説明

被研磨体装填治具及び被研磨体の研磨方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法

【課題】本発明は複数の被研磨体を研磨装置のキャリアに効率良く装填することを課題とする。
【解決手段】被研磨体装填治具10は、第1の治具20の上面に第2の治具30を回動可能に重ね合わせてなる。第1の治具20は、第1の平面部22と、第1の平面部22の外周に結合された補強用リブ24とを有する。第1の平面部22は、被研磨体としてのガラス基板が通過するための複数の挿入孔40を有し、第2の治具30は、第2の平面部32にガラス基板が収納される複数の待機孔50を有する。第1の平面部22及び第2の平面部32は、中心を貫通する中心位置決め部60が設けられている。第1の平面部22及び第2の平面部32の中心位置をキャリア110の中心に位置合わせした後、挿入孔40の周方向の位置を研磨装置のキャリアの各保持孔の位置に合わせた後、各待機孔50を各挿入孔40に一致させるように第2の平面部32を周方向に回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面研磨装置の上定盤と下定盤との間に配されたキャリアに保持される被研磨体を研磨する研磨工程で複数の被研磨体を効率良く装填作業できる被研磨体装填治具及び被研磨体の研磨方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上主平面と下主平面とを有する被研磨体(ワーク)を両面研磨する研磨工程においては、上定盤と下定盤とを有する両面研磨装置により、複数の被研磨体の上主平面及び下主平面を同時に研磨している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
両面研磨装置においては、上定盤と下定盤との間に配されたキャリアに複数の保持孔が設けられており、研磨工程が終了すると、作業員がキャリアの各保持孔から被研磨体を取出した後、手作業によりキャリアの各保持孔に被研磨体を1枚ずつ挿入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−355752号公報
【特許文献2】特開2006−212734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、両面研磨装置のキャリアの各保持孔に被研磨体を挿入する作業工程では、キャリアに多数の保持孔が設けられているので、作業員が全ての保持孔に被研磨体を挿入するまでかなりの時間を要することになり、その分両面研磨装置を停止させている時間(非研磨時間)が長くなり、両面研磨装置による研磨効率が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した被研磨体装填治具及び被研磨体の研磨方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、上定盤と下定盤を有する両面研磨装置を用いて、前記上定盤と前記下定盤との間に配されたキャリアに保持される被研磨体を研磨する研磨工程で、前記キャリアに設けられた複数の保持孔の夫々に前記複数の被研磨体を同時に装填する被研磨体装填治具であって、
前記キャリアの前記複数の保持孔に対向するように配置された複数の挿入孔を有する第1の治具と、
前記第1の治具の上面に重ねられ、前記キャリアの前記複数の保持孔に装填される前記複数の被研磨体を待機させるための複数の待機孔を有する第2の治具と、を備え、
前記第1の治具及び前記第2の治具は、夫々の接触面が互いに水平方向にスライド可能に支持されていることを特徴とする。
(2)本発明の前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、前記第1の治具が前記キャリアの上面に載置され、前記第2の治具がスライドされることで、前記被研磨体が待機孔及び挿入孔を通過しながら前記保持孔内に収納できるように開口されていることを特徴とする。
(3)本発明は、前記複数の待機孔の夫々に前記複数の被研磨体を収納させる際の前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、互いにずれた位置にあり、前記第1の治具が前記キャリアの上面に載置された後、前記第2の治具が前記第1の治具の上面に沿ってスライドされることで、前記被研磨体が前記複数の待機孔及び前記複数の挿入孔を通過できるようにするとともに、前記複数の待機孔に収納された前記複数の被研磨体が同時に落下して前記キャリアの複数の保持孔に挿入されることを特徴とする。
(4)本発明の前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、前記被研磨体よりも大きく、前記キャリアの保持孔と同一または小さく形成されていることを特徴とする。
(5)本発明の前記第1の治具と前記第2の治具は、平面部の中心を前記キャリアの上面の中心と位置合わせを行う中心位置決め部を有することを特徴とする。
(6)本発明の前記中心位置決め部は、前記キャリアの中心に形成されたセンタ孔に嵌合される嵌合部を有し、
前記嵌合部は、前記センタ孔よりも若干小さい寸法に形成されることを特徴とする。
(7)本発明の前記第1の治具及び前記第2の治具は、前記嵌合部が前記キャリアのセンタ孔に嵌合して位置決めされた状態で、前記キャリアの周方向に回動されて当該キャリアに対する周方向位置が位置合わせされることを特徴とする。
