説明

表面上においてPNA−および/またはDNA−オリゴマーを用いたオリゴマーアレイ

【課題】ゲノムDNA上のメチル化シトシンの検出、位置決定のための、DNA配列(オリゴマーアレイ)の提供。
【解決手段】固体表面に下記のPNA(ペプチド核酸)−および/またはDNA−オリゴマー配列を持つアレイ。各配列は、それぞれ6から20個の塩基からなるオリゴマーを含み、それぞれが少なくとも一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHの配列を含む。ここでHはアデニン(A)、シトシン(C)、またはチミン(T)の塩基のいずれか一つ、Dはアデニン(A)、グアニン(G)、またはチミン(T)の塩基のいずれか一つを示し、前記表面上におけるオリゴマーの位置が、該オリゴマーの配列と関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上にPNA(ペプチド核酸)−および/またはDNA−オリゴマーを用いたオリゴマーアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分子生物学における方法の開発により、詳しく研究されている監視レベルとして、遺伝子自体、これらの遺伝子のRNAへの翻訳、及びその結果生じる蛋白質がある。
個体が発達する間に、どの遺伝子が発現されているか、特定の細胞や組織のある遺伝子がどう活性化され、あるいは抑制されているかは、遺伝子あるいはゲノムのメチル化の程度や特性と相関している。
この意味で、病因となる状態は、個々の遺伝子あるいはゲノムのメチル化様式の変化に反映されているという仮説は説得力を持っている。
【0003】
5−メチルシトシンは有核細胞のDNAの中で、共有結合で修飾された塩基としては最も多数存在する。それは、例えば、転写の制御、ゲノム・インプリンティングや腫瘍発生に関与している。それゆえ遺伝情報の現状としての5−メチルシトシンの把握には、多大の関心が寄せられている。
【0004】
しかしながら、5−メチルシトシンの位置はシーケンシング(配列読み取り)によっては同定できず、5−メチルシトシンはハイブリダイゼーションに際してはシトシンと同じ塩基対形成様式を示す。従って、どのシトシンが5−メチルシトシンとなっているかというエピジェネティックな情報はPCR増幅では完全に失われてしまう。
【0005】
ゲノム塩基シトシンの5'−メチルシトシンへの変異は今日まで最も重要で研究されてきたエピジェネティックなパラメーターである。それにもかかわらず今日まで細胞や個体の全ての遺伝子型をつきとめるという研究方法では、大規模にエピゲノタイプ的な情報そのものを発生し、しかも解析することのできる一定した手がかりは見いだされていない。
【0006】
DNA上の5−メチルシトシンについて、比較的新しく、と同時に、最も頻繁に応用されている検出方法は、重亜硫酸塩がシトシンに特異的に反応することに基づいている。
シトシンは、アルカリ加水分解の直後にウラシルに置換されるが、ウラシルは、塩基対をつくる際の様式としてはチミジンに相当する。これに対して、5−メチルシトシンは、このような条件下では、修飾されない。このため、元のDNAが置換されても、ハイブリダイゼーション様式としては本来シトシンと区別され得ないメチルシトシンは、「従来」の分子生物学的技術、例えば増幅とハイブリダイゼーションあるいは配列読み取りによって、本来の、そして単一のシトシンとして検出される。
これらの技法は全て、塩基対形成に基づいており、今日広く活用されている。この技術の感度面での水準は次の方法で定義される。
標的のDNAをアガロース・マトリックスに包入し、こうしてDNAの拡散と再結合を防止する(重亜硫酸塩は一本鎖DNAとのみ反応する)。そして全ての沈殿と洗浄処理を高速透析によって行う(Olek,A.ら、Nucl. Acids. Res., 24, 5064−5066)。この方法によって、ひとつひとつの細胞を調べることができ、この手法の潜在的能力を評価できる。
事実、現在までのところ、約3000塩基対長ぐらいまでの個別領域しか調べられておらず、何千という細胞を全体的にメチル化分析することは可能ではなかった。また、この手法は微量の試料中の小さい断片について信頼できる分析結果を出すことができなかった。これは、マトリックスによる拡散防止にもかかわらず、喪失がおきるためである。
【0007】
5−メチルシトシンを検出するという、一般的な課題の解決法に関する考察が次のレビューに掲載されている:Rein, T., DePamphilis M. L.,Zorbas, H., Nucleic Acid Res., 26, 2255(1998)。
