説明

表面の光学的特徴付けに対する方法及び装置

本発明は、3次元表面の光学的特徴付けに対する方法及び装置に関する。前記方法及び装置は、3次元形状表面のより信頼できる特徴付けを可能にするので、周知のフォトゴニオメータ及びパルーシアメータに対する改良である。この技術は、人間の皮膚のような複雑な光学的外観を持つ表面の特徴付けに対して特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表面の光学的特徴付けに対する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラは、光源により照射される対象の画像を取得することができる。形成される画像のタイプは、照射の方向及び前記カメラの視角に依存する。黄色ビームは、照射角の下でサンプルを照射し、前記カメラは、前記表面により反射及び分散されたビュー取得光の下で前記サンプルの画像を取得する。視角及び照射角の両方が、前記対象の表面から突き出す法線方向に対して測定される角度である高さθ及び方位角値φで特徴付けられることができる。
【0003】
表面の光学的性質の特徴付けに対して、照射角(θin,φin)及び視角(θout,φout)が、測定の領域上で良好に制御されることが必要である。この意味で、表面のBRDFは、フォトゴニオメータ又はパルーシアメータ(Parousiameter)で決定されることができるが、いかなる起伏も両方の視角において不確実さを形成するので、試験下の表面が本質的に平らであることを必要とする。前記サンプルが歪められる場合又は現実の3次元形状を持つ場合、照射及びビューに対して大きな角度範囲が存在し、視角及び照射角を制御することを非常に難しくする。前記サンプルの表面が、人間の皮膚のような不規則な不明確な表面を備える場合、状況は更に複雑であり、既知の技術、特にフォトゴニオメータ及びパルーシアメータでは、不足であることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、3次元形状表面の光学的特徴付けを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、3次元表面の光学的特徴付けに対する方法を提供し、前記方法は、A)3次元表面を持つ対象を提供するステップと、B)相互接続された表面部分として前記表面の少なくとも一部を3次元マッピングするステップであって、特徴付けられるべき各表面部分に対して法線方向が決定される、当該マッピングするステップと、C)前記法線方向に対する光源からの光の所定の照射角度の下で前記表面に向けた少なくとも1つの前記光源を前記表面部分に対する所定の位置に配置するステップと、D)光学的記録手段に向けて前記表面部分により反射された前記光源からの前記光の前記法線方向に対する所定の視角の下で、前記表面部分に対して少なくとも1つの前記光学的記録手段を配置するステップと、E)前記表面部分により反射された前記光源からの前記光を光学的に記録するステップとを有する。このように、照射角及び視角を制御しながら3次元表面の光学的記録を行うことは可能である。前記照射角は、前記法線方向に対して測定された2つの垂直な角度、照射高さ及び照射方位角により規定される。同等に、前記視角は、ビュー高さ及びビュー方位角により規定される。前記対象の位置は、好ましくは、前記3次元表面の位置の制御を可能にする対象ホルダにより決定される。前記表面の3次元マッピングは、例えば、表面部分を決定するようにデジタル形式で3次元モデルを記憶するレーザ測定機器により行われることができる。より小さな表面部分は、前記法線方向のより正確な決定を与えるが、より多くの処理パワーを必要とする。前記表面部分は、本来、平らであると見なされるが、湾曲した3次元表面と一致するのに十分に小さく選択される。前記対象に対する前記光源及び光学的記録手段の配置は、前記光源及び/又は前記光学的記録手段を移動しながら前記対象を固定位置に保つことにより行われることができるが、前記対象を移動及び/又は回転することも可能である。
【0006】
前記光源は、いかなる好適な光源であってもよく、好ましくは、1つの方向を持ち、少しの収束又は発散しか示さない。典型的な光学的記録手段は、デジタルで記録されたピクチャ及び使用されたパラメータ、特に前記対象、光源及びカメラの相対的な位置を記憶するようにプログラムされたデジタル記憶手段に接続されたデジタルカメラを有する。
【0007】
好ましくは、ステップE)は、複数の所定の照射角及び/又は視角に対して繰り返される。このように、より多くの情報が、様々な角度の下の反射性、色及びテクスチャのような前記表面の光学的性質に関して集められる。これは、前記記録された表面のより信頼できるデジタル再生を可能にする。
【0008】
好適な実施例において、前記所定の照射角は一定に保たれ、前記視角は変化させられる。このように、光学的パラメータは、容易に決定される。
【0009】