(8)本発明の前記第1の治具は、前記キャリアに対する周方向の位置を位置合わせするための位置決め部を有することを特徴とする。
(9)本発明の前記第1の治具または前記第2の治具のうち、少なくとも前記第1の治具の外周に、環状に形成された補強用リブを設けたことを特徴とする。
(10)本発明の前記第1の治具は、前記第2の治具を押える押え部を有することを特徴とする。
(11)本発明の前記第1の治具または前記第2の治具のうち、少なくとも前記第1の治具の平面部が透明部材により形成されることを特徴とする。
(12)本発明の前記第1の治具は、前記キャリアとの間に隙間を形成する突起を有することを特徴とする。
(13)本発明の前記被研磨体は、磁気ディスク用ガラス基板であることを特徴とする。
(14)本発明は、被研磨体の上主平面及び下主平面を同時に研磨する被研磨体の研磨方法において、
請求項1乃至13の何れかに記載の被研磨体装填治具を用いて複数の被研磨体をキャリアの各保持孔にセットすることを特徴とする。
(15)本発明は、主平面と側面とを有する板形状のガラス素基板を、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面を面取り加工する加工工程と、ガラス基板の側面部と面取り部を端面研磨する研磨工程1と、前記ガラス基板の主平面を研磨する研磨工程2と、前記ガラス基板の精密洗浄を行って磁気ディスク用ガラス基板を得る洗浄工程とを有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記研磨工程2では、請求項1乃至13の何れかに記載の被研磨体装填治具を用いて複数のガラス基板をキャリアの各保持孔にセットした後、前記複数のガラス基板を研磨することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の治具の上面に重ねられた第2の治具の複数の待機孔を、キャリアの複数の保持孔に一致するようにスライドさせることで、複数の待機孔に収納された複数の被研磨体は第1の治具の複数の挿入孔を通過してキャリアの複数の保持孔に一括して挿入させることが可能になり、両面研磨装置の停止時間を短縮して研磨効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による被研磨体装填治具の一実施例の斜視図である。
【図2】被研磨体装填治具の平面図である。
【図3A】図2中A−A線に沿う被研磨体装填治具の縦断面図である。
【図3B】被研磨体装填治具のセンタ位置決め部を拡大して示す図である。
【図3C】被研磨体装填治具の周縁部を拡大して示す図である。
【図4A】第1の治具の挿入孔と第2の治具の待機孔を重ねた状態を拡大して示す縦断面図である。
【図4B】キャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させ、第2の治具の待機孔をずらした状態を拡大して示す縦断面図である。
【図4C】キャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させ、且つ第2の治具の待機孔を一致させ、ガラス基板Wが保持孔に装填された状態を拡大して示す縦断面図である。
【図5】両面研磨装置の概略構成を示す正面図である。
【図6】上定盤と下定盤との間にキャリアが介在する構成を示す斜視図である。
【図7】下定盤に配された各キャリアの配置を示す平面図である。
【図8】上定盤が降下した研磨状態を示す正面図である。
【図9】被研磨体装填治具の変形例1を示す平面図である。
【図10A】図9中B−B線に沿う被研磨体装填治具の変形例1を示す縦断面図である。
【図10B】被研磨体装填治具の変形例1の周縁部を拡大して示す図である。
【図10C】被研磨体装填治具の変形例2の周縁部を拡大して示す図である。
【図11A】変形例3のキャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させる位置決め部を拡大して示す縦断面図である。
【図11B】変形例3のキャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させ、且つ第2の治具の待機孔を一致させた状態を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
〔被研磨体装填治具の構成〕
図1は本発明による被研磨体装填治具の一実施例の斜視図である。図2は被研磨体装填治具の平面図である。以下では、磁気記録用ディスクに用いられるガラス基板を被研磨体として両面研磨する場合について説明する。
【0012】
図1及び図2に示されるように、被研磨体装填治具10は、第1の治具20の上面に第2の治具30をスライド可能に重ね合わせた構成とされている。
【0013】
第1の治具20は、円形に形成された第1の平面部22と、第1の平面部22の外周に結合されて環状に形成された補強用リブ24とを有する。第1の平面部22は、被研磨体としてのガラス基板が通過するための円形の複数の挿入孔40が設けられている。
【0014】
また、第1の平面部22は、比較的軟らかい樹脂材(例えば、塩化ビニル:PVC(Poly vinyl chloride))により形成されており、ガラス基板に接触してもガラス基板を損傷しないように構成されている。
【0015】
また、第1の平面部22の下面には、キャリア上面と密着しないように隙間を形成するための複数の突起27が所定間隔で設けられている。
【0016】
