説明

装飾部材及び装飾部材を備えたエアバッグ装置

【課題】装飾部材の装飾模様に背景色が映り込むのを防止するとともに、装飾性及びデザインの自由度を高め、その商品価値を向上させる。
【解決手段】自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材1の、透明な装飾板2の裏面に装飾模様30を凹設し、その裏面に透明な導光板3を当接配置し、導光板3の裏面に当接板4を配置し、各板2、3、4を環状枠6により容器5内に一体に保持する。装飾板2裏面の装飾模様30以外の部分に黒色塗装を施し、導光板3の表面に光透過性の銀色半透明層を、その裏面に光りを拡散反射する梨地面をそれぞれ形成し、当接板4には白色系の着色を施す。導光板3の側面に発光ユニット20を配置し、光源22からの光を導光板3内に導入し、装飾板2の装飾模様30まで導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに取り付けられる装飾部材、或いはステアリングホイールに装着されるエアバッグ装置の装飾部材、及び該装飾部材を備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される運転席用のエアバッグ装置は、車両衝突時にエアバッグを運転席の前面に展開させ、乗員を受け止めて衝突の衝撃から保護するものであり、ステアリングホイール略中央の乗員と対向する位置に設置されるのが一般的である。従って、この運転席用のエアバッグ装置は、乗員の眼につき易い部品でもあり、乗員の保護機能に加えて、ある程度の美観も要求されている。そこで、従来、ロゴマークや車名等の装飾模様を有する別部材の装飾部材をエアバッグカバーに取り付け、その装飾性を高めて美観の向上を図ったエアバッグ装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図5は、この従来の装飾部材を備えたエアバッグ装置をステアリングホイールに装着した状態を示す正面図である。
このエアバッグ装置110は、図示のように、ステアリングホイール100の中央位置に装着され、そのエアバッグカバー111の略中央部に、装飾部材115を取り付ける取付部112を有する。取付部112は、エアバッグカバー111の表面を環状に凹ませてエアバッグカバー111と一体に形成されている。一方、装飾部材115は、表面に装飾模様を施された金属製の環状部材であり、取付部112の凹部に嵌め込まれて、図示しない固定手段により固定されている。
【0004】
このように、従来からエアバッグカバーに装飾部材を備えたエアバッグ装置が知られているが、装飾部材自体の構造としては、装飾性に加えて、例えば自動車のホーン(警笛)スイッチの機能を同時に持たせたものも知られている。
【0005】
図6は、特許文献に記載されたものではないが、このような従来の装飾部材の例を示す断面図であり、図7は、図6のZ部の一部を模式的に示す断面図である。
【0006】
この従来の装飾部材120は、図示のように、装飾模様130を有する円盤状の装飾板121と、装飾板121の裏面に当接する下板122と、各板121、122を重ねて一体に係合させる保持枠としての環状枠(リング)124と、これらを収容する容器123とを備える。また、下板122の裏面には、環状突条122Aが形成され、容器123の底面には、略環状の案内突条123Aが形成されており、環状突条122Aを案内突条123A内に摺動自在に係合している。
【0007】
容器123底面の略中心部には、座金125Aを挟んで、第1の電極であるボルト125が貫通孔123Bに嵌合している。一方、下板122の環状突条122A内には、第2の電極であるスプリングトレイ126が、ボルト125の頭部に対向して配置され、スプリングトレイ126と容器123底面との間には、バネ127が、コンタクトプレート128を挟んで配置されている。以上の状態から装飾板121が押下されると、スプリングトレイ126が、バネ127の弾発力に抗しながら容器123内を降下し、上記したボルト125に接触して装飾部材120のホーン回路が閉成する。
【0008】
ここで、装飾板121は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な材料からできており、その裏面を凹状に窪ませて装飾模様130が形成(本明細書では凹設という)されている。また、装飾板121の裏面には、図7に拡大して示すように、装飾模様130以外の部分に例えば黒色塗装131が施されるとともに、黒色塗装131の裏面及び装飾模様130部分に、例えば銀色の塗装やメッキ等が施されて不透明な銀色層132が形成されている。装飾板121は、この構成により、表面から見ると装飾模様130が黒色の背景色の中で銀色に浮かび上がって見える。
【0009】