代替的には、前記所定の視角は一定に保たれ、前記照射角は変化させられる。これは、前記カメラが再び焦点を合わせる必要がなく、前記光源がより速く再配置されることができるので、より速いワークフローの利点を持つ。より好ましくは、単一の光源を移動する代わりに、前記対象に対して複数の位置における複数の光源が使用される。単一の光源を移動するよりむしろ、1つの光源がオンにされ、画像が記録され、前記光源がオフにされ、異なる場所における他の光源が前記画像の他の記録のために、他の照射角でオンにされる。この方法は、人間の皮膚のような透明又は半透明の表面に対して特に有利である。
【0010】
好ましくは、光学的記録の少なくとも1つの間に、前記視角は、前記法線方向と一致する。これは、特定の表面部分の最大面積を与える。
【0011】
好適な実施例において、前記視角は、0°から45°まで変化させられる。これは、前記表面部分から反射された最大の情報を与える。
【0012】
前記照射角が前記法線方向に対して90ないし80度であると有利である。グレージング角におけるこのような照明は、特に視角が前記法線方向に近い場合に、最大のテクスチャ細部を与える。選択された軸に依存して、−90ないし−80の角度は、90ないし80度の角度と同等である。好ましくは、前記視角は、前記法線方向とおおよそ一致するが、前記法線方向に対して45ないし−45度の範囲を取りうる。
【0013】
好ましくは、前記ステップC、D及びEは、複数の隣接した表面部分に対して繰り返される。このように、信頼できるテクスチャは、複数の隣接した表面部分を覆う領域に対して決定されることができる。
【0014】
好ましくは、前記表面は、多角形表面部分に分割される。多角形表面部分は、テクスチャのより容易な計算及びモデリングを促進する。
【0015】
最も好ましくは、前記表面は、三角形表面部分に分割される。三角形表面部分は、テクスチャ計算を比較的容易にする。
【0016】
好適な実施例において、光学的記録の第1のセットは、異なる照射角及び視角の下で複数回ステップEを繰り返し、ステップF、すなわち表面部分の第1の結合画像特徴を生じる前記表面部分の前記光学的記録の第1のセットの結合が後に続くことにより収集される。したがって、非常に信頼できるテクスチャが、前記結合画像特徴から計算及び再生されることができる。前記光学的記録は、例えば、前記光学的記録の重ね合わせ、好ましくは各光学記録に対する前記表面部分の特定の関心領域が比較的強く重みづけされる重みづけされた重ね合わせにより結合されることができる。前記結合された画像は、例えば、表面の分類に使用されることができる。
【0017】
好ましくはステップFにおいて、前記表面部分の結合画像特徴は、前記対象のデジタル化3次元モデルの対応する表面部分上に投影される。これは、前記記録された対象の3次元表面の非常に現実的な再生を生じ、例えば、人のデジタルモデル上の非常に現実的な皮膚テクスチャを得るのに使用されることができる。
【0018】
他の好適な実施例において、ステップF)における光学的記録の第1のセットの記録から所定の時間間隔の後に、光学記録の第2のセットの記録と前記表面部分の第2の結合画像特徴を生じる表面部分の光学記録の第1のセットの結合とを含む後続するステップG)が実行される。好ましくは、前記光学記録の第2のセットは、前記第1のセットと本質的に同じ照射角及び視角の下で実行され、次いで、前記特徴の信頼できる比較を可能にする前記表面部分の第2の結合画像特徴を生じるように結合される。このように、時間に対する前記表面の変化を記録することが可能である。光学的記録のセットは、例えば、数時間、数日、数週又は数カ月の後に収集されることができる。これは、例えば摩耗による、時間に対する前記表面の変化を見るために定期的に繰り返されることができる。前記画像特徴が、生きている人又は動物の皮膚のような時間に対して幾何形状をも変化させる対象から取られる場合、3次元幾何形状に対して画像特徴を補正することは有利である。例えば、前記表面が人の皮膚である場合、前記人は、数週、数カ月又は数年にわたり取られる画像特徴間により太く又はより細くなりうる。
【0019】
この時間間隔の間に、前記対象が処理を受けることは、有利である。このように、前記表面の外観における前記処理の影響は、この方法により明らかになる。前記処理は、例えば、表面処理、前記表面部分に対する特定の物質の塗布であってもよく、例えば、前記表面の摩耗又は劣化を露呈しうる。前記方法は、人間の皮膚のような難しい表面を調査するのに特に適しており、例えば、皮膚に塗布される特定の化粧品の効果を調査するのに使用されることができる。
【0020】
有利には、ステップGの後にステップHが続き、前記第1の結合画像特徴を前記第2の結合画像特徴と比較する。このようにして、前記時間間隔の前後の前記表面間の差が比較されることができる。これは、定性的に行われることができるが、例えば当技術分野において周知のデジタル画像減算法を使用して、定量的にも行われることができる。
【0021】
好適な実施例において、前記3次元表面は、人間の皮膚である。前記人間の皮膚(及び他の生き物の同等の皮膚)の表面は、既知の方法により特徴付けるのは特に難しいが、本発明による方法は、非常に良好な結果を生じ、当技術分野において周知の方法によりアクセス可能ではない表面情報を生じる。
