説明

表面強化型天然木型材及びその製造方法

【課題】本発明によって既存技術での問題が解決でき、密度が小さく、表面強度が高く、耐腐食レベルがII級以上に達し、含水率が安定した各気候に適合する天然木型材を提供する。
【解決手段】本発明は木質型材及びその製造方法に関わるのであって、特に軟質木素材型材及びその製造方法に関わるのである。本発明は下記の技術案により実現できる。一種の表面強化型天然木型材であって、圧縮密着層と、前記圧縮密着層に自然層の繊維が繋がれた自然層と、が含まれ、その全体の密度が350〜750kg/m3で、含水率が5〜12%で、耐腐食等級がII級以上で、重量損失が24%以下である、一種の表面強化型天然木型材。本発明は特に床材の製作に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木質型材及びその製造方法に関わるもので、特に軟質木の素材の型材及びその製造方法に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
天然木資源の枯渇及び国家の天然木に対する保護対策実施に従い、人工林の木材は今後国内外の木材市場に供給と需要の矛盾を緩和する主要木材となる。人工林の木材には、主に杉、馬尾松(バビショウ、カラマツの一種)、カラマツ、ハコヤナギ、キリ等の樹種が含まれ、生長速度が速く、産量が高く、伐採周期が短い等の特徴があり、またその生長が速く、材質が悪く、密度及び表面の硬度が低く、耐腐食性と耐気候性が悪く、容易に変形し割れる等の欠陥によりその応用範囲が制限されている。
【0003】
木材の機能性改良とは、人工林の木材の物理化学的性能を改善する有効方法で、処理することによって木材の密度、表面硬度、耐摩耗性、防腐性と寸法安定性が何れも大幅に高まれ、天然木床材、天然木家具業界及びその他の建築装飾材料に幅広く応用できる。
【0004】
型材の力学性能を高める方法には、圧縮方法を採用するものがある。
【0005】
ハコヤナギ、南部松、バビショウ等は常に見られる速成樹種であるが、その材質が柔らかく、材質そのものの各方向の異方性が非常に大きいため、これらの速成材に対して、機能性改良を行う研究が多く、国内外に参考価値のある成功的な経験が多い。
【0006】
ところが、圧縮木材は非常に膨張しやすく、特に水の有る条件で更に酷い。
【0007】
圧縮木材の欠点を取り除くため、常に蒸気或いは樹脂等を用いて圧縮木材の膨張を防止する方法を採用している。例えば、1996年に方桂珍氏等が異なる濃度の低分子量メラミン・アルデヒド(MF)樹脂を木材の圧縮を固定する架橋剤としてハコヤナギに含浸し、処理材料ASEを47%、MEEを36%とし、10%の濃度の架橋剤にて処理したテスト品を圧縮した後、室内温度で水に浸すと、その固定変形を維持することができ、17.5%と25%濃度の架橋剤にて処理したテスト品は、熱湯の中でもその変形を維持することができた。1997年において、方桂珍氏等はハコヤナギとMF架橋剤の作用原理を研究し、1998年方桂珍氏等は更に異なる濃度のフェノールアルデヒド(PF)プリポリマーにてハコヤナギ木材を処理し、加熱中に横方向模様によって圧縮処理を行った。その結果、10%のPFプリポリマー処理を経由したテスト材料は、ASEが60%以上に達し、MEEが52%で、室内温度の水或いは熱湯の中に浸すとその圧縮変形を完全に維持することができた。1998年方桂珍氏等は1、2、3、4−ブタン4カルボン酸(BTCA)を架橋剤、NaH2PO2を触媒としてハコヤナギを処理した後、150℃の恒温で圧縮し、低分子量PF樹脂にてハコヤナギ木材を処理して、木材の寸法の安定性と力学強度を高めている。2000年において、方桂珍氏等は木材に低分子量の低色度フェノールアルデヒド樹脂を含浸する研究と低分子量フェノールアルデヒド樹脂にてハコヤナギに対して改質をする研究を行った。
【0008】
既存の表面圧縮により木材を固定化する方法は、鋸で切断した乾いた材料の表面部分を、5〜6h、所定の深さの水の中に浸して、一定量の水が浸透した後、マイクロ波放射にて加熱し、その後それを熱プレス装置で圧縮、密着させてから、乾燥して圧縮部分を固定するが、この技術は表面を浸水した後、木材表面の含水量が大きいため、短い時間内で蒸発する際、その表面は水分の蒸発により素早く収縮し、大きい内部応力を生じ、表面が容易に割れることになり、また圧縮乾燥固定中に木材の表面内部応力のバランスが十分に取れなく、表面が十分に塑性固定化されないので、使用中に容易に膨張しやすくなる。