しかしながら、この装飾板121では、その表面から見て凸状となる装飾模様130の裏面に銀色層132が形成されているため、この銀色層132で周囲の黒色を反射して銀色模様に黒色が映り込む。その結果、銀色の装飾模様130に陰影ができて模様が全体として暗いイメージになることに加えて、その立体感が減少する等、装飾板としての商品価値が低下するという問題が生じる。また、このような装飾模様130では、例えば車内が暗いとき等には視認性が低く、或いは、その形状以外では装飾板121裏面に施す各色彩のみがデザインの主要な要素である等、更なる装飾性及びデザインの自由度の向上が望まれている。
【0010】
【特許文献1】特開平9−11838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、装飾部材において、装飾模様に背景色が映り込むのを防止するとともに、装飾性及びデザインの自由度を高め、その商品価値を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、該装飾板の裏面側に配置された光源と、前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を前記装飾板の裏面に導く透明な導光板とを備え、前記導光板の前記装飾板に当接する面に光透過性の半透明な着色を施すとともに、少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記導光板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された装飾部材において、前記導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に、前記光源からの光を拡散反射する光拡散反射手段を備え、前記導光板は、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導くことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載された装飾部材において、前記光拡散反射手段は、前記導光板の裏面に形成された梨地面であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された装飾部材において、前記導光板の裏面に当接して配置され、白色系の不透明な着色を施された当接板を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、該装飾板の裏面側に配置された光源と、前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導く透明な導光板とを備え、前記導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に不透明な着色を施すととともに、少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記導光板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする。
請求項6の発明は、自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、該装飾板の裏面側に配置された光源と、前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導く透明な導光板と、該導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に当接して配置され、不透明な着色を施された当接板とを備え、少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記当接板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする。
請求項7の発明は、エアバッグ装置であって、請求項1ないし6のいずれかに記載された装飾部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装飾部材において、装飾模様に背景色が映り込むのを防止できるとともに、装飾性及びデザインの自由度を高めることもでき、その商品価値を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、上記した従来の装飾部材120と同様に、自動車のステアリングホイールに取り付けられるホーン機能を有する装飾部材を例に採り説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の装飾部材の断面図である。
