説明

装置、表示制御方法、及び表示制御プログラム

【課題】拡張機能として追加されるプログラムに関する画面の表示制御を適切に実行すること。
【解決手段】表示データを表示する表示手段を備えた装置であって、前記表示手段における表示対象について、第一の表示データから第二の表示データへの遷移を選択させる選択手段と、記憶手段に記録されたプログラムの実行の可否を判断する判断手段と、前記選択手段の選択に応じた表示データを前記表示手段に表示させる表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記プログラムは利用できないと判断された場合に、前記選択手段が第二の表示データへの遷移を選択させたときは、前記第一表示データから前記第二の表示データへ表示対象を遷移させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、専用のソフトウェア開発キット(SDK)を使用して開発されたアプリケーション(SDKアプリ)を随時追加可能な画像形成装置が記載されている。SDKアプリの実行環境については、当該文献の図1及び図6等において詳しく説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出願人は、斯かるSDKアプリの実行環境(特許文献1における、CVM555,CSGiフレームワーク403、SDKプラットフォーム148、及びJSDKアプリ147等を含む環境)を、特許文献1に係る画像形成装置とは異なる機種の画像形成装置(以下、「他種器」という。)において拡張機能として実現可能することを検討している。この際、他種器の標準機能も従来通り利用可能であることが要求される。すなわち、他種器においてSDKアプリの実行環境が利用可能でない場合は、当該他種器の標準機能を従来通り利用でき、SDKアプリの実行環境が利用可能である場合は、他種器の標準機能とSDKアプリとの双方が利用できるといった具合である。
【0004】
ここで、一つ問題となるのが、他種器の標準機能に関する画面制御とSDKアプリに関する画面制御との整合性である。すなわち、他種器は、ハード的及びソフト的にSDKアプリを前提として製造されていない。すなわち、当該他種器の標準機能に関する画面以外の画面が操作パネルに表示されることは想定されていない。したがって、他種器の標準機能とSDKアプリとの間の画面遷移の制御が困難であるという問題がある。
【0005】
特に、操作パネルに表示される画面は、ユーザとの重要なインタフェースとなるため、適切な画面遷移が実現されないと、機器の操作性を著しく低下させかねない。
【0006】
一方で、他種器上において常にSDKアプリが利用されるとは限らないため、画面遷移の制御に関して他種器の標準機能に対する影響をできるだけ小さく抑えたいという希望がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、拡張機能として追加されるプログラムに関する画面の表示制御を適切に実行することのできる装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、表示データを表示する表示手段を備えた装置であって、前記表示手段における表示対象について、第一の表示データから第二の表示データへの遷移を選択させる選択手段と、記憶手段に記録されたプログラムの実行の可否を判断する判断手段と、前記選択手段の選択に応じた表示データを前記表示手段に表示させる表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記プログラムは利用できないと判断された場合に、前記選択手段が第二の表示データへの遷移を選択させたときは、前記第一表示データから前記第二の表示データへ表示対象を遷移させない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、拡張機能として追加されるプログラムに関する画面の表示制御を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置において利用されるソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の画像形成装置における操作パネルの構成例を示す図である。
【図4】第一の実施の形態における画像形成装置による操作画面表示処理の処理手順を説明するための図である。
