説明

表面特性の定量的評価用の装置

【課題】表面特性を定量的に評価するための、さらに下塗りラッカ塗装の評価も可能にする装置と方法を提供する。
【解決手段】表面特性を定量的に評価するための装置(21)は、第1光放射装置(23)を有し、この光放射装置は、調査しようとする表面(1)に対して第1所定角度で配設され、調査しようとする表面(1)に放射光を方向付け、表面(1)に向けられた放射光は、赤外領域にある波長を有する少なくとも1つの成分を有し、さらに、調査しようとする表面に対して第2所定角度で配設された検出装置(24)が備えられ、この装置が表面に照射されてこれからはね返される放射光を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面特性の定量的評価用の装置および方法に関する。
【0002】
本発明は、ラッカ塗装された表面、特に自動車の車体の表面に関して記載されたものである。しかし本発明はその他の表面にも導入可能であることが指摘される。
【背景技術】
【0003】
多数の技術的製作物では、目に見える表面の性状は製品の全体的印象の決定的な特徴である。
【0004】
自動車は、一般に光沢性の高いラッカ塗装を備えており、その光沢特性値は、例えば家具の表面などといった他の表面の光沢特性値よりも通例はるかに優れている。比較的大きな表面に高度の光沢をもたらすラッカ塗装を適用する場合、ラッカ塗装すべき表面の極めて入念な準備と、極めて入念なラッカの塗布を必要とする。ラッカ塗装された車体表面の品質的な欠如を検出するために、従来技術においては、表面の客観的特徴付けもしくは評価を、表面上に照射された光の評価を通じて可能にする装置が知られている。この装置によって、例えばラッカ層の非平滑性を検出し、定量的に評価することができる。
【0005】
しかし、一般に自動車工業において適用されるラッカは、外側のラッカ層のみならず、この外側ラッカ層の下にある下塗りラッカ層をも有している。質的に申し分のない最終層を作り出すために、そのつど下塗りラッカ塗装の性状も検査することが必要である。しかしその場合、この下塗りラッカ塗装上に照射される光の反射は比較的弱く、それゆえこの下塗りラッカの評価は非常に費用がかかるという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、下塗りラッカ塗装の評価をも可能にする装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば請求項1に記載の装置によって達成される。有利な実施形態および発展形態は、従属請求項の対象物となっている。
【0008】
表面特性を定量的に評価するための本発明による装置は、第1光放射装置を有し、この光放射装置は、調査しようとする表面に対して第1所定角度で配設され、放射光を調査しようとする表面に向けて方向付ける。この場合、表面に向けられた放射光は、赤外領域にある波長を有する少なくとも1つの成分を有する。さらに、調査しようとする表面に対して第2所定角度で配設された検出装置が備えられ、この装置は、表面に照射されてこれからはね返される放射光を検出する。
【0009】
赤外放射光は、可視光の波長よりも長い波長を有するような放射光もしくは光であると理解される。ただし、適用される波長が検査しようとする構造よりも短いことが好ましい。所定の角度とは、光放射装置もしくは検出装置が検査しようとする表面に対して配設される空間角度であると理解される。
【0010】
はね返される放射光とは、表面に向けられた後に表面から再び放射される放射光であると理解され、特に、反射され、回折され、または拡散される放射光であるが、それらに限定されない。
【0011】
この空間角度は、検査しようとする表面に対してそのつど装置の位置を明確に決定するのに適した一組の角度から構成される。
【0012】
異なる波長を有する複数の成分から構成される放射光とは、異なる波長または異なる波長領域の光を有するような放射光であると理解される。
【0013】
表面への放射光の方向付けとは、放射された放射光の少なくとも一部分が表面に届くことであると理解される。この場合、この放射光は、単に平行化もしくは方向付けされるだけではなく、多少とも発散性または拡散性を有しているものと理解される。
【0014】
検出装置が、第1光放射装置から表面へ照射されてこれから反射される放射光を検出することが好ましい。これは、検出装置が所定の入射角で表面に照射されて反射の法則に従って反射される光を検出するように配設されていることを意味する。
【0015】
さらに別の好ましい実施形態では、第1光放射装置が点光源として製作される。点光源とは、高い発散を伴って光を放射するような光源であると理解される。この種の光源は小さな開口を適用することによって達成される。しかし、第1光放射装置は検査しようとする表面に光を放つ光ファイバを有することが好ましい。ファイバの適用は、ファイバ自体が極めて小さな断面を有し、それにより強く発散する光を作りだすので、追加の開口を形成しなくてよいという利点を有する。
