説明

表示警告灯

【課題】 道路工事用などの大きさ屋設置場所に制限のある場合でも、小型化が容易でしかも無理なく必要な文字情報や工事中を表す画像をスクロール表示できる表示警告灯を提供する。
【解決手段】S個のLED2を一定間隔tで直線状に配列したLEDユニットバー3のn列を、円周方向に等間隔(360°/n)に中心部より外周部にかけ半径方向に沿って配置するとともに、隣接する発光素子ユニットバーの最外周側の間隔を前記tの整数倍にする。前記各LEDユニットバー3にてLED2により表示する画像データ数は、LEDユニットバー3の各段のLED2の、円形中心位置からの半径方向の距離に応じて外周側データを内周側データに比べて段階的に増やすとともに、前記発光素子ユニットバー間の仮想表示領域におけるデータは、最外周側データを基本にしてmと設定し、内周側については同一のデータを重複させることによりデータ数がmになるように設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(発光ダイオード)などの発光素子を一定間隔で直線状に配列した発光素子ユニットバー表示器が中心部より外周部かけ半径方向に沿って円周方向に等間隔に配列された表示警告灯に関するもので、詳しくは、道路工事などで使用されるところの、スクロール表示警告灯に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDなどの発光素子を用いたスクロール表示灯として、複数の発光素子が一定間隔で縦に直線状に配列された発光素子列を、前記発光素子間の間隔と同じ間隔で横に長く並べたドットマトリックス式表示パネルが実用化されている。この種の表示パネルは、例えば16×16ドットで1文字を構成するビットマップ形式の文字列データを順次作成し、横方向に文字列を一定速度でスクロール表示するものが一般的である。このように文字列を横方向に移動させて表示するスクロール表示灯において表示する文字数を増やすためには、表示パネルの横方向のドット数(発光素子の数)を大幅に増やす必要があり、表示パネルの長さが長くなり、またコストも大幅にアップする。
【0003】
そこで、目の錯覚(残像)を利用して発光素子を一定間隔で縦に直線状に配列した発光素子ユニットバー表示器を、横方向に前記発光素子間の間隔の5倍以上の間隔をあけて複数列配列し、発光素子ユニットバー表示器間の仮想空間部にも発光素子ユニットバー表示器が存在するものと想定して例えば16×16ドットで1文字を構成したビットマップ形式の文字列の画像データを順次供給し、横方向に移動するスクロール表示を行うスクロール表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスクロール表示装置によれば、発光素子ユニットバー表示器の所定位置の発光素子が画像データに基づいて順次発光させ、スクロール表示する。結果的には、5列以上の発光素子ユニットバー表示器のうち1列だけが発光するが、スクロールの速度をある程度上げることで、仮想空間部における画像データ(文字列)も認識できるようになる。
【特許文献1】特開平8−179717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術に係るスクロール表示装置には、大型サイズの表示装置を低価格で実現できるなどの効果を有するが、つぎのような点で改良の余地がある。すなわち、上記スクロール表示装置は、縦向きのユニットバー表示器が発光素子間隔の5倍以上の間隔をあけて横方向に複数列平行に並べて配置される構造であるから、とくに道路工事用などの設置場所や大きさに制限を受ける表示警告灯には、不向きである。
【0005】
また、道路工事用の表示警告灯にあっては、しばしば電力の供給先が問題になる。工事車両に発電装置を搭載しているときでも、その工事車両から表示装置の設置場所まで電源ケーブルを敷設しなければならない上に、電源ケーブルの管理も必要になるからである。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、道路工事用などの大きさや設置場所に制限のある場合でも、小型化が容易でしかも無理なく必要な文字情報や工事中を表す画像などをスクロール表示できる表示警告灯を提供することを目的としている。また、道路上などに設置する場合に、電力供給を受けずに長時間にわたり点灯させることができる太陽光発電パネル装置を備えた表示警告灯を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するために本発明に係る表示警告灯は、つぎの事項(1)〜(5)により特定されることを特徴とする。
