説明

表/表リブ布と表/表リブ布を製造する方法および編機

発明は、地糸(6)を用いて生成された表編目と裏編目とで交互に作られている編目段(22〜24)を備え、前記編目が両方の布面に表うねおよび裏うね(14,16,18,20または15,17,19,21)を形成する、表/表リブ布に関する。発明によれば、付加的なプレーティング糸(7)は、少なくとも選択された編目段(22〜24)の中に挿入され、編目(25)を形成し、浮いた状態で編目の間に一体化されるように、それぞれの地糸(6)と共に、両方の布面のうちの一方の選択された表うね(14,18)の中で処理される。発明は、このようなリブ布を提供する方法および編機に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の表/表リブ布、すなわち、地糸を用いて製造され、表編目うねおよび裏編目うねを布の両面に形成する表編目および裏編目を有する編目段を含む表/表リブ布に関する。
【0002】
また、請求項8の前提部分に記載の方法、すなわち、針が設けられた第1の針ベッドと、第1の針ベッドの針と相対的にオフセットして配置された針付きの第2の針ベッドと、糸供給位置を有する少なくとも1つの編みシステムとを含む編機において、糸供給位置で編みシステムの中に挿入された地糸と一体となって編目を形成するため、少なくとも第1の針ベッドの針と第2の針ベッドの選択された針とが編みシステムの中で編み位置へ引き延ばされ、その後、ノックオーバ位置に引き込まれる、表/表リブ布を製造する方法に関する。
【0003】
また、請求項12の前提部分に記載の編機、すなわち、両方の針ベッドの針が互いに相対的にオフセットして配置された、針が設けられた第1の針ベッドおよび針が設けられた第2の針ベッドと、地糸を供給する第1の糸案内部、および、第1の針ベッドのすべての針および第2の針ベッドの選択された針が第1の糸案内部で地糸を捕捉し、編目を形成するためこれらを処理するように、針を引き延ばし、引き込むカム軌道を有する少なくとも1つの編みシステムと、を含む編機に関する。
【背景技術】
【0004】
極細布と呼ばれることがよくある表/表リブ布によって理解され、好ましくは、リブ丸編機、特に、たとえば、26インチ以上の大径をもつリブ丸編機で製造され、本発明の範囲内では以下で簡単にリブ布と呼ばれる編み布がある。このタイプのリブ布は、表編目と裏編目とを交互に有する編目段を備える点で区別される。表編目は、通常は縦方向に連続したリブとして織布の中に現れる編目うねをそれぞれに形成する。
【0005】
冒頭に説明されたタイプであり、このタイプのリブ布の製造のため使用される従来のリブ丸編機(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)は、シリンダ針を備えた針シリンダと、ダイヤル針を備えたダイヤルとを有し、シリンダ針およびダイヤル針は、両面編機と対照的にある間隔で位置し、一般に針ゲージの半分によって互いに相対的にオフセットしている。通常は、編みは、本シリンダ針およびダイヤル針のすべてを用いて行われ、特に、伸張性、伸縮性のあるリブ布が製造される。
【0006】
リブ布は、たとえば、靴の底または側壁領域の挿入布地として、肩パッドなどとして衣料品分野で使用されるので、リブ布の特性、何よりも、横弾性を特殊用途目的に適合させることが望ましい。この適合は、編目形成が、たとえば、ポリエステル糸およびエラストマ糸のような異なる特性を有する糸を使ってシリンダ針および/またはダイヤル針で行われるという点で、これまでは制限された範囲に限り可能であった。
【0007】
特に、表/裏編み布の伸張性に影響を与えるプラッシュ布に関連して(たとえば、特許文献4、特許文献5)、部分的に編目の中に処理され、部分的に浮き編目の中に処理される少なくとも1本の付加的な浮き糸またはプレーティング糸を地編み布の選択された編目段の中に組み込むことが知られている。平編みの表/裏地編み布において、しかし、これらの浮き編目は、多くの場合に望ましくないが、布の片面、一般に裏面で、容易に目につくという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願第1944454号
【特許文献2】独国特許出願公開第4128372(A1)号
【特許文献3】独国特許出願公開第10320533(A1)号
【特許文献4】独国特許第3927815(C2)号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第19707053(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の基礎となる技術的課題は、結果として視覚的外観が実質的に損なわれることなく、伸縮性および伸張性が広い限界の範囲内で変更可能である編み布を製造することである。さらに、このようなリブ布を製造する方法および編機を提案することが対象とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、発明は、冒頭に記載されたタイプの表/表リブ布からはじめて、請求項1の特徴的な構成要件が加えられた表/表リブ布を提供する。発明による方法および発明による編機は請求項8および12の特徴的な構成要件において明らかにされている。