【0009】
上記方法は化学試薬にて処理するので、排気或いは排水を生じ、騒音が大きく環境を汚染する。それに得られた型材は寸法安定性が悪く、曲がりやすく、耐腐食性と耐気候性が理想的でなく、寿命が短く、歩留まりが少ない等の欠点がある。
【0010】
特許文献1は、特許技術「表面強化型天然木型材、床材及びその製造方法」を公表している。その製造方法は次の通りである。(1)原木型材を乾燥、(2)原木型材を210〜250℃の熱プレス装置で圧縮、(3)圧縮した後の原木型材を20〜60分間保温する。(4)原木型材の含水率を6〜9%の間に制御する。上記案は、乾燥中容易に皺が生じ、その後工程の圧縮中に容易に割れるため、木材のロスが多く、歩留まりが約60〜70%だけで、また処理後の色が深く、焦げた匂いが出る。上記工程で得られた床材は、北方等の乾燥気候条件でしか使用できなく、南方で使用すると大きい変形を生じ、耐腐食レベルもIII級しかなく、防腐性が悪い。
【0011】
特許文献2は、特許技術「木材熱プレス炭化強化方法」を公表している。その製造方法は次の通りである。(1)乾燥:木材の密度によって、乾燥炉の中で含水率を3〜17%に制御する。(2)研磨:木材に対して研磨処理を行う。(3)熱プレス炭化:研磨後の木材を160〜260℃の熱プレス装置の中に入れて熱プレス炭化を行う。木材の圧縮比率は5〜50%に制御し、10〜240分間保温する。冷却:炭化後の木材を80℃以下に冷却する。(4)完成品:木材を自然条件或いは温度と湿度を調整した部屋の中に置き、木材の用途によって木材の含水率を5〜10%に調整する。上記案による木材は圧縮炭化中、容易に割れ、歩留まりが低く、約50〜60%である。同時に上記案により処理した木材は耐腐食性が悪く(通常III級以下)、不安定で、寸法の安定性も低く、同時に過度に炭化される木材もあり、材料の色が黒く、焦げた匂いがする。
【0012】
特許文献3は、特許技術「ハコヤナギの圧縮炭化による三層天然木複合床材の製造方法」を公表している。その製造方法は次の通りである。速成ハコヤナギを鋸で板材に切断し、乾燥、研磨を行い、圧縮率(圧縮率が30%、40%、50%、60%)と板材の厚み2〜4mmによって、含水率が20〜40%のハコヤナギ薄板に加工する。板材はプレス装置にて必要の圧縮率に圧縮され、圧縮時の温度が70〜110℃である。印加される圧力は薄板に設けられた圧縮率により決められる。圧縮後の板材は一定の圧力条件或いは特製の治具にて炭化固定され、熱プレス装置或いは特製の治具の中で炭化される。炭化温度は190〜220℃で、時間は1.5〜5時間であり、炭化装置には排気口が設けられてある。炭化処理完了後、一定の圧力条件の下でハコヤナギ薄板の温度を40〜60℃に下げてから、ハコヤナギを取り出し、ワイドベルトサンダー(研削研磨機)にて黒くなった外層を研削する。研削後のハコヤナギ薄板の厚みを2〜4mmにした。既存技術において、上記案ではハコヤナギの含水率が大きく、繊維飽和点前後で、70〜110℃の条件の下で乾燥後、木材の収縮率大きく、それに応じて木材の残応力も大きくなり、190〜220℃の条件の下で炭化する際、木材が容易に割れ、圧縮率も大きく、全体が圧縮されるため、木材ロスが大きい。炭化装置に設けられた排気口は、圧縮された木材表面に凸凹する斑を生じ、研削後これら斑によりその区域の硬度が下がり、後工程で含水率の湿度調整処理がないため、木材が使用中湿気吸収により変形される。この様なプロセスは産業運転に役に立たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】中国特許出願公開第101603623号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101214675号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第101486212号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明によって既存技術での上記の問題が解決でき、密度が小さく、表面強度が高く、耐腐食レベルがII級以上に達し、含水率が安定した、各気候に適合する天然木型材を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明において、上記技術の目的は下記の技術案により実現できる。