装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品
【課題】 水中で透明に膨潤し、且つ生分解性を有するゼラチン系吸水性樹脂の装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品を提供する。
【解決手段】 エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下であり、型取りモールド内でゲル化させたものの乾燥物又は含水ゲルの乾燥物を特定の形状に加工した装飾用膨潤性成形体である。
【解決手段】 エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下であり、型取りモールド内でゲル化させたものの乾燥物又は含水ゲルの乾燥物を特定の形状に加工した装飾用膨潤性成形体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液用ゲル化剤を用いて製造される含水ゲルを乾燥した装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品に関する。さらに詳しくは、水中で透明に膨潤し、且つ生分解性を有するゼラチン系吸水性樹脂の装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品に関する。
【背景技術】
【0002】
意匠性を有する装飾用水系ゲル成形体としては、本発明者らは先に「水性液用ゲル化剤を含有する水性液を、型取り用モールド内でゲル化させた後取り出した、特定の形状に加工した装飾用水系ゲル成形体」を発明して特許出願した(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−253246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この装飾用水系成形体は透明で且つインテリア性を有したキャラクターグッズ等の形状にはなるが、既に膨潤した含水ゲルであり、水の中に入れてもそれ以上に膨潤しにくくそのままの形状を維持するものであった。
市場では、意匠性を有する装飾用水系成形体であって、人の目を楽しませてくれるような、水中でさらに透明に膨潤する装飾用水系成形体が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記要望点を満足する、意匠性を有し、透明で且つ水又は水性液中で膨潤する装飾用水系成形体を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明における意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
【0005】
すなわち本発明は、
(I)エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下である装飾用膨潤性成形体;
(II)該装飾用成形体を含むことを特徴とする物品
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の装飾用成形体は下記の効果を奏する。
(1)水中又は水性液中で元の形状を保持したまま膨潤する。
(2)膨潤後も透明な成形体である。
(3)該成形体はゼラチンを主成分としているので、生分解性の高い樹脂となり、自然及び環境にやさしい製品となる。
(4)ゼラチンへの架橋剤成分であるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物は、高分子量のため、従来の吸水性樹脂に使用されている低分子モノマーに比べ、皮膚障害がなく人体に対する安全性が著しく高く、安心して使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においてエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を作成した後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下又は不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物は無水マレイン酸を共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はなく、具体的には例えば、
【0008】
(1)オレフィン系不飽和化合物
(i)直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)];
(ii)芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);
(iii)ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン等);
(iv)窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリル等);
(v)その他オレフィン(アリルアミン、ビニルスルホン酸等);
【0009】
(2)非オレフィン系不飽和化合物
(i)ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等];
(ii)アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);
(iii)カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];
(iv)スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等 ];
(v)燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエス テル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート等];
【0010】
(vi)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等];
(vii)3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];
(viii)エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレート等];
(ix)その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化し て得られるビニルアルコール等);等である。
これらの内好ましくは、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類及びビニルエーテルであり、好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。これらの単量体を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
【0011】
重合は上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比で好ましくは100:1〜1:100であり、より好ましくは10:1〜1:10であり、特に好ましくは5:1〜1:5である。また生成した共重合体の分子量は、好ましくは2,000〜5,000,000であり、より好ましくは3,000〜3,000,000である。
【0012】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対して好ましくはアンモニア0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、好ましくは5〜100,000cpsであり、より好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000である。
【0013】
本発明においてゼラチン(B)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが使用でき、分子量としては3,000〜500,000が好ましく、特に高い吸水倍率を得るためには、分子量5,000〜400,000がより好ましい。
【0014】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応は、下式の様に反応して従ってゲル形成が進行するものと推定される。
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体にアンモニアを反応させると、共重合体中の無水マレイン酸部分が開裂して、部分的なアミドとアンモニウム塩との混合物が生成される。この構造が(A)であり、このアミド基とゼラチン(B)のリジン残基のアミノ基とが反応し、NH3が脱離し、新たにアミド結合が形成され、その結果として三次元構造(ゲル化)が形成されると推定される。
【0015】
【化1】
【0016】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応
物(A)とゼラチン(B)との反応において、使用比率はゼラチンの遊離アミノ基の数により一概に特定できないが、良好な吸水性を得るには(B)100質量部に対して(A)を好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部で反応させるのがよい。
(A)と(B)の反応方法としては、例えば(i)(A)と(B)を直接混合する方法(この方法はないのでは)、(i)(A)の水溶液に(B)を混合する方法、(ii)(B)の水溶液に(A)を混合する方法、(iii)(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iii)である。
【0017】
重合濃度は、後加工で乾燥するため高濃度で重合すればするほど効率的であり、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは10〜35重量%である。1重量%より大きければ保形性のある水性ゲルができ、取り扱いが良く、45重量%より小さければ水性液への泡のカミ込みが無く透明性が良い。