この装飾部材1は、図示のように、裏面に装飾模様30を有する透明な円盤状の装飾板2と、装飾板2の裏面に当接して配置された略円盤状の導光板3と、導光板3の裏面に当接して配置され、導光板3を装飾板2との間に挟み込む当接板4と、これら各板2、3、4等を収容する略椀状の容器5と、容器5内に係合するとともに、各板2、3、4を内周部に重ね合わせた状態で一体に、かつ摺動自在に係合する環状枠(リング)6とを備え、各板2、3、4を係合させたリング6を容器5に係合させて、各板2、3、4を容器5内に収容して保持するようになっている。
【0016】
当接板4は、装飾板2と略同径な円盤状をなし、その裏面には、容器5内に向かって突出する環状突条4Aが同心状に形成されている。一方、容器5の底面には、環状突条4Aの移動を内周面で案内するための、上方に向かって突出する略環状の案内突条5Aが形成されており、案内突条5A内に当接板4の環状突条4Aを摺動自在に係合している。
【0017】
この案内突条5A内周側の容器5の底面には、略中心に貫通孔5Bが形成され、貫通孔5Bに、座金7Aを挟んで第1の電極であるボルト7が嵌合している。一方、当接板4の環状突条4A内には、扁平なすり鉢状に形成された第2の電極であるスプリングトレイ8が、その底部分をボルト7の頭部上面に対向させて配置され、スプリングトレイ8と容器5底面との間には、バネ9が、コンタクトプレート10を挟んで配置されている。スプリングトレイ8は、このバネ9により上方に向かって付勢されており、これにより、その上面が当接板4の裏面に当接するとともに、当接板4、導光板3、及び装飾板2の間の各当接状態が維持されている。
【0018】
この状態からホーンを鳴らすときに装飾板2が押下されると、スプリングトレイ8(第2の電極)は、バネ9の弾発力に抗しながら容器5の案内突条5A内を降下し、ボルト7(第1の電極)の頭部に接触する。これにより、ボルト7、スプリングトレイ8、バネ9、及びコンタクトプレート10からなる装飾部材1のホーン回路が閉成する。
【0019】
以上に加えて、本実施形態の装飾部材1では、導光板3及び当接板4の側面の一部に切欠き部11を形成し、切欠き部11に発光ユニット20を取り付けている。また、発光ユニット20には、電力を供給するためのリード線等からなるハーネス25が接続されており、このハーネス25は、容器5底部の発光ユニット20の下方に形成された貫通孔5Cを通して容器5の外部に導出される。
【0020】
図2は、この発光ユニット20を含む図1のW部の一部を模式的に示す断面図である。
発光ユニット20は、図示のように、当接板4に固定された略板状の基板21と、導光板3側面の切欠き部11Aに位置するように基板21上に設けられた光源22等からなり、装飾板2の押下時等には、当接板4及び導光板3に対する相対位置を変えずに共に移動するようになっている。
【0021】
この発光ユニット20の光源22は、例えば白色に発光する発光ダイオード(LED)等であり、自動車のライト点灯スイッチがONされたとき等、他の操作に連動して自動で点灯したり、或いは、専用のスイッチがONされたときに点灯する等、ハーネス25に接続された外部機器による発光の制御が可能となっている。また、この光源22が、その装飾板2の裏面側の配置位置で発光しても、後述するように、光は装飾板2の表面には漏れず、主に導光板3の側面(切欠き部11A)からその内部に導入される。
【0022】
ここで、本実施形態の装飾板2は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な材料からできており、上記した従来の装飾板121(図7参照)と同様に、その裏面(図2参照)に装飾模様30が刻設や成型等により凹状に形成(凹設)されるとともに、裏面の装飾模様30以外の部分に、例えばシルク印刷等により着色された不透明な黒色塗装31が施されている。しかしながら、この装飾板2では、黒色塗装31の裏面及び装飾模様30部分に着色が施されておらず、装飾模様30が透明のままである点で、前記従来の装飾板121と相違する。従って、この装飾板2では、表面から見たとき、その裏面に当接する導光板3の表面の色彩等が装飾模様30に反映されて視認される。
【0023】
一方、導光板3は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な材料からできており、その装飾板2に当接する表面に、光を透過可能な半透明の銀色の銀色半透明層32が形成されている。この銀色半透明層32は、例えば金属メッキや蒸着、塗装等により、導光板3表面に銀色の着色を施し、その際の銀色膜の膜厚を薄くする等して形成される。加えて、この導光板3は、装飾板2と当接する面の裏面(以下、単に裏面という)に、光を拡散反射する光拡散反射手段33を備える。ここでは、導光板3の裏面に、例えば成型やシボ加工、ブラスト処理、印刷等により微少な凹凸を設けて梨地面を形成し、この梨地面を光拡散反射手段33としている。
