説明

表面異常判定方法および装置

【課題】 従来手法より高感度ないし高精度での表面異常判定を実現する。
【解決手段】 特定の波長域を有する光を表面に照射する光照射段階(S35〜S37)と、光の反射光を前記表面の画像データとして検出する検出段階(S35、S37)と、表面の画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度を算出し、この強度に基づいて表面における異常状態(錆状態)を判定する異常判定段階(S38)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔材に用いられる鋼管の内壁面や土管の表面などの各種表面において、錆や劣化などの異常発生を判定する表面異常判定方法、表面異常判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送電線の鉄塔に用いられる鋼管には、通常、腐食防止のための亜鉛メッキなどが施されているが、長期間の使用を経ると、鋼管の内部に侵入する雨水や風の影響で亜鉛メッキが劣化し、鋼管の内壁面に錆が発生する。鉄塔材に用いられる鋼管の錆は、鉄塔の強度を著しく劣化させて、その安全性ないし耐久性を損なうので、定期的な検査によって錆の発生ないしそのレベルを的確に判定し、補修処理等を施す必要がある。
【0003】
従来、画像解析処理によって、鋼管の内壁面における錆発生を効率的に判定するための内部腐食検出方法が提案されている(特許文献1)。この内部腐食検出方法は、鋼管の内壁面を撮像し、この撮像画像において、画像色の三属性(三刺激値)である明度、彩度、色相が所定の条件を満足する画像領域を錆が発生した領域であると判定するものである。
【特許文献1】特開平9−229869(1997年9月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の内部腐食検出方法には、次の問題点が存在している。
【0005】
すなわち、前述のとおり、特許文献1の内部腐食検出方法は、鋼管の内壁面を撮像し、この撮像画像において、画像色の三属性である明度、彩度、色相(三刺激値)が所定の条件を満足する画像領域を錆が発生した領域であると判定するものであるが、このような画像の色情報に基づく錆判定では、錆の検出感度を所定以上に向上させることができない。
【0006】
なぜなら、画像の色情報は、人間の視覚特性に基づいて定義するために、反射光の光の連続的なスペクトルの情報量を、等色関数による積分操作によって三属性の値(三刺激値)にまとめたものである。したがって、画像の色情報は、画像光のスペクトル分布の情報と比較して格段に情報量が少なくなっている。それゆえ、特許文献1の内部腐食検出方法のように、画像色情報に基づいて錆を判定したのでは、人間の視覚特性上、錆のある領域の画像と錆のない領域の画像とが同色であると認識される場合(いわゆる条件等色が成立する場合)には、仮に、両画像の反射光スペクトルが異なっていても、両者の違いを識別することができないからである。すなわち、特許文献1の内部腐食検出方法では、鋼管の内壁面における分光反射特性の本来的な情報量に基づいて錆の発生を的確に検出することはできない。
【0007】
また、特許文献1の内部腐食検出方法では、錆の発生を判定するための前提として、鋼管内壁を撮像して得られた画像の輝度値(画素値)が所定の条件を満足するように、鋼管内壁を照らす照明条件を調整する必要がある。このような照明条件の調整は、狭くて長い鋼管の内部で光源ないし検出器(検査ヘッド)の位置や角度調整を必要としたり、光源に複雑な発光強度調整機構を備え付けたりする必要を生じさせるため、極めて煩雑である。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来手法より高感度ないし高精度での錆判定を実現するとともに、煩雑な照明調整を不要とする異常判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る異常判定方法は、上記の課題を解決するために、特定の波長域を有する光を表面に照射する光照射段階と、前記光の反射光を前記表面の画像データとして検出する検出段階と、前記表面の画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度を算出し、この強度に基づいて前記表面における異常状態を判定する異常判定段階とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る異常判定装置は、上記の課題を解決するために、特定の波長域を有する光を表面に照射する光照射部と、前記光の反射光を前記表面の画像データとして検出する検出部と、前記表面の画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度を算出し、この強度に基づいて前記表面における異常状態を判定する異常判定部とを備えることを特徴としている。
【0011】
上記の構成において、特定の波長域を有する光とは、所定の波長域成分の強度が実質的に零ではない各種の光のことであって、特にその形態を限定するものではない。例えば、特定の波長域を有する光には、各種のレーザ光やランプ光などが含まれる。
【0012】
