説明

表面音響波の速度の電界制御

【課題】SAW装置内にて固体表面における表面音響波の音響速度を制御することにより、中心周波数を制御する装置を提供する。
【解決手段】装置100は、表面音響波(「SAW」)装置102、直流バイアス電圧源104、基板106、電極108、圧電層110、電極112、入力変換器114及び出力変換器116を備えている。直流バイアス電圧源104により、電極108と電極112との間に直流バイアス電圧を印加し、表面音響波の音響速度を制御する電界を圧電層110内に形成することにより、SAW装置102の中心周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 本発明は、全体として、表面音響波デバイス(surface acoustic wave devices)、より具体的には、表面音響波デバイス内の音響速度を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
[02] 既知の表面音響波(「SAW」)装置は、圧電性質を有する固体の表面にて互いに隔てられた入力及び出力指間電極(interdigital transducers)(IDTs)をしばしば利用する。1つの実施の形態において、固体は、石英のような圧電材料の単結晶を備えている。別の例において、固体は、その幾つかを非圧電単結晶基板に堆積させた、圧電性である1つ又はそれ以上の薄膜を備えている。入力IDTは、入力電気信号をSAW装置内にて表面音響波に変換する。表面音響波は、固体の表面に沿って出力IDTまで伝搬する。出力IDTは、表面音響波を出力電気信号に変換する。固体の表面に沿った伝搬路は、表面音響波に対する遅延路として作用する。表面音響波が入力IDTから出力IDTまで移動するには、ある長さの時間がかかる。時間の程度は、固体の材料の性質及び入力IDTと出力IDTとの間の音響路の長さに依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[03] SAW装置の中央周波数はIDTの幾何学的形態に基づく。固体及びIDTが形成され且つSAW装置内に一体化された後、SAW装置の中央周波数は一定とされる。異なる中央周波数を有するSAW装置を製造するため、設計者は、SAW装置に対する異なる固体材料の形態又は異なるIDTの幾何学的形態何れかを選ぶことができる。1つの実施例において、設計者は、SAW装置の中央周波数を変化させるべく異なる音響速度を有する圧電結晶を選ぶことができる。別の実施例において、設計者は、SAW装置の中央周波数を変化させるべく圧電層にてIDTにおける幾何学的形態を変更することができる。1つの短所として、かかるSAW装置の中央周波数は、製造時に一定のものとされる。先行の試みにおいて、SAW装置の周波数を予め同調する能力は制限されている。
[04] このように、SAW装置内にて固体表面における表面音響波の音響速度の制御を改良することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[05] 本発明は、1つの実施の形態において装置を対象とする。該装置は、圧電層と、圧電層の第一の側部に沿った第一の電極と、圧電層の第二の側部に沿った第二の電極とを備えている。第一及び第二の電極は、バイアス電圧を受け取って表面音響波の音響速度を制御する電界を圧電層内に形成し得るようにされている。
[06] 本発明の別の実施の形態は方法を対象とする。表面音響波は圧電層を備える固体内に導入される。バイアス電圧が圧電層の第一の側部に沿った第一の電極と圧電層の第二の側部に沿った第二の電極との間に印加され表面音響波の音響速度を制御する電界を圧電層内に形成する。
[07] 本発明の更に別の実施の形態は方法を対象とする。圧電半導体材料の第一の層が基板上に導電性であるように形成される。圧電半導体材料の第二の層が第一の層上に絶縁性であるように形成される。圧電半導体材料の第三の層が第二の層上に導電性であるように形成される。入力変換器が表面音響波を導入し得るよう第三の層上に配置される。電気路がバイアス電圧源と第一及び第三の層との間に提供され、圧電表面音響波の音響速度を制御する電界を第二の層内に形成する。
[08] 本発明の実施の形態の特徴は、以下の説明、請求の範囲及び添付図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
[16] 図1を参照すると、1つの実施例における装置100は、表面音響波(「SAW」)装置102と、直流(「DC」)バイアス電圧源104とを備えている。1つの実施例におけるSAW装置102は、基板106と、電極108と、圧電層110と、電極112と、入力変換器114と、出力変換器116とを備えている。直流バイアス電圧源104は、電極108と電極112との間に直流バイアス電圧を提供し、圧電層110内に電界を形成する。1つの実施例における上側電極112は変換器と同一の平均電圧に維持され、このため装置の頂面を亙る電位はほぼ均一な電位を有する。電極108、112は、圧電層110を均一に電界バイアスさせる。電界が圧電効果を通して圧電層110の材料の特性を乱す一方、これは、波の伝搬物理学を変更して1つの実施例において、電界とバイアスされていない音響速度からの偏倚との間にてほぼ直線状の関係となるため、表面音響波の音響速度を制御すべく電界が採用可能である。このため、電界を採用してSAW装置102の中央周波数を同調させることができる。SAW装置102は、SAWフィルタ、SAW共振器、SAW遅延線又は同様のものを備えることができる。
