表面性状測定機
【課題】穴の内面測定時に、測定アームの姿勢を切り替えても、スタイラスや被測定物を損傷することが少ない表面性状測定機を提供する。
【解決手段】揺動可能な測定アーム24、この測定アームの先端に設けられた一対のスタイラス26A,26B、および、測定アームの揺動量を検出する検出部27を有するスタイラス変位検出器20と、被測定物を載置するステージと、検出器とステージとを相対移動させる相対移動機構とを備えた表面性状測定機において、測定アームが揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構60と、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームの姿勢が切替動作された際に、測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構70とを備える。
【解決手段】揺動可能な測定アーム24、この測定アームの先端に設けられた一対のスタイラス26A,26B、および、測定アームの揺動量を検出する検出部27を有するスタイラス変位検出器20と、被測定物を載置するステージと、検出器とステージとを相対移動させる相対移動機構とを備えた表面性状測定機において、測定アームが揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構60と、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームの姿勢が切替動作された際に、測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構70とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面性状測定機に関する。詳しくは、被測定物の表面に接触するスタイラスを有する検出器を備えた表面性状測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面にスタイラスを接触させた状態において、スタイラスを被測定物の表面に沿って移動させ、このとき、被測定物の表面形状や表面粗さによって生じるスタイラスの変位を検出し、このスタイラスの変位から被測定物の表面形状や表面粗さ等の表面性状を測定する表面性状測定機が知られている。
【0003】
表面性状測定機は、通常、回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられたスタイラス、および、測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、検出器とステージとを相対移動させる相対移動機構とを備える。
測定時、スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、相対移動機構により検出器とステージとを相対移動させながら検出部によって測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する。
【0004】
従来、この種の表面性状測定機において、例えば、円筒ワークの内径上下面を測定する場合、先端に下向きのスタイラスを有するアームを検出器本体に取り付けて、円筒ワークの内径下面を測定したのち、アームを取り外し、スタイラスの向きを上向きにしてアームを検出器本体に取り付けて、円筒ワークの内径上面を測定する必要があった。これでは、アームの取り外し、取り付け作業を必要とするため、測定時間がかかる。
【0005】
そこで、測定アームの取り外しや取り付けを行わなくても、円筒ワークの内径上下面を測定できるようにした構造のものが提案されている(特許文献1参照)。
これは、測定アームの先端に上向きのスタイラスと、下向きのスタイラスとを設け、測定アームの先端を上向きに付勢した姿勢で円筒ワークの内径上面を測定したのち、測定アームの先端を下向きに付勢した姿勢に切り替えて、円筒ワークの内径下面を測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−83201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の表面性状測定機では、被測定物の表面形状などにスタイラスが追従できるように、測定アームと回転軸との間の摩擦が殆どない構造であるため、図11に示すように、測定アーム24の切替動作時にスタイラス26A,26Bが被測定物Wに衝突し、スタイラス26A,26Bの先端が破損したり、あるいは、被測定物Wが傷つくという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、穴の内面測定時に、測定アームの姿勢を切り替えても、スタイラスや被測定物を損傷することが少ない表面性状測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表面性状測定機は、回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられ前記測定アームの揺動方向に向かって突出する一対のスタイラス、および、前記測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、前記検出器と前記ステージとを相対移動させる相対移動機構とを備え、前記スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、前記相対移動機構により前記検出器と前記ステージとを相対移動させながら前記検出部によって前記測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する表面性状測定機において、前記測定アームが前記揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構と、前記測定アーム姿勢切替機構によって前記測定アームの姿勢が切替動作された際に、前記測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構とを備えた、ことを特徴とする。
ここで、測定アームの切替動作速度を予め設定された速度とは、スタイラスが被測定物に接触した際に、スタイラスや被測定物が損傷しない程度の速度をいう。
【0010】
このような構成によれば、被測定物の穴の内面を測定する際、まず、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームが揺動方向の一方向に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの一方を穴の内面に接触させる。
例えば、測定アームが回転軸を支点に上下方向へ揺動可能に支持されている場合、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームの先端が揺動方向の上方向に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの一方(例えば、上向きスタイラス)を穴の上面に接触させる。この状態において、相対移動機構により検出器とステージとを穴の軸方向へ相対移動させると、検出部によって測定アームの揺動量が検出され、この揺動量から穴の上面の表面性状が測定される。
【0011】
次に、穴の下面を測定する場合、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームが揺動方向の他方向(下方向)に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの他方(例えば、下向きのスタイラス)を穴の下面に接触させる。このとき、測定アームが揺動方向の一方向(上方向)から他方向(下方向)へ切替動作されると、速度制御機構によって測定アームの切替動作速度が予め設定された速度に制御される。従って、測定アームの切替動作速度を一定速度以下に抑えることができるから、スタイラスが穴(被測定物)の内面に衝突したときの衝撃を抑えることができる。そのため、スタイラスや被測定物の損傷を少なくすることができる。
