説明

被覆磁性粒子の調製方法

超常磁性結晶を含む被覆ポリマー粒子の調製方法であって、超常磁性結晶を含む直径0.5〜1.8μmの多孔性表面官能化ポリマー粒子を、少なくとも1つのポリイソシアネート及び少なくとも1つのジオール又は少なくとも1つのエポキシドと反応させることを含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆磁性ポリマー粒子の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性ポリマー粒子は、様々な医療分野および生化学分野において、例えば、医薬製品の運搬のための輸送ビヒクルとして、診断目的において、分離のため、および合成目的のため、一般に有用である。このような粒子は、これらの機能を行うためには、その磁気特性に依存している。診断アッセイ適用において、例えば、磁気ポリマー粒子に結合した分析物を含有するサンプルに磁場を適用することにより、遠心分離またはろ過の使用をすることなく、前記分析物を単離することが可能である;また、治療適用において、例えば、磁場を患者に適用することにより、薬物運搬磁気ポリマー粒子を所望の身体部位へ狙いをつけるのに用いることができる。
【0003】
磁気によりとは、ここでは、ポリマー粒子が超常磁性(super paramagnetic)結晶を含有することを意味する。したがって、この磁気ポリマー粒子は、磁気的に置き換え可能であるが、永久に磁化可能というものではない。磁気ポリマー粒子の製造方法が多く知られている。その多数は、マグヘマイト含有ポリマー粒子またはマグネタイト含有ポリマー粒子を、予備形成された磁気酸化鉄、例えば、マグネタイトから形成することを含む。それらの幾つかの関連方法は、米国特許出願公開第US−A−4,654,267(Ugelstad)(特許文献1)に記載されており、その内容はここに引例として組み入れる。
【0004】
すなわち、特許文献1では、前処理に関する幾つかの制限を概説する。磁性材質内に多孔性ポリマー粒子の孔を組み込むことの困難性というより一般的な問題と同様に、同様の大きさ及び/又は同質又は単一の磁性特性の磁性粒子を得る困難性を含む。
【0005】
基本的に前記表面又は大きく開いた孔に堆積させることで、磁性ポリマー粒子の実用的な寿命を短くし、磁性粒子の浸出が問題となった。
【0006】
これらの不都合を克服するために特許文献1では以下のような準備方法を提案した。すなわち、もっとも簡単な形状で、多孔性ポリマー粒子を鉄化合物の溶液に含浸させ、その後、例えば、pHの上昇により鉄を沈殿させる。ついで、沈殿した化合物を、加熱により超常磁性鉄酸化物結晶に変換できる。
【0007】
前記ポリマー孔内に配置した磁性材料を有する多孔性磁性ポリマー粒子を製造するために、特許文献1では、そのポリマー粒子に鉄イオンを引き寄せる表面官能基を有する多孔性ポリマー粒子を主張した。これらの官能基は、前記ポリマーの製造における官能化コモノマーの使用や、官能基を導入するための重合後のポリマー処理、例えば、ポリマー表面に存在する基への共役又は変換により得られる。
【0008】
特許文献1に開示の発明は、より均一な磁性粒子特性を有する磁性ポリマー粒子の製造方法の問題の一部を解決するが、前記ポリマー粒子から超常磁性結晶が溶出する問題は依然残っている。
【特許文献1】米国特許出願公開第4,654,267号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
我々は、驚くべきことに、ある大きさの粒子とすることでこの問題を解決でき、表面官能化磁性ポリマー粒子を、ポリイソシアネート/ジオールの組合せ又はエポキシドモノマーと反応させることにより、特に適当な表面特性を備えた磁性粒子を製造でき、“被覆”磁性ポリマー粒子を製造できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、第1の態様から見ると、本発明は、超常磁性結晶を含む被覆ポリマー粒子の調製方法であって、超常磁性結晶を含む直径0.5〜1.8μmの多孔性表面官能化被覆ポリマー粒子、より好ましくは直径0.75〜1.2μmのポリマー粒子、特には約1μmのポリマー粒子を、少なくとも1つのエポキシド化合物、好ましくは少なくとも2つのエポキシド化合物と反応させることを含む方法である。
【0011】
第2の態様から見ると、超常磁性結晶を含む多孔性表面官能化被覆ポリマー粒子の調製方法であって、超常磁性結晶を含む直径0.5〜1.8μmのポリマー粒子、より好ましくは直径0.75〜1.2μmのポリマー粒子、特には約1μmのポリマー粒子を、少なくとも1つのポリイソシアネート(例えばジイソシアネート)及び少なくとも一つ、好ましくは少なくとも2つのジオールと反応させることを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
好ましいジオールは、ポリエチレングリコールであるか、又は、式HO((CH2mO)nH(nは、1から15の整数であり、好ましくは2から4の整数であり、mは2から6の整数であり、好ましくは2又は3、もっとも好ましくは2である。)のジオールである。ジオールを1つのみ使用する場合、ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール300、400、500又は600が好ましい。
【0013】
本発明の方法で使用する前記多孔性ポリマー粒子は、官能化表面を有する多孔性ポリマーであればよく、例えば、米国特許出願公開第4,654,267号明細書に記載のものであってもよい。
【0014】
前記ポリマーの表面官能基は、その表面にポリイソシアネート又はエポキシドを共有的に結合するために、ポリイソシアネート又はエポキシドと反応可能な基、任意で活性化されている基が好ましい。
【0015】
前記ポリマーは、ビニル系ポリマー(例えば、スチレン)、アクリレート及び/又はメタクリレートの組合せから形成されるものが好ましい。前記ポリマー材料は、任意で、例えば、架橋剤、例えば、コモノマーとして、例えば、ジビニルベンゼン(DVB)、又は、エチレングリコールジメタクリレートの組み込みにより、架橋されていてもよい。DVBを含む粒子が好ましい。
【0016】
前記必要な架橋剤(例えば、コモノマー)の適量は当業者に知られているであろう。前記ポリマーは、架橋されたスチレンポリマー(例えば、コモノマーを含むニトロ基、例えば、ニトロ−スチレン使用及び続く還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー)、又は、コモノマーを含むエポキシ基(例えば、グリシジルメタクリレート)の使用、及びその後のアミン化(例えば、エチレンジアミンとの反応)により表面官能化された架橋(メタ)アクリル酸ポリマーである。
【0017】
本発明の方法に使用するポリマー粒子における超常磁性結晶は、多孔性ポリマー粒子中の超常磁性結晶形態中に沈殿されることが可能な材料であればいずれの種類でもよい。磁気酸化鉄、例えばマグネタイトまたはマグヘマイトが好ましい;しかしながら、前記結晶は、所望であれば、混合金属酸化物または他の磁気材料の種類であってもよい。存在する結晶磁気材料の全体量は、通常1%より多く、好ましくは3%より多く、望ましくは5%またはそれより多い(重量比で、例えば40重量%まで。割合は、被覆粒子の全体の乾燥重量を基にしたFe(または酸化鉄以外の磁気材料の場合、同等の金属)重量基準を基に計算する。
【0018】
本発明のポリマー粒子の大きさは、通常、0.5〜1.8μmの範囲であり、好ましくは、0.75〜1.2μmであり、好ましくは0.9〜1.1μmである。
【0019】
典型的には、使用する多孔性粒子の表面積は、2.7μmの平均粒子直径に補正すると(すなわち、2.7/MDによる相乗表面積、MDは、マイクロメータでの平均直径である)、一般的には、少なくとも15m2/g(BET窒素吸収法による測定)であり、より好ましくは少なくとも30m2/gであり、例えば、700m2/gまでである。同様に測定すると、前記粒子孔容積は少なくとも0.1mL/gが好ましい。
【0020】
前記ポリマー粒子は、それらが被覆される前は、球状でありかつ、実質的には単分散であるのが典型的であり、一旦それら粒子が被覆されても球状のままであり、実質的に単分散であるのが特に好ましい。
【0021】
実質的に単分散であるとは、複数の粒子(例えば、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000)において、前記粒子が20%未満の変動係数(CV)を有することを意味し、例えば、15%未満であり、好ましくは12%未満であり、より好ましくは11%であり、更により好ましくは10%未満であり、もっとも好ましくは約8%、例えば、2から5%にすぎないことである。CVは、以下の式の割合として算出される。
【0022】
CV=(100×標準偏差)/平均
【0023】
前記式中、平均は、平均粒子直径であり、標準偏差は、粒子サイズにおける標準偏差である。CVは、主最頻値を基に、すなわち、単一の分布曲線を検出粒子サイズ分布に適合させることにより、計算されるのが好ましい。したがって、最頻値サイズより小さいかまたは大きい粒子の幾つかは、計算において無視されてもよく、例えば、約90%(すなわち、検出可能な粒子の)の全粒子数を基にしてもよい。そのようなCVの測定は、コールター(Coulter)LS130粒子サイズ分析器で行うことができる。
【0024】
本発明で特に実用的な点は、WO01/70825で開示のアミノスチレンから部分的に作製されるWO99/19375(Dyno Industrier ASA)、WO00/61648(Dyno Specialty Polymers AS)に開示されているポリマー粒子である。これらの内容は本願に引用して援用する。
