公報に記載されているように、電子書籍等のコンテンツをコレステリック液晶や電気泳動型表示体等の反射型表示体に表示させて、利用者に当該コンテンツを閲覧させる表示装置がある。
ところで、このような表示装置にあっては、コンテンツを反射型表示体に表示させるようになっているため、例えば、表示装置の軽量化・薄型化が進むと、複写機のコンタクトガラスに反射型表示体の表示画面を伏せて載置することで、表示画面に表示されているコンテンツをそのまま複写するという複製行為ができるようになってしまう恐れがある。
【0003】
ところが、現在の表示装置は、重く厚いものが主流であり、複写機のコンタクトガラスに載置することが困難であろうことから、問題視されていないのが現状である。すなわち、従来のコピープロテクション方式は、コンテンツのデータの複製行為を禁止するものであり、電子媒体間の複製行為に対する防御策である。そのため、表示画面に表示されているコンテンツを直接複写することに対しては全く無防備な状態である。つまり、現在の表示装置には、表示画面に表示されているコンテンツを、そのまま複写機等の撮像手段で複写するような方法で複製することを防止する技術的手段が存在しないのである。
【0004】
そこで本発明は、上記従来の技術の未解決の問題点を解決することを目的とするものであって、表示画面に表示されているコンテンツが、撮像手段でそのまま容易に撮像されてしまうことを防止することができる表示装置を提供することを課題とする。
【発明の開示】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の表示装置は、所定のコンテンツを所定の表示体に表示させる表示装置であって、所定の撮像手段の撮像対象となっていることを検出する検出手段と、その検出手段で前記撮像対象となっていることが検出されると前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とする表示制御手段を備えたことを特徴とする。撮像が困難な表示状態としては、それまで表示していたコンテンツの一部だけを消去した表示状態や、全てを消去した表示状態、当該コンテンツとは別のコンテンツを表示した表示状態等を挙げることができる。
【0006】
また、前記所定の表示体は、表示画面に入射する外光を反射させることで表示を行う反射型表示体であってもよい。
さらに、前記所定の表示体は、電力の供給がなくなってもそれまでの表示内容をそのまま表示し続ける記憶性表示体であってもよい。
また、前記撮像手段は、複写機、スキャナ或いはデジタルカメラであってもよい。
【0007】
このような構成によれば、表示画面に表示されているコンテンツを撮像しようとすると、表示画面の表示状態が撮像困難な表示状態となるため、表示装置に表示されているコンテンツが撮像手段でそのまま容易に撮像されてしまうことを防止することができる。
さらに、前記検出手段は、表示画面側に接触する接触物があることを検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で前記接触物があることが検出されると表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とするようにしてもよい。
【0008】
また、前記検出手段は、表示画面の遮光状態を検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で前記表示画面が遮光されていることが検出されると前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とするようにしてもよい。
このような構成によれば、例えば、表示画面に表示されているコンテンツを複写するために、複写機のコンタクトガラスに表示画面が伏せて載置され、表示画面側が前記コンタクトガラスに接触したときに、或いは表示画面が遮光されたときに、表示画面の表示状態が撮像困難な表示状態とすることができ、その結果、表示装置に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0009】
また、前記検出手段は、表示画面への入射光量を検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で検出される前記入射光量が所定閾値以上であるときに前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とするようにしてもよい。
このような構成によれば、例えば、表示画面に表示されているコンテンツを複写するために、複写機のコンタクトガラスに表示画面が伏せて載置された後、複写機からスキャン光が発せられたときに、表示画面の表示状態が撮像困難な表示状態とすることができ、その結果、表示装置に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0010】
さらに、前記表示体の駆動方式は、アクティブマトリックス駆動方式であり、前記検出手段は、前記表示体の各画素に対応するアクティブ素子に設けられた受光センサを含むことを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、利用者が受光センサを積極的に塞いでしまうことや、過って塞いでしまうことで、表示画面に入射する光(例えば、複写機から発せられるスキャン光、或いは撮像装置から発せられるフラッシュ光)の検出が妨げられてしまうことを防止することができ、その結果、表示体に表示されているコンテンツが撮像手段でそのまま容易に撮像されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0011】
また、前記検出手段は、表示画面内の異なる箇所への入射光量をそれぞれ検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で検出される前記異なる箇所への入射光量の差が所定閾値以上であるときに前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とすることを特徴とする。なお、表示画面内の異なる箇所としては、例えば、表示画面の外縁のうち互いに向き合った辺の近傍部や表示画面の外縁のうち互いに向き合った角の近傍部等を挙げることができる。
【0012】