こののち、相対移動機構により検出器とステージとを穴の軸方向へ相対移動させると、検出部によって測定アームの揺動量が検出され、この揺動量から穴の下面の表面性状が測定される。
【0012】
本発明の表面性状測定機において、前記検出部は、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を検出する測定アーム速度検出手段と、切替動作方向に応じた指令速度信号を発生する指令速度信号発生手段と、前記指令速度信号と前記切替動作速度との差を出力する差分出力手段と、この差分出力手段からの出力に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、構成が好ましい。
【0013】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構によって、測定アームが揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、測定アーム速度検出手段により、位置検出器からのパルス信号を基に測定アームの切替動作速度が検出される。そして、この検出された切替動作速度と指令速度信号発生手段から出力される指令速度信号との差が求められ、この差に基づいてボイスコイルに流す電流が制御されるから、測定アームの切替動作速度を指令速度信号発生手段から出力される指令速度信号に保つことができる。従って、測定アームの切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アームの切替動作速度を被測定物の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構は、測定アームの揺動量を検出する位置検出器からのパルス信号を利用しているから、測定アームの切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【0014】
本発明の表面性状測定機において、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号を発生する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、構成が好ましい。
【0015】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構によって、測定アームが揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、演算制御手段により、位置検出器からのパルス信号を基に測定アームの切替動作速度が演算されるとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号が発生される。そして、この演算制御手段からの制御信号に基づいて、定電流回路からボイスコイルに流す電流が発生されるから、測定アームの切替動作速度を指令速度に保つことができる。従って、測定アームの切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アームの切替動作速度を被測定物の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構は、測定アームの揺動量を検出する位置検出器からのパルス信号を利用しているから、測定アームの切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る表面性状測定機を示す斜視図。
【図2】同上実施形態のX軸駆動機構およびスタイラス変位検出器を示す図。
【図3】同上実施形態の測定アーム姿勢切替機構を示す図。
【図4】同上実施形態の速度制御機構を示すブロック図。
【図5】同上実施形態において、穴内面測定時の状態を示す図。
【図6】同上実施形態において、穴内面測定時の拡大図。
【図7】同上実施形態において、ベアリング内径測定時の状態を示す図。
【図8】同上実施形態において、厚み測定時の状態を示す図。
【図9】同上実施形態において、厚み測定時の拡大図。
【図10】同上実施形態において、速度制御機構の変形例を示すブロック図。
【図11】従来の測定アーム姿勢切替機構の問題点を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<表面性状測定機の説明(図1〜図4参照)>
本実施形態に係る表面性状測定機は、図1に示すように、ベース1と、このベース1上に載置され上面に被測定物を載置するステージ10と、被測定物の表面に接触されるスタイラス26A,26Bを有するスタイラス変位検出器20と、このスタイラス変位検出器20とステージ10とを相対移動させる相対移動機構40とを備える。
【0018】
相対移動機構40は、ベース1とステージ10との間に設けられステージ10を水平方向の一方向(Y軸方向)へ移動させるY軸駆動機構41と、ベース1の上面に立設されたコラム42と、このコラム42に上下方向(Z軸方向)へ移動可能に設けられたZスライダ43と、このZスライダ43を上下方向へ昇降させるZ軸駆動機構44と、Zスライダ43に設けられスタイラス変位検出器20をステージ10の移動方向(Y軸方向)およびZスライダ43の昇降方向(Z軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)へ移動させるX軸駆動機構45とを備える。従って、相対移動機構40は、ステージ10をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構41と、スタイラス変位検出器20をZ軸方向へ移動させるZ軸駆動機構44と、スタイラス変位検出器20をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構45とを含む三次元移動機構によって構成されている。
【0019】
Y軸駆動機構41およびZ軸駆動機構44は、図示省略されているが、例えば、ボールねじ軸と、このボールねじ軸に螺合されたナット部材とを有する送りねじ機構によって構成されている。
X軸駆動機構45は、図2に示すように、Zスライダ43に固定された駆動機構本体46と、この駆動機構本体46にX軸方向と平行に設けられたガイドレール47と、このガイドレール47に沿ってX軸方向へ移動可能に設けられたXスライダ48と、このXスライダ48のX軸方向位置を検出するX軸位置検出器49と、Xスライダ48をガイドレール47に沿って移動させる送り機構50とを備える。
送り機構50は、駆動機構本体46にガイドレール47と平行に設けられXスライダ48に螺合された送りねじ軸51と、駆動源としてのモータ52と、このモータ52の回転を送りねじ軸51に伝達する回転伝達機構53とから構成されている。回転伝達機構53は、例えば、歯車列や、ベルトおよびプーリなどの機構によって構成されている。
【0020】
スタイラス変位検出器20は、図2に示すように、Xスライダ48にボルト21を介して着脱可能に吊り下げ支持されたブラケット22と、このブラケット22に回転軸23を支点として上下方向へ揺動可能に支持された測定アーム24と、この測定アーム24の先端に設けられた一対のスタイラス26A,26Bと、測定アーム24の揺動量を検出する検出部27と、ブラケット22、測定アーム24、検出部27を覆うケーシング28とを含んで構成されている。
【0021】
測定アーム24は、ブラケット22に回転軸23を支点として上下方向へ揺動可能に支持された第1測定アーム24Aと、この第1測定アーム24Aの先端に着脱機構25を介して交換可能に取り付けられた第2測定アーム24Bとから構成されている。