【0016】
点光源の適用によって、検査しようとする表面の拡大結像が特に検出平面において可能になる。このためにレンズなどの追加要素が不要になることが好ましい。
【0017】
さらに別の好ましい実施形態では、特に非常に短い焦点距離を有するレンズであるが、これに限られることはないレンズによる強い分散が適用される。この種のレンズを光ファイバと関連させて適用することができるが、これとは独立に適用することもできる。
【0018】
さらに別の好ましい実施形態では、検出装置は放射光制限要素を有する。この場合、放射光制限要素は絞りであることが好ましい。この絞りは、固定または可変絞り断面で選択することができる。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態では、検出装置が複数の絞りを有する。検出装置が複数の検出器を有することが好ましく、この場合、各個別の検出器が1つの絞りを備えていることが好ましい。この装置は、異なる波長領域に感度を有する複数の検出器を有することが好ましい。
【0020】
さらに別の好ましい実施形態では、検出装置が、これに当る放射光を位置解像式に検出することを可能にする。これは、検出装置が単に放射光をその放射光強度に関して評価するのみならず、さらに放射光を位置解像式に検出することを可能にすることを意味する。この目的のために、検出装置は例えばCCDチップなどの好ましくは平坦な画像撮影要素を有する。
【0021】
さらに別の実施形態では、検出装置が放射光の位置解像式検出を可能にせず、この場合、検出装置は光センサまたは光電池などの感光性要素を有する。
【0022】
さらに別の好ましい実施形態では、検出装置が赤外光の照射についても感度を有する。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態では、光放射装置が異なる放射スペクトルを持つ複数の光源を有する。こうして、例えば可視領域の光を放射する個別の光源を備え、一方で、別の光源が赤外波長領域にある光を放射する。
【0024】
光放射装置が、追加の複数の光源を有し、これらの光源は、これらの光源から放射される光の放射スペクトルが本質的に可視光の全領域またはその部分、および赤外光の少なくともいくつかの領域をカバーするように形成されていることが好ましい。このように本質的に完全にカバーすることによって、例えば白色光などの、所定の光比率をできるだけ正確に再現可能である。他方では、複数の放射光源の適用によって、表面を選択的に所定の波長の光によって照射し、放射光を相応に評価することも可能である。
【0025】
検出装置もまた、本質的に全可視領域および赤外波長領域の少なくとも一部分にわたって感度を有するように形成されていることは好ましい。センサの材料として、例えばゲルマニウムを適用することができる。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの光源がレーザである。この目的のために、例えば、連続的な放射光を放射する半導体レーザを組み込むことができる。しかし、LEDなども光源として適用することができる。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態では、複数の光放射装置が異なる空間角度で検査しようとする表面に対して配設されている。この場合、これらの複数の放射光方向は、一部は可視領域、および一部は赤外領域の異なる放射スペクトルを有することもできる。
【0028】
さらに別の好ましい実施形態では、さらに別の光放射装置が、検査しようとする表面に拡散光を放射する。この場合、この拡散光は例えばくもりガラス板または散乱板などを適用して達成することができる。
【0029】
さらに別の好ましい実施形態では、検出装置が複数の検出器を有する。この場合、個々の検出器を所定の方式で互いに関連させて例えば一列に配設することができる。また少なくとも2つの検出器が、異なる放射光すなわち異なる波長の放射光に関して異なる感度を有することも好ましい。
【0030】
さらに別の好ましい実施形態では、複数の本質的に同種の検出器が本質的に直線に配設されている。この方式では、これらの検出器に対して線に沿って当る光の評価を行うことができる。本装置を検査しようとする表面に対してこの方向にずらすか移動させることができることが好ましい。
【0031】
さらに別の好ましい実施形態では、第1波長領域に感度を有する第1個数の検出器が一列に配設され、これに対して本質的に位置をずらして可視波長領域の第2個数の検出器が第2列に置かれている。こうして例えば、赤外波長領域の所定数の第1検出器を一列に配設し、可視波長領域の第2個数の検出器を第1列に本質的に平行である第2列に配設することが可能である。
【0032】