上記の構成によれば、判定対象物の表面に照射された光の反射光が、CCDやC−MOSなど各種の光検出手段によって前記表面の画像データとして検出される。そして、検出された画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度が算出され、この強度に基づいて前記表面における異常の存在やその状態が判定される。
【0013】
本発明によれば、表面のスペクトル情報に基づいて、人間の目では色識別できないような表面異常であっても的確に検出することが可能となる。
なお、特定の波長域における反射光の強度に基づいて表面における異常状態を判定する手法としては、反射光の強度を所定の閾値と比較する手法や、異なる波長域における反射光の強度分布を比較する手法などを採用することができる。例えば、入射光の強度に対する反射光の強度の比や、入射光の強度と反射光の強度との差を算出し、これらの値に基づいて表面における異常状態を判定してもよい。特に、入射光の強度に対する反射光の強度の比に基づいて表面における異常状態を判定する場合には、光源や光検出手段を備える検査ヘッドと判定対象物の表面との距離が所定値に固定されていない場合であっても比の値の変動が小さいので、煩雑な照明条件の調整等を必要とせず、安定的な異常判定を実現することができる。
【0014】
本発明に係る異常判定方法は、上記の課題を解決するために、上記の構成において、前記光照射段階における特定の波長域は、互いに異なる複数の波長域であって、前記異常判定段階では、各波長域において算出した反射光の強度に基づいて前記表面における異常状態を判定することを特徴としている。
【0015】
上記の構成において、互いに異なる複数の波長域とは、互いのスペクトル分布がまったく重ならない波長域だけでなく、互いのスペクトル分布の主要部(ピーク部分の周辺)が重なっていない波長域を含むものである。すなわち、上記複数の波長域は、これらのスペクトル分布がその裾野部分において一部重複していてもよい。
【0016】
波長域が重ならないような複数の光を出射する手段としては、発光帯域が比較的狭いLEDなどを好適に用いることができる。
【0017】
上記の構成によれば、判定対象物の表面に照射された異なる波長域を有する複数の光の反射光が、CCDやC−MOSなど各種の光検出手段によって前記表面の画像データとして検出される。そして、検出された画像データにおいて各波長域の反射光の強度が算出され、これら強度に基づいて表面における異常の存在やその状態が判定される。
【0018】
なお、前記特定の波長域における反射光の強度に基づいて前記表面における異常状態を判定する手法としては、各波長域における反射光の強度分布を互いに比較する手法や、各波長域における反射光の強度を演算することによってパラメータ値を導出し、このパラメータ値を閾値と比較する手法などを採用することができる。
【0019】
本発明によれば、反射光画像の色情報に基づく異常判定ではなく、異なる複数の波長領域の反射光情報を用いるマルチスペクトル解析に基づく異常判定を行うので、その原理上、人間の目では色識別できないような表面異常であっても的確に検出することが可能となる。なぜなら、マルチスペクトル解析は、撮像系への入射光に関する情報を、光の連続的なスペクトル分布の情報として得るので、等色関数による積分操作が行われた後の三属性の値(三刺激値)として得る色情報解析と比較して、得られる入射光の情報量ないし特徴量が格段に多くなるからである。すなわち、本発明に係る異常判定方法によれば、前記の作用効果に加えて、等色関数の成立による影響を受けることなく、的確な異常判定を実現することが可能となる。
【0020】
本発明に係る異常判定方法は、上記の構成において、前記光照射段階では、互いに異なる波長域を有する光を順次切り替えながら照射することも好ましい。
上記の構成によれば、互いに異なる波長域を有する光(第1の光、第2の光、・・・)を判定対象物の表面に照射して、その反射光を検出する際、第1の光を照射しながらその反射光を検出した後、第2の光を照射しながらその反射光を検出する・・・というように、複数の光の照射を順次切り替えながら段階的に行う。これにより、検出段階において検出する反射光を時間的に完全に分離することができるので、これら反射光を分離するための光学部材など(各種の波長域フィルタ、カラーフィルタ、プリズムなど)が必要なくなる。それゆえ、検出段階における光検出手段として、一般的に高感度を有するモノクロ方式のビデオカメラを採用することが容易になる。
【0021】
他方、判定対象物の表面に複数の光(第1の光、第2の光、・・・)を同時に照射してその反射光を同時に検出する場合には、複数の光の照射ないしこれらの反射光の検出を並列して行うことができる。それゆえ、これら処理に要する時間を短縮することができるので、異常判定を高速に実現することが可能となる。この場合には、カラーフィルタを備えるカラー方式のビデオカメラを検出段階における光検出手段として採用することができる。
【0022】
本発明に係る異常判定方法は、上記の構成において、前記表面の画像データとして複数色からなる画像データが得られるように、前記光照射段階における複数の波長域を選択することが好ましい。
【0023】
上記の構成において、複数色からなる画像データとは、判定対象物の表面における異常有無ないしその状態を人間が視覚的に確認できるような複数色表現の画像のデータのことである。この画像データは、その情報量の豊富さを考えれば総天然色のフルカラー表示であることが理想的であるが、画像データをディスプレイなどに表示されたときに、判定対象物の表面において、正常部分と異常部分との区別や異常部分の状態を可視化できるようなマルチカラー表示のものであればよい。