[17] 基板106は、薄い単結晶膜を形成する表面を提供する作用を果たす。例えば、基板106は、圧電層110及び電極108、112を支持する。1つの実施例において、当該技術分野の当業者に理解されるように、1つ又はそれ以上の中間層を基板106と電極108との間に配置して、基板層106における電極108の成長を促進することができる。1つの実施例において、基板106は、c面サファイアのような音響速度が速く且つ低損失である結晶を備えている。別の実施例において、基板106は、炭化ケイ素を備えることができる。基板106の寸法は、選ばれた材料及び(又は)所期の用途に基づいて変更可能である。1つの実施例において、基板106は、40ないし500μmの厚いc面サファイア基板層を備えている。
[18] 圧電層110は、IDTと共に作用して電力と音響パワーとの間で変換を行い、このため、IDTは、表面音響波を発生させ且つ検出することができる。例えば、当該技術分野の当業者により理解されるように、SAW装置102が作用する間、電気信号が入力変換器114に印加され、これによって表面音響波はSAW装置102内を伝搬する。出力変換器116は、その後、当該技術分野の当業者により理解されるように、伝搬した表面音響波を出力電気信号に変換する。1つの実施例における圧電層110は、窒化ガリウム又は窒化アルミニウムのような半導体及び圧電性質の双方を有する材料を備えている。圧電層110の厚さは、選ばれた材料及び所期の用途に基づいて変更することができる。例えば、圧電層110の厚さは、0.1ないし10μmの範囲とすることができる。1つの実施例において、圧電層110は1μmの厚い窒化ガリウム層を備えている。1つの実施例における圧電層110は、ドーピングせずに堆積させ、このため該圧電層は実質的に絶縁性である。1つの実施例において、圧電層110は、約1×10^10オーム/スクエア以上のシート抵抗率を有する。1つの実施例における圧電層110の抵抗率は、電極108、112の抵抗率よりも少なくとも10倍大きい。
[19] 電極108、112は、圧電層110の側部に沿って配置されている。例えば、電極108は、圧電層110の第一の側部に沿って配置され、電極112は、圧電層110の第二の側部に沿って配置される。1つの実施例において、電極108、112は圧電層110の頂面及び底面のような圧電層110の両側部に沿って配置されている。1つの実施例において、電極108、112は圧電層と当接する。別の実施例において、1つ又はそれ以上の他方の層は電極108、112と圧電層110との間に配置されている。
[20] 1つの実施例において、電極108、112は、窒化ガリウム又は窒化アルミニウムの僅かに導電性のドープした層を備えている。電極108、112の寸法は、選ばれた材料及び所期の用途に基づいて変更可能である。例えば、電極108、112の厚さは、0.05ないし2μmの範囲とすることができる。1つの実施例において、電極108、112の各々は、1000オングストロームの厚さの僅かにドープした窒化ガリウム層を備えている。1つの実施例における電極108、112は、実質的に絶縁性である一方、直流バイアス電圧を受け取ると共に、圧電層110内にて電界を発生させるのに十分な導電率を有する。この実施例において電極108、112は、直流バイアス電圧を受け取るのに十分導電性である一方、電極112は、入力変換器114及び出力変換器116の内部にて隣接する指状体の間の短絡を防止するのに十分絶縁性である。また、この例において、電極108、112の抵抗率は、波の電界により流れるよう誘発された電流に起因する顕著なSAW伝搬損失を防止するのに十分大きくなければならない。1つの実施例における電極108、112の抵抗率レベルは、電極108、112に添加されるドーパントの量によって制御される。1つの実施例において、電極108、112の原材料は、電極108、112の抵抗率を低下させるべくドーパントが添加される前に実質的に絶縁性である。1つの実施例において、電極108、112の抵抗率は、圧電層110の抵抗率よりも少なくとも10倍低い。1つの実施例において、電極108、112は、約1×10^8オーム/スクエアのシート抵抗率を備えている。
[21] 1つの形態において、電極108、112は、同一のシート抵抗率を有する。1つの代替的な形態において、電極112は、約1×10^8オーム/スクエアのシート抵抗率を有する一方、電極108はより導電性である。この形態において、電極108の抵抗率は、波の電界により誘発された電流の抵抗損失を通じて過剰な伝搬損失を防止するのに十分低い。例えば、この形態における電極108は1×10^4オーム/スクエア以下のシート抵抗率を有する。別の形態において、電極108は、金属又はその他の導電性材料の層を備えている。
[22] 電極108、112は、SAW装置102の中央周波数を同調させるべく圧電層110内に電界を発生させる作用を果たす。圧電層110の圧電性質のため、圧電層110は、電界を機械的歪みに変換する。このため、電界が圧電層110に印加されたとき、圧電層110の形状は変化し、このことは、圧電層110の機械的性質、圧電性質及び誘電性質を変化させることになる。一方、これらの圧電層の性質の変化は表面音響波の速度の変化を引き起こす。表面音響波の音響速度を制御することにより、SAW装置102の中央周波数を制御することができる。
[23] 1つの実施例において電極108、112により形成された電界は、圧電層110の表面に対して実質的に垂直である。印加された電界の方向に依存して、表面音響波の音響速度は、基準速度から増大又は減少させることができる。電極108、112が同一の電圧レベルにあるとき、表面音響波の音響速度は基準速度にある。例えば、当該技術分野の当業者に理解されるように、基準速度は、圧電層110、電極108、112のようなその他の薄膜層、基板106の材料の性質によって決定される。電極108、112の第一の電極が電極108、112の第二の電極における電圧レベルよりも高い電圧レベルにあるとき、電界は電極108、112の第一の電極から電極108、112の第二の電極に向けられ、表面音響波の音響速度は基準速度よりも速い。電極108、112の第一の電極が電極108、112の第二の電極における電圧レベルよりも低い電圧レベルにあるとき、電界が電極108、112の第二の電極から電極108、112の第一の電極に向けられ、表面音響波の音響速度は基準速度よりも低い。