水性液用ゲル化剤の粘度は、容器に流し込める程度の粘度であれば良いが、好ましくは1〜10,000cPs、より好ましくは1〜5,000cPsの水溶液にして用いる。粘度の測定温度は60℃である。
(A)と(B)との反応が進むと系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。(A)と(B)とを反応する際の温度は特に限定はないが、例えば40〜60℃で行う場合には数時間で反応が完結し、室温で反応する場合には1昼夜を要する。(A)と(B)とが反応した後、透明性の大きな水系ゲルが得られる。透明性は透過率(%)で測定が出来る。水系ゲルの透過率(%)は好ましくは70〜100、より好ましくは80〜100、特に好ましくは90〜100である。
(透過率の測定法)
10mm厚のガラス製セル中に室温で1日放置してゲルを作成し25℃に温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定した。
【0018】
本発明の水性液用ゲル化剤には着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を配合してもよい。
着色剤成分としては公知の顔料、染料や食用色素が使用できる。具体的には下記のものが挙げられる。
(1)顔料
(i)無機顔料;
天然物[クレー、パライト、雲母等]、合成品[酸化物(亜鉛華、弁柄、黄色酸化鉄等)、硫化物(カドミウム黄、カドミウム赤、銀朱等)、炭酸塩(炭化カルシウム等)、珪酸塩(珪酸カルシウム等)、クロム酸(黄鉛、モリブデン赤等)、硫酸塩(硫酸バリウム等)、フェロシアン化物(紺青等)、水酸化物(水酸化アルミニウム、ビリジャン等)、炭素(カーボンブラック、松煙、グラファイト等)]、金属粉[アルミニウム粉、亜鉛末等];
(ii)有機顔料
天然染料系顔料[マダーレーキ、ロックウッドレーキ等]、合成品[アゾ系(カーミン6B、レッド2B、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー10G、ナフトールレッド、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッド等)、フタロシアニン系(銅フタロシアニンブルー、無菌属フタロシアニンブルー、塩素化フタロシアニングリーン、ブロム化フタロシアニングリーン)多環系色素(アンスラキノンイエロー、キナクリドン、イソインドリノンイエロー、ジオキサジンバイオレット、ペリレンレッド、ペリノンレッド、キノフタロンイエロー、ピランスロン、有機蛍光顔料等)、塩基性染料系顔料(ローダミンレーキ、マラカイトグリーン等)、酸性染料系顔料(ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ等)、建染染料系顔料(インダンスレンブルー、チオインジゴレッド等)、媒染染料系顔料(アリザリンレーキ等)等]
【0019】
(2)染料
アゾ染料(ナフトールAS、ファストスカーレットソルトG、ソナトールBR等)、アントラキノン染料(アリザリンシアニングリーンG、アリザリンレッドB、セリトンファストブルーFFR、インダスレンゴールドオレンジG等)、インジゴイド染料(インジゴ、シバブルー2B、アルゴールレッド5B、アンスラゾールO等)、フタロシアニン染料(銅フタロシアニン、シリアスライトターコイスブルーGL等)、カルボニウム染料(ローダミンB、ブリリアントミリンググリーンB等)、キノンイミン染料(サフラニンT等)、メチン染料(キノリンブルー等)、その他(ナフトールイエローS、ナフトールグリーンB等)
これらの着色成分のうち、好ましいのは非水溶性の着色剤成分である。例えば、銅フタロシアニンブルー、ハンザイエロー10G、ソナトールBR、セリトンファストブルーFFR等である。
【0020】
(3)食用色素
食用赤色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用緑色3号、食用緑色3号アルミニウムレーキ、食用青色1号、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号、食用青色2号アルミニウムレーキ、水溶性アナトー、鉄クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル等
これらの着色成分のうち、安全上食用色素類が好ましい。例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号等である。
これらの使用量は、その種類により多少異なるが好ましくは水系ゲル成形体の全重量の0.01〜5%である。
【0021】
防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤については好ましくは揮散性を有する薬剤である。これらは1種以上の機能を有する薬剤であってもよく、特に限定されるものではない。これらの薬剤としては具体的には下記のものが挙げられる。これらの使用量は、その種類により多少異なるが好ましくは水系ゲル成形体の全重量の0.1〜15%である。
防虫性薬剤としては、例えば毛織物が虫による被害を避けるために合成ピレスロイド、エンペスリン、ヒノキチオール、ヒバ油等があり、これらに水と乳化剤、必要により溶剤等を加え、水性エマルジョン又は水性液とすることができる。
【0022】
防臭・消臭性薬剤としては、例えば無機強酸の弱塩基の塩(硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化アンモニウム、みょうばん類等)、フラボノイド化合物(例えばイネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質、「フレシュライマツ」(白井松新薬社製)、「スメラル」(環境科学開発社製)等)、シクロデキストリン(α−又はβ−シクロデキストリン又はこれらの誘導体)、酸又はアルカリ性の水性液、ゼオライト、活性炭等があり、このものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液とすることができる。
抗菌性薬剤としては炭素数が6〜30のアルキル基を少なくとも1個有する第4級アンモニウム化合物(オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムグルコン酸等)、ポリメチレンビグアニジン化合物(ポリヘキサメチレングアニジン塩化合物、ポリオクタメチレングアニジン塩化合物等等)、クロルヘキシジン化合物(クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等)等が挙げられる。
芳香性薬剤としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられ、これらは水溶性のものであればその水溶液、非水溶性のものであれば水と乳化剤、必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液とすることができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
水性液中には、さらに必要により他の添加物を配合することができる。配合量としては、その種類により多少異なるが好ましくは全重量の
0.001〜30%が好ましい。この添加物としては、例えば着色剤[顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、色素(食添色素等)];安定化剤[老化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤等]、界面活性剤、アルコール等が挙げられる。
【0023】
ゲル化剤を含有する水溶液を製造するには、予めゲル化剤の水溶液を作成しておき上記の添加剤を混合してもよいし、最初から添加剤を共存させておき混合してもよく、混合の順番は限定がない。しかし、(A)(B)を混合する際には必要な添加物は混合されていないといけない。
目的に応じこれらの配合物で作られる任意の濃度のものが使用出来る。しかし、水不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、透明感を出すためには水不溶性のものは透過率が70%以上になる様に少なく配合するのが好ましい。
【0024】
本発明の水性ゲル成形体を製造する方法としては、(i)水性液用ゲル化剤を含有する水性液を、特定の型取り用モールド内に流し込み、その中でゲル化し特定の形状にする方法、(ii)該水性液をビーカー状等の通常の容器、又はバット等の底面積が広く深さが浅い容器等にいれ、特定の形状を求めないやり方でゲル化する方法が挙げられる。好ましくは前者である。
(i)の方法の場合、用いられる容器である型取り用モールドとしては、型取りが出来れば特に限定はないが、分割できる構成のものが好ましい。分割の大きさ、箇所、分割数等は特に限定はない。好ましくは上下二段に分割できるモールドが好ましい。分割できる構成のモールドであれば、複雑な形状のモールドであっても分割できるので水系ゲル成形体を容易に取り出すことが出来る。
モールドの形状としては、幾何学体(例えば球状、立方体、星型等)、キャラクターグッズ(例えばデイズニー人形、漫画登場人物等)、動・植物(例えば犬、猫、リス、象等の動物;チューリップ、桜等の花等)、地形(山等)、建造物(国会議事堂、東京タワー等)及び輸送機器(車、電車、船、飛行機等)等の物体をミニチュアにした装飾性の優れた形状が好ましい。又容器の材質は、ガラス、金属(例えばSUS等)、合成樹脂(例えばポリエチレン、エポキシ樹脂等)、ゴム等が使用される。合成樹脂、ゴムを使用する場合は、使用温度以上の融点を有するものを使用する必要がある。
大きさ(容量)は、特に制限が無く、包装内に収納できる大きさであれば任意に選択することができる。
【0025】
水系ゲル成形体を成形できる型取り用モールドの具体例は、 特開2003−253246号公報に詳細に記載されているものと同じものが挙げられる。同様に具体例を添付図面に基づいて説明するがこれらの記載に限定されない。
