説明

表面欠損検査装置およびその方法

【課題】 被検査物の表面の凹凸や傷などの欠損を感度よく検出できる表面欠損検出装置を提供する。
【解決手段】 被検査物5に投射した光の反射光を受光することにより被検査物5の表面欠損を検出する表面欠損検査装置1において、平行光を発光する複数の点光源2aを有し、被検査物5に平行光を投射する照明手段2と、平行光が投射される表面部分を変更させるように照明手段2と被検査物5とを相対移動させる移動手段と、被検査物5の表面部分からの平行光に応じた反射光を受光し、当該反射光を線条の画像に撮像する撮像手段3と、撮像した反射光を示す線条の画像に基づき被検査物表面の欠損を検出する検出手段4とを有し、照明手段2は、相対移動することにより、被検査物5の表面部分における平行光による被投射軌跡が線条となるように点光源2aが配列されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検査物の表面の凹凸などの欠損を検出する表面欠損検査装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体や気体などの内容物を収容する中空の缶などを製造ライン上で検査する場合、この円筒状の被検査物における表面欠損を検出する装置として、汚れや異物検査を兼ねて被検査物の内部に光を投射し反射光に基づく表面欠損検査を行う内面検査機が知られている。
【0003】
また、被検査物の表面における凹凸などの欠損を検査するために、照明手段から被検査物表面に光を投射し、その正反射光や拡散反射光からなる画像を用いて、被検査物の表面の凹凸や傷や汚れなどを検査することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、被検査物の中心軸線と平行に複数の光源およびラインセンサなどの撮像手段が配置され、光源から平行光を被検査物に対して傾斜して入射し、ラインセンサが被検査物からの反射光を受光して電気信号に変換し、信号処理回路がラインセンサからの電気信号に対して閾値処理をすることによって、被検査物の表面の欠損を検出する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−242828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の内面検査機では、円筒状の内周側表面に投射した光の反射光を撮像した画像において、反射光の明暗に基づいて表面欠損を検出するため、仮に表面欠損等が小さかった場合に、反射光の明暗差が微少となり表面欠損と判定されないおそれがあった。
【0007】
また、特許文献1に記載された装置では、ラインセンサが受光する反射光の強度を閾値判別し、被検査物の凹凸などの表面欠損を判別するものの、被検査物の表面に多色印刷や偏光インキなどによる印刷が施されている状態において、表面が無印刷の状態に比べ反射光に変化を与えてしまい、凹凸などの検出に正確性を欠くおそれがあった。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、被検査物の形状や表面印刷の有無に拘わらず、被検査物の凹凸などの表面欠損を検出する精度を向上させかつ自動検査が可能な表面欠損検査装置およびその方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、被検査物に投射した光の反射光を受光することにより被検査物の表面欠損を検出する表面欠損検査装置において、平行光を発光する複数の点光源を有し、前記被検査物に平行光を投射する照明手段と、前記平行光が投射される表面部分を変更させるように前記照明手段と前記被検査物とを相対移動させる移動手段と、前記被検査物の表面部分からの前記平行光に応じた反射光を受光し、当該反射光を線条の画像に撮像する撮像手段と、前記撮像した反射光を示す線条の画像に基づき前記被検査物表面の欠損を検出する検出手段とを有し、前記照明手段は、前記相対移動することにより、前記被検査物の表面部分における前記平行光による被投射軌跡が線条となるように前記点光源が配列されていることを特徴とする表面欠損検査装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記検出手段は、所定の解析領域毎に、前記画像の線条と平行な方向における明度の変化率を算出し、この変化率が連続して所定の閾値より大きいか否かを判別し、当該変化率が前記閾値より大きい場合に、その解析領域に被検査物表面の欠損があると判定することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記検出手段は、所定の解析領域毎に、前記画像の線条同士の間隔を測定し、この間隔幅が所定の閾値領域から外れるか否かを判別し、当該間隔幅が前記閾値領域から外れる場合に、その解析領域に被検査物表面の欠損があると判定することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の構成に加えて、前記検出手段は、前記撮像した画像のうち反射光を示す線条領域について、予め設定された所定の明度以上であると判定した場合に、当該線条領域を検査の対象とすることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成に加え、前記移動手段は、前記被検査物と前記照明手段とを相対移動させ、当該被検査物の外表面部分に対して前記平行光を投射させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、被検査物が相対移動することにより当該被検査物の表面部分に投射した平行光による被投射軌跡が線条となるように点光源が配列されている照