スタイラス26A,26Bは、第2測定アーム24Bに対して揺動方向に突出して設けられている。つまり、第2測定アーム24Bに対して上向きのスタイラス26Aと下向きのスタイラス26Bとが上下方向に直角に突出して設けられている。
検出部27は、測定アーム24の揺動範囲に沿って設けられ、測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成されている。例えば、ケーシング28に測定アーム24の揺動範囲に沿って設けられたスケール27Aと、このスケール27Aに対向して測定アーム24に取り付けられ検出ヘッド(図示省略)とを備える。
【0022】
測定アーム24の途中、具体的には、第1測定アーム24Aの途中には、測定アーム24が揺動方向の一方向(例えば、上方向)に付勢される姿勢および他方向(下方向)に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構60が設けられているとともに、この測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の姿勢が切替動作された際に、測定アーム24の切替動作速度を予め設定された指令速度に制御する速度制御機構70が設けられている。
【0023】
測定アーム姿勢切替機構60は、図3に示すように、第1測定アーム24Aの途中に設けられた円筒状の磁石61と、この磁石61内を通ってケーシング28に固定され測定アーム24を回転軸23を支点として揺動方向の一方向(上方向)および他方向(下方向)へ付勢するボイスコイル62によって構成されている。従って、ボイスコイル62に電流を流すことにより、ボイスコイル62から発生する電磁力と磁石61の磁力により、測定アーム24の磁石61がボイルコイル62に引きつけられ、測定アーム24の先端が上方向または下方向へ付勢される姿勢に切り替えられる。なお、ボイルコイル62に電流が流れていない状態においては、測定力は零、つまり、回転軸23を支点として第1測定アーム24A側の重量と、第2測定アーム24B側の重量とがバランスされている状態に保たれている。
【0024】
速度制御機構70は、図4に示すように、パソコン(PC)などの制御装置71から出力される切替動作指令(上向きまたは下向き切替動作指令)に応じて予め設定した速度に対応する電圧A(指令速度信号)を発生するCPUなどからなる指令速度信号発生手段72と、この指令速度信号発生手段72からの電圧A(デジタル信号)をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ73と、検出部27からのパルス信号(周波数)を基に測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧B(切替動作速度信号)を出力する測定アーム速度検出手段としての周波数電圧コンバータ74と、指令速度信号(電圧A)と切替動作速度信号(電圧B)との差電圧Cを出力する差分出力手段としての減算器75と、この減算器75からの差電圧Cを電流に変換し測定アーム姿勢切替機構60のボイスコイル62に与える定電流回路76とを含んで構成されている。ここで、指令速度信号発生手段72から発生される電圧A(指令速度信号)は、スタイラス26A,26Bが被測定物に接触した際に、スタイラス26A,26Bや被測定物が損傷することがない速度に設定されている。
【0025】
<測定例1(図5および図6参照)>
測定例1は、被測定物W1の穴Hの内面を測定する例である。
図5に示すように、被測定物W1をステージ10の上に載置する。次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物Wの穴H内に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が例えば下方向に付勢される姿勢に切り替えて、下向きスタイラス26Bを穴Hの下面に接触させる(図6参照)。
この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とを穴Hの軸方向(X軸方向)へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から穴Hの下面の表面性状が測定される。
【0026】
次に、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム2の先端が上方向に付勢される姿勢に切り替えて、上向きのスタイラス26Aを穴Hの上面に接触させる。このとき、測定アーム24の先端が下方向から上方向へ切替動作されると、速度制御機構70によって測定アーム24の切替動作速度が予め設定された速度に制御される。
【0027】
つまり、測定アーム姿勢切替機構60によって、測定アーム24の先端が下方向から上方向へ切替動作されると、検出部27から測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、測定アーム速度検出手段としての周波数電圧コンバータ74により、検出部27からのパルス信号を基に測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧Bが検出される。そして、この測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧Bと指令速度信号発生手段72から出力される指令速度信号に応じた電圧Aとの差電圧Cが求められ、この差電圧Cに基づいてボイスコイル62に流す電流が制御されるから、測定アーム24の切替動作速度を指令速度信号発生手段72から出力される指令速度信号に保つことができる。
【0028】
従って、測定アーム24の切替動作速度を一定速度以下に抑えることができるから、スタイラス26A,26Bが穴Hの内面に衝突したときの衝撃を抑えることができる。そのため、スタイラス26A,26Bや被測定物W1の損傷を少なくすることができる。
また、測定アーム24の切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アーム24の切替動作速度を被測定物W1の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構70は、測定アーム24の揺動量、つまり、スタイラス26A,26Bの変位を検出する検出部27からのパルス信号を利用しているから、測定アーム24の切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【0029】
こののち、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とを穴の軸方向(X軸方向)へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から穴Hの上面の表面性状が測定される。
【0030】
<測定例2(図7参照)>
測定例2は、被測定物W2としてのボールベアリングを測定する例である。
図7に示すように、ボールベアリング80(ボール81と、このボール81を保持するリング状のホルダ82)では、ホルダ82の内周面に断面凹面状のボール収納溝83が形成され、このボール収納溝83内にボール81が保持される。ボールベアリング80を評価する要素の一つとして、ボール収納溝83内に収納されるボール81の中心を結ぶピッチ円直径PDを測定する必要がある。
このような場合でも、測定例1と同じようにして、ボール収納溝83の下側の凹面を測定し、この測定結果から凹面の中心を求める。次に、測定アーム24の付勢方向を上方向に切り替えて、ボール収納溝83の上側の凹面を測定し、この測定結果から凹面の中心を求めれば、これら中心間距離からボール収納溝83内に収納されるボール81の中心を結ぶピッチ円直径PDを測定することができる。