【0008】
(1) S個の発光素子を一定間隔tで直線状に配列した発光素子ユニットバーのn列を、円周方向に等間隔(360°/n)に中心部より外周部にかけ半径方向に沿って配置するとともに、隣接する発光素子ユニットバーの最外周側の間隔を前記tの整数倍にする。
【0009】
(2) 前記各発光素子ユニットバーにて発光素子により表示する画像データ数は、発光素子ユニットバーの各段の発光素子の、円形中心位置からの半径方向の距離に応じて外周側データを内周側データに比べて段階的に増やすとともに、前記発光素子ユニットバー間の仮想表示領域におけるデータは、最外周側データを基本にしてmと設定し、内周側については同一のデータを重複させることによりデータ数がmになるように設定する。
【0010】
(3) 表示させる画像データを、前記発光素子ユニットバー間の仮想表示領域のデータmを含むビットマップ形式の画像データで構成する。
【0011】
(4) 前記画像メモリをリードアクセスし、読み出した連続するs個の列データを第1の発光素子ユニットバーの位置に該当するライトポイントに書き込み、以下順次各発光素子ユニットバーの位置に該当するライトポイントに前記画像メモリから読み出した前記列データを書き込む。ここで、前記各列データをラッチして各発光素子ユニットバーの発光素子に出力して表示する。この状態で、スクロールポイントに1を加算してつぎの表示の準備をし、前記の手順を繰り返すことによりスクロール表示する。
【0012】
(5) 前記各発光素子ユニットバーのドライブ回路にシフトレジスタを介して前記画像データを分配するとともに、前記画像データを全体的に同期制御しスクロール表示をするための中央制御装置を備える。
【0013】
上記の事項(1)〜(5)により特定される表示警告灯によれば、例えば「工事中注意」の文字列や工事中を表す図形を含むビットマップ形式の画像データが、円周方向に等間隔に配列された各発光素子ユニットバーの発光素子に対し分配して同時に出力される。このとき、各発光素子ユニットバーの内周側の発光素子に比べて外周側の発光素子に対しては出力される画像データの量が多く、いったんラッチされたのち、発光素子に出力される時間(発光の間隔)が外周側ほど長くなる。
【0014】
また、この画像データは、1の発光素子ユニットバーとつぎの発光素子ユニットバーとの仮想表示領域におけるデータ数mの間隔(m+1)をあけて各列の発光素子ユニットバーに同時に出力される。そして、順次つぎの画像データに更新されたのち、更新されたデータが出力されると同時に、更新前のデータは仮想表示領域へ移動してスクロール表示される。
【0015】
いいかえれば、上記の画像データは、同一円周(各段の発光素子位置)上のデータ単位で同一方向(例えば時計方向)に一定速度でスクロールすることによって、発光素子ユニットバー間の仮想空間部(仮想表示領域)における画像データ(文字列)も含めて画像データの全体像がはっきりと認識されるが、同一円周(各段)上の画像データの量(データ量)は、各段の中心位置からの半径方向における距離に比例し、内周側より外周側に行くにしたがって多くなる。しかし、最外周のデータを基本にmと設定し、外周側に比べてデータ数が減少している内周側についても、最外周のデータ数mと等しくするために同一のデータを重複して設定している。このため、スクロール表示した際には、内周側に行くにしたがってデータの変化が少ないように見える。また、各発光素子ユニットバーに出力される画像データの時間的間隔は外周側ほど内周側に比べて長くなったように見える。この結果、円周方向の各列の発光素子ユニットバーの間において,表示画像は外周側ほどスクロール(シフト)する距離が大きく見えるのである。
【0016】
請求項2に記載のように、請求項1記載の表示警告灯の事項(1)〜(5)に、つぎの事項(6)(7)を加えて特定することができる。
【0017】