このような構成によれば、例えば、表示画面に表示されているコンテンツを複写するために、複写機のコンタクトガラスに表示画面を伏せて載置された後、スキャン光の照射が開始され、複写機から照射されるスキャン光が表示画面の平面視上側にのみ入射し、平面視下側には入射していない状態となったときに、表示画面の表示状態を撮像困難な表示状態とすることができ、その結果、表示装置に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0013】
また、前記表示画面に表示されているコンテンツの複製が許されているか否かを判定する判定手段と、その判定手段で前記コンテンツの複製が許されていると判定されたときに前記表示制御手段の動作を禁止する動作禁止手段とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、コンテンツ作成時にコンテンツのデータの複製が許されていると判定させるようにしておくことで、自身で作成したコンテンツの複製が困難となってしまうことを防止することができ、その結果、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[図1]本発明の第1実施形態の電子ブックリーダの概略構成図である。
[図2]図1の電子ブックリーダの内部構成を示すブロック図である。
[図3]表示消去処理を示すフローチャートである。
[図4]実施形態の動作を説明するための説明図である。
[図5]実施形態の動作を説明するための説明図である。
[図6]第2実施形態の表示消去処理を示すフローチャートである。
[図7]第3実施形態の表示消去処理を示すフローチャートである。
[図8]本発明の変形例を説明するための説明図である。
[図9]本発明の変形例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像表示装置として、所定のページに区切られた電子ブックのコンテンツを閲覧するための電子ブックリーダの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の外形を示す概略構成図である。また、図2は、本発明の一実施形態の内部構成を示すブロック図である。この図2に示すように、電子ブックリーダ1は、CPU(Central Processing Unit)2、RAM(Random Access Memory)3、ROM(Read Only Memory)4、ページ送りボタン5、ページ戻しボタン6及び決定ボタン7が接続されたI/O8、VRAM(Video Ram)9、ディスプレイコントローラ10、表示装置11、タッチパネル12が接続されたタッチパネルI/O13及び2つの受光センサ14が接続されたセンサI/O15を含んで構成される。そして、ページ送りボタン5、ページ戻しボタン6、決定ボタン7、表示装置11、タッチパネル12及び受光センサ14を除く各部は、バス16で互いに接続されている。
【0016】
これらのうちCPU2は、ROM4に格納された基本制御プログラムやアプリケーションプログラム等の各種プログラム及びデータを読み込み、それら各種プログラム及びデータをRAM3内に設けられるワークエリアに展開して実行し、電子ブックリーダが備える各部の制御を実行する。また、CPU2は、I/O8からページ送り信号が出力されると、表示装置11に表示されているコンテンツの次ページのコンテンツの画像データ(以下、ラスタデータとも呼ぶ。)を生成し、そのラスタデータをVRAM9に格納させる。
【0017】
さらに、CPU2は、所定時間(例えば、10msec.)が経過するたびに、表示消去処理(後述)を実行し、受光センサ14が光を検出できなくなると、電気泳動表示体17(後述)に表示されているコンテンツが消去されるように表示装置11を制御する。
また、RAM3は、各種プログラムを展開するワークエリアを形成するとともに、CPU2により実行される各種処理に係るデータを展開するためのメモリ領域を形成する。
【0018】
さらに、ROM4は、CPU2により実行される基本制御プログラムや各種アプリケーションプログラム及びデータ等を格納する。なお、ROM4内の各種プログラム及びデータ等は、いずれもCPU2により読み取り及び実行可能な形式で格納されている。
また、I/O8は、それまでのコンテンツの次ページのコンテンツを表示装置11に切換表示させるためのページ送りボタン5、前ページのコンテンツを表示装置11に切換表示させるためのページ戻しボタン6及び決定ボタン7が接続されている。そして、I/O8は、ページ送りボタン5が押下操作されると、ページ送り信号をCPU2に出力する。
【0019】
さらに、VRAM9は、CPU2からの書き込み要求に従って、ラスタデータを格納する。また、VRAM9は、ディスプレイコントローラ10からの読み出し要求に従って、その格納されたラスタデータをディスプレイコントローラ10に出力する。
また、ディスプレイコントローラ10は、VRAM9に格納されているラスタデータを読み出し、その読み出されたラスタデータに基づいて、ゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データを生成する。そして、ディスプレイコントローラ10は、その生成されたゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データを、表示装置11のゲートドライバ18(後述)及びソースドライバ19(後述)に分配出力する。
【0020】
また、表示装置11は、複数の画素がアレイ状に形成された電気泳動表示体17、つまり、表示画面に入射する外光を反射させることで表示を行い、且つ、電力の供給がなくなってもそれまでの表示内容をそのまま表示し続ける表示体を中央に備える。また、表示装置11は、その電気泳動表示体17の平面視左側に、ゲートドライバ18を備え、さらに、電気泳動表示体17の平面視上側に、ソースドライバ19を備える。そして、表示装置11は、ディスプレイコントローラ10から出力されるゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データに基づいてゲートドライバ18及びソースドライバ19を駆動し、電気泳動表示体17の各画素に所定電圧を印加することで、それら駆動用データに対応するラスタデータ(コンテンツの画像)を電気泳動表示体17に表示する。
【0021】