【0008】
基本的には、表面上にオリゴマーアレイを行う多くの様々な方法が考えられる。即ち、
【0009】
1.従来の方法では、試験管内あるいは特殊な自動合成装置内で多数かつ比較的大きな分量を占める全てのオリゴマーは、その後個々のピペットで担体上に取り出される。一般的には自動化された高精密なマイクロピペットロボットが使用される。この利点のため、この方法は最適化された標準方法や標準器具に広く応用されている。これにより非常に純粋なオリゴマーを用いて定性の高いDNAアレイの製造が可能となり、該アレイを用いて達成される検出感度や検出信頼性に非常に明確な影響を及ぼすものである。この方法の重大な欠点は、この方法が非常に複雑であり、従って高価であることである。これは特に大量に単一のオリゴマーを合成するのに適している。
【0010】
2.オリゴマーは、ピペット操作によってその微量が直接基盤上に合成される。そこで指定したオリゴマー鎖はそれぞれの格子の中点上で核酸塩基毎に形成される。ピペット操作には、1)の工程と同じように特殊なマイクロピペットロボットまたは、例えば配列されたそれぞれの中点に一つの合成成分を供給する挿管を有する装置を用いる(EP−A
0915897)。化学的な合成方法は自動合成装置における従来通りのオリゴマー合成の場合と基本的に同じである。異なる点は、全てのオリゴマーを個別かつ同時に、単一の自動装置によって直接予め備えた場所に作成する事である。方法1)によるオリゴマー合成の作業段階とは分けて考えられており、今やマイクロピペット操作は単独の作業段階として考えられている。器具や手作業に係る経費は方法1)と比べ著しく低くなっている。
【0011】
3.オリゴマーは、方法2)の様に直接基盤上に合成され、正確な格子の中点に正確な核酸塩基を直截に結合するには、連続的で狙いの正確なピペット操作を行う代わりに、完全に平行的な技術である、半導体製造から派生したフォトリソグラフ技術を用いる。この方法は、一定波長の光によってオリゴヌクレオチドの5'−OH保護基を直接離脱できるという事に基づく。
適切な局所照射試料によってオリゴヌクレオチドの端部とそれぞれの格子の中点との反応が可能となり、次にヌクレオチド成分を新たに結合する。ヌクレオチド成分溶液でアレイ表面を完全に湿潤することによって、前もって光をあてた場所だけに核酸塩基が結合し、未露出の全ての場所は変化しない。
マイクロ写真技術の黒白マスクを基盤と光源との間に設けて全ての格子部分を覆い反応が起こらないようにすることによって、局部的に露出した試料を製作する。
オリゴマー鎖の延長は核酸塩基を中心に全ての格子の中点上で発現し、その後は次のようになる。
即ち、第1のマスク操作によって、4種の可能である核酸塩基の内1つ目(例えばC)により拡張されるべき、それぞれの格子の中点が正確に露光される。その後、アレイは適切なヌクレオチド成分の溶液で湿潤され、照射された中点だけがこの塩基により拡張される。新たに付帯したヌクレオチド成分は全てに未だ保護基が付いているのでその保護基が次の照射によって分解するまでは、次の工程においても更なる反応は生じない。
この反応工程の後でアレイは洗浄される。第2のマスクを使用することによって、4つの可能である核酸塩基の内2つ目(例えばT)により拡張されるべき、それぞれの正確な格子が照射される。その後、アレイは再度適切なヌクレオチド成分溶液で湿潤され、さらに照射箇所はこの塩基により延長される。残る二つの核酸塩基(GとA)を同様に処理する。全てのオリゴマーを核酸塩基1つ分延長させるためには4段階の照射と4枚の写真マスクが必要である。
【0012】
この方法は光軸平行度が高いので非常に早く加工処理ができ、しかも効率的であり、それは高精密性によるものであるが、これはフォトリソグラフによって達成することができ、非常に高い格子密度を作り上げるために良く適合している。
【0013】
オリゴマーアレイ製造における技術水準についての展望に関しては1999年1月にNature Geneticsの臨時増刊として刊行されている(Nature Genetics Supplement,Volume 21,January 1999)ので、その引用文献を借用する。
【0014】
オリゴマーアレイ並びにフォトリソグラフのマスクデザインの応用に関する一般的な特許には、例えば特許文献1〜4がある。物質特許と製法特許が幾つか存在し、感光性保護基の使用をヌクレオチドだけに制限している。例として特許文献5と特許文献6が挙げられる。
【0015】