【0024】
これにより、導光板3は、上記した側面から導入した光源22の光を、裏面の梨地面33により散乱させてムラなく拡散反射させつつ、表面の光透過性の銀色半透明層32から放出して装飾板2の裏面に導くようになっている。また、この装飾部材1では、導光板3の裏面に当接する当接板4を、光の反射率が比較的高い白色系、即ち、白色又はそれに近い色の不透明な着色を施した材料、例えばポリカーボネートやABS樹脂等で形成し、当接板4にも光の反射機能等を持たせている。
【0025】
従って、本実施形態の装飾部材1によれば、光源22が発光していないときに装飾板2を表面から見ると、透明な装飾模様30を通して導光板3表面(銀色半透明層32)の色彩が見えるため、黒色の背景色の中で装飾模様30が光沢を持った銀色(半透明の銀色)に浮かび上がって見える。このとき、装飾模様30自体は透明であるため、装飾模様30部分が周囲の黒色の背景色を反射することはなく、そこに黒色が移り込むのを防止することができる。その結果、装飾模様30に陰影ができず、模様が全体としてすっきりとした明るいイメージになることに加えて、その立体感を高めることもできる等、その商品価値を従来のものに比べて向上させることができる。
【0026】
なお、この装飾部材1では、導光板3表面に施した着色(銀色半透明層32)が光透過性を有するため、それを透かして下側の色も装飾模様30の色彩等の見た目に影響を与えることがある。しかしながら、この装飾部材1では、導光板3裏面に当接する当接板4に白色系の不透明な着色を施したため、装飾模様30の色彩を明るいものにできる等、その見た目のイメージが良くなり高級感を高めることができる。同時に、当接板4により、その裏側に設けられたスプリングトレイ8等の部材が、装飾模様30部分から透けて見えるのを防止することもできる。
【0027】
一方、光源22を発光させたときには、その光は導光板3内を通って銀色半透明層32を透過し、装飾板2の裏面まで導かれるが、装飾板2裏面の黒色塗装31部分では透過せずに透明な装飾模様30部分のみから放出されるため、装飾模様30を発光させることができる。また、このときの放出光は、導光板3表面に施された半透明な着色(ここでは、銀色)により変色されるため、本実施形態のように白色光を用いた場合には、放出光は導光板3表面と同系統の色調になり、非発光時の印象を大きく変えることなく装飾模様30を発光させることができる。
【0028】
更に、導光板3に導入された光は、その一部が導光板3表面の銀色半透明層32により導光板3内に反射されるが、この反射光を含めて導光板3裏面に当たった光は、梨地面33により散乱されてムラなく拡散反射されるため、装飾模様30部分の発光輝度のムラを減らして均一化することができる。加えて、この装飾部材1では、梨地面33に当接する当接板4に光反射率が高い白色系の着色を施したため、当接板4表面によっても光が反射されて光の反射効率を更に高めることができ、装飾模様30部分をより明るく発光させることができる。従って、この装飾部材1によれば、例えば夜間やトンネル内で車内が暗いとき等における、装飾模様30の視認性を向上できるとともに、装飾部材1の装飾性及びデザインの自由度を高めることができ、その商品価値の更なる向上を図ることができる。
【0029】
ここで、導光板3表面に形成する銀色半透明層32の光の透過率が10%よりも小さい場合には、発光時の装飾模様30の輝度が低下して暗くなり過ぎる恐れがある。逆に、50%よりも大きい場合には、銀色半透明層32の色彩が薄くなり過ぎて、非発光時の装飾模様30の色彩が不鮮明になる恐れがある。従って、導光板3表面の光の透過率は、10%〜50%にするのがより好ましい。
【0030】
また、本実施形態では、装飾板2の装飾模様30以外の部分に黒色塗装31を施したが、装飾模様30以外の部分に着色しない部分を設け、これにより例えばホーンマーク等の透明な模様を装飾板2に形成してもよい。更に、黒色塗装31部分の色も、導光板3表面の着色と異なる色であれば、黒色以外の他の不透明な色にしてもよい。同様に、導光板3表面には、半透明な銀色以外に、例えば半透明な金色や銅色等の、装飾板2裏面と異なる半透明な他の着色を施してもよく、光源22にも、装飾模様30の視認性や装飾効果等を考慮して、白色LED以外の他の色(例えば、赤、青、緑等)のLED等を用いて、装飾模様30を異なる色で発光させてもよい。このように、本実施形態の装飾部材1では、各部の色や光に種々のものを用いて組み合わせることができるため、その装飾性及びデザインの自由度を格段に高めることができる。
【0031】