(6) n列の前記発光素子ユニットバーを配置した円形基盤を、表示警告灯本体の前後両面にそれぞれ設ける。
【0018】
(7) 前記表示警告灯本体の頂面に太陽光発電パネル装置を設け、前記表示警告灯本体に充電用バッテリーを内蔵し、前記太陽光発電パネル装置にて発生させた電力で前記バッテリーに充電する。
【0019】
このように上記(6)(7)の事項を構成要素として備えることにより、太陽光の照射を受けて太陽光発電パネル装置から電力が発生し、この発生した電力がバッテリーに蓄積(充電)される。そして、また、稼働状態では、太陽光発電パネル装置から発生する電力量が発光素子ユニットバーの発光素子の発光および画像データのスクロール表示に必要な電力量を超えていれば余分な電力量がバッテリーに充電され、逆にその電力量に満たなければ、不足した電力量がバッテリーから補われる。
【0020】
請求項3に記載のように、請求項2記載の表示警告灯の事項(1)〜(7)に、つぎの事項(8)を加えて特定されることを特徴とする。
【0021】
(8) 前記太陽光発電パネル装置にて発生する電圧値に基づいて、前記発光素子ユニットバーにおける各発光素子の消費電力を制御する。
【0022】
このように上記(8)の事項を構成要素として備えることにより、太陽光発電パネル装置で発生する電力の電圧値が基準値より低ければ夜間と判定し、発光素子ユニットバー表示器における各発光素子の消費電力を下げる一方、その電圧値があらかじめ設定した基準値より高ければ昼間と判定し、発光素子ユニットバーにおける各発光素子の消費電力を上げるので、表示警告灯の画像データが常に見やすく表示されるとともに、消費電力が必要最小限に抑えられる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、比較的少ない個数のLEDなどの発光素子により大サイズ並みの精細な画像を視認可能なスクロール表示を行うことができ、さまざまな状況下においてさまざまな装置形態でこのスクロール表示を実現できる。いずれの場合も従来の横に長く連続する長方形状のドットマトリクス型表示パネルに比べ、複数列の発光素子ユニットバーを円周方向に等角度(回転角度)で備えた円形表示盤を基本形態とするから,コンパクトで小型化でき、設置場所をとらず、しかも画像データをエンドレスで表示することができ、精細な表示性能や表示サイズの大きさから見て大幅に装置のコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の表示警告灯について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図5は図1(表示警告灯の一実施形態を示す正面図)の表示警告灯の正面の円形カバーを取り外した状態を示す説明図、図6は画像データの表示態様を模式的に示す概略図で、実際には表示されていない仮想空間部にも表示して人の目に見える状態を表している。図7は図1の表示警告灯におけるブロック図とデータ伝送系統のフロー図である。
【0026】
本発明の一実施形態によるデータ伝送系統を図7に示している。本例では、スクロール表示装置1の主要部をなす、8個のLED(発光素子)2を一定間隔tで直線状に配列してLED(発光素子)ユニットバー3を構成する。また、本例では12列のLEDユニットバー3A,3B,3C、…3Lを円形表示基盤2上に円周方向に等間隔(360°/12=30°)に、かつ半径方向に沿って中心部より外周部にかけて配列する。各LEDユニットバー3A〜3Lの各LED2には、8ビットのLEDドライバー(ドライブ回路)7を付帯している。このドライバー7は、本例では8ビットのシフトレジスタ(図示せず)とLEDデータラッチ8を一体化している。
【0027】
各ドライバー7は、中央制御装置(CPU)6を介して画像メモリ5のデータ出力につながっており、タイミング発生回路(図示せず)からのクロックに同期してつぎのように動作する。
【0028】
すなわち、本例では8×9ビットで1文字を構成したビットマップ形式の文字列の画像データが画像メモリ5に記憶されているものとする。その画像データの各縦列の7ビットのデータを列データと称し、各列データに順番に例えばD1、D2、D3、…という番号をつける。
【0029】