また、タッチパネルI/O13は、電気泳動表示体17の前面側を覆うように配されたタッチパネル12が接続されている。そして、タッチパネルI/O13は、タッチパネル12が押圧操作されると、操作位置を示すタッチパネル信号をCPU2に出力する。
さらに、センサI/O15は、電気泳動表示体17の平面視右上方及び左下方それぞれに配された2つの受光センサ14が接続されている。そして、センサI/O15は、電気泳動表示体17の前面側への入射光量を検出し、その検出結果をCPU2に出力する。
【0022】
次に、受光センサ14が光を検出できなくなったときに、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツを消去する表示消去処理を、図3のフローチャートに従って説明する。この表示消去処理は、所定時間が経過するたびに実行される処理であって、まず、そのステップS101では、電気泳動表示体17への入射光量を2つの受光センサ14それぞれに検出させ、それら2つの受光センサ14による検出結果それぞれを読み込む。
【0023】
次にステップS102に移行して、表示画面が遮光されているか、つまり、2つの受光センサ14のうちに光を検出できない状態にあるものが1つでもあるか否かを判定し、光を検出できない状態にあるものが1つでもある場合には(Yes)ステップS103に移行し、1つもない場合には(No)そのままこの演算処理を終了する。なお、受光センサ14が光を検出できない状態にあるか否かを判定する方法としては、前記ステップS101で検出された入射光量が正値である第1閾値(≒0)以下であるか否かを判定し、第1閾値以下である場合に、光を検出できない状態にあると判定する方法が挙げられる。
【0024】
前記ステップS103では、電気泳動表示体17の全画素を白色とするラスタデータを生成し、そのラスタデータをVRAM9に格納させてから、この演算処理を終了する。
次に、本実施形態の電子ブックリーダ1の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、図4に示すように、電子ブックリーダ1の電気泳動表示体17に表示されているコンテンツをそのまま複写するために、利用者が電子ブックリーダ1の前面側を複写機のコンタクトガラスに伏せて載置したとき、つまり、2つの受光センサ14で検出される電気泳動表示体17への入射光量が「0」となったときに、CPU2で表示消去処理が実行されたとする。すると、図3に示すように、まず、そのステップS101で、電気泳動表示体17への入射光量「0」が2つの受光センサ14それぞれから読み込まれ、ステップS102の判定が「Yes」となり、ステップS103で、電気泳動表示体17の全画素を白色とするラスタデータが生成され、そのラスタデータがVRAM9に格納される。
【0025】
そして、ディスプレイコントローラ10で、VRAM9に格納されているラスタデータが読み出され、その読み出されたラスタデータに基づいてゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データが生成され、その生成されたゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データが表示装置11に出力される。そして、表示装置11で、その出力されたゲートドライバ駆動用データ及びソースドライバ駆動用データに基づいてゲートドライバ18及びソースドライバ19が駆動され、電気泳動表示体18の全画素に等しい電圧が印加されて、図5に示すように、電気泳動表示体17の全画素が白色とされ、その結果、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツが全て消去される。
【0026】
このように、本実施形態の電子ブックリーダ1にあっては、電気泳動表示体17の前面側に光が入射しなくなった場合に、電気泳動表示体17の全画素を白色とするようにした。そのため、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツをそのまま複写するために、複写機のコンタクトガラスに電気泳動表示体17の前面側が伏せて載置されたときに、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを全て消去することができ、その結果、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0027】
次に、本発明の表示装置の第2実施形態について説明する。この実施形態は、電気泳動表示体17への入射光量が十分に大きい第2閾値以上であるときに、つまり、複写機から発せられるスキャン光が電気泳動表示体17の前面側に入射しているときに、電気泳動表示体17の全画素を白色とするようにした点が上記第1実施の形態と異なっている。具体的には、上記第1実施形態のCPU2で行われる表示消去処理の図3のステップS102が、図6のステップS102’に変更されている。このステップS102’は、前記ステップS101で検出された入射光量が第2閾値(=複写機から発せられるスキャン光の強さ)以上であるか否かを判定し、第2閾値以上である場合には(Yes)ステップS103に移行し、そうでない場合には(No)そのままその演算処理を終了する。
【0028】
なお、この図6の演算処理は、前記第1実施形態の図3の演算処理と同等のステップを多く含んでおり、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このように、本実施形態の電子ブックリーダ1にあっては、電気泳動表示体17の前面側に強い光が入射した場合に、電気泳動表示体17の全画素を白色とするようにした。そのため、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツをそのまま複写するために、複写機のコンタクトガラスに電気泳動表示体17の前面側が伏せて載置された後、複写機からスキャン光が発せられたときに、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを全て消去することができ、その結果、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、電気泳動表示体17の平面視右上側及び左下側のそれぞれに受光センサ14を配する例を示したが、これに限られるものではなく、例えば、電気泳動表示体17の駆動方式がアクティブマトリックス駆動方式である場合には、電気泳動表示体17の各画素に対応するアクティブ素子(トランジスタ)に受光センサ14を設けるようにしてもよい。そのようにすれば、利用者が受光センサ14を積極的に或いは過って塞いでしまうことで、受光センサ14によるスキャン光の検出が妨げられてしまうことを防止することができ、その結果、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0030】
