補償電圧回路及び温度補償型圧電発振器
【課題】補償電圧特性が、直線と直線との交点近傍が滑らかな曲線で連なる特性となる補償電圧回路を得る。
【解決手段】周囲の温度を感知する温度センサ11と、温度センサ11の温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部12とを備えた補償電圧回路であって、補償電圧発生部12は、演算増幅器OPとトランジスタTrとを備え、温度センサ11の出力ラインを演算増幅器OPの反転入力端子に接続し、トランジスタTrのドレイン端子を演算増幅器OPの反転入力端子に接続すると共に、トランジスタTrのソース端子を演算増幅器OPの出力ラインに接続した。
【解決手段】周囲の温度を感知する温度センサ11と、温度センサ11の温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部12とを備えた補償電圧回路であって、補償電圧発生部12は、演算増幅器OPとトランジスタTrとを備え、温度センサ11の出力ラインを演算増幅器OPの反転入力端子に接続し、トランジスタTrのドレイン端子を演算増幅器OPの反転入力端子に接続すると共に、トランジスタTrのソース端子を演算増幅器OPの出力ラインに接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補償電圧回路及び温度補償型圧電発振器に関し、補償電圧回路の出力電圧を温度変化に対し滑らかに変化するようにし、発振周波数に生じる急激な周波数変動(ディップ)を抑圧した温度補償型圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧電発振器は周波数安定度、小型軽量、低価格等により携帯電話等の通信機器から水晶時計のような民生機器まで、多くの分野で用いられている。中でも圧電振動子の周波数温度特性を補償した温度補償型圧電発振器(TCXO)は、周波数安定度を必要とする携帯電話等に広く用いられている。
特許文献1には、関数発生回路を備えた温度補償水晶発振器が開示されている。図10は、その温度補償水晶発振器の機能ブロック図であり、定電圧回路32と、温度センサ回路33と、水晶振動子の温度特性を補償するため制御電圧Vcを生成する制御回路34と、電圧制御水晶発振器(VCXO)35と、制御回路34が出力する制御電圧Vcに対し、VCXO35が出力する発振周波数を最適化するため、制御電圧Vcの温度特性を補償する温度補償パラメータを記憶するROM/RAM回路36と、を備えている。
制御回路34は、MAX回路34aとMIN回路34bとからなる。定電圧回路32と温度センサ回路33とによって生成される制御電圧y1、制御電圧y2及び制御電圧y3を、制御回路34aに入力すると、その内の最大電圧値を選択して制御電圧y6として出力する。また、同様に生成される制御電圧y4及び制御電圧y5並びにMAX回路34aからの制御電圧y6を、制御回路34bに入力すると、その内の最小電圧値を選択して制御電圧y7を出力する。この制御電圧y7が温度補償用の制御電圧Vcとなる。
【0003】
図11は制御電圧Vcの詳細を示す図である。図11は、第1の温度領域(T0≦Ta≦T1)における制御電圧y1、第2の温度領域(T1≦Ta≦T2)における制御電圧y2、第3の温度領域(T2≦Ta≦T3)における制御電圧y3、第4の温度領域(T3≦Ta≦T4)における制御電圧y4、第5の温度領域(T4≦Ta≦T5)における制御電圧y5、を夫々示す折れ線状の直線群を示し、制御電圧Vcは太実線で表す折れ線となる。この制御電圧Vcを電圧制御水晶発振器35に加えると、温度補償型水晶発振器が構成される。なお、ROM/RAM回路36は、図示していないが、直列に接続された4個のフリップフロップからなるシリアルデータ入力部としてのRAMデータ入力回路と、該RAMデータ入力回路の出力データを受け、1ビット毎に記憶する4個のPROM回路と、制御信号(SEL、W/R、DATA等)とを有している。
【0004】
特許文献2には、温度補償電圧を所定の電圧にクリップするクリップ電圧発生回路を備えた温度補償型圧電発振器50が開示されている。図12は温度補償型圧電発振器50の回路構成を示す図であり、発振回路52と、温度変化による圧電振動子の周波数変動を補償する周波数温度補償回路51と、から構成される。周波数温度補償回路51は、温度検出部53と、この温度検出部53の変化したパラメータに基づいて電圧を発生する温度補償電圧発生回路52と、この温度補償電圧発生回路52が出力する温度補償電圧(VH、VL)と、基準電圧(Vref)との電位差に基づいて容量が変化するMOS容量素子MH、MLと、温度補償電圧を所定の電圧にクリップするクリップ電圧発生回路55と、から構成される。
【0005】
図13は補償電圧の温度特性を示す図である。温度が低温から高温に上昇する場合を考える。低温補償電圧VLは、温度が低温(−40℃)のときVLと基準電圧Vrefとの交点Rにあり、そのときの低温用MOS容量素子MLの端子間電圧は0Vである。温度が上昇するとVLは直線的に低下し、それに伴ってMLの端子間電圧が大きくなりMLの容量が増加する。そして、常温(+25℃)付近になると、クリップ電圧発生回路55のクリップ電圧Vcl2より、VLが低くなるように回路設定することで、+25℃付近でのクリップ電圧発生回路55のダイオードD2が順バイアスとなり、接続点Pはクリップ電圧Vcl2の電圧となる。更に温度が上昇するとVLは更に低下するが、クリップ電圧Vcl2によってクリップされているので、図13に示すごとく一定となる。
【0006】
次に温度が高温から低温に下降する場合を考える。高温補償電圧VHは、VHが高温(+90℃)のときVHと基準電圧Vrefとの交点Sにあり、そのときの高温用MOS容量素子MHの端子間電圧は0Vであるので、MHはC―V特性の立ち上がりの範囲の容量となる。温度が低下するとVHは直線的に低下し、それに伴ってMHの順バイアスの電位差が大きくなり、容量が減少する。そして、+25℃付近になると、クリップ電圧発生回路55のクリップ電圧Vcl2よりVHが低くなるよう回路設定することで、クリップ電圧発生回路55のダイオードD1が順バイアスとなり、接続点Qはクリップ電圧Vcl2の電圧となる。折れ線RPQSが補償電圧となる。この補償電圧が低、高温用MOS容量素子ML、MH及び容量からなる補償回路に印加されて、温度補償型圧電発振器が構成される。
【特許文献1】WO99/03195
【特許文献2】特開2005−236798公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された関数発生回路、水晶発振装置及び水晶発振装置の調整方法は、IC回路の半導体素子数が極めて多くなり、コストの上昇、歩留まりの低下を来すという問題があった。更に、関数発生回路から出力される制御電圧は折れ線状であり、直線と直線とのつなぎ目では電圧の変化は急激となり、所望の制御電圧(補償電圧)と、生成される制御電圧との誤差が大きくなるという問題があった。また、温度変化に対し制御電圧が急激に変化すると、水晶発振装置の出力周波数に周波数ディップが発生し、この水晶発振装置を搭載する機器に悪影響を及ぼす虞があるという問題があった。