【0031】
<測定例3(図8および図9参照)>
測定例3は、板状の被測定物W3の厚みを測定する例である。
図8に示すように、被測定物W3を固定用治具91を介してステージ10の上に載置する。次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物W3の下面側に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が揺動方向の上方向に付勢される姿勢に切り替えて、上向きスタイラス26Aを被測定物の下面に接触させる(図9参照)。
この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とをX軸方向へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から被測定物W3の下面の表面性状が測定される。
【0032】
次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物W3の上面側に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が揺動方向の下方向に付勢される姿勢に切り替えて、下向きスタイラス26Bを被測定物W3の上面に接触させる。この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とをX軸方向へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から被測定物W3の上面の表面性状が測定される。
このようにして得られた被測定物W3の下面表面性状と、被測定物W3の上面表面性状とから、被測定物W3の厚みtや段差dなどを正確に求めることができる。
【0033】
<変形例(図10参照)>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、速度制御機構70については、上記実施形態の構成に限られない。例えば、図10に示すように、検出部27からのパルス信号(位置情報)を基に測定アーム24の切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような電圧(制御信号)を発生する演算制御手段77と、この演算制御手段77からの電圧(制御信号)をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ73と、このデジタルアナログコンバータ73からの出力に基づいてボイスコイル62に流す電流を発生させる定電流回路76とを備えた構成でもよい。
【0034】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構60によって、測定アーム24が揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号(位置情報)が出力される。すると、演算制御手段77は、移動開始からの時間を計測するとともに、この計測時間と検出部27からのパルス信号(位置情報)とから現在の測定アーム24の切替動作速度を演算し、この演算した切替動作速度と制御装置71から与えられる切替動作指令に対応した指令速度とを比較し、切替動作速度が指令速度になるような電圧(制御信号)を発生する。その結果、演算制御手段77からの制御信号に基づいて、定電流回路76からボイスコイル62に流す電流が発生されるから、測定アーム24の切替動作速度を指令速度に保つことができる。従って、上記実施形態の効果と同様な効果が期待できる。
【0035】
また、測定アーム姿勢切替機構60についても、上記実施形態では、測定アーム24を回転軸23と支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイル62を含んで構成したが、例えば、リニアモータ機構を用いた機構であってもよい。
また、揺動方向については、上記実施形態では上下方向であったが、水平方向であってもよく、あるいは、上下方向や水平方向以外の斜め方向へ揺動する構造でもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、測定アーム24の上下にスタイラス26A,26Bを直角に突設したが、スタイラス26A,26Bは測定アーム24に対して直角でなくてもよい。例えば、測定アーム24に対して傾斜して設けられていてもよく、測定アーム24の揺動方向に突出する構造であれば、取り付け角度は問わない。
【0037】
また、上記実施形態において、ボイスコイル62に流す電流によって、スタイラス26A,26Bが被測定物に接する圧力(測定圧)が変化するから、制御装置71において、切替動作指令(上向きまたは下向き切替動作指令)とともに、スタイラス26A,26Bや被測定物が損傷することがない速度以下の任意の切替動作速度を指令すると、スタイラス26A,26Bが被測定物に接するときの圧力(測定圧)も調整することができる。従って、被測定物の材質に最適な測定圧で測定を行うことができる。
【0038】
また、相対移動機構40は、ステージ10をY軸方向へ、スタイラス変位検出器20をX軸方向およびZ軸方向へ移動可能に構成したが、これに限られない。要するに、ステージ10とスタイラス変位検出器20とが三次元方向へ移動可能であれば、どちらが移動する構造であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、穴内面の測定、板状の被測定物の厚み測定などを自動測定する場合などに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10…ステージ、
20…検出器、
23…回転軸、
24…測定アーム、
26A,26B…スタイラス、
27…検出部、
40…相対移動機構、
60…測定アーム姿勢切替機構、
61…磁石、
62…ボイスコイル、
70…速度制御機構、
72…指令速度信号発生手段、
74…周波数電圧コンバータ(測定アーム速度検出手段)、
75…減算器、
76…定電流回路、
77…演算制御手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面性状測定機に関する。詳しくは、被測定物の表面に接触するスタイラスを有する検出器を備えた表面性状測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面にスタイラスを接触させた状態において、スタイラスを被測定物の表面に沿って移動させ、このとき、被測定物の表面形状や表面粗さによって生じるスタイラスの変位を検出し、このスタイラスの変位から被測定物の表面形状や表面粗さ等の表面性状を測定する表面性状測定機が知られている。
【0003】
表面性状測定機は、通常、回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられたスタイラス、および、測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、検出器とステージとを相対移動させる相対移動機構とを備える。
測定時、スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、相対移動機構により検出器とステージとを相対移動させながら検出部によって測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する。
【0004】
従来、この種の表面性状測定機において、例えば、円筒ワークの内径上下面を測定する場合、先端に下向きのスタイラスを有するアームを検出器本体に取り付けて、円筒ワークの内径下面を測定したのち、アームを取り外し、スタイラスの向きを上向きにしてアームを検出器本体に取り付けて、円筒ワークの内径上面を測定する必要があった。これでは、アームの取り外し、取り付け作業を必要とするため、測定時間がかかる。