明手段と、撮像手段と、画像処理手段とを有する表面欠損検査装置により行われる被検査物の表面欠損を検出する方法であって、前記表面欠損検査装置が、前記照明手段の平行光を発光する複数の点光源により前記被検査物に平行光を投射するステップと、前記平行光が投射される表面部分を変更させるように前記照明手段と前記被検査物とを相対移動させるステップと、前記被検査物の表面部分からの前記平行光に応じた反射光を受光し、当該反射光を線条の画像に撮像するステップと、前記撮像した反射光を示す線条の画像に基づき前記被検査物表面の欠損を検出するステップとを行うことを特徴とする表面欠損検査方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、移動手段により被検査物と照明手段とが相対移動する際の反射光を受光して撮像手段が撮像した画像は、照明手段の点光源による被投射軌跡を撮像手段が撮像するため、線条の画像となる。また、被検査物の形状や、その検査対象となる表面部分における印刷の有無などに因らずに、被検査物の表面部分における凹凸や汚れなどの表面欠損を検出することができる。また、線条画像に基づき、線条が異常な形状や明暗となる箇所となる欠損部分を容易に判定することができる。さらに、各構成部材の配置に自由度を持たせることが可能なため、製造ラインに容易に導入することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、撮像した線条画像により、線分方向における明暗の変化率を算出することで、表面欠損を検出することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、明線の間隔に基づき表面欠損の有無を判別するので、点光源の配置に応じて、より小さな表面欠損を検出することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、所定の明度以上の明るさで撮像された明線を検査対象とすることで、表面欠損の検出誤差を防ぐことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、自動で相対移動させることで、正確な線条画像を取得することができ、表面欠損の検出精度を向上させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、移動手段により被検査物と照明手段とが相対移動する際の反射光を受光して撮像手段が撮像した画像は、照明手段の点光源による被投射軌跡を撮像手段が撮像するため線条の画像となり、解析対象を明暗線の縞模様からなる線条画像とすることができる。また、被検査物の形状や、その検査対象となる表面部分における印刷の有無などに因らずに、被検査物の表面部分における凹凸や汚れなどの表面欠損を検出することができる。また、線条画像に基づき、線条が異常な形状や明暗となる箇所となる欠損部分を容易に判定することができる。さらに、各構成部材の配置に自由度を持たせることが可能なため、製造ラインに容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態における表面欠損検査装置を模式的に示した図である。
【図2】(a)は、照明部における点光源の配列の一例を示した図である。(b)は、被検査物からの反射光を撮像した線条画像の一例を示した図である。
【図3】表面欠損を有する被検査物からの反射光を撮像した画像の一例を示した図である。
【図4】(a)は、線条画像と微分処理方法における全体の解析領域とを示した図である。(b)は、全体の解析領域を分割した解析領域を示した図である。(c)は、セグメントサイズを示したものである。(d)は、線条画像における線条に対して平行に配列したセグメントを示した図である。
【図5】(a)は、線条画像における線条に対して平行に配列したセグメントを示した図である。(b)は、微分領域がセグメントに対して微分方向に移動する例を示した図である。(c)は、セグメント毎の明るさの平均値と所定の移動量に対する微分値を示したものである。
【図6】(a)は、線条画像とピッチ計測方法における全体の解析領域およびそれを分割した解析領域を示した図である。(b)は、その分割した解析領域を模式的に示した図である。(c)は、分割した解析領域であるウィンドウを構成する複数のピクセルを示した図である。(d)は、そのウィンドウを一次元化した一次元ウィンドウを示した図である。
【図7】(a)は、一次元化ウィンドウにおける領域の明るさを示す矩形図である。(b)は、一次元化された解析領域における微分波形を示した図である。
【図8】この発明の別の実施形態における表面欠損検査装置を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明を具体例に基づいて説明する。この発明に係る表面欠損検査装置およびその方法は、被検査物の表面を互いに平行な複数の線条領域に区分した複数の線条画像を取得し、各線条画像の曲がり、明るさ、線条画像同士の間隔の少なくともいずれか一つに基づいて、被検査物の表面に生じている凹凸、傷などの欠損を検出することを特徴とする。
【0023】
この線条画像は、被検査物の表面の微小領域に点光源から平行光を投射し、その反射光によって得られる点状画像と被検査物とを一定方向に相対移動させることにより連続して画像を取得するとともに、その点状画像をつなげた線条の画像を含むものである。したがって、この発明に係る表面欠損検査装置は、この点状の連続である線条の変形もしくは乱れを検出するものである。すなわち、その表面欠損検査装置は、被検査物の表面としての線条画像の中において、周囲の画像とは異質な部分を検出するものである。
【0024】
