説明

被記録材の有無検出システム、被記録材の有無検出方法及び記録装置

【課題】保持トレイ上のセット凹部に被記録材がセットされているか否かを精度良く検出することができる被記録材の有無検出システム、被記録材の有無検出方を提供すること。
【解決手段】本発明に係る被記録材の有無検出システムは、被記録材Qをセットするための保持トレイ55上のセット凹部71に設けられる暗色マーク80と、被記録材Qをセットするための保持トレイ55上のセット凹部71に設けられる明色マーク83と、前記暗色マーク80と明色マーク83に向けてから個別に光を照射し、反射する光によって被記録材の有無を検出するための反射式センサ85とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持トレイ上のセット部に被記録材がセットされているか否かを検出する被記録材の有無検出システム、被記録材の有無検出方法及び前記被記録材の有無検出システムを備えたプリンタ、ファクシミリあるいは複写機に代表される、複合機を含む概念の記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、記録装置の一例であるインクジェットプリンタを例に採って説明する。インクジェットプリンタには、用紙やフィルム等、自立性を有しない軟質の被記録材と、光ディスク(CD−RやDVD−R等)で代表される、自立性を有する硬質の被記録材との両方に対して選択的に記録を実行することができる構造のプリンタが在る(例えば特許文献1等)。そして、前記CD−R等の光ディスクに対して記録を実行する場合には、別途付属品として用意されている専用の保持トレイを使用するか、特許文献1に記載されているプリンタ本体内に保持トレイが内蔵されている構造のインクジェットプリンタを使用する。
【0003】
前記保持トレイにはその上面にCD−R等の光ディスクをセットする浅底のセット凹部が設けられており、該保持トレイの浅底のセット凹部に対して光ディスクがセットされて搬送されるようになっている。
【0004】
前記インクジェットプリンタには保持トレイ上のセット部に被記録材がセットされているか否かを検出する被記録材の検出装置が設けられている。該被記録材の検出装置は、被記録材を保持トレイにセットした場合に覆われるセット部の底面に穴を1つ開け、該穴に向けて反射式センサから光を照射して、被記録材が有る場合と無い場合との反射率の違いを利用して被記録材の有無の判別を行っていた。
【特許文献1】特開2005−59584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、セット部に被記録材がセットされている場合であっても、前記穴位置に対応した被記録材の上面が反射率の低い例えば黒色であったり、その部分に反射率の低い色のインクで既に記録が実行されているような場合には、被記録材が無いと誤まって判断される虞があった。
【0006】
本発明の目的は、保持トレイ上のセット凹部に被記録材がセットされているか否かを精度良く検出することができる被記録材の有無検出システム、被記録材の有無検出方法及び前記被記録材の有無検出システムを備えた記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る被記録材の有無検出システムは、被記録材をセットするための保持トレイ上のセット部に設けられる暗色マークと、被記録材をセットするための保持トレイ上のセット部に設けられる明色マークと、前記暗色マークの設置位置と明色マークの設置位置に向けて個別に光を照射し、それぞれの前記設置位置から反射する光によって被記録材の有無を検出するための反射式センサと、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「暗色マーク」とは光反射率が低いマークを意味し、「明色マーク」とは光反射率が前記暗色マークよりも高いマークを意味し、光反射式センサによって両者が区別できる関係にあれば良く、「暗」と「明」は相対的な意味で用いられている。また、「マーク」は付された印に限らず、穴の有無等の光の反射によって区別できる立体的な印も含む意味で用いられている。
【0009】
本態様によれば、暗色マークと明色マークの2種類のマークを設け、これら2種類のマークの設置部位に個別に光を照射し、反射する光によって被記録材の有無を検出する反射式センサを設けるだけの簡単な構成によって、被記録材の有無の検出精度を向上させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る被記録材の有無検出システムにおいて、前記保持トレイは搬送方向に搬送可能に構成され、前記反射式センサは前記搬送方向と交差する保持トレイの幅方向に移動可能に構成され、前記暗色マークと明色マークは、前記反射式センサの移動方向又は前記保持トレイの搬送方向における近傍位置に配設されていることを特徴とするものである。
【0011】