【0005】
そこで、測定アームの取り外しや取り付けを行わなくても、円筒ワークの内径上下面を測定できるようにした構造のものが提案されている(特許文献1参照)。
これは、測定アームの先端に上向きのスタイラスと、下向きのスタイラスとを設け、測定アームの先端を上向きに付勢した姿勢で円筒ワークの内径上面を測定したのち、測定アームの先端を下向きに付勢した姿勢に切り替えて、円筒ワークの内径下面を測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−83201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の表面性状測定機では、被測定物の表面形状などにスタイラスが追従できるように、測定アームと回転軸との間の摩擦が殆どない構造であるため、図11に示すように、測定アーム24の切替動作時にスタイラス26A,26Bが被測定物Wに衝突し、スタイラス26A,26Bの先端が破損したり、あるいは、被測定物Wが傷つくという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、穴の内面測定時に、測定アームの姿勢を切り替えても、スタイラスや被測定物を損傷することが少ない表面性状測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表面性状測定機は、回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられ前記測定アームの揺動方向に向かって突出する一対のスタイラス、および、前記測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、前記検出器と前記ステージとを相対移動させる相対移動機構とを備え、前記スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、前記相対移動機構により前記検出器と前記ステージとを相対移動させながら前記検出部によって前記測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する表面性状測定機において、前記測定アームが前記揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構と、前記測定アーム姿勢切替機構によって前記測定アームの姿勢が切替動作された際に、前記測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構とを備えた、ことを特徴とする。
ここで、測定アームの切替動作速度を予め設定された速度とは、スタイラスが被測定物に接触した際に、スタイラスや被測定物が損傷しない程度の速度をいう。
【0010】
このような構成によれば、被測定物の穴の内面を測定する際、まず、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームが揺動方向の一方向に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの一方を穴の内面に接触させる。
例えば、測定アームが回転軸を支点に上下方向へ揺動可能に支持されている場合、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームの先端が揺動方向の上方向に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの一方(例えば、上向きスタイラス)を穴の上面に接触させる。この状態において、相対移動機構により検出器とステージとを穴の軸方向へ相対移動させると、検出部によって測定アームの揺動量が検出され、この揺動量から穴の上面の表面性状が測定される。
【0011】
次に、穴の下面を測定する場合、測定アーム姿勢切替機構によって測定アームが揺動方向の他方向(下方向)に付勢される姿勢に切り替えて、一対のスタイラスの他方(例えば、下向きのスタイラス)を穴の下面に接触させる。このとき、測定アームが揺動方向の一方向(上方向)から他方向(下方向)へ切替動作されると、速度制御機構によって測定アームの切替動作速度が予め設定された速度に制御される。従って、測定アームの切替動作速度を一定速度以下に抑えることができるから、スタイラスが穴(被測定物)の内面に衝突したときの衝撃を抑えることができる。そのため、スタイラスや被測定物の損傷を少なくすることができる。
こののち、相対移動機構により検出器とステージとを穴の軸方向へ相対移動させると、検出部によって測定アームの揺動量が検出され、この揺動量から穴の下面の表面性状が測定される。
【0012】
本発明の表面性状測定機において、前記検出部は、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を検出する測定アーム速度検出手段と、切替動作方向に応じた指令速度信号を発生する指令速度信号発生手段と、前記指令速度信号と前記切替動作速度との差を出力する差分出力手段と、この差分出力手段からの出力に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、構成が好ましい。
【0013】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構によって、測定アームが揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、測定アーム速度検出手段により、位置検出器からのパルス信号を基に測定アームの切替動作速度が検出される。そして、この検出された切替動作速度と指令速度信号発生手段から出力される指令速度信号との差が求められ、この差に基づいてボイスコイルに流す電流が制御されるから、測定アームの切替動作速度を指令速度信号発生手段から出力される指令速度信号に保つことができる。従って、測定アームの切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アームの切替動作速度を被測定物の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構は、測定アームの揺動量を検出する位置検出器からのパルス信号を利用しているから、測定アームの切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【0014】
本発明の表面性状測定機において、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号を発生する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、構成が好ましい。
【0015】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構によって、測定アームが揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、演算制御手段により、位置検出器からのパルス信号を基に測定アームの切替動作速度が演算されるとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号が発生される。そして、この演算制御手段からの制御信号に基づいて、定電流回路からボイスコイルに流す電流が発生されるから、測定アームの切替動作速度を指令速度に保つことができる。従って、測定アームの切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アームの切替動作速度を被測定物の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構は、測定アームの揺動量を検出する位置検出器からのパルス信号を利用しているから、測定アームの切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る表面性状測定機を示す斜視図。