また、特許文献2に開示された補償電圧も3本の直線からなる折れ線であり、直線と直線とのつなぎ目では電圧の変化は急激であり、所望の補償電圧と生成される補償電圧の誤差が大きいという問題と、上記の折れ線状の補償電圧を用いた温度補償型圧電発振器の出力には、周波数ディップ(周波数が急激に変化する現象)が発生するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、簡単な回路構成で直線と直線とのつなぎ目を滑らかにし、温度補償精度を改善した補償電圧回路及び温度補償型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の補償電圧回路は、周囲の温度を感知する温度センサと、該温度センサの温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部と、を備えた補償電圧回路であって、補償電圧発生部は、温度センサの出力電圧を増幅する演算増幅器と、トランジスタと、を備え、トランジスタの第1端子と第2端子とがそれぞれ、演算増幅器の反転入力端子と出力端子とに接続されたものであることを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、温度に対する補償電圧特性は、直線と直線との交点近傍が滑らかな曲線で連なる補償電圧特性となり、この補償電圧回路を温度補償型圧電発振器に適用すると、周波数の補償精度も改良され、周波数ディップも抑制できるという効果がある。
【0009】
また本発明の補償電圧回路は、温度センサと演算増幅器との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けるようにした。
このように補償電圧回路を構成すると、ゲイン調整用増幅器のゲインを変えることにより補償電圧特性の傾斜部を上下することが可能となり、傾斜部の勾配を変える演算増幅器のゲイン調整と相まって補償電圧特性を所望の特性に近似することができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、温度センサとトランジスタのゲート(第3端子)との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けるようにした。
このように補償電圧回路を構成すると、ゲイン調整用増幅器のゲインを変えることにより、特に補償電圧特性の平坦部の特性を、温度に対し単調増加、平坦、単調減少と変えることが可能となり、補償電圧特性の近似の精度を向上させることができるという効果がある。
【0010】
また本発明の補償電圧回路は、トランジスタは複数のトランジスタを並列接続したものであって、複数のトランジスタのそれぞれの第1端子が演算増幅器の反転入力端子に接続され、複数のトランジスタのそれぞれの第2端子が演算増幅器の出力端子に接続されたものであることを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、複数のゲイン調整用増幅器のゲインを夫々調整することにより補償電圧特性の曲線部をより微細に調整することが可能となり、演算増幅器のゲイン調整と相まって、補償電圧特性を所望の特性に近づけることができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、補償電圧発生部は、さらにダイオードを備え、演算増幅器の出力ラインにダイオードのカソード端子を接続し、ダイオードのアノード端子に基準電圧に印加したことを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、補償電圧回路の出力電圧を基準電圧で決まるクリップ電圧に保持することができるという利点がある。
【0011】
また本発明の補償電圧回路は、トランジスタは、NチャネルMOSFET又はPチャネルMOSFETである。
このように補償電圧回路を構成すると、補償電圧回路にNチャネルMOS FETを用いるか、PチャネルMOSFETを用いるかで、逆特性の補償電圧特性を構成することができ、補償電圧回路の応用範囲を広げることができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、補償電圧発生部を2個有し、一方の補償電圧発生部のトランジスタをNチャネルMOSFET、他方の補償電圧発生部のトランジスタをPチャネルMOSFETとした。
このように補償電圧回路を構成すると、一方の補償電圧回路で3次曲線を呈する圧電振動子の低温から常温までの範囲を補償し、他方の補償電圧回路で常温から高温までの範囲を補償できるという効果がある。
また本発明の温度補償型圧電発振器は、本発明の補償電圧回路を備えた温度補償型圧電発振器を構成する。
このように温度補償型圧電発振器を構成すると、発振周波数の補償精度が改善されると共に、周波数ディップの抑圧が可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明に係る第1の実施の形態の補償電圧回路の構成を示す図である。
補償電圧回路1は、圧電振動子Xの周囲の温度を感知する温度センサ11と、温度センサ11の温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部12と、を備える。補償電圧発生部12は、例えば演算増幅器OP、可変抵抗R1、R2及びトランジスタTrと、を備えている。
補償電圧回路1は、図1(a)に示すように、温度センサ10の出力ラインを、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子(−)に接続すると共に、基準電圧V1を非反転入力端子(+)に印加し、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子Aとを可変抵抗R2(帰還抵抗)を介して接続する。そして、トランジスタTrのゲート端子(第3端子)に基準電圧Vrefを印加し、ドレイン端子(第1端子)を演算増幅器OPの反転入力端子に、ソース端子(第2端子)を演算増幅器OPの出力端子Aに接続する。なお、補償電圧回路1の出力電圧Vaは、抵抗Rを介して圧電発振器10の可変容量素子Cに印加される。
【0013】
図1(b)は温度センサ11の温度−出力電圧特性を示す図、同図(c)は、温度変化に対する補償電圧回路1の出力電圧特性を示す図である。図1(b)に示す特性の温度センサの出力電圧Vsが、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子に加えられたときの動作について説明する。
まず、図1(c)のα領域の動作について説明する。このα領域においては温度センサ11の出力電圧Vsが、そのまま演算増幅器OPによって反転増幅されるため、演算増幅器OPの出力電圧Vaとしては、図1(b)のα領域に対応した出力が得られる。このとき、トランジスタTrのゲート電圧VGATE(=Vref)がソース電圧VSOURCEよりも低い状態にあるため、トランジスタTrはOFF状態であり、トランジスタTrのドレイン−ソース間は非導通の状態となっている。