【0011】
発明によって、対応するプレーティング糸の選択により個別の場合の要件に広範囲に亘って適合させることができる伸縮性および伸張性をもつリブ布が製造される。このような布の特有の利点は、浮き糸がシリンダ編目とリブ編目との間に位置するようになり、従って、布の両面で実際に目に見えるという点にある。さらに、たとえば、プレーティング糸としてのエラストマに加えて、地糸としての綿のような糸材料の選択の結果として、着心地の良さが実現可能である。
【0012】
発明のさらなる有利な構成要件は従属項において明らかにされる。
【0013】
発明は、実施形態を参照して添付図面と共により詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】発明によるリブ布の構造を概略的に示す図である。
【図2】図1に対応して製造されたリブ布の一部分の正面側を示す図である。
【図3】発明にとって不可欠であり、図2によるリブ布の製造に適するリブ丸編機の部品を通る放射断面図である。
【図4】発明によるリブ丸編機の編みシステムのためのシリンダ・カム・セグメントの内面図である。
【図5】図4によるシリンダ・カム・セグメントを用いて実現されるカム軌道の詳細図である。
【図6】発明によるリブ丸編機の編みシステムの前方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、発明による表/表リブ布の2本の編目段1および2を概略的に示している。編目段1および2において、ダイヤル針3と、シリンダ針4および5との両方が垂直線によって示されている。より詳細に後述されるように、長い直線で示されたシリンダ針4は高いバット部をもつシリンダ針であり、短い直線で示されたシリンダ針5は低いバット部をもつシリンダ針である。さらに、ダイヤル針3と、シリンダ針4、6とは、間隔が空けられ、すなわち、これらの針は、好ましくは、針ゲージの半分ずつ互いに相対的にオフセットしている。
【0016】
図1は、各編目段1、2が3本の糸で形成されていることをさらに示している。連続的に描かれている糸は、以降、地糸6と呼ばれる。これに反して、点線で示されている糸は、以降、第1のプレーティング糸7と呼ばれ、鎖線で示されている糸は、以降、第2のプレーティング糸8と呼ばれる。
【0017】
最後に、図1において認められることであるが、第1の編目段1の中で、すべてのダイヤル針3は、地糸6と一体となって、円によって示されたリブ編目9を形成し、すべてのシリンダ針4および5は、地糸6と一体となって、同様に円によって示されたシリンダ編目10または11を形成する。その上、選択されたシリンダ針、ここでは、シリンダ針4は、第1のプレーティング糸7を地糸6と一緒に処理して編目10を形成し、すべての他のシリンダ針、ここでは、シリンダ針5は、第2のプレーティング糸8を地糸6と一緒に処理して編目11を形成する。
【0018】
第2の編目段2では、編み布の構造は編目段1の場合と同じである。
【0019】
図1と同様に製造されたリブ布の8個の編目うね14〜21が図2に示されている。布のいわゆる表側または正面側の見え方に関心があるので、シリンダ針4および5(図1)を用いて形成された編目うね14、16、18、20などは、それぞれの表編目25および26を含み、ダイヤル針3を用いて形成された編目うね15、17、19、21などは、裏編目27を含む。図1の場合と同様に、編目うね15、17、19、21などのリブ編目27は、地糸6だけを用いて形成され、編目うね14、18などのシリンダ編目25は、地糸6および第1のプレーティング糸7を用いて形成され、編目うね16、20などのシリンダ編目26は、地糸6および第2のプレーティング糸8を用いて形成される。したがって、第1のプレーティング糸7は、表編目うね14、18などの間にそれぞれの1本の浮き糸28を形成し、第2のプレーティング糸8は、編目16、20などの編目26の間にそれぞれの1本の浮き糸29を形成する。
【0020】