中央制御装置(CPU)6は、画像メモリ5からあらかじめ記憶させた画像データの各列データを読み出して、各ドライバー7に入力していく。タイミング発生回路は、8個からなる列データの8ビットの列情報を画像メモリ5から読み出すごとに、全ドライバー7に一斉にラッチ信号を供給する。つまり、画像データの各列のデータを順番に各列のドライバー7に供給してLEDユニットバー3の8個のLED2をドライバー7に出力する直前で,データラッチ8に固定(ラッチ)された8ビットの列データに従って表示ドライブする。また、図示を省略したシフトレジスタは、データラッチ8の固定した列データをドライバー7でLEDユニットバー3の各段のLED2に出力したのちに、つぎつぎと横へ送り出す。つまり、シフトレジスタは、画像メモリ5から送り出された列データを一連に連続する列データへ並列状態から直列状態に変換し、データラッチ8へ連続するように送り出し、データラッチ8がラッチした列データをドライバー7を介してLED2に出力すると同時にシフトレジスタの列データをつぎの列データに書き換えることにより、データを円周方向へつぎつぎとスクロールする役目をしている。
【0030】
このとき同時に、LEDユニットバー3の各段のLED2に入力される外周側と内周側のデータ量の差異により、中央制御装置6によりつぎのような制御が行われる。詳しくは、図7に示すように、最外周の1段目と最内周の8段目とでは、隣接するLEDユニットバー3のLED2とLEDユニットバー3のLED2との同一円周上間の距離x1と、LEDユニットバー3のLED2とLEDユニットバー3のLED2との同一円周上間の距離x8に応じてデータ量を異ならせている。距離x1と距離x8は、それぞれ円形表示基盤4の中心位置からの半径方向寸法r1とr8とにそれぞれ比例する。すなわち、LEDユニットバー3の8段目(最下段目)から1段目(最上段目)のLED2にかけて仮想データ量(数)mは段階的に増加する。いいかえれば、円形表示基盤4の各段目の同一円周上間の仮想データ量mは中心位置からLEDユニットバー3の各段のLED2までの半径方向の距離rに対応する。しかし、あたかも最上段目間を基本のデータ数mとし最下段目間を円周方向に沿って最上段目間と同一距離になるようにデータ数をmに増やして引き伸ばし、全体的に長方形に展開した状態になる。隣接するLEDユニットバー3の最上段(1段)目の間の距離x1に存在する列データが例えば4個(D1・D2・D3・D4)とし、最下段(8段)目の間の距離x8に存在する列データが例えば2個(D2・D3)と仮定すると、長方形に展開した状態では、1段目間はD1・D2・D3・D4のままであるが、8段目間はD2・D2・D3・D3と同一データを繰り返すことでデータ数(量)をmとして共通にしている。中間部(2段目間〜7段目間)についても最上段間と同じ4個となるように一部データが繰り返されることになる。例えば、1段目のデータを10ビット、2段目を9ビット、3段目を8ビット、……8段目を3ビットとし、1秒間に10ビットのデータが順次入力されるとする。この場合、1段目では10個のデータ(LED2が発光するか・発光しないか)が入力されるが,8段目では3個のデータしか入力されないから、残りの7回は3個の各データを重複させることになる。いいかえれば、1段目のLED2と8段目のLED2では、円周方向に隣接するつぎのLEDユニットバー3までの仮想表示領域の距離(間隔)xが1段目は広く8段目にかけて段階的に狭くなるから,その間隔の広い・狭いに応じて画像データのシフト(スクロール)する距離は1段目の方が8段目よりもかなり大きくなっており,1段目から8段目にかけて段階的に小さくなっている。つまり、最外周の1段目のLED2から最内周の8段目のLED2にかけてLED2が駆動(発光)される時間的間隔は、8段目の方が1段目よりも短くなったように見える。視覚的には、1段目(最外周)に比べて7段目(最内周)のLED2の方はスクロール表示のスクロールする量が小さくなり、図6に示すように同一円周方向に連続して見えるLED2の発光点の間隔が詰まってくる。このような動作(制御)は、全て中央制御装置6にて行われる。
【0031】