本態様によれば、反射式センサの移動手段(例えばキャリッジ)あるいは保持トレイの搬送手段(例えば搬送用ローラ)を利用して反射式センサを暗色マークが設けられている位置と明色マークが設けられている位置とに移動させることができる。従って、反射式センサを前記暗色マークと明色マークが位置する2点間で移動させるために新たな移動装置を設けたり、複雑な移動形態を適用する必要はない。また、被記録材の上面の近接した2点間の色は同系、同明度である場合がほとんどであるから、前記近傍の2点間で被記録材の有無を検出すれば、被記録材の有無の検出精度は大幅に向上する。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記第2の態様に係る被記録材の有無検出システムにおいて、前記保持トレイは、使用が想定される複数サイズの被記録材をセットすることができるセット部を備えており、前記暗色マークと明色マークは、前記複数サイズの被記録材に対して共通して適用することができる位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本態様によれば、単一の暗色マークと明色マークを使用して、複数サイズの被記録材の有無の検出を実行することが可能になるから、効率的である。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記第2の態様又は第3の態様に係る被記録材の有無検出システムにおいて、前記暗色マークと明色マークは、複数組、設けられており、各組の暗色マークと明色マークは、配設パターンを異らせて配設されていることを特徴とするものである。
【0015】
本態様によれば、被記録材の有無を検出する反射式センサの検出ポイントが増え、しかもこれらの検出ポイントが異なる配設パターンによって配設されることになるから、被記録材上面の暗色、明色の配置と一致する可能性はほとんど皆無となる。従って、被記録材の有無の検出精度は極めて高くなる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る被記録材の有無検出方法は、被記録材をセットするためのセット部に暗色マークと明色マークとが設けられている保持トレイに対して、反射式センサを前記暗色マークが設けられている第1検出ポジションに位置させて暗色と明色の別を検出する第1検出工程と、反射式センサを前記明色マークが設けられている第2検出ポジションに位置させて暗色と明色の別を検出する第2検出工程と、前記第1検出工程における第1検出結果と、前記第2検出工程における第2検出結果とに基づいて、第1検出結果が暗色、第2検出結果が明色であるときに被記録材は無しと判定し、他の組み合わせのときに被記録材は有りと判定する判定工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
本態様によれば、暗色マークが設けられている第1検出ポジションと、明色マークが設けられている第2検出ポジションとの2点間で暗色と明色の別を検出し、それらの検出結果の組み合わせによって被記録材の有無を判定しているから、極めて簡単な構成によって効率的で正確な被記録材の有無の検出が可能になる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る記録装置は、被記録材をセットするためのセット部を有する保持トレイと、前記保持トレイの搬送を司る搬送手段と、前記セット部に被記録材がセットされているか否かを検出する被記録材の有無検出システムと、記録ヘッドの記録領域に搬送された被記録材に対して所望の記録を実行する記録実行装置とを備え、前記被記録材の有無検出システムは前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る被記録材の検出装置であることを特徴とするものである。
【0019】
本態様によれば、前記第1の態様から第4の態様と同様の作用、効果を奏することができ、被記録材上面の色によって生ずる被記録材の有無判断の誤りを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る被記録材の有無検出システム、該被記録材の有無検出システムを使用することによって実行される被記録材の有無検出方法及び該被記録材の有無検出システムを備えた記録装置について説明する。最初に本発明の記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ1を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1はインクジェットプリンタの内部構造を示す保持トレイがセットポジションに位置しているときの斜視図、図2はインクジェットプリンタの内部構造の概略を示す保持トレイが検出実行ポジションに位置しているときの側断面図である。尚、図示のインクジェットプリンタ1は、上部に図示を省略した画像読取り装置(スキャナ)を搭載した複合型のインクジェットプリンタであり、用紙やフィルム等の軟質の被記録材と、CD−RやDVD−Rを含む光ディスク等の硬質の被記録材Qとの両方に対して記録を実行することができるタイプのインクジェットプリンタである。
【0022】
このインクジェットプリンタ1は、被記録材Qをセットするためのセット部である凹状のセット凹部71が上面55aに設けられている保持トレイ55を使用して被記録材Qをセットポジション53と格納ポジションとの間で往復移動させる被記録材の搬送装置5と、前記セット凹部71にセットされる被記録材Qの有無を検出する後述する被記録材の有無検出システム6と、記録ヘッド42の記録実行ポジション51に搬送された被記録材Qに対して所望の記録を実行する記録実行装置4と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0023】