さらに別の好ましい実施形態では、本装置は、検査しようとする表面に対して本装置を移動させることができる移動装置を有する。この移動装置は、例えば車輪などとすることができる。
【0033】
移動装置が移動距離測定装置と結合されていることは好ましく、この移動距離測定装置によって、検査しようとする表面に対する装置の移動距離を測定することができる。
【0034】
本装置が、検出装置と結合していることが好ましい評価装置を有し、評価装置が、検出装置によって受け取られた放射光から算定した測定値を評価することが好ましい。この評価の範囲において、算定した測定値を、平均計算を行う、または同様な数学的処理を実施することによって互いに関連付けることが好ましい。
【0035】
さらに、算定した測定値を、測定しようとする表面に対する本装置の相対的位置に関する情報をもたらす測定データと関連付けることが好ましい。
【0036】
本発明はさらに、表面の定量的評価のための方法を対象とする。この場合、第1方法ステップでは、赤外波長領域にある少なくとも1つの成分を有する放射光が、測定しようとする表面に照射される。さらに別の方法ステップでは、測定しようとする表面からはね返される光が検出装置によって受け取られ、好ましくは価値評価される。さらに厳密に言えば、検出装置に向けられる放射光は、この装置によって特性電子信号に変換されて、この信号が評価される。
【0037】
測定過程中に、本発明による装置が測定しようとする表面に対して移動され、このようにして多数の測定値が受け取られることが好ましい。本発明による装置が測定しようとする表面に対して移動する間に、そのつど所定の位置において1つの測定値が受け取られ、これが全体として多数の測定値をもたらすことが好ましい。これら多数の測定値の評価によって、測定しようとする表面の品質を特徴付けることが可能である。移動距離測定装置を通じて、本装置の位置を、測定しようとする表面に対して決定することができ、このようにして測定値を一定の幾何学的位置に割り当てることができる。
【0038】
次に、評価される多数の測定値が受け取られ、受け取られた測定値が輝度測定値として示されることが好ましい。次に続く評価ステップでは、そのつど個数nの先行測定値と個数n2の後続測定値とを共に考慮することによって、輝度測定値から表面測定値が形成される。この場合、個数nがn測定値の個数と同じであることが好ましい。この場合、先ず個数nの輝度測定値が決定しようとする最初の表面測定値の前に受け取られ、最後の表面測定値の後にさらに別の個数nの輝度測定値が受け取られる。選択された測定値の個数nおよびnに依存して、そのつどより長周期的な表面障害またはより短周期的な表面障害を把握することができる。個別の測定値を、例えば移動距離測定によってトレースすることができるそのつどの測定位置に割り当てることができるのは好ましい。
【0039】
本発明のさらなる有利な実施形態は図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本特許による課題を概略的に説明する図である。
【図2a】測定方法の原理を具体的に説明する概略図である。
【図2b】本発明の原理を具体的に説明するためのさらに別の概略図である。
【図2c】測定方法の原理を具体的に説明するためのさらに別の概略図である。
【図2d】測定方法の原理を具体的に説明するためのさらに別の概略図である。
【図2e】測定方法の原理を具体的に説明するためのさらに別の概略図である。
【図3】表面を定量的に評価するための本発明による装置を示す図である。
【図4】図3の本発明による装置のための検出装置からの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に、本発明に基づく問題を具体的に説明するための概略図を示す。表面1に、例えば太陽などの光源4から放射された光3が照射されている。しかし、表面が曲線を描いて延在されているため、光は観察者6の方向に本質的に平行ではなく、表面の曲線に応じて個別の矢印P1〜P4の方向に沿って反射される。この現象によって、観察者には不完全な平滑表面の印象もしくは「オレンジピール」と呼ばれる光学的効果が発生する。
【0042】
図2aから2eは、本発明の原理を具体的に説明するものである。この場合、本発明による装置は、検査しようとする表面1に対して矢印Aに沿って移動する。光源4から出た光は検査しようとする表面1から反射して、検出装置11に放たれる。表面1のそのつどの曲線に依存して、多かれ少なかれ光は検出装置11に達する。これは図2a〜2eに具体的に説明され、表面1上の光線が当った点ごとに、はね返される放射光は異なる方向を有し、それに従って光は異なる強度で検出器11に入射する。検査しようとする表面を矢印Aに沿って緩やかに走査することによって、この方法により、曲線状に延在する表面全体にわたって画像を得ることができる。
【0043】