プレーティング糸7および8と1:1のパターンの方法で各編目段22〜24に対し図2に表現された構造は、たとえば、図2に対応する1段おきの編目段22、24と、それらの間に位置している編目段とが地糸6を用いて単に簡潔に編まれているので、当然に、すべての編目段ではなく、選択された編目段の中にさらに生成可能である。その上、「オフセット付きの1:1」の編みタイプの方式で、たとえば、第1のプレーティング糸7を用いて編目段22の中に形成され、第2のプレーティング糸8を用いて別の編目段の中に形成された(そして、逆の場合に同様に形成された)、たとえば、これらの編目うね(たとえば、14、18)の編目25を生成することが可能になる。1:1のパターンの代わりに、たとえば、1:2、2:2、1:3などのような他のパターンも同様に2本のプレーティング糸7および8に対し選択可能である。しかし、これまでは最良として考えられる解決策が図2において生成され、この解決策によれば、表編目うね14、16、18、20などは、パターン1:1の場合と代替的に、地糸6に加えて、第1または第2のプレーティング糸7、8を含み、すなわち、奇数番目の第1の編目うねは一方のプレーティング糸を含み、偶数番目の表編目うねはもう一方のプレーティング糸を含む。
【0021】
本発明の範囲内でさらに可能な変形は、1本のプレーティング糸、たとえば、プレーティング糸7を用いて作動することにある。この場合、プレーティング糸7は、たとえば、すべての表編目うね14、16、18、20など、または、選択された表編目うねだけに挿入され、その上、表編目うねの間に、たとえば、2本の選択された表編目うねの間に、それぞれに1本の浮き糸を形成する。このようにして生成可能である構造パターンは、多様であり、そして、個別の場合に課された要件の関数として選択可能である。
【0022】
図1および2に関して記載された編み布は、最も重要なコンポーネントが図3〜5に概略的に表された、好ましくは、リブ丸編機、特に、いわゆる極細リブ丸編機で製造される。
【0023】
図3によれば、標準的なリブ丸編機は、好ましくは、機械軸の周りに回転自在に搭載され、機械軸と平行である標準的なウエブ32が周囲に設けられた針シリンダ31の形で第1の針ベッドを含む。針シリンダおよびウエブは、それらの間に、シリンダ針33、好ましくは、標準的なラッチタイプの針が垂直方向に移動自在に搭載されている溝を形成する。針シリンダ31を取り囲むシリンダカム34は、少なくとも1つの編みシステムの中に、より詳細にさらに説明され、標準的な引き延ばし運動および引き込み運動をバット部36に与えるためにシリンダ針33のバット部36が中を案内されるカム軌道を形成する、特に、カム部品35を有している。
【0024】
針シリンダ31の上方に、好ましくは、針シリンダ31と一体となって機械軸の周りに回転自在であり、機械軸と垂直に配置された標準的なウエブ38を上側に有しているダイヤル37の形で第2の針ベッドが配置されている。針ベッドおよびウエブは、それらの間に、ダイヤル針39、好ましくは、標準的なラッチタイプの針が放射方向に移動自在に搭載されている溝を形成する。ダイヤル針39およびシリンダ針33は、針シリンダ31の円周方向に針ゲージの半分ずつ互いに相対的にオフセットしている。ダイヤル37の上方に、より詳細にさらに説明され、標準的な引き延ばし運動および引き込み運動をバット部42に与えるためにダイヤル針39のバット部42が中を案内されるカム軌道を形成する、特に、カム部品41と共に、図3において認められる編みシステムに設けられているダイヤルカム40が配置されている。
【0025】
最後に、マウンティング部43に固定された糸案内部44は、編目形成のため必要とされる糸をシリンダ針33およびダイヤル針39に供給するため図3による編みシステムに割り当てられている。
【0026】
さらに、針シリンダ31の周囲およびダイヤル37の表面に沿って、シリンダ針33およびダイヤル針39を引き延ばし、および、引き込むため必要とされるカム部品35、41と糸案内部44とをそれぞれに有する複数の前記編みシステムを配置できることが明らかある。
【0027】
前記タイプのリブ丸編機は、特に前記刊行物から一般に当業者に知られているので、さらなる説明はここでは省くことが可能である。
【0028】
図4および5は、シリンダ針およびダイヤル針と、関連したシリンダカムおよびダイヤルカムとの発明による実施形態を示している。
【0029】
図2によるリブ布の製造のため、針シリンダ31の溝は、針33(図3)の代わりに、異なる位置にバット部が配置されているシリンダ針46およびシリンダ針47によって交互に(1:1で)塞がれている。シリンダ針46は、下方バット部48および上方(高)バット部49を有し、シリンダ針47は同様に下方バット部48を有するが、シリンダ針46の下方バット部48と上方バット部49との間に配置された中央(低)バット部50を有する。これに対して、図5によるダイヤル37の溝は、ダイヤル針39の代わりに、少なくとも1個のバット部52を有するが、2個のバット部52、53をさらに有することがある同一のダイヤル針51が全体に設けられている。
【0030】
単一の編みシステムのためのシリンダカム54(図4)は、発明によれば、3個のバット部48、49および50のための3個のカム軌道を形成するカム部品55〜58が設けられている。このようにして形成されたシリンダカム54は、発明によれば、図3に表された従来のシリンダカム34を置き換える。