上記したように、ピクセルデータの画像データ数は発光データと仮想データとの合計が外周側に行くにしたがって内周側よりも多くなる。1クロックでの画像データー数は同じで最外周のLED2は5回のクロックで,データをシフトする量が最内周側のLED2に比べて多くなる。例えば、円周方向で隣接するLEDユニットバー3間の仮想表示領域における仮想データmが5ピクセルあると仮定すると、5回のクロックでつぎのLEDユニットバー3へ移り、5回ほど同一データを出力する。1クロック当たりの点滅データ量が内周側から外周側に行くほど多くなるので,1ピクセルデータ当たりのLEDの発光時間は1段目から8段目にかけて短く(速く)なる。つまり、最外周側の1段目から8段目の内周側に近づくほど速くなる。
【0032】
そして、プログラムを組むときに、LEDユニットバー3の各段のLED2における同一円周上で隣接するLEDユニットバー3・3間の各段目のLED2・2間における円周上の距離を計算で求めたうえ、その円周方向の距離に応じてピクセル数が決められるので,内外周側でシフトする量が異なることになる。このような各段のLED2におけるシフト(スクロール)の距離は、中央制御装置6で制御することにより設定される。これに対し、上記先行技術に係る特許文献1の場合は、隣接する各LEDユニットバー3・3間が等距離で相互に平行に配列されているので,上下の表示部が同じ速さで同一距離ずつスクロールすることになる。
【0033】
なお、上記の実施形態におけるLEDユニットバー3と隣接するつぎのLEDユニットバー3間の中間仮想部(仮想表示領域)における列データとの関係を図2に模式的に示している。1文字が本例では7×9(または8×9)ドットで構成された「OPEN」という4文字のビットマップ形式の画像データの流れと、1列目と9列目のLEDユニットバー3を重ねて表現している。つまり、画像データのドットとLED2のドットとが重なった部分を黒丸で示しているが、この黒丸のLED2が発光状態を表している。9列の列データで構成される1文字のデータのうち、2列の列データのみが隣接する2列のLEDユニットバー3にて表示されるが、中間仮想部における他の7列の列データは隠れており、一切表示されない。しかし、例えば毎秒10文字の速度でスクロール表示制御を行うことで、これを見ている人には7×9(または8×9)ビット構成の文字として認識させることができる。
【0034】
ところで、上記にスクロール表示装置の一実施形態について説明したが,以下に,上記のスクロール表示装置1を用いた表示警告灯11について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は表示警告灯の一実施形態を示す正面図、図2は図1の表示警告灯の背面図、図3は図1の表示警告灯の平面図、図4は図1の表示警告灯の右側面図である。
【0036】
これらの図面に示すように,本実施形態の表示警告灯11は、支持台(図示せず)上に設置して使用するタイプである。このため、表示警告灯11の本体11aの下端に平坦な台座12を一体に備え、台座12の正面2箇所と背面1箇所の3箇所に,支持台に取り付けるための止めネジ13を回転可能に付属している。本体11aは、スクロール表示装置1の円形に対応する円弧状の張り出し部分を両側面の上下方向の中間位置に形成し、本体11aの正面と背面にスクロール表示装置1をそれぞれ一体に設けている。また、本体11aの上端に板状の載置台14を一体に備え、太陽光発電パネル装置(以下、ソーラーパネルともいう)15を載置台14上に一体的に載置し固定している。この太陽光発電パネル装置15は、頂面中央部が両側に比べて徐々に上方へ膨出し、正面から見て中央部が円弧状に上向きに湾曲している。
【0037】
本体11a内には、図8に示すようにバッテリー16が取り出し可能に収納されている。また、充電制御回路22のほか、スクロール表示装置1のLED2を駆動するためのドライブ回路(LED表示ドライバー)7、スクロール表示する画像データを記憶させる画像メモリ5などの電子機器,中央制御装置(CPU)6を含むマイクロコンピュータなどが本体11aに内蔵されている。さらに、本体11aには、充電状態を表示する表示灯23のほか、スクロール表示を切り替えるための切換スイッチ18が表示切り替え制御回路24を介して装着されている。また、LEDユニットバー3(LED表示部)3の表面には,集光用レンズ17(図1・図2)が装着されているが、このレンズ17は低電圧においてLED2の明るさを充分に発揮させるためのものである。