ここで、図1、図5、図6、図8、図9はモールドの概略図面である。この内、図9は分割できる構成のモールドの例である。図2、図7、図10はモールドより取り出した水系ゲル成形体である。
図3、図4はモールドより取り出した水系ゲル成形体を更に、カッターナイフの様な裁断機でカットしたもの。
【0026】
(c1)一方の面が平らな形の物を作成する場合、図1、図5及び図6の様な凹の形状を有するモールドに水性ゲル化剤を含有する水性液を投入し、ゲル化させた後脱型し、水系ゲル成形体(図2、図7)を得ることができる。
(c2)最初に水系ゲル成形体の大きなブロック体(図2)を作成した後、図3の様にカッターナイフの様な裁断機で切り取り、別の形状品(図4)を作成することもできる。
(c3)図8、図9の様に、図5の平らな面同士を合わせられ、片方の凹の部分ともう一方の凹の部分が少なくとも一部が一致できる二つの型を用意する。最初に上記(c1)と同様な操作で、脱型する前迄のモールドに入っている水系ゲル成形体を作成した後、片方もしくは両方の型の表面に露出している水系ゲル成形体の表面に、同じ水系ゲル化剤を含有する水性液を刷毛等の塗工機で塗り、表面がゲル化する前に図8、図9のように凹部分を一致させる。
貼り合わせ面がゲル化した後、脱型し図7の平らな面同士が貼り合わさった図10のような水系ゲル成形体を得ることができる。
【0027】
本発明の水系ゲル成形体の形状は、特に制限しないが、室内、トイレ及び車内等で使用される場合を考慮して、装飾性に優れた形状として、幾何学体、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器等の物体をミニチュアにした形状が好ましい。大きさは、特に制限が無く、包装内に収納できる大きさであれば任意に選択することができる。
(ii)の場合の容器は、包装容器としては、水溶性以外の材質のものであればシート状、フィルム状、トレー状等特に限定されない。特定の形状を意識せずゲル化し、その後加工を加えるものである。包装容器の材質等は後記するものと同じものが挙げられる。
【0028】
本発明において、(A)と(B)との反応により得た水系ゲル成形体を乾燥する。上記(i)の場合は乾燥は前記(A)と(B)とを反応させた後、容器の一部を開口し容器内で水系ゲル成形体をそのまま乾燥するか、若しくは形状が崩れないように容器から取り出した後水系ゲル成形体を乾燥させる。好ましいのは後者である。(ii)の場合は、乾燥後特定の形状に加工するのが好ましい。カッターナイフ等で切断してもよいし、特定の形状に打ち抜いてもよい。
しかしながら、粉砕してはならない。粉砕した後、成形すると透明にはならないからである。
【0029】
水系ゲル成形体の乾燥方法に関しては、水系ゲル成形体を透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に水系ゲル成形体を置き、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(水系ゲル成形体を別の容器に入れ、熱風を通気・循環させて乾燥)等の方法を例示できる。
水系ゲル成形体乾燥時の乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは80〜130℃である。乾燥温度が150℃以下であると乾燥時の熱によりゲルが劣化せず乾燥後の吸水量が低下しない。また、50℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。乾燥時間は使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。
乾燥後の装飾用膨潤性成形体の含水率は10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を超えると装飾用膨潤性樹脂成形体同士がくっつきあうブロッキングが生じ、好ましくない。
なお、含水率の測定方法は、次に示す方法により測定して得られる値とする。
【0030】
<含水率>
乾燥後の装飾用膨潤性樹脂成形体の一定量(W1g)を秤取り、130℃で90分間循風乾燥機に放置する。放置後の装飾用膨潤性樹脂成形体の重量(W2g)を測定し、次式により含水率を求める。
含水率=(W2−W1)/W1×100
この含水率の測定に際しては、重量W1、W2の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
乾燥後の装飾用膨潤性成形体は水中又は水性液中に入れると吸水して膨潤する。この吸水倍率は好ましくは2〜200倍であり、より好ましくは5〜150倍である。なお、本発明において乾燥後の装飾用膨潤性成形体の吸収倍率は、次に示す方法により測定して得られる値とする。
【0031】
<吸水倍率>装飾用膨潤性樹脂成形体の一定量(W3g)を秤取り、過剰量(例えば、前記吸水性樹脂の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で48時間恒温槽中に放置して、装飾用膨潤性樹脂成形体を膨潤させる。余剰の水を濾過により除去した後、装飾用膨潤性樹脂成形体の重量(W4g)を測定し、次式により吸水倍率を求める。
吸水倍率=(W4−W3)/W3
この吸水倍率の測定に際しては、重量W3、W4の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
吸水倍率はゼラチン(B)に反応させるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸のアンモニウム反応物(A)の割合によってコントロールできる。
乾燥後した装飾用膨潤性成形体はゼラチンを主成分としているので、生分解性の高い樹脂となり、自然及び環境にやさしい製品となり、また、ゼラチンへの架橋剤成分であるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物は、高分子量のため、従来の吸水性樹脂に使用されている低分子モノマーに比べ、人体に対する安全性が著しく高く、安心して使用することが出来る。
【0032】
本発明の装飾用膨潤性成形体の利用方法、使用方法については特に限定がなく、例えば装飾用膨潤性成形体をそのまま包装容器内に入れて使用しても良いし、装飾用膨潤性成形体及び揮散性薬剤を水性液に入れたものでもよいし、以下に示す様に再度水性液用ゲル化剤を使用したりして利用することができる。装飾用膨潤性成形体、揮散性薬剤、水性液の割合は、特に制限が無く、任意の割合で配合することができる。
この場合の水性液用ゲル化剤は前記と同様のものである。例えば、上記の装飾用膨潤性成形体にさらに水性液用ゲル化剤を含有した水性液を加えてゲル化させてなる物品;上記の装飾用膨潤性成形体にさらに水性液用ゲル化剤及び揮散性薬剤を含有した水性液を加えてゲル化させてなる物品;前記水性液がさらに吸水性樹脂を含有する物品等が挙げられるが、これらは製造した後包装容器に入れてもよいし、包装容器内でゲル化を行って上記の物品を製造してもよい。好ましくは後者である。また、前記の揮発性薬剤を含有する液体またはゲル成形品の場合は薬剤揮発性の物品として利用できる。ここで揮散性薬剤とは前記の防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤の内常温で揮発性を有するものが挙げられる。
【0033】
包装容器としては、水溶性以外の材質のものであればシート状、フィルム状、トレー状等特に限定されないが、内容積は入れるべき装飾用膨潤性成形体の大きさの2〜100倍のものが好ましい。包装容器の例としては、例えば円筒状、角柱状、円錐状、角錐状、底面が平らな球状等が挙げられる。包装体の材質はガラスであっても合成樹脂であっても良い。合成樹脂としては、通常の合成樹脂の範疇に含まれる水溶性以外の全てのものが使用され、特に限定されない。合成樹脂としては熱可塑性、熱硬化性を問わず、又、軟質、硬質のいずれであっても使用することができ、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−アクリル酸塩共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
更に、側面から包装体を通して中の様子を見て楽しむことができることから、少なくとも一部が透明な包装容器であることが好ましい。
【0034】
本発明において、無機物、金属、ガラス、ゴム、合成樹脂及びこれらの複合体からなる群から選ばれる1種以上の装飾用固形物を成形体又は物品の何れか又は両方に含ませてもよい。その形状は、特に制限されないが、水系ゲル成形体の装飾性を高めるために、粉状、粒状、パール状、ペレット状、繊維状、若しくは立体的形状とすることが好ましい。該固形物の大きさは、水系ゲル成形体の大きさより小さければ、特に制限されないが、これらの粉状、粒状及びパール状の粒子径(長径)は好ましくは1〜10,000μm、より好ましくは100〜5,000μmであり、繊維状の大きさは通常0.001〜50mm、好ましくは0.1〜30mmである。ペレット状は好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは2〜30mmである。該固形物は、着色されていても着色されていなくともよいが、視覚的な効果から着色されていることが好ましく、少なくとも該添加物は、装飾用膨潤性成形体と異なる色に着色されていることが特に好ましい。固形物の使用量は、全重量に対し、好ましくは0.05〜90%、より好ましくは0.1〜50%である。固形物の使用量が、90%を超えると、水系ゲルの一体成形性が低下し、水系ゲル全体がバラバラになりやすい。一方、固形物の使用量が、0.05%未満であると視覚的な効果が低下し、逆にゴミ等の異物と間違えられマイナスの効果となる。
【0035】
本発明において、無機物、金属およびガラスを素材とする装飾用固形物としては、一般的に使用されているものでよい。無機物を素材とする固形物としては、例えば、セラミック、磁器、陶器、人工ゼオライト等が挙げられる。