複数の挿入孔40は、後述する両面研磨装置のキャリアに設けられた複数の保持孔と同じ配列パターン(各孔の中心のピッチがキャリアの保持孔と同じ)となるように形成されている。また、各挿入孔40の内径は、ガラス基板の外径よりも若干大径となるように形成されている。
【0017】
尚、第1の治具20においては、被研磨体が接触する第1の平面部22の上面に、例えば、不織布、発砲ポリウレタンなどからなる保護材を設けることが、接触による被研磨体へのキズ発生を抑制する観点から好ましい。
【0018】
補強用リブ24は、例えば、アルミニウムなどの金属により環状に形成されており、下面に第1の平面部22の周縁部が締結されている。また、補強用リブ24の外周面の2箇所には、コ字状に形成された一対の取っ手26が固定されている。一対の取っ手26は、環状に形成された補強用リブ24の外周に180度間隔となる位置に設けられ、作業員が両手で持ちやすいように設けられている。尚、被研磨体装填治具10は、軽量化されているため、1人の作業員が操作することが可能である。
【0019】
第2の治具30は、比較的軟らかい樹脂材(例えば、塩化ビニール)により形成された第2の平面部32を有する。第2の平面部32は、第1の平面部22と同様に、比較的軟らかい樹脂材(例えば、塩化ビニル:PVC(Poly vinyl chloride))により形成されているので、ガラス基板に接触してもガラス基板を損傷しないように構成されている。
【0020】
第2の平面部32は、ガラス基板が収納される円形の複数の待機孔50を有する。この複数の待機孔50は、第1の治具20がキャリアの上面に載置され、第2の治具30がスライドされることで、被研磨体であるガラス基板が待機孔50及び挿入孔40を通過しながら当該キャリア110の保持孔112内に収納できるように開口されている(図4C参照)。
【0021】
図1及び図2に示されるように、複数の待機孔50の夫々に複数の被研磨体を収納させる際の複数の挿入孔40と複数の待機孔50は、互いにずれた位置にある。そして、第1の治具20がキャリア110の上面に載置(図4B参照)された後、第2の治具30が第1の治具20の上面に沿ってスライドされることで、被研磨体が複数の待機孔50及び複数の挿入孔40を通過できるようにするとともに、複数の待機孔50に収納された複数の被研磨体が同時に落下してキャリア110の複数の保持孔112に挿入される(図4C参照)。
【0022】
また、第1の平面部22及び第2の平面部32は、被研磨体をキャリア110の保持孔112に装填する際に湾曲しない厚さに形成されたシート状部材からなる。なお、第1の平面部22及び第2の平面部32を、透明部材または所定の色を有する半透明部材により構成すれば、作業員は、上方から下方のキャリアを目視できるので、位置合わせが容易となり、より好ましい。
【0023】
尚、複数の挿入孔40及び複数の待機孔50は同芯円周内で均等となるように配される。また、各挿入孔40と各待機孔50は、被研磨体としてのガラス基板よりも大きく、後述するキャリア110の保持孔112と同一又はそれよりも小さく形成されている。また、第1の平面部22及び第2の平面部32のうち少なくとも第1の平面部22が透明であれば、キャリア110との位置合わせが容易となり、より好ましい。
【0024】
図3Aは図2中A−A線に沿う被研磨体装填治具の縦断面図である。図3Bは被研磨体装填治具のセンタ位置決め部を拡大して示す図である。
【0025】
図3A及び図3Bに示されるように、第1の平面部22及び第2の平面部32は、中心を貫通する中心位置決め部60が設けられている。この中心位置決め部60は、第1の平面部22及び第2の平面部32の中心孔を貫通する軸62と、軸62の下端に設けられた鍔部64と、軸62の上部に形成された雄ねじ部66とを有する。
【0026】
雄ねじ部66には、2つのナット68,69が螺合されており、ナット68,69の締付けにより鍔部64が第1の平面部22の下面に当接する。従って、中心位置決め部60は、第1の平面部22及び第2の平面部32が軸62を中心に相互に回動可能となるように支持している。すなわち、第1の平面部22及び第2の平面部32は、中心部分が鍔部64とナット68,69との間で回動可能に保持されている。
【0027】
第2の平面部32は、上面に半径方向に延在するように起立する操作部70が設けられている。従って、操作部70が回動操作されると共に、第2の平面部32が第1の平面部22に対して水平方向(周方向)にスライドして複数の挿入孔40と複数の待機孔50との相対位置を一致させることができる。
【0028】
また、操作部70は、上端が補強用リブ24よりも高く形成され、且つ外周側に延在する端部72が補強用リブ24の外側に突出している。また、補強用リブ24の上面には、操作部70の回動操作範囲βを規制する一対のストッパ71、71を有する。尚、一対のストッパ71、71は、各挿入孔40と各待機孔50との周方向のずらし量(角度α)よりも回動操作範囲βが広くなるように、周方向の離間距離が設けられている(β>α)。操作部70は、図2中実線で示す位置から図2中一点鎖線で示す位置に回動操作されると、第1の平面部22の上面に対して第2の平面部32を部分的に接触させながら回動させる。
【0029】
作業員は、後述する両面研磨装置200(図5参照)に複数のガラス基板を装填する際、操作部70を回動操作することで、第2の平面部32を中心位置決め部60の軸62を中心に回動させ、複数の待機孔50の位置を複数の挿入孔40に一致する位置に移動させることができる。