[24] 当該技術分野にて既知であるように、圧電材料は第一の極性と、第二の極性とを備え、第一の極性は第二の極性の逆である。1つの実施例における圧電層110の極性は、基板108上に堆積させたときの圧電層の結晶方位に基づく。例えば、第一の電極にて圧電層の第一の極性に対し第二の電極よりも高い電圧レベルを印加することは、第二の電極にて圧電層の第二の極性に対し第一の電極よりも高い電圧レベルを印加することと実質的に等価的である。また、当該技術分野の当業者により理解されるように、第二の電極にて圧電層の第一の極性に対し第一の電極よりも高い電圧レベルを印加することは、第一の電極にて圧電層の第二の極性に対する第二の電極よりも高い電圧レベルを印加することと実質的に等価的である。
[25] 表面音響波の音響速度が電界によって改変されるとき、SAW装置102の中央周波数も改変される。1つの実施例において、電極108から電極112に向けられた電界は、SAW装置102の中央周波数を増大させる一方、電極112から電極108に向けられた電界は、SAW装置102の中央周波数を減少させるであろう。別の実施例において、電極108から電極112に向けられた電界は、SAW装置102の中央周波数を減少させる一方、電極112から電極108に向けられた電界は、SAW装置102の中央周波数を増大させるであろう。
[26] 1つの実施例におけるSAW装置102は、SAW共振器を形成する1つ又はそれ以上の溝反射器を備えている。例えば、溝反射器は、表面音響波に対する表面音響波共振キャビティを形成する。電極108、112は、直流バイアス電圧を受け取ってSAW共振器の中央周波数を制御する電界を圧電層110内に形成し得るようにされている。電極108又は電極112にて受け取った直流バイアス電圧を変化させる結果、圧電層110内の電界の強度が変化し、また、SAW共振器の中央周波数が変化する。
[27] 図2を参照すると、別の実施例におけるSAW装置102は、基板106と、入力変換器114と、出力変換器116と、第一の電極積層体202と、第二の電極積層体204と、積層体絶縁体26とを備えている。1つの実施例における第一及び第二の電極積層体202、204の各々は、電極108と、圧電層110と、電極112とを備えている。1つの実施の形態において、図1の圧電層110は、2つの部分、例えば、第一の電極積層体202及び第二の電極積層体204の2つの圧電層110に分割される。1つの実施の形態における第一の電極積層体202は、基板106の上に形成される。1つの実施の形態における積層体絶縁体206は、第一の電極積層体202の頂部と、第一の電極積層体202と第二の電極積層体204との間に形成される。1つの実施の形態において、第一の電極積層体202の圧電層110及び第二の電極積層体204の圧電層110は、同一の結晶方位又は極性を備えている。1つの実施の形態において入力変換器114及び出力変換器116は第二の電極積層体204の頂部に形成される。1つの実施の形態において、1つの実施の形態における第一の電極積層体202の電極108、112及び第二の電極積層体204の電極108は、1つ又はそれ以上の通路構造体(例えば、図3に示した通路304)により直流バイアス電圧源104と結合される。
[28] 1つの実施の形態において電極積層体202、204の圧電層110は、各々約1.0μm、又は約0.5μmである組み合わせた厚さを備えている。1つの実施の形態における積層体絶縁体206は、実質的に非圧電の絶縁性材料を備えている。別の実施例において、積層体絶縁体206は、電極108、112よりも弱い圧電効果を有する。1つの実施の形態における積層体絶縁体206は、第一の電極積層体202の電極112を第二の電極積層体204の電極108から絶縁する作用を果たす。当該技術分野の当業者が選ぶことのできる積層体絶縁体206に対する材料の例は、窒化材料を備えている。
[29] 図2を参照すると、1つの実施例において第一の電極積層体202及び第二の電極積層体204を有する実施例は、図1の実施例と比較して同様の電界強度に対して低い直流バイアス電圧を有する。例えば、第一の電極積層体202及び第二の電極積層体204の圧電層110が各々0.5μmの厚さを有する場合、バイアス電圧は、厚さ1.0μmの単一の圧電層110のバイアス電圧の約1/2である。更なる実施例において、バイアス電圧を減少させるため複数の電極積層体が形成されている。
[30] 図1又は図2の実施の形態において、単に説明の目的にのみ、電気的に同調可能なSAW装置102を形成するのに利用可能な1つの方法について以下に説明する。1つの実施例において、層108、110、112は、基板106の上に共に一体的な層として形成される。例えば、層108、110、112は、基板106の上に薄膜として堆積される。1つの実施例において層108、110、112は、分子線エピタキシーによって基板106の上に単一の一体的結晶として形成される。1つの実施例において、層108、110、112を単一の一体化した結晶として形成する結果、強力な圧電レベルを有する圧電層が形成される。分子線エピタキシーマシンは、当該技術の当業者に理解されるように、薄膜が堆積されるとき基材料(例えば、窒化ガリウム)に添加されたドーパントの量を調節することを許容する。窒化ガリウムのような材料は、圧電性で且つ半導性である。このため、これらの材料は、圧電性を活用し得るように極めて絶縁性であるか又は電極として作用するよう部分的に導電性であるように制御することができる。