【0031】
シリンダ針46のバット部49のためのカム部品58によって形成されたカム軌道は、特に図5に示されているように、編み位置(図5における位置I:I)に達したときに、ラッチ上をシリンダ針46のシャフトの方へ滑るいずれかのシリンダ針46のフックに位置している編目を編み位置に案内する立ち上がり部分59aを含む。シリンダ針46のさらなる延長は、カム部品56の下方エッジと協働する下方バット部48によって妨げられる。
【0032】
立ち上がり部分59aに当接しているのは部分60aであり、たとえば、位置G−G(図5)において、糸案内部61から供給され、図2による地糸6に対応している地糸がシリンダ針46またはシリンダ針のフックに挿入されるまで、シリンダ針46はこの部分60aによって最初に引き込まれる。
【0033】
部分60aに当接しているのは部分62であり、シリンダ針46は、たとえば、位置P1−P1(図5)において、第1のプレーティング糸7(図2)に対応し、概略的に示されている糸案内部63から供給されるプレーティング糸を捕捉できるように、この部分62に沿ってさらに下げられることがない。バット部49は、続いて、下方バット部48およびカム部品56の制御の下で、カム部品58の中に組み込まれた通路64(図4)の中に入り、そして、バット部49は、シリンダ針46が、たとえば、この糸案内部65を通過する前に、十分に深く引き込まれることにより、移動または編み方向に沿ってさらなる糸案内部65で糸を捕捉しないように通路64によって案内される。最後に、シリンダ針46のバット部49はバット部49に割り当てられた部分66aに達し、シリンダ針46は、捕捉された地糸および第1のプレーティング糸と一体となって編目を形成するため、部分66aに沿って、ノックオーバ位置に対応する最も低い位置II−IIに引き込まれる。部分66aに沿う案内は、好ましくは、カム部品56に連結されるか、または、カム部品56に続く引き込み部品67(図4)を用いて行われる。この工程はすべてのシリンダ針46に対し繰り返される。
【0034】
カム部品57によって形成され、シリンダ針47のバット部50に割り当てられたカム軌道は、図5において点線で示された領域から離れて、シリンダ針46のバット部49に関して上述されたカム軌道に対応する。理解をよりよくするため、図5におけるこのカム軌道は、実際の場合より実質的に下方に表されている。針シリンダ31の中のシリンダ針46および47は、それぞれに隣接して配置され、理解をよりよくするため図5に示されているように、一方が他方より下にあるわけではないので、下方のカム軌道は、実際には、上方のカム軌道から、バット部49およびバット部50の互いの間隔に対応する間隔だけ引き離されている。その上、下方カム軌道の領域の中の3個の糸案内部61、63および65は図5に再び表され、さらに参照番号59b、60bおよび66bが、簡単にするため、同じ軌道位置に対して使用されている。このことから明らかであるが、バット部50のカム軌道は、編み方向に沿って部分68および部分69を有するという点だけによって、バット部49のカム軌道と本質的に異なる。部分68は、糸案内部61から地糸を捕捉した後、糸案内部63を通過するときに、シリンダ針が糸案内部によって前方に置かれた第1のプレーティング糸を捕捉することがなく、シリンダ針のフックが開放状態を保つように、中間位置に深くシリンダ針47を引き込む目的のために役立つ。それにひきかえ、部分69は、バット部50を引き延ばし、したがって、糸案内部65を通過するときに、シリンダ針47が、糸案内部65によって供給され、図2におけるプレーティング糸8に対応した第2のプレーティング糸を、地糸に加えて捕捉するように、シリンダ針47を再び高くする役目がある。この領域におけるシリンダ針47の確実な案内のため、部分68、69は、好ましくは、カム部品57の中に構成された通路70によって、図4に対応して生成され、バット部50は、シリンダ針47の場合に同様に存在するカム部品56および下方バット部48を用いてこの通路の中へ向けられる。
【0035】
全体として、図4および5において明らかにされているが、地糸はすべてのシリンダ針46および47に挿入され、第1のプレーティング糸はシリンダ針46だけに挿入され、第2のプレーティング糸はシリンダ針47だけに挿入され、図1および2による1:1の配分に対応している。
【0036】