図1は、表面欠損検査装置1を模式的に示した図である。この図1に例示する表面欠損検査装置1は、被検査物5に平行光を投射する光源である照明部2と、被検査物5から反射したその平行光に係る反射光を受光し、この被検査物5に投射した平行光の被投射軌跡の画像を撮像するカメラ3と、このカメラ3が撮像した被検査物5の被投射軌跡に係る画像に基づき被検査物5の表面欠損を検出する画像処理部4とを備えている。また、図示しない移動部によって、被検査物5を照明部2およびカメラ3に対して相対移動させる。
【0025】
照明部2は、平行光を発光する複数の点光源2aを有する。この照明部2は、被検査物5に対して点光源2aから発光された光線を直接投射する直接照明として機能するものである。また、照明部2は、この発明の照明手段に相当する。
【0026】
この照明部2は、被検査物5の表面における被投射箇所において、点光源2a毎の被投射箇所同士が重なり合わないように光線を投射するように、点光源2aが配列されている。すなわち、各点光源2aから発光された光の進行方向は互いに平行な向きである。図2(a)は、照明部2における照射面を例示したものであり、円形状で示した部分が点光源2aであり、この点光源2aが複数配設されていることを示している。なお、照明部2は、その点光源2a毎の被投射箇所が、その円状の縁部分同士が接するような点光源2aの配列を有するものであってもよい。
【0027】
この発明に係る照明部2は、カメラ3が撮像した画像が、反射光を線条に示す画像となるような光の強度を有する平行光を投射できればよい。すなわち、被投射箇所の状態、すなわち被検査物5の表面における印刷有無などの状態に拘わらず、カメラ3で撮像された画像に、反射光を示す線条の明線6aが明瞭に撮像されるような強度や明度を有する光線を投射できる点光源2aを有する照明部2である。例えば、平行光を発光できる直接光LED照明が望ましい。
【0028】
また、図示しない移動部は、被検査物5を同一軸中心上で円周方向に回転させる。これにより、照明部2により平行光を投射されている被投射箇所は、被検査物5の外周表面部分を移動する。すなわち、照明部2と被検査物5との投射間の距離は一定に保ちつつ、被検査物5と照明部2とをある一定方向に相対移動させた場合、その被投射箇所はこの相対移動に伴って被検査物5の外周表面上を移動する。また、移動部は、この発明の移動手段に相当する。
【0029】
言い換えれば、点光源2a毎の被投射箇所が相対移動することであり、この被投射箇所が移動した軌跡すなわち被投射軌跡は、被検査物5の外周表面上において線条となる。したがって、この相対移動に伴う被投射軌跡は、点光源2a毎に線条となる。加えて、照明部2と被検査物5とが相対移動する方向と平行な同一線条に配置された複数の点光源2aは、被検査物5に同一線上の投射軌跡を生じさせるものである。
【0030】
したがって、相対移動方向と平行な複数の線上に点光源2aが配設されているので、照明部2により投射され、かつ相対移動した被検査物5の外周表面部分には、その被投射軌跡が複数の互いに平行な線条として生じる。また、図2(b)は後述するカメラ3が被検査物5からの反射光を受光し撮像した線条画像である。その線条画像は、被投射軌跡の複数の明線6aと暗線とからなる縞模様を構成する線条を撮像した画像である。
【0031】
なお、反射光を示す明線6aと反射光がない若しくは明線6aよりも弱い反射光を示す暗線とが交互になる明暗縞状の画像が撮像されるように、照明部2の点光源2aは配設されていればよく、その配列は図2(a)に例示するものに限定されない。
【0032】
カメラ3は、被検査物5からの反射光を受光して、被検査物5の外表面を撮像するものである。このカメラ3は、いわゆるラインセンサカメラ、ラインセンサ、ラインカメラ、ラインスキャンカメラなどと呼ばれるカメラが含まれる。これらのカメラは、一列分の画像を撮像し、このカメラと撮像対象物との相対移動に伴いかつ時間的変化によって、この一列分の画像に基づく撮像対象物の全体表面画像を一枚の画像として撮像するカメラである。なお、以下の説明において、これら一列分の画像を撮像するカメラを総称して、ラインカメラと記載して説明をする場合がある。
【0033】
また、カメラ3は、いわゆるエリアセンサカメラ、エリアセンサ、エリアカメラなどと呼ばれる撮像対象物の全体を分割して領域毎の画像を撮像し、これら各領域の画像をつなぎ合わせて、撮像対象物の全体画像を取得するカメラであってもよい。なお、以下の説明において、これらの分割した領域毎の画像を撮像するカメラを総称して、エリアカメラとして記載して説明をする場合がある。
【0034】
例えば、カメラ3がラインセンサカメラであって経時的要因を加味する場合、ある瞬間における被検査物5からの反射光、すなわち点状の反射光を受光して撮像した点状画像を、時間の経過に伴い画像をつなぎ合わせて点状が連続した線条画像を取得するものである。この線条画像は、カメラ3と被検査物5とが相対移動する場合、被検査物5の表面における線条の被投射軌跡を撮像した画像であると言い換えられるものである。
【0035】
したがって、カメラ3は、照明部2が被検査物5に投射した平行光の被投射軌跡を撮像できるものであればよい。すなわち、この発明に係るカメラ3は、被検査物5の表面部分を互いに平行な複数の線条に区画した領域における複数の線条画像を撮像または取得できるカメラ3であればよい。また、カメラ3は、この発明の撮像手段に相当する。
【0036】
なお、照明部2とカメラ3と被検査物5とのそれぞれの配置関係や設置個数などは、この線条画像を撮像または取得するために適宜変更することが可能である。例えば、被検査物5の外表面部分の複数に等分した領域毎について、照明部2とカメラ3と各々設置して、線条画像を取得するものであってもよい。また、円中心に向けて平行光を投射するリング状の光源を被検査物の外周側に配設し、この外周側を撮像できるエリアカメラによって反射光を撮像するものであってもよい。