[31] 基層106上に堆積すべき第一の層は電極108である。1つの実施例において、層108、110、112は、窒化ガリウム層である。非ドープ窒化ガリウムは実質的に絶縁性材料である。電極108の導電率を増大させるため、分子線エピタキシーマシンは、電極108が堆積されている間、窒化ガリウムに対し僅かなレベルのドーピングを追加し得るよう設定される。電極108に対し窒化ガリウムに追加されるドーパントの量は、電極108をバイアス電圧を受け取るのに十分に導電性にすると共に、電界を圧電層110内に形成するのに十分なものとする。僅かにドープした窒化ガリウムは、所望の厚さの僅かに導電性の電極を実現し得るように基層106に堆積させる。1つの実施例において、電極108の厚さは1000オングストロームである。
[32] 電極108が基板106上に形成された後、分子線エピタキシーマシンの追加したドーパントのレベルは減少する。1つの実施例において、分子線エピタキシーマシンは、圧電層110が堆積されている間、窒化ガリウムにドーパントが追加されないよう設定される。次に、ドーパント無しの窒化ガリウムを電極108上に堆積させ、所望の厚さの絶縁層を実現する。1つの実施例において、圧電層110の厚さは1μmである。
[33] 圧電層110が電極108上に形成された後、分子線エピタキシーマシンを再度調節して窒化ガリウムに対して僅かなレベルのドーパントを提供するようにする。1つの実施例において、電極112を形成するため使用されるドーパントのレベルは、電極108に対して使用されるものと同一レベルのドーパントに設定することができる。別の実施例において、電極108、112のドーパントのレベルは、異なるものとすることができる。電極112に対し窒化ガリウムに追加されるドーパントの量は、入力変換器114及び出力変換器116内にて隣接する指状体の間の短絡を防止するのに十分絶縁性であり、また、波の電界により誘発された電流の抵抗率損失を通じて表面音響波を減衰させないように十分絶縁性である一方、電極112をバイアス電圧を受け取り且つ電界を圧電層110内に形成するのに十分、導電性とするのに十分であるものとする。1つの実施例において、電極112の厚さは1000オングストロームである。
[34] 図2の実施例において、次に、積層体絶縁体206を電極積層体202の電極112上に堆積させる。次に、電極積層体204(例えば、電極108の別の例の場合、圧電層110、電極112)を積層体絶縁体206の頂部に形成する。追加的な電極積層体をそれぞれの積層体絶縁体が互いの間に配置された状態にて追加することができる。1つの実施例における積層体絶縁体206は、圧電層110よりも実質的に低い圧電率の結晶層を備えている。
[35] 層108、110、112(図1)又は複数の電極積層体202、204及び積層体絶縁体206(図2)が基板106上に形成された後、1つの実施例における入力変換器114及び出力変換器116を当該技術の当業者が理解するように、電極112(又は電極積層体204の電極112)に追加する。1つの実施例において、入力変換器114及び出力変換器116は、指間電極(「IDT」)を備えている。1つの実施例において、入力変換器114及び出力変換器116の各々は、交流極性を有する四分波長幅指状体から成っており、指状体の幅及び空隙の間隔は1μmであり、指の長さは400μmである。また、層108、110、112を形成した後、直流電圧バイアス源104を電極108、112と接続する。例えば、バイアス直流電圧源104と電極108、112との間に電気路が提供される。1つの実施例における通路構造体(例えば、図3の通路304)を使用して電極108との接続を許容する。
[36] 次に、説明の目的のため、SAW装置102を電気的に同調するのに利用可能な1つの方法に関して1つの実施例として説明する。1つの実施例における基準音響速度及びSAW装置の中央周波数は、製造時に一定とされる。SAW装置の基準音響速度は、1つの実施例において、特別な基板と、表面における追加的な薄膜とを備える、選ばれた固体材料の形態の性質である。SAW装置の基準中央周波数は、当該技術の当業者が理解するように、選ばれた固体材料の形態と、選ばれた変換器の形態との関数である。SAW装置102の電界を同調することは、SAW装置102の基準音響速度及び中央周波数を変化させることを許容する作用を果たすことになる。
[37] 1つの実施例における表面音響波はSAW装置102内に導入される。例えば、入力変換器114に印加された電気信号は、SAW装置102内に表面音響波を発生させる。SAW装置102の電界の同調を許容するため、電極108、112は、直流バイアス電圧を受け取って表面音響波の音響速度を制御する電界を圧電層110内に形成する。表面音響波の音響速度の制御は、SAW装置102の中央周波数を制御することになる。バイアス電圧は、圧電層110内の電界を調節することを許容するよう調節可能であり、その結果、SAW装置102の音響速度及び中央周波数が調節されることになる。
[38] 1つの実施例において、表面音響波の音響速度(又はSAW装置102の中央周波数)は、電界を圧電層110に印加する前に測定する。測定した音響速度が所望の音響速度レベルにあるならば、その場合、1つの実施例における電極108、112は電界を圧電層110内に発生させる必要はない。しかし、現在の音響速度が所望の音響速度レベルにないならば、その場合、バイアス電圧を電極108及び(又は)112に印加して電界を圧電層110内に発生させることができる。1つの実施例において、表面音響波の音響速度は、バイアス電圧が電極108及び(又は)112に印加されている間に、測定する。測定した音響速度が所望の音響速度レベルにあるならば、その場合、バイアス電圧の現在のレベルを一定に保って測定した音響速度を維持する。しかし、測定した音響速度が所望の音響速度レベルにないならば、その場合、電極108及び(又は)112に印加されたバイアス電圧を、所望の音響速度レベルが実現される迄、変化させる。