金属を素材とする固形物としては、例えば、鉄、鉄合金(ステンレス鋼、オーステナイト等)銅、銅合金(青銅、黄銅等)、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン等)亜鉛、ニッケル等が挙げられる。
ガラスを素材とする固形物としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、ソーダ石灰アルミガラス、ホウケイクラウンガラス、ホウケイフリントガラス、ホウ酸フリントガラス、リン酸クラウンガラス、石英ガラス、ネオジム等の希元素を含むガラス、着色ガラス等が挙げられる。
【0036】
ゴムを素材担体とする固形物としては、一般的に使用されているものでよく、例えば、通常の天然ゴム(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、ポリプロピレンゴム(CR)、ニトリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0037】
水溶性以外の合成樹脂を素材とする固形物としては、軟質、硬質を問わず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
【0038】
本発明において、上記固形物の複合体としては、合成樹脂のフィルムもしくはシート同士を貼り合わせ適当な形状に裁断したもの、合成樹脂のフィルムもしくはシートに金属(銅、アルミ等)を蒸着もしくは積層したもの、これらの積層物等を適当な大きさに裁断したもの、金属とガラスとを貼り合わせたもの、金属にガラスを溶融接着したもの等が挙げられる。
【0039】
以下製造例及び使用例を示す実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
実施例1
(1)溶液Aの調製
1LビーカーにゼラチンSE−1(アルカリ処理ゼラチン;ニッピゼラチン工業社製) 200gとイオン交換水800gを加え、60〜70℃に加温して攪拌し均一に溶解した。
(2)溶液Bの調製
200mLビーカーに Gantrez AN−119(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合物;重量平均分子量2.13×106;アイエスピー・ジャパン社製) 10gにイオン交換水 84gとアンモニア水溶液(アンモニア含有量;29%) 6gとを加え室温下で攪拌すると1時間で攪拌し均一に溶解して、アンモニア中和率80%の均一に溶解したGantrez AN−119の水溶液を得た。
(3)水系ゲル成形体の作成
200mLビーカーに溶液A 50gに溶液B 1g、食用青色1号(食品添加物) 0.001g及びイオン交換水 49gを加えて均一で透明な水溶液を調製した。このようにして得られた水溶液を図11のモールド内に投入し、図11のモールドの上に図12のモールドをのせて、図12のモールドの頭部の穴より水溶液をこぼれさせた後、図11,図12のモールドを動かないように固定した。室温で1日放置して、ゲル化反応を行わせしめ、モールドを上下に分割してから取り出して図13に示す形状の均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。
(5)乾燥した膨潤性成形体の作成
さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れて5時間乾燥し、縮小した装飾用膨潤性成形体を得た。含水率は7重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は70倍であった。
【0041】
実施例2
(1)溶液Cの調製
200mLビーカーにイソバン−04(イソブチレン/無水マレイン酸共重合物;分子量6×104;クラレ社製) 10gにイオン交換水 84gとアンモニア水溶液(アンモニア含有量;29%) 6gとを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
(2)水系ゲル成形体の作成
実施例1で作成した溶液A 100gに溶液C 12g、食用黄色5号(食品添加物) 0.002g及びイオン交換水88gを加えて均一で透明な水溶液を調製した。このようにして得られた水溶液を図5、図6のモールドに投入し室温で1日放置して、ゲル化反応を行わせしめた。図5、図6のモールドの水系ゲルの表面に上記と同じように調整した水溶液を水系ゲル表面から流れ出ない量塗布し、図8のように図5のモールド同士を合わせた。更に室温で1日放置してゲル化反応を行わせしめ、取り出し図10に示す形状が均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。
(3)乾燥した膨潤性成形体の作成
さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れて5時間乾燥し、縮小した装飾用膨潤性成形体を得た。含水率は6重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は25倍であった。
【0042】
実施例3
実施例2において、モールドに替えて10cm×20cmで深さ1cmのバットを用いた以外は実施例2と同様にしてゲル化反応を行い均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れ5時間乾燥した。6cm×12cm×0.6cmの大きさに小さくなった装飾用膨潤性成形体を得た。これをカッターナイフで縦横0.6cmにカットし1辺が0.6cmの正方形を多数得た。このものの含水率は7重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は25倍であった。
実施例4
(1)溶液Dの調整
500mlビーカーにフローラル系香料 50gにナロアクティーN−120(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの非イオン界面活性剤;三洋化成工業社製) 50g、エタノール 30g及びプロピレングリコール 20g、イオン交換水 1350gを加え攪拌し均一に熔解した。
(2)装飾用膨潤性成形体を使用した物品の作成
300mLの透明なポリエステル製の広口容器に、実施例1で作成した乾燥した膨潤性成形体を12個(1.4g/個)投入し、溶液D 240gを加え、乾燥した膨潤性成形体に溶液Dを吸水せしめ、取り出し図14に示す形状が香料を含んだ透明な装飾用水系ゲル成形体を使用した物品を得た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の装飾用膨潤性成形体は、消臭・芳香剤等に入れる装飾用成形体としてその膨潤するさまを楽しむことができる。また、膨潤した成形体自身を消臭・芳香剤等としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の斜視図である。
【図2】図1から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図3】図2にカッターナイフで切れ目を入れた状態の斜視図である。
【図4】図3を一つ取り出した状態の斜視図である。
【図5】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の斜視図である。
【図6】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図7】図6から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図8】図5同士を向かい合わせにした状態の斜視図である。
【図9】図8の概略正面図である。
【図10】図9から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図11】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図12】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図13】図11,図12から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図14】包装体に本発明の装飾用水系ゲル成形体を投入した後、更に水性液を投入してゲル化を行わしめた状態の概略正面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 成形容器
2 装飾用水系ゲル成形体
3 水性液用ゲル化剤を含有した水性液
4 包装体
5 水性液を吸収して膨潤した成形体
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液用ゲル化剤を用いて製造される含水ゲルを乾燥した装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品に関する。さらに詳しくは、水中で透明に膨潤し、且つ生分解性を有するゼラチン系吸水性樹脂の装飾用膨潤性成形体及びそれを使用した物品に関する。
【背景技術】
【0002】
意匠性を有する装飾用水系ゲル成形体としては、本発明者らは先に「水性液用ゲル化剤を含有する水性液を、型取り用モールド内でゲル化させた後取り出した、特定の形状に加工した装飾用水系ゲル成形体」を発明して特許出願した(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−253246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この装飾用水系成形体は透明で且つインテリア性を有したキャラクターグッズ等の形状にはなるが、既に膨潤した含水ゲルであり、水の中に入れてもそれ以上に膨潤しにくくそのままの形状を維持するものであった。
市場では、意匠性を有する装飾用水系成形体であって、人の目を楽しませてくれるような、水中でさらに透明に膨潤する装飾用水系成形体が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記要望点を満足する、意匠性を有し、透明で且つ水又は水性液中で膨潤する装飾用水系成形体を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明における意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