ここで、トランジスタTr(NチャネルMOSFET)の動作について補足説明する。ゲート−ソース間の電圧をVGSとすると、VGSが一定電圧VT(しきい値電圧)よりも小さいときにはトランジスタTrはOFF状態となり、ドレイン−ソース間は非導通となる。逆に大きいとON状態となり、ドレイン−ソース間が導通する。つまり、VGS<VTならばトランジスタTrはOFF状態、VGS>VTならばトランジスタはON状態となることが知られている。なお、しきい値電圧VTは、MOSFETの特性によって決まるトランジスタ固有の一定電圧であり、半導体の製造プロセスによって決まる値である。
【0014】
次に、図1(b)、(c)のβ領域の動作について説明する。このβ領域においては、VGS≒VTであり、トランジスタTrのソース電圧VSOURCEがゲート電圧VGATE(=Vref)にほぼ等しい状態である。このβ領域はトランジスタTrがOFF状態から序々にON状態に移行する領域であり、トランジスタTrのソース−ドレイン間は非導通の状態から導通の状態へと序々に変化する。従って、補償電圧Vaの変化が曲線的になり、図1(c)に示すように滑らかに変化する。
次に、図1(b)、(c)のγ領域の動作について説明する。このγ領域においては、VGS>VTであり、トランジスタTrがONする領域である。このとき、トランジスタTrのソース−ドレイン間が導通するので、温度センサ11の出力電圧Vsが増加しても、VGSはVTを少し超えたところで急激にクリップされた状態となり、ほぼ一定電圧となる。
図1(d)は、補償電圧回路1の可変抵抗R1、R2を可変させて、演算増幅器OPのゲインを調整したときの温度に対する補償電圧Vaの特性で、傾斜部の所定の位置を中心として傾斜が回転するように変化する。また、図1(e)は基準電圧V1を変えることにより、補償電圧Va特性の傾斜部を図に示すように上下に移動(リファレンス調整と称す)することができる。
【0015】
図2は、第2の実施の形態の補償電圧回路2の構成を示す図であり、図1(a)の補償電圧回路1と異なる点は、温度センサ11と可変抵抗R1との間にゲインが調整可能なゲイン調整用増幅器AMPを挿入したことである。図1(a)に示す補償電圧回路1では、可変抵抗R1、R2を変化させて演算増幅器OPのゲインを調整した後、基準電圧V1を調整すると傾斜の回転の中心が移動し、ゲイン調整とリファレンス調整とを独立に行うことができない。しかし、図2に示す補償電圧回路2ではゲイン調整用増幅器AMPによるゲイン調整と、基準電圧V1によるリファレンス調整を互いに独立に行うことができるので、補償電圧Vaの傾斜の回転中心を移動させずに、リファレンス調整を行うことができるという利点がある。
図3は、第3の実施の形態の補償電圧回路3の構成を示す図であり、図1(a)の補償電圧回路1と異なる点は、温度センサ11の出力を、ゲイン調整用増幅器AMPを介してトランジスタTrのゲートに接続した点である。ゲイン調整用増幅器AMPの出力電圧(トランジスタTrのゲート入力電圧)をVT1とする。
【0016】
図4(a)〜(c)は、トランジスタTrのゲート入力電圧VT1と、補償電圧回路3の出力電圧(補償電圧)Va(図3のA点の電圧)との関係を示す図である。図4(a)〜(c)から明らかなように、−40℃から20℃の温度範囲ではゲート入力電圧VT1に関わらず、補償電圧回路3の補償電圧Vaは、温度の増加につれて単調に減少する特性を示す。
約20℃以上の温度では、ゲート入力電圧VT1の温度特性に応じて、補償電圧Vaの温度特性が変化することが、シミュレーションにより明らかになった。図4(a)に示すように、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し単調に減少する電圧であると、補償電圧Vaは図4(a)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に伴い減少する特性を示す。また、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し一定である電圧であると、補償電圧Vaは図4(b)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に対しほぼ一定の特性を示す。また、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し単調に増加する電圧であると、補償電圧Vaは図4(c)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に対し増加する特性を示す。
【0017】
図5(a)は、第4の実施の形態の補償電圧回路4の構成を示す図である。
補償電圧回路4は、補償電圧発生部12として、演算増幅器OP、可変抵抗R1、R2、n個のトランジスタTr1〜Trn、基準電圧V1、ゲインが調整可能なn個の増幅器AMP1〜AMPnを備える。
温度センサ11の出力ラインを、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子に接続すると共に、基準電圧V1を非反転入力端子に印加し、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子Aとを可変抵抗R2(帰還抵抗)を介して接続する。そして、温度センサ11の出力ラインを第i(i=1〜n)の増幅器AMPiの入力ラインに接続し、この増幅器AMPiの出力ラインを第iのトランジスタTriのゲート端子(第3端子)に接続する。第iのトランジスタTriのドレイン端子(第1端子)を演算増幅器OPの反転入力端子に、ソース端子(第2端子)を演算増幅器OPの出力に接続して補償電圧回路4を構成する。すなわち、n個のトランジスタTr1〜Trnの並列接続したものを、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子とに接続した構成とする。
【0018】
図5(b)は、同図(a)のi番目(i=1〜n)の増幅器AMPiの出力電圧VTi(ゲート入力電圧)の温度特性を示す図である。図5(c)は補償電圧回路4の出力電圧(補償電圧)Vaの温度特性を示す図である。温度が低い場合、n個のトランジスタTri(i=1〜n)は何れもOFFの状態であり、演算増幅器OPのみが動作する。そのときの補償電圧Vaの温度特性は図5(c)のαで示す範囲のようになる。
温度が上昇するにつれて、ゲート入力電圧Vtiの高いものからトランジスタTriが次々にONし、そのゲート入力電圧Vtiによるソース電流が流れ、補償電圧Vaを得る。従って、補償電圧Vaは、折れ線状に接続された特性となる。しかも、温度と補償電圧Vaとの関係を表す直線と直線との接続点の近傍は、滑らかな曲線を呈するのが本発明の特徴である。このように、ゲインの調整できる複数の増幅器AMPiと、複数のトランジスタTriを用いることにより、補償電圧Vaの温度特性をより滑らかにすることが可能とり、ひいては、温度補償型圧電発振器の温度特性を滑らかにし、周波数ディップの発生を抑圧する効果がある。