【0037】
この撮像された線条画像に、表面欠損部分が含まれていた場合、図3に例示するような画像が取得される。表面欠損部分において、周囲の画像と異なる形状および明暗によって画像化される。表面欠損が存在しない正常な部分では、一定の明暗による縞模様の線条画像である。一方、表面欠損が存在する異常な部分では、明暗の割合が明らかに周囲の画像とは異なり、かつ曲線状や明線6aもしくは暗線が破断された形状となる画像である。
【0038】
また、このカメラ3は、被検査物5からの反射光が入力されると、電気信号に変換し、画像処理部4にこの電気信号を出力する。
【0039】
画像処理部4は、カメラ3から出力された電気信号が入力されると、この電気信号に基づき画像を処理して被検査物5の表面欠損を検出する。具体的には、この画像処理部4は、この発明の検出手段に相当し、カメラ3が撮像した被検査物5の全体表面を互いに平行な複数の線条領域に区分した複数の線条画像に基づき、この点画像の連続である線条の変形もしくは乱れを検出する。すなわち、画像処理部4は、この線条画像の中に、周囲の線条とは異質な部分を含むか否かを判定し表面欠損を検出する。
【0040】
また、画像処理部4は、撮像した被検査物5の全体画像6をいくつかの解析領域に分割して、この解析領域に対する解析処理の結果に基づき、被検査物5の表面欠損の有無を判定する。すなわち、被検査物5の表面部分が検査対象の範囲であって、その検査対象範囲を含むように解析領域が設定される。なお、解析領域は、予め設定された範囲であってもよく、取得した電気信号に基づく被検査物5表面の全体画像に応じて適宜演算されて設定される範囲であってもよい。
【0041】
この解析方法として、その全体画像を複数に分割した解析領域毎における明度を算出して、表面欠損を検出する方法がある。具体的には、その解析領域毎に、この領域内における明るさの平均値を算出する。ある解析領域において特定の明線を含む場合に、この特定の明線を含む他の複数の解析領域について、これらの平均値の変化率を算出する。この変化率が、連続した解析領域において所定の閾値より大きいか否かを判別する。この変化率が閾値よりも大きいと判別された場合に、その連続した解析領域は、被検査物5の表面欠損があると判定される。
【0042】
より詳細には、図4,5に例示するように、方向微分により反射光の明るさの変化率を算出し表面欠損の検出をする方法である。この微分処理方法では、解析領域毎に明るさの平均値を算出し、線条の線分方向に解析領域毎に明るさの平均値を微分する。この微分値と所定の閾値とを比較判別し、表面欠損の有無を判別する。
【0043】
図4(a)は、カメラ3が撮像した被検査物5の外表面における全体画像6を示すものであり、ウィンドウ7aがその外表面の全体を含むように設定された解析領域を示すものであり、明線6aで示す部分が反射光を撮像した部分を示す。また、全体画像6と解析領域などとの関係を説明する際に、図4(a)などに例示したX方向とY方向を用いる。したがって、被検査物5の軸線方向と平行な方向がX方向となり、被検査物5の円周方向と平行な方向がY方向となる。すなわち、ウィンドウ7aにおけるY方向の範囲は、被検査物5の円周長を含む範囲に設定されていればよい。さらに、図4(a)に白抜き矢印で示した微分方向は、検査対象となる解析領域における微分方向を示すものである。
【0044】
その検査対象となる被検査物5の全体外表面を含む解析領域であるウィンドウ7a内を、複数の解析領域に分割して解析処理を行う。そのウィンドウ7aを分割した解析領域がセグメント7bである。図4(b)は、複数のセグメント7bに分割された解析領域であるウィンドウ7aを模式的に示した図である。その全体の解析領域であるウィンドウ7aは、X方向にウィンドウサイズX1、Y方向にウィンドウサイズY1の範囲を有する。すなわち、そのウィンドウサイズY1が被検査物5の円周長となれば、被検査物5における一周分の外周側面を検査できることになる。また、微分処理方法において、そのセグメント7bは、全体の解析領域であるウィンドウ7aを複数に分割した解析領域単位である。この解析領域単位とは、微分処理方法における明るさの平均値を算出する範囲であり、微分値を算出する微分領域の範囲である。
【0045】
また、セグメント7bの大きさは、適宜設定されるものであってもよく、予め設定されるものであってもよい。例えば、セグメント7bの大きさをピクセル単位で任意の大きさに設定することが可能であり、セグメント7bを3×4ピクセルのような任意の大きさにすることが可能である。さらに、図4(c)に例示するように、セグメント7bは、Y方向にセグメントサイズY2、X方向にセグメントサイズX2の範囲を有する領域となるものであってもよい。例えば、図4(d)に例示するように、複数の明線6aと暗線とを含むようなセグメントサイズX2に設定されたセグメント7bであってもよい。また、ウィンドウ7aを直交する格子状に分割したものであるセグメント7bは、Y方向に隣接するセグメント同士が特定の明線6aと暗線とを含むように配列されている。
【0046】
この解析領域単位であるセグメント7b毎に、そのセグメント7b内の明るさの平均値を算出する。例えば、図4(d)に例示するようなY方向に隣接する複数のセグメント7bであって、それぞれのセグメントを図5(a)に例示するセグメントa11,a21,a31,a41,a51,a61,a71とする。その場合、図5(c)に例示するようにセグメント毎にその明るさの平均値が算出される。より詳細には、セグメントa11内の明るさの平均値が95、以下同様に、セグメントa21内は80、セグメントa31内は100、セグメントa41内は115、セグメントa51内は135、セグメントa61内は115、セグメントa71内は100として算出された例図である。