また、電気泳動表示体17への入射光量が十分に大きい第2閾値以上であるときにのみ、当該電気泳動表示体17に表示されているコンテンツを全て消去する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、受光センサ14による受光量が第2閾値以上であるときに加えて、受光センサ14の受光量が第1閾値(≒0)以下であるときにも前記コンテンツを全て消去するようにしてもよい。そのようにすれば、利用者が受光センサ14を積極的に或いは過って塞いでしまい、受光センサ14によるスキャン光の検出が妨げられる状態となったときにも、コンテンツを全て消去することができ、その結果、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0031】
また、電気泳動表示体17の平面視右上方の受光センサ14で検出される入射光量と左下方の受光センサ14で検出される入射光量の差が第3閾値(≒0)以上であるときに、前記コンテンツを全て消去するようにしてもよい。そのようにすれば、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツを複写するために、複写機のコンタクトガラスに電気泳動表示体17の前面側が伏せて載置された後、スキャン光の照射が開始され、複写機から発せられるスキャン光が電気泳動表示体17の平面視上側にのみ入射し、平面視下側には入射していない状態となったときに、コンテンツを消去することができ、その結果、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツがそのまま複写機で容易に複写されてしまうことを防止することができる。
【0032】
さらに、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツを複写機で複写するためのスキャン光が検出されたときに、当該コンテンツを全て消去するようにした例を示したが、これに限られるものではない。例えば、コンテンツをスキャナでイメージスキャンするためのスキャン光が検出されたときに、当該コンテンツを消去するようにしてもよく、また、前記コンテンツをデジカメで撮像するためのフラッシュ光が検出されたときに、当該コンテンツを消去するようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明の表示装置の第3実施形態について説明する。この実施形態は、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツのデータに当該コンテンツの著作権保護の必要がないこと、つまり、当該コンテンツの複製が許されていることを積極的に示す保護不要フラグデータが含まれている場合には、電気泳動表示体17の全画素を白色とする動作を禁止するようにした(電気泳動表示体17に表示されているコンテンツが自動的に消去されないようにした)点が上記第1実施の形態と異なっている。具体的には、上記第1実施形態のCPU2で行われる表示消去処理の図3のステップS101とS102との間に、図7のステップS101’が挿入されている。このステップS101’は、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツのデータに保護不要フラグデータが含まれているか否かを判定し、保護不要フラグデータが含まれていない場合には(No)ステップS102に移行し、保護不要フラグデータが含まれている場合には(Yes)そのままその演算処理を終了する。なお、この保護不要フラグデータは、コンテンツの作成時に(コンテンツ作成者)のみ当該コンテンツのデータに含ませることができるデータであるとする。
【0034】
なお、この図7の演算処理は、前記第1実施形態の図3の演算処理と同等のステップを多く含んでおり、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このように、本実施形態の電子ブックリーダ1にあっては、保護不要フラグデータが含まれている場合には、電気泳動表示体17の全画素を白色とする動作を禁止するようにした。そのため、コンテンツ作成時に、当該コンテンツのデータに保護不要フラグデータを含ませておくことで、自身で作成したコンテンツの撮像(複写)が困難となってしまうことを防止することができ、その結果、利便性を向上することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、コンテンツの著作権保護の必要がないことを積極的に示す保護不要フラグデータが含まれているとき、つまり、当該コンテンツの著作権保護が必要ないと判定されているときに、前記コンテンツを消去することを禁止する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、著作権保護の必要があることを示すデータが含まれていないときに前記消去を禁止するようにしてもよい。具体的には、例えば、規定回数以上のデータの複写を禁じるためのSCMS(Serial Copy Management System)の複写フラグが含まれているか否かを判定し、複写フラグが含まれていない場合には、前記消去を禁止するようにしてもよい。なお、その際、例えば、メディアID方式等の認証が必要な著作権保護形式にあっては、認証がされたコンテンツを、著作権保護が必要ないコンテンツとは異なるメモリ空間に格納するようにする。
【0036】
以上、上記実施形態にあっては、図2の電気泳動表示体17が請求の範囲に記載の表示体を構成し、以下同様に、図1及び図2の受光センサ14、図3及び図6のステップS101が検出手段を構成し、図2のCPU2、図3のステップS102及びS103、図6のステップS102’及びS103が表示制御手段を構成し、図7のステップS101’が判定手段及び動作禁止手段を構成する。