【0005】
すなわち本発明は、
(I)エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下である装飾用膨潤性成形体;
(II)該装飾用成形体を含むことを特徴とする物品
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の装飾用成形体は下記の効果を奏する。
(1)水中又は水性液中で元の形状を保持したまま膨潤する。
(2)膨潤後も透明な成形体である。
(3)該成形体はゼラチンを主成分としているので、生分解性の高い樹脂となり、自然及び環境にやさしい製品となる。
(4)ゼラチンへの架橋剤成分であるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物は、高分子量のため、従来の吸水性樹脂に使用されている低分子モノマーに比べ、皮膚障害がなく人体に対する安全性が著しく高く、安心して使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においてエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を作成した後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下又は不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物は無水マレイン酸を共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はなく、具体的には例えば、
【0008】
(1)オレフィン系不飽和化合物
(i)直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)];
(ii)芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);
(iii)ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン等);
(iv)窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリル等);
(v)その他オレフィン(アリルアミン、ビニルスルホン酸等);
【0009】
(2)非オレフィン系不飽和化合物
(i)ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等];
(ii)アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);
(iii)カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];
(iv)スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等 ];
(v)燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエス テル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート等];
【0010】
(vi)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等];
(vii)3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];
(viii)エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレート等];
(ix)その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化し て得られるビニルアルコール等);等である。
これらの内好ましくは、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類及びビニルエーテルであり、好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。これらの単量体を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
【0011】
重合は上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比で好ましくは100:1〜1:100であり、より好ましくは10:1〜1:10であり、特に好ましくは5:1〜1:5である。また生成した共重合体の分子量は、好ましくは2,000〜5,000,000であり、より好ましくは3,000〜3,000,000である。
【0012】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対して好ましくはアンモニア0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、好ましくは5〜100,000cpsであり、より好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000である。
【0013】
本発明においてゼラチン(B)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが使用でき、分子量としては3,000〜500,000が好ましく、特に高い吸水倍率を得るためには、分子量5,000〜400,000がより好ましい。
【0014】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応は、下式の様に反応して従ってゲル形成が進行するものと推定される。
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体にアンモニアを反応させると、共重合体中の無水マレイン酸部分が開裂して、部分的なアミドとアンモニウム塩との混合物が生成される。この構造が(A)であり、このアミド基とゼラチン(B)のリジン残基のアミノ基とが反応し、NH3が脱離し、新たにアミド結合が形成され、その結果として三次元構造(ゲル化)が形成されると推定される。
【0015】
【化1】
【0016】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応
物(A)とゼラチン(B)との反応において、使用比率はゼラチンの遊離アミノ基の数により一概に特定できないが、良好な吸水性を得るには(B)100質量部に対して(A)を好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部で反応させるのがよい。
(A)と(B)の反応方法としては、例えば(i)(A)と(B)を直接混合する方法(この方法はないのでは)、(i)(A)の水溶液に(B)を混合する方法、(ii)(B)の水溶液に(A)を混合する方法、(iii)(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iii)である。
【0017】
重合濃度は、後加工で乾燥するため高濃度で重合すればするほど効率的であり、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは10〜35重量%である。1重量%より大きければ保形性のある水性ゲルができ、取り扱いが良く、45重量%より小さければ水性液への泡のカミ込みが無く透明性が良い。
水性液用ゲル化剤の粘度は、容器に流し込める程度の粘度であれば良いが、好ましくは1〜10,000cPs、より好ましくは1〜5,000cPsの水溶液にして用いる。粘度の測定温度は60℃である。
(A)と(B)との反応が進むと系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。(A)と(B)とを反応する際の温度は特に限定はないが、例えば40〜60℃で行う場合には数時間で反応が完結し、室温で反応する場合には1昼夜を要する。(A)と(B)とが反応した後、透明性の大きな水系ゲルが得られる。透明性は透過率(%)で測定が出来る。水系ゲルの透過率(%)は好ましくは70〜100、より好ましくは80〜100、特に好ましくは90〜100である。
(透過率の測定法)
10mm厚のガラス製セル中に室温で1日放置してゲルを作成し25℃に温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定した。
【0018】
本発明の水性液用ゲル化剤には着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を配合してもよい。
着色剤成分としては公知の顔料、染料や食用色素が使用できる。具体的には下記のものが挙げられる。
(1)顔料
(i)無機顔料;
天然物[クレー、パライト、雲母等]、合成品[酸化物(亜鉛華、弁柄、黄色酸化鉄等)、硫化物(カドミウム黄、カドミウム赤、銀朱等)、炭酸塩(炭化カルシウム等)、珪酸塩(珪酸カルシウム等)、クロム酸(黄鉛、モリブデン赤等)、硫酸塩(硫酸バリウム等)、フェロシアン化物(紺青等)、水酸化物(水酸化アルミニウム、ビリジャン等)、炭素(カーボンブラック、松煙、グラファイト等)]、金属粉[アルミニウム粉、亜鉛末等];
(ii)有機顔料
天然染料系顔料[マダーレーキ、ロックウッドレーキ等]、合成品[アゾ系(カーミン6B、レッド2B、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー10G、ナフトールレッド、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッド等)、フタロシアニン系(銅フタロシアニンブルー、無菌属フタロシアニンブルー、塩素化フタロシアニングリーン、ブロム化フタロシアニングリーン)多環系色素(アンスラキノンイエロー、キナクリドン、イソインドリノンイエロー、ジオキサジンバイオレット、ペリレンレッド、ペリノンレッド、キノフタロンイエロー、ピランスロン、有機蛍光顔料等)、塩基性染料系顔料(ローダミンレーキ、マラカイトグリーン等)、酸性染料系顔料(ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ等)、建染染料系顔料(インダンスレンブルー、チオインジゴレッド等)、媒染染料系顔料(アリザリンレーキ等)等]