【0030】
また、中心位置決め部60の鍔部64は、両面研磨装置のキャリア110のセンタ孔114に嵌合されることで、被研磨体装填治具10の中心をキャリア110の中心と一致するように位置決めする。尚、鍔部64は、外径がセンタ孔114の内径より若干小径であるので、作業員は被研磨体装填治具10の中心の位置合わせを容易に行える。
【0031】
また、図3Aに示されるように、第1の平面部22の下面には、キャリア110の上面と密着しないように隙間を形成するための複数の突起27が所定間隔で設けられている。例えば、キャリア110の上面に研磨液や水等の液体が存在すると、キャリア110の上面が第1の平面部22の下面へ隙間なく密着されることで強固に吸着されることがある。この場合、被研磨体装填治具10を上方に取り外す際に、キャリア110を一緒に持ち上げてしまい、キャリア110が両面研磨装置の所定の位置から外れてしまう、またはキャリア110が位置ずれを起こしてしまう、などの不具合が発生するおそれがある。そこで、第1の平面部22の下面に、複数の突起27を所定間隔で設けることにより、キャリア110の上面が第1の平面部22の下面に密着して強固に吸着することを防止できる。そのため、キャリア110の上面に載置された被研磨体装填治具10を容易に取り外すことができる。
【0032】
図3Cは被研磨体装填治具の周縁部を拡大して示す図である。図3Cに示されるように、補強用リブ24は、断面形状が長方形に形成されており、その下面には第1の平面部22の外周縁部がビス25により締結されている。第1の平面部22は、補強用リブ24に固着されているため、平面状態を維持することができる。
【0033】
また、補強用リブ24の内周面には、第2の平面部32の外周縁部が対向するように挿入される。そのため、被研磨体装填治具10をキャリア110の上面に載置する際は、補強用リブ24によって第1の平面部22及び第2の平面部32及び複数の待機孔50に挿入された各ガラス基板の荷重が支えられる。
〔ガラス基板の装填操作〕
図4Aは第1の治具の挿入孔と第2の治具の待機孔を重ねた状態を拡大して示す縦断面図である。図4Aに示されるように、各挿入孔40の内径D1は、各待機孔50の内径D2とほぼ同径であり(D1≒D2)、且つ被研磨体(ガラス基板)の外径よりも若干大きい。また、下側の挿入孔40の内周上縁部は、ガラス基板を落下させる際、ガラス基板の外周縁部をセンタ側に導くように面取り42が設けられている。
【0034】
図4Bはキャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させ、第2の治具の待機孔をずらした状態を拡大して示す縦断面図である。図4Bに示されるように、被研磨体装填治具10は、予め両面研磨装置200に搬送される前に複数のガラス基板Wが複数の待機孔50に挿入される。また、被研磨体装填治具10は、キャリア110の上面に載置されると共に、中心位置決め部60の鍔部64をキャリア110のセンタ孔114に嵌合させて中心位置を位置決めされる。
【0035】
被研磨体装填治具10において、装填作業前の段階では、複数の挿入孔40に対して複数の待機孔50の位置が水平方向に所定角度(図2の角度α)ずらしてある。そのため、ガラス基板Wは、各待機孔50に挿入されると、その下方にある第1の平面部22の上面に載置された状態となる。尚、ガラス基板Wの下面に接触する第1の平面部22の上面としては、挿入孔40の周囲を囲む部分のうち三日月形状とされた領域に載置されるので、接触面積が小さい。
【0036】
また、被研磨体装填治具10は、キャリア110の数よりも多数用意することで、両面研磨装置200の各キャリアへの装填作業を効率良くできる。
【0037】
図4Cはキャリアの保持孔112と第1の治具の挿入孔40とを一致させ、且つ第2の治具の待機孔50を一致させ、ガラス基板Wが保持孔112に装填された状態を拡大して示す縦断面図である。図4Cに示されるように、第1の平面部22及び第2の平面部32の中心位置をキャリア110の中心に位置合わせした後、第1の平面部22を周方向に回動させて複数の挿入孔40の位置をキャリア110の各保持孔112の位置に一致させる。そして、上記操作部70を周方向にスライド操作(回動操作)することにより、第2の平面部32が中心位置決め部60を中心に回動して、複数の待機孔50を複数の挿入孔40と一致する位置に移動させる。
【0038】
そして、複数の待機孔50が複数の挿入孔40と一致したとき、各待機孔50の下方に存在する第1の平面部22が相対的に各待機孔50から離間している。そのため、各待機孔50に収納された各ガラス基板Wは、自重により各挿入孔40を通過しながらキャリア110の保持孔112に落下して装填される。このように、被研磨体装填治具10を用いてキャリア110に対する中心位置及び周方向位置を位置合わせした後、操作部70を所定角度回動操作することにより複数の待機孔50に収納された全ガラス基板Wを一括してキャリア110の各保持孔112に装填でき、両面研磨装置へのガラス基板装填時間を短縮できる。
〔両面研磨装置の構成〕
図5は両面研磨装置の概略構成を示す正面図である。尚、図5においては、後述する、図6に示すサンギヤ203とインターナルギヤ205を省略する。
【0039】
図5に示されるように、両面研磨装置200は、複数のガラス基板Wの上主平面及び下主平面を同時に研磨するように構成されており、基台220と、上定盤201と、下定盤202と、昇降機構208とを有する。基台220の上部には、下定盤202が回転可能に支持されており、基台220の内部には、上定盤201を駆動する定盤駆動モータが取り付けられている。