即ち、一種の表面強化型天然木型材であって、圧縮密着層と、前記圧縮密着層に自然層の繊維が繋げられた自然層と、が含まれ、その全体の密度が350〜750kg/ m3で、含水率が5〜12%で、その耐腐食等級がII以上に達し、重量が24%以下だけ減少する、一種の表面強化型天然木型材。
【0016】
上記型材には接着剤がなく、その中の自然層は自然のままの木材構造であるが、表面圧縮中に自然層の構造に影響を与える可能性がある。しかし、上記の影響は圧縮密度に対して圧縮される量が無視できる。上記の圧縮密着層の密度は、表面層の表面から0.6〜4mm離れた所までだんだんと自然木材密度まで減少する。圧縮密着層と自然層の間は自然繊維により連結されるので、既存のベニヤとは異なる。上記の連結は堅固で、汚染が無く、製造工程が簡単である。上記圧縮密着層において、表面の塗装膜の硬度は3〜6Hに達する。
【0017】
本発明の素材は軟質材料で、その気乾密度が700kg/ m3以下で、大多数が速成樹材料である。
【0018】
天然木型材の含水率は5〜12%である。含水率とは、木材の中に含まれる水分の重量と完全に乾燥した後の木材重量のパーセントであり、木材含水率と定義される。大気条件の下での湿気吸収平衡含水率とは、木材が一定の温度と湿度の状態で、最後に達する湿気吸収安定含水率或いは脱離安定含水率に達するのであり、木材の平衡含水率と呼ばれる。一般的に異なる場所での木材の含水率は異なる。例えば、広州地域での年間平均平衡含水率が15.1%で、北京地域は11.4%である。11%まで乾燥した木材は北京地域に適し、広州で使用されると湿気を吸収して膨張され変形してしまう。その故、通常木材の最終的含水率は使用地域の平衡含水率と近いか或いは同じでなければ、木製品の使用安定性を保証することが出来なくなる。本型材は圧縮炭化処理を経由した後、速成樹材料の表面硬度を高め、優れた固定作用を果たすだけではなく、その湿気吸収性も大幅に下げているので、その寸法安定性に対する、使用地域の、異なる季節における温度と湿度の変化の影響を大いに減少し、使用寿命も高め、異なる気候条件で含水率を調整する必要が無く、異なる地域気候条件での使用に適応できる。
【0019】
本発明における上記表面強化型天然木型材に対して、「GB 1941-91 木材硬度試験方法」によって測定した型材の表面硬度は1500N以上で、その自然層の2.0倍以上である。同時に、その使用平衡含水率が既存技術における圧縮型材より大いに低く、使用中、型材の含水率の変動が小さい為、寸法安定性を大いに高めている。既存の圧縮木材において、圧縮密着層をシールする必要があるため、大量の化学試薬を採用しているが、本発明における上記表面強化型天然木型材には既存技術の上記化学試薬が含まれていない。それ以外に、上記表面強化型天然木型材は防腐性能が優れている。「GB/T 13942.1-1992 木材における天然耐久性試験方法 木材における天然耐腐食性試験室試験方法」の標準によって、本発明の優先樹種サンプルに対して試験を行った結果、その耐腐食レベルがII以上で、重量が24%以下だけ減少された。
【0020】
上記表面強化型天然木型材の原材料は速成樹材料である。例えば、ポプラ、杉の木、バビショウ、南部松、カラマツ、キリ等がある。これらは処理する前には力学性能が劣り、防腐防湿性能が理想的でなく、安定性が低いので、ばい菌と虫の被害を受け易く、容易に割れたり変形する。
【0021】
その耐腐蝕レベルがI級以上のものを優先とする。
【0022】
圧縮密着層の厚みが1〜2mmであるものを優先とする。
【0023】
上記含水率が6.5〜10%であるものを優先とし、7〜9%であるものを更に優先とする。
【0024】
圧縮密着層の厚みが0.6〜4mmで、圧縮密着層の密度が自然密度の1.3〜3倍であるものを優先とする。
