説明

表面パネル取付構造

【課題】取付ベースの外向きフランジ部を小型・軽量化するとともに、スピーカー機能を有している場合には、ビビリ音を抑制して音質を向上させることができる表面パネル取付構造を提供する。
【解決手段】天井又は壁の下地面10に格子状の枠材11が取り付けられ、この枠材11の各枠11d内に、矩形状表面パネル13がそれぞれ取り付けられ、この表面パネル13の内の少なくとも1枚を、取り外し可能に取り付けるための表面パネルの取付構造である。下地面10に、この下地面10に形成された取付け用開口14の内部に差し込まれる筒状部を有する取付ベース18が設けられ、この取付ベース18の開口18bの外向きフランジ部18aが下地面1に当てがわれて固定部材19により固定されている。この外向きフランジ部18aは、筒状部の軸中心を中心として、枠18d内の相隣接する2辺に接する円弧形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面パネル取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井又は壁の下地面に格子状の枠材が取り付けられ、この枠材の各枠内に、矩形状表面パネルがそれぞれ取り付けられ、この表面パネルの内の少なくとも1枚を、取り外し可能に取り付けることがある。特に、スピーカーや照明といった機能が表面パネルに付加されている場合、メンテナンス等のために、下地面に対して、表面パネルを簡単に取り付け・取り外しできることが望まれている。
【0003】
その場合、図3(a)のように、下地面10に取り付ける格子状の枠材11の内、まず、相隣接する2辺の枠片11b,11bを下地面10に取り付ける。これを施工基準線aとして、図3(b)のように、枠11dの内形状と略同形状の取付ベース12の外向きフランジ部12aを枠片11b,11bに当てがう。その後、図3(c)のように、残りの2辺の枠片11c,11cを下地面10に取り付ける。そして、枠11dの内形状と略同形状の表面パネル13を、取付ベース12に取り外し可能に取り付けるようにしている。
【0004】
なお、表面パネルとは異なる埋込型照明器具であるが、天井に固定した器具本体に枠体を差し込みながら、枠体の立ち上がり片を器具本体の係止部材に係止することで取り付ける方法がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−208520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、枠材11の枠11d内に、取付ベース12の外向きフランジ部12aの4辺を当てがって位置決めしていることから、外向きフランジ部12aの形状が大きくなって、重量が増加するという問題がある。
【0006】
また、表面パネル13がスピーカーである場合、取付ベース12に設置した加振器の振動が外向きフランジ部12aの4辺に接触する各枠片11b,11cに伝達されるから、いわゆるビビリ音が発生して、音質が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、取付ベースの外向きフランジ部を小型・軽量化するとともに、スピーカー機能を有している場合には、ビビリ音を抑制して音質を向上させることができる表面パネル取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、天井又は壁の下地面に格子状の枠材が取り付けられ、この枠材の各枠内に、矩形状表面パネルがそれぞれ取り付けられ、この表面パネルの内の少なくとも1枚を、取り外し可能に取り付けるための表面パネル取付構造であって、前記下地面に取付け用開口が形成され、この取付け用開口の内部に差し込まれる筒状部を有する取付ベースが設けられ、この取付ベースの開口の外向きフランジ部が下地面に当てがわれて固定部材により固定され、この外向きフランジ部は、筒状部の軸中心を中心として、前記枠内の相隣接する2辺に接する円弧形状に形成される一方、前記取付ベースの内部に係合部が設けられるとともに、前記表面パネルの裏面に被係合部が設けられて、表面パネルの被係合部を取付ベースに差し込むことで、係合部に係合されて、下地面に表面パネルが取り付けられるようにしたことを特徴とする表面パネル取付構造を提供するものである。
【0009】
請求項2のように、前記取付ベースの外向きフランジ部は、円形の1/4以上で1/2未満の円弧形状であるであることが好ましい。
【0010】