【0040】
上定盤201は、下定盤202の上方に対向配置され、キャリア110に保持された複数のガラス基板Wの上主平面を研磨する上側研磨パッド130を有する。また、下定盤202は、キャリア110に保持された複数のガラス基板Wの下主平面を研磨する下側研磨パッド140を有する。
【0041】
昇降機構208は、基台220の上方に起立する門型のフレーム206により支持されており、ガラス基板交換時に上定盤201を上昇させる昇降用シリンダ装置209を有する。昇降用シリンダ装置209は、フレーム206の中央に取り付けられている。昇降用シリンダ装置209のピストンロッド254は、下方に延在しており、その下端部には上定盤201を支持する支持機構207が連結されている。
【0042】
支持機構207は、下方に延在する支柱207aと、上定盤201の上面に固定された固定ベース207bとを有する。固定ベース207bには、定盤駆動モータの回転軸205に設けられた溝262aに結合されるロック機構260が設けられている。
【0043】
ロック機構260は、溝262aに結合されるロックピン281と、ロックピン281を固定ベース207bに連結する軸282とを有する。
【0044】
上定盤201は、昇降用シリンダ装置209のピストンロッド254の昇動作によりガラス基板交換時に上昇し、研磨時には降下する。また、昇降機構208の昇降用シリンダ装置209、及び定盤駆動モータは、制御部210により制御される。
〔キャリアの取付構造〕
図6は上定盤と下定盤との間にキャリアが介在する構成を示す斜視図である。図7は下定盤に配された各キャリアの配置を示す平面図である。
【0045】
図6及び図7に示されるように、上定盤201は、回転軸150により回転可能に支持されている。また、回転軸150に設けられたサンギヤ203は、複数のキャリア110の外周に形成されたギヤ204に噛合している。さらに、複数のキャリア110のギヤ204は、インターナルギヤ205に噛合している。これらの各ギヤ203、204、205は遊星歯車機構を構成しており、各キャリア110はサンギヤ203とインターナルギヤ205の回転により自転しながら回転軸150の周囲を公転する。
【0046】
これにより、各キャリア110の保持孔112に挿入されたガラス基板Wは、上定盤201に固定された上側研磨パッド130及び下定盤202に固定された下側研磨パッド140に摺接しながら両面研磨される。また、各キャリア110の中心には、被研磨体装填治具10の中心位置決め部60が嵌合して位置決めされるセンタ孔114が設けられている。
〔ガラス基板の研磨作業手順〕
ここで、被研磨体装填治具10を用いて複数のガラス基板Wをキャリア110の各保持孔112に装填する作業手順について説明する。
(手順1) 被研磨体装填治具10を用いて複数のガラス基板Wをキャリア110の各保持孔112に装填作業を行う際は、昇降用シリンダ装置209のピストンロッド254を上昇させて上定盤201をキャリア110から離間させる(図5参照)。
(手順2) 研磨工程が終了した各ガラス基板Wをキャリア110の保持孔112から回収して洗浄工程へ搬送する。
(手順3) 次に、ガラス基板Wが各待機孔50に収納された被研磨体装填治具10の取っ手26を把持し、当該被研磨体装填治具10を両面研磨装置200のキャリア110の上方に載置する。
(手順4) 被研磨体装填治具10の中心位置決め部60の下端に設けられた鍔部64をキャリア110の中心に設けられたセンタ孔114に嵌合させて被研磨体装填治具10の中心位置をキャリア110の中心に一致させる(図3B参照)。
(手順5) 被研磨体装填治具10を周方向に回動させて第1の治具20の各挿入孔40の位置をキャリア110の各保持孔112に一致させる(図4B参照)。尚、第1の治具20の各挿入孔40及び第2の治具30の各待機孔50は、キャリア110の各保持孔112と同じ配列パターン(各孔のピッチ及び距離が同じとなるパターン)で設けられているので、複数の待機孔50のうち1箇所の待機孔50の位置を挿入孔40に一致させれば、他の待機孔50の位置も全て挿入孔40に一致させることができる。
(手順6) 被研磨体装填治具10の操作部70を周方向に回動操作して第2の治具30を周方向に所定角度回動させる。これにより、第2の治具30の各待機孔50は、予め第1の治具20の各挿入孔40に対して所定角度(例えば、図2に示す角度α)にずらしている場合は、当該所定角度分周方向に回動される。
(手順7) 第2の治具30の各待機孔50が第1の治具20の各挿入孔40と一致する位置に回動されたとき、各待機孔50に収納された各ガラス基板Wは、待機孔50及び挿入孔40を通過しながら自重でキャリア110の各保持孔112に同時に落下し、一括して装填される(図4C参照)。これで、キャリア110の各保持孔112に装填された各ガラス基板Wは、下面が下定盤202の下側研磨パッド140に摺接した状態に保持される。例えば、1台の両面研磨装置200に5枚のキャリア110が設けられている場合には、この被研磨体装填治具10を用いた装填作業を5回行う。尚、上記被研磨体装填治具10を用いたガラス基板Wの装填作業は、一人の作業員が行っても良いし、あるいは複数の作業員が協働して行っても良い。
(手順8) 各キャリア110の全保持孔112にガラス基板Wが装填された後は、被研磨体装填治具10の取っ手26を把持して被研磨体装填治具10を両面研磨装置200から除去する。