被記録材の搬送装置5は、被記録材Qをセットするためのセット凹部71が上面55aに設けられている保持トレイ55と、前記保持トレイ55を狭持して、保持トレイ55に搬送力を付与する搬送駆動ローラ35と搬送従動ローラ36とによって構成されている搬送用ローラ34と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0024】
保持トレイ55は、奥行き寸法の短い短寸の矩形平板状の部材である。保持トレイ55の上面55aにおける幅方向Bの中央位置の幾分前方寄りの位置には被記録材Qをセットするためのセット凹部71と、その中心にセットされた被記録材Qを保持する保持凸部72とが設けられている。そして、前記保持トレイ55にセットできる被記録材Qは、直径12cmあるいは直径8cm等、使用が想定されるサイズのCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RWあるいは次世代の光ディスクとして注目されているブルーレイディスクや今後開発されるものを含めた種々の光ディスク等が適用可能になっている。
【0025】
搬送用ローラ34は、幅方向Bに延びる長寸の搬送駆動ローラ35と、当該搬送駆動ローラ35の周面に圧接され、幅方向Bに適宜の間隔を空けて配設される複数の短寸の搬送従動ローラ36とによって構成されている。また、前記搬送駆動ローラ35は、装置本体における図示しないサイドフレーム間に水平に架け渡されているローラ駆動軸35aに対して設けられている。
【0026】
記録実行装置4は、記録実行ポジション51すなわち記録実行領域51の上部に設けられるキャリッジ40と、該キャリッジ40の下面に搭載される記録ヘッド42と、記録実行領域51の下部に設けられるプラテン38とを備えることによって基本的に構成されている。
【0027】
キャリッジ40は、被記録材Qの搬送方向Aと交差する幅方向Bに沿って架け渡されているキャリッジガイド軸41に沿って往復移動し得る部材である。また、記録ヘッド42は、図示しないインク供給装置から供給されたインクを下面に形成されている図示しないノズル口から吐出して被記録材Qの上面の被記録面に直接、記録を実行する部材である。また、プラテン38は、記録実行領域51に搬送されてきた被記録材Qの下面を支持して、前記記録ヘッド42の下面との間のギャップPGを規定する被記録材Qの搬送案内部材である。
【0028】
[実施例1]
次に、このようにして構成されるインクジェットプリンタ1に対して適用される本実施形態の被記録材の有無検出システム6の構造と、該被記録材の有無検出システム6を使用することによって実行される本発明の被記録材の有無検出方法について図面に基づいて具体的に説明する。
図3は保持トレイを示す斜視図、図4は直径12cmサイズの被記録材をセットした保持トレイが検出実行ポジションに位置しているときの平面図である。また、図5は直径8cmサイズの被記録材をセットした保持トレイが検出実行ポジションに位置しているときの平面図である。
【0029】
本実施形態の被記録材の有無検出システム6は、被記録材Qをセットするための保持トレイ55上のセット凹部71に設けられる暗色マーク80と、被記録材Qをセットするための保持トレイ55上のセット凹部71に設けられる明色マーク83と、前記暗色マーク80と明色マーク83に向けて個別に光を照射し、反射する光によって被記録材Qの有無を検出する反射式センサ85とを備えることによって基本的に構成されている。
【0030】
本実施形態では、前記暗色マーク80は、保持トレイ55のセット凹部71の底面71aに刻設されている平面視矩形状の穴部81によって構成されている。一方、前記明色マーク83は、前記穴部81の走査方向Bにおける近傍位置のセット凹部71の底面71aに対して塗工されている平面視矩形状の白色塗膜84によって構成されている。
【0031】
また、前記暗色マーク80と明色マーク83は、保持トレイ55の保持凸部72の中心Oを通る幅方向Bに沿って延びる直線L上に設けられている。そして、前記暗色マーク80と明色マーク83は、使用が想定される図4に示す直径12cmサイズの被記録材Q1と、図5に示す直径8cmサイズの被記録材Q2とに対して共通して適用することができるセット凹部71の内方位置に設けられている。
【0032】
反射式センサ85は、キャリッジ40の下面に取り付けられており、保持トレイ55が図4、図5に示す検出実行ポジション52に位置した時、前記暗色マーク80と明色マーク83とを通過できる位置に取り付けられている。また、本実施形態で使用する反射式センサ85は、少くとも暗色マーク80に照射され、反射して戻ってきた光と、明色マーク83に照射され反射して戻ってきた光とを区別することができるだけの感度を備えているものである。
【0033】
そして、このような被記録材の有無検出システム6を使用することによって実行される本発明の被記録材の有無検出方法は、以下に示す(1)第1検出工程と、(2)第2検出工程と、(3)判定工程とを備えることによって構成されている。
【0034】
(1)第1検出工程
第1検出工程は、反射式センサ85を暗色マーク80が設けられている第1検出ポジション87に位置させて暗色と明色の別を検出する工程である。