DNAを定着させる為に様々な方法が存在する。最も良く知られている方法は、ビオチンを用いて機能化されたDNAをストレプタビディンで覆われた表面に固相化することである。このシステムの結合は化学的共有結合ではないが、その結合力は化学的共有結合に合致している。標的DNAが、化学的に処理した表面と共有結合を結ぶことができる為には、標的DNAに相応の官能性が必要となる。DNA自体には適応した官能性はない。標的DNAに適応した官能性を取り入れた様々な変異体が存在する。即ち二つの容易に操作し得る官能化は脂肪性第一アミンとチオールである。
このようなアミンは定量的にN−ヒドロキシスクシンイミドエステルによって置換され、そしてチオールは適応した条件下で定量的にアルキルヨウ化物と反応する。ここでの難しさはDNAの中にそのような官能性を取り入れる事にある。最も簡単な変異体は、PCRのプライマーを経由して導入することである。この変異体には−5'−に変位したプライマー(NH2とSH)と二官能性リンカーを用いる。
【0016】
表面に定着させる主要な成分はそのものの性状にある。現在まで記述されているシステムは主にシリコン又は金属(磁気ビーズ)を材料としている。標的DNAを定着させる為の別の方法は、表面に定着させたオリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションを行う為、標的DNAの短い認識配列(例えば20塩基)を利用することに基づく。
【0017】
オリゴマーアレイの表面に定着されるプローブとして該オリゴヌクレオチドがあるが、核酸の変異体もある。例えばペプチド核酸(Peptide Nucleic Acids = PNA)、(Nielsen, P.E., Buchardt, O., Egholm, M. とBerg,R.H. 1993.ペプチド核酸.米国特許5,539,082 ; Buchardt, O., Egholm, M., Berg, R.H. と Nielsen, P.E. 1993. Peptide nucleic acids and their potential applications in biotechnology. Trends in Biotechnology, 11: 384−386)、ホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド又はメチルホスホン酸オリゴヌクレオチド。
プローブの特性は非常に重要である。ペプチド核酸は骨格に電荷が無く、これは同時に化学的に通常の核酸の糖リン酸骨格構造とは異なる。PNAの骨格は一般的なDNAの糖リン酸骨格の代わりにアミド配列を有する。PNAは相補的配列のDNAと非常に良くハイブリッド形成する。PNA/DNAハイブリッドの融点は同等のDNA/DNAハイブリッドの融点よりも高く、しかもハイブリッド形成する際の緩衝塩との関与は比較的に小さい。
【0018】
マトリックス支援レーザー脱離イオン化−質量分析法(Matrix−assistierte Laser Desorptions/Ionisations Massenspektrometrie = MALDI)はバイオ分子の分析にとって斬新で、非常に高い効率を発揮する(Karas,M. and Hillenkamp,F. 1988. Laser desorption ionization of proteins with molecular masses exceeding 10.000 daltoons.Anal.Chem. 60: 2299−2301)。分析される分子はUV吸収性マトリックスに組み込まれる。
短いレーザーパルスによってマトリックスは減圧下で気化するのでこの分析は気相においてそれほど破断することなく進められる。設定した電圧がフィールドフリーの導管内でイオンを加速する。質量が異なるためイオンは様々に強く加速される。小さなイオンは大きなものよりも早く検出器に到達するため、飛行時間はイオンの質量により換算される。
【特許文献1】米国特許第5,837,832号
【特許文献2】米国特許第5,856,174号
【特許文献3】国際公開WO 98/27430
【特許文献4】米国特許第5,856,101号
【特許文献5】国際公開WO98/39348