(手順9) 図8に示されるように、両面研磨装置200の昇降用シリンダ装置209を作動させてピストンロッド254を降下させ、上定盤201の上側研磨パッド130を被研磨体であるガラス基板Wの上面に当接させる(図8において、サンギヤ203とインターナルギヤ205を省略する)。
(手順10) ロック機構260のロックピン281を、回転軸205の溝262aに結合させる。この後は、駆動モータにより上定盤201及び下定盤202、サンギヤ203及びインターナルギヤ205を回転させて上記キャリア110の各保持孔112に挿入された各ガラス基板Wの上主平面、下主平面を研磨する。
【0047】
このように、被研磨体装填治具10を用いた場合、各キャリア110に対して複数のガラス基板Wを一括して装填できるので、ガラス基板Wを装填するのに要する装填作業に要する時間が大幅に短縮され、その分両面研磨装置200の停止時間が短縮されて研磨工程の研磨効率が高められる。
【0048】
ここで、変形例について説明する。
〔変形例1〕
図9は被研磨体装填治具の変形例を示す平面図である。図10Aは図9中B−B線に沿う被研磨体装填治具の変形例1を示す縦断面図である。図10Bは被研磨体装填治具の変形例1の周縁部を拡大して示す図である。尚、図9、図10A、図10Bにおいて、前述した実施例と同一部分には、同一符合を付してその説明を省略する。
【0049】
図9及び図10Aに示されるように、変形例1の被研磨体装填治具10Aは、補強用リブ部24が樹脂材により形成されている。そのため、上記実施例のものよりも軽量化が図られている。
【0050】
また、補強用リブ24は、複数箇所(例えば、周方向の4箇所)に第2の治具30を上方から押える押え部300を有する。各押え部300は、環状に形成された補強用リブ24の周方向に等間隔(4箇所の場合は90°間隔)で設けられている。
【0051】
図10Bに示されるように、押え部300は、金属板(例えば、耐食性を有するステンレスなど)をクランク形状に曲げ加工したものであり、補強用リブ24の上面にビス306により固定される固定部302と、補強用リブ24の内側に延在して第2の平面部32の周縁部に当接する当接部304とを有する。押え部300は、補強用リブ24の上面に固定されることで、当接部304が第2の平面部32を第1の平面部22に密着させる。
【0052】
これにより、第2の平面部32は、第1の平面部22に押圧された密着状態に保持されるため、第2の治具30の各待機孔50を第1の治具20の各挿入孔40に一致させるように回動操作させる際(前述した手順6参照)、ガラス基板Wが第1の治具20と第2の治具30との間の隙間に挟まれる噛み込み現象が防止される。
【0053】
これは、複数のガラス基板Wの質量によって第1の治具20又は第2の治具30のうち少なくとも一方が下方に撓み、第1の治具20と第2の治具30との間に隙間が発生するおそれがある。しかしながら、上記押え部300を複数箇所に設けることにより、第2の平面部32の周縁部を第1の平面部22に密着させて上記噛み込み現象の発生を抑制できる。
〔変形例2〕
図10Cは被研磨体装填治具の変形例2の周縁部を拡大して示す図である。図10Cに示されるように、変形例2では、補強用リブ24の内周側に突出する押え部310が補強用リブ24と一体に設けられている。押え部310は、補強用リブ24の内周側の複数箇所に設けられており、第1の治具20の上面に第2の治具30を載置された状態に第2の治具30の外周縁部を挟持する。
【0054】
そのため、変形例2においても、上記変形例1の場合と同様に、第2の平面部32は、第1の平面部22に押圧された密着状態に保持されるため、第2の治具30の各待機孔50を第1の治具20の各挿入孔40に一致させるように回動操作させる際(前述した手順6参照)、ガラス基板Wが第1の治具20と第2の治具30との間の隙間に挟まれる噛み込み現象が防止される。
〔変形例3〕
図11Aは変形例3のキャリアの保持孔と第1の治具の挿入孔とを一致させる位置決め部を拡大して示す縦断面図である。図11Aに示されるように、キャリア110には位置決め用孔116が設けられている。また、第1の治具20の下面には、位置決めピン28が下方に突出している。尚、位置決めピン28は、キャリア110の厚さよりも突出長さが短く形成されており、キャリア110の下側に配された下側研磨パッド140を損傷させないように設けられている。
【0055】
また、位置決めピン28は、外径が位置決め用孔116より小径であるので、第1の治具20を周方向に回動させて位置決め用孔116の上方に対向する位置に達したとき、第1の治具20及び第2の治具30及び複数のガラス基板の荷重により位置決め用孔116に嵌合する。これにより、第1の治具20の各挿入孔40は、キャリア110の各保持孔112と一致する位置に位置決めされる。このように、前述した第1の平面部22及び第2の平面部32の中心位置をキャリア110の中心に位置合わせした後、第1の平面部22を周方向に回動させることで、位置決めピン28が位置決め用孔116に嵌合して複数の挿入孔40の位置をキャリア110の各保持孔112の位置に合わせることができる。
【0056】
図11Bは変形例3のキャリアの保持孔112と第1の治具の挿入孔40とを一致させ、且つ第2の治具の待機孔50を一致させ、ガラス基板Wが保持孔112に装填された状態を拡大して示す縦断面図である。図11Bに示されるように、前述した操作部70を周方向にスライド操作することにより、第2の平面部32が中心位置決め部60を中心に回動して、複数の待機孔50を複数の挿入孔40と一致する位置に移動させる。