【0025】
あるいは、WO01/70825の開示と対照的に、ポリマー粒子の官能化を重合後に行うことができる点である。例えば、ニトロ化、ついで形成したニトロ基をペンダント・アミン基へ還元することにより;または、直接アミノ化、例えば、アミノエタノールで処理することにより、行うことができる。更なる別の選択肢としては、よく知られたUgelstadの2工程膨潤方法、およびWO00/61647(Dyno)に記載のその改良法により製造されたポリマー系粒子を用いてもよい。また、WO99/19375及びWO00/61648に開示の方法により調製したポリマー粒子も使用できる。これらの文献に開示の方法により製造した多孔性ポリマー粒子は、標準的な方法、例えば、前述のような方法によりそれらの孔に磁性粒子が配置されている。更なる可能性としては、多孔性ポリマー粒子は、ニトロスチレン及びDVBや、米国特許出願公開第4,654,267号明細書のように導入した磁性材料から調製してもよい。これらの方法すべてにおいて、アミノスチレン、特に4−アミノスチレンのモノマー又はコモノマーとしての使用が、アミノ保持ポリマー材料の調製において好ましい。このモノマー又はコモノマーの使用は、重合後のニトロ化および還元反応の必要性を防ぐ。さらには、この方法により得られる被覆のより予想可能な特性(均質性)は、より正確な被覆を可能にする。
【0026】
多孔性磁性ポリマー粒子と前記エポキシド又はポリイソシアネートとの反応は、前記ポリマー粒子の孔内にポリマーを生じさせる。前記ポリマーは、前記ポリマー粒子内に超常磁性結晶を物理的に封入し、孔を本質的に防ぐ役割を果たす。ついで、ポリマーを“被覆”することにより、多孔性出発原料と比較して気孔率を減らすことができる。驚くべきことに、我々は、前記超常磁性結晶が重合を触媒し、その近傍で被覆が優先的に形成されることを見出した。
【0027】
必要に応じて、エポキシドポリマー被覆は、例えば、既知の方法でのイソシアネート又はジイソシアネートの使用による架橋であってもよい。必要に応じて更なる材料を、被覆重合反応前又は被覆重合後ではあるが被覆ポリマー架橋前に、前記多孔性粒子に含浸させてもよい。一般的には、このようなさらなる材料は、発光体又は吸収装置、例えば、発色団、蛍光団又は放射能標識材料であってもよい。
【0028】
前記粒子を1つのエポキシドと反応させて前記被覆を形成してもよい。適当なエポキシドとしては、グリシドール、アリルグリシジルエーテル又はグリシジルメタクリレートがあげられる。特に、塩化鉄(III)を結合したグリシジルメタクリレートを含む被覆反応は、有利な被覆が得られる。
【0029】
しかしながら、好ましい形態において、前記多孔性ポリマー粒子を、エポキシド、例えば、2−6エポキシド、特に2、3又は4エポキシドの混合物と反応させる。これらのうち、ジエポキシド又はポリエポキシドを少なくとも30mol%を含むことが好ましく、少なくとも45mol%を含むことがより好ましい。
【0030】
本発明において使用するエポキシド化合物は、少なくとも一つのジエポキシド、例えば、2つのエポキシドの組合せ又はモノエポキシド及びジエポキシドの組合せを含むことが好ましい。前記エポキシドは、少なくとも一つのエーテル結合、及び、任意で、疎水性成分、例えば、C4-10アルキレン鎖又はフェニル若しくはビスフェニル基を含むことが好ましい。通常、前記エポキシドは、3〜50の炭素原子を含み、好ましくは3〜25である。
【0031】
使用可能な典型的なエポキシドは、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール ジグリシジルエーテル(例えば、Mw150〜1000g/mol)、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、グリシドール、グリシジルメタクリレート、及びビスフェノールA又はビスフェノールF系エポキシド、例えば、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−プロパンを含む。
【0032】
特に好ましいエポキシドとしては、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−プロパン、アリルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル及びグリシドールを含む。特に、商標Aralditeを付したエポキシド固体が好ましく、例えば、商標Araldite LY−564(2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−プロパン及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの混合物)及び商標Araldite LY−026(純度80% 1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)が好ましい。
【0033】
単一のエポキシドを使用して行う第1の被覆反応、及び、少なくとも二つのエポキシドの混合物を使用して行う第2の被覆反応は本発明の範囲内である。
【0034】
その他の好ましい形態において、前記被覆粒子は、1以上(例えば、1、2又は3)のポリイソシアネート及び1以上(例えば、2、3又は4)のジオールから形成される。あるいは、ポリイソシアネートに近いものの混合物(例えば、Desmodur(商標))を使用できる。
【0035】
使用可能な典型的なポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)(及び異性体又はその混合物)、イソフロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、MDI及びMDI系オリゴマーの混合物(例えば、Desmodur(商標) VL)、2,4−ジフェニルジイソシアネート、メチレン−ビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)、1,6−ジイソシアネートヘキサン(DICH)、1,5−ジイソシアネートナフタレン(NDI)、パラテトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)又はメタテトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)があげられる。
【0036】
特に好ましいイソシアネートは、MDI又はMDI系ポリイソシアネート(例えば、Desmodur(商標))である。Desmodur(商標)は、MDI、及び、CH2−フェニルイソシアネート基を備えたMDIを含むそのオリゴマーを含む。すなわち、Desmodur(商標)は、MDI由来の種々のポリイソシアネートの混合物である。サンプルの構造は、
4,4−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート):40〜50%、
4,4−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)+ベンジルイソシアネート:20〜25%、
4,4−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)+2ベンジルイソシアネート:10%、
4,4−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)+3ベンジルイソシアネート:2%であってもよい。(このような反応において、前記産物は、2−異性体の一部を含む。)
前記化合物は、商標Caradate、及び、Huntsmanにより商標Hylene及びRubinateで販売されている。
【0037】
2つのジオールを使用することが好ましい。前記ジオールは、(0.5:1)〜(1:0.5)のモル比で使用することが好ましく、より好ましくは(0.8:1)〜(1:0.8)のモル比である。好ましくは、ジオール混合物において90mol%を超える量でいずれのジオールも使用しないことである。
【0038】
好ましいジオールは、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチレングリコール、例えば、PEG300、400又は600を含む。好ましいジオールの組合せは、ジエチレングリコール及びテトラエチレングリコールである。
【0039】
ポリイソシアネートを含む被覆反応の間、好ましくは、第1段階において、ポリイソシアネートを(例えば、ジオールに対して)過剰とすることである。被覆操作のこの段階でポリイソシアネートのみを使用することは、本発明の範囲内である。これにより、反応の間に生じるゲル化の可能性を最小限にすると考えられる。大過剰のポリイソシアネートを初期の被覆反応で使用すると、第2段階で、未反応のイソシアネート基と反応させるために更なるジオール(例えば、前記ジオール)と被覆粒子を反応させる必要がある。初期の被覆反応は、ポリイソシアネートのみを使用すると、その後、得られた粒子を少なくとも一つのジオールと反応させる必要がある。
【0040】
このような形態において、ジオールは、ポリエチレングリコールが好ましい。PEGジオールの長鎖は、粒子を被覆した表面間での多くのリンカーの形成を可能にし、ストレプトアビジンのような親和性リガンドとの反応を容易にさせる。
【0041】
すなわち、被覆するために、前記粒子をポリイソシアネートと反応させ、その後ジオールと反応させること、すなわち、段階的な反応は、本発明の範囲である。
【0042】