【0037】
また、本発明の表示装置は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態では、電気泳動表示体17の平面視右上側及び左下側に設けられた受光センサ14の検出結果に基づいて電気泳動表示体17に表示されているコンテンツを全て消去する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、電子ブックリーダ1の前面側に接触物が接触していることを検出する接触センサを受光センサ14に代えて設け、その接触センサによって電気泳動表示体17の前面側に接触する接触物があることが検出されたときに、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを全て消去するようにしてもよい。そのようにすれば、電気泳動表示体17に表示されているコンテンツをそのまま複写するために、光学式の複写機のコンタクトガラスに電気泳動表示体17の前面側が伏せて載置され、電気泳動表示体17の前面側が前記コンタクトガラスに接触したときに、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを全て消去することができる。
【0038】
また、電気泳動表示体17の全画素を白色とすることで、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを全て消去する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、図8に示すように、当該コンテンツの一部のみを消去するようにしてもよいし、図9に示すように、当該コンテンツとは別のコンテンツを表示させるようにしてもよい。
さらに、電子ブックのコンテンツを表示させる表示体として反射型表示体である電気泳動表示体17を用いる例を示したが、これに限られるものではない。例えば、コレステリック液晶パネル等、電気泳動表示体17以外の反射型表示体を用いるようにしてもよい。
【0039】
また、単に電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを消去する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツを一旦消去するときに、それまで電気泳動表示体17に表示されていたコンテンツのラスタデータを保持させておく状態保持部を電子ブックリーダ1の内部に設け、その一旦消去したコンテンツを再表示するときに、前記状態保持部に保持されているラスタデータを用いることで、前記一旦消去したコンテンツを容易に再表示できるようにしてもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコンテンツを所定の表示体に表示させる表示装置であって、所定の撮像手段の撮像対象となっていることを検出する検出手段と、その検出手段で前記撮像対象となっていることが検出されると前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とする表示制御手段を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記所定の表示体は、表示画面に入射する外光を反射させることで表示を行う反射型表示体であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記所定の表示体は、電力の供給がなくなってもそれまでの表示内容をそのまま表示し続ける記憶性表示体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、複写機、スキャナ或いはデジタルカメラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記検出手段は、表示画面側に接触する接触物があることを検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で前記接触物があることが検出されると表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記検出手段は、表示画面の遮光状態を検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で前記表示画面が遮光されていることが検出されると前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記検出手段は、表示画面への入射光量を検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で検出される前記入射光量が所定閾値以上であるときに前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示体の駆動方式は、アクティブマトリックス駆動方式であり、前記検出手段は、前記表示体の各画素に対応するアクティブ素子に設けられた受光センサを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記検出手段は、表示画面内の異なる箇所への入射光量をそれぞれ検出し、前記表示制御手段は、前記検出手段で検出される前記異なる箇所への入射光量の差が所定閾値以上であるときに前記表示画面の表示状態をコンテンツの撮像が困難な表示状態とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示画面に表示されているコンテンツの複製が許されているか否かを判定する判定手段と、その判定手段で前記コンテンツの複製が許されていると判定されたときに前記表示制御手段の動作を禁止する動作禁止手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置。

【国際公開番号】WO2005/057538
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516201(P2005−516201)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018505
【国際出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】