【図5】第二の実施の形態における画像形成装置による操作画面表示処理の処理手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図1において、画像形成装置10は、いわゆるスキャナ装置であり、コントローラ11、スキャナ12、ネットワークインタフェース13、操作パネル14等のハードウェアを有する。
【0012】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、及びROM113等より構成される。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。
【0013】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェアである。ネットワークインタフェース13は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。操作パネル14は、ユーザからの入力の受け付けや、ユーザに対する情報の通知等を行うめのボタン、液晶パネル(表示装置)等を備えたハードウェアである。
【0014】
また、画像形成装置10には、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介してSDカードリーダ15が接続されている。SDカードリーダ15は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行される。SDカードリーダ15は画像形成装置10に内蔵されていてもよい。なお、SDカード80は、スキャンされた画像データ等が保存するための記憶媒体としても利用される。但し、画像形成装置10は、HDD(Hard Disk Drive)を備えていてもよい。画像形成装置10がHDDを備えている場合、スキャンされた画像データ等はHDDに保存されるようにしてもよい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置において利用されるソフトウェア構成例を示す図である。同図における各プログラムの上下関係は、ROM113及びSDカード80に記録されたプログラムが、RAM112にロードされたときの関係を示している。SDKカード80に格納されたプログラムは、画像形成装置10に対する拡張機能として位置付けられる。そこで、本実施の形態では、SDKカード80に格納されたソフトウェア環境を「拡張環境」という。一方、ROM113に記録されたプログラムは、基本的に画像形成装置10の標準機能として位置付けられる。そこで、本実施の形態では、ROM113に記録されたソフトウェア環境を「標準環境」という。
【0016】
SDカード80には、拡張環境を実現するためのプログラムとして、JVM81、OSGiフレームワーク82、SDKプラットフォーム83、SDKアプリ84、及びSDK起動部85等が格納されている。なお、拡張環境を記録する記録媒体はSDカードでなくてもよい。画像形成装置10に対して挿抜可能な記録媒体であれば特定の記録媒体に限定されない。
【0017】
JVM81は、いわゆるJava(登録商標)仮想マシン(Java(登録商標) Virtual Machine)であり、Java(登録商標)バイトコードをOS21上で動作可能なネイティブコードに変換して実行する。なお、JVM81より上の層に図示されているソフトウェアは、Java(登録商標)のバイトコードによって実装されたものである。
【0018】
OSGiフレームワーク82は、OSGi(Open Services Gateway Initiative)アライアンスによる標準化技術であり、Java(登録商標)言語に基づいたオープンなソフトウェア部品化技術に基づいて作成されたソフトウェア部品の実行環境を提供するソフトウェアプラットフォームである。OSGiフレームワーク82上において、Java(登録商標)言語のソフトウェアは「バンドル」と呼ばれるソフトウェア部品の形で実装される。一つのバンドルは、一つのJAR(Java(登録商標) ARchive)ファイルによって構成され、それぞれ独立して動的に(装置の再起動を要することなく)インストール可能である。
【0019】
OSGiフレームワーク82は、HTTPサーバ821を含む。HTTPサーバ821は、Webブラウザ40からの要求(HTTPリクエスト)をSDKプラットフォーム83に通知し、SDKプラットフォーム83からの応答をHTTPレスポンスとしてWebブラウザ30に返信する。
【0020】
SDKアプリ84は、専用のSDK(ソフトウェア開発キット)によって提供されるAPI(Application Program Interface)(SDK API)を利用して実装されたアプリケーションプログラムである。同図では、SDKアプリ84として、アプリA、アプリB、及びアプリC等が例示されている。