【0024】
このような複数の波長域の選択としては、赤(R)緑(G)青(B)の三原色波長の組み合わせの他、紫外(UV)・緑(G)・赤(R)の組み合わせ、紫外(UV)+白(W)の組み合わせなどが考えられる。なお、白(W)は、赤(R)緑(G)青(B)の三原色波長の合成光とみなすことができる。
【0025】
上記の構成によれば、検出した画像データおよびその判定結果をディスプレイなどにカラー画像として表示することができるので、判定結果すなわち表面異常の有無やその状態を肉眼で容易に確認することが可能となる。すなわち、このようなカラー画像は、その理解や確認が容易であるから、人間の監視負担を軽減することに有効である。
【0026】
本発明に係る異常判定方法は、上記の構成において、前記異常判定段階では、前記表面の画像データにおける異常領域の面積値を算出し、この面積値に基づいて、前記表面における異常状態の異常レベルを判定することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、表面の異常発生が進行して次第に異常領域が拡がっていくような場合、表面の画像データにおける異常領域の面積値が算出され、この面積値に基づいて、すなわち、この面積値の大きさのレベルに応じて表面における異常状態の異常レベルが判定される。これにより、単に表面における異常の有無だけではなく、その面積に応じた異常の発生ないし進行レベルを的確に判定することができる。
【0028】
本発明に係る異常判定方法において、前記表面は鋼面であって、前記異常判定段階では、前記鋼面における錆状態を判定することも好ましい。
【0029】
特に、上記構成において、前記光照射段階における特定の波長域は、互いに異なる複数の波長域であって、500nm以下の第1の波長域と、500nmより大きい第2の波長域とを含むことが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、500nm以下の波長を有する第1の波長域を有する光と500nmより大きい第2の波長域を有する光とが同時または異なるタイミングで鋼面に照射される。このとき、鋼面に錆が発生していれば錆の反射・吸収特性および錆の表面特性に起因して、第1の波長域の光の反射率は、第2の波長域の光の反射率よりも大幅に減少する。この現象は、錆の主成分である酸化鉄自体の反射・吸収特性が500nm程度を境として、大きく変化すること、および、錆の形成ないし浸食によって鋼面状態が粗面となってくるので、特に短波長領域において反射光が拡散的になることが原因である。
【0031】
それゆえ、上記の構成によれば、判定対象物の表面に照射された第1の波長域の光の反射光強度と第2の波長域の光の反射光強度とが算出され、これら強度に基づいて鋼面における錆の存在やその状態が判定される。
【0032】
これにより、鋼面における錆反射・吸収特性および表面特性を判定したより的確な異常判定を実現することができる。
【0033】
本発明に係る異常判定方法は、上記構成において、前記第2の波長域は、600nm以上であることが好ましい。
【0034】
なぜなら、特に600nm以上の波長領域において、鋼面の錆が発生した領域と錆が発生しない領域との反射光強度の差がほぼ最小レベルとなるうえ、その波長依存性も小さくなる。それゆえ、前記第2の波長域を600nm以上として、前記第1の波長域の反射光強度と比較すると、錆検出ないし錆判定の精度を向上させるとともに、広いダイナミックレンジを確保しながら安定した錆検出ないし錆判定を実現できる。
【0035】
本発明に係る異常判定方法は、上記構成において、送電用鋼管鉄塔の内壁面であることが好ましい。
【0036】
本発明によれば、その形状や遮光性に起因して検査することが困難な鋼管の内壁面においても簡便かつ適切に異常判定を実現することが可能となる。なお、送電用鋼管鉄塔の内壁面は亜鉛めっき処理されていてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る異常判定方法によれば、判定対象物の表面のスペクトル情報に基づく異常判定を行うので、その原理上、人間の目では色識別できないような異常であっても的確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(実施の形態1)
〔1.システム構成〕
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。
【0039】
図1は、送電用鋼管鉄塔の内壁鋼面の錆判定を実行する鋼管錆検査システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0040】
同図に示されるように、鋼管錆検査システム1は、検査ヘッド11、送信部12、受信部13、パーソナルコンピュータ (PC)14、電源ユニット15から構成されている。図中では、送電用鉄塔を構成するとともにその内部に侵入する検査ヘッドを取り囲み、その内壁が錆検査の対象となる鋼管10が破線で示されている。
【0041】
検査ヘッド11は、外力ないし備え付けの駆動力によって、鋼管内部を移動しながらその任意箇所において、鋼管内壁の画像を撮像し、その画像データを取得するための構成であって、主要構成として鋼管内壁を照らす照明光を出射する光源やその反射光を画像データとして検出するカメラを備えるものである。
【0042】