そのため、典型的には、前記被覆反応は、多孔性磁性ポリマー粒子を、エポキシド又はポリイソシアネート及びジオールに含浸させること(例えば、これらの溶液(例えば、メタノール又はジグライム等の有機溶媒での溶液)の使用)、又は、有機溶媒での多孔性粒子の懸濁液と液体エポキシド又はジオール/ポリイソシアネート混合物との混合により行うことができる。超音波処理は、含浸を改善するために使用し、前記反応は、温度を、例えば、50〜100℃に上昇させることにより促進させてもよい。使用する溶媒は、大気圧下で抽出してもよい。
【0043】
通常、磁性ポリマー粒子を、例えば、診断ツールとして使用する場合、カップリング及び生物学的媒体の一般的な水性システムにおけるその他の反応に十分に関与できるために、適当な割合の求電子性を必要とする。
【0044】
被覆の一般的な極性は、求電子的であることが望ましい一方、求電子基の割合を所望の割合に調整するために、疎水性基を含む被膜を組み込んでもよい。このように、本発明は、幅広い範囲の極性を有する有用な診断及びその他のツールの提供を可能にする。
【0045】
必要に応じて、本発明の方法において、被覆磁性ポリマー粒子の表面を、例えば、薬剤分子、レポーター標識(例えば、発色団、蛍光、酵素又は放射性同位体)又はリガンド(例えば、抗体又は抗体フラグメント、金属イオン複合剤、特定の結合パートナー対(例えば、ビオチン又はストレプトアビジン)、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド又はオリゴ糖)によりさらに官能化してもよい。
【0046】
このようなカップリングは、直接又は間接(及び前記粒子と基質との間に結合を形成するためのカップリング剤の使用を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい)、及び、生体分解性又は非生体分解性であってもよい。磁性ポリマー粒子をターゲット活性化合物の放出のために使用する場合、生体分解性カップリングが望ましい。被覆を達成した後、被覆のペンデント基を処理して、かかる基質の接着のための適当な官能基(例えば、エポキシ、ヒドロキシ、アミノ等の官能基)を与えてもよい。
【0047】
試料中に存在する又は存在しない特定の検体への親和性に基づき、選択的する特性を解明し、前記官能化被覆磁性粒子を親和性リガンドに結合させてもよい。そのため、前記親和性分子は、特定の検体を特異的に認識可能である磁性プローブに結合可能なあらゆる分子を含んでいてもよい。このため親和性リガンドは、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、抗体フラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、オリゴペプチド、多糖、糖、ペプチド、核酸分子をコードするペプチド、抗原、薬剤及びその他のリガンドを含む。適当な親和性リガンドの例は、刊行物で入手可能であり、公知である。更なる結合パートナーの使用、第2の親和性リガンド及び結合基は、当該分野でありふれており、本願明細書においてさらに議論する必要はなく、必要に応じて本発明の粒子に応じた種類の使用が可能である。
【0048】
特に好ましい形態において、前記粒子の被覆は、アクリルレートと共重合可能な官能基、例えば、炭素−炭素二重結合を有するエポキシド化合物を使用して準備することである。例えば、2又は3のエポキシドであって、そのうちひとつが不飽和炭素−炭素結合を含むエポキシドを使用する。ついで、官能基、例えば、カルボン酸基を有するビニル又はアクリレートモノマー(例えば、アクリル酸)と前記被覆粒子を反応させることにより官能化してもよい。ついで、更なる官能化は、ペンダントカルボキシル基の反応、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド又はストレプトアビジンとの反応により容易に行うことができる。この方法及びそれにより形成される粒子は、新規であり、本発明の更なる態様を形成する。
【0049】
すなわち、本発明の更なる態様は、被覆ポリマー粒子であって、任意で、超常磁性結晶を保持し、少なくとも2つのエポキシドであって、そのうちの少なくとも一つがアクリレートモノマーと共重合可能な不飽和炭素−炭素結合を有するエポキシドにより形成された被覆を有するポリマー粒子である。
【0050】
本発明の更なる態様は、被覆ポリマー粒子の調製方法であって、前記ポリマー粒子は、任意で超常磁性結晶を含有し、前記方法は、任意で超常磁性結晶を含有する多孔性表面官能化ポリマー粒子と、少なくとも2つのエポキシド化合物との反応させる工程であって、前記エポキシド化合物の少なくとも一つがアクリレートモノマーと共重合可能な不飽和炭素-炭素結合を有する工程、及び、得られた粒子をビニルモノマー(例えば、アリルグリシジルエーテル又はアクリレートモノマー、例えば、アクリル酸又はアクリルアミド)と反応させる工程を含む方法である。ついで、得られた粒子を親和性リガンド、例えば、ストレプトアビジンとさらに反応させてもよい。
【0051】
本発明の更なる態様は、合成、抽出又はアッセイにおける本発明の粒子の使用であって、特に、核酸検出における本発明の粒子の使用である。
【0052】
これらの態様において有用なエポキシドには、グリシジルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルを含む。
【0053】
例えばアクリル酸と重合可能なビニル基の導入は、被覆表面を無水メタクリル酸のような化合物で反応させることにより行うことができる。例えば、2つのエポキシドの反応により形成される被覆を含む被覆粒子を、洗浄して(例えば、NaOHで)ヒドロキシル官能基を露出させ、メチルアクリル系無水物で直ちに反応させて、ポリマー表面にビニル基を導入させることができる。
【0054】
前述のように、粒子に結合した外部物質の特性は、その能力に基づき、特定のターゲット材料の結合を選択する。核酸検出は、通常、核酸プローブを用いてターゲットの核酸が含有していると考えられる試料を調査することを含む。前記核酸プローブは、ターゲットの核酸の配列と、例えば、特異的にハイブリダイズする核酸配列、例えば、核酸親和性リガンド及びターゲットの核酸を組み合わせてハイブリダイズ層を形成することを含む。本発明の官能化粒子は、例えば、少なくとも2つのエポキシドで被覆され、後にストレプトアビジンと反応するカルボキシル基を保持する粒子が、核酸検出に観念的に適している。
【0055】
ビオチン化単一鎖オリゴヌクレオチドプローブを結合させたストレプトアビジンビーズは、DNAに特異的な配列の単離に使用できる。前記ビオチン化プローブは、過剰なビオチン化プローブと適当量のビーズを混合することにより、前記ビーズに結合される。ついで、ハイブリダイゼーション緩衝液、例えば、SSPE又はSSC中で、プローブ及びDNAの長さ及び配列に適当な条件下で、前記ビーズ/プローブをDNA試料とインキュベートする。過剰かつ不要なDNAを、前記ビーズの磁性特性を利用して洗浄する。捕獲したDNAをPCR等で検出/定量できる。
【0056】
ビオチン化二重鎖DNAフラグメントを結合させたストレプトアビジンビーズは、タンパク質に特異的に結合するDNA配列の単離に利用できる。適当量のビーズと過剰なビオチン化DNAフラグメントを混合することにより、ビオチン化DNAを前記ビーズに結合させる。ついで、前記ビーズ/DNAを前記タンパク質試料とともにハイブリダイゼーション緩衝液中で、調査するタンパク質に適当な条件下で、インキュベートする。過剰かつ不要なタンパク質を、前記ビーズの磁性特性を利用して洗浄する。捕獲したタンパク質は、下流の用途及び検出のために(高塩、低塩、加熱、低pH等により)前記プローブから抽出できる。
【0057】
ターゲット材料は、任意で、生物学的又は合成源の材料であってよい。例えば、分子または分子の基であってもよいし、例えば、抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、酵素基質、ホルモン、リンホカイン、代謝産物、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、毒素、毒、環境汚染物質、炭水化物、オリゴ糖、多糖、グリコプロテイン、グリコリピッド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸及び誘導核酸、DNA、RNA、天然又は合成薬剤、レセプター、ウイルス粒子、バクテリア粒子、ウイルス成分、細胞、膜成分、天然又は合成脂肪小胞、ポリマー膜、ポリマーサービス(services)及び粒子並びにガラス及びプラスチック面を含んでいてもよい。
【0058】
本発明のビーズは、免疫測定に使用でき、驚くべきことに、被覆後の粒子のトシル化により、免疫測定における改善された能力を示す粒子が得られることを見出した。すなわち、特に好ましい形態において、被覆した粒子をトシル化することであり、例えば、塩基存在下でのトシルクロライドと粒子との反応によりトシル化できる。得られたトシル化被覆粒子は、新規で、本発明の更なる態様を形成する。トシルは、トルエン−4−スルホニル基を意味する。
【0059】
さらには、このようにトシル化された種は、親和性リガンド、例えば、ストレプトアビジンとの反応を容易にし、さらに新たな粒子を形成できる。
【0060】
すなわち、更なる態様の観点から、本発明は、被覆ポリマー粒子であって、超常磁性結晶を保持し、少なくとも一つのポリイソシアネート及び少なくとも一つのジオールから形成された被覆を有し、その後、例えば、トシルクロライドとの反応によりトシル化され、任意で、親和性リガンド、例えば、ストレプトアビジンと反応させた粒子を提供する。
【0061】
その他の態様の観点から、本発明は、被覆ポリマー粒子であって、任意で超常磁性結晶を保持し、少なくとも一つのエポキシドから形成された被覆を有し、その後例えば、トシルクロライドとの反応によりトシル化され、任意で、親和性リガンド、例えば、ストレプトアビジンと反応させた粒子を提供する。