【図2】同上実施形態のX軸駆動機構およびスタイラス変位検出器を示す図。
【図3】同上実施形態の測定アーム姿勢切替機構を示す図。
【図4】同上実施形態の速度制御機構を示すブロック図。
【図5】同上実施形態において、穴内面測定時の状態を示す図。
【図6】同上実施形態において、穴内面測定時の拡大図。
【図7】同上実施形態において、ベアリング内径測定時の状態を示す図。
【図8】同上実施形態において、厚み測定時の状態を示す図。
【図9】同上実施形態において、厚み測定時の拡大図。
【図10】同上実施形態において、速度制御機構の変形例を示すブロック図。
【図11】従来の測定アーム姿勢切替機構の問題点を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<表面性状測定機の説明(図1〜図4参照)>
本実施形態に係る表面性状測定機は、図1に示すように、ベース1と、このベース1上に載置され上面に被測定物を載置するステージ10と、被測定物の表面に接触されるスタイラス26A,26Bを有するスタイラス変位検出器20と、このスタイラス変位検出器20とステージ10とを相対移動させる相対移動機構40とを備える。
【0018】
相対移動機構40は、ベース1とステージ10との間に設けられステージ10を水平方向の一方向(Y軸方向)へ移動させるY軸駆動機構41と、ベース1の上面に立設されたコラム42と、このコラム42に上下方向(Z軸方向)へ移動可能に設けられたZスライダ43と、このZスライダ43を上下方向へ昇降させるZ軸駆動機構44と、Zスライダ43に設けられスタイラス変位検出器20をステージ10の移動方向(Y軸方向)およびZスライダ43の昇降方向(Z軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)へ移動させるX軸駆動機構45とを備える。従って、相対移動機構40は、ステージ10をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構41と、スタイラス変位検出器20をZ軸方向へ移動させるZ軸駆動機構44と、スタイラス変位検出器20をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構45とを含む三次元移動機構によって構成されている。
【0019】
Y軸駆動機構41およびZ軸駆動機構44は、図示省略されているが、例えば、ボールねじ軸と、このボールねじ軸に螺合されたナット部材とを有する送りねじ機構によって構成されている。
X軸駆動機構45は、図2に示すように、Zスライダ43に固定された駆動機構本体46と、この駆動機構本体46にX軸方向と平行に設けられたガイドレール47と、このガイドレール47に沿ってX軸方向へ移動可能に設けられたXスライダ48と、このXスライダ48のX軸方向位置を検出するX軸位置検出器49と、Xスライダ48をガイドレール47に沿って移動させる送り機構50とを備える。
送り機構50は、駆動機構本体46にガイドレール47と平行に設けられXスライダ48に螺合された送りねじ軸51と、駆動源としてのモータ52と、このモータ52の回転を送りねじ軸51に伝達する回転伝達機構53とから構成されている。回転伝達機構53は、例えば、歯車列や、ベルトおよびプーリなどの機構によって構成されている。
【0020】
スタイラス変位検出器20は、図2に示すように、Xスライダ48にボルト21を介して着脱可能に吊り下げ支持されたブラケット22と、このブラケット22に回転軸23を支点として上下方向へ揺動可能に支持された測定アーム24と、この測定アーム24の先端に設けられた一対のスタイラス26A,26Bと、測定アーム24の揺動量を検出する検出部27と、ブラケット22、測定アーム24、検出部27を覆うケーシング28とを含んで構成されている。
【0021】
測定アーム24は、ブラケット22に回転軸23を支点として上下方向へ揺動可能に支持された第1測定アーム24Aと、この第1測定アーム24Aの先端に着脱機構25を介して交換可能に取り付けられた第2測定アーム24Bとから構成されている。
スタイラス26A,26Bは、第2測定アーム24Bに対して揺動方向に突出して設けられている。つまり、第2測定アーム24Bに対して上向きのスタイラス26Aと下向きのスタイラス26Bとが上下方向に直角に突出して設けられている。
検出部27は、測定アーム24の揺動範囲に沿って設けられ、測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成されている。例えば、ケーシング28に測定アーム24の揺動範囲に沿って設けられたスケール27Aと、このスケール27Aに対向して測定アーム24に取り付けられ検出ヘッド(図示省略)とを備える。
【0022】
測定アーム24の途中、具体的には、第1測定アーム24Aの途中には、測定アーム24が揺動方向の一方向(例えば、上方向)に付勢される姿勢および他方向(下方向)に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構60が設けられているとともに、この測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の姿勢が切替動作された際に、測定アーム24の切替動作速度を予め設定された指令速度に制御する速度制御機構70が設けられている。
【0023】
測定アーム姿勢切替機構60は、図3に示すように、第1測定アーム24Aの途中に設けられた円筒状の磁石61と、この磁石61内を通ってケーシング28に固定され測定アーム24を回転軸23を支点として揺動方向の一方向(上方向)および他方向(下方向)へ付勢するボイスコイル62によって構成されている。従って、ボイスコイル62に電流を流すことにより、ボイスコイル62から発生する電磁力と磁石61の磁力により、測定アーム24の磁石61がボイルコイル62に引きつけられ、測定アーム24の先端が上方向または下方向へ付勢される姿勢に切り替えられる。なお、ボイルコイル62に電流が流れていない状態においては、測定力は零、つまり、回転軸23を支点として第1測定アーム24A側の重量と、第2測定アーム24B側の重量とがバランスされている状態に保たれている。
【0024】
速度制御機構70は、図4に示すように、パソコン(PC)などの制御装置71から出力される切替動作指令(上向きまたは下向き切替動作指令)に応じて予め設定した速度に対応する電圧A(指令速度信号)を発生するCPUなどからなる指令速度信号発生手段72と、この指令速度信号発生手段72からの電圧A(デジタル信号)をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ73と、検出部27からのパルス信号(周波数)を基に測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧B(切替動作速度信号)を出力する測定アーム速度検出手段としての周波数電圧コンバータ74と、指令速度信号(電圧A)と切替動作速度信号(電圧B)との差電圧Cを出力する差分出力手段としての減算器75と、この減算器75からの差電圧Cを電流に変換し測定アーム姿勢切替機構60のボイスコイル62に与える定電流回路76とを含んで構成されている。ここで、指令速度信号発生手段72から発生される電圧A(指令速度信号)は、スタイラス26A,26Bが被測定物に接触した際に、スタイラス26A,26Bや被測定物が損傷することがない速度に設定されている。
【0025】
<測定例1(図5および図6参照)>
測定例1は、被測定物W1の穴Hの内面を測定する例である。