【0057】
そして、複数の待機孔50が複数の挿入孔40と一致したとき、複数の待機孔50に収納された各ガラス基板Wは、自重により各挿入孔40を通過キャリア110の保持孔112に落下して装填される。
【0058】
本変形例3では、第1の平面部22を周方向に回動させて位置決めピン28を位置決め用孔116に嵌合させることにより、複数の挿入孔40の位置をキャリア110の各保持孔112の位置に正確に合わせることができるので、位置合せの作業時間を短縮できる。
〔磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について〕
一般に、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程は、以下の工程を含む。(工程1)フロート法、フュージョン法またはプレス成形法で成形されたガラス素基板を、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面を面取り加工する。
(工程2)ガラス基板の側面部と面取り部を端面研磨する。
(工程3)ガラス基板の主平面を研磨する。研磨工程は、1次研磨のみでもよく、1次研磨と2次研磨を行ってもよく、2次研磨の後に3次研磨を行ってもよい。
(工程4)ガラス基板の精密洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板を得る。
(工程5)磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層などの薄膜を形成し、磁気ディスクを製造する。
【0059】
上記磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程において、(工程2)端面研磨工程の前後のうち少なくとも一方で主平面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)を実施してもよく、各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。なお、主平面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)は広義の主平面の研磨である。
【0060】
さらに、磁気ディスク用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
【0061】
本発明において、磁気ディスク用ガラス基板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラス(例えば、化学強化ガラス)でもよい。また、本発明のガラス基板のガラス素基板は、フロート法で造られたものでもよく、フュージョン法で造られたものでもよく、プレス成形法で造られたものでもよい。
【0062】
本発明は、両面研磨装置を用いてガラス基板の主平面を研磨する工程に関し、磁気ディスク用ガラス基板の研磨に係るものである。本発明は、ガラス基板の主平面を研磨する工程で適用でき、主平面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)、1次研磨、2次研磨、3次研磨などの研磨工程に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上記実施例では、磁気記録用のガラス基板を研磨する両面研磨装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、これ以外の用途で使用されるガラスを研磨するものにも本発明を適用できるのは勿論である。
【0064】
また、本発明が適用できるガラス基板としては、磁気記録媒体用、フォトマスク用、液晶や有機EL等のディスプレイ用、光ピックアップ素子や光学フィルタ、光学レンズ等の光学部品用などのガラス基板が具体的なものとして挙げられる。
【0065】
また、下定盤に載置されるガラス基板の枚数及びキャリアの枚数は、上記実施例に限るものではなく、一回の研磨工程で複数のガラス基板を同時に研磨できるものであれば良い。
【0066】
また、上記実施例では、エアシリンダを用いて上定盤を昇降させる構成のものを例示したが、これに限らず、エアシリンダ以外の駆動手段を用いて上定盤を昇降させる構成でも良いのは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
10、10A 被研磨体装填治具
20 第1の治具
22 第1の平面部
24 補強用リブ
26 取っ手
27 突起
28 位置決めピン
30 第2の治具
32 第2の平面部
40 挿入孔
42 面取り
50 待機孔
60 中心位置決め部
62 軸
64 鍔部
66 雄ねじ部
68,69 ナット
70 操作部
71 ストッパ
110 キャリア
112 保持孔
114 センタ孔
116 位置決め用孔
130 上側研磨パッド
140 下側研磨パッド
150 回転軸
200 両面研磨装置
220 基台
201 上定盤
202 下定盤
203 サンギヤ
204 ギヤ
205 インターナルギヤ
208 昇降機構
209 昇降用シリンダ装置
205 回転軸
206 フレーム
207 支持機構
254 ピストンロッド
260 ロック機構
262a 溝
281 ロックピン
282 軸
300、310 押え部
302 固定部