【0019】
(2)染料
アゾ染料(ナフトールAS、ファストスカーレットソルトG、ソナトールBR等)、アントラキノン染料(アリザリンシアニングリーンG、アリザリンレッドB、セリトンファストブルーFFR、インダスレンゴールドオレンジG等)、インジゴイド染料(インジゴ、シバブルー2B、アルゴールレッド5B、アンスラゾールO等)、フタロシアニン染料(銅フタロシアニン、シリアスライトターコイスブルーGL等)、カルボニウム染料(ローダミンB、ブリリアントミリンググリーンB等)、キノンイミン染料(サフラニンT等)、メチン染料(キノリンブルー等)、その他(ナフトールイエローS、ナフトールグリーンB等)
これらの着色成分のうち、好ましいのは非水溶性の着色剤成分である。例えば、銅フタロシアニンブルー、ハンザイエロー10G、ソナトールBR、セリトンファストブルーFFR等である。
【0020】
(3)食用色素
食用赤色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用緑色3号、食用緑色3号アルミニウムレーキ、食用青色1号、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号、食用青色2号アルミニウムレーキ、水溶性アナトー、鉄クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル等
これらの着色成分のうち、安全上食用色素類が好ましい。例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号等である。
これらの使用量は、その種類により多少異なるが好ましくは水系ゲル成形体の全重量の0.01〜5%である。
【0021】
防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤については好ましくは揮散性を有する薬剤である。これらは1種以上の機能を有する薬剤であってもよく、特に限定されるものではない。これらの薬剤としては具体的には下記のものが挙げられる。これらの使用量は、その種類により多少異なるが好ましくは水系ゲル成形体の全重量の0.1〜15%である。
防虫性薬剤としては、例えば毛織物が虫による被害を避けるために合成ピレスロイド、エンペスリン、ヒノキチオール、ヒバ油等があり、これらに水と乳化剤、必要により溶剤等を加え、水性エマルジョン又は水性液とすることができる。
【0022】
防臭・消臭性薬剤としては、例えば無機強酸の弱塩基の塩(硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化アンモニウム、みょうばん類等)、フラボノイド化合物(例えばイネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質、「フレシュライマツ」(白井松新薬社製)、「スメラル」(環境科学開発社製)等)、シクロデキストリン(α−又はβ−シクロデキストリン又はこれらの誘導体)、酸又はアルカリ性の水性液、ゼオライト、活性炭等があり、このものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液とすることができる。
抗菌性薬剤としては炭素数が6〜30のアルキル基を少なくとも1個有する第4級アンモニウム化合物(オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムグルコン酸等)、ポリメチレンビグアニジン化合物(ポリヘキサメチレングアニジン塩化合物、ポリオクタメチレングアニジン塩化合物等等)、クロルヘキシジン化合物(クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等)等が挙げられる。
芳香性薬剤としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられ、これらは水溶性のものであればその水溶液、非水溶性のものであれば水と乳化剤、必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液とすることができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
水性液中には、さらに必要により他の添加物を配合することができる。配合量としては、その種類により多少異なるが好ましくは全重量の
0.001〜30%が好ましい。この添加物としては、例えば着色剤[顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、色素(食添色素等)];安定化剤[老化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤等]、界面活性剤、アルコール等が挙げられる。
【0023】
ゲル化剤を含有する水溶液を製造するには、予めゲル化剤の水溶液を作成しておき上記の添加剤を混合してもよいし、最初から添加剤を共存させておき混合してもよく、混合の順番は限定がない。しかし、(A)(B)を混合する際には必要な添加物は混合されていないといけない。
目的に応じこれらの配合物で作られる任意の濃度のものが使用出来る。しかし、水不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、透明感を出すためには水不溶性のものは透過率が70%以上になる様に少なく配合するのが好ましい。
【0024】
本発明の水性ゲル成形体を製造する方法としては、(i)水性液用ゲル化剤を含有する水性液を、特定の型取り用モールド内に流し込み、その中でゲル化し特定の形状にする方法、(ii)該水性液をビーカー状等の通常の容器、又はバット等の底面積が広く深さが浅い容器等にいれ、特定の形状を求めないやり方でゲル化する方法が挙げられる。好ましくは前者である。
(i)の方法の場合、用いられる容器である型取り用モールドとしては、型取りが出来れば特に限定はないが、分割できる構成のものが好ましい。分割の大きさ、箇所、分割数等は特に限定はない。好ましくは上下二段に分割できるモールドが好ましい。分割できる構成のモールドであれば、複雑な形状のモールドであっても分割できるので水系ゲル成形体を容易に取り出すことが出来る。
モールドの形状としては、幾何学体(例えば球状、立方体、星型等)、キャラクターグッズ(例えばデイズニー人形、漫画登場人物等)、動・植物(例えば犬、猫、リス、象等の動物;チューリップ、桜等の花等)、地形(山等)、建造物(国会議事堂、東京タワー等)及び輸送機器(車、電車、船、飛行機等)等の物体をミニチュアにした装飾性の優れた形状が好ましい。又容器の材質は、ガラス、金属(例えばSUS等)、合成樹脂(例えばポリエチレン、エポキシ樹脂等)、ゴム等が使用される。合成樹脂、ゴムを使用する場合は、使用温度以上の融点を有するものを使用する必要がある。
大きさ(容量)は、特に制限が無く、包装内に収納できる大きさであれば任意に選択することができる。
【0025】
水系ゲル成形体を成形できる型取り用モールドの具体例は、 特開2003−253246号公報に詳細に記載されているものと同じものが挙げられる。同様に具体例を添付図面に基づいて説明するがこれらの記載に限定されない。
ここで、図1、図5、図6、図8、図9はモールドの概略図面である。この内、図9は分割できる構成のモールドの例である。図2、図7、図10はモールドより取り出した水系ゲル成形体である。
図3、図4はモールドより取り出した水系ゲル成形体を更に、カッターナイフの様な裁断機でカットしたもの。
【0026】
(c1)一方の面が平らな形の物を作成する場合、図1、図5及び図6の様な凹の形状を有するモールドに水性ゲル化剤を含有する水性液を投入し、ゲル化させた後脱型し、水系ゲル成形体(図2、図7)を得ることができる。
(c2)最初に水系ゲル成形体の大きなブロック体(図2)を作成した後、図3の様にカッターナイフの様な裁断機で切り取り、別の形状品(図4)を作成することもできる。
(c3)図8、図9の様に、図5の平らな面同士を合わせられ、片方の凹の部分ともう一方の凹の部分が少なくとも一部が一致できる二つの型を用意する。最初に上記(c1)と同様な操作で、脱型する前迄のモールドに入っている水系ゲル成形体を作成した後、片方もしくは両方の型の表面に露出している水系ゲル成形体の表面に、同じ水系ゲル化剤を含有する水性液を刷毛等の塗工機で塗り、表面がゲル化する前に図8、図9のように凹部分を一致させる。
貼り合わせ面がゲル化した後、脱型し図7の平らな面同士が貼り合わさった図10のような水系ゲル成形体を得ることができる。
【0027】
本発明の水系ゲル成形体の形状は、特に制限しないが、室内、トイレ及び車内等で使用される場合を考慮して、装飾性に優れた形状として、幾何学体、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器等の物体をミニチュアにした形状が好ましい。大きさは、特に制限が無く、包装内に収納できる大きさであれば任意に選択することができる。
(ii)の場合の容器は、包装容器としては、水溶性以外の材質のものであればシート状、フィルム状、トレー状等特に限定されない。特定の形状を意識せずゲル化し、その後加工を加えるものである。包装容器の材質等は後記するものと同じものが挙げられる。
【0028】
本発明において、(A)と(B)との反応により得た水系ゲル成形体を乾燥する。上記(i)の場合は乾燥は前記(A)と(B)とを反応させた後、容器の一部を開口し容器内で水系ゲル成形体をそのまま乾燥するか、若しくは形状が崩れないように容器から取り出した後水系ゲル成形体を乾燥させる。好ましいのは後者である。(ii)の場合は、乾燥後特定の形状に加工するのが好ましい。カッターナイフ等で切断してもよいし、特定の形状に打ち抜いてもよい。