【0021】
SDKプラットフォーム83は、SDK APIを介してSDKアプリ84の実行環境を提供するソフトウェアプラットフォームである。なお、SDK APIは外部に公開されている。したがって、SDKアプリ84はサードベンダ等によっても実装されうる。
【0022】
SDKプラットフォーム83は、コンバート部831を有する。コンバート部831は、HTTPサーバ821によって受信されたHTTPリクエストをSDKプラットフォーム83内において解釈可能な形式(Java(登録商標)による命令)に変換し、変換後の形式による命令をSDKプラットフォーム83に入力する。例えば、SDKアプリ84に対してSDKアプリ84の実行命令が入力される。コンバート部831は、また、SDKプラットフォーム83による処理の実行結果を標準環境のWebブラウザ30が理解可能な形式(HTMLデータ)に変換し、変換後のHTMLデータをHTTPサーバ821に出力する。
【0023】
SDK起動部85は、SDカード80に記録されたプログラムをRAM112にロードし、起動する。
【0024】
一方、画像形成装置10のROM113には、標準環境を実現するためのプログラムとして、OS21、コピーモジュール22、スキャンモジュール23、印刷モジュール24、FAXモジュール25、SDKロード部26、フレームワーク27、Webブラウザ30、HTTPサーバ40、API50、コピーUI61、E−mailUI62、フォルダUI63、FAXUI64、及びSDKUI65等が格納されている。
【0025】
OS21は、いわゆるOS(Operating System)である。コピーモジュール22は、画像データのコピーを制御するプログラムモジュールである。スキャンモジュール23は、画像データのスキャンを制御するプログラムモジュールである。印刷モジュール24は、画像データの印刷を制御するプログラムモジュールである。FAXモジュール25は、画像データのFAX送信を制御するプログラムモジュールである。
【0026】
SDKロード部26は、画像形成装置10の起動に応じて呼び出され、SDカード80のマウント、SDK起動部85のRAM112へのロード、及びSDK起動部85の実行等を行う。フレームワーク27は、画像形成装置10におけるプログラムの実行環境を提供する。
【0027】
Webブラウザ30は、いわゆるWebブラウザであり、操作パネル14の表示制御を行う。すなわち、操作パネル14には、Java(登録商標)Script等のスクリプトプログラム等をも含むHTML(HyperText Markup Language)データ(Webページ)が各種の操作画面として表示される。HTTPサーバ40は、Webブラウザ40からの要求(HTTPリクエスト)に応じた処理を制御し、その応答(HTTPレスポンス)をWebブラウザ30に返信する。なお、標準環境におけるHTTPサーバ40と拡張環境におけるHTTPサーバ821とは通信に用いるポート番号が異なる。
【0028】
API50は、標準環境に対するAPI(Application Program Interface)である。
【0029】
コピーUI61、E−mailUI62、フォルダUI63、FAXUI64、及びSDKUI65は、各種の操作画面の表示データとしてのHTMLデータである。コピーUI61は、スキャンされた画像データをコピーするための操作画面を表示させるHTMLデータである。E−mailUI62は、スキャンされた画像データをメール送信するための操作画面を表示させるHTMLデータである。フォルダUI63は、スキャンされた画像データをファイルシステム上のフォルダに保存するための操作画面を表示させるHTMLデータである。FAXUI64は、スキャンされた画像データをFAX送信するための操作画面を表示させるHTMLデータである。SDKUI65は、拡張環境に関する操作画面を表示させるためのHTMLデータである。
【0030】
これらのUI(HTMLデータ)の表示切り替え(選択)は、操作パネル14においてUI(User Interface)ごとに対応付けられたハードキー(ファンクションキー)によって行われる。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態の画像形成装置における操作パネルの構成例を示す図である。同図において、操作パネル14は、液晶パネル141、スタートキー142、コピーキー143、E−mailキー144、フォルダキー145、及びFAXキー146等を有する。