[39] 図3を参照すると、別の形態におけるSAW装置102は、可調節型遅延線302を備えている。図3のSAW装置102は、電極112の1つの代替的な形態としての電極303を示す。この形態における電極303は、アルミニウム又はその他の導電性材料のような金属を備えることができる。通路304は、電極108を直流バイアス電圧源104と接続する。入力変換器114及び出力変換器116は、電極303ではなくて圧電層110の上に配置される(又は図1及び図2に示すように、電極112)。例えば、入力変換器114及び出力変換器116が圧電層110の頂面にて電極303の両側部に配置される。この形態において、電極303は、変換器114、116の間の遅延路内に配置され、また、調節したSAW速度領域は、その領域の上方に変換器を備えていない。図3の電極の形態は、電極108、303に対し広範囲の抵抗率又は導電率を許容し、それは、当該技術の当業者により理解されるように、変換器114、116が電極303の頂部に配置されていないからである。この電極の形態は、またSAWフィルタ、SAW共振器又は同様のもののようなSAW装置102のその他の実施の形態にも適用可能である。
[40] 図4を参照すると、別の形態におけるSAW装置102は、同調可能な共振器402を備えている。同調可能な共振器402は、例えば、溝反射器404のような1つ又はそれ以上の反射器を備えている。溝反射器404は、変換器114、116の両側部にて表面音響波に対する表面音響波共振キャビティを形成する。電極406は電極112の1つの代替的な形態を備えている。この実施例における電極406は溝反射器404の上に薄い金属膜を備えている。溝反射器404及び電極112の下方の圧電層110の一部分は、当該技術の当業者が理解するように、直流バイアス電圧源104によってバイアスされ、同調可能な共振器402の共振周波数を調節する。
[41] 図5を参照すると、更に別の形態におけるSAW装置102は、同調可能な共振器502を備えている。同調可能な共振器502は、例えば、導電性反射器504のような反射器の1つの代替的な形態を備えている。1つの実施例における導電性反射器504は、金属又はその他の導電性材料で出来た反射器を備えている。この実施例において、導電性反射器504は、バイアス電圧を受け取る電極112を備えている。
[42] 図6及び図7を参照すると、別の形態におけるSW装置102は、同調可能なフィルタ602を備えている。1つの実施例における同調可能なフィルタ602は、広帯域幅入力変換器604と、広帯域幅出力変換器606と、複数の溝アレイ608とを備えている。1つの実施例における溝アレイ608は、周波数選択可能な溝アレイを備えている。溝アレイ608は、バイアス電圧を受け取り得るように電極303によって覆われている。広帯域幅入力変換器604は、電気信号を表面音響波に変換し、該表面音響波は、SAW装置102を通って溝アレイ608に向けて進む。1つの実施例における溝アレイ608は、圧電層110に形成される(例えば、エッチングされる)。その後、電極303を溝アレイ608の上に形成する。1つの実施例において、電極303は、溝アレイ608の上に蒸発させた金属を備えている。この例において、金属の蒸発は、圧電層110の表面の上方の1点から向けられ、このため、圧電層110における溝パターンは、電極303の頂部にて複製される。溝アレイ608は、1つ又はそれ以上の経路610、612、614及び(又は)616に沿って選ばれた表面音響波を広帯域幅の出力変換器606に向けて実質的に反射する。当該技術の当業者により理解されるように、電極108、308に対するバイアス電圧を調節することは、反射する溝アレイ、従って同調可能なフィルタ602の中央周波数及び(又は)通過帯域周波数を調節することになろう。
[43] 以下に、説明の目的のため、図3ないし図7の実施の形態におけるSAW装置102を形成するのに利用可能な1つの方法の1つの実施例について説明する。1つの実施例における層108、110は、互いに基板106上に一体的な層として形成される。例えば、層108、110は、基板106上に薄膜として堆積させる。1つの実施例における層108、110は、分子線エピタキシーによって基板106上に単一の一体的な結晶として形成される。層108、110を1つの実施例において単一の一体的な結晶として形成することは、強力な圧電レベルを有する圧電層を製造することになる。分子線エピタキシーマシンは、当該技術の当業者が理解するように、薄膜が堆積されるとき、基材料(例えば、窒化ガリウム)に追加されるドーパントのレベルを調節することを許容する。窒化ガリウムのような材料は、圧電性で且つ半導性である。このため、これらの材料は、圧電性を活用し得るように極めて絶縁性であるか又は電極として作用するよう部分的に導電性であるよう制御することができる。
[44] 基層106上に堆積すべき第一の層は電極108である。1つの実施例において、層108、110は窒化ガリウム層である。非ドープ窒化ガリウムは、実質的に絶縁性材料である。電極108の導電率を向上させるため、分子線エピタキシーマシンは、電極108が堆積されている間、窒化ガリウムに対し僅かなレベルのドーピングを追加し得るよう設定される。電極108に対し窒化ガリウムに追加されるドーパントの量は、電極108がバイアス電圧を受け取ると共に、電界を圧電層110内に形成するのに十分導電性となるようにするのに十分である。この僅かにドープした窒化ガリウムは、基板106に堆積させ、所望の厚さの僅かに導電性電極を実現する。1つの実施例において、電極108の厚さは1000オングストロームである。