しかしながら、粉砕してはならない。粉砕した後、成形すると透明にはならないからである。
【0029】
水系ゲル成形体の乾燥方法に関しては、水系ゲル成形体を透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に水系ゲル成形体を置き、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(水系ゲル成形体を別の容器に入れ、熱風を通気・循環させて乾燥)等の方法を例示できる。
水系ゲル成形体乾燥時の乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは80〜130℃である。乾燥温度が150℃以下であると乾燥時の熱によりゲルが劣化せず乾燥後の吸水量が低下しない。また、50℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。乾燥時間は使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。
乾燥後の装飾用膨潤性成形体の含水率は10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を超えると装飾用膨潤性樹脂成形体同士がくっつきあうブロッキングが生じ、好ましくない。
なお、含水率の測定方法は、次に示す方法により測定して得られる値とする。
【0030】
<含水率>
乾燥後の装飾用膨潤性樹脂成形体の一定量(W1g)を秤取り、130℃で90分間循風乾燥機に放置する。放置後の装飾用膨潤性樹脂成形体の重量(W2g)を測定し、次式により含水率を求める。
含水率=(W2−W1)/W1×100
この含水率の測定に際しては、重量W1、W2の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
乾燥後の装飾用膨潤性成形体は水中又は水性液中に入れると吸水して膨潤する。この吸水倍率は好ましくは2〜200倍であり、より好ましくは5〜150倍である。なお、本発明において乾燥後の装飾用膨潤性成形体の吸収倍率は、次に示す方法により測定して得られる値とする。
【0031】
<吸水倍率>装飾用膨潤性樹脂成形体の一定量(W3g)を秤取り、過剰量(例えば、前記吸水性樹脂の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で48時間恒温槽中に放置して、装飾用膨潤性樹脂成形体を膨潤させる。余剰の水を濾過により除去した後、装飾用膨潤性樹脂成形体の重量(W4g)を測定し、次式により吸水倍率を求める。
吸水倍率=(W4−W3)/W3
この吸水倍率の測定に際しては、重量W3、W4の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
吸水倍率はゼラチン(B)に反応させるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸のアンモニウム反応物(A)の割合によってコントロールできる。
乾燥後した装飾用膨潤性成形体はゼラチンを主成分としているので、生分解性の高い樹脂となり、自然及び環境にやさしい製品となり、また、ゼラチンへの架橋剤成分であるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物は、高分子量のため、従来の吸水性樹脂に使用されている低分子モノマーに比べ、人体に対する安全性が著しく高く、安心して使用することが出来る。
【0032】
本発明の装飾用膨潤性成形体の利用方法、使用方法については特に限定がなく、例えば装飾用膨潤性成形体をそのまま包装容器内に入れて使用しても良いし、装飾用膨潤性成形体及び揮散性薬剤を水性液に入れたものでもよいし、以下に示す様に再度水性液用ゲル化剤を使用したりして利用することができる。装飾用膨潤性成形体、揮散性薬剤、水性液の割合は、特に制限が無く、任意の割合で配合することができる。
この場合の水性液用ゲル化剤は前記と同様のものである。例えば、上記の装飾用膨潤性成形体にさらに水性液用ゲル化剤を含有した水性液を加えてゲル化させてなる物品;上記の装飾用膨潤性成形体にさらに水性液用ゲル化剤及び揮散性薬剤を含有した水性液を加えてゲル化させてなる物品;前記水性液がさらに吸水性樹脂を含有する物品等が挙げられるが、これらは製造した後包装容器に入れてもよいし、包装容器内でゲル化を行って上記の物品を製造してもよい。好ましくは後者である。また、前記の揮発性薬剤を含有する液体またはゲル成形品の場合は薬剤揮発性の物品として利用できる。ここで揮散性薬剤とは前記の防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤の内常温で揮発性を有するものが挙げられる。
【0033】
包装容器としては、水溶性以外の材質のものであればシート状、フィルム状、トレー状等特に限定されないが、内容積は入れるべき装飾用膨潤性成形体の大きさの2〜100倍のものが好ましい。包装容器の例としては、例えば円筒状、角柱状、円錐状、角錐状、底面が平らな球状等が挙げられる。包装体の材質はガラスであっても合成樹脂であっても良い。合成樹脂としては、通常の合成樹脂の範疇に含まれる水溶性以外の全てのものが使用され、特に限定されない。合成樹脂としては熱可塑性、熱硬化性を問わず、又、軟質、硬質のいずれであっても使用することができ、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−アクリル酸塩共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
更に、側面から包装体を通して中の様子を見て楽しむことができることから、少なくとも一部が透明な包装容器であることが好ましい。
【0034】
本発明において、無機物、金属、ガラス、ゴム、合成樹脂及びこれらの複合体からなる群から選ばれる1種以上の装飾用固形物を成形体又は物品の何れか又は両方に含ませてもよい。その形状は、特に制限されないが、水系ゲル成形体の装飾性を高めるために、粉状、粒状、パール状、ペレット状、繊維状、若しくは立体的形状とすることが好ましい。該固形物の大きさは、水系ゲル成形体の大きさより小さければ、特に制限されないが、これらの粉状、粒状及びパール状の粒子径(長径)は好ましくは1〜10,000μm、より好ましくは100〜5,000μmであり、繊維状の大きさは通常0.001〜50mm、好ましくは0.1〜30mmである。ペレット状は好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは2〜30mmである。該固形物は、着色されていても着色されていなくともよいが、視覚的な効果から着色されていることが好ましく、少なくとも該添加物は、装飾用膨潤性成形体と異なる色に着色されていることが特に好ましい。固形物の使用量は、全重量に対し、好ましくは0.05〜90%、より好ましくは0.1〜50%である。固形物の使用量が、90%を超えると、水系ゲルの一体成形性が低下し、水系ゲル全体がバラバラになりやすい。一方、固形物の使用量が、0.05%未満であると視覚的な効果が低下し、逆にゴミ等の異物と間違えられマイナスの効果となる。
【0035】
本発明において、無機物、金属およびガラスを素材とする装飾用固形物としては、一般的に使用されているものでよい。無機物を素材とする固形物としては、例えば、セラミック、磁器、陶器、人工ゼオライト等が挙げられる。
金属を素材とする固形物としては、例えば、鉄、鉄合金(ステンレス鋼、オーステナイト等)銅、銅合金(青銅、黄銅等)、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン等)亜鉛、ニッケル等が挙げられる。
ガラスを素材とする固形物としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、ソーダ石灰アルミガラス、ホウケイクラウンガラス、ホウケイフリントガラス、ホウ酸フリントガラス、リン酸クラウンガラス、石英ガラス、ネオジム等の希元素を含むガラス、着色ガラス等が挙げられる。
【0036】
ゴムを素材担体とする固形物としては、一般的に使用されているものでよく、例えば、通常の天然ゴム(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、ポリプロピレンゴム(CR)、ニトリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0037】
水溶性以外の合成樹脂を素材とする固形物としては、軟質、硬質を問わず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
【0038】
本発明において、上記固形物の複合体としては、合成樹脂のフィルムもしくはシート同士を貼り合わせ適当な形状に裁断したもの、合成樹脂のフィルムもしくはシートに金属(銅、アルミ等)を蒸着もしくは積層したもの、これらの積層物等を適当な大きさに裁断したもの、金属とガラスとを貼り合わせたもの、金属にガラスを溶融接着したもの等が挙げられる。
【0039】
以下製造例及び使用例を示す実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
実施例1
(1)溶液Aの調製
1LビーカーにゼラチンSE−1(アルカリ処理ゼラチン;ニッピゼラチン工業社製) 200gとイオン交換水800gを加え、60〜70℃に加温して攪拌し均一に溶解した。
(2)溶液Bの調製
200mLビーカーに Gantrez AN−119(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合物;重量平均分子量2.13×106;アイエスピー・ジャパン社製) 10gにイオン交換水 84gとアンモニア水溶液(アンモニア含有量;29%) 6gとを加え室温下で攪拌すると1時間で攪拌し均一に溶解して、アンモニア中和率80%の均一に溶解したGantrez AN−119の水溶液を得た。
(3)水系ゲル成形体の作成