【0038】
図8は太陽光発電パネル装置を備えた本発明の表示警告灯の全体を示すフロー図である。この図8に示すように,ソーラーパネル15からバッテリー16の方向へのみ充電制御回路(ダイオード等)22が電流を流すように制御する。また、ソーラーパネル15が太陽光を受けて発生する電圧は、充電制御回路22によりバッテリー16の電圧には影響されないので、ソーラーパネル15の電圧値に基づいて各LEDユニットバー3のLED2の消費電力、いいかえればLED2の明るさ(照度)が制御される。つまり、表示警告灯11の周辺が暗く(いいかえれば夜間に)なると、ソーラーパネル15で発生する電圧値が下がるので、LED表示部3のLED2の明るさを暗くし,逆に表示警告灯11の周辺が明るく(いいかえれば昼間に)なると,電圧値が上がるので、LED2の明るさを明るくする。この結果、表示警告灯11の周辺の明暗に対応してLED2の明るさが調節され、スクロール表示装置1は常に見やすい状態に保たれるとともに、消費電力も抑えられ、省エネルギー化が図られる。
【0039】
以上説明したスクロール表示の制御原理をさらに一般化して説明すると、つぎのようになる。つまり、中央制御装置6の画像メモリ5には、縦sビットで横はwビットのビットマップ形式の画像データが格納されており、(s×w)ドットの画素構成と見なしている前記仮想表示領域に前記画像データを仮想的に展開するとともに、n本の前記各LED列の配列パターンを仮想的に重ね合わせ、それぞれのLEDユニットバー3の列のs個の各LED2の位置にそれぞれ重なるsドット分のデータを前記画像メモリ5から抽出して該当の前記LED列のドライバー7に供給するのに相当するデータ抽出操作を行い、また、前記仮想表示領域に展開する前記画像データについては、最外周側のデータを基本にしてmと設定し、それより内周側については同一のデータを重複させることによりデータ数をmに揃える。したがって、内周側に行くほど同一データが繰り返されるので、変化が少なくなる。この結果、実際には各LEDユニットバー3における各段のLED2を駆動し,上記画像データに基づいて発光させているが、各段のLED2で発光する時間間隔は、仮想表示領域において各段のLED2の発光点がスクロールする距離が外周側ほど大きくなり、図6のように見えるのである。
【0040】
上記したとおり、円周方向に等間隔で隣接する半径方向のLEDユニットバー3の各段のLED2間における仮想表示領域のデータについては、1段目(最外周側)間のデータ数(量)mを基本にして2段目間〜7段目(8段目)間についてもそれぞれ1段目間と等しくなるように引き伸ばして、いいかえれば、2段目から7段目(8段目)にかけてはデータ数がmに足りないから、それぞれ同一データを繰り返す(重複させる)とともに、繰り返す(重複させる)データを7段目(または8段目)に近づくにつれて段階的に増やして全てを基本のデータ数mに揃えることで、仮想表示領域における1段目〜7段目(8段目)までのデータ数をmとして共通にしている。
【0041】
図9はマイクロコンピュータによるスクロール表示の動作工程を順番に示すフローチャートである。画像メモリ5のリードアクセスの制御手順は、図9に示すように、画像メモリ5内のスクロール表示用画像データは、最外周のデータを基本にmを設定し、内周に行くにしたがってデータが減少しているので、最外周のデータ数mと等しくするために同一のデータを重複して設定したから、内周側に行くにしたがってデータの変化が少ない。
【0042】
まずスタート(step001)させ、スクロール位置ポイントSPをリセットし、0にする。また、LEDユニットバー3の総本数をn本とする(step002)。つぎに、表示データの全てからなるスクロール位置ポイントSPの値を、読み込みデータポイントであるリードポイントPにセット(移す)する(step003)。この段階で、SP=P=0となる。続いて、データの書き込み位置としてのLED表示位置(LEDユニットバー3の位置)、つまりライトポイントWPをリセットして0にする(step004)。この段階で、SP=P=WP=0となる。ここで、上記スクロール位置ポイントSPは、全LEDユニットバー3およびLEDユニットバー3間の全仮想表示領域のデータがスクロールする全ての位置(ポイント)を表し、リードポイントPは画像メモリ5内のデータの位置(アドレス)を表し、step003によりスクロール位置ポイントSPに対応したアドレスが画像メモリ5内の各データに付される。なお、ライトポイントWPは、各LEDユニットバー3の位置を表している。