【特許文献6】米国特許第 5,763,599号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の課題は、メチル化したシトシンを検出するために好適なオリゴマーアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、この課題をオリゴマー−配列をPNA−(ペプチドヌクレイン酸)−および/またはDNA−オリゴマーを使って表面上で形成する事によって解決するものであり、モノマーがそれぞれ6から20の間からなるオリゴマーを含み、その際それぞれ少なくともその一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHの配列を包み、その際Hはアデニン(A)、シトシン(C)、又はチミン(T)の塩基の一つを意味し、さらに、Dはアデニン(A)、グアニン(G)、又はチミン(T)の塩基の一つを示し、そしてその際にオリゴマー配列によって表面上のオリゴマーの位置は相関関係にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の好適な実施態様においては、少なくともオリゴヌクレオチドの10%は一般的配列形式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHを含む。
【0022】
また、本発明の好適な実施態様においては、少なくともオリゴヌクレオチドの25%は一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHを含む。
【0023】
さらに本発明の好適な実施態様においては、少なくともオリゴヌクレオチドの50%は一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHを含む。
【0024】
同様に本発明の好適な実施態様においては、少なくともオリゴヌクレオチドの75%は一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHまたは一般式HHCAHHを含む。
【0025】
本発明によれば、表面が平坦であり、オリゴマーが矩形又は六角形の格子内にあり、それが配位の割当てを可能にしており、その上に配列することが望ましい。しかし、別の目的にかなった幾何学上の配位を選択し、そこで例えば円形に配置して自動化の可能性の向上を補完することも可能である。
【0026】
オリゴマーアレイは、一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHおよび一般式HHCAHHの配列を含むことが望ましい。
【0027】
特に、オリゴマーアレイは、一般式DDCGDDおよび一般式DDTGDDの配列、または一般式HHCGHHおよび一般式HHCAHHの配列を含むことが望ましい。
【0028】
これらが、少なくとも100種のオリゴマーを含むことが望ましい。
【0029】
本発明において、好適な実施態様のオリゴマーアレイは、CG−配列を含むそれぞれのオリゴマーに適合させて、類似オリゴマーが固定化され、前記類似オリゴマーはCG−配列の代わりにTG−またはCA−配列を含むことのみによって上記のオリゴマーと区別されることを特徴とする。
【0030】
さらに、表面がガラス製であることが望ましい。
【0031】
さらに、表面が金属製又は他の伝導性の物質であることが望ましい。特に、ターゲットの表面がMALDI−質量分析計のものであれば非常に望ましい。
【0032】
従って、上記本発明のオリゴマーアレイでは、メチル化度合いを検出するためにゲノムDNAプローブを用いることができる。
【0033】
本発明のさらなる目的は、予め増幅したDNA断片のハイブリッド形成に実施態様のオリゴマーアレイを応用することにある。
【0034】
その際、増幅するDNAは重亜硫酸溶液(又は亜硫酸水素、重亜硫酸水素溶液)で処理されることが望ましい。
【0035】
本発明の更なる目的は、ゲノムDNAにおけるシトシンのメチル化度合いの検出に実施態様のオリゴマーアレイを応用することにある。
【0036】
従って、本発明の目的は、配置、特にオリゴマーアレイの形式における配置にあり、前記配置は表面がPNA(ペプチド核酸)又はDNAオリゴマーから成り、前記オリゴマーはそれぞれ6から20の間のモノマー(又は核酸塩基)から成り、一般的な配列形式DDCGDDおよび/または一般式DDTGDDおよび/または一般式HHCGHHおよび/または一般式HHCAHHを含み、その表面におけるオリゴマーの位置によりそれぞれその配列を逆推論することが可能である。
このタイプのオリゴマーアレイは、特にゲノムDNA内におけるシトシンのメチル化の検出に適している。前記配列のハイブリッド形成は、重亜硫酸による化学的前処理後、DNAのメチル化の状態によって激しく変動する。
【0037】