【0062】
さらには、驚くべきことに、本願でクレームする直径の粒子は、より大きなサイズのビーズ、例えば、3μmのビーズと比較して、結合能を極めて増加させることを見出した。クレームするビーズの結合能は、より大きなビーズの結合能よりも200%以上優れており、分析操作において粒子の使用量を大幅に減少できる。
【0063】
そのため、本発明のビーズは、逆相クロマトグラフィー又は疎水性作用クロマトグラフィーのメカニズムと同様の吸着/脱着処理に利用できる。逆相クロマトグラフィーは、溶質分子(例えば、タンパク質)と固定化した疎水性リガンド(例えば、ビーズ表面)との間の疎水性吸着相互作用を利用する分離技術である。この相互作用は、通常、極めて強く、低イオン強度の溶液により生じさせることができ、有機溶媒(例えば、アセトニトリル)の使用により壊すことができる。逆相クロマトグラフィーは、複合タンパク質試料を分別し、タンパク質試料を脱塩するために使用できる。RPCは、通常、カラムに充填した固相を用いて行う。本発明のビーズによれば、カラムを用いず、試料が溶出することなく、高速に自動で行う技術を可能にする。
【0064】
疎水性作用クロマトグラフィー(HIC)は、溶質分子(例えば、タンパク質)と固定化した疎水性リガンド(例えば、ビーズ表面)との間の疎水性吸着相互作用を利用する分離技術である。この相互作用は、RPCの間に利用する相互作用よりも弱く、高塩濃度による促進を必要とする。したがって、塩濃度の減少をこれらの吸着相互作用の破壊に使用できる。HICは、複合タンパク質試料の分別及びタンパク質試料の脱塩に使用できる。HICは、通常、カラムに充填した固相を用いて行われる。本発明のビーズによれば、カラムを用いず、試料が溶出することなく、高速に自動で行う技術を可能にする。
【0065】
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明する。これらは本発明の単なる例であって限定するものではない。
【実施例1】
【0066】
0.3μm種粒子の調製
スチレン1600gを10重量%水酸化ナトリウム2Lで抽出し、水で洗浄してpH7とし、ついでアルゴンを10分流した。10Lの反応容器内で、水8000gとホウ砂3.07gを80℃で加熱し、水100gを蒸発乾固させ、酸素を除去した。ついで、湯200mL中硫酸デシルナトリウム19.97gを充填し、10分間攪拌した。ついで、洗浄した後、実質的に酸素フリーのスチレンを充填し、15分間攪拌した。ついで、湯200mL中ペルオキソ2硫酸カリウム4.80gを充填した。前記混合物を80℃、アルゴン雰囲気下で13時間保持した。直径0.3μmの粒子を有するポリマー粒子の単分散懸濁液が形成された。
【実施例2】
【0067】
1.0μmポリスチレン粒子の調製
水8860g、DOP(ジオクタノイル過酸化物)866g、アセトン433g及びSDS 51.96gを、2段階のマントンガウリンホモジナイザーで25分間均質化した。第1段階では400kg/cm2で、第2段階では100kg/cm2とした。均質化後、乳濁液5164gを、実施例1で形成した直径0.3μmの単分散ポリスチレン粒子の種懸濁液で満たした。ポリマー粒子297.8g及び水1593gを含む種懸濁液1891gを使用した。
【0068】
25℃で24時間攪拌後、活性種粒子懸濁液6414gを、水103400g、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)131g、ポリビニルピロリドンK−30 1556g、63.2%ジビニルベンゼン4157g、スチレン1060gおよびトルエン(ポロゲン(porogen)として)11606gを含む乳濁液で満たした。前記乳濁液を、第1段階では400kg/cm2で、第2段階では100kg/cm2で25分間均質化した。
【0069】
25℃で2時間膨張させた後、水46676gを前記反応容器に加え、ついで前記分散液を60℃で1時間及び70℃で20時間重合させた。直径1.0μmの粒子を有する単分散懸濁液が形成された。
【0070】
前記粒子をメタノール及びブチルアセテートで洗浄し、乾燥させた。BETにより前記比表面積を測定したところ570m2/g乾燥物質であった。
【実施例3】
【0071】
ニトロ化
95%硫酸9920g及び65%硝酸3020gの混合物を10℃で冷却し、ついで、実施例2の1.0μm乾燥架橋ポリスチレン粒子を400g加えた。温度を1時間半で30℃に上昇させた。前記懸濁液を60Lの氷水で満たした。前記粒子を水及びメタノールでろ過により洗浄した。得られた粒子は、9.0重量%窒素を含有した。
【実施例4】
【0072】
鉄の混和
FeSO4・7H2O 2579g及びMnSO4・H2O 3.2gを、粒子450g及び水3694gを含む実施例3の窒素化多孔性粒子の懸濁液4144gに加えた。前記懸濁液を室温で30分間攪拌した。25%NH3水を3285g加えた。温度を2時間で60℃に上昇させた。前記懸濁液を冷却し、前記粒子を遠心分離により水で洗浄した。精製後、前記粒子をメタノールに移した。前記粒子の分析により、330mgFe/gDS(乾燥物質)及び0.9mgMn/gDSの含有量であった。
【実施例5】
【0073】
被覆
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子を13.3g含むメタノール懸濁液133gを、93gのジグライム(diglyme)で5回洗浄した。ジグライム中の粒子の乾燥物質を15重量%に調整し、グリシドール(3.07g)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエタノール(Araldite(商標)DY−026、8.06g)及びグリシジルメタクリレート(5.68g)を前記粒子に加えた。前記混合物を75℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を70gのメタノールで6回洗浄し、80gのイソプロパノールで4回洗浄した。
【実施例6】
【0074】
カルボン酸基での官能化
実施例5で調製した粒子(425g)のイソプロパノール懸濁液1806gに、メタノール(774g)、アクリル酸(514g)及び2,2’−アゾイソブチロニトリル(23.4g)を加えた。前記混合液を73〜75℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を2338gのメタノールで6回洗浄し、3018gの0.15M NaOHで一度洗浄した。粒子含有量(乾燥物質を基準とする)を12重量%に調節し、前記混合液を75℃に加熱し、3.5時間攪拌した。前記粒子を3188gの水で3回洗浄し、3188gの0.01M NaOHで5回洗浄した。
【0075】
工程(A)で調製した粒子(13.3g)のイソプロパノール懸濁液47gに、メタノール(24g)、アクリル酸(9.64g)及び2,2’−アゾイソブチロニトリル(0.41g)を加えた。前記混合液を、73〜75℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を73gのメタノールで6回洗浄し、94gの0.15M NaOHで一度洗浄した。粒子混合液の乾燥物質を12重量%に0.15M NaOHで調節し、前記混合液を75℃に加熱し、3.5時間攪拌した。前記粒子を99gの水で3回洗浄し、99gの0.01M NaOHで5回洗浄した。
【実施例7】
【0076】
カルボン酸基のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルへの官能化
実施例6の粒子を5.0g含む懸濁液50gを、0.1M酢酸での洗浄により(3×50mL)酸性にした。ついで、酸性にした粒子(カルボン酸含有量0.5mmol/gDS)をアセトン(4×50mL)で洗浄し、磁石で濃縮した。懸濁液が35.6gとなるまで余分量のアセトンを追加した。ついで、N−ヒドロキシスクシンイミド(2.90g、25mmol)及びジイソプロピルカルボジイミド(3.16g、25mmol)を加えた。前記反応混合液を室温で5時間攪拌した。ついで、前記粒子をアセトンで洗浄した(5×50mL)。
【実施例8】
【0077】
ストレプトアビジンの固定化
1.実施例6のカルボン酸官能化ビーズ20mgを、1mLの0.01M NaOHに分散させた。
2.前記ビーズを磁石で分離し、上清を除去した。
3.前記ビーズを1mLの30mM2−モルホリノ−エタンスルホン酸(MES)pH6.1で3回洗浄した。
4.30mM MES(pH6.1)900μLに、1.8mgのストレプトアビジンを溶解し、前記ビーズに加えた。
5.前記ビーズ及びストレプトアビジンを室温で15分間、混合装置でインキュベートした。
6.75μLの冷蒸留水に溶解した1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(3mg)を加えた。
7.前記混合液を、室温で1時間、混合装置でインキュベートした。
8.前記ビーズを、0.01%(w/v)Tween20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で3回洗浄し、過剰なストレプトアビジン及びEDCを除去した。
9.前記ビーズを0.1%(w/v)Tween20を含むPBS(pH7.4)で再懸濁した。
【0078】
被覆の間、ストレプトアビジンの量は、I125−標識ストレプトアビジンの量を追跡することにより測定した。I125−標識ストレプトアビジンの相対量は、表面を被覆したストレプトアビジンの量を示す。
【0079】
遊離ビオチン結合能は、過剰なC14−標識ビオチンを前記ストレプトアビジン被覆ビーズへ添加することにより測定した。過剰なビオチンを洗浄し、C14−標識ビオチン量をβ−シンチレーションカウンターを用いて測定した。