【0047】
また、図4(a)に例示する白抜き矢印の方向すなわちY方向にセグメント7bを微分する。言い換えれば、線条画像における明線6aと平行な方向に微分する。具体的には、図5(b)に例示するように、セグメント7bに対して微分領域F1を、微分方向であるY方向に移動させて微分する。その微分領域F1は、セグメント7bのセグメントサイズX,Yと同じ大きさの領域であってもよい。すなわち、微分領域F1のX方向における微分サイズX3はセグメントサイズX2と、Y方向における微分サイズY3はセグメントサイズY2とそれぞれ等しくてよい。また図5(b)は、セグメントa11と重なり合う微分領域F1を、Y方向に所定の移動量Sだけ移動させた場合を示したものである。例えば、微分領域F1は移動量SごとにY方向に移動するものであってもよく、その移動毎の前後における明るさの平均値に基づき微分値を算出するものであってもよい。言い換えれば、微分領域F1が所定の移動量だけ移動した際に、その移動前後における明るさの平均値に基づきその平均値の変化量もしくは変化率を算出するものである。
【0048】
例えば、移動量SをセグメントサイズYと等しくした場合、微分領域F1はセグメントサイズYずつY方向に移動する。具体的には、セグメントa11と重なりあう微分領域F1は、セグメントサイズY分の移動量でY方向に移動し、セグメントa21と重なり合う。その後も、1セグメント(セグメントサイズY)分を所定の移動量に設定されているため、セグメントa31,a41と順々にY方向に隣接するセグメントと重なり合うようにして移動する。それぞれの移動前後における明るさの平均値は、各セグメント内の明るさの平均値であり、その平均値と移動量に対する微分値は、図5(c)に例示するようになる。
【0049】
また、そのセグメント7aをY方向に微分してゆき、これら微分値が連続して所定の閾値以上であった場合に、表面欠損があると判定する。例えば、図5(c)に例示するような場合、仮に移動量を1セグメント分と設定しかつ閾値を20と設定すると、セグメントa41,a51に対して微分した微分値d45は20となり、セグメントa51,a61に対する微分値d56は20となる。その連続する微分値が共に閾値以上となる場合には、その領域に表面欠損がある判定される。すなわち、所定の移動量毎にY方向に移動する微分領域F1の移動前後における明るさの平均値に対する微分値は、その移動毎に算出され、算出された微分値が所定の閾値を連続して超えている場合に表面欠損であると判定される。
【0050】
別の解析方法として、図6,7に例示するように、複数の明線6aを含む解析領域中において、隣り合う明線6aの間隔を計測して表面欠損を検出する方法がある。この隣り合う明線6aの間隔をピッチと記載して説明する。このピッチ計測方法では、ピッチの最大値を設定して、この設定値に基づき表面欠損を検出する。
【0051】
図6(a)は、カメラ3が撮像した被検査物5の外表面における全体画像6と、反射光を示す部分である明線6aと、この全体画像6を複数の明線6aが含まれるように分割した解析領域であるウィンドウ8aとを示す。このウィンドウ8aは、図6(a),(b)に例示するように、ウィンドウ7aと同様の被検査物5の検査対象範囲を含む領域に対して、その全体領域を複数に分割した解析領域であって、X方向すなわち明線6aと直交する方向に全体画像6を複数に分割するものである。図6(b)は、分割したウィンドウ8aを模式的に示した図である。そのウィンドウ8aは、X方向のウィンドウサイズX4、Y方向のウィンドウサイズY4により構成され、Y方向に隣接するように複数の領域に分割されたものである。また、ウィンドウ8aのウィンドウサイズX4は、被検査物5における軸線方向長のうち、少なくとも円筒状に形成された外周側面部分の軸線方向長を含む長さに設定されている。すなわち、表面欠損の検査対象範囲を含むようなウィンドウサイズX4が設定されればよい。なお、このウィンドウ8aの大きさや個数は、適宜設定されるものであってもよく、予め設定されるものであってもよい。
【0052】
このウィンドウ8aは、複数のピクセル8bにより構成された領域である。図6(c)は、ウィンドウ8aを構成する複数のピクセル8bを模式的に示した図である。このピクセル8bは、この実施形態においては、1ピクセルである。例えば、その複数含まれたピクセル8bを行列に見立てウィンドウ8aを説明すると、図6(c)に例示するように、ウィンドウサイズX4は複数列のピクセル8bによりサイズが設定され、ウィンドウサイズY4は複数行のピクセル8bによりサイズが設定される。この場合のウィンドウ8aは5行複数列によって構成され、すなわちウィンドウサイズY4が5ピクセルとなる。このウィンドウサイズY4を1行分のピクセル8bのサイズに分割し、解析領域を一次元化する。一次元化とは、複数行のピクセル8bを1行にすることと言える。したがって、その一次元化された解析領域である一次元ウィンドウ8cは、図6(d)に例示するように、1行複数列のピクセル8bにより構成されている。この一次元化した解析領域である一次元ウィンドウ8cに基づいて、明るさの波形と微分波形とをグラフ化する。
【0053】
そのグラフ化は、256階調により表すことができる。図7(a)は、一次元化ウィンドウ8cにおける明るさに基づきグラフ化した波形を模式的に示した図である。その図7(a)に例示するように、Y軸は明るさを示し、y=0すなわちX軸は黒色を示す。この図7(a)では、白色(255)を示す部分はY軸に矩形波としてグラフ化され、黒色(0)を示す部分はX軸上に示される。この明線を示す白色領域9aと、暗線を示す黒色領域9bとが交互に現れる矩形波が、図7(a)に例示するグラフに表現される。