【0019】
図6は、第5の実施の形態の補償電圧回路5の構成を示す図である。図3に示した補償電圧回路3と異なる点は、演算増幅器OPの出力端子AにダイオードDのアノード端子を接続し、このダイオードDのカソードに基準電圧Vref3を印加した点である。温度が上昇して演算増幅器OPの出力電圧(補償電圧Va)が、基準電圧Vref3より低くなると、ダイオードDが順バイアスとなり、A点の電圧はクリップ電圧Vref3となる。更に温度が上昇すると演算増幅器OPの出力電圧は更に低下するが、クリップ電圧Vref3によりクリップされているので、図6(b)に示すごとく一定電圧Vref3となる。
【0020】
図7(a)は、第6の実施の形態の補償電圧回路6の構成を示す図である。図7(a)に示す補償電圧回路6のうち、ゲイン調整用増幅器AMP1、可変抵抗R1、R2、演算増幅器OP1、及びトランジスタTr1(NチャネルMOSFET)を備えた第1の補償電圧発生部は、図2に示した補償電圧発生部12と同じ回路構成であり、その作用も同じである。つまり、温度センサ11の出力電圧Vsが、図7(b)に示すような温度の上昇に伴い直線的に増加する特性であると、演算増幅器OP1の出力端子A1における電圧Va1の温度特性は、図7(c)に示すような特性となる。
図7(a)に示す補償電圧回路6のうち、ゲイン調整用増幅器AMP2、可変抵抗R3、R4、演算増幅器OP2、及びトランジスタTr2(PチャネルMOSFET)を備えた第2の補償電圧発生部は、図2に示した補償電圧回路2とほぼ同じ回路構成であるが、ゲイン調整用増幅器AMP2が反転増幅器であり、トランジスタTr2がPチャネルMOSFETである点が異なる。
この場合、第2の補償電圧発生部の補償電圧Va2の特性は、図7(d)に示すような特性となる。従って、演算増幅器OP1の出力電圧Va1と、演算増幅器OP2の出力電圧Va2とを加算器Kに入力することにより、加算器Kの出力電圧、即ち補償電圧回路6の補償電圧Va3は、図7(e)示すような負の3次曲線を呈する特性となる。このような補償電圧Va3は、3次曲線を呈する圧電振動子の補償電圧として用いることにより、可変容量素子を1個のみ有する発振回路の温度補償を行うことができる。
【0021】
図8は、温度補償型圧電発振器の構成を示す回路図であり、その補償電圧回路6は、図7(a)に示した補償電圧回路6から加算器Kを取り除いたものである。補償電圧回路6の演算増幅器OP1、OP2の夫々の補償電圧Va1、Va2を、圧電発振器10の2つの可変容量素子Cv1、Cv2に夫々接続した例である。圧電発振器10は、図8に示すように増幅器AI、2つの容量C1、C2、圧電振動子X、及び2つの可変容量素子Cv1、Cv2を備えた周知の発振器である。補償電圧回路6の演算増幅器OP1の出力電圧(補償電圧Va1)を、抵抗R6を介して可変容量素子Cv1の一方の端子に接続し、可変容量素子Cv1の他方の端子は接地する。そして、補償電圧回路6の演算増幅器OP2の出力(補償電圧Va2)を、抵抗R7を介して可変容量素子Cv2の一方の端子に接続し、可変容量素子Cv2の他方の端子は接地する。周波数温度特性が3次曲線を呈する圧電振動子Xの常温より低温側の温度補償は、図7(c)に示す補償電圧Va1を可変容量素子Cv1に加えることにより行う。また、常温より高温側の温度補償に関しては、図7(d)に示す補償電圧特性を有する電圧Va2を可変容量素子Cv2に加えることにより、温度補償を行うことができる。
【0022】
図9は、温度補償型圧電発振器の構成を示す回路図であり、その補償電圧回路6は、図8に示した補償電圧回路6と基本的には同じであるが、トランジスタTr2がNチャネルMOSFETであり、AMP2が反転増幅器であるところが異なる。(その理由は後述する。)本実施例は補償電圧回路6からの2つの補償電圧Va1、Va2を、低温用MOS容量素子ML、高温用MOS容量素子MHを有する圧電発振器10に適用した例である。圧電発振器10は、周知のように、例えばコルピッツ型発振回路と、温度補償回路と、を備えている。コルピッツ型発振回路は、圧電振動子Xと、トランジスタTr10と、複数の容量と、複数の抵抗と、を備えている。
また、温度補償回路は、例えば低温用MOS容量素子MLと容量C14との直列回路に、高温用MOS容量素子MHを並列接続し、低温用MOS容量素子MLのゲートに容量C15の一方の端子を接続し、他方の端子を接地する。
更に、低温用MOS容量素子MLと高温用MOS容量素子MHとの接続点に基準電圧Vref8を印加する。補償電圧回路6の演算増幅器OP1の補償電圧Va1を、抵抗R14を介して低温用MOS容量素子MLのバックゲートに接続し、演算増幅器OP2の補償電圧Va2を、抵抗R15を介して高温用MOS容量素子MHのゲートに接続して、温度補償型圧電発振器を構成する。
【0023】
ここで、トランジスタTr2をNチャネルMOSFETとし、AMP2が反転している理由について説明する。これは、補償電圧Va1が低温用MOS容量素子MLのバックゲート側に印加されているのに対し、補償電圧Va2が高温用MOS容量素子MHのゲート側に印加されているからである。つまり、温度増加に対して一定電圧(低電圧)の状態から単調増加する電圧特性を得る目的で、補償電圧Va2(高温補償用)の回路はこのような構成となっている。
以上説明したように、本発明の補償電圧回路6から生成される滑らかな補償電圧を、温度補償回路に印加することにより、圧電振動子の周波数補償精度が改善されると共に、補償電圧の直線同士の接続部が滑らかに形成されているので、周波数ディップの発生を抑圧することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る補償電圧回路の構成、(b)は温度センサの出力電圧の温度特性、(c)は補償電圧の温度特性、(d)及び(e)は補償電圧の温度特性を示した図。
【図2】第2の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図。
【図3】第3の実施の形態に係る補償電圧回路3の構成を示す図。
【図4】(a)、(b)、(c)はゲート入力電圧と、補償電圧回路3の出力電圧と、の温度特性を示した図。
【図5】(a)は第4の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)はゲート入力を示す図、(c)は補償電圧回路4の出力電圧特性を示す図。
【図6】(a)は第5の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)は補償電圧の温度特性を示す図。
【図7】(a)は第6の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)は温度センサの温度特性、(c)は演算増幅器OP1の出力電圧特性、(d)は演算増幅器OP2の出力電圧特性、(e)は補償電圧回路6の出力電圧の温度特性を示す図。