【0032】
液晶パネル141は、各UIに基づく画面等を表示させるタッチ式のパネルである。スタートキー146は、ジョブの開始指示を受け付けるためのキーである。コピーキー143、E−mailキー144、フォルダキー145、及びFAXキー146は、利用する機能(UI)を選択させるためのキー(ボタン)である。
【0033】
例えば、コピーキー143が押下されると、そのイベントはWebブラウザ30に通知される。Webブラウザ30は、コピーキー143に対応したURLを含むHTTPリクエストをHTTPサーバ40に送信する。HTTPサーバ40は、当該URLに対応するコピーUI61を取得し、Webブラウザ30に返信する。Webブラウザ30は、返信されたコピーUI61を液晶パネル141に表示させる。E−mailキー144、フォルダキー145、及びFAXキー146が押下された場合も、同様の処理が実行され、それぞれのファンクションキーに対応するUI(E−mailUI62、フォルダUI63、又はFAXUI64)が表示される。
【0034】
なお、UIの遷移は、Webブラウザ30に表示されているUI(HTMLデータ)内に記述されているスクリプトプログラムの制御によって実現される。すなわち、各UIには、各ファンクションキーの押下イベントに応じた処理を定義するスクリプトプログラムが含まれている。当該処理定義は、押下されたファンクションキーに対応するURLを含むHTTPリクエストのHTTPサーバ40への送信をWebブラウザ30に実行させるというものである。
【0035】
ところで、操作パネル14には、SDKUI65に対応するファンクションキーは配置されていない。これは、画像形成装置10が、SDKアプリ84の実行を前提として製造されていないためである。
【0036】
そこで、本実施の形態では、FAXキー146にSDKUI65を割り当てている。具体的には、FAXUI64が液晶パネル141に表示されている際にFAXキー146が押下されると、Webブラウザ30は、SDKUI65に基づいて拡張環境の操作画面(例えば、SDKアプリ84の操作画面)を液晶パネル141に表示させる。一方、拡張環境の操作画面が液晶パネル141に表示されている際にFAXキー146が押下されると、Webブラウザ30は、FAXUI64を液晶パネル141に表示させる。すなわち、FAXキー146は、FAXUI64又は拡張環境の操作画面が表示対象とされているときは両者を切り替えるためのトグルボタンとして機能する。これにより、SDKUI65及び拡張環境の操作画面を液晶パネル141に表示させることが可能となる。
【0037】
なお、標準環境のうち、SDKロード部26及びSDKUI65は、拡張環境を実現可能とするため、新たに標準環境に追加された部分である。
【0038】
また、本実施の形態における画像形成装置10はスキャナ装置であるところ、コピー、印刷、FAX送信等、スキャナ装置のみでは実現できない機能に関するプログラムモジュール又はUIを有する。これは、画像形成装置10をプリンタ又はファクシミリ等とUSBケーブル等によって接続されることにより、ハード的にこれらの機能の実現が可能とされた場合を考慮してのことである。
【0039】
以下、画像形成装置10による操作画面表示処理の処理手順について説明する。第一の実施の形態では、SDKUI65以外のUI(標準環境のUI)がデフォルトUIとして設定されている場合の操作画面表示処理について説明する。ここで、デフォルトUIとは、画像形成装置10の起動後に最初に表示対象とされるUIをいう。デフォルトUIの設定は、操作パネル14を介して行われ、その設定情報(デフォルトUI識別情報)は、例えば、SDカード80に保存されている。
【0040】
図4は、第一の実施の形態における画像形成装置による操作画面表示処理の処理手順を説明するための図である。
【0041】
画像形成装置10に対する電源の投入に応じ、OS21が起動される。OS21は、起動に応じ標準環境に関するプログラムを起動させる。その一つとしてWebブラウザ30がOS21によって起動される(S101)。Webブラウザ30は、起動されると、デフォルトUI識別情報に基づいて、デフォルトUIとして設定されているUIをHTTPサーバ40を介して取得し、当該UIに基づいて液晶パネル141に操作画面を表示させる(S102)。ここでは、デフォルトUIは、コピーUI61であるとする。したがって、コピーUI61に基づいてコピー画面が液晶パネル141に表示される。
【0042】