ダイヤル40(図3)では、すべてのダイヤル針51に同一であるそれぞれに唯一のカム軌道が図5に示されたダイヤル針51のバット部52、53に設けられ、前記カム軌道は、簡単にするため単に実線によって表されている。実際には、バット部52および53に割り当てられた2本のカム軌道がダイヤル針41のための確実なスピン無しの案内を確保するために存在する可能性がある。図5によれば、ダイヤル針51は、部分71に沿って編み部分(位置I−I)の中へ最初に引き延ばされ、その後、シリンダ針46、47とは違って、部分72に沿って、好ましくは、編み部分ではない部分に対応し、たとえば、直線P1−P1の場合に実現される低い中間位置へ引き込まれる。その結果、すべてのダイヤル針51は、同様に軌道部分72の場合に表されている糸案内部61によって概略的に示されているように、確実に地糸を捕捉する。しかし、図5に3回表されている糸案内部61は常に同じであることがわかる。
【0037】
ダイヤル針51の早期の引き込みのため、ダイヤル針のフックは、糸案内部63および65を通るとき、2本のプレーティング糸を確実に捕捉しない。これは、ラッチタイプの針の場合には、ダイヤル針51の引き込みが十分に低い場合に前の編目は、ダイヤル針のラッチに作用し、ダイヤル針を旋回し、その結果、針フックを自動的に閉じるので支援される。複合針を用いるとき、フックは摺動部品を用いて閉じられるので、同じ効果が実現され得る。
【0038】
最後に、ダイヤル針51のカム軌道は、シリンダ針46、47が位置II−IIに同様に編目を形成する前にダイヤル針がリブ編目を形成するため、ダイヤル針が部分72の端で最も深い位置(位置III−III)へ既に引き込まれている可能性があることを示している。したがって、シリンダ針46、47を用いた編目形成が始まる前にリブ編目を緩めるために、ダイヤル針51を部分73および/または74に沿って放射方向前方へ僅かに押す可能性がある。しかし、代替的に、挿入された地糸が結果的に引き裂けないような条件が選択される限り、位置II−IIだけで、または、位置III−IIIとII−IIとの間のどこかで、位置P1−P1で到達した中間位置からノックオーバ位置まで、リブ編目を引き込むことも可能になる。
【0039】
図6は、図5に表された3個の糸案内部61、63および65を内部で一体化し、この目的のため、地糸6と、2本のプレーティング糸7および8とのための3個の開口部76、77および78を有する、好ましくは、プレート形のコンポーネント75を示している。コンポーネント75の特有の構成要件は、コンポーネントの下方エッジが、ラッチタイプの針を用いるとき、シリンダ針46、47の針ラッチを開放状態に保つため、好ましくは、同時に役立つことである。この構成要件は、位置P2−P2において第2のプレーティング糸をさらに捕捉するため、その後にもう一度実質的に引き延ばされ得るように、特にシリンダ針47が図5に対応する部分60bおよび68に沿って中間位置に引き込まれるときに都合がよい。これは、対応する安全対策が欠如しているとき、針ラッチの意図的ではなく、かつ、早すぎる閉鎖によって妨げられることがある。
【0040】
針ラッチを開放状態に位置するため同時に作用するコンポーネント75を用いるとき、それにもかかわらず、ラッチ針として構成されているならば、図5における部分72に沿ったダイヤル針51の完全な引き込みを可能にするため、コンポーネント75は、裏面にギャップまたは凹部79を有する。このギャップまたは凹部は、地糸6のための開口部76と第1のプレーティング糸7のための開口部77との間に配置され、ダイヤル針のラッチがコンポーネント75と衝突することなく地糸6を捕捉した後にダイヤル針51が軌道部分72に沿って引き込まれ得るように寸法が定められる。この領域には、特に、シリンダ針47のラッチに作用する部分が存在しないので、既に部分的に閉じている針ラッチを再び開くことを可能にするため、編み方向に凹部79の直ぐ後に配置された開放状態維持部分に引き込み傾斜を設けることが可能にされる。
【0041】
コンポーネント75の部分80は、図3に表されたマウンティング43を置き換えるマウンティングを形成する。
【0042】
さらに、配置は、その結果、図2による編み布に関して既に記載されているように、すべての奇数番目のシリンダ針(たとえば、46)が地糸6および第1のプレーティング糸7を捕捉し、すべての偶数番目のシリンダ針(たとえば、47)が、対照的に、地糸6および第2のプレーティング糸8を捕捉するように都合良く構成されている。
【0043】
地糸およびプレーティング糸として、原則的には、編み技術においてよく用いられるあらゆる編み糸を使用可能である。プレーティング糸は、好ましくは、地糸と異なる特性、特に、異なる弾性特性を有する。たとえば、ポリエステル編み糸が、地糸およびプレーティング糸の両方に使用される場合、特に横方向(編目段方向)に伸張性がなく、その伸張性が、たとえば、標準的なリブ布を用いて実現される伸張性の僅かに10分の1である編み布が製造される。これに反して、たとえば、エラストマ糸が、特に、綿製の地糸と組み合わせて、プレーティング糸として使用される場合、特に横方向に弾性のある布が製造される。その結果、エラストマ糸が地糸に加えて、いかなる場合でも、存在するすべてのダイヤル針に供給される標準的な極細リブ布とは違って、完全に新しい特徴をもつ布が製造可能である。特に浮き糸(図2の28、29)の弾性特性および/または個数および配置を選ぶことにより、多数の弾性段階がさらに実現可能である。