なお、導光板3裏面の光拡散反射手段33としては、例えば塗装や印刷により光拡散反射性を有する塗料や樹脂を塗布し、又は同様の性質を有するテープを貼り付けて裏面に光拡散反射層を形成する等、梨地面以外の周知の手段を、適宜組み合わせて採用することもできる。この光拡散反射層は、微少な表面凹凸や内部気泡等を有する透明な材料(塗料、樹脂、テープ等)から形成してもよく、例えば酸化チタンや酸化シリコン粉末、又は金属粉末等の拡散剤をバインダーに配合した材料から形成してもよい。更に、導光板3裏面に白色、金属色、蛍光色等の光反射性の着色を施したり、或いは、メッキや蒸着等により金属層を形成してもよく、当接板4表面を同様に形成して、当接板4を光拡散反射手段33としてもよい。この場合には、反射効率が向上して装飾模様30の輝度をより高めることもできる。
【0032】
また、本実施形態とは異なり、導光板3の表面は着色せずに透明のままにし、裏面に銀色等の装飾板2と異なる不透明な着色を施してもよく、又は、導光板3は両面とも着色せずに透明のままにし、当接板4の表面に銀色等の装飾板2と異なる不透明な着色を施してもよい。このように装飾部材1を形成した場合にも、透明な装飾模様30部分を通して導光板3の裏面、又は当接板4の表面の色彩が見えるとともに、装飾模様30部分を発光させることもでき、上記した導光板3表面に半透明な着色を施した場合と同様の各効果を得ることができる。
【0033】
次に、以上で説明した装飾部材1を適用した他の実施形態について説明する。
本実施形態は、装飾部材1を、自動車のステアリングホイールに装着されるエアバッグ装置のセンタ部材として適用したものである。
【0034】
図3は、このエアバッグ装置をステアリングホイールに装着した状態を示す正面図である。
本実施形態のエアバッグ装置40は、図示のように、ステアリングホイール50の中央部に装着されて、自動車のステアリング装置に組み込まれており、その中央部に装飾部材1が配置されている。
【0035】
図4は、このエアバッグ装置40を模式的に示す断面図である。
エアバッグ装置40は、図示のように、支持部材41と、エアバッグカバー42と、エアバッグ43と、インフレータ44等を備えており、エアバッグカバー42に、以上説明した構成を備えた装飾部材1が取り付けられている。
【0036】
支持部材41は、ステアリングシャフト(図示せず)の端部側に取り付けられて、ステアリングホイール50の略中央部に配置される部材であり、中央部に略円形の孔を有するベースプレート41Aと、ベースプレート41Aの中央部に配置された略椀状の連結部材41B、及び略環状のクッションプレート41Cとを有し、インフレータ44がベースプレート41A中央部の孔を通して連結部材41B内に収容されている。
【0037】
エアバッグカバー42は、例えば樹脂により略椀状に形成され、その中央部には、センタ部材としての装飾部材1を収容するため、装飾部材1の容器5の外形形状に対応した略円錐台形の凹部42Aが形成されている。装飾部材1は、この凹部42A内に配置されて収納され、その際、第1の電極であるボルト7を、凹部42A及び連結部材41Bの略中央部に形成された貫通孔に通し、ボルト7をナット45で連結部材41Bに固定してエアバッグ装置40に取り付けられる。同時に、このボルト7及びナット45により、エアバッグカバー42も連結部材41Bに固定される。
【0038】
また、エアバッグカバー42内には、エアバッグ43が連結部材28の周囲に折り畳まれた状態で収納されている。エアバッグ43の固定は、その端部をクッションプレート41Cと連結部材41Bとの間に挟み込んで、それらを一体にベースプレート41Aにボルト及びナット(図示せず)等により締結することで行われており、これにより連結部材41Bもベースプレート41Aに固定される。
【0039】
以上のように、装飾部材1をエアバッグ装置40に取り付けることで、エアバッグ装置40の装飾性や商品価値を従来のものより一層高めることができる。
【0040】
なお、以上の各実施形態では、ホーン機能を備えた装飾部材1を例に採り説明したが、装飾部材1にホーン機能を持たせずに、各板2、3、4及び発光ユニット20等の装飾機能を有する部材のみを、ステアリングホイール50やエアバッグ装置40に取り付けてもよい。即ち、装飾部材1にスプリングトレイ8等のホーン回路を形成する部材は設けずに、各板2、3、4を、ステアリングホイール50やエアバッグ装置40の所定箇所に、上記と同様に重ね合わせて配置し、かつ発光ユニット20を導光板3の側面に取り付ける等して、装飾性等を発揮させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の装飾部材の断面図である。
【図2】図1のW部の一部を模式的に示す断面図である。
【図3】装飾部材を備えたエアバッグ装置をステアリングホイールに装着した状態を示す正面図である。
【図4】装飾部材を備えたエアバッグ装置を模式的に示す断面図である。
【図5】従来の装飾部材を備えたエアバッグ装置をステアリングホイールに装着した状態を示す正面図である。