送信部12および受信部13は、光ファイバや無線通信などを介してデータ通信可能に接続されている送受信インタフェースである。送信部12と受信部13とを接続する通信回線は、送電線から発生する強電界での伝送劣化を抑制するために、光ファイバのデジタル通信回線を用いることが好ましい。
【0043】
パーソナルコンピュータ (PC)14は、鋼管錆検査システム1全体の動作ないし制御を集中的に司っている。例えば、PC14は、後述のカメラに制御信号を送信して、カメラの画像取り込み・電子シャッターの作動・ゲイン調整・露光調整・ホワイトバランス調整・撮像画像データの形式指定などを制御している。電源ユニット15は、検査ヘッド11、送信部12、受信部13、PC14に駆動用の電力を供給している。
【0044】
図2は、検査ヘッド11の構成例を示す説明図である。
【0045】
図2に示す検査ヘッド11は、円筒状の透明カバー20の両端部に光源21aおよび光源21bを備えている。光源21aは、波長が500nm以下の主に紫外領域の光(第1の波長域の光)を出射するLEDであり、光源21bは、波長が600nm以上の波長を有する可視光(第2の波長域の光)を出射するLEDである。ここで、光源21aの波長域は、受光するカメラの受光素子の受光感度、受光による受光素子のダメージないし耐性、光源の入手し易さ、当該波長領域およびその他波長領域に対応する受光素子の入手のし易さなどを考慮すると、300〜470nmとすることがより好ましく、さらに、400〜410nmとすることが好ましい。
【0046】
これら光源21aおよび光源21bから出射された光は図2の矢印方向に照射され、周囲の鋼管内壁で反射されると透明カバー20を透過し、その一部が全方位ミラー22(例えば、V stone社製の30mm径全方位ミラー)に入射する。全方位ミラー22で反射された光は、その進行方向をレンズ23に集められる。レンズ23に入射された画像光は、レンズ23を備え付けるカメラ24(モノクロ方式のビデオカメラ、例えばPoint Grey Research社製のFLEA)によって撮像される。そして、カメラ24が撮像取得した画像データは、所定のデータ送信規格(例えば、IEEE1394規格)の伝送ケーブル25を通じて、前述の送信部12に伝送される。このように、検査ヘッド11は、その全周囲方向の鋼管内部を同時に撮影し、効率的な錆判定を実現することが可能となっている。
【0047】
なお、光源21aおよび光源21bとカメラ24との間には、PC14がこれら光源の照明動作を制御するための照明制御ケーブル26が接続されている。また、支持部27は、検査ヘッド11を鋼管内部で移動させる際に、鋼管径方向における検査ヘッド11の位置を鋼管軸中心付近に保ちながら、検査ヘッド11を鋼管内部で滑らかに移動させるための補助的な弾力部材である。
【0048】
このようにして検査ヘッド11によって撮像取得された鋼管内壁の画像データは、送信部12の機能によって所定のデータ形式に変換されたうえで受信部13に送信される。受信部13にて受信された画像データはPC14に取り込まれ、PC14の演算機能によってデータ処理ないしデータ記録がなされる。なお、本明細書における鋼面の画像データとは、静止画データであってもよいし、動画データであってもよい。動画データを採用する場合であれば、静止画データと比較して、よりリアルタイムの錆判定が可能となる一方、演算処理の負担は大きくなる。
【0049】
〔2.鋼管錆検査システムの動作フロー〕
次に、鋼管錆検査システム1が、本発明の異常判定方法を実行する動作について説明する。 図3は、鋼管錆検査システム1の動作フロー例を示すフローチャートである。このフローは、S31(ステップ31の略記である。以下同じ)〜S39からなる9段階の処理から構成されている。
【0050】
S31〜S34は、検査ヘッド11のカメラ24が鋼管内壁を撮像するときの露光量をあらかじめ調整するための処理である。すなわち、基準光源によって露光量調整の基準となる光を鋼管内壁に照射し(S31)、その反射光からなる鋼面画像をカメラ24で全方位撮像する(S32)。そして、撮像した画像データがPC14に取り込まれ、PC14の演算装置またはPC14の利用者の指示に応じて、撮像された鋼面範囲のうち、錆の発生状態を判定すべき領域が指定される(S33)。この領域指定に応じて、PC14は、S33で指定された指定領域の画像状態を解析し、その指定領域における露光量を適切なものとするような制御指示信号をカメラ24に送信し、カメラ24に露光調整を実行させる(S34)。
【0051】
なお、鋼管錆検査システム1の検査ヘッド11は、前述のとおり、異なる波長域を有する複数の光を照射するための複数の光源21a・21bを備えているので、いずれの光源光を照射した場合であっても、S33で指定された指定領域の露光状態が良好となるよう、これら光源をS31の基準光源として順次切り換え使用しながら、S31〜S34の各処理を繰り返す。なお、鋼管内部のように暗い撮像環境では被写界深度が浅くなり、ピントのぼけた状態が撮像中心から拡がりやすいので、レンズの絞りをやや開放としたり、カメラのシャッタースピードを遅くしたりして、できるだけ明るい撮像状態としておくことが好ましい。
【0052】