[45] 電極108が基板106上に形成された後、分子線エピタキシーマシンの追加されたドーパントのレベルは減少する。1つの実施例において、分子線エピタキシーマシンは、圧電層110が堆積されている間、窒化ガリウムにドーパントが追加されないよう設定される。次に、ドーパント無しの窒化ガリウムを電極108上に堆積させ、所望の厚さの絶縁層を実現する。1つの実施例において、圧電層110の厚さは1μmである。
[46] 圧電層110が電極108上に形成された後、1つの実施例において、溝反射器404が圧電層110(図4、図6及び図7)に形成される。1つの実施例における溝反射器404はイオンフライス削り法又はプラズマエッチング法によって切り込む。次に、電極303、406及び(又は)反射器504に対する金属層を圧電層110(図3及び図5)又は溝反射器404(図4、図6及び図7)上に形成する。1つの実施例における金属層は、金属蒸着法によって形成される。1つの実施例における金属の層の厚さは1000オングストロームである。
[47] 入力及び出力変換器114、116(図3ないし図5)又は1つの実施例において広帯域幅入力及び出力変換器604、606(図6及び図7)が圧電層110に追加される。1つの実施例において、変換器114、116又は604、606は金属蒸着法によって形成される。1つの実施例において、電極303、406、反射器504、変換器114、116又は604、606は、当該技術の当業者により理解されるように、金属蒸着法の1回の工程の間に形成され、SAW装置102を製造するステップ数を減少させる。直流バイアス電圧源104は、電極108、303、406、反射器504及び(又は)変換器114、116、604、606と電気的に結合される。例えば、直流バイアス電圧源104、電極108、303、406、反射器504及び(又は)変換器114、116、604、606の間に電気路が提供される。1つの実施例において、通路304を使用して電極108及び(又は)その他の低レベルな電極との接続を許容する。
[48] 本発明による多数の代替的な実施の形態が存在する。1つの実施例において、電極108は、金属層、パッド又はストリップを備えている。1つの実施例において、電極積層体204(又は最上側電極積層体)は、図3に示したような電極112に対する代替的な形態を備えている。別の実施例における電極積層体202、204は、直流バイアス電圧源104と接続するための1つ又はそれ以上の通路304を備えている。別の実施例において、電極積層体202は第一の電圧源によりバイアスされ、電極積層体204は、第二の電圧源によってバイアスされる。別の実施例における入力変換器114及び出力変換器116は、更なる調節のためバイアスさせることができる。1つの実施例において、変換器114、116は、電極108、112と同一の電圧源からバイアスされる。別の実施例において、電極108、112は、第一の電圧源からバイアスされ、変換器114、116は第二の電圧源からバイアスされる。この実施例において、変換器114、116は、電極108、112よりも高電圧又は低電圧にてバイアスすることができる。例えば、変換器114、116は、電極108、112の電圧の2倍の電圧にてバイアスすることができる。
[49] 本明細書にて説明したステップ又は工程は単に一例にしか過ぎない。本発明の精神から逸脱せずに、これらのステップ又は工程に対し多数の変形例が存在する。例えば、これらのステップは、異なる順序にて実行し又はこれらのステップは追加し、廃止し又は改変することが可能である。
[50] 本発明の一例としての実施の形態を本明細書にて詳細に示し且つ説明したが、当該技術の当業者には、色々な改変例、追加、置換及び同様のものが本発明の精神から逸脱せずに具体化することが可能であり、従って、これらは、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲に属すると見なされることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】表面音響波デバイスと、該表面音響波デバイス内にて2つの電極の間にバイアス電圧を提供して電界を表面音響波デバイスの圧電層内に形成する直流バイアス源とを備える装置の1つの実施の形態を示す図である。
【図2】表面音響波デバイスと、該表面音響波デバイス内にて2つの電極積層体の各々の2つの電極の間にバイアス電圧を提供する直流バイアス源との別の実施の形態を示す図である。
【図3】可調節型遅延線を備える表面音響波デバイスの1つの実施の形態を示す図である。
【図4】同調可能な共振器を備える表面音響波デバイスの1つの実施の形態を示す図である。
【図5】同調可能な共振器を備える表面音響波デバイスの別の実施の形態を示す図である。
【図6】同調可能なフィルタを備える表面音響波デバイスの1つの実施の形態を示す頂面図である。
【図7】図6の同調可能なフィルタを示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置において、
圧電層と、
圧電層の第一の側部に沿った第一の電極と、
圧電層の第二の側部に沿った第二の電極とを備え、
第一及び第二の電極は、バイアス電圧を受け取って表面音響波(surface acoustic wave)の音響速度を制御する電界を圧電層内に形成し得るようにされている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
第一及び第二の電極は圧電層と当接する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
第一の電極と第二の電極との間にて受け取ったバイアス電圧が変化する結果、圧電層内の電界の強度が変化し、また、表面音響波の音響速度が変化する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