請求項3のように、前記外向きフランジ部は、前記枠内の相隣接する2辺に接した状態で円周方向に回動できるように、所定角度だけ円周方向に延長されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筒状部を有する取付ベースの外向きフランジ部を、筒状部の軸中心を中心として、枠材の枠内の相隣接する2辺に接する円弧形状に形成して、この円弧形状の外向きフランジ部を枠内の相隣接する2辺に当てがうことで(2点接触)、正確に位置決めすることができる。したがって、外向きフランジ部は、ねじ等で固定するための最小限の円弧形状で良いから、取付ベースを小型・軽量化できるようになる。これにより、取付ベースの材料費等のコストを削減できるようになる。
【0012】
また、表面パネルがスピーカーである場合、取付ベースに設置した加振器の振動が円弧形状の外向きフランジ部の2辺に点接触する枠片に伝達されるだけであるから、ビビリ音が抑制されて、音質が向上するようになる。
【0013】
請求項2によれば、取付ベースの外向きフランジ部を、ねじ等で固定するための最小限の円弧形状として、円形の1/4以上で1/2未満とすることで、取付ベースをより小型・軽量化できるようになる。
【0014】
請求項3によれば、取付ベースの外向きフランジ部を、枠内の相隣接する2辺に接した状態で円周方向に回動できるように、所定角度だけ円周方向に延長することで、回動方向の施工のバラツキを許容できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図2(a)に示すように、建物内の天井下地材(下地面)10の下面には、格子状の枠材11が取り付けられ、この枠材11の各枠11d内に、複数枚の矩形状表面パネル13が面一で縦横に並べて取り付けられている。本例の表面パネル3は、例えば30〜45cm角程度の正四角形状に形成されていて、表面(下面)が彩色や模様等で化粧されたものであり、木質材、樹脂材、セラミック材、これらの複合材等で製造されている。
【0017】
そして、これら複数枚の矩形状表面パネル3の全てを取り外し可能に取り付ける必要は無く、少なくとも1枚が取り外し可能に取り付けられれば良い。以下では、図2(a)の中央部分の枠11d内に取り外し可能に取り付けられる表面パネル13のみについて説明する。なお、図2(a)の中央部分の枠11d内には、表面パネル13を取り付けていない状態であり、次述する取付け用開口14が見えている。
【0018】
図2(b)のように、表面パネル13を取り付ける天井下地材10の取り付け位置には、枠11a内の中央部分に取付け用開口14が形成されている。この取付け用開口14に下方から差し込んだ時に、天井下地材10の内部に突出する筒状部18gを有する取付ベース18が設けられ、この取付ベース18の下開口18bの外向きのフランジ部18aを天井下地材10の下面に当て止めることで位置決めされるようになる。この外向きフランジ部18aをねじ等で天井下地材10に固定することで、天井下地材10に固定されるようになる。
【0019】
この取付ベース18の内周面には、円周上等角度間隔で複数個(本例では190度間隔で2個)のばね掛かり穴部(係合部)18cが設けられている。
【0020】
表面パネル3の裏面の中央部分には、天井下地材10の取付ベース18の下開口18bから差し込み可能な複数個(本例では180度間隔で2個)の板ばね(被係合部)15が設けられている。各板ばね15は、側面視で外向きに略く字状に屈曲されて、下端ベース部が表面パネル13の裏面にねじ等で固定されている。なお、板ばね15に代えて、ボルとコイルばね等を組み合わせたクリック状のばね部であっても良い。
【0021】
そして、表面パネル13の板ばね15を天井下地材10の取付ベース18内に下方から差し込むと、表面パネル13の板ばね15が取付ベース18のばね掛かり穴部18cに入りこんで、ばね力(弾性力)で係合するようになる。これにより、表面パネル13が枠11d内に嵌り込んだ状態で天井下地材10の取付ベース18に取り付けられるようになる。
【0022】
取付ベース18の外向きフランジ部18aは、図1(a)に詳細に示すように、円形の1/4以上で1/2未満で、枠材11の枠11d内の相隣接する2辺の枠片11b,11bに接する円弧形状に形成されている。
【0023】
具体的には、取付ベース18の外向きフランジ部18aは、枠11dに内接する円形(符号b参照)を切り欠いて、円形の1/4以上で1/2未満の円弧形状に形成されている。
【0024】
また、外向きフランジ部18aは、枠11d内の相隣接する2辺の枠片11b,11bに接した状態で円周方向に回動できるように〔図1(b)の矢印c参照〕、所定角度θだけ円周方向に延長されている。
【0025】
前記のような構成において、取付ベース18の下開口18bの円弧状の外向きのフランジ部18aを天井下地材10の下面に当て止めて、この円弧形状の外向きフランジ部18aを枠11d内の相隣接する2辺の枠片11b,11bに当てがう〔図1(a)参照〕。これにより、外向きフランジ部18aは、枠片11b,11bに2点接触することになって、正確に位置決めすることができる。この状態で、複数本(本例では8本)の取付ねじ(固定部材)19で天井下地材10に固定する。なお、取付ねじに代えて、接着剤で接着することも可能である。