次に、S35〜S39は、実際に錆判定すべき鋼管内壁を撮像してから錆判定処理を実行してデータ記録するまでの各処理である。鋼管錆検査システム1の検査ヘッド11は、前述のとおり、異なる波長域を有する複数の光を照射するための2つの光源21a・21bを備えている。すなわち、ある光源(例えば光源21a)によって前記指定領域を含む鋼面を照らしながらカメラ24で撮像する(S35)。撮像処理が完了すれば、光源を他の光源(例えば光源21b)を他の光源に切り換えて(S36)鋼面を照らしながら、カメラ24で撮像する(S37)。S35〜S37の撮像処理を光源21a・21bを切りかえながら実行する。
【0053】
S35〜S37の撮像処理によって得られた画像データはすべてPC14に取り込まれ、PC14の演算処理によって錆の判定処理がなされ(S38)、その判定結果が必要に応じて備え付けの記録媒体(例えばハードディスク)に記録される(S39)。S38における錆判定処理の詳細については後述する。
【0054】
なお、上記の説明では、S35〜S37の撮像処理を、2つの光源21a・21bを切りかえながら実行したが、さらに、鋼管錆検査システム1の検査ヘッド11は、撮像データとして複数色からなる画像データが得られるように、数多くの光源21a・光源21b・・・を組み合わせることが好ましい。ここで、複数色からなる画像データとは、鋼管の表面における錆状態を人間が視覚的に確認できるような複数色表現の画像データのことである。具体的には、画像データをディスプレイなどに表示されたときに、判定対象物の表面において、正常部分と異常部分との区別や異常部分の状態を可視化できるようなマルチカラー表示のものであればよい。
【0055】
このような複数の波長域の選択としては、赤(R)緑(G)青(B)の三原色波長の組み合わせの他、紫外(UV)・緑(G)・赤(R)の組み合わせ、紫外(UV)+白(W)の組み合わせなどが考えられる。なお、白(W)は、赤(R)緑(G)青(B)の三原色波長の合成光とみなすことができる。
【0056】
このような数多くの光源を組み合わせる場合には、図4(S41〜S49はそれぞれS31〜S39に対応)に示すように、鋼面の照射に用いる光源の数に応じた回数だけS46〜S47の処理を繰り返すことになる。
【0057】
なお、以上の動作フローによって、検査ヘッド11のカメラ24が撮像した画像データは、全方位ミラー22の光学特性に起因して所定の画像歪みを生じているので、PC14は、射影変換処理によって、画像データの画像面(入力画像面)の歪みを補正処理し、鋼管内壁を壁面垂直方向から観察したときのような画像面(仮想画面)のデータに変換することが好ましい(図5参照)。
【0058】
〔3.モノクロカメラまたはカラーカメラの使用〕
これまでの説明では、鋼管錆検査システム1のカメラ24としてモノクロ方式のビデオカメラを採用することを前提として、鋼管錆検査システム1のシステム構成ないし動作フローを説明したが、鋼管錆検査システム1のカメラ24としてカラーカメラを利用することもできる。本欄では、モノクロカメラを利用する場合の利点、カラーカメラを利用する場合の利点についてそれぞれ説明する。
【0059】
なお、本欄の説明では、モノクロ方式のビデオカメラとモノクロ方式の静止画カメラとを単に「モノクロカメラ」と総称し、カラー方式のビデオカメラとカラー方式の静止画カメラとを単に「カラーカメラ」と総称する。
【0060】
モノクロカメラは、一般的に広い範囲の波長に対して感度を有しているので、光源21aおよび光源21bを構成するLEDの発光波長域が狭いことをそのまま利用して、マルチスペクトル解析に利用することができる。
【0061】
図6は、異なる発光波長域を有する3種類のLEDの発光(図中左側)を、広範囲の分光感度特性(図中央)を有するモノクロカメラで撮像した場合、そのモノクロカメラの受光感度はどのようになるのか(図中右側)を示すグラフである。同図のグラフはすべて、その縦軸が光の強度、その横軸が波長を示している。同図に示すように、波長のピークが異なりかつ波長の分布が重ならないLEDの発光は、モノクロカメラが受光感度を有する波長領域も異なるものとなっている。
【0062】
鋼管錆検査システム1のカメラ24として、モノクロカメラを採用するときには、光源21aおよび光源21bの各発光を撮像時に識別できるように、これらLED光源の発光波長域を互いに重ならない独立のものとしたうえで、前記S36の光源切り換え処理のように、各光源の発光タイミングをずらすとよい。
【0063】
現在市販されているモノクロカメラの多くは、広い波長範囲で高い感度特性を有しており、赤/緑/青/近紫外いずれの波長を有するLEDの発光であっても検出することができる。特に、赤/緑/青/近紫外の各色LEDを組み合わせて、これらの点灯を切り換えながら撮像処理を行えば、各色LEDを点灯させたときの撮像データを合成してカラー画像を作成することができる。自然なカラー画像を合成するためには、LED群の発光が全体として白色か疑似白色光源となるように、切り換え点灯する各色LEDを組み合わせることが好ましい。また、周知のホワイトバランス処理を施して、各色LEDを点灯させたときの撮像画像データを輝度調整することによって、より適切なカラー画像を得ることができる。
【0064】
これに対して、カラーカメラは、複数色からなるカラーフィルタを内蔵しており、このカラーフィルタによって検出波長域が制限される。すなわち、カラーカメラの分光感度特性は、カラーフィルタの各色に対応する波長域ごとに分断された状態となっている。したがって、カラーカメラは広い発光帯域を有する光源のスペクトル解析には適していないが、カラーフィルタの各色に対応する各波長域におさまる狭い発光波長域を有するLED光源を選択して用いれば、マルチスペクトル解析に利用することができる(図7参照)。