【0044】
図1、2および5から離れて、選択されたダイヤル針51だけを軌道部分71、72に沿って編み位置へ引き延ばすことが可能であり、その一方、残りのダイヤル針51は、開口またはタック位置に入るように作られる。後続の編みシステムでは、ダイヤル針51の選択は逆にすることが可能である。さらに、タックまたは開口(非編み)位置への選択されたダイヤル針の制御も可能である。この目的のため、たとえば、シリンダ針46、47と同様に、たとえば、バット部49、52に対応する異なるバット部と共に1:1の配置で設けられたダイヤル針51が使用可能であり、そして、これらのバット部に割り当てられた異なる針軌道を有するダイヤルが使用可能である。同様に、ダイヤル針の領域において他の実施形態が考えられる。
【0045】
発明は様々に変更可能である前記実施形態に限定されない。このことは最初に2本のプレーティング糸7および8の使用に適用される。2本のプレーティング糸のうちの一方を省くことが可能になる。この場合、たとえば、糸案内部のうちの一方(たとえば、65)を省くことが可能であり、軌道部分69を省くことが可能である。したがって、必要に応じて、比較的簡単な修理がカム部品を交換することだけで可能である。この他に、シリンダ針46、47が第1または第2のプレーティング糸7、8を捕捉するため選択されるときに用いられるセレクタは広範囲に亘って任意である。原則的に、一般的に普及しているように、すべての手段が、特に、ジャカードパターンの生成のため使用可能である。図2において明らかである1:1の選択の代わりに、代替的に、1:2、1:3のパターンなどの選択が行われる可能性があるが、その理由は、それぞれに2個または3個のシリンダ針47が、たとえば、針シリンダ溝の中で、1個のシリンダ針46の後に使用されるからである(または逆もまた同様である)。対応した選択の可能性がシリンダ針のための電磁的または電気的セレクタを用いるリブ丸編機の場合に提案される。代替案として、第1のプレーティング糸が、たとえば、シリンダ針1、2、5、6…などに挿入されることがあり、第2のプレーティング糸が、シリンダ針3、4、7、8…などに挿入されることがある。さらに、ラッチタイプの針の代わりに、編み技術において知られているいずれか他の針、特に、たとえば、複合針またはひげ針が使用可能であり、供給された糸を個々の場合に存在している編み具を用いて編目に加工するためにそれぞれに必要とされるこれらの技術は、「針の中への糸の挿入」という表現によって理解される。さらに、図6に示された糸案内部以外の糸案内部が設けられることがある。特に、地糸案内部のための第1のコンポーネントと、第1のコンポーネントとはギャップによって分離された、(複数の)プレーティング糸のための第2のコンポーネントとを設けると都合がよく、これらの2個のコンポーネントは、実際には、互いに同じように連結されているが、2個のコンポーネントの正確な位置を個別の場合の要件に適合させることを可能にするため、互いに相対的に移動可能であるように、または、別の方法で調節可能であるように配置されていると都合がよい。その上、前記リブ丸編機の代わりに、同様に、対向する位置にある2個のベッドをもつ他の編機、たとえば、横編機、ダブルシリンダ式機械、(対応する針選択の事前条件を用いる)両面編機、または、静止針シリンダおよびダイヤルと回転カムとを備える丸編機が発明によるリブ布の製造のため使用可能であることが明らかである。プレーティング糸がダイヤル針に付加的に挿入されるという点で、シリンダ針とダイヤル針の機能を交換することも考えられるであろう。最後に、様々な構成要件は、説明され図示された組み合わせ以外の組み合わせで使用される可能性があることが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地糸(6)を用いて製造され、表編目うねおよび裏編目うね(14,16,18,20または15,17,19,21)を布の両面に形成する表編目および裏編目を有する編目段(22,23,24)を含む表/表リブ布であって、
付加的なプレーティング糸(7)が、少なくとも選択された編目段(22,23,24)の中に挿入され、編目(25)を形成するために布の両面うちの一方の選択された表編目うね(14,18)の中で地糸(6)とそれぞれに一体となって処理され、編目の間に浮いた状態で置かれていることを特徴とする、表/表リブ布。
【請求項2】
プレーティング糸(7)が編目を形成するために布の片面の1つおきの表編目うね(14,18)毎に処理されることを特徴とする、請求項1に記載の表/表リブ布。
【請求項3】