即ち、搬送用ローラ34を駆動して保持トレイ55を検出実行ポジション52に移動させる。次に、ホームポジションに待機していたキャリッジ40を反対側のリターンポジション側に移動させて反射式センサ85を第1検出ポジション87に位置させる。そして、反射式センサ85から暗色マーク80の設置位置に向けて光を照射し、反射して戻ってきた光から暗色と明色の別を検出する。
【0035】
(2)第2検出工程
第2検出工程は、反射式センサ85を明色マーク83が設けられている第2検出ポジション88に位置させて暗色と明色の別を検出する工程である。
即ち、保持トレイ55を検出実行ポジション52に位置させたままの状態にし、前記第1検出ポジション87に位置していた反射式センサ85を更にリターンポジション側に移動させて第2検出ポジション88に位置させる。そして、反射式センサ85から明色マーク83の設置位置に向けて光を照射し、反射して戻ってきた光から暗色と明色の別を検出する。
【0036】
(3)判定工程
判定工程は、前記第1検出工程における第1検出結果と、前記第2検出工程における第2検出結果とに基づいて、保持トレイ55上の被記録材Qの有無を判定する工程である。そして、前記第1検出結果が暗色、第2検出結果が明色である時に被記録材Qは無しと判定し、他の組み合わせのときに被記録材Qは有りと判定する。
【0037】
図6は判定工程での判定の態様を示すブロック図である。具体的には、図6(a)に示すように、第1検出結果が暗色、第2検出結果が明色である時には、保持トレイ55のセット凹部71の底面71aに設けられている暗色マーク80と明色マーク83がそのまま認識されているので、被記録材Qは無しと判定する。
【0038】
一方、図6(b)に示すように、第1検出結果が明色であるときには、保持トレイ55のセット凹部71の底面71aに設けられている暗色マーク80が認識されていないので、直ちに被記録材Qは有りと判定される。また、図6(c)に示すように、第1検出結果が暗色、第2検出結果も暗色であるときには、保持トレイ55のセット凹部71の底面71aに設けられている明色マーク83が認識されていないので、図6(b)と同様、被記録材Qは有りと判定される。
【0039】
[実施例2]
本発明に係る被記録材の有無検出システム6及び該被記録材の有無検出システム6を使用することによって実行される被記録材の有無検出方法及び該被記録材の有無検出システム6を備えた記録装置1は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0040】
図7は暗色マークと明色マークの配設態様を異らせた他の実施例を示す平面図である。即ち、明色マーク83は、暗色マーク80に対して反射式センサ85の走査方向Bの近傍位置に設けることに代えて、図7に示すように保持トレイ55の搬送方向Aの近傍位置に設けることが可能である。そして、図7に示す実施例の場合には、第1検出ポジション87での暗色マーク80の検出終了後、反射式センサ85の位置はそのままで、搬送用ローラ34を所定ステップ搬送方向Aと逆方向に駆動することで保持トレイ55を少し後退させて、反射式センサ85の直下の位置に明色マーク83を位置させるようにする。これにより、判定を行うことができる。
【0041】
[実施例3]
図8は暗色マークと明色マークを複数組、配設した他の実施例を示す平面図である。暗色マーク80と明色マーク83は、一組のみ設ける他、複数組設けることが可能である。また、暗色マーク80と明色マーク83を複数組、設ける場合には、組毎において暗色マーク80と明色マーク83の配設パターンを異らせることが可能である。因みに図8では、保持トレイ55の保持凸部72の中心Oを通る幅方向Bに平行な直線L上に保持凸部72を挟んでその左右に一組ずつ暗色マーク80L、80Rと明色マーク83L、83Rを設けている。
【0042】
そして、向って右側の暗色マーク80Rと明色マーク83Rの幅寸法と配設位置を、向って左側の暗色マーク80Lと明色マーク83Lの幅寸法と配設位置と異らせており、被記録材Qの上面との色の一致による誤検出の発生率を小さくしている。また、図8に示す実施例の場合には、第1検出ポジション87、第2検出ポジション88に加えて、第3検出ポジション89、第4検出ポジション90の計4つの検出ポジションが設けられていることも被記録材Qの検出精度の向上に貢献している。
【0043】
[その他の実施例]
また、保持トレイ55に直径12cmの被記録材Q1と直径8cmの被記録材Q2のそれぞれのエッジを検出するためのエッジ検出穴92、93が設けられており、これらの一部がセット凹部71内にかかっている場合には、前記2つのエッジ検出穴92、93を暗色マーク80として利用することも可能である。
【0044】
また、暗色マーク80は穴部81の他、黒色等の暗色系の色が付された保持トレイ55自体あるいは保持トレイ55の上面55aに塗布された塗膜や貼付されたシール材等であってもよい。同様に、明色マーク83も白色塗膜84に限らず、白色等の明色系の色や反射率の高い蛍光色が付された保持トレイ55自体、あるいは保持トレイ55の上面55aに貼付されたシール材等であってもよい。
【0045】