図5に示すように、被測定物W1をステージ10の上に載置する。次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物Wの穴H内に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が例えば下方向に付勢される姿勢に切り替えて、下向きスタイラス26Bを穴Hの下面に接触させる(図6参照)。
この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とを穴Hの軸方向(X軸方向)へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から穴Hの下面の表面性状が測定される。
【0026】
次に、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム2の先端が上方向に付勢される姿勢に切り替えて、上向きのスタイラス26Aを穴Hの上面に接触させる。このとき、測定アーム24の先端が下方向から上方向へ切替動作されると、速度制御機構70によって測定アーム24の切替動作速度が予め設定された速度に制御される。
【0027】
つまり、測定アーム姿勢切替機構60によって、測定アーム24の先端が下方向から上方向へ切替動作されると、検出部27から測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号が出力される。すると、測定アーム速度検出手段としての周波数電圧コンバータ74により、検出部27からのパルス信号を基に測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧Bが検出される。そして、この測定アーム24の切替動作速度に対応した電圧Bと指令速度信号発生手段72から出力される指令速度信号に応じた電圧Aとの差電圧Cが求められ、この差電圧Cに基づいてボイスコイル62に流す電流が制御されるから、測定アーム24の切替動作速度を指令速度信号発生手段72から出力される指令速度信号に保つことができる。
【0028】
従って、測定アーム24の切替動作速度を一定速度以下に抑えることができるから、スタイラス26A,26Bが穴Hの内面に衝突したときの衝撃を抑えることができる。そのため、スタイラス26A,26Bや被測定物W1の損傷を少なくすることができる。
また、測定アーム24の切替動作速度を任意の指令速度に保つことができるから、測定アーム24の切替動作速度を被測定物W1の材質などに適した速度に設定することができる。
しかも、速度制御機構70は、測定アーム24の揺動量、つまり、スタイラス26A,26Bの変位を検出する検出部27からのパルス信号を利用しているから、測定アーム24の切替動作速度を検出する速度検出手段を特別に設けなくてもよく、安価にかつコンパクトに構成できる。
【0029】
こののち、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とを穴の軸方向(X軸方向)へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から穴Hの上面の表面性状が測定される。
【0030】
<測定例2(図7参照)>
測定例2は、被測定物W2としてのボールベアリングを測定する例である。
図7に示すように、ボールベアリング80(ボール81と、このボール81を保持するリング状のホルダ82)では、ホルダ82の内周面に断面凹面状のボール収納溝83が形成され、このボール収納溝83内にボール81が保持される。ボールベアリング80を評価する要素の一つとして、ボール収納溝83内に収納されるボール81の中心を結ぶピッチ円直径PDを測定する必要がある。
このような場合でも、測定例1と同じようにして、ボール収納溝83の下側の凹面を測定し、この測定結果から凹面の中心を求める。次に、測定アーム24の付勢方向を上方向に切り替えて、ボール収納溝83の上側の凹面を測定し、この測定結果から凹面の中心を求めれば、これら中心間距離からボール収納溝83内に収納されるボール81の中心を結ぶピッチ円直径PDを測定することができる。
【0031】
<測定例3(図8および図9参照)>
測定例3は、板状の被測定物W3の厚みを測定する例である。
図8に示すように、被測定物W3を固定用治具91を介してステージ10の上に載置する。次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物W3の下面側に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が揺動方向の上方向に付勢される姿勢に切り替えて、上向きスタイラス26Aを被測定物の下面に接触させる(図9参照)。
この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とをX軸方向へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から被測定物W3の下面の表面性状が測定される。
【0032】
次に、相対移動機構40を駆動させて、測定アーム24のスタイラス26A,26Bを被測定物W3の上面側に位置させたのち、測定アーム姿勢切替機構60によって測定アーム24の先端が揺動方向の下方向に付勢される姿勢に切り替えて、下向きスタイラス26Bを被測定物W3の上面に接触させる。この状態において、相対移動機構40によりスタイラス変位検出器20とステージ10とをX軸方向へ相対移動させると、検出部27によって測定アーム24の揺動量が検出され、この揺動量から被測定物W3の上面の表面性状が測定される。
このようにして得られた被測定物W3の下面表面性状と、被測定物W3の上面表面性状とから、被測定物W3の厚みtや段差dなどを正確に求めることができる。
【0033】
<変形例(図10参照)>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、速度制御機構70については、上記実施形態の構成に限られない。例えば、図10に示すように、検出部27からのパルス信号(位置情報)を基に測定アーム24の切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような電圧(制御信号)を発生する演算制御手段77と、この演算制御手段77からの電圧(制御信号)をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ73と、このデジタルアナログコンバータ73からの出力に基づいてボイスコイル62に流す電流を発生させる定電流回路76とを備えた構成でもよい。
【0034】
このような構成によれば、測定アーム姿勢切替機構60によって、測定アーム24が揺動方向の一方向から他方向へ切替動作されると、測定アーム24の揺動量に対応した数のパルス信号(位置情報)が出力される。すると、演算制御手段77は、移動開始からの時間を計測するとともに、この計測時間と検出部27からのパルス信号(位置情報)とから現在の測定アーム24の切替動作速度を演算し、この演算した切替動作速度と制御装置71から与えられる切替動作指令に対応した指令速度とを比較し、切替動作速度が指令速度になるような電圧(制御信号)を発生する。その結果、演算制御手段77からの制御信号に基づいて、定電流回路76からボイスコイル62に流す電流が発生されるから、測定アーム24の切替動作速度を指令速度に保つことができる。従って、上記実施形態の効果と同様な効果が期待できる。
【0035】
また、測定アーム姿勢切替機構60についても、上記実施形態では、測定アーム24を回転軸23と支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイル62を含んで構成したが、例えば、リニアモータ機構を用いた機構であってもよい。