少なくとも選択された編目段(22,23,24)において、編目(25または26)を形成するため、第1のプレーティング糸(7)が地糸(6)と一体となって選択された表編目うね(14,18)の中で処理され、編目の間に浮遊的に位置し、第2のプレーティング糸(8)が地糸(6)と一体となって布の片面の残りの表編目うね(16,20)の中で処理され、編目の間に浮いた状態で位置していることを特徴とする、請求項1に記載の表/表リブ布。
【請求項4】
編目(25または26)を形成するため、第1のプレーティング糸(7)がすべての奇数番目の表編目うねで処理され、第2のプレーティング糸(8)がすべての偶数番目の表編目うね(14,18または16,20)の中で処理されることを特徴とする、請求項3に記載の表/表リブ布。
【請求項5】
前もって選択された編目段がすべての編目段(22,23,24)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のうちの一項に記載の表/表リブ布。
【請求項6】
プレーティング糸(7,8)が選択された弾性特性をもつ糸材料を含むことを特徴とする、請求項1〜5のうちの一項に記載の表/表リブ布。
【請求項7】
リブ丸編機で製造されることを特徴とする、請求項1〜6のうちの一項に記載の表/表リブ布。
【請求項8】
針(46,47)が設けられた第1の針ベッド(31)と、第1の針ベッド(31)の針(46,47)と相対的にオフセットして配置された針(51)付きの第2の針ベッド(37)と、糸供給位置を有する少なくとも1つの編みシステムとを含む編機において、糸供給位置で編みシステムの中に挿入された地糸(6)と一体となって編目を形成するため、少なくとも第1の針ベッド(31)の針(46,47)と第2の針ベッド(37)の選択された針(51)とが編みシステムの中で編み位置(I−I)へ引き延ばされ、その後、ノックオーバ位置(II−II;III−III)に引き込まれる、表/表リブ布を製造する方法であって、
第1のプレーティング糸(7)が、地糸(6)に加えて同じ編みシステムの第2の糸供給位置で第1の針ベッド(31)の選択された針(たとえば、46)の中に挿入されることと、
第2の針ベッド(37)の選択された針(51)と第1の針ベッド(31)のすべての選択されていない針(たとえば、47)とが、第1のプレーティング糸(7)が第2の針ベッド(37)の選択された針(51)および第1の針ベッド(31)のすべての選択されていない針(たとえば、47)に挿入されることなく、第2の糸供給位置を通過するように、ノックオーバ位置に引き込まれることと、
を特徴とする方法。
【請求項9】
第1のプレーティング糸(7)が第1の針ベッド(31)の1つおきの針(たとえば、46)毎に挿入され、針の間に浮いた状態で置かれていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2のプレーティング糸(8)が、地糸(6)に加えて、第1のプレーティング糸(7)を捕捉するため選択されていない第1の針ベッド(31)のすべての針(たとえば、47)に挿入されていることと、
糸供給位置においてこれらの針(47)が第2のプレーティング糸(8)を供給するための第3の供給位置を通過させられ、第2の針ベッド(31)のすべての針(51)、および、第1のプレーティング糸(7)が設けられた第1の針ベッドの針(たとえば、46)が、第2のプレーティング糸(8)が第2の針ベッド(31)のすべての針(51)および第1のプレーティング糸(7)が設けられた第1の針ベッドの針(たとえば、46)の中に挿入されることなく、第3の糸供給位置を通過させられることと、
を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
第1のプレーティング糸(7)が第1の針ベッド(31)のすべての奇数番目の針に挿入され、第2のプレーティング糸(8)がすべての偶数番目の針(46または47)に挿入されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
両方の針ベッド(31,37)の針(46,47;39)が互いに相対的にオフセットして配置された、針(46,47)が設けられた第1の針ベッド(31)および針(51)が設けられた第2の針ベッド(37)と、地糸(6)を供給する第1の糸案内部(61)、および、第1の針ベッド(31)のすべての針(46,47)および第2の針ベッド(37)の選択された針(51)が第1の糸案内部(61)で地糸(6)を捕捉し、編目を形成するためこれらを処理するように、針(46,47;39)を引き延ばし、引き込むカム軌道を有する少なくとも1つの編みシステムと、を含む編機であって、