200mLビーカーに溶液A 50gに溶液B 1g、食用青色1号(食品添加物) 0.001g及びイオン交換水 49gを加えて均一で透明な水溶液を調製した。このようにして得られた水溶液を図11のモールド内に投入し、図11のモールドの上に図12のモールドをのせて、図12のモールドの頭部の穴より水溶液をこぼれさせた後、図11,図12のモールドを動かないように固定した。室温で1日放置して、ゲル化反応を行わせしめ、モールドを上下に分割してから取り出して図13に示す形状の均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。
(5)乾燥した膨潤性成形体の作成
さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れて5時間乾燥し、縮小した装飾用膨潤性成形体を得た。含水率は7重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は70倍であった。
【0041】
実施例2
(1)溶液Cの調製
200mLビーカーにイソバン−04(イソブチレン/無水マレイン酸共重合物;分子量6×104;クラレ社製) 10gにイオン交換水 84gとアンモニア水溶液(アンモニア含有量;29%) 6gとを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
(2)水系ゲル成形体の作成
実施例1で作成した溶液A 100gに溶液C 12g、食用黄色5号(食品添加物) 0.002g及びイオン交換水88gを加えて均一で透明な水溶液を調製した。このようにして得られた水溶液を図5、図6のモールドに投入し室温で1日放置して、ゲル化反応を行わせしめた。図5、図6のモールドの水系ゲルの表面に上記と同じように調整した水溶液を水系ゲル表面から流れ出ない量塗布し、図8のように図5のモールド同士を合わせた。更に室温で1日放置してゲル化反応を行わせしめ、取り出し図10に示す形状が均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。
(3)乾燥した膨潤性成形体の作成
さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れて5時間乾燥し、縮小した装飾用膨潤性成形体を得た。含水率は6重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は25倍であった。
【0042】
実施例3
実施例2において、モールドに替えて10cm×20cmで深さ1cmのバットを用いた以外は実施例2と同様にしてゲル化反応を行い均一で透明な装飾用水系ゲル成形体を得た。さらにこれを130℃の循風乾燥機に入れ5時間乾燥した。6cm×12cm×0.6cmの大きさに小さくなった装飾用膨潤性成形体を得た。これをカッターナイフで縦横0.6cmにカットし1辺が0.6cmの正方形を多数得た。このものの含水率は7重量%であった。また、水中に入れたときの吸水倍率は25倍であった。
実施例4
(1)溶液Dの調整
500mlビーカーにフローラル系香料 50gにナロアクティーN−120(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの非イオン界面活性剤;三洋化成工業社製) 50g、エタノール 30g及びプロピレングリコール 20g、イオン交換水 1350gを加え攪拌し均一に熔解した。
(2)装飾用膨潤性成形体を使用した物品の作成
300mLの透明なポリエステル製の広口容器に、実施例1で作成した乾燥した膨潤性成形体を12個(1.4g/個)投入し、溶液D 240gを加え、乾燥した膨潤性成形体に溶液Dを吸水せしめ、取り出し図14に示す形状が香料を含んだ透明な装飾用水系ゲル成形体を使用した物品を得た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の装飾用膨潤性成形体は、消臭・芳香剤等に入れる装飾用成形体としてその膨潤するさまを楽しむことができる。また、膨潤した成形体自身を消臭・芳香剤等としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の斜視図である。
【図2】図1から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図3】図2にカッターナイフで切れ目を入れた状態の斜視図である。
【図4】図3を一つ取り出した状態の斜視図である。
【図5】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の斜視図である。
【図6】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図7】図6から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図8】図5同士を向かい合わせにした状態の斜視図である。
【図9】図8の概略正面図である。
【図10】図9から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図11】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図12】本発明の装飾用水系ゲル成形体を作成するための成形容器の概略正面図である。
【図13】図11,図12から作成した装飾用水系ゲル成形体の斜視図である。
【図14】包装体に本発明の装飾用水系ゲル成形体を投入した後、更に水性液を投入してゲル化を行わしめた状態の概略正面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 成形容器
2 装飾用水系ゲル成形体
3 水性液用ゲル化剤を含有した水性液
4 包装体
5 水性液を吸収して膨潤した成形体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下である装飾用膨潤性成形体。
【請求項2】
前記成形体が、特定の形状の型取りモールド内でゲル化させたものの乾燥物、又は含水ゲルの乾燥物を特定の形状に加工したものである請求項1記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項3】
前記水性液がさらに着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を含有したものである請求項1又は2記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項4】
形状が球状、幾何学体、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器からなる群より選ばれるミニチュアである請求項1〜3の何れか記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項5】
水又は水性液の吸収倍率が自重の2〜200倍である請求項1〜4の何れか記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の装飾用膨潤性成形体を含むことを特徴とする物品。
【請求項7】
前記装飾用膨潤性成形体にさらに請求項1記載の水性液用ゲル化剤を加えてゲル化させてなることを特徴とする物品。
【請求項8】
前記水性液がさらに着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を含有することを特徴とする請求項7記載の物品。
【請求項9】
前記ゲル化を包装容器内で行うことを特徴とする請求項7又は8記載の物品の製造法。
【請求項1】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物を含有する水性液用ゲル化剤の含水ゲルの乾燥物であって、含水率が10重量%以下である装飾用膨潤性成形体。
【請求項2】
前記成形体が、特定の形状の型取りモールド内でゲル化させたものの乾燥物、又は含水ゲルの乾燥物を特定の形状に加工したものである請求項1記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項3】
前記水性液がさらに着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を含有したものである請求項1又は2記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項4】
形状が球状、幾何学体、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器からなる群より選ばれるミニチュアである請求項1〜3の何れか記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項5】
水又は水性液の吸収倍率が自重の2〜200倍である請求項1〜4の何れか記載の装飾用膨潤性成形体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の装飾用膨潤性成形体を含むことを特徴とする物品。
【請求項7】
前記装飾用膨潤性成形体にさらに請求項1記載の水性液用ゲル化剤を加えてゲル化させてなることを特徴とする物品。
【請求項8】
前記水性液がさらに着色剤、防虫性薬剤、防臭・消臭性薬剤、抗菌性薬剤及び芳香性薬剤からなる群から選ばれる1種以上の薬剤を含有することを特徴とする請求項7記載の物品。
【請求項9】
前記ゲル化を包装容器内で行うことを特徴とする請求項7又は8記載の物品の製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−8896(P2006−8896A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189852(P2004−189852)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】
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