【0080】
ストレプトアビジンの被覆量は、ビーズ1mgあたり68μgであり、遊離ビオチン結合能は、3100pmol遊離ビオチン/1mgビーズであった。
【実施例9】
【0081】
工程A
ジグライム200g中の超常磁性酸化鉄(33重量%Fe)を含む1.0μmのスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4等同様にして作製)40.0gに1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル100g及びグリシドール100gを加えた。前記反応混合物を250rpm、90℃で20時間攪拌した。ついで、前記粒子を400mLのメタノールで5回洗浄し、400mLの脱イオン水で4回洗浄した。
【0082】
工程B
工程Aで調製した粒子の水性懸濁液72g(粒子含有量10重量%)に、水酸化ナトリウムを119gゆっくり添加した。ついで、アリルグリシドールエーテルを169.2g加えた。250rpm、60℃で18時間攪拌後、前記粒子を1400mLのメタノールで5回洗浄した。
【実施例10】
【0083】
ジグライム40g中の超常磁性酸化鉄(33重量%Fe)を含む1.0μmのスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4等同様にして作製)10gに、これにアリルグリシジルエーテルを16.7g、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを16.8g及びグリシドールを16.8g加えた。前記反応混合物を300rpm、90℃で20時間攪拌した。ついで、前記粒子を100mLのメタノールで5回洗浄した。
【実施例11】
【0084】
超常磁性鉄酸化物(33重量%)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子を13g含むジグライム懸濁液78gに、Desmodur(商標) VL(35.83g)、ジエチレングリコール(2.82g)、 テトラエチレングリコール(4.84g)を加えた。前記混合物を80℃に加熱し、21時間攪拌した。
【0085】
ジエチレングリコール(47.04g)、テトラエチレングリコール(80.45g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(1.29g)を、前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃に加熱し、2時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例12】
【0086】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)のメタノール懸濁液22gを、14gのジグライムで5回洗浄した。ジグライムにおける粒子の乾燥物質を16重量%に調節し、Araldite(商標)DY−026(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)(26g)及びグリシドール(26g)を前記粒子に加えた。前記混合物を90℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を80gのメタノールで5回洗浄し、45gのジグライムで4回洗浄した。
【0087】
前記粒子のジグライム懸濁液18gに、無水メタクリル酸(15g)及びピリジン(0.4g)を加えた。前記混合物を75℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を90gのメタノールで5回洗浄し、60gのイソプロパノールで3回洗浄した。
【実施例13】
【0088】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を20g含むジグライム懸濁液124.45gに、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Araldit LY564)(42g)を加えた。前記混合物を60℃に加熱して2時間攪拌し、室温に冷却して一晩攪拌した。前記懸濁液をジグライムで3回洗浄し、乾燥物質を12%に調節した。
【0089】
グリシドール(4.58g)、Araldite(商標) DY−026(1,4 ブタンジオールジグリシジルエーテル)(12.1g)及びグリシジルメタクリレート(8.57g)を加えた。前記混合物を75℃に加熱し、21時間攪拌した。前記粒子懸濁液を冷却し、前記粒子を100gのメタノールで6回洗浄し、100gのイソプロパノールで4回洗浄した。
【実施例14】
【0090】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(375g)を51.6g含む水懸濁液516gに、前記混合物を攪拌しながら温度を42℃に保持し、固体水酸化ナトリウム(144.89g)を加えた。アリルグリシジルエーテル(206.4g)を加え、前記混合物を60℃に加熱して18時間攪拌した。前記粒子懸濁液を冷却し、前記粒子を1500gのメタノールで4回洗浄した。
【実施例15】
【0091】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を15g含むメタノール懸濁液90gを、60gのジグライムで3回洗浄し、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノール A ジグリシジルエーテル、Araldit LY−564)(70.40g)及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(Araldit DY−026)(4.61g)を加えた。前記混合物を95℃で20時間加熱した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのメタノールで3回洗浄した。
【実施例16】
【0092】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液23.48gに、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Araldit LY564)(23.47g)及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル Mw300(3.07g)を加えた。前記混合物を、95℃で20時間加熱した。前記粒子を冷却し40gのメタノールで4回洗浄した。
【実施例17】
【0093】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液24.46gに、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Araldit LY564)(23.54g)及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル Mw500(15.28g)を加えた。前記混合物を95℃で20時間加熱した。前記粒子を冷却し40gのメタノールで4回洗浄した。
【実施例18】
【0094】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液26.82gに、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Araldit LY−564)(46.93g)及びグリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル(69.98g)を加えた。前記混合物を95℃で20時間加熱した。前記粒子を冷却し、40gのメタノールで4回洗浄した。
【実施例19】
【0095】
ストレプトアビジンの固定化
実施例17の被覆ビーズ20mgを、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)1mLに分散させた。ビーズを磁石で分離し、上清を交換した。これを2回繰り返した。0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)900μLに、ストレプトアビジン1mgを溶解し、これを前記ビーズに加えた。ビーズ及びストレプトアビジンを混合装置で、室温で20時間インキュベートした。前記ビーズをPBS(pH7.4、0.1%BSA)で3回洗浄した。
【0096】
遊離ビオチン結合能は、実施例20に記載のようにして測定し、1900pmol遊離ビオチン/1mgビーズであった。
【実施例20】
【0097】
ビオチン化DNA分子の結合能
1.1090,526,217塩基対のプラスミドDNAフラグメントをビオチン化し、PCRによりユウロピウム標識した。
2.過剰なビオチン及びユウロピウム標識を、市販のPCR浄化法により除去し、標識されたDNAを、260nmの光学密度及び時間分解蛍光で定量した。
3.ストレプトアビジン被覆ビーズ(実施例8)を、2倍に濃縮した結合緩衝液(2M NaCl、20mM Tris HCl、0.2M EDTA pH7.5)で1度洗浄した。
4.洗浄したビーズ5μgを結合緩衝液100μLに96ウエルプレートの各ウエルで再懸濁した。
5.水100μLに希釈された過剰なDNA(0.55pmolの1090bp、1.1pmolの526bp及び2.2pmolの217bp)を、前記ビーズに加え、室温で15〜30分穏やかに攪拌しながらインキュベートした。
6.前記プレートを磁石上に配置し、上清を除去した。
7.前記ビーズ−DNA複合体を洗浄緩衝液(10mM TrisHCl pH7.8、0.01% Tween20)200μLで3回洗浄した。