【0025】
上記案における天然木型材としてハコヤナギを優先とするが、その全体の密度が380〜550kg/m3で、含水率が6〜12%で、圧縮密着層の厚みが0.6〜4mmで、圧縮密着層の密度が自然層密度の1.5〜3倍であるものを優先とする。
【0026】
上記案における天然木型材として南部松を優先とするが、その全体の密度が500〜720kg/m3で、含水率が5〜11%で、圧縮密着層の厚みが0.6〜3mmで、圧縮密着層の密度が自然層密度の1.3〜2倍であるものを優先とする。
【0027】
上記案における天然木型材としてバビショウを優先とするが、その全体の密度が480〜680/m3で、含水率が5〜10%で、圧縮密着層の厚みが0.6〜2.5mmで、圧縮密着層の密度が自然層密度の1.3〜2倍であるものを優先とする。
【発明の効果】
【0028】
上記表面強化型天然木型材は、下記のメリットがある。
(1)厚み、密度の分布:圧縮密着層の厚みが0.6〜4mmで、その密度が自然層の1.3〜3倍である。
(2) 湿気吸収性:素材に比べて45%以上下げられる。
(3) 寸法安定性:その素材に比べて55%以上高められる。
【0029】
本発明では、上記表面強化型天然木型材の製造方法を提供し、物理的木材機能性改良方法によって、速成樹材料の材質が柔らかく、密度が小さく、容易に割れたり変形する等の技術問題が解決され、同時に既存技術処理による、圧縮木材が膨張し、木材ロスが大きく、浸す樹脂が環境を汚染し、寸法安定性が低く、耐腐食耐気候性が低く、変形しやすく、歩留まりが低い等の技術問題が解決され、生産工程が複雑で、エネルギー消耗が高い等の技術問題が解決できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明における上記表面強化型天然木型材の製造方法には、下記の手順が含まれる。
(1)乾燥手順:気乾密度が700Kg/m3以下の木材を5〜12%の含水率までに乾燥させる。
(2)圧縮手順:木材に対して表面圧縮を行う。
(3)炭化手順:木材に対して炭化を行う。
【0031】
前記の乾燥手順は高温高湿の乾燥方法を優先として採用して、木材が乾燥中に皺を生ずるのを防止し、カビ或いは青変を防止して、木材の最終の製品品質を保証し、その含水率を5〜12%に下げる。優先として採用するもう一つの方法は、木材を室内で5日間以上自然乾燥した後、更に加熱乾燥を行い、自然乾燥にて一部の水分を乾燥させ、熱プレス中に割れるのを防止する。
【0032】
優先として、乾燥手順の中で、樹脂がある木材に対して、含水率を8〜12%までに乾燥させ、樹脂のない木材に対して含水率を5〜8%までに乾燥させる。木材の含水率が3〜5%である際、木材が脆くなるため、圧縮炭化中に木材は容易に割れ、歩留まりが低くなる。木材の含水率が20〜40%になると、木材は圧縮炭化中、木材内部の水分が過熱水蒸気になる為、含水率が高く、木材内部の過熱水蒸気の圧力が大きく、圧縮炭化に用いる木材が通常密度が小さく、生長速度が速い軟質材料であるので、過熱蒸気の圧力が木材の内部繊維間の結合強度より大きくなりやすく、木材を爆裂させる。実験によると、上記方法にて木材を処理すると、その製品の歩留まりが98%以上になる様にすることができる。
【0033】
上記の圧縮手順では熱プレス装置を採用し、熱プレス機の上下押し板が温度差を形成し、木材表面層が温度上昇して軟化され、熱プレス機を制御することにより圧力を25〜50Mpaにし、30〜40 Mpaを優先として、木材の片面表面層が1〜5mmのみ圧縮させ、圧縮後上下押板の温度差を下げ、温度差は30℃を優先とし、両方の温度差ゼロを更に優先とする。圧縮後保温し、圧力を30〜120minにキープし、30〜90minを優先とし、45-90minを更に優先とする。即ち、速成樹天然木の表面層で0.6〜4mmの圧縮密着層を形成し、圧縮密着層が自然層密度の1.3〜3倍になる様にする。
【0034】
上記案において更に優先とする前記圧縮手順は、プレス速度を0.5〜4.0mm/sに、木材の圧縮率を10〜25%に制御することである。
【0035】
上記技術案の優先とする熱プレス機の高温押板の温度は140〜200℃で、低温押板の温度が高温押板の温度より100℃以上低いことである。熱プレス機の高温押板の温度は150〜170℃を更に優先とする。