続いて、OS21は、SDKロード部26に対し拡張環境の起動を要求する(S103)。SDKロード部26は、当該要求に応じ、SDカード80をマウントする(S104)。続いて、SDKロード部26は、SDカード80よりSDK起動部85をRAM113にロードし(S105)、起動する(S106)。
【0043】
SDK起動部85は、起動されると、拡張環境のプログラムをRAM113にロードし、起動する(S107)。具体的には、JVM81、OSGiフレームワーク82、及びSDKプラットフォーム83等が起動される。また、必要に応じて一部又は全部のSDKアプリ84も起動される。拡張環境の初期起動が完了すると(S108)、SDK起動部85は、拡張環境の起動の完了をSDKロード部26に通知する(S109)。当該通知により、SDKロード部26は、拡張環境が起動されたことを認識する。
【0044】
なお、ステップS104においてSDカード80のマウントに失敗した場合(例えば、SDカード80がSDカードリーダ15にセット(挿入)されていない場合等)、ステップS105においてSDK起動部85のロードに失敗した場合、又はステップS109において拡張環境の起動に失敗したことがSDK起動部85より通知された場合、SDKロード部26は、拡張環境は存在しないものと判断する。
【0045】
ところで、コピー画面が表示されることにより、ユーザから見れば画像形成装置10は利用可能な状態となる。この状態において、ユーザによってFAXキー146が押下されると、OS21よりFAXキー146の押下イベントがWebブラウザ30に通知される(S111)。当該押下イベントは、Webブラウザ30において表示対象とされているコピーUI61内のスクリプトプログラムに通知される。当該スクリプトプログラムの制御により、Webブラウザ30は、拡張環境の起動が終了しているか否かを問わず、HTTPサーバ40を介してFAXUI64を取得し、FAXUI64に基づいてFAX画面を表示させる(S112)。すなわち、FAXUI64及びSDKUI65以外のUIに含まれているスクリプトプログラムは、ファンクションキーの押下イベントに応じて拡張環境の起動の完了を確認することなく、押下イベントに応じたUIを表示させるための処理を実行させる。
【0046】
一方、FAX画面が表示されている状態においてFAXキー146が押下され、その押下イベントがWebブラウザ30に通知されると(S113)。当該押下イベントは、Webブラウザ30において表示対象とされているFAXUI64内のスクリプトプログラム(以下、「FAXUIスクリプト」という。)に通知される。FAXUIスクリプトは、例えば、プロセス間通信によりSDKロード部26に対して拡張環境の起動が完了しているか否かを問い合わせる(S114)。ステップS113のタイミングでは、拡張環境の起動は完了していない。したがって、SDKロード部26は、拡張環境は起動されていないことをFAXUIスクリプトに対して応答する(S115)。また、SDKロード部26は、拡張環境は存在しないと判断した場合も拡張環境は起動されていないことをFAXUIスクリプトに対して応答する。FAXUIスクリプトは、拡張環境が起動されていないときは、FAXキー146の押下イベントを無視する。したがって、拡張環境が存在しない場合(例えば、SDカード80がセットされていない場合)、又は拡張環境が存在してもその起動が完了していない場合はFAX画面からの遷移は行われない。
【0047】
続いて、FAX画面が表示されている状態において、拡張環境の起動後にFAXキー146が押下され、その押下イベントがWebブラウザ30に通知されると(S116)。FAXUIスクリプトは、ステップS113と同様の問い合わせをSDKロード部26に対して行う(S117)。ここでは、SDKロード部26は、拡張環境の起動は完了していることをFAXUIスクリプトに対して応答する(S118)。
【0048】
拡張環境の起動が完了している場合、FAXUIスクリプトは、HTTPサーバ40を介してSDKUI65を取得し、SDKUI65に基づいてSDKロゴ画面を液晶パネル141に表示させる(S119)。なお、SDKロゴ画面とは、SDKアプリ84のロゴを示す画像を含む画面であり、ユーザに対してSDKアプリ84を呼び出し中であることを通知する画面である。
【0049】