同じ編みシステムに、第1のプレーティング糸(7)を供給する少なくとも1つの第2の糸案内部(63)と第1のセレクタ(たとえば、49,58)とが、編目(25)がこれらを用いてこの編みシステムで形成される前に、第1のプレーティング糸(7)が第1の針ベッド(31)の選択された針(たとえば、46)の中に挿入できるように設けられていることを特徴とする編機。
【請求項13】
第1の針ベッドの1つおきの針(たとえば、46)が第1のプレーティング糸(7)を捕捉するためにセレクタ(たとえば、49,58)を用いて選択されることを特徴とする、請求項12に記載の編機。
【請求項14】
第2のプレーティング糸(8)を供給する第3の糸案内部(65)が同じ編みシステムに設けられ、第2のセレクタ(たとえば、50,57)が、編目(26)がこれらを用いて形成される前に、第2のプレーティング糸(8)が第1の針ベッド(31)の選択された針(たとえば、47)に挿入できるように設けられていることを特徴とする、請求項12または13に記載の編機。
【請求項15】
第1のプレーティング糸(7)が第1の針ベッド(31)のすべての奇数番目の針(たとえば、46)の中に挿入され、第2のプレーティング糸(8)が第1の針ベッド(31)のすべての偶数番目の針(たとえば、47)の中に挿入されるように、第1および第2のセレクタ(49,58;50,57)が設けられていることを特徴とする、請求項14に記載の編機。
【請求項16】
第2の糸案内部(63)が編み方向()で第1の糸案内部(61)の後に配置されていることを特徴とする、請求項12〜15のうちの一項に記載の編機。
【請求項17】
ギャップ(79)が第1の糸案内部(61)と第2の糸案内部(63)との間に設けられ、編みシステムが第2の針ベッド(37)の針(51)のためのギャップ(79)の領域に位置している引き込み部分(72)を備えたカム軌道を有し、引き込み部分によって、針(51)が、地糸(6)を捕捉した後であって、第2の糸案内部(63)を通過する前に、少なくとも中間位置の中へ引き込まれることを特徴とする、請求項16に記載の編機。
【請求項18】
第3の糸案内部(65)が編み方向()で第2の糸案内部(63)の後に配置されていることを特徴とする、請求項15〜17のうちの一項に記載の編機。
【請求項19】
第1および/または第2のセレクタ(49,58;50,57)が第1の針ベッド(31)の針(46,47)に異なるバット部(49,50)と、これらのバット部に割り当てられたカム軌道とを含むことを特徴とする、請求項12〜18のうちの一項に記載の編機。
【請求項20】
第1の針ベッド(31)の針(46,47)が、パターンに従って、第1または第2のバット部(49,50)を設けられていることと、
バット部に割り当てられたカム軌道が、第1のプレーティング糸(7)だけが地糸(6)を捕捉した後に第1のバット部(49)をもつ針(46)の中に挿入され、第2のプレーティング糸(8)だけが地糸(6)を捕捉した後に第2のバット部(50)をもつ針(47)の中に挿入されるように、編み位置(I−I)および編み方向()で編み位置に続く部分へ入る引き延ばし部分(59)を有することと、
を特徴とする、請求項19に記載の編機。
【請求項21】
第2の針ベッドの針(51)がバット部(53)を設けられ、バット部に割り当てられたカム軌道が、これらの針のうちの選択された針が編目形成のため地糸(6)を捕捉した直後に引き込まれるように、設けられていることを特徴とする、請求項12〜20のうちの一項に記載の編機。
【請求項22】
請求項12〜21のうちの一項以上に記載されているようにすべてが構成されている非常に多数の編みシステムを有することを特徴とする、請求項12〜21のうちの一項に記載の編機。
【請求項23】
第1の針ベッド(31)が針シリンダとして構成され、第2の針ベッド(37)がダイヤルとして構成されていることを特徴とする、請求項12〜21のうちの一項に記載の編機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−511170(P2011−511170A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543371(P2010−543371)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000047
【国際公開番号】WO2009/092352
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(591027710)ジプラ パテントエントビクルングス−ウント ベタイリグングスゲゼルシャフト エムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】SIPRA PATENTENTWICKLUNGS−UND BETEILIGUNGS−GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】