【0036】
優先として、前記炭化手順は170〜230℃の条件の下で、木材に対して1〜5時間炭化処理を行い、190〜210℃の条件の下で、木材に対して3〜5時間炭化処理を行うのを優先とし、170〜190℃の条件の下で、木材に対して1〜3時間炭化処理を行うのも優先とすることにより、圧縮する部分が十分可塑化される様にし、圧縮中に生ずる内部応力を取り除き、冷却後固定され、湿度処理によって木材の含水率を5〜12%に戻し、含水率の要求に達する。
【0037】
優先として、前記の炭化手順を行う前に予炭化手順がある。具体的には木材を125〜150℃の条件の下で、予炭化熱処理を1〜4時間行い、125〜135℃の温度での2〜4時間の予炭化熱処理を優先とし、130〜150℃温度での1〜3時間の予炭化熱処理も優先とする。
【0038】
優先として、炭化手順後木材の含水率を5〜12%に調整する手順を含む。
【0039】
前記案の優先として、前記の炭化手順において常圧炭化炉を採用し、170〜230℃の条件で、木材に対して炭化熱処理を1〜5時間行い、190〜210℃条件で木材に対して3〜5時間炭化熱処理を行うのを優先とする。熱処理後木材の含水率を5〜12%に調整する。
【0040】
上記案の更なる優先として、常圧炭化炉炭化手順の前に予炭化手順がある。即ち、木材を125〜150℃の条件の下で予炭化熱処理を1〜4時間行い、125〜135℃の条件で2〜4時間予炭化処理を行うのを優先とする。これにより木材炭化中に生じる炭化欠陥を防止し、最終的には製品の品質を保証する。
【0041】
上記案の優先として、前記の炭化手順では加圧炭化タンクを採用し、タンク内の圧力が0.15〜0.6MPaで、170〜230℃の条件で木材に対して炭化熱処理を1〜5時間行い、170〜190℃の条件で木材に対して1〜3時間の炭化熱処理を行うのを優先とする。熱処理後木材の含水率を5〜12%に調整する。
【0042】
上記案の優先として、加圧炭化タンクにおける炭化手順には予炭化手順がある。前記の予炭化手順とは、木材を125〜150℃の条件で予め炭化熱処理を1〜4時間行い、130〜150℃の条件で1〜3時間予め炭化熱処理するのを優先とし、炭化タンクでの高温高湿圧力条件で更に圧縮密着層の固定成形に更に役に立ち、製品の寸法安定性を保証する。
【0043】
本発明方法の優先として、更に炭化後押えローラにて塗装する手順が含まれる。前記押えローラ塗装手順とは、UV樹脂を0.5〜1.0Mpaの圧力で押えて、圧縮密着層に0.05〜0.15mm浸透させた後、UV固定化する。本発明では、UV樹脂を圧縮密着層に押入れ、塗料と型材の表面の繊維を更に接触させ、架橋硬化反応を発生させ、塗装膜の硬度と軟性とも上げて、速成樹圧縮木の各種性能を追加している。
【0044】
上記を纏めると、本発明は以下の良い効果がある。
1.表面強化型天然木型材は、速成樹材料を採用することができ、その資源が豊富で、価格が安い特徴があり、表面は圧縮密着炭化処理を経由した後、珍しい樹種の天然の優れた木材の微環境特性と物理力学性能を具備し、同時に本発明では一次成型複合式木材物理機能性改良技術、即ち圧縮炭化技術にて直接に型材を得られるので、数組を浸して貼り合わせる等の部分を省き、コストを節約すると同時に型材の力学性能を強化し、木材の天然特性を維持している。
2.表面強化型天然木型材は、平衡含水率が低く、変動が少なく、寸法安定性が高く、耐腐食耐気候性が強く、圧縮密着方法上の膨張性が小さいので、製造された製品に対して再度含水率を調整する必要が無く、直接に屋外、オンドル等の異なる各環境条件に応用することができる。
3.表面強化型天然木型材において、圧縮密着層と自然層の繊維が連結されるが、これらの間には貼り合わせ、仕分け等の技術問題が無く、圧縮後更に炭化されるので、圧縮密着層に対して高温固定処理を行うので、表面層が硬く、その下層が柔らかい等弾性のある木材の新たな特性を形成させる。天然木床材に使用される際、その独特な優位点を有し、出来上がった天然木床材は木の模様が現れ、足接触感が気持ちよく、如何なる有害気体も出さない。視覚、触覚、味覚とも素晴らしく、特に年長者或いは子供がある家庭で床材に適するが、これは現在普通の天然木床材が追い付かないことである。