【図8】第6の実施の形態に係る補償電圧回路を圧電発振器に適用して温度補償型圧電発振器を構成した例を示す回路図。
【図9】第6の実施の形態に係る補償電圧回路を圧電発振器に適用して温度補償型圧電発振器を構成した例を示す回路図。
【図10】従来の関数発生回路を備えた温度補償水晶発振器の構成を示す図。
【図11】制御回路が生成する制御電圧を示す図。
【図12】クリップ電圧発生回路を備えた温度補償型圧電発振器の構成を示す図。
【図13】補償電圧の温度特性を示す図。
【符号の説明】
【0025】
1、2、3、4、5、6…補償電圧回路、10…発振器、11…温度センサ、12…補償電圧発生部、R、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15、R16…抵抗、C、C1、C2、C11、C12、C14、C15…容量、Cv1、Cv2…可変容量素子、Vs…温度センサの出力電圧、V1、V3、Vref、Vref2、Vref3、Vref4…基準電圧、OP、OP1、OP2…演算増幅器、Tr、Tr1、Tr2、Trn…トランジスタ、AMP、AMP1、AMP2、AMPn…ゲイン調整用増幅器、VT1、VT2、VTn…増幅器の出力、Va、Va1、Va2、Va3…補償電圧、K…加算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、補償電圧回路及び温度補償型圧電発振器に関し、補償電圧回路の出力電圧を温度変化に対し滑らかに変化するようにし、発振周波数に生じる急激な周波数変動(ディップ)を抑圧した温度補償型圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧電発振器は周波数安定度、小型軽量、低価格等により携帯電話等の通信機器から水晶時計のような民生機器まで、多くの分野で用いられている。中でも圧電振動子の周波数温度特性を補償した温度補償型圧電発振器(TCXO)は、周波数安定度を必要とする携帯電話等に広く用いられている。
特許文献1には、関数発生回路を備えた温度補償水晶発振器が開示されている。図10は、その温度補償水晶発振器の機能ブロック図であり、定電圧回路32と、温度センサ回路33と、水晶振動子の温度特性を補償するため制御電圧Vcを生成する制御回路34と、電圧制御水晶発振器(VCXO)35と、制御回路34が出力する制御電圧Vcに対し、VCXO35が出力する発振周波数を最適化するため、制御電圧Vcの温度特性を補償する温度補償パラメータを記憶するROM/RAM回路36と、を備えている。
制御回路34は、MAX回路34aとMIN回路34bとからなる。定電圧回路32と温度センサ回路33とによって生成される制御電圧y1、制御電圧y2及び制御電圧y3を、制御回路34aに入力すると、その内の最大電圧値を選択して制御電圧y6として出力する。また、同様に生成される制御電圧y4及び制御電圧y5並びにMAX回路34aからの制御電圧y6を、制御回路34bに入力すると、その内の最小電圧値を選択して制御電圧y7を出力する。この制御電圧y7が温度補償用の制御電圧Vcとなる。
【0003】
図11は制御電圧Vcの詳細を示す図である。図11は、第1の温度領域(T0≦Ta≦T1)における制御電圧y1、第2の温度領域(T1≦Ta≦T2)における制御電圧y2、第3の温度領域(T2≦Ta≦T3)における制御電圧y3、第4の温度領域(T3≦Ta≦T4)における制御電圧y4、第5の温度領域(T4≦Ta≦T5)における制御電圧y5、を夫々示す折れ線状の直線群を示し、制御電圧Vcは太実線で表す折れ線となる。この制御電圧Vcを電圧制御水晶発振器35に加えると、温度補償型水晶発振器が構成される。なお、ROM/RAM回路36は、図示していないが、直列に接続された4個のフリップフロップからなるシリアルデータ入力部としてのRAMデータ入力回路と、該RAMデータ入力回路の出力データを受け、1ビット毎に記憶する4個のPROM回路と、制御信号(SEL、W/R、DATA等)とを有している。
【0004】
特許文献2には、温度補償電圧を所定の電圧にクリップするクリップ電圧発生回路を備えた温度補償型圧電発振器50が開示されている。図12は温度補償型圧電発振器50の回路構成を示す図であり、発振回路52と、温度変化による圧電振動子の周波数変動を補償する周波数温度補償回路51と、から構成される。周波数温度補償回路51は、温度検出部53と、この温度検出部53の変化したパラメータに基づいて電圧を発生する温度補償電圧発生回路52と、この温度補償電圧発生回路52が出力する温度補償電圧(VH、VL)と、基準電圧(Vref)との電位差に基づいて容量が変化するMOS容量素子MH、MLと、温度補償電圧を所定の電圧にクリップするクリップ電圧発生回路55と、から構成される。
【0005】
図13は補償電圧の温度特性を示す図である。温度が低温から高温に上昇する場合を考える。低温補償電圧VLは、温度が低温(−40℃)のときVLと基準電圧Vrefとの交点Rにあり、そのときの低温用MOS容量素子MLの端子間電圧は0Vである。温度が上昇するとVLは直線的に低下し、それに伴ってMLの端子間電圧が大きくなりMLの容量が増加する。そして、常温(+25℃)付近になると、クリップ電圧発生回路55のクリップ電圧Vcl2より、VLが低くなるように回路設定することで、+25℃付近でのクリップ電圧発生回路55のダイオードD2が順バイアスとなり、接続点Pはクリップ電圧Vcl2の電圧となる。更に温度が上昇するとVLは更に低下するが、クリップ電圧Vcl2によってクリップされているので、図13に示すごとく一定となる。
【0006】
次に温度が高温から低温に下降する場合を考える。高温補償電圧VHは、VHが高温(+90℃)のときVHと基準電圧Vrefとの交点Sにあり、そのときの高温用MOS容量素子MHの端子間電圧は0Vであるので、MHはC―V特性の立ち上がりの範囲の容量となる。温度が低下するとVHは直線的に低下し、それに伴ってMHの順バイアスの電位差が大きくなり、容量が減少する。そして、+25℃付近になると、クリップ電圧発生回路55のクリップ電圧Vcl2よりVHが低くなるよう回路設定することで、クリップ電圧発生回路55のダイオードD1が順バイアスとなり、接続点Qはクリップ電圧Vcl2の電圧となる。折れ線RPQSが補償電圧となる。この補償電圧が低、高温用MOS容量素子ML、MH及び容量からなる補償回路に印加されて、温度補償型圧電発振器が構成される。
【特許文献1】WO99/03195
【特許文献2】特開2005−236798公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された関数発生回路、水晶発振装置及び水晶発振装置の調整方法は、IC回路の半導体素子数が極めて多くなり、コストの上昇、歩留まりの低下を来すという問題があった。更に、関数発生回路から出力される制御電圧は折れ線状であり、直線と直線とのつなぎ目では電圧の変化は急激となり、所望の制御電圧(補償電圧)と、生成される制御電圧との誤差が大きくなるという問題があった。また、温度変化に対し制御電圧が急激に変化すると、水晶発振装置の出力周波数に周波数ディップが発生し、この水晶発振装置を搭載する機器に悪影響を及ぼす虞があるという問題があった。