SDKUI65の表示に応じ、SDKUI65に含まれているスクリプトプログラム(以下、「SDKUIスクリプト」という。)における表示時の処理手順が実行される。まず、SDKUIスクリプトは、SDKアプリ84の初期画面に対するURLを含むHTTPリクエストのHTTPサーバ821への送信をWebブラウザ30に実行させる(S120)。HTTPサーバ821は、HTTPリクエストの受信に応じ、当該HTTPリクエストに含まれているURLをコンバート部831に通知する。コンバート部831は、当該URLに対応する初期画面の生成をSDKプラットフォーム83に実行させる。SDKプラットフォーム83は、SDKアプリ84が複数存在する場合は、SDKアプリ84の一覧画面を、SDKアプリ84が一つしか存在しない場合は、当該SDKアプリ84の操作画面を生成する。コンバート部831は、生成された初期画面を表示させるHTMLデータを生成し、当該HTMLデータをHTTPサーバ821へ出力する。HTTPサーバ821は、当該HTMLデータをWebブラウザ30に返信する(S121)。
【0050】
続いて、Webブラウザ30は、受信されたHTMLデータに基づいて初期画面(SDKアプリ84の一覧画面又はSDKアプリ84の操作画面)を液晶パネル141に表示させる(S122)。
【0051】
続いて、初期画面を介してSDKアプリ84の選択又は実行指示の入力等が行われると(S123)、Webブラウザ30は、当該指示に応じたHTTPリクエストをHTTPサーバ821に送信する(S124)。拡張環境では、当該HTTPリクエストがコンバート部831によって変換され、SDKプラットフォーム83又はSDKアプリ84によって当該HTTPリクエストに応じた処理が実行される(S125)。当該処理結果は、コンバート部831によってHTMLデータに変換される。当該HTMLデータは、HTTPサーバ821によってWebサーバ30に返信される(S126)。Webブラウザ30は、HTMLデータの受信に応じ、当該HTMLデータを液晶パネル141に表示させる(S127)。
【0052】
以降、ステップS122〜S126が繰り返されることにより、拡張環境における画面遷移が実現される。また、ファンクションキーが押下されると、標準環境におけるUIが液晶パネル14に表示され、Webブラウザ30及びHTTPサーバ40等によって標準環境における画面遷移が実現される。
【0053】
なお、FAXUIスクリプトによる拡張環境の起動の完了の確認は、必ずしもSDKロード部26に直接問い合わせることにより行われなくてもよい。例えば、拡張環境の起動が完了したときにSDKロード部26がRAM112にフラグ情報を書き込むようにし、FAXUIスクリプトは当該フラグ情報を参照することにより起動の完了を確認するようにしてもよい。
【0054】
上述したように、第一の実施の形態によれば、SDカード80がセットされていない場合や、拡張環境が起動されていない場合等、拡張環境を利用させることができない場合は、FAXキー146が押下されたとしてもSDKUI65は表示対象とされない。したがって、標準環境に準拠した標準機として画像形成装置10を動作させることができ、利用できない拡張環境による不自然な動作や操作性の劣化等を回避することができる。
【0055】
また、画面遷移の制御は、各UI内のスクリプトプログラムに基づいて行われる。したがって、拡張環境の追加による画面遷移の変更は、テキスト形式であるスクリプトプログラムを変更することにより比較的容易に行うことができる。
【0056】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態では、SDKUI65がデフォルトUIとして設定されている場合の操作画面表示処理について説明する。図5は、第二の実施の形態における画像形成装置による操作画面表示処理の処理手順を説明するための図である。
【0057】
画像形成装置10に対する電源の投入に応じ、OS21が起動される。OS21は、起動に応じ標準環境に関するプログラムを起動させる。その一つとしてWebブラウザ30がOS21によって起動される(S201)。Webブラウザ30は、起動されると、デフォルトUI識別情報に基づいて、デフォルトUIとして設定されているSDKUI65をHTTPサーバ40を介して取得し、SDKUI65に基づいてSDKロゴ画面を液晶パネル141に操作画面を表示させる(S202)。なお、Webブラウザ30は、デフォルトUIがSDKUI65である場合は、SDKUI65を取得する前にSDカード80がSDカードリーダ15にセットされているか否かを確認する。SDカード80がセットされている場合はSDKUI65を取得し、SDカード80がセットされていない場合は、他のUIのいずれかを取得する(この場合、図4と同様の処理が実行される)。他のUIのいずれを取得するかは、予め設定しておけばよい。
【0058】