8.前記ビーズ−DNA複合体を、DELFIA増強(Enhancement)溶液200μLに再懸濁し、遮光し、室温で10分間攪拌しながらインキュベートした。
9.前記プレートを磁石上に配置し、前記増強溶液をFluorNunc 96ウエルプレートに移し、ユウロピウムのシグナルを時間分解蛍光により測定し(Wallac Victor plate reader)、counts/second(cps)を得た。
10.ビーズに結合したDNAを、ビーズに結合しているDNAが0.55、1.1及び2.2pmolで添加されたcpsの割合から計算された。
【0098】
前記ビーズ結合能は、217bpフラグメントでは約200pmol/mg、526bpフラグメントでは80〜100pmol/mg及び1090bpフラグメントでは35〜45pmol/mgであった。
【実施例21】
【0099】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液23.8gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)、ジエチレングリコール(1.45g)、テトラエチレングリコール(2.48g)及びジグライム(36.2g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。
【0100】
ポリエチレングリコール Mw300(68.24g)、テトラエチレングリコール(41.30g)及び1,4ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.68g)を、前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例22】
【0101】
免疫グロブリンの固定化
実施例21の被覆ビーズ20mgを0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLに分散させた。ビーズを磁石で分離し、上清を交換した。これを2回繰り返した。マウスIgG1抗ヒトαフェトプロテイン1mgを、0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)900μLに溶解し、これを前記ビーズに加えた。ビーズ及び抗体を、混合装置で、室温で20時間インキュベートした。前記ビーズをPBS(pH 7.4、0.1% BSA)で3回洗浄した。
【0102】
被覆の間、前記ビーズに結合した抗体量をI125−標識抗体の量の追跡を利用して測定した。前記ビーズに結合した標識抗体の相対量は、固定化された抗体の全体量を示す。前記ビーズに固定化されたタンパク質の量は、22μg抗体/mgビーズであった。
【0103】
αフェトプロテインの固定化抗体への結合は、臍帯血の希釈液の添加により測定し、Eu3+で標識した第2のマウスIgG抗−ヒトαフェトプロテインを用いて検出した。標識した抗体は時間分解蛍光分光法で検出した。前記臍帯血の希釈液の標準曲線は、濃度増加に伴うシグナル増加を示した。
【実施例23】
【0104】
超磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)5g含むジグライム懸濁液26.82gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)、ポリエチレングリコール Mw600(15.84g)及びジグライム(33.20g)を加えた。前記混合物を80℃に加熱し、20時間攪拌した。
【0105】
ポリエチレングリコール Mw600(263.82g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.66g)を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例24】
【0106】
カルボン酸基での官能化
実施例5で調製した粒子(2.5g)のイソプロパノール懸濁液15.87gに、アクリル酸(1.84g)、アクリルアミド(1.79g)、メタノール(5.95g)及び2,2’−アゾイソブチロニトリル(0.28g)を加えた。前記混合物を75℃で加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を20gのイソプロパノールで4回洗浄し、25gの0.15M NaOHで4回洗浄した。
【実施例25】
【0107】
カルボン酸基での官能化
実施例5で調製した粒子(1g)の水懸濁液8.44gに、アクリル酸(0.37g)、アリルグリシジルエーテル(1.34g)、ジメチルスルホキシド(0.91g)及び2,2’アゾイソブチロニトリル(0.06g)を加えた。前記混合物を75℃で加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を10gのイソプロパノールで4回洗浄し、10gの0.15M NaOHで4回洗浄した。
【実施例26】
【0108】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を2.7g含むジグライム懸濁液3.9gに、ヘキサメチレンジイソシアネート(2.5g)、ジエチレングリコール(0.5g)及びテトラエチレングリコール(1.0g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。
【0109】
ジエチレングリコール(2.65g)、テトラエチレングリコール(4.66g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.07g)の混合物を、前記粒子懸濁液に追加した。前記混合物を95℃に加熱し、2〜3時間攪拌した。前記粒子を冷却し、20gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例27】
【0110】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液23.8gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)、ジエチレングリコール(1.45g)、テトラエチレングリコール(2,48g)及びジグライム(36.2g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。
【0111】
ポリエチレングリコール Mw400(90.03g)、テトラエチレングリコール(41.20g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.68g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例28】
【0112】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液23.8gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)、ジエチレングリコール(1.45g)、テトラエチレングリコール(2,48g)及びジグライム(36.2g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。
【0113】
ポリエチレングリコール Mw600(135g)、テトラエチレングリコール(41.30g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.66g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例29】
【0114】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液23.8gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)、ジエチレングリコール(1.45g)、テトラエチレングリコール(2,48g)及びジグライム(36.2g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。
【0115】
エチレングリコール(27.29g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.66g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例30】
【0116】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液26.82gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)及びエチレングリコール(1.64g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。エチレングリコール(27.29g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.66g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例31】
【0117】
トシル基での活性化
実施例30の粒子4gのアセトン懸濁液17.1gに、トシルクロライド(16g)及びピリジン(7.85g)を加えた。前記混合物を、25℃で17時間攪拌した。ついで、前記粒子を50mLのアセトンで3回洗浄し、水とアセトンの混合液(アセトン80重量%)50mLで一度洗浄し、水とアセトンの混合液(アセトン60重量%)50mLで一度洗浄し、水とアセトンの混合液(アセトン40重量%)50mLで一度洗浄し、50mLの水で3回洗浄した。
【実施例32】
【0118】