また、特許文献2に開示された補償電圧も3本の直線からなる折れ線であり、直線と直線とのつなぎ目では電圧の変化は急激であり、所望の補償電圧と生成される補償電圧の誤差が大きいという問題と、上記の折れ線状の補償電圧を用いた温度補償型圧電発振器の出力には、周波数ディップ(周波数が急激に変化する現象)が発生するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、簡単な回路構成で直線と直線とのつなぎ目を滑らかにし、温度補償精度を改善した補償電圧回路及び温度補償型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の補償電圧回路は、周囲の温度を感知する温度センサと、該温度センサの温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部と、を備えた補償電圧回路であって、補償電圧発生部は、温度センサの出力電圧を増幅する演算増幅器と、トランジスタと、を備え、トランジスタの第1端子と第2端子とがそれぞれ、演算増幅器の反転入力端子と出力端子とに接続されたものであることを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、温度に対する補償電圧特性は、直線と直線との交点近傍が滑らかな曲線で連なる補償電圧特性となり、この補償電圧回路を温度補償型圧電発振器に適用すると、周波数の補償精度も改良され、周波数ディップも抑制できるという効果がある。
【0009】
また本発明の補償電圧回路は、温度センサと演算増幅器との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けるようにした。
このように補償電圧回路を構成すると、ゲイン調整用増幅器のゲインを変えることにより補償電圧特性の傾斜部を上下することが可能となり、傾斜部の勾配を変える演算増幅器のゲイン調整と相まって補償電圧特性を所望の特性に近似することができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、温度センサとトランジスタのゲート(第3端子)との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けるようにした。
このように補償電圧回路を構成すると、ゲイン調整用増幅器のゲインを変えることにより、特に補償電圧特性の平坦部の特性を、温度に対し単調増加、平坦、単調減少と変えることが可能となり、補償電圧特性の近似の精度を向上させることができるという効果がある。
【0010】
また本発明の補償電圧回路は、トランジスタは複数のトランジスタを並列接続したものであって、複数のトランジスタのそれぞれの第1端子が演算増幅器の反転入力端子に接続され、複数のトランジスタのそれぞれの第2端子が演算増幅器の出力端子に接続されたものであることを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、複数のゲイン調整用増幅器のゲインを夫々調整することにより補償電圧特性の曲線部をより微細に調整することが可能となり、演算増幅器のゲイン調整と相まって、補償電圧特性を所望の特性に近づけることができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、補償電圧発生部は、さらにダイオードを備え、演算増幅器の出力ラインにダイオードのカソード端子を接続し、ダイオードのアノード端子に基準電圧に印加したことを特徴とする。
このように補償電圧回路を構成すると、補償電圧回路の出力電圧を基準電圧で決まるクリップ電圧に保持することができるという利点がある。
【0011】
また本発明の補償電圧回路は、トランジスタは、NチャネルMOSFET又はPチャネルMOSFETである。
このように補償電圧回路を構成すると、補償電圧回路にNチャネルMOS FETを用いるか、PチャネルMOSFETを用いるかで、逆特性の補償電圧特性を構成することができ、補償電圧回路の応用範囲を広げることができるという効果がある。
また本発明の補償電圧回路は、補償電圧発生部を2個有し、一方の補償電圧発生部のトランジスタをNチャネルMOSFET、他方の補償電圧発生部のトランジスタをPチャネルMOSFETとした。
このように補償電圧回路を構成すると、一方の補償電圧回路で3次曲線を呈する圧電振動子の低温から常温までの範囲を補償し、他方の補償電圧回路で常温から高温までの範囲を補償できるという効果がある。
また本発明の温度補償型圧電発振器は、本発明の補償電圧回路を備えた温度補償型圧電発振器を構成する。
このように温度補償型圧電発振器を構成すると、発振周波数の補償精度が改善されると共に、周波数ディップの抑圧が可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明に係る第1の実施の形態の補償電圧回路の構成を示す図である。
補償電圧回路1は、圧電振動子Xの周囲の温度を感知する温度センサ11と、温度センサ11の温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部12と、を備える。補償電圧発生部12は、例えば演算増幅器OP、可変抵抗R1、R2及びトランジスタTrと、を備えている。
補償電圧回路1は、図1(a)に示すように、温度センサ10の出力ラインを、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子(−)に接続すると共に、基準電圧V1を非反転入力端子(+)に印加し、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子Aとを可変抵抗R2(帰還抵抗)を介して接続する。そして、トランジスタTrのゲート端子(第3端子)に基準電圧Vrefを印加し、ドレイン端子(第1端子)を演算増幅器OPの反転入力端子に、ソース端子(第2端子)を演算増幅器OPの出力端子Aに接続する。なお、補償電圧回路1の出力電圧Vaは、抵抗Rを介して圧電発振器10の可変容量素子Cに印加される。
【0013】
図1(b)は温度センサ11の温度−出力電圧特性を示す図、同図(c)は、温度変化に対する補償電圧回路1の出力電圧特性を示す図である。図1(b)に示す特性の温度センサの出力電圧Vsが、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子に加えられたときの動作について説明する。
まず、図1(c)のα領域の動作について説明する。このα領域においては温度センサ11の出力電圧Vsが、そのまま演算増幅器OPによって反転増幅されるため、演算増幅器OPの出力電圧Vaとしては、図1(b)のα領域に対応した出力が得られる。このとき、トランジスタTrのゲート電圧VGATE(=Vref)がソース電圧VSOURCEよりも低い状態にあるため、トランジスタTrはOFF状態であり、トランジスタTrのドレイン−ソース間は非導通の状態となっている。