第一の電極、圧電層及び第二の電極は、共に基板上に一体的な層として形成され、
第二の電極は基板上に形成され、圧電層は第二の電極上に形成され、第一の電極は圧電層上に形成され、
第一及び第二の電極が同一の電圧レベルにあるとき、表面音響波の音響速度は基準速度にあり、
第一の電極が第二の電極における電圧レベルよりも高い電圧レベルにあるとき、電界は第一の電極から第二の電極に向けられ、表面音響波の音響速度は圧電層の第一の極性に対し基準速度よりも速く且つ、圧電層の第二の極性に対し基準速度よりも遅く、
第一の電極が第二の電極における電圧レベルよりも低い電圧レベルにあるとき、電界は第二の電極から第一の電極に向けられ、表面音響波の音響速度は圧電層の第一の極性に対する基準速度よりも遅く且つ、圧電層の第二の極性に対する基準速度よりも速い、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
圧電層、第一の電極、及び第二の電極は、共に基板上に一体的な層として形成され、
一体的な層は圧電性及び半導体の性質を有する材料を備える、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
第一の電極は、一体的な層の第一の部分に配置され、
第一の部分は導電率が増大するようドープされ、
第二の電極は一体的な層の第二の部分に配置され、
第二の部分は導電率が増大するようドープされ、
圧電層は、第一の電極と第二の電極との間の一体的な層の絶縁性部分内に配置される、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、
材料は、窒化ガリウム又は窒化アルミニウムを備え、基板はサファイア又は炭化ケイ素を備える、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
圧電層、第一の電極、第二の電極は共に基板上に単結晶として形成され、
第一の電極として作用する単結晶の第一の部分は、導電率が増大するようドープされ、
第二の電極として作用する第二の部分は、導電率が増大するようドープされる、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
第一の電極及び第二の電極は、表面音響波を伝搬する表面音響波デバイスの中央周波数を同調させるべく圧電層内に可調節型電界を形成し得るようにされる、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
固体は、圧電層と、第一の電極と、第二の電極とを備え、
入力変換器と、出力変換器とを更に備え、
表面音響波は、固体の表面に沿って入力変換器から出力変換器まで移動する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
入力変換器及び出力変換器は、第一の電極上に配置され、
第一の電極は、バイアス電圧を受け取って圧電層内に電界を形成するのに十分導電性であり、
第一の電極は、入力変換器及び出力変換器の隣接する指状体(fingers)の間における短絡を防止するのに十分絶縁性であり且つ、誘発された電流を通る表面波の減衰程度を減少させるのに十分絶縁性である、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
表面音響波共振器を形成する1つ又はそれ以上の反射器を更に備え、
第一及び第二の電極は、バイアス電圧を受け取って表面音響波共振器の中央周波数を制御する電界を圧電層内に形成し得るようにされる、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
第一の電極と第二の電極との間にて受け取ったバイアス電圧を変化させる結果、圧電層内の電界の強度が変化し且つ、表面音響波共振器の中央周波数が変化する、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、
複数の電極積層体を更に備え、
複数の電極積層体は、第一及び第二の電極積層体を備え、
圧電層は第一の圧電層を備え、
第一の電極積層体は、第一の電極と、第一の圧電層と、第二の電極とを備え、
第二の電極積層体は、第三の電極と、第二の圧電層と、第四の電極とを備え、
第一及び第二の電極は、第一のバイアス電圧を受け取って表面音響波の音響速度を制御する第一の電界を第一の圧電層内に形成し得るようにされ、
第三及び第四の電極は、第二のバイアス電圧を受け取って表面音響波の音響速度を制御する第二の電界を第二の圧電層内に形成し得るようにされる、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、
第一の電極積層体の第二の電極を第二の電極積層体の第三の電極から絶縁する積層体絶縁体を更に備え、
積層体絶縁体は、第一及び第二の圧電層よりも弱い圧電効果を有する、非圧電性の絶縁性材料又は絶縁性の圧電性材料を備える、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、
圧電層上に形成された入力変換器と、出力変換器とを更に備え、
第一の電極は、入力変換器と出力変換器との間にて圧電層上に形成され、
表面音響波は入力変換器から出力変換器まで移動する、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
第一の電極は、圧電層の頂面にて入力変換器と出力変換器との間に形成される、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置において、
第一の電極は導電性材料を備える、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