このハイブリッド形成によって発生する信号により、使用されたオリゴマーアレイをさらに正確に場所決めすることができるために特に望ましいのは、表面が水平であり、その上でオリゴマーが、座標の形式で割当てを可能とする、矩形又は六角形の格子の形状に配置されることである。
【0038】
特に望ましくは、表面上にPNA(ペプチド核酸)−又はDNAオリゴマーを配置し、オリゴマーアレイがそれぞれ6から20の間のモノマー(あるいは核酸塩基)からなるオリゴマーを含み、一般式DDCGDD、一般式DDTGDD、一般式HHCGHHおよび一般式HHCAHHの配列を含むことにより、表面上におけるそれぞれのオリゴマーの位置によりそれぞれの配列の逆推論が可能となる。
【0039】
特に望ましくは、表面上にPNA(ペプチド核酸)−又はDNAオリゴマーを配置し、オリゴマーアレイがそれぞれ、6から20の間のモノマー(あるいは核酸塩基)からなる一般式DDCGDDおよび一般式DDTGDDのオリゴマーを含むことにより、表面上におけるそれぞれのオリゴマーの位置によりそれぞれの配列の逆推論が可能となる。
【0040】
特に望ましくは、表面上にPNA(ペプチド核酸)−又はDNAオリゴマーを配置し、オリゴマーアレイがそれぞれ、6から20の間のモノマー(あるいは核酸塩基)からなる一般式HHCGHHおよび一般式HHCAHHのオリゴマーを含み、表面上におけるそれぞれのオリゴマーの位置によりそれぞれの配列について結論を出すことが可能となる。
【0041】
その場合、特にこの配置が少なくとも100の様々なオリゴマーを含むことが望ましく、それぞれ少なくともDDCGDD、DDTGDD、HHCGHH、あるいはHHCAHHの配列を含むことが望ましい。
【0042】
特に、配置の表面はガラスから成る実施態様が望ましい。さらに、配置の表面は、金属製又は他の伝導性の物質から成る実施態様が望ましい。特に好適な実施態様においては、配置はターゲットの表面がMALDI−質量分析計のものであることを特徴とするのが望ましい。
【0043】
本発明の目的は、表面上のPNA(ペプチド核酸)−又はDNA−オリゴマーの配置に応用することにあり、オリゴマーアレイはそれぞれ6から20の間のモノマー(あるいは核酸塩基)からなるオリゴマーを含み、一方、一般式DDCGDDおよび/または一般式DDTGDDおよび/または一般式HHCGHHおよび/または一般式HHCAHHの配列を含み、表面上のオリゴマーの位置によりそれぞれその配列の逆推論が可能であり、事前に増幅されたDNA断片のハイブリッド形成を行う。
【0044】
特に、ポリメラーゼ連鎖反応によって生じたDNA断片の使用が望ましい。
【0045】
特に望ましくは、表面上のPNA(ペプチド核酸)−あるいはDNA−オリゴマーの配置を応用することであり、オリゴマーアレイがそれぞれ6から20の間のモノマー(又は核酸塩基)を含み、一方、一般式DDCGDDおよび/または一般式DDTGDDおよび/または一般式HHCGHHおよび/またはHHCAHHの配列を含み、その際表面のオリゴマーの位置によりそれぞれその配列の逆推論を可能とし、DNAのハイブリッド形成を行う為に、予め重亜硫酸溶液(又は亜硫酸水素、重亜硫酸水素)で処理することである。特にDNAは予め増幅させておく。
【0046】
特に望ましくは、表面におけるPNA(ペプチド核酸)−あるいはDNA−オリゴマーの配置の応用であり、オリゴマーアレイはそれぞれ6から20の間のモノマー(あるいは核酸塩基)からなるオリゴマーを含み、一方一般式DDCGDDおよび/または一般式DDTGDDおよび/または一般式HHCGHHおよび/またはHHCAHHの配列を含み、表面上のオリゴマーの位置によりそれぞれその配列の逆推論を可能とし、ゲノムDNAにおけるシトシンのメチル化を検出する。
【0047】
図1ではゲノムDNAにおいてシトシン−メチル化パターンを検出する為の本発明によるオリゴマーアレイの応用を実例で説明している。
【0048】
図1において、文字H、DおよびNは以下を意味する。すなわちH アデニン(A)、シトシン(C)又はチミン(T)の塩基の一つ、D アデニン(A)、グアニン(G)またはチミン(T)の塩基の一つおよびN アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)又はチミン(T)の塩基の一つを示す。
【0049】
シトシンのメチル化のみにより区別されるDNA塩基配列は、重亜硫酸によって処理した後で核酸塩基の配列に変化が生じる。