ある好ましい実施形態では、検出装置11は、これに入射する放射光の位置解像式表示、すなわち放射光の強度による解像のみならず、位置解像式画像も可能にする。この方法で、検査しようとする表面に関する一層明確な情報が得られる。
【0044】
ある好ましい測定方法では、本装置は検査しようとする表面1に対して矢印Aに沿って移動し、そのつど多数の測定値が受け取られる。この場合、本装置を移動させるためにゴム車輪またはゴムローラを適用することができ、これらは表面1と装置との相対的動きを直接把握し、これによって表面への測定点の正確な幾何学的割当てを確保する。
【0045】
多数の測定値を受け取ることによって、短い間隔で繰り返される非平滑性を検出することができる(いわゆる短周期的非平滑性)。しかし多数の測定点にわたる評価によって、例えば適切な平均計算を適用して長周期的に繰り返される非平滑性を把握することができる。
【0046】
例えば5つの波長領域などの、複数の波長領域への配分を実施することができることが好ましい。この種の配分により検査しようとする表面の極めて正確な表示が保証されることがわかっている。
【0047】
こうして、測定は例えば50、40、30、20、または10個の先行および後続測定点によって評価され、この場合、より多数の測定値によって長周期的表面障害をより良好に把握することができ、より少数の測定値によって短周期的表面障害をより良好に把握することができる。
【0048】
冒頭に述べたように、可視光領域においてごく僅かな反射能力を示す下塗りラッカ塗装をも検査可能にするために、本発明によれば赤外光の適用が提案される。
【0049】
図3は、本発明による装置を示す。これはケーシング21を有し、この中に第1光放射装置23ならびに検出装置32が格納されている。この場合、光放射装置と検出装置はそれぞれ所定の角度で、検査しようとする表面1に対して配設されている。これらの装置が検査しようとする表面に対して配設されているそれぞれの角度は、空間角度と解釈され、この空間角度は、検査しようとする表面上の中間垂直線14と光放射装置および検出装置の中心を通る軸BおよびCとの間に形成されている。
【0050】
光放射装置は1つの光源(図示せず)を有している。参照番号32は、例えばグラスファイバなどの光導体(図示せず)を中に通すことができる1つの検出装置を示す。光源としては、特に、しかしこれに限定されるものではないが、IRレーザまたは赤外領域のある放射スペクトルを有するスーパーLEDを組み込むことができる。図4に示す実施形態では、800nm〜1700nmの領域、好ましくは1550nmの領域の放射波長を有するスーパーLEDが組み込まれている。
【0051】
公知のグラスファイバは、本来光を通す媒体であるいわゆるコアを有する。コアはクラッドによって囲まれ、このクラッドは隔離機能を有し、これはコアから放射光が側方に逸出することを全反射によって防止する。そうではあるが、グラスファイバがより長い区間にわたって本質的に直線に導かれる場合には、光はファイバ内に入る段階でクラッドの中にも入り、ファイバの端部ではクラッドから出る。
【0052】
この理由で、ファイバ端部において光がクラッドから出ることを防止するために、グラスファイバは実施装置に入れる前に曲げられて通され、約2m〜3mの長さにわたって巻かれることが好ましい。
【0053】
参照番号29はさらに別の光放射装置を示す。この光放射装置は、可視波長領域にある光を放射する光源を有する。図4に示す実施形態では650nmの放射波長が適用される。
【0054】
光放射装置29が、表面によって反射されて検出装置31によって受け取られる光の斑点を放射することは好ましい。検出装置31は、これに当る光の位置解像式表示を可能にする検出装置、好ましくはカラーカメラとすることが好ましい。
【0055】
検出装置32は、少なくとも赤外領域の放射光にも感度を有する。この検出装置32もまた、これに当る光の位置解像式表示を可能にする検出装置とすることが好ましい。
【0056】
参照番号53はさらに別の光放射装置を示し、参照番号27は、図4に示す実施例において仕上げられたラッカ層の表面を評価するために役立つさらに別の検出装置を示す。この装置によって光沢の測定が行われる。
【0057】
この光沢の測定によって得られた値は、上述の赤外光による測定によって得られる各々の結果を修正するために利用される。
【0058】
光放射装置53には、少なくとも1つの光源12が格納されている。
【0059】
この種の光を発生させるために、例えば半導体、レーザダイオードなどを適用することができる。光はレンズシステム17を通じて検査しようとする表面に向けられる。
【0060】
光放射装置53と検出装置24とは本質的に、光放射装置から送り出される光が本質的に検査しようとする表面1によって検出装置24に向かって反射されるように配設されている。光放射装置53は、光源12の近傍に、スペクトルの全可視領域またはその部分をカバーすることが好ましいさらに別の光源を有することができる。