【0054】
また、図7(b)は、その256階調によって表された明るさの波形の微分波形を模式的に示した図である。この微分波形において、隣り合う明線6aの間隔であるピッチ9cを計測し、この計測値を所定の閾値と比較判別することにより、表面欠損の有無を判定する。
【0055】
具体的には、その計測値と、予め設定された閾値であるピッチの最大値とを比較し、計測値がその閾値以上である場合に、表面欠損であると判定する。または、そのピッチ9cの計測値が、所定の閾値よりも小さいか否かにより、表面欠損の有無を判定するものであってもよい。具体的には、その計測値と予め設定された閾値であるピッチの最小値とを比較し、その計測値がその閾値以下の場合に、表面欠損があると判定する。
【0056】
例えば、表面欠損がない場合の線条画像では各明線6aは互いに平行となる。しかし、表面欠損がある場合、その欠損範囲では明線が直線でなくなり、各明線の間隔が平行状態とは異なる。したがって、あるピッチ9cが大きい場合には、そのピッチ9cに隣接するピッチ9cは所定値以下に小さくなっている可能性がある。よって、このピッチ計測方法における表面欠損の有無の判定に用いる閾値は、所定の数値幅を有する閾値領域を用いて、その閾値領域から外れるピッチ9cの計測値が計測された場合に、表面欠損ありと判定するものであってもよい。なお、微分波形におけるプラス領域においてピッチ計測を行うものであり、その計測対象は所定の明度である閾値9dよりも大きいプラス領域である。すなわち、反射光を撮像した線条画像において、予め設定された所定の明度以上の線条領域に対してピッチ計測を行うものとする。
【0057】
このピッチ計測によれば、針先のような尖ったもので被検査物5の表面を突いた際にできる微小な凹みであっても検出することができる。このようなピンデントと呼ばれる微小な凹みは、従来、人間の手による触手検査によって検出していたが、このピッチ計測方法によれば、自動検査が可能になる。さらに、表面欠損の検出精度を向上させることができ、検査時間の短縮を図ることもできる。
【0058】
次に、表面欠損検査装置1を用いた第1の表面欠損の検査方法について説明する。ここで説明する被検査物5は、円筒状の物や球体状の物など、表面部分が円周部分を形成する物体である。したがって、移動部により、軸中心を回転中心として円周方向に、被検査物5を回転させて、その表面の欠損を検査する。なお、この検査方法におけるカメラ3は、ラインカメラである。
【0059】
図1に例示するように、照明部2とラインカメラであるカメラ3との長手方向が互いに平行な位置関係となるように、これら照明部2とカメラ3とが配置される。すなわち、円筒状の被検査物5の軸線方向と平行にその長手方向を向けた照明部2およびカメラ3が配置されている。なお、照明部2とカメラ3の各長手方向は、並列のように異なる軸線上に配置されてもよく、直列のように同一軸線上に配置されてもよい。
【0060】
また、照明部2とカメラ3の配置関係は、被検査物5からの反射光を効率良く受光できる配置関係である。例えば、照明部2から被検査物5へ平行光が入射する角度を、明瞭な線条画像を取得できるような入射角に設定し、この入射角に応じて照明部2と被検査物5とを配置する。また、この入射角に応じる被検査物5から反射する反射光の角度に基づき、カメラ3を配置する。
【0061】
この照明部2の点光源2aが発光した平行光が、被検査物5の外周表面部分に投射されて、この外周表面部分の一部に被投射箇所が生じる。すなわち、被投射箇所で反射した平行光の反射光は、カメラ3に入射して受光素子に入力され、カメラ3は反射光を撮像する。
【0062】
例えば、照明部2に対して被検査物5の外周表面部分が相対移動せずに静止している場合に、外周表面の一部である被投射箇所における照明部2からの投射跡は、点光源2a毎に点状もしくは楕円状の形状となる。なお、この静止状態における投射跡は、被検査物5の外周側面の展開図におけるこの外周側面の被投射形状を表すものであってもよい。
【0063】
また、図示しない手段もしくは移動部は、円筒状の被検査物5における軸中心が、照明部2とカメラ3の長手方向と平行となるように被検査物5を配置する。この移動部によって、軸中心を回転中心とする円周方向に被検査物5が回転される。
【0064】
そして、移動部により被検査物5は円周方向に回転させられ、この被検査物5と照明部2とが相対移動させられる。すなわち、被検査物5の外周側面と照明部2とが相対移動するように移動部により被検査物5が回転させられる。この相対移動により、被投射箇所が被検査物5の外周表面部分を移動し始める。言い換えれば、被検査物5の回転に伴い、外周表面部分のある一部を投射していた平行光が、その一部とは異なる部分の外周表面部分を投射することになる。この被投射箇所の移動によって、静止状態では略点状であって投射跡は、略点状の形状同士が相対移動方向、すなわち被検査物5の円周方向につながる線条となる。したがって、この線条の被投射軌跡を被検査物5の表面に生じさせたことになる。
【0065】
一方、カメラ3は、照明部2から投射され被検査物5により反射された光を受光し一列の画像に撮像し、その画像をつなぎあわせた全体画像を撮像する。前述した静止状態において、略点状の形状で受光した反射光を撮像した画像は、略点状画像となる。カメラ3は、被検査物5と照明部2とが相対移動すれば略点状画像を線条画像に撮像するので、被検査物5の異なる表面部分に対する反射光を撮像した画像である線条画像を取得する。したがって、この相対移動に応じてカメラ3が撮像した線条の画像は、前述した被投射軌跡を撮像した画像とも言える。
【0066】