ここで、トランジスタTr(NチャネルMOSFET)の動作について補足説明する。ゲート−ソース間の電圧をVGSとすると、VGSが一定電圧VT(しきい値電圧)よりも小さいときにはトランジスタTrはOFF状態となり、ドレイン−ソース間は非導通となる。逆に大きいとON状態となり、ドレイン−ソース間が導通する。つまり、VGS<VTならばトランジスタTrはOFF状態、VGS>VTならばトランジスタはON状態となることが知られている。なお、しきい値電圧VTは、MOSFETの特性によって決まるトランジスタ固有の一定電圧であり、半導体の製造プロセスによって決まる値である。
【0014】
次に、図1(b)、(c)のβ領域の動作について説明する。このβ領域においては、VGS≒VTであり、トランジスタTrのソース電圧VSOURCEがゲート電圧VGATE(=Vref)にほぼ等しい状態である。このβ領域はトランジスタTrがOFF状態から序々にON状態に移行する領域であり、トランジスタTrのソース−ドレイン間は非導通の状態から導通の状態へと序々に変化する。従って、補償電圧Vaの変化が曲線的になり、図1(c)に示すように滑らかに変化する。
次に、図1(b)、(c)のγ領域の動作について説明する。このγ領域においては、VGS>VTであり、トランジスタTrがONする領域である。このとき、トランジスタTrのソース−ドレイン間が導通するので、温度センサ11の出力電圧Vsが増加しても、VGSはVTを少し超えたところで急激にクリップされた状態となり、ほぼ一定電圧となる。
図1(d)は、補償電圧回路1の可変抵抗R1、R2を可変させて、演算増幅器OPのゲインを調整したときの温度に対する補償電圧Vaの特性で、傾斜部の所定の位置を中心として傾斜が回転するように変化する。また、図1(e)は基準電圧V1を変えることにより、補償電圧Va特性の傾斜部を図に示すように上下に移動(リファレンス調整と称す)することができる。
【0015】
図2は、第2の実施の形態の補償電圧回路2の構成を示す図であり、図1(a)の補償電圧回路1と異なる点は、温度センサ11と可変抵抗R1との間にゲインが調整可能なゲイン調整用増幅器AMPを挿入したことである。図1(a)に示す補償電圧回路1では、可変抵抗R1、R2を変化させて演算増幅器OPのゲインを調整した後、基準電圧V1を調整すると傾斜の回転の中心が移動し、ゲイン調整とリファレンス調整とを独立に行うことができない。しかし、図2に示す補償電圧回路2ではゲイン調整用増幅器AMPによるゲイン調整と、基準電圧V1によるリファレンス調整を互いに独立に行うことができるので、補償電圧Vaの傾斜の回転中心を移動させずに、リファレンス調整を行うことができるという利点がある。
図3は、第3の実施の形態の補償電圧回路3の構成を示す図であり、図1(a)の補償電圧回路1と異なる点は、温度センサ11の出力を、ゲイン調整用増幅器AMPを介してトランジスタTrのゲートに接続した点である。ゲイン調整用増幅器AMPの出力電圧(トランジスタTrのゲート入力電圧)をVT1とする。
【0016】
図4(a)〜(c)は、トランジスタTrのゲート入力電圧VT1と、補償電圧回路3の出力電圧(補償電圧)Va(図3のA点の電圧)との関係を示す図である。図4(a)〜(c)から明らかなように、−40℃から20℃の温度範囲ではゲート入力電圧VT1に関わらず、補償電圧回路3の補償電圧Vaは、温度の増加につれて単調に減少する特性を示す。
約20℃以上の温度では、ゲート入力電圧VT1の温度特性に応じて、補償電圧Vaの温度特性が変化することが、シミュレーションにより明らかになった。図4(a)に示すように、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し単調に減少する電圧であると、補償電圧Vaは図4(a)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に伴い減少する特性を示す。また、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し一定である電圧であると、補償電圧Vaは図4(b)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に対しほぼ一定の特性を示す。また、ゲート入力電圧VT1が温度の増加に対し単調に増加する電圧であると、補償電圧Vaは図4(c)のγで示す温度範囲のように、温度の増加に対し増加する特性を示す。
【0017】
図5(a)は、第4の実施の形態の補償電圧回路4の構成を示す図である。
補償電圧回路4は、補償電圧発生部12として、演算増幅器OP、可変抵抗R1、R2、n個のトランジスタTr1〜Trn、基準電圧V1、ゲインが調整可能なn個の増幅器AMP1〜AMPnを備える。
温度センサ11の出力ラインを、可変抵抗R1を介して演算増幅器OPの反転入力端子に接続すると共に、基準電圧V1を非反転入力端子に印加し、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子Aとを可変抵抗R2(帰還抵抗)を介して接続する。そして、温度センサ11の出力ラインを第i(i=1〜n)の増幅器AMPiの入力ラインに接続し、この増幅器AMPiの出力ラインを第iのトランジスタTriのゲート端子(第3端子)に接続する。第iのトランジスタTriのドレイン端子(第1端子)を演算増幅器OPの反転入力端子に、ソース端子(第2端子)を演算増幅器OPの出力に接続して補償電圧回路4を構成する。すなわち、n個のトランジスタTr1〜Trnの並列接続したものを、演算増幅器OPの反転入力端子と出力端子とに接続した構成とする。
【0018】
図5(b)は、同図(a)のi番目(i=1〜n)の増幅器AMPiの出力電圧VTi(ゲート入力電圧)の温度特性を示す図である。図5(c)は補償電圧回路4の出力電圧(補償電圧)Vaの温度特性を示す図である。温度が低い場合、n個のトランジスタTri(i=1〜n)は何れもOFFの状態であり、演算増幅器OPのみが動作する。そのときの補償電圧Vaの温度特性は図5(c)のαで示す範囲のようになる。
温度が上昇するにつれて、ゲート入力電圧Vtiの高いものからトランジスタTriが次々にONし、そのゲート入力電圧Vtiによるソース電流が流れ、補償電圧Vaを得る。従って、補償電圧Vaは、折れ線状に接続された特性となる。しかも、温度と補償電圧Vaとの関係を表す直線と直線との接続点の近傍は、滑らかな曲線を呈するのが本発明の特徴である。このように、ゲインの調整できる複数の増幅器AMPiと、複数のトランジスタTriを用いることにより、補償電圧Vaの温度特性をより滑らかにすることが可能とり、ひいては、温度補償型圧電発振器の温度特性を滑らかにし、周波数ディップの発生を抑圧する効果がある。
【0019】