【図6】従来の装飾部材の例を示す断面図である。
【図7】図6のZ部の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・装飾部材、2・・・装飾板、3・・・導光板、4・・・当接板、4A・・・環状突条、5・・・容器、5A・・・案内突条、5B・・・貫通孔、5C・・・貫通孔、6・・・環状枠(リング)、7・・・ボルト、7A・・・座金、8・・・スプリングトレイ、9・・・バネ、10・・・コンタクトプレート、11・・・切欠き部、20・・・発光ユニット、21・・・基板、22・・・光源、25・・・ハーネス、30・・・装飾模様、31・・・黒色塗装、32・・・銀色半透明層、33・・・光拡散反射手段、40・・・エアバッグ装置、41・・・支持部材、41A・・・ベースプレート、41B・・・連結部材、41C・・・クッションプレート、42・・・エアバッグカバー、42A・・・凹部、43・・・エアバッグ、44・・・インフレータ、45・・・ナット、50・・・ステアリングホイール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、
裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、
該装飾板の裏面側に配置された光源と、
前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を前記装飾板の裏面に導く透明な導光板とを備え、
前記導光板の前記装飾板に当接する面に光透過性の半透明な着色を施すとともに、少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記導光板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする装飾部材。
【請求項2】
請求項1に記載された装飾部材において、
前記導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に、前記光源からの光を拡散反射する光拡散反射手段を備え、
前記導光板は、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導くことを特徴とする装飾部材。
【請求項3】
請求項2に記載された装飾部材において、
前記光拡散反射手段は、前記導光板の裏面に形成された梨地面であることを特徴とする装飾部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された装飾部材において、
前記導光板の裏面に当接して配置され、白色系の不透明な着色を施された当接板を備えたことを特徴とする装飾部材。
【請求項5】
自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、
裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、
該装飾板の裏面側に配置された光源と、
前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導く透明な導光板とを備え、
前記導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に不透明な着色を施すととともに、少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記導光板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする装飾部材。
【請求項6】
自動車のステアリングホイールに取り付ける装飾部材であって、
裏面に装飾模様が凹設された透明な装飾板と、
該装飾板の裏面側に配置された光源と、
前記装飾板の裏面に当接して配置され、前記光源からの光を側面から導入して前記装飾板の裏面に導く透明な導光板と、
該導光板の前記装飾板に当接する面の裏面に当接して配置され、不透明な着色を施された当接板とを備え、
少なくとも前記装飾板の前記装飾模様を除く一部に前記当接板の着色と異なる不透明な着色を施したことを特徴とする装飾部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された装飾部材を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−314135(P2007−314135A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148685(P2006−148685)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】