【0026】
したがって、外向きフランジ部18aは、取付ねじ19で固定するための最小限の円弧形状で良いから、取付ベース18を小型・軽量化できるようになる。これにより、取付ベース18の材料費等のコストを削減できるようになる。
【0027】
また、表面パネル13がスピーカーである場合、取付ベース18に設置した加振器の振動が円弧形状の外向きフランジ部18aの2辺に点接触する枠片11b,11bに伝達されるだけであるから、ビビリ音が抑制されて、音質が向上するようになる。
【0028】
さらに、取付ベース18の外向きフランジ部18aを、取付ねじ19で固定するための最小限の円弧形状として、円形の略1/4の円弧形状とすることで、取付ベース18をより小型・軽量化できるようになる。
【0029】
また、取付ベース18の外向きフランジ部18aを、枠11d内の相隣接する2辺の枠片11b,11bに接した状態で円周方向に回動できるように、所定角度θだけ円周方向に延長することで、図1(b)のように、回動方向の施工のバラツキを許容できるようになる。
【0030】
前記実施形態では、天井下地材10に表面パネル13を取り付けたが、壁面に表面パネル13を取り付けることもできる。
【0031】
前記実施形態では、表面パネル13は、表面(下面)が彩色や模様等で化粧されたものであったが、例えば、スピーカーや照明器具を組み込んだ表面パネル13とすることができる。スピーカーを組み込んだ場合には、取付ベース18の内部空間に加振器を嵌め込むことができる。照明器具を組み込んだ場合には取付ベース18の内部空間に安定器を嵌め込むことができる。いずれの場合にも、表面パネル13を簡単かつ迅速に取り外せるので、メンテナンスが容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の取付ベースの外向きフランジ部であり、(a)は正面図、(b)は円周方向に回動させた正面図である。調整部材を左右方向に移動させた状態の断面図である。
【図2】(a)は表面パネルの取り付け状態の平面図、(b)は取り付け前の表面パネルと取付ベースとの関係を示す断面図である。
【図3】従来例であり、(a)は枠片の正面図、(b)は取付ベースの外向きフランジ部を枠片に当てがった正面図、(c)は枠内に表面パネルを取り付けた正面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 天井下地材(下地面)
11 枠材
11b 枠片
11c 枠片
11d 枠
13 表面パネル
14 取付け用開口
15 板ばね(被係合部)
18 取付ベース
18a 外向きフランジ部
18b 下開口
18c ばね掛かり穴部(係合部)
19 取付ねじ(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井又は壁の下地面に格子状の枠材が取り付けられ、この枠材の各枠内に、矩形状表面パネルがそれぞれ取り付けられ、この表面パネルの内の少なくとも1枚を、取り外し可能に取り付けるための表面パネル取付構造であって、
前記下地面に取付け用開口が形成され、この取付け用開口の内部に差し込まれる筒状部を有する取付ベースが設けられ、この取付ベースの開口の外向きフランジ部が下地面に当てがわれて固定部材により固定され、この外向きフランジ部は、筒状部の軸中心を中心として、前記枠内の相隣接する2辺に接する円弧形状に形成される一方、前記取付ベースの内部に係合部が設けられるとともに、前記表面パネルの裏面に被係合部が設けられて、表面パネルの被係合部を取付ベースに差し込むことで、係合部に係合されて、下地面に表面パネルが取り付けられるようにしたことを特徴とする表面パネル取付構造。
【請求項2】
前記取付ベースの外向きフランジ部は、円形の1/4以上で1/2未満の円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の表面パネル取付構造。
【請求項3】
前記外向きフランジ部は、前記枠内の相隣接する2辺に接した状態で円周方向に回動できるように、所定角度だけ円周方向に延長されていることを特徴とする請求項2に記載の表面パネル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−203638(P2009−203638A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44917(P2008−44917)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】