また、揺動方向については、上記実施形態では上下方向であったが、水平方向であってもよく、あるいは、上下方向や水平方向以外の斜め方向へ揺動する構造でもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、測定アーム24の上下にスタイラス26A,26Bを直角に突設したが、スタイラス26A,26Bは測定アーム24に対して直角でなくてもよい。例えば、測定アーム24に対して傾斜して設けられていてもよく、測定アーム24の揺動方向に突出する構造であれば、取り付け角度は問わない。
【0037】
また、上記実施形態において、ボイスコイル62に流す電流によって、スタイラス26A,26Bが被測定物に接する圧力(測定圧)が変化するから、制御装置71において、切替動作指令(上向きまたは下向き切替動作指令)とともに、スタイラス26A,26Bや被測定物が損傷することがない速度以下の任意の切替動作速度を指令すると、スタイラス26A,26Bが被測定物に接するときの圧力(測定圧)も調整することができる。従って、被測定物の材質に最適な測定圧で測定を行うことができる。
【0038】
また、相対移動機構40は、ステージ10をY軸方向へ、スタイラス変位検出器20をX軸方向およびZ軸方向へ移動可能に構成したが、これに限られない。要するに、ステージ10とスタイラス変位検出器20とが三次元方向へ移動可能であれば、どちらが移動する構造であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、穴内面の測定、板状の被測定物の厚み測定などを自動測定する場合などに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10…ステージ、
20…検出器、
23…回転軸、
24…測定アーム、
26A,26B…スタイラス、
27…検出部、
40…相対移動機構、
60…測定アーム姿勢切替機構、
61…磁石、
62…ボイスコイル、
70…速度制御機構、
72…指令速度信号発生手段、
74…周波数電圧コンバータ(測定アーム速度検出手段)、
75…減算器、
76…定電流回路、
77…演算制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられ前記測定アームの揺動方向に向かって突出する一対のスタイラス、および、前記測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、前記検出器と前記ステージとを相対移動させる相対移動機構とを備え、前記スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、前記相対移動機構により前記検出器と前記ステージとを相対移動させながら前記検出部によって前記測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する表面性状測定機において、
前記測定アームが前記揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構と、
前記測定アーム姿勢切替機構によって前記測定アームの姿勢が切替動作された際に、前記測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【請求項2】
請求項1に記載の表面性状測定機において、
前記検出部は、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、
前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、
前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を検出する測定アーム速度検出手段と、切替動作方向に応じた指令速度信号を発生する指令速度信号発生手段と、前記指令速度信号と前記切替動作速度との差を出力する差分出力手段と、この差分出力手段からの出力に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【請求項3】
請求項1に記載の表面性状測定機において、
前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、
前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、
前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号を発生する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【請求項1】
回転軸を支点に揺動可能に支持された測定アーム、この測定アームの先端に設けられ前記測定アームの揺動方向に向かって突出する一対のスタイラス、および、前記測定アームの揺動量を検出する検出部を有する検出器と、被測定物を載置するステージと、前記検出器と前記ステージとを相対移動させる相対移動機構とを備え、前記スタイラスを被測定物の表面に接触させた状態において、前記相対移動機構により前記検出器と前記ステージとを相対移動させながら前記検出部によって前記測定アームの揺動量を検出し、この揺動量から被測定物の表面性状を測定する表面性状測定機において、
前記測定アームが前記揺動方向の一方向に付勢される姿勢および他方向に付勢される姿勢に切り替える測定アーム姿勢切替機構と、
前記測定アーム姿勢切替機構によって前記測定アームの姿勢が切替動作された際に、前記測定アームの切替動作速度を予め設定された速度に制御する速度制御機構とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【請求項2】
請求項1に記載の表面性状測定機において、
前記検出部は、前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、
前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、
前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を検出する測定アーム速度検出手段と、切替動作方向に応じた指令速度信号を発生する指令速度信号発生手段と、前記指令速度信号と前記切替動作速度との差を出力する差分出力手段と、この差分出力手段からの出力に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【請求項3】
請求項1に記載の表面性状測定機において、
前記測定アームの揺動範囲に沿って設けられ該測定アームの揺動量に対応した数のパルス信号を出力する位置検出器によって構成され、
前記測定アーム姿勢切替機構は、前記測定アームを前記回転軸を支点として揺動方向の一方向および他方向へ付勢するボイスコイルを含んで構成され、
前記速度制御機構は、前記位置検出器からのパルス信号を基に前記測定アームの切替動作速度を演算するとともに、この演算された切替動作速度が予め設定された指令速度になるような制御信号を発生する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に基づいて前記ボイスコイルに流す電流を発生させる定電流回路とを備えた、
ことを特徴とする表面性状測定機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−189361(P2012−189361A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51366(P2011−51366)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
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