【0022】
本発明は、表面の光学的特徴付けに対する装置をも提供し、前記装置は、所定の場所において所定の向きに対象を保持する対象ホルダと、照射角の下で前記対象に光を向ける少なくとも1つの光源と、視角の下で前記対象から反射された光を取得する少なくとも1つの光学的記録手段と、前記対象、前記光源及び前記光学的記録手段の相互の位置及び向きを変化させる配置手段とを有し、前記光源、前記光学的記録手段及び前記配置手段は、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法を実行するようにプログラムされた制御手段に接続される。前記対象ホルダは、例えば、調節可能な頭部保持装置であることができる。前記所定の場所及び所定の向きは、前記対象ホルダの位置及び向きにより決定されることができるが、光学的又は音響的手段により決定されることもできる。前記光源は、適切なランプ、例えば写真撮影に一般に使用されるランプであることができる。前記光源及び/又は前記対象を移動する代わりに、複数のランプが、プロセスを高速化するために使用されてもよく、異なる位置における異なる光源をオン及びオフに切り換えることにより様々な角度が得られることもできる。前記光学的記録手段は、典型的には、別々のショットにおいて又は連続的にのいずれかで、高解像度で記録することができるデジタルカメラである。前記光学的記録手段は、1より多いカメラを有してもよく、異なる位置におけるカメラが、プロセスを高速化するために同時に使用されることができる。前記配置手段は、前記光源、前記カメラ及び/又は前記対象を移動又は回転することができる機械的又は電気的手段を含みうる。前記制御手段は、典型的には、1より多いマイクロプロセッサを有する。
【0023】
好適な実施例において、前記装置は、前記光学的記録を見る表示手段をも有する。前記表示手段は、画面又は投影手段でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による装置を示す。
【図2】本発明によるモデル化された3次元形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、位置が対象ホルダ3により固定される対象2、この場合には人間の頭部を有する、本発明による装置1を示す。前記頭部の3次元形状は、例えばUS5870220に記載されるような従来のレーザ方法により事前に決定され、装置1の制御手段に記憶される。ロボットアーム(図示されない)に取り付けられたカメラ4は、前記記憶されたモデルと比較することにより決定されるべき表面部分5の法線方向Nから測定される正確に既知の距離D及び正確に既知の視角Avに配置される。ロボットアームに取り付けられた光源6は、照射角Aiの下で距離Iに配置され、対象2の表面5からの反射光がカメラ4により取得される。オプションとして、第2の光源7及び/又は第2のカメラ8が、プロセスを高速化するために使用されてもよい。
【0026】
独自の法線方向Nを各々持つ相互接続された表面部分5としての対象2の表面の少なくとも一部の3次元マッピングは、カメラ4及び光源7が配置される視角及び照射角を決定する。各表面部分5の複数の画像は、異なる視角Av及び照射角Aiの下で取られる。前記記録された画像は、各表面部分5の詳細な光学的特徴を生じるように結合される。様々なアルゴリズムが、前記画像を結合するのに使用されることができる。前記特徴は、頭部2の皮膚部分を比較するのに使用されることができる。例えば頭部2に皮膚クリームを塗布する前後の特徴を作成して、前記皮膚の光学的外観、特にしわの色及び反射性に対する前記クリーム又は日焼け照射の影響が、既知の方法より詳細に決定されることができる。
【0027】
図2は、独自の法線方向を各々規定する三角形皮膚部分11に分割された3次元モデル10を示す。これらの皮膚部分の各々に対して、光学的特徴付けが、図1に対して記載された方法によって行われる。このように、皮膚治療の影響が、前記治療前後の関心の皮膚部分を比較することにより容易に決定されることができる。
【0028】
これに加えて、上述の方法が、適切にプログラムされる場合に、コンピュータプログラムプロダクトの形式で市場で販売されることができると理解される。これに記憶されるプログラムは、(パーソナルコンピュータ又はPDAのCPUのような)処理装置上で実行される場合に、上述の方法を実行することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元表面の光学的特徴付けに対する方法において、
3次元表面を持つ対象を提供するステップと、
相互接続された表面部分として前記表面の少なくとも一部を3次元マッピングするステップであって、特徴付けされるべき各表面部分に対して法線方向が決定される、当該3次元マッピングするステップと、
前記法線方向に対する光源からの光の所定の照射角の下で前記表面に向けた少なくとも1つの前記光源を前記表面部分に対する所定の位置に配置するステップと、