第二の電極は導電性材料を備える、装置。
【請求項20】
請求項16に記載の装置において、
圧電層、第一の電極、第二の電極、入力変換器及び出力変換器は、可調節型の表面音響波遅延線を形成する、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置において、
圧電層上に形成された1つ又はそれ以上の反射器を更に備え、
1つ又はそれ以上の反射器は、表面音響波に対する音響共振キャビティを形成し、
圧電層の頂面の上及び1つ又はそれ以上の反射器の間に形成された入力変換器と、出力変換器とを備える、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、
1つ又はそれ以上の反射器は、1つ又はそれ以上のエッチング処理した溝型の機械式反射器を備え、
第一の電極は、1つ又はそれ以上のエッチング処理した溝型の機械式反射器上に形成される、装置。
【請求項23】
請求項21に記載の装置において、
1つ又はそれ以上の反射器は、1つ又はそれ以上の導電性反射器を備え、
導電性反射器は第一の電極を備える、装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、
圧電層上に形成された広帯域幅入力変換器と、広帯域幅出力変換器とを更に備え、
広帯域幅入力変換器と広帯域幅出力変換器との間にて圧電層上に形成された複数の溝アレイを更に備え、
第一の電極は複数の溝アレイ上に形成され、
広帯域幅入力変換器は表面音響波を複数の溝アレイに向けて送り、
複数の溝アレイは選ばれた周波数の波を出力変換器に向け、
圧電層、第一の電極、第二の電極、広帯域幅入力変換器、広帯域幅出力変換器、及び複数の溝アレイは同調可能なフィルタを形成し、
複数の溝アレイ、第一の電極及び第二の電極が表面音響波の同調可能なフィルタの中央周波数を選ぶ、装置。
【請求項25】
方法において、
表面音響波を圧電層を備える固体中に導入するステップと、
圧電層の第一の側部に沿った第一の電極と、圧電層の第二の側部に沿った第二の電極との間にバイアス電圧を印加して表面音響波の音響速度を制御する電界を圧電層内に形成するステップとを備える、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
表面音響波デバイスは、表面音響波を伝搬し、バイアス電圧を印加するステップは、
可調節型のバイアス電圧を第一の電極又は第二の電極に印加して、表面音響波デバイスの中央周波数を同調させる可調節型の電界を圧電層内に形成するステップを備える、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、
第一及び第二の電極が同一の電圧レベルにあるとき、表面音響波の音響速度は基準速度にあり、
バイアス電圧を印加するステップは、
もし所望の音響速度レベルが基準速度以上ならば、第一の電極にて、圧電層の第一の極性に対し第二の電極よりも高い電圧レベルを印加し、又は第二の電極にて圧電層の第二の極性に対し第一の電極よりも高い電圧レベルを印加して、表面音響波の音響速度を基準速度以上に上昇させるステップと、
もし音響速度レベルが基準速度以下ならば、第二の電極にて、圧電層の第一の極性に対し第一の電極よりも高い電圧レベルを印加し、又は第一の電極にて圧電層の第二の極性に対し第二の電極よりも高い電圧レベルを印加して、表面音響波の音響速度を基準速度以下に低下させるステップとを備える、方法。
【請求項28】
方法において、
基板上に圧電性半導体材料の第一の層を導電性であるように形成するステップと、
第一の層上に圧電性半導体材料の第二の層を絶縁性であるように形成するステップと、
第二の層上に圧電性半導体材料の第三の層を導電性であるように形成するステップと、
表面音響波を導入し得るよう入力変換器を第三の層上に配置するステップと、
バイアス電圧源と、第一の層及び第三の層との間に電気路を提供し、表面音響波の音響速度を制御する電界を第二の層内に形成するステップとを備える、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
圧電材料は実質的に絶縁性であり、第一の層を形成するステップは、
第一の層を形成する間、第一の層の導電率を増大させるようドーパントを圧電半導体材料に追加するステップを備え、
第三の層を形成するステップは、
第三の層を形成する間、第三の層の導電率を増大させるようドーパントを圧電材料内に追加するステップを備える、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法において、
出力変換器を第三の層上に配置するステップを更に備え、
第三の層を形成するステップは、
第三の層に対しある量のドーパントを圧電半導体材料に追加するステップを備え、該ドーパントの量は、第三の層を、
バイアス電圧を受け取り且つ第二の層内に電界を形成するのに十分導電性であり、
入力変換器及び出力変換器の隣接する指状体の間の短絡を防止するのに十分絶縁性であり、
表面音響波の電界によって誘発された電流の抵抗損失を通じて表面音響波を減衰させないよう十分絶縁性であるようにするのに十分である、方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−48379(P2008−48379A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−121376(P2007−121376)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(503123152)ノースロップ・グラマン・コーポレーション (31)
【氏名又は名称原語表記】NORTHROP GRUMMAN CORPORATION
【Fターム(参考)】