SDKUI65の表示に応じ、SDKUI65に含まれているSDKUIスクリプトにおける表示時の処理手順であって、SDKUI65がデフォルトUIに設定されている場合の処理手順が実行される。まず、SDKUIスクリプトは、例えばプロセス間通信により、SDKプラットフォーム83に対して起動の完了を問い合わせる(S203)。問い合わせに対する応答が無い場合、SDKUIスクリプトは、拡張環境の起動は完了していないと判断し、SDKプラットフォーム83に対する起動完了の問い合わせを定期的に継続する。
【0059】
続いて、OS21は、SDKロード部26に対し拡張環境の起動を要求する(S204)。続いて、ステップS205〜S210では、図4のS104〜S109と同様の処理が実行され、拡張環境が起動される。
【0060】
続いて、ロゴ画面が表示されている状態においてユーザによっていずれかのファンクションキーが押下されると、OS21よりファンクションキーの押下イベントがWebブラウザ30に通知される(S211)。当該押下イベントは、Webブラウザ30において表示対象とされているSDKUI65内のSDKUIスクリプトに通知される。SDKUIスクリプトは、定期的なSDKプラットフォーム83に対する起動完了の問い合わせの結果、拡張環境の起動の完了が確認されていない場合は、全てのファンクションキーの押下イベントを無視する。したがって、他のUIへの画面遷移は行われない。
【0061】
その後、起動完了の問い合わせに対してSDKプラットフォーム83からの応答が返信されると(S221、S222)、SDKUIスクリプトは、拡張環境の起動は完了したと判断し、SDKプラットフォーム83に対する問い合わせ(ポーリング)を停止する(S223)。なお、問い合わせを一定期間繰り返してもSDKプラットフォーム83からの応答が無い場合、SDKUIスクリプトは、HTTPサーバ40を介した他のUIのうちのいずれかを取得をWebブラウザ30に取得させる。その結果、他のUIに基づく操作画面が液晶パネル141に表示される。
【0062】
続いて、SDKUIスクリプトは、SDKアプリ84の初期画面に対するURLを含むHTTPリクエストのHTTPサーバ821への送信をWebブラウザ30に実行させる(S224)。
【0063】
ステップS224以降ステップS226までは、ステップS120以降ステップS122と同様の処理が実行される。その結果、SDKアプリ84の初期画面が液晶パネル141に表示される。
【0064】
また、ステップS227〜S231では、図4のステップS123〜S127と同様の処理が実行される。その結果、拡張環境における画面遷移が実現される。
【0065】
上述したように、第二の実施の形態によれば、SDKUI65がデフォルトUIと設定されている場合に、拡張環境の起動が完了するまでファンクションキーが押下されても他のUIへの遷移を防止することができる。すなわち、拡張環境は、標準環境の起動後に起動され、また、外部の記録媒体(SDカード80)からロードされるため、その(拡張環境の)初期画面の表示は、標準環境のUIがデフォルトUIである場合に比べて時間を要する可能性が高い。その結果、表示が完了するまでにユーザによる操作が行われてしまう可能性がある。しかしながら、第二の実施の形態では、拡張環境の起動が完了するまでファンクションキーの入力が無視されるため、デフォルトUIの表示前に他のUIが表示されてしまうといった画面遷移の不整合を防止することができる。
【0066】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 ネットワークインタフェース
14 操作パネル
15 SDカードリーダ
21 OS
22 コピーモジュール
23 スキャンモジュール
24 印刷モジュール
25 FAXモジュール
26 SDKロード部
27 フレームワーク
30 Webブラウザ
31 イベント検知部
32 ネットワーク通信部
33 HTML解読部
34 画面描画部
40 HTTPサーバ
41 ネットワーク通信部
42 リクエスト処理部
43 ハードキーイベント生起部
50 API
61 コピーUI
62 E−mailUI
63 フォルダUI
64 FAXUI
65 SDKUI
81 JVM
82 OSGiフレームワーク
83 SDKプラットフォーム
84 SDKアプリ
85 SDK起動部
111 CPU
112 RAM
113 ROM
141 液晶パネル
142 スタートキー
143 コピーキー
144 E−mailキー
145 フォルダキー
146 FAXキー
821 HTTPサーバ
831 コンバート部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2007−89139号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示データを表示する表示手段を備えた装置であって、