この撮像された線条画像に、表面欠損部分が含まれていた場合、図3に例示するような画像が取得され、画像処理部4によって表面欠損があると判定される。また、表面欠損部分を含む被検査物5の領域が特定されるものであってもよい。
【0067】
次に、図6を参照して、第2の表面欠損の検査方法について説明する。ここで説明する被検査物5は、板状の物もしくは平面状の面を有する物など、表面部分が平面上に形成された物体である。したがって、移動部により、同一方向に被検査物5を直線的に移動させ、その表面の欠損を検査する。この検査方法におけるカメラ3は、ラインカメラである。なお、上述の第1の表面欠損の検査方法と同様の内容は説明を省略し、これとは異なる内容について以下説明する。
【0068】
照明部2とラインカメラであるカメラ3とは、被検査物5の直線的な移動方向における上流側と下流側にそれぞれ配置された位置関係を有する。また、被検査物5の移動方向と直交もしくは傾斜して交わる方向にその長手方向を配置させた照明部2およびカメラ3の位置関係を有する。
【0069】
また、平面状の被検査面を有する被検査物5が、図示しない手段もしくは移動部によって検査ライン上に配置され、この移動部によって、直線的な同一方向に移動される。
【0070】
例えば、被検査物5が移動部によって直線移動されていない場合もしくはある瞬間には、被検査物5が静止している。この状態の被投射箇所における照明部2からの投射跡は、点状もしくは楕円状の形状となる。
【0071】
また、移動部により被検査物5は同一方向に直線移動させられ、この被検査物5と照明部2とが相対移動させられる。この相対移動により、被投射箇所が被検査物5の平面状表面部分を移動し始める。この被投射箇所の移動によって、静止状態では略点状であって投射跡は、略点状の形状同士が相対移動方向、すなわち被検査物5の直線的な移動方向につながる線条となる。したがって、この線条の被投射軌跡が、被検査物5の平面状表面に生じさせたことになる。
【0072】
一方、ラインカメラであるカメラ3は、照明部2から投射され被検査物5により反射された光を受光し一列の画像に撮像し、画像をつなぎあわせた全体画像を撮像する。前述した静止状態において、略点状の形状で受光した反射光を撮像した画像は、この略点状の画像である。カメラ3は、この略点状画像を線条画像に撮像するので、被検査物5と照明部2とが相対移動すれば、被検査物5の異なる表面部分に対する反射光の線条画像を取得する。したがって、この相対移動に応じてカメラ3が撮像した線条の画像は、前述した被投射軌跡を撮像した画像と同等のものと言える。
【0073】
以上説明してきた通り、この発明に係る表面欠損検査装置によれば、被検査物の形状や、その検査対象となる表面部分における印刷など状態に因らずに、被検査物の表面部分における凹凸や汚れなどの表面欠損を検出することができる。
【0074】
例えば、被検査物が円筒状の缶などであったり、板状の平面を有する物体であってもよい。これは、この発明に係る表面欠損検査装置が、照明部2が投射する平行光の強度と、照明部2および被検査物との相対移動の方向と、カメラ3の配置関係により、線条画像を取得し、この線条画像に基づく表面欠損の検出を行う構成を有するためである。
【0075】
また、この発明に係る照明部2が、その反射光の撮像画像が線条画像となるような光の強度を、被検査物に投射するため、被投射箇所すなわち被検査物の表面部分の印刷有無に因らず、表面欠損の検出が可能になる。
【0076】
照明部2により投射される被投射箇所の面積を拡大すれば、照明部2と被検査物5との相対移動により、多くの表面部分に対して表面欠損の有無を判定でき、検査時間を短縮することができる。また、照明部2を拡大させなくとも、複数の照明部2を設けて、被投射箇所の面積を拡大すれば、同様に検査時間を短縮することができる。
【0077】
照明部2とカメラ3とを個別の構成として有する表面欠損検査装置によれば、これらの構成部材の配置に自由度を持たせることができる。さらに、表面欠損の判定に利用できる明瞭な線条画像が取得できれば、照明部2の平行光の入射角および反射角を厳密に設定する必要が無く、ライン上に導入することが容易になる。
【0078】
なお、この発明に係る表面欠損検査装置は、上述してきた実施形態に限定されず、この発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、この説明では図1などに例示のように、被検査物5を円筒状の被検査物として説明をしたが、この発明に係る表面欠損検査装置1は、これに限定されない。円筒状に限らず、平面状や球体状や多角形状などの被検査物に対して表面欠損の検出が可能な表面欠損検査装置1である。
【0079】
また、この発明に係る照明部2の点光源2aは、一列のみの配列であってもよい。この点光源2aが複数の列に配列された場合には、検査時の被検査物5のブレに対応することができる。例えば、被検査物5がぶれること、すなわち被検査物5と照明部2およびカメラ3とが相対的にぶれることがあっても、複数列の点光源2aが相対移動方向と平行光な行に配列されていることで、撮像時の線条画像が途切れることなくつながった線条となることができる。
【0080】
さらに、それぞれ長手方向を有する形状の照明部2およびカメラ3について、これらの位置関係を説明してが、これも上述の実施例に限定されるものではない。被検査物を効率的に検査するために、一度に投射できる被投射箇所を拡大する目的や、効率的に反射光を受光できるカメラ3の配置であればよい。例えば、照明部2の長手方向と、カメラ3の長手方向とが互いに平行な位置関係について説明したが、これらが平行でなくても、効率的に反射光を受光できる位置関係にこれらの構成部材が配置されていればよい。
【0081】