この他、本発明の被記録材の有無検出システム6及び記録装置1は、軟質の被記録材と硬質の被記録材Qの両方の被記録材に対応できる構造の他、硬質の被記録材Qのみに対応できる構造であってもよい。従って、被記録材の有無検出システム6は前述したインクジェットプリンタ等の記録装置に限らず、DVDプレイヤーやパーソナルコンピュータ等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】インクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図。
【図2】同インクジェットプリンタの検出実行時の側断面図。
【図3】保持トレイを示す斜視図。
【図4】同保持トレイを示す直径12cmの被記録材使用時の平面図。
【図5】同保持トレイを示す直径8cmの被記録材使用時の平面図。
【図6】被記録材の検出方法における判別工程での判別態様を示すブロック図。
【図7】被記録材の検出装置の他の実施例を示す平面図。
【図8】被記録材の検出装置の更に他の実施例を示す平面図。
【符号の説明】
【0047】
1 インクジェットプリンタ(記録装置)、 4 記録実行装置、 5 被記録材の搬送装置、 6 被記録材の有無検出システム、 34 搬送用ローラ、 35 搬送駆動ローラ、 35a ローラ駆動軸、 36 搬送従動ローラ、 38 プラテン、 40 キャリッジ、 41 キャリッジガイド軸、 42 記録ヘッド、 51 記録実行領域、 52 検出実行ポジション、 53 セットポジション、 55 保持トレイ、 55a 上面、 71 セット凹部(セット部)、 71a 底面、 72 保持凸部、 80 暗色マーク、 81 穴部、 83 明色マーク、 84 白色塗膜、 85 反射式センサ、 87 第一検出ポジション、 88 第2検出ポジション、 89 第3検出ポジション、 90 第4検出ポジション、 92 エッジ検出穴(12cm用)、 93 エッジ検出穴(8cm用)、 Q 硬質の被記録材、 A 搬送方向、 B 幅方向、 PG ギャップ、 O 中心、 L 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材をセットするための保持トレイ上のセット部に設けられる暗色マークと、
被記録材をセットするための保持トレイ上のセット部に設けられる明色マークと、
前記暗色マークの設置位置と明色マークの設置位置に向けて個別に光を照射し、それぞれの前記設置位置から反射する光によって被記録材の有無を検出するための反射式センサと、を備えていることを特徴とする被記録材の有無検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の被記録材の有無検出システムにおいて、
前記保持トレイは搬送方向に搬送可能に構成され、
前記反射式センサは前記搬送方向と交差する保持トレイの幅方向に移動可能に構成され、
前記暗色マークと明色マークは、前記反射式センサの移動方向又は前記保持トレイの搬送方向における近傍位置に配設されていることを特徴とする被記録材の有無検出システム。
【請求項3】
請求項2に記載の被記録材の有無検出システムにおいて、
前記保持トレイは、使用が想定される複数サイズの被記録材をセットすることができるセット部を備えており、前記暗色マークと明色マークは、前記複数サイズの被記録材に対して共通して適用することができる位置に設けられていることを特徴とする被記録材の有無検出システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の被記録材の有無検出システムにおいて、
前記暗色マークと明色マークは、複数組、設けられており、各組の暗色マークと明色マークは、配設パターンを異らせて配設されていることを特徴とする被記録材の有無検出システム。
【請求項5】
被記録材をセットするためのセット部に暗色マークと明色マークとが設けられている保持トレイに対して、反射式センサを前記暗色マークが設けられている第1検出ポジションに位置させて暗色と明色の別を検出する第1検出工程と、
反射式センサを前記明色マークが設けられている第2検出ポジションに位置させて暗色と明色の別を検出する第2検出工程と、
前記第1検出工程における第1検出結果と、前記第2検出工程における第2検出結果とに基づいて、第1検出結果が暗色、第2検出結果が明色であるときに被記録材は無しと判定し、他の組み合わせのときに被記録材は有りと判定する判定工程と、を備えていることを特徴とする被記録材の有無検出方法。
【請求項6】
被記録材をセットするためのセット部を有する保持トレイと、
前記保持トレイの搬送を司る搬送手段と、
前記セット部に被記録材がセットされているか否かを検出する被記録材の有無検出システムと、
記録ヘッドの記録領域に搬送された被記録材に対して所望の記録を実行する記録実行装置と、を備え、
前記被記録材の有無検出システムは請求項1〜4のいずれか1項に記載の被記録材の検出装置であることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−274846(P2009−274846A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129209(P2008−129209)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】