鋼管錆検査システム1のカメラ24としてモノクロカメラを採用する場合には、複数の狭帯域光源を切り換えながら鋼管の内壁を照射して撮像する必要があるのに対して(図8参照)、鋼管錆検査システム1のカメラ24としてカラーカメラを採用する場合には、複数の狭帯域光源で同時に鋼管面を照射しながら撮像することができる(図9参照)。
【0065】
モノクロカメラには、カラーフィルタがないので検出の感度が高くノイズが少ないという利点がある一方、カラーカメラには、光源の切換が不要なので短時間での撮像ないし検査が可能となるという利点がある。すなわち、カラーカメラを採用する場合には、複数の光(第1の光、第2の光、・・・)の照射ないしこれらの反射光の検出を並列して行うことができるので、これら動作を順次行う場合と比較して、処理に要する時間を短縮することができる。なお、カラーカメラで撮像する場合には、撮像画像データに周知のガンマ補正処理を施すことも好ましい。
【0066】
〔4.錆領域の判定〕
次に、鋼管錆検査システム1が鋼面の反射光画像データに基づいて錆判定を実行する原理ないし手順について説明する(図3のS38参照)。
【0067】
(4−1.錆領域の反射率)
本発明者らは、鋼面に錆が発生すると、その錆発生領域では、特に波長が500nm以下の光を照射した場合の反射率が大幅に減小すること、すなわち、錆のスペクトル解析を行うためには500nmが特徴的な波長となることを見出した。
【0068】
図10は、実際の鋼面に錆が生じると、反射率の波長依存性がどのように変化するのか実験した結果を示すグラフである。同図のグラフにおいて縦軸は反射率の強度を示し、横軸は照射光の波長(nm)を示している。このグラフでは、反射光の強度の規格化によって、錆が生じていない鋼面の反射率の波長依存性を見かけ上なくしている。図10のグラフによれば、錆が生じている鋼面の反射率は、錆が生じていない鋼面の反射率と比較して、照射光の全波長域において反射率が低くなっている。そして、錆が生じている鋼面の反射率と錆が生じていない鋼面の反射率との差、すなわち錆の発生による反射率の低下量は、600nm以下の波長領域では波長が短くなるほど大きくなり、500nm以下の波長領域では最大レベルとなっている。すなわち、鋼面に錆が発生すると、錆の反射・吸収特性および錆の表面特性の変化によって、600nm以下、特に500nm以下の波長領域における反射率が大幅に低下することがわかる。この現象は、錆の主成分である酸化鉄の反射・吸収特性が500nm程度を境として大きく変化することと、錆の形成ないし浸食によって鋼面が粗面となってくるので、特に短波長領域において反射光が拡散的になることが原因である。
【0069】
なお、図10の広い波長域において鋼面の反射率を測定するために、波長の異なる2種類の光源を用いた。具体的には、短波長側の光源として、図11に示す発光スペクトルを有する紫外線LEDを用い、長波長側の光源として、図12に示す発光スペクトルを有するタングステンハロゲンランプを用いて、鋼面の反射率を測定した。
【0070】
(4−2.錆判定処理の詳細)
鋼管錆検査システム1は、上記のような、鋼面の錆発生の有無により特に短波長領域の鋼面反射率が大きく低下する性質を利用して、鋼管内壁の錆を高感度に検出するものである。 具体的には、検査ヘッド11を鋼管内部に挿入して任意の場所まで移動させると、鋼管内部において検査すべき指定領域において、まず光源21aによって波長が500nm以下の照明光(第1の光)をあてながらカメラ24にて撮像し、次に、光源21bによって波長が500nmより大きな照明光(第2の光)をあてながらカメラ24にて撮像する。なお、あらかじめ、光源21aの光を完全拡散面に照射しながら撮像したときの画像データの最大輝度と、光源21bの光を完全拡散面に照射しながら撮像したときの画像データの最大輝度との比を算出しておき、この比を後述する画素値演算の補正処理に用いることが好ましい。
【0071】
そして、PC14は、光源21aによって波長が500nm以下の照明光で鋼面を照らしながらカメラ24にて撮像したときの画像データの各画素と、光源21bによって波長が500nmより大きな照明光(第2の光)で鋼面を照らしながらカメラ24にて撮像したときの画像データの各画素との間で対応する各画素の画素値の比を算出する。これら画像データの画素値は、画像の輝度を反映しているので、上記の算出処理は、光源21aを点灯させたときの反射光強度と光源21bを点灯させたときの反射光強度との比を算出することに相当している。
【0072】
PC14は、算出した画素値の比(反射光の強度)を所定の閾値と比較することによって、撮像された鋼面において錆の発生している領域と錆の発生していない領域とを識別する。上記の閾値として設定すべき適正値は使用光源のスペクトル特性などに依存するので、この閾値を定めるためには、錆が目視確認できる鋼面サンプルを撮像しながら適切な錆領域の判定結果が得られるように閾値を調節するとよい。また、閾値は一つだけでなく、二つ以上設けてもよい。適切な二以上の閾値を設定することによって、単に、錆が発生しているか否かの判定だけでなく、さらに、発生している錆の種類(例えば、白錆、赤錆など)を識別することも可能とある。例えば、上記の閾値としてTH1およびTH2を設定し(TH1<TH2)、画素値の比RがR<TH1のときは「赤錆の発生あり」と判定し、画素値の比RがTH1<=R<TH2のときは「錆の発生なし」と判定し、画素値の比RがTH2<=Rのときは「白錆の発生あり」と判定することができる。