4.表面強化型天然木型材の製造方法において、型材の膨張性が小さく、型材の物理力学性能を保証すると同時に、炭化温度と時間を制御することにより、型材を黄色からブラウン色に段々と深くさせることにより、木材に珍しい木材の高級感を持たせ、採用される炭化方法は既存方法に比べ本質的な区別を有している。本方法を採用したのは、本発明における圧縮密着による木材性質の上に、独自に開発した熱処理時間が短く、製品の色彩がきれい等の特徴を有している。既存の炭化方法の代わりに本方法を採用すると、炭化された木材は全て表面或いは内部が割れてしまう。本炭化方法は良い省エネ特徴を有している。
5.表面強化型天然木型材の製造方法において、圧縮する前に乾燥手順を設置したことにより、木材がカビ或いは青変及び木材の表面外観が落ちる等を防止すると同時に後工程の圧縮密着中木材が割れる或いは爆裂して、機械或いは作業者を傷つけることを防止して、製品の歩留まりを高め、製品の品質を保証している。
6.本発明において、表面強化型天然木型材の製造方法は簡単で、産業化を進めるのに有利である。本発明において、重要な手順は主に乾燥手順、圧縮手順、炭化手順がある。これらの手順において、設備が完備して、工程が適合し、その工程が正しく実施されるのであれば、高品質の製品が得られる。
7.木材の製造方法において、圧力塗装方法によって、UV硬化樹脂を圧縮密着層の表面層の中に圧入して、永久的な硬化を形成して、圧縮密着層の模様を永久にシールすることにより、圧縮密着層の湿気吸収能力を有効に低減し、木材の寸法安定性を更に強化して、膨張を防止する。
8.本発明は工程が簡単で、圧縮を行った後炭化中如何なる化学試薬も添加しなく、排気と排水が無く、熱利用効率が高く、省エネと環境にやさしく、木材の固有欠陥を解決しているので、既存技術における膨張と環境保全とも配慮する課題を解決しているので、産業化の実施に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1は、実施例2での圧縮炭化技術におけるハコヤナギの電子顕微鏡による写真図である。
図2は、実施例2おけるハコヤナギ素材の電子顕微鏡による写真図である。
図3は、実施例2におけるハコヤナギ素材の厚み方向上の密度分布図である。
図4は、実施例2におけるハコヤナギ素材の圧縮炭化技術による製品の厚み方向上の密度分布図である。
【0046】
図1と図2はそれぞれ最終製品とハコヤナギ素材の電子顕微鏡による写真図であって、二枚の図から分かる様に、図2の素材の細胞構造の分布が均一であり、図1で見てすぐ分かる様に、圧縮表面から2〜3mmぐらいの第一圧縮密度層の密着程度が非常に著しく、その内部は天然木材の均一構造を維持している。
【0047】
図3と図4はそれぞれ素材と最終製品の厚み方向上の密度分布図であり、各試験には3つのサンプルがあり、見て分かる様に、表面圧縮後の製品の表面は内部方向の2〜3mmに密度が明らかに強くなる。
【実施例1】
【0048】
一種の南部松木材床材の製造方法であって、採用した速成樹材料は南部松素材で、鋸でロット生産の同じ仕様の木材に切断して、後工程の乾燥、熱プレス、熱処理できる様にし、その木材を積み重ねてから、その上に重荷重を乗せ、フォークリフトで積み重ねた木材を上記加熱上風型の乾燥炉の中に入れて乾燥し、その水分を8〜12%ぐらいに制御する。威力ブランドの四面フライス(型番:U23EL)にて乾燥後のブロック状の木材表面に対して研磨をし、一つの研磨表面を圧縮密着面とし、前記の研磨面と木材の繊維方向と平行になる様にする。研磨した厚み25mmの木材を三層の熱プレス機の中に入れ、前記の熱プレス機と木材の圧縮面に対する熱押え板の温度は140℃で、熱プレス機と木材の非圧縮面に対する押え板の温度差は100℃以上であり、熱押え板のプレス速度が4mm/sで、熱プレス機内の木材を21mmの厚みまで圧縮し、プレス時の熱プレス機の圧縮強度は約25MPaで、圧縮完了後両押え板の温度差を縮小するか或いは一致する様にし、30分間保圧保温し、その後ゆっくり圧力を抜き、その木材を室内で自然冷却する。冷却後の木材を前記の炭化炉の中に入れて、前記の炭化炉とは、過熱水蒸気に満ちている高温容器である。まず135℃まで温度上昇してから予炭化処理を4時間行い、その後炭化された過熱媒体の高温過熱水蒸気を170℃までに上昇し、木材に対して3時間炭化する。