【0043】
画像メモリ5内のデータから、書き込み用データをライトポイントWPに書き込む(step005)。ライトポイントWPに書き込んだデータを、シフトレジスタにセットする(step006)。この状態で、ライトポイントWPに1を加算する(step007)。
【0044】
つぎに、ライトポイントWPに書き込んだデータがLEDユニットバー3の総数であるnに達したか否かを検索する(step008)。そして、NOであれば、リードポイントPに、仮想表示領域の基本データ数m+1を加算する(step009)。この結果、つぎのLEDユニットバー3に、画像メモリ5のデータを書き込む工程へ進むことになる。上記のstep005〜step007の工程、すなわち、書き込み用データをライトポイントWPに書き込む(step005)・ライトポイントWPに書き込んだデータを、シフトレジスタにセットする(step006)・ライトポイントWPに1を加算する(step007)の各工程がこの順番に繰り返される。つぎにライトポイントWPに書き込んだデータがLEDユニットバー3の総数であるnに達したか否かを検索する(step008)。NOであれば、リードポイントPに、仮想表示領域の基本データ数mおよび1をそれぞれ加算する(step009)ことで、さらにつぎのLEDユニットバー3に、画像メモリ5のデータを書き込む工程へ進み、ライトポイントWPに書き込んだデータがLEDユニットバー3の総数であるnに達するまで、各工程が繰り返される。
【0045】
ライトポイントWPに書き込んだデータがLEDユニットバー3の総数であるnに達してstep008の検索結果がYESになると、全てのLEDユニットバー3のデータをラッチ回路にラッチし、各LED2をドライブ回路を介して駆動し、全てのLEDユニットバー3のうちデータに該当するLED2を発光させる(step010)。そして、つぎの工程で、LED2の発光時間、つまり表示時間を確保し、スクロール時間を調整する(step011)。続いて、スクロール位置ポイントSPに1を加算し、つぎの表示の準備工程に進む(step012)。それから、スクロール表示が完了したか否かを検索する(step013)。そして、LEDユニットバー3に表示させるデータが最後部まで行っていないとき、すなわち、検索結果がNOであれば、スクロール位置ポイントSPを、読み込みデータポイントであるリードポイントPにセットする(step003)に戻り、step003〜step013の工程が繰り返される。以上のようにして、LEDユニットバー3に表示させるデータが最後部まで行き、スクロール表示が完了すると、step013の検索結果がYESになる。そして、step002の工程に戻り、上記した一連の工程(step002〜step013)が繰り返される。このようにして、円周方向に配置されたLEDユニットバー3の全てあるいは複数本が同時に発光し、時計方向あるいは反時計方向にスクロールして画像メモリ5に記憶させた文字や図形を表示する。上記実施例の場合、LEDユニットバー3のLED2の間隔をtとしたときに、円周方向に隣接するLEDユニットバー3の最外周に配置された1段目のLED2の間隔(距離)は5tに設定しているが、この間隔は文字や図形などの画像をスクロールする速度を速くすれば、さらに狭くできる。すなわち、スクロールする速度で任意に調整することができる。
【0046】
上記に、本発明の表示警告灯についての一実施形態例を説明したが、LEDユニットバー3の列数は例えば16列であっても8列であってもよく、またLEDユニットバー3を構成するLED2の数は例えば16個であっても8個であっても良く、さらに画像データの1文字のドット数は例えば16×16であっても8×8であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の表示警告灯の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の表示警告灯の背面図である。