【0073】
上記の構成によれば、光照射段階にて同一の鋼面照射された異なる波長域を有する複数の光が、検出段階にて前記鋼面の画像データとして検出され、錆判定段階にて前記画像データにおいて、各反射光の強度が算出され、この強度を所定の閾値と比較することによって、前記鋼面における錆が判定される。
【0074】
すなわち、本発明に係る異常判定方法では、反射光画像の色情報に基づく錆判定ではなく、異なる複数の波長領域の反射光情報を用いるマルチスペクトル解析に基づく錆判定を行うので、その原理上、人間の目では色識別できないような錆であっても的確に検出することが可能となる。すなわち、マルチスペクトル解析では、撮像系への入射光についての情報を、光の連続的なスペクトル分布の情報として得るので、等色関数による積分操作が行われた後の三属性の値(三刺激値)として得る色情報解析と比較して、得られる入射光の情報量ないし特徴量が格段に多くなる。これにより、本発明に係る異常判定方法によれば、等色関数の成立による影響を受けることなく、的確な錆判定を実現することが可能となる。
【0075】
本発明に含まれる異常判定手法は、原理的に、大きく2つの態様に纏められる。
【0076】
表面異常判定における第1の手法を概念的に示したのが図13である。同図のグラフにおいて、横軸は波長を示し、縦軸は光の強度を示している。同図に示すように、第1の手法では、400nm近傍の波長域を有する強度I(400)の入射光を鋼面に照射し、この反射光を画像データとして検出する。そして、この画像データにおいて、400nm近傍の波長域における反射光の強度Iso(400)とIMo(400)とを算出し、この強度Iso(400)とIMo(400)との違いに基づいて、表面における錆部(SO)と非錆部(MO)とを判定する。
【0077】
表面異常判定における第2の手法を概念的に示したのが図14である。同図のグラフにおいて、横軸は波長を示し、縦軸は光の強度を示している。同図に示すように、400nm近傍の波長域を有する強度I(400)の入射光と、600nm近傍の波長域を有する強度I(600)の入射光とを鋼面に照射し、この反射光を画像データとして検出する。そして、この画像データにおいて、各波長域において算出した反射光の強度Iso(400),IMo(400),Iso(600),IMo(600)を算出し、これら強度の値に基づいて、例えばIso(600)/Iso(400)とIMo(600)/IMo(400)との違いに基づいて、表面における錆部(SO)と非錆部(MO)とを判定する。なお、上記のように、各波長域間における出射光の強度の違いに基づいて錆判定領域を的確に行うためには、あらかじめ入射光の強度I(400)と入射光の強度I(600)とが釣り合うように入射光の強度を校正しておく必要がある。
なお、入射光の強度に対する反射光の強度の比に基づいて表面における異常状態を判定する場合には、光源や光検出手段を備える検査ヘッドと判定対象物の表面との距離が所定値に固定されていない場合であっても比の値の変動が小さいので、煩雑な照明条件の調整等を必要とせず、安定的な異常判定を実現することができる。
【0078】
実際、本発明者らが鋼管錆検査システム1を試作実験したところ、検査ヘッド11と鋼管内壁との距離や光源21aおよび光源21bの光強度を変化させても、錆領域の判定結果に大きな影響は生じなかった。参考までに示しておけば、図15は、試作実験の際に用いた表面に錆を含む鋼管サンプルの写真画像、図16は、図15に示した鋼管サンプルにおいて、光源21aを点灯させたときの反射光強度と光源21bを点灯させたときの反射光強度との比を実際に算出した結果を多値画像表示させたものである。なお、図16の画像は、射影変換処理前のものなので、前述の全方位ミラー22の光学特性に起因して所定の画像歪みを生じている。
【0079】
さらに、鋼管錆検査システム1は、前記錆判定段階において、前記鋼面の画像データにおける錆領域の面積値を算出し、この面積値に基づいて、前記鋼面における錆の発生レベルを判定することが好ましい。
【0080】
上記の構成によれば、鋼面の錆発生が進行して次第に錆領域が拡がっていく事情に対応して、鋼面の画像データにおける錆領域の面積値(または錆領域の面積が全画像面積中で占める比率)が算出され、この面積値を所定の閾値と比較するなどの手法によって鋼面における錆の発生レベルが判定される。これにより、単に鋼面における錆の有無だけではなく、その面積に応じた錆の発生ないし進行レベルを的確に判定することができる。
【0081】
すなわち、鋼管錆検査システム1は、特定した錆領域の面積値ないし画像中で占める面積比率が大きいものほど、腐食が進んでいる重度の錆が発生していると判定する。この錆発生レベルの判定には、特定した錆領域の面積値ないし画像中で占める面積比率に加え、適宜、前述の錆の種類情報を組み合わせて用いてもよい。例えば、大面積の赤錆が発生しているときには、極めて重度の錆発生であると判定するのに対して、小面積の白錆が発生しているときには、極めて軽度の錆発生であると判定する。
【0082】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る異常判定方法は、鋼面や土管の表面などの各種表面における錆や劣化などの判定に広く適用できる。特に、鉄塔材に用いられる鋼管の内壁面などの広領域面における錆発生の自動判定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る異常判定方法の一実施形態を実行する鋼管錆検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】検査ヘッドの構成例を示す説明図である。