【0049】
高圧ローラ塗装技術を採用して、低粘度UV樹脂を1Mpaの圧力の下で、押さえて圧縮密着層に0.1mmぐらい浸透させ、UV硬化後、圧縮密着層を再度強化させる。これらの樹脂強化層は圧縮密着層と外部の水分の交換を隔離させることもでき、圧縮密着層を再度強化して、木材の安定性を高めることができる。
【0050】
木材の含水率は下記の通りに調整することができる。木材を湿度調整制御室の中に置き、湿度調整制御室の中に3〜5日間置いてから取り出す。前記湿度調整制御室の相対湿度は90%ぐらいで、温度は50℃ぐらいである。取り出すと、木材の含水率は8〜12%ぐらいである。水分調整後の木材を一定時間置いてから、それに対して溝加工、表面研磨、表面塗装等の手順を行い天然木床材を得る。上記天然木床材は、圧縮表面の内部2mm部分の硬度が著しく強い。
【0051】
天然木床材は炭化処理後、その表面が黄色くなり、色が均一で、湿気吸収能力も著しく下がり、使用する際その平衡含水率を8〜12%に安定することができる。圧縮密着層における塗装膜の硬度は2H〜6Hである。
【実施例2】
【0052】
ハコヤナギの速成樹床材の製造方法であり、ハコヤナギを素材とし、鋸でロット生産と同じ規格の木材に切断して、後工程の乾燥と処理工程ができる様にする。切断後のハコヤナギはブロック状で、その木材を積重ねた後、その上に荷重を乗せて、フォークリストにて積重ねた木材を蒸気過熱上風型乾燥炉の中に入れて乾燥させ、その水分を6〜7%に制御する。威力ブランドの四面フライス(型番:U23EL)にて乾燥後のブロック状の木材表面に対して研磨をし、一つの研磨表面を圧縮密着面として、前記の研磨面と木材の繊維方向が平行になる様にする。研磨した厚み30mmの木材を三層の熱プレス機の中に入れ、前記の熱プレス機と木材の圧縮面に対する熱押え板の温度は200℃で、熱プレス機と木材の非圧縮面に対する押え板の温度差は130℃以上であり、熱押え板のプレス速度が0.6mm/sで、熱プレス機内の木材を24mmの厚みまで圧縮し、プレス時の熱プレス機の圧縮強度は約30MPaで、圧縮完了後両押え板の温度差を縮小するか或いは一致する様にし、120分間保圧保温し、その後ゆっくり圧力を抜き、その木材を室内で自然冷却させる。冷却後の木材を炭化タンクの中に入れて、炭化タンクの中で炭化させる。炭化タンク内の圧力は、0.15〜0.3Mpaで、135℃の温度で予炭化を3時間行う。予炭化終了後再度180℃まで温度をあげ、続いて3時間炭化させてから、冷やして湿度調整後取り出す。湿度調整とは、木材の含水率を6〜10%に調整することである。
【0053】
取り出した後、室内で一定時間置いてから、それに対して溝加工、表面研磨、表面塗装等の手順を行い、天然木床材を得る。図1は、本実施例の圧縮密着層の切断面の電子顕微鏡写真で、見て分かる様に、その繊維の隙間は殆ど全部圧縮されるので、硬度が高く、各種床材の強度要求を満足し、軟質材料の欠陥を解決することができる。床材の自然層の繊維構造は緊密になってないため、吸音、防振作用があり、踏み心地が良く、軟質材料のメリットも受け継いでいる。
【0054】
前記の表面塗装では、高圧ローラ塗装技術を採用し、低粘度UV樹脂が0.5Mpaの圧力の下で、圧縮密着層に0.15mmぐらい浸透され、UV硬化後、圧縮密着層が再度強化される。これらの樹脂強化層は、圧縮密着層と外部の水分の交換を隔離することができ、圧縮密着層を再度硬化させ、木材の安定性を高めることができる。
【0055】
上記木材床材は圧縮された表面の内部方向の2.5mmの部分の硬度は著しく強化され、圧縮密着層の繊維の隙間が殆ど圧縮されるので、その硬度が高く、各床材の強度要求を満足させることができ、速成樹材料の欠陥を解決することができる。床材の自然層の繊維構造は緊密でないため、良い吸音、防振作用があり、踏み心地が良く、速成樹材料のメリッドを継続している。圧縮密着層の塗装膜の硬度は2H〜6Hである。
【実施例3】
【0056】
実施例1と異なる所を下記の表の中に入れている。
【実施例4】
【0057】