【図3】図1の表示警告灯の平面図である。
【図4】図1の表示警告灯の右側面図である。
【図5】図1の表示警告灯の正面の円形カバーを取り外した状態を示す説明図である。
【図6】画像データの表示態様を模式的に示す概略図で、実際には表示されていない仮想空間部にも表示して人の目に見える状態を表している。
【図7】図1の表示警告灯におけるブロック図とデータ伝送系統のフロー図である。
【図8】太陽光発電パネル装置を備えた本発明の表示警告灯の全体を示すフロー図である。
【図9】マイクロコンピュータ(中央制御装置)によるスクロール表示の動作工程を順番に示すフロー図である。
【符号の説明】
【0048】
1 スクロール表示装置
2 LED(発光素子)
3 LED(発光素子)ユニットバー
4 円形表示基盤
5 画像メモリ
6 中央制御装置(CPU)
7 ドライブ回路(LEDドライバー)
8 ラッチ回路(LEDデータラッチ)
11 表示警告灯
11a本体
12 台座
13 止めネジ
14 載置台
15 太陽光発電パネル装置(ソーラーパネル)
16 バッテリー
17 集光用レンズ
18 切換スイッチ
22 充電制御回路
23 表示灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つぎの事項(1)〜(5)により特定されることを特徴とする表示警告灯。
(1) S個の発光素子を一定間隔tで直線状に配列した発光素子ユニットバーのn列を、円周方向に等間隔(360°/n)に中心部より外周部にかけ半径方向に沿って配置するとともに、隣接する発光素子ユニットバーの最外周側の間隔を前記tの整数倍にする。
(2) 前記各発光素子ユニットバーにて発光素子により表示する画像データ数は、発光素子ユニットバーの各段の発光素子の、円形中心位置からの半径方向の距離に応じて外周側データを内周側データに比べて段階的に増やすとともに、
前記発光素子ユニットバー間の仮想表示領域におけるデータは、最外周側データを基本にしてmと設定し、内周側については同一のデータを重複させることによりデータ数がmになるように設定する。
(3) 表示させる画像データを、前記発光素子ユニットバー間の仮想表示領域のデータmを含むビットマップ形式の画像データで構成する。
(4) 前記画像メモリをリードアクセスし、読み出した連続するS個の列データを第1の発光素子ユニットバーの位置に該当するライトポイントに書き込み、以下順次各発光素子ユニットバーの位置に該当するライトポイントに前記画像メモリから読み出した前記列データを書き込む。ここで、前記各列データをラッチして各発光素子ユニットバーの発光素子に出力して表示する。この状態で、スクロールポイントに1を加算してつぎの表示の準備をし、前記の手順を繰り返すことによりスクロール表示する。
(5) 前記各発光素子ユニットバーのドライブ回路にシフトレジスタを介して前記画像データを分配するとともに、前記画像データを全体的に同期制御しスクロール表示をするための中央制御装置を備える。
【請求項2】
つぎの事項(6)〜(7)により特定されることを特徴とする請求項1記載の表示警告灯。
(6) n列の前記発光素子ユニットバーを配置した円形基盤を、表示警告灯本体の前後両面にそれぞれ設ける。
(7) 前記表示警告灯本体の頂面に太陽光発電パネル装置を設け、前記表示警告灯本体に充電用バッテリーを内蔵し、前記太陽光発電パネル装置にて発生させた電力で前記バッテリーに充電する。
【請求項3】
つぎの事項(8)により特定されることを特徴とする請求項2記載の表示警告灯。
(8) 前記太陽光発電パネル装置にて発生する電圧値に基づいて、前記発光素子ユニットバーにおける各発光素子の消費電力を制御する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−32933(P2010−32933A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197129(P2008−197129)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(594036803)株式会社アスコ (9)
【Fターム(参考)】