【0061】
検出装置24は、これに当る放射光を検出する検出要素27を有する。この目的のために、検出装置がレンズシステム28をも有することが好ましい。検出装置として、ある好ましい実施形態ではカラーカメラが適用される。
【0062】
しかしさらに、表面から投げ返される光を検出するさらなる検出装置(図示せず)を備えることができる。
【0063】
さらに別の実施形態によれば、単一または複数の光放射装置(図示せず)が拡散光を放出し、この目的のために散乱板またはくもりガラス板などを備えることができる。参照番号34は、測定された値を評価するための表示装置を示す。
【0064】
図4は、検出装置31および32から構成された検出器を示す。この装置は第1検出器32a〜32eおよび第2検出器31a〜31eを有する。この場合、図示された実施形態では、検出装置32および31のそれぞれの検出器は一列に配設されている。検出装置32および31のそれぞれの検出器が、本装置が表面1に対して動かされる方向に本質的に垂直であることは好ましい。下側の検出装置32はこの実施形態では5個の個別検出器32a〜32eを備えており、これらは少なくとも赤外波長領域にも感度を有する。上側の検出装置31はこの実施形態では5個の個別検出器31a〜31eを備えており、これらは特に可視波長領域に感度を有する。個別の検出器31a〜31eは絞り装置(図示せず)および好ましくはフィルタ(図示せず)、特に帯域フィルタを有し、このフィルタはここに図示した実施形態では本質的に同じ大きさの絞り開口部を有する。検出装置32および31の個別の検出器は、交互に異なる絞り開口部を有する絞り装置を備える。また、ただ1つの放射光源の光を適切に評価できるように、検出器はそれ自体異なる検出面を有することもできる。しかしこの選択は強制的ではなく、そのつど別の絞り開口部を備えることもできる。またコンピュータ支援式絞り制御、またはプログラム式絞りを有するセンサアレイを使用することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1 検査しようとする表面
3 光
4 光源
6 観察者
11 検出装置
12 光源
14 中間垂直線
17 レンズシステム
21 装置、ケーシング
23 第1光放射装置
24 検出装置
27 検出装置
28 レンズシステム
29 光放射装置
31 検出装置
32 検出装置
34 表示装置
53 光放射装置
A 移動方向の矢印
B 中心軸
C 中心軸
P 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性を定量的に評価するための装置において、
検査しようとする表面(1)に対して第1所定角度で配設され、検査しようとする表面(1)に赤外波長領域にある放射光を方向付ける第1光放射装置(23)と、
検査しようとする表面(1)に可視波長領域にある放射光を方向付ける少なくとも1つのさらなる光放射装置(29,53)と、
検査しようとする表面に対して第2所定角度で配設され、表面に照射されてこれからはね返される放射光を検出する少なくとも1つの検出装置(32,31,24)と、を備える装置であって、
表面に沿って所定の方向に装置を移動させることができる移動装置を備え、
前記少なくとも1つの検出装置(32,31,24)が、赤外光に対して感度を有する少なくとも1つの検出器(32a−e)と、可視光に対して感度を有する少なくとも1つの検出器(31a−e、27)とを備えており、前記検査しようとする表面の表面特性は、前記所定の方向において移動される前記少なくとも1つの検出装置によって検出される前記可視光及び赤外光の光強度を分析することによって得られ、前記検出された光強度が、前記検査しようとする表面の表面特性とともに前記所定の方向で変化していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1光放射装置(23)と、前記少なくとも1つの検出装置(32,31,24)の前記少なくとも1つの検出器(32a−e)とが、検査しようとする表面の下塗りラッカ塗装を検査するために設けられており、
前記少なくとも1つのさらなる光放射装置(29,53)と、前記少なくとも1つの検出装置(32,31,24)の前記少なくとも1つの検出器(31a−e、27)とが、検査しようとする表面の外側ラッカ塗装を検査するために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出装置(32,31,24)が、赤外光に対して感度を有する複数の検出器(32a−e)と、可視光に対して感度を有する複数の検出器(31a−e、27)とを備えており、