メチル化されたシトシンは重亜硫酸処理によって変化しないが、非メチル化シトシンはチミンに変換され、これらを多様な配列に増幅し、相補的な配列が存在するオリゴマーアレイの様々な部位に結合する。このようにして、オリゴマーアレイにおける配列が知られていることにより、元のDNAにメチル化されたシトシンが既存していたかについて結論を出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ゲノムDNAにおいてシトシン−メチル化パターンを検出する為の本発明によるオリゴマーアレイの応用の実例を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが6から20個のモノマーあるいは核酸塩基からなるオリゴマーを含む、表面上にPNA(ペプチド核酸)−および/またはDNA−オリゴマーを備えたオリゴマーアレイであって、該オリゴマーアレイは、少なくとも100種のオリゴマーを含み、
a)前記オリゴマーの配列の少なくとも50%は一般式
DDCGDDおよびDDTGDD、または
b)前記オリゴマーの配列の少なくとも50%は一般式
HHCGHHおよびHHCAHH
(式中、Hは塩基のアデニン(A)、シトシン(C)もしくはチミン(T)を意味する、および
Dは、塩基のアデニン(A)、グアニン(G)もしくはチミン(T)を意味する)を含み;
および前記表面上におけるオリゴマーの位置は該オリゴマーの配列と相関していることを特徴とするオリゴマーアレイ。
【請求項2】
それぞれが6から20個のモノマーあるいは核酸塩基からなるオリゴマーを含む、表面上にPNA(ペプチド核酸)−および/またはDNA−オリゴマーを備えたオリゴマーアレイであって、該オリゴマーアレイは、少なくとも100種のオリゴマーを含み、
a)前記オリゴマーの配列の少なくとも75%は一般式
DDCGDDおよびDDTGDD、または
b)前記オリゴマーの配列の少なくとも75%は一般式
HHCGHHおよびHHCAHH
(式中、Hは塩基のアデニン(A)、シトシン(C)もしくはチミン(T)を意味する、および
Dは、塩基のアデニン(A)、グアニン(G)もしくはチミン(T)を意味する)を含み;
および前記表面上におけるオリゴマーの位置は該オリゴマーの配列と相関していることを特徴とするオリゴマーアレイ。
【請求項3】
表面が平面であり、その上でオリゴマーが、座標に沿った割当てが可能である矩形または六角形の格子の形状に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のオリゴマーアレイ。
【請求項4】
CG−配列を含むそれぞれのオリゴマーに適合させて、類似のオリゴマーが固定化され、前記類似のオリゴマーはCG−配列の代わりにTG−またはCA−配列が含まれることによってのみ上記のオリゴマーと区別されることを特徴とする先行請求項の一項に記載のオリゴマーアレイ。
【請求項5】
前記表面がガラスで形成されていることを特徴とする、先行請求項の一項に記載のオリゴマーアレイ。
【請求項6】
前記表面が金属またはその他の導電性物質で形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の一項に記載のオリゴマーアレイ。
【請求項7】
前記表面がMALDI質量分析計のターゲットであることを特徴とする、請求項6に記載のオリゴマーアレイ。
【請求項8】
予め増幅させたDNA断片をハイブリッド形成するための、請求項1に記載のオリゴマーアレイの使用。
【請求項9】
DNAが増幅前に重亜硫酸溶液(または亜硫酸水素、重亜硫酸水素溶液)で処理されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
ゲノムDNA中でシトシン−メチル化を検出するための、請求項1に記載のオリゴマーアレイの使用。

【図1】
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【公開番号】特開2007−175051(P2007−175051A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350139(P2006−350139)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【分割の表示】特願2001−539907(P2001−539907)の分割
【原出願日】平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願人】(501198899)エピゲノミクス アーゲー (1)
【Fターム(参考)】