αフェトプロテインの免疫測定
実施例22の免疫グロブリン被覆ビーズ50μgを、臍帯血希釈液100μLに加え、15分間インキュベートしてαフェトプロテインを結合させた。過剰な臍帯血は、洗浄して除去した。この複合体に、Eu3+で標識した第2の検出マウスIgG抗ヒトαフェトプロテインを加えた。インキュベーションし、過剰な検出抗体を除去したあと、標識した抗体の量を時間分解蛍光分光法で検出した。既知のαフェトプロテインで臍帯血の希釈標準曲線では、濃度増加に伴いシグナルが増加した。この標準曲線の使用により、試料中のαフェトプロテインの量を測定した。
【実施例33】
【0119】
実施例22と同様ではあるが、マウスIgG抗−ヒトミオグロブリンを付した被覆ビーズを使用し、ヒト保存プラズマ試料中のミオグロブリンの量をLiaison免疫測定装置で分析した。ビーズ及び試料(10μL)を10分間インキュベートし、過剰な試料は洗浄して除去した。アクリジニウム(Acridinium)オレンジエステルを共役させた検出抗体を加えた。10分間のインキュベーション後過剰な検出抗体を洗浄し、前記化学発光シグナルを生じさせ、Liaison装置の発光リーダーで検出した。
【実施例34】
【0120】
D−Dimerの免疫測定
実施例22と同様に被覆したビーズではあるが、マウスIgG抗−ヒトD−dimerを付した被覆ビーズを使用し、ヒト保存プラズマ試料中のミオグロブリンの量をLiaison免疫測定装置で分析した。ビーズ及び試料(10μL)を10分間インキュベートし、過剰な試料は洗浄して除去した。アクリジニウムオレンジエステルを共役させた検出抗体を加えた。10分間のインキュベーション後過剰な検出抗体を洗浄して除去し、前記化学発光シグナルを生じさせ、Liaison装置の発光リーダーで検出した。
【実施例35】
【0121】
無傷PTHの免疫測定
実施例19と同様にストレプトアビジンで被覆したビーズを使用し、ヒトEDTAプラズマ試料に於ける無傷PTHの含量をLiaison免疫測定装置で分析した。150μLのEDTAプラズマを、無傷PTHに対するビオチン化ポリクロナールヤギ抗体、及び、同様に得られる免疫複合体に対するアクリジニウムエステル接合ポリクロナールヤギ抗体とインキュベーションした。ストレプトアビジンで被覆したビーズを、前記免疫複合体に加えてインキュベーションし、前記ビオチンを固定化ストレプトアビジンに結合させた。前記ビーズを洗浄し、化学発光シグナルを生じさせ、Liaison装置の発光リーダーで検出した。
【実施例36】
【0122】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)のメタノール懸濁液22gを、14gのジグライムで4回洗浄した。ジグライム中の粒子の乾燥物質を16重量%に調節し、グリシジルメタクリレート(50g)及び塩化鉄(III)(0.62g)を前記粒子に加えた。前記混合物を75℃に加熱し、20時間攪拌した。ついで、前記粒子を14gのメタノールで6回洗浄し、13gのイソプロパノールで4回洗浄した。
【実施例37】
【0123】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を5g含むジグライム懸濁液26.82gに、Desmodur(商標) VL(18.34g)及びジグライム(33.20g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。ポリエチレングリコールMw600(236.82g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.66g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジグライムで3回洗浄し、100gのアセトンで4回洗浄した。
【実施例38】
【0124】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子(実施例4と同様にして作製)を2.50g含むジグライム懸濁液14.52gに、2,2−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Araldit LY−564)(13.03g)を加えた。前記混合物を95℃で加熱し、20時間攪拌した。前記粒子を冷却し、17gのジグライムで3回洗浄し、17gのメタノールで5回洗浄した。
【実施例39】
【0125】
ビオチン化タンパク質分子のための結合能
1.ストレプトアビジンビーズ(実施例19)5μgを、DELFIAアッセイ緩衝液で一度洗浄し、ユウロピウム3+で標識した過剰のビオチン抗体と、96ウエルプレート中で混合した。
2.室温で混合物のインキュベーションを20分間行い、前記抗体を前記ビーズに結合させた。
3.前記プレートを磁石上に配置し、上清を除去した。
4.前記ビーズ−抗体複合体を、200μLのDELFIA洗浄緩衝液で3回洗浄した。
5.前記ビーズ−抗体複合体をDELFIA Enhancement溶液200μLに再懸濁し、遮光し、室温で10分間攪拌しながらインキュベートした。
6.前記プレートを磁石上に配置し、前記増強溶液をFluorNunc96ウエルプレートに移し、前記ユウロピウムシグナルを時間分解蛍光(Wallac Victor plate reader)により測定し、一秒あたりの総数(cps)を得た。
7.前記ビーズに結合する抗体量を、前記ビーズに結合するcpsの割合から計算した。
ビーズの結合能は、約8.0μgビオチン抗体/mgビーズであった。
【実施例40】
【0126】
ニトロ化及び還元により表面官能化し、超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子を5g含むジグライム懸濁液30.1gに、Desmodur(商標) VL(13.8g)、ジエチレングリコール(2.08g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。ジエチレングリコール(35g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.5g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、80mLのジグライムで3回洗浄し、80mLのアセトンで5回洗浄した。
【実施例41】
【0127】
ニトロ化及び還元により表面官能化し、超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子を5g含むジグライム懸濁液30.8gに、Desmodur(商標) VL(13.8g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。ジエチレングリコール(35g)及び1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(0.5g)の混合物を前記粒子懸濁液に加えた。前記混合物を80℃で加熱し、1時間攪拌した。前記粒子を冷却し、80mLのジグライムで3回洗浄し、80mLのアセトンで5回洗浄した。
【実施例42】
【0128】
超常磁性鉄酸化物(33重量%Fe)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子7.0gを、ジエチレングリコールジメチルエーテルで乾燥物質あたり20重量%に調節した。Araldit Dy−026 17.5g及びグリシドール17.5gを前記懸濁液に加え、前記混合物を90℃で2時間加熱した。前記ビーズをメタノール(200mL)で5回洗浄し、水(200mL)で5回洗浄した。
【実施例43】
【0129】
実施例43のビーズ8.0gの懸濁液80gに、水酸化ナトリウム22.5g及びアリルグリシジルエーテル32gを加えた。前記ビーズを攪拌し、60℃で18時間加熱し、240mLのメタノールで4回洗浄した。
【実施例44】
【0130】
逆相クロマトグラフィー(RPC)
実施例41、42、11、15及び30のビーズを使用し、コンアルブミン、大豆トリプシンインヒビター、アルコールデヒドロゲナーゼ、シトクロムC及びジアミン・オキシダーゼ又はSW480細胞からの細胞溶解物を含むタンパク質を分別した。1mgのビーズを予め洗浄し、RPC吸着緩衝液(Bruker Daltonics又は別の選択肢として50mMリン酸ナトリウム緩衝液、1Mリン酸アンモニウム塩、0.1%トリフルオロ酢酸)10μLに再懸濁し、25μgのタンパク質混合物又は細胞溶解物と1分間インキュベーションした。吸着後、前記ビーズを洗浄緩衝液(Bruker Daltonicsから得るか、又は50mMリン酸ナトリウム緩衝液、1Mリン酸アンモニウム塩、0.1%トリフルオロ酢酸)で3回洗浄し、ついで、アセトニトリルの増加濃度勾配(0、15、30、40及び50%)の脱着緩衝液を使用し、画分中のタンパク質を脱着した。
【実施例45】
【0131】
疎水性作用クロマトグラフィー(HIC)
実施例44のビーズを使用し、コンアルブミン、大豆トリプシンインヒビター、アルコールデヒドロゲナーゼ、シトクロムC及びジアミン・オキシダーゼを含むタンパク質混合物を分別した。1mgのビーズを予め洗浄し、吸着緩衝液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.8、1Mリン酸アンモニウム塩)に再懸濁し、25μgのタンパク質混合物と1分間インキュベーションした。吸着後、前記ビーズを適当な洗浄緩衝液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、1Mリン酸アンモニウム塩)で3回洗浄し、ついで、硫酸アンモニウムの減少濃度勾配(0.8、0.6、0.4、0.2及び0.0M)の脱着緩衝液を使用し、画分中のタンパク質を脱着した。