前記表示手段における表示対象について、第一の表示データから第二の表示データへの遷移を選択させる選択手段と、
記憶手段に記録されたプログラムの実行の可否を判断する判断手段と、
前記選択手段の選択に応じた表示データを前記表示手段に表示させる表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記プログラムは利用できないと判断された場合に、前記選択手段が第二の表示データへの遷移を選択させたときは、前記第一表示データから前記第二の表示データへ表示対象を遷移させない装置。
【請求項2】
当該装置の起動後に最初に表示させる表示データの識別情報を管理する管理手段を有し、
前記表示制御手段は、前記プログラムに係る表示データの識別情報が前記管理手段に管理されている場合は、前記プログラムの起動の完了が確認されるまで前記選択手段の選択を無視する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、表示対象としている表示データに含まれているプログラムに基づいて、前記選択手段の選択に応じた表示データを取得する請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、表示対象としている表示データに含まれているプログラムに基づいて、前記プログラムに係る表示データの識別情報が前記管理手段に管理されている場合は、前記プログラムの起動の完了が確認されるまで前記選択手段の選択を無視する請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記第一の表示データは、当該装置の標準の機能に対する表示データであり、前記第二の表示データは、当該装置の機能を拡張させるプログラムに対応する表示データである請求項1乃至4いずれか一項記載の装置。
【請求項6】
表示データを表示する表示手段を備えた装置が実行する表示制御方法であって、
前記表示手段における表示対象について、第一の表示データから第二の表示データへの遷移を選択させる選択手順と、
記憶手段に記録されたプログラムの実行の可否を判断する判断手順と、
前記選択手順における選択に応じた表示データを前記表示手段に表示させる表示制御手順とを有し、
前記表示制御手順は、前記判断手順において前記プログラムは利用できないと判断された場合に、前記選択手順において第二の表示データへの遷移が選択されたときは、前記第一表示データから前記第二の表示データへ表示対象を遷移させない表示制御方法。
【請求項7】
前記表示制御手順は、前記プログラムに係る表示データの識別情報が、起動後に最初に表示させる表示データの識別情報を管理する管理手段に管理されている場合は、前記プログラムの起動の完了が確認されるまで前記選択手順における選択を無視する請求項6記載の表示制御方法。
【請求項8】
前記表示制御手順は、表示対象としている表示データに含まれているプログラムに基づいて、前記選択手順における選択に応じた表示データを取得する請求項6又は7記載の表示制御方法。
【請求項9】
前記表示制御手順は、表示対象としている表示データに含まれているプログラムに基づいて、前記プログラムに係る表示データの識別情報が前記管理手順に管理されている場合は、前記プログラムの起動の完了が確認されるまで前記選択手順における選択を無視する請求項7記載の表示制御方法。
【請求項10】
前記第一の表示データは、当該装置の標準の機能に対する表示データであり、前記第二の表示データは、当該装置の機能を拡張させるプログラムに対応する表示データである請求項6乃至9いずれか一項記載の表示制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至10いずれか一項記載の表示制御方法をコンピュータに実行させる表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−66236(P2013−66236A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272385(P2012−272385)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2008−316026(P2008−316026)の分割
【原出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】