前記複数の検出器(32a−e)及び前記複数の検出器(31a−e、27)はそれぞれ、本質的に直線状に、前記所定の方向に対して本質的に垂直に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの検出装置(32,31,24)が、赤外光に対して感度を有する少なくとも1つの検出器(32a−e)を有する第1検出装置(32)と、可視光に対して感度を有する少なくとも1つの検出器(31a−e、27)を有するさらなる検出装置(31,24)とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1検出装置(32)が、前記第1光放射装置(23)から表面へ照射されて該表面から反射される放射光を検出することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1光放射装置(23)が、点光源として製作されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1光放射装置(23)が、光ファイバを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの検出装置(32,31)が、少なくとも1つの絞りを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの検出装置(32,31)が、フィルタ要素を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの検出装置(32,31)が、該検出装置(32,31)によって検出される放射光の位置解像式検出を可能にすることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1光放射装置(23)が、少なくとも部分的に異なる放射スペクトルを持つ複数の光源を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのさらなる光放射装置(29,53)が複数の光源を有し、該光源が、該光源から放射される光の放射スペクトルが本質的に可視光の全領域またはその部分領域をカバーするように形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1光放射装置(23)と前記少なくとも1つのさらなる光放射装置(29,53)との少なくとも1つの光源がレーザであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのさらに別の光放射装置が、検査しようとする表面に拡散光を向けることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記検出装置と結合されている評価装置を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、ケーシング(21)を備え、かつ
前記第1光放射装置(23)と、前記少なくとも1つのさらなる光放射装置(29,53)と、前記少なくとも1つの検出装置(32,31,24)とが、前記ケーシング(21)に格納されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を使用して表面特性を定量的に評価するための方法において、
赤外波長領域にある放射光を、検査しようとする表面(1)に照射させるステップと、
可視波長領域にあるさらなる放射光を、前記検査しようとする表面(1)に照射させるステップと、
表面に照射されて表面からはね返される光を検出し、この光に関する特性信号を発生させるステップと、
前記検査しようとする表面の表面特性を、検出された前記可視光及び赤外光の光強度を分析することによって得るために、前記特性信号を評価するステップと
を含む方法であって、
前記装置が、測定方法の間、検査しようとする表面に対して移動され、前記検出された光強度が、前記検査しようとする表面の表面特性とともに前記所定の方向で変化していることを特徴とする方法。
【請求項18】
赤外波長領域にある放射光によって、前記検査しようとする表面の下塗りラッカ塗装が検査され、
可視波長領域にあるさらなる放射光によって、前記検査しようとする表面の外側ラッカ塗装が検査されることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−232350(P2011−232350A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156568(P2011−156568)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2005−192865(P2005−192865)の分割
【原出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(596102241)ビック−ガルトナー・ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】