304 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上定盤と下定盤を有する両面研磨装置を用いて、前記上定盤と前記下定盤との間に配されたキャリアに保持される被研磨体を研磨する研磨工程で、前記キャリアに設けられた複数の保持孔の夫々に複数の被研磨体を同時に装填する被研磨体装填治具であって、
前記キャリアの前記複数の保持孔に対向するように配置された複数の挿入孔を有する第1の治具と、
前記第1の治具の上面に重ねられ、前記キャリアの前記複数の保持孔に装填される前記複数の被研磨体を待機させるための複数の待機孔を有する第2の治具と、を備え、
前記第1の治具及び前記第2の治具は、夫々の接触面が互いに水平方向にスライド可能に支持されていることを特徴とする被研磨体装填治具。
【請求項2】
前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、前記第1の治具が前記キャリアの上面に載置され、前記第2の治具がスライドされることで、前記被研磨体が待機孔及び挿入孔を通過しながら前記保持孔内に収納できるように開口されている請求項1に記載の被研磨体装填治具。
【請求項3】
前記複数の待機孔の夫々に前記複数の被研磨体を収納させる際の前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、互いにずれた位置にあり、前記第1の治具が前記キャリアの上面に載置された後、前記第2の治具が前記第1の治具の上面に沿ってスライドされることで、前記被研磨体が前記複数の待機孔及び前記複数の挿入孔を通過できるようにするとともに、前記複数の待機孔に収納された前記複数の被研磨体が同時に落下して前記キャリアの複数の保持孔に挿入される請求項2に記載の被研磨体装填治具。
【請求項4】
前記複数の挿入孔と前記複数の待機孔は、前記被研磨体よりも大きく、前記キャリアの保持孔と同一または小さく形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項5】
前記第1の治具と前記第2の治具は、平面部の中心を前記キャリアの上面の中心と位置合わせを行う中心位置決め部を有する請求項1乃至4の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項6】
前記中心位置決め部は、前記キャリアの中心に形成されたセンタ孔に嵌合される嵌合部を有し、
前記嵌合部は、前記センタ孔よりも若干小さい寸法に形成される請求項5に記載の被研磨体装填治具。
【請求項7】
前記第1の治具及び前記第2の治具は、前記嵌合部が前記キャリアのセンタ孔に嵌合して位置決めされた状態で、前記キャリアの周方向に回動されて当該キャリアに対する周方向位置が位置合わせされる請求項6に記載の被研磨体装填治具。
【請求項8】
前記第1の治具は、前記キャリアに対する周方向の位置を位置合わせするための位置決め部を有する請求項1乃至7の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項9】
前記第1の治具または前記第2の治具のうち、少なくとも前記第1の治具の外周に、環状に形成された補強用リブを設ける請求項1乃至8の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項10】
前記第1の治具は、前記第2の治具を押える押え部を有する請求項9に記載の被研磨体装填治具。
【請求項11】
前記第1の治具または前記第2の治具のうち、少なくとも前記第2の治具の平面部が透明部材により形成される請求項1乃至10の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項12】
前記第1の治具は、前記キャリアとの間に隙間を形成する突起を有する請求項1乃至11の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項13】
前記被研磨体は、磁気ディスク用ガラス基板である請求項1乃至12の何れかに記載の被研磨体装填治具。
【請求項14】
被研磨体の上主平面及び下主平面を同時に研磨する被研磨体の研磨方法において、
請求項1乃至13の何れかに記載の被研磨体装填治具を用いて複数の被研磨体をキャリアの各保持孔にセットする被研磨体の研磨方法。
【請求項15】
主平面と側面とを有する板形状のガラス素基板を、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面を面取り加工する加工工程と、ガラス基板の側面部と面取り部を端面研磨する研磨工程1と、前記ガラス基板の主平面を研磨する研磨工程2と、前記ガラス基板の精密洗浄を行って磁気ディスク用ガラス基板を得る洗浄工程とを有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記研磨工程2では、請求項1乃至13の何れかに記載の被研磨体装填治具を用いて複数のガラス基板をキャリアの各保持孔にセットした後、前記複数のガラス基板を研磨する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2012−76191(P2012−76191A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224948(P2010−224948)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】