【図3】鋼管錆検査システムの動作フロー例を示すフローチャートである。
【図4】鋼管錆検査システムの他の動作フロー例を示すフローチャートである。
【図5】射影変換処理の概要を示す概念図である。
【図6】異なる発光波長域を有する3種類のLEDの発光を、広範囲の分光感度特性を有するモノクロカメラで撮像した場合、そのモノクロカメラの受光感度はどのようになるのかを示すグラフである。
【図7】異なる発光波長域を有する3種類のLEDの発光を、カラーフィルタを備えるカラーカメラで撮像した場合、そのモノクロカメラの受光感度はどのようになるのかを示すグラフである。
【図8】複数の狭帯域光源を切り換えながら鋼管面を照射してモノクロカメラで撮像する様子を示す図である。
【図9】複数の狭帯域光源で鋼管面を同時に照射しながらカラーカメラで撮像する様子を示す図である。
【図10】実際の鋼面に錆が生じると、反射率の波長依存性がどのように変化するのかを示すグラフである。
【図11】紫外線LEDの発光スペクトルを示すグラフである。
【図12】タングステンハロゲンランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図13】表面異常判定における第1の手法を概念的に示すグラフである。
【図14】表面異常判定における第2の手法を概念的に示すグラフである。
【図15】表面に錆を含む鋼管サンプルの写真画像である。
【図16】上記鋼管サンプルに異なる波長域を有する複数の光を照射し、各反射光の強度を算出した結果を示す多値画像である。
【符号の説明】
【0085】
1 鋼管錆検査システム
10 鋼管
11 検査ヘッド
12 送信部
13 受信部
14 パーソナルコンピュータ (PC)
15 電源ユニット
20 透明カバー
21a 光源
21b 光源
22 全方位ミラー
23 レンズ
24 カメラ
25 伝送ケーブル
26 照明制御ケーブル
27 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長域を有する光を表面に照射する光照射段階と、
前記光の反射光を前記表面の画像データとして検出する検出段階と、
前記表面の画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度を算出し、この強度に基づいて前記表面における異常状態を判定する異常判定段階とを備えることを特徴とする表面異常判定方法。
【請求項2】
前記光照射段階における特定の波長域は、互いに異なる複数の波長域であって、
前記異常判定段階では、各波長域において算出した反射光の強度に基づいて前記表面における異常状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の表面異常判定方法。
【請求項3】
前記光照射段階では、互いに異なる波長域を有する光を順次切り替えながら照射することを特徴とする請求項2に記載の表面異常判定方法。
【請求項4】
前記表面の画像データとして複数色からなる画像データが得られるように、前記光照射段階における複数の波長域を選択することを特徴とする請求項2または3に記載の表面異常判定方法。
【請求項5】
前記異常判定段階では、前記表面の画像データにおける異常領域の面積値を算出し、この面積値に基づいて、前記表面における異常状態の異常レベルを判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表面異常判定方法。
【請求項6】
前記表面は鋼面であって、
前記異常判定段階では、前記鋼面における錆状態を異常状態として判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表面異常判定方法。
【請求項7】
前記光照射段階における特定の波長域は、互いに異なる複数の波長域であって、
500nm以下の第1の波長域と、500nmより大きい第2の波長域とを含むことを特徴とする請求項6に記載の表面異常判定方法。
【請求項8】
前記第2の波長域は、600nm以上であることを特徴とする請求項7に記載の表面異常判定方法。
【請求項9】
前記鋼面は、送電用鋼管鉄塔の内壁面であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の表面異常判定方法。
【請求項10】
特定の波長域を有する光を表面に照射する光照射部と、
前記光の反射光を前記表面の画像データとして検出する検出部と、
前記表面の画像データにおいて、前記特定の波長域における反射光の強度を算出し、この強度に基づいて前記表面における異常を判定する異常判定部とを備えることを特徴とする表面異常判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−212364(P2007−212364A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34508(P2006−34508)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【出願人】(501410779)九州電技開発株式会社 (8)
【Fターム(参考)】