また、この発明に係る表面欠損装置1は、図示しない制御装置を含むものであってもよい。この制御装置が、照明部2とカメラ3と図示しない移動部との動作を制御して、被検査物5の表面の線条画像を撮像する。例えば、制御手段により、これらの配置関係を変更させる移動動作をこれら構成部材にさせ、被検査物5の移動速度とカメラ3の撮像タイミングとを制御するものであってもよい。
【0082】
また、この制御装置もしくは画像処理部4は、表面欠損を検出した場合、表面欠損を検出した画像に基づき、その表面欠損が被検査物5のどの部分における表面欠損であるかを特定できるものであってもよい。
【0083】
さらに、上述した微分処理方法では、微分領域F1が、セグメント7bのセグメントサイズY2を移動量Sの単位として、Y方向に移動し微分する場合について説明したが、その移動量SはセグメントサイズY2に限定されない。例えば、セグメントサイズY2より小さな移動量Sで微分領域F1がY方向に移動するものであってもよく、セグメントサイズY2よりも大きな移動量Sで微分領域F1がY方向に移動するものであってもよい。その場合、任意の値に設定された移動量Sに対応して移動する微分領域F1の各移動前後におけるウィンドウ7aと重なり合う領域に対して、その領域の明るさの平均値が算出されればよい。
【0084】
また、図2(a)に例示するように点光源2aが周辺の別の点光源2aと隣接するように配設された例について説明したが、撮像された画像が図2(b)に例示するような明線と暗線の縞模様の線条画像となればよく、点光源2aの配列はこれに限定されない。例えば、点光源2aが他の点光源2aと隣接しないように間隔を空けて配列されていてもよい。すなわち、被検査物5の外表面に投射された平行光の投射箇所において、各点光源2aから投射された平行光が隣接しないように、複数の点光源2aを配設するものであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…表面欠損検査装置、 2…照明部、 3…カメラ、 4…画像処理部、 5…被検査物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に投射した光の反射光を受光することにより被検査物の表面欠損を検出する表面欠損検査装置において、
平行光を発光する複数の点光源を有し、前記被検査物に平行光を投射する照明手段と、
前記平行光が投射される表面部分を変更させるように前記照明手段と前記被検査物とを相対移動させる移動手段と、
前記被検査物の表面部分からの前記平行光に応じた反射光を受光し、当該反射光を線条の画像に撮像する撮像手段と、
前記撮像した反射光を示す線条の画像に基づき前記被検査物表面の欠損を検出する検出手段とを有し、
前記照明手段は、前記相対移動することにより、前記被検査物の表面部分における前記平行光による被投射軌跡が線条となるように前記点光源が配列されている
ことを特徴とする表面欠損検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、所定の解析領域毎に、前記画像の線条と平行な方向における明度の変化率を算出し、この変化率が連続して所定の閾値より大きいか否かを判別し、当該変化率が前記閾値より大きい場合に、その解析領域に被検査物表面の欠損があると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面欠損検査装置。
【請求項3】
前記検出手段は、所定の解析領域毎に、前記画像の線条同士の間隔を測定し、この間隔幅が所定の閾値領域から外れるか否かを判別し、当該間隔幅が前記閾値領域から外れる場合に、その解析領域に被検査物表面の欠損があると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面欠損検査装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記撮像した画像のうち反射光を示す線条領域について、予め設定された所定の明度以上であると判定した場合に、当該線条領域を検査の対象とする
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面欠損検査装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記被検査物と前記照明手段とを相対移動させ、当該被検査物の外表面部分に対して前記平行光を投射させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表面欠損検査装置。
【請求項6】
被検査物が相対移動することにより当該被検査物の表面部分に投射した平行光による被投射軌跡が線条となるように点光源が配列されている照明手段と、撮像手段と、画像処理手段とを有する表面欠損検査装置により行われる被検査物の表面欠損を検出する方法であって、
前記表面欠損検査装置が、
前記照明手段の平行光を発光する複数の点光源により前記被検査物に平行光を投射するステップと、
前記平行光が投射される表面部分を変更させるように前記照明手段と前記被検査物とを相対移動させるステップと、
前記被検査物の表面部分からの前記平行光に応じた反射光を受光し、当該反射光を線条の画像に撮像するステップと、
前記撮像した反射光を示す線条の画像に基づき前記被検査物表面の欠損を検出するステップと
を行うことを特徴とする表面欠損検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83571(P2013−83571A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224104(P2011−224104)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】