図6は、第5の実施の形態の補償電圧回路5の構成を示す図である。図3に示した補償電圧回路3と異なる点は、演算増幅器OPの出力端子AにダイオードDのアノード端子を接続し、このダイオードDのカソードに基準電圧Vref3を印加した点である。温度が上昇して演算増幅器OPの出力電圧(補償電圧Va)が、基準電圧Vref3より低くなると、ダイオードDが順バイアスとなり、A点の電圧はクリップ電圧Vref3となる。更に温度が上昇すると演算増幅器OPの出力電圧は更に低下するが、クリップ電圧Vref3によりクリップされているので、図6(b)に示すごとく一定電圧Vref3となる。
【0020】
図7(a)は、第6の実施の形態の補償電圧回路6の構成を示す図である。図7(a)に示す補償電圧回路6のうち、ゲイン調整用増幅器AMP1、可変抵抗R1、R2、演算増幅器OP1、及びトランジスタTr1(NチャネルMOSFET)を備えた第1の補償電圧発生部は、図2に示した補償電圧発生部12と同じ回路構成であり、その作用も同じである。つまり、温度センサ11の出力電圧Vsが、図7(b)に示すような温度の上昇に伴い直線的に増加する特性であると、演算増幅器OP1の出力端子A1における電圧Va1の温度特性は、図7(c)に示すような特性となる。
図7(a)に示す補償電圧回路6のうち、ゲイン調整用増幅器AMP2、可変抵抗R3、R4、演算増幅器OP2、及びトランジスタTr2(PチャネルMOSFET)を備えた第2の補償電圧発生部は、図2に示した補償電圧回路2とほぼ同じ回路構成であるが、ゲイン調整用増幅器AMP2が反転増幅器であり、トランジスタTr2がPチャネルMOSFETである点が異なる。
この場合、第2の補償電圧発生部の補償電圧Va2の特性は、図7(d)に示すような特性となる。従って、演算増幅器OP1の出力電圧Va1と、演算増幅器OP2の出力電圧Va2とを加算器Kに入力することにより、加算器Kの出力電圧、即ち補償電圧回路6の補償電圧Va3は、図7(e)示すような負の3次曲線を呈する特性となる。このような補償電圧Va3は、3次曲線を呈する圧電振動子の補償電圧として用いることにより、可変容量素子を1個のみ有する発振回路の温度補償を行うことができる。
【0021】
図8は、温度補償型圧電発振器の構成を示す回路図であり、その補償電圧回路6は、図7(a)に示した補償電圧回路6から加算器Kを取り除いたものである。補償電圧回路6の演算増幅器OP1、OP2の夫々の補償電圧Va1、Va2を、圧電発振器10の2つの可変容量素子Cv1、Cv2に夫々接続した例である。圧電発振器10は、図8に示すように増幅器AI、2つの容量C1、C2、圧電振動子X、及び2つの可変容量素子Cv1、Cv2を備えた周知の発振器である。補償電圧回路6の演算増幅器OP1の出力電圧(補償電圧Va1)を、抵抗R6を介して可変容量素子Cv1の一方の端子に接続し、可変容量素子Cv1の他方の端子は接地する。そして、補償電圧回路6の演算増幅器OP2の出力(補償電圧Va2)を、抵抗R7を介して可変容量素子Cv2の一方の端子に接続し、可変容量素子Cv2の他方の端子は接地する。周波数温度特性が3次曲線を呈する圧電振動子Xの常温より低温側の温度補償は、図7(c)に示す補償電圧Va1を可変容量素子Cv1に加えることにより行う。また、常温より高温側の温度補償に関しては、図7(d)に示す補償電圧特性を有する電圧Va2を可変容量素子Cv2に加えることにより、温度補償を行うことができる。
【0022】
図9は、温度補償型圧電発振器の構成を示す回路図であり、その補償電圧回路6は、図8に示した補償電圧回路6と基本的には同じであるが、トランジスタTr2がNチャネルMOSFETであり、AMP2が反転増幅器であるところが異なる。(その理由は後述する。)本実施例は補償電圧回路6からの2つの補償電圧Va1、Va2を、低温用MOS容量素子ML、高温用MOS容量素子MHを有する圧電発振器10に適用した例である。圧電発振器10は、周知のように、例えばコルピッツ型発振回路と、温度補償回路と、を備えている。コルピッツ型発振回路は、圧電振動子Xと、トランジスタTr10と、複数の容量と、複数の抵抗と、を備えている。
また、温度補償回路は、例えば低温用MOS容量素子MLと容量C14との直列回路に、高温用MOS容量素子MHを並列接続し、低温用MOS容量素子MLのゲートに容量C15の一方の端子を接続し、他方の端子を接地する。
更に、低温用MOS容量素子MLと高温用MOS容量素子MHとの接続点に基準電圧Vref8を印加する。補償電圧回路6の演算増幅器OP1の補償電圧Va1を、抵抗R14を介して低温用MOS容量素子MLのバックゲートに接続し、演算増幅器OP2の補償電圧Va2を、抵抗R15を介して高温用MOS容量素子MHのゲートに接続して、温度補償型圧電発振器を構成する。
【0023】
ここで、トランジスタTr2をNチャネルMOSFETとし、AMP2が反転している理由について説明する。これは、補償電圧Va1が低温用MOS容量素子MLのバックゲート側に印加されているのに対し、補償電圧Va2が高温用MOS容量素子MHのゲート側に印加されているからである。つまり、温度増加に対して一定電圧(低電圧)の状態から単調増加する電圧特性を得る目的で、補償電圧Va2(高温補償用)の回路はこのような構成となっている。
以上説明したように、本発明の補償電圧回路6から生成される滑らかな補償電圧を、温度補償回路に印加することにより、圧電振動子の周波数補償精度が改善されると共に、補償電圧の直線同士の接続部が滑らかに形成されているので、周波数ディップの発生を抑圧することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る補償電圧回路の構成、(b)は温度センサの出力電圧の温度特性、(c)は補償電圧の温度特性、(d)及び(e)は補償電圧の温度特性を示した図。
【図2】第2の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図。
【図3】第3の実施の形態に係る補償電圧回路3の構成を示す図。
【図4】(a)、(b)、(c)はゲート入力電圧と、補償電圧回路3の出力電圧と、の温度特性を示した図。
【図5】(a)は第4の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)はゲート入力を示す図、(c)は補償電圧回路4の出力電圧特性を示す図。
【図6】(a)は第5の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)は補償電圧の温度特性を示す図。
【図7】(a)は第6の実施の形態に係る補償電圧回路の構成を示す図、(b)は温度センサの温度特性、(c)は演算増幅器OP1の出力電圧特性、(d)は演算増幅器OP2の出力電圧特性、(e)は補償電圧回路6の出力電圧の温度特性を示す図。
【図8】第6の実施の形態に係る補償電圧回路を圧電発振器に適用して温度補償型圧電発振器を構成した例を示す回路図。
【図9】第6の実施の形態に係る補償電圧回路を圧電発振器に適用して温度補償型圧電発振器を構成した例を示す回路図。
【図10】従来の関数発生回路を備えた温度補償水晶発振器の構成を示す図。
【図11】制御回路が生成する制御電圧を示す図。
【図12】クリップ電圧発生回路を備えた温度補償型圧電発振