【実施例46】
【0132】
超常磁性鉄酸化物(46重量%Fe)(375g)を含む1.0μmのニトロ化及び還元により表面官能化されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子を5g含むジグライム懸濁液26.81gに、Desmodur(商標) VL(18.39g)及びジグライム(33.50g)を加えた。前記混合物を80℃で加熱し、20時間攪拌した。前記粒子を冷却し、100gのジメチルホルムアミドで4回洗浄した。
【0133】
ジメチルホルムアミド懸濁液6.66gに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(Araldit LY−026)(3.03g)を加えた。前記混合物を70℃で加熱し、20時間攪拌した。前記粒子を冷却し、17gのジメチルホルムアミドで3回洗浄した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超常磁性結晶を含む被覆ポリマー粒子の調製方法であって、超常磁性結晶を含む直径0.5〜1.8μmの多孔性表面官能化ポリマー粒子を、少なくとも1つのポリイソシアネート及び少なくとも1つのジオールと反応させることを含む方法。
【請求項2】
少なくとも2つのジオールを使用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ジオールが、ポリエチレングリコール及び式HO((CH2mO)nH(nは、1から15の整数であり、mは2から6の整数である)のジオールからなる群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ジオールが、ジエチレングリコール及びテトラエチレングリコールである請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ジオールの1つが、ポリエチレングリコールである請求項2又は3記載の方法。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートが、4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、又は、CH2−フェニレンイソシアネート残基を備えた4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(Desmodur(商標))を含むポリイソシアネートである請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートが、ジイソシアネートである請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記粒子を、第1段階において、ポリイソシアネート及び少なくとも1つのジオールの混合物であって、前記ジオールと比較して前記ポリイソシアネートがモル過剰な混合物と反応させ、その後、第2段階において、少なくとも1つのジオールと反応させる請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記反応の第1段階で2つのジオールを使用し、第2段階で1又は2つのジオールを使用する請求項8記載の方法。
【請求項10】
ジエチレングリコール及びテトラエチレングリコールを、前記反応の両段階で使用する請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記粒子を、第1段階において、ジオール不存在下でポリイソシアネートと反応させ、第2段階において少なくともひとつのジオールと反応させる請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
1つのジオールを使用し、前記ジオールがポリエチレングリコールである請求項11記載の方法。
【請求項13】
超常磁性結晶を含む被覆ポリマー粒子の調製方法であって、超常磁性結晶を含む直径0.5〜1.8μmの多孔性表面官能化ポリマー粒子を、少なくとも1つのエポキシド化合物と反応させることを含む方法。
【請求項14】
1つのエポキシドを使用し、前記エポキシドがグリシジルメタクリレートであり、前記反応が塩化鉄(III)の存在下で行われる請求項13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つのエポキシドを使用する請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つのエポキシド化合物が、少なくとも1つのビスエポキシド化合物を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記エポキシド化合物が、グリシドール及び1,4−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)ブタンを含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記エポキシド化合物が、1,4−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン及び2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−プロパンを含む請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記エポキシド化合物が、グリシドール、アリルグリシジルエーテル及び1,4−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)ブタンを含む請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記エポキシド化合物の1つが、分子量150から1000g/molのポリエチレングリコールジグリシジルエーテルである請求項15記載の方法。
【請求項21】
超常磁性結晶を含む被覆ポリマー粒子の調製のための請求項13記載の方法であって、超常磁性結晶を含む多孔性表面官能化ポリマー粒子を、少なくとも2つのエポキシド化合物を反応させる工程であって、少なくとも1つの前記エポキシド化合物がアクリレートモノマーと共重合可能な不飽和炭素-炭素結合を有するエポキシド化合物である工程、及び、形成された粒子とアクリレートモノマーとを反応させる工程を含む方法。
【請求項22】
前記粒子をポリマー架橋剤でも反応させる前記いずれかの請求項記載の方法。
【請求項23】
前記架橋剤が、ジビニルベンゼンである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、アミン官能化されている前記いずれかの請求項記載の方法。
【請求項25】
前記多孔性表面官能化ポリマー粒子が、硝酸で処理され、かつ、還元されたスチレンジビニルベンゼンポリマー粒子である前記いずれかの請求項記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー粒子の直径が、0.5〜1.2μmの間である前記いずれかの請求項記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマー粒子の直径が、約1μmである請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記被覆粒子を、その後トシル化する請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記被覆反応後、前記粒子を薬剤粒子、レポーター残基又はリガンドをカップリングさせる前記いずれかの請求項記載の方法。
【請求項30】
前記リガンドが、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、抗体フラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、オリゴペプチド、多糖、糖、ペプチド、核酸分子をコードするペプチド、抗原又は薬剤である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記リガンドが、ストレプトアビジンである請求項30記載の方法。
【請求項32】
被覆ポリマー粒子であって、任意に超常磁性結晶を有し、少なくとも2つのエポキシドから形成された被覆であって、少なくとも一つの前記エポキシドがアクリルレートモノマーと共重合可能な不飽和炭素-炭素結合を有する被覆を有する粒子。
【請求項33】
請求項28から31のいずれかの方法により得られる粒子。
【請求項34】
請求項1から20のいずれかに記載の方法により得られる粒子。
【請求項35】
請求項22から27のいずれかに記載の方法により得られる粒子。
【請求項36】
請求項32記載の粒子又は請求項1から31のいずれかに記載の方法の生産物のアッセイにおける使用。
【請求項37】
前記のアッセイが、核酸の検出又は免疫測定である請求項36記載の使用。
【請求項38】
請求項32記載の粒子又は請求項1から31のいずれかに記載の方法の生産物の疎水性作用クロマトグラフィー又は逆相クロマトグラフィーにおける使用。

【公表番号】特表2007−527454(P2007−527454A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519979(P2006−519979)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001801
【国際公開番号】WO2005/015216
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(506001516)
【Fターム(参考)】