実施例1と異なる所を下記の表の中に入れている。
【実施例5】
【0058】
実施例1と異なる所を下記の表の中に入れている。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質型材の製造方法であって、前記木質型材が、圧縮密着層と、前記圧縮密着層に自然層の繊維が繋がれた自然層と、を含み、全体の密度が350〜750kg/m3で、含水率が5〜12%で、耐腐食レベルがII級以上で、重量の損失が24%以下であることを特徴とする、木質型材の製造方法。
【請求項2】
圧縮密着層の厚みが0.6〜4mmで、圧縮密着層の密度が自然層密度の1.3〜3倍であることを特徴とする、請求項1に記載の木質型材の製造方法。
【請求項3】
天然木型材の原材料がポプラであって、全体の密度が380〜550kg/m3で、含水率が6〜12%で、圧縮密着層の厚みが0.6〜4mmの間であることを特徴とする、請求項1或いは2に記載の表面強化型天然木型材。
【請求項4】
木質型材の原材料が南部松で、全体密度が500〜720kg/m3で、含水率が5〜11%で、第一圧縮密着層と第二圧縮密着層の厚みが0.6〜3mmの間であることを特徴とする、請求項1或いは2に記載の表面強化型天然木型材。
【請求項5】
木質型材の原材料がバビショウで、全体密度が480〜680kg/m3で、含水率が5〜10%で、圧縮密着層の厚みが0.6〜2.5mmの間であることを特徴とする、請求項1或いは2に記載の表面強化型天然木型材。
【請求項6】
表面強化型天然木型材の製造方法であって、下記の手順により製造することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。
(1) 乾燥手順(気乾密度が700kg/m3未満の木材を含水率が5〜12%になるように乾燥する。)、
(2)圧縮手順(乾燥した木材を表面圧縮密着する手順である。)、及び
(3)炭化手順(木材を炭化する手順である。)
【請求項7】
前記の圧縮手順が、乾燥した木材を熱プレス機にて圧縮し、熱プレス機の上下押え板は温度差があり、木材の表面層が温度が上がり軟化され、熱プレス機の圧力を25〜50MPaに制御することにより、木材の表面層の1〜5mmの部分が圧縮され、圧縮された後、上下押え板の温度差が下がり、30〜180分間保温保圧することを特徴とする、請求項6に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。
【請求項8】
前記熱プレス機の高温押え板の温度が140〜200℃で、低温度押え板の温度が温度の高い押え板の温度より100℃以上であることを特徴とする、請求項7に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。
【請求項9】
前記の炭化手順が170〜230℃の条件で木材に対して熱処理を1〜5時間行うことを特徴とする、請求項6に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。
【請求項10】
前記の炭化手順の前に予炭化手順が含まれ、具体的には木材を125〜150℃の温度の中で2〜4時間炭化することを特徴とする、請求項6に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。
【請求項11】
前記炭化手順後木材の含水率を5〜12%に調整する手順が含まれることを特徴とする、請求項6に記載の表面強化型天然木型材の製造方法。

【公表番号】特表2012−517364(P2012−517364A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549422(P2011−549422)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070453
【国際公開番号】WO2011/075959
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511167076)ジューチアン シューヨウ、ティンバー コーポレーション リミテッド (2)
【出願人】(511167087)
【Fターム(参考)】