光学的記録手段に向けて前記表面部分により反射された前記光源からの光の前記法線方向に対する所定の視角の下で、前記表面に対して少なくとも1つの前記光学的記録手段を配置するステップと、
前記表面部分により反射された前記光源からの光を光学的に記録するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
ステップE)が、複数の所定の照射角及び/又は視角に対して繰り返される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の照射角が一定に保たれ、前記視角が変化させられる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の視角が一定に保たれ、前記照射角が変化させられる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記光学的記録の少なくとも1つの間に、前記視角が、前記法線方向と一致する、
ことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記視角が0°から45°まで変化させられることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記照射角が、前記法線方向に対して90ないし80度である、
ことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップC、D及びEが、複数の隣接した表面部分に対して繰り返される、
ことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面が、多角形表面部分に分割される、
ことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記表面が、三角形表面部分に分割される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
光学的記録の第1のセットが、異なる照射角及び視角の下で複数回ステップE)を繰り返すことにより収集され、ステップF)、すなわち表面部分の第1の結合画像特徴を生じる前記表面部分の前記光学的記録の第1のセットの結合が後に続くことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面部分の前記結合画像特徴が、前記対象のデジタル化3次元モデルの対応する表面部分上に投影される、
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップF)における前記光学的記録の第1のセットの記録から所定の時間間隔の後に、光学的記録の第2のセットの記録と、表面部分の第2の結合画像特徴を生じる前記表面部分の前記光学的記録の第1のセットの結合とを含む後続するステップG)が実行される、
ことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ステップGの前記時間間隔の間に、前記対象が、処理、好ましくは表面処理を受ける、
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップGの後に、前記第1の結合画像特徴を前記第2の結合画像特徴と比較するステップHが続く、
ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記3次元表面が、人間の皮膚である、
ことを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
表面の光学的特徴付けに対する装置において、前記装置が、
所定の場所において所定の向きに対象を保持する対象ホルダと、
照射角の下で前記対象に光を向ける少なくとも1つの光源と、
視角の下で前記対象から反射された光を取得する少なくとも1つの光学的記録手段と、
前記対象、前記光源及び前記光学的記録手段の相互の位置及び向きを変化させる配置手段と、
を有し、
前記光源、前記光学的記録手段及び前記配置手段が、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法を実行するようにプログラムされた制御手段に接続される、
装置。
【請求項18】
前記装置が、前記光学的記録を見る表示手段を有する、
ことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
処理装置により実行される場合に、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−537188(P2010−537188A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521505(P2010−521505)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053268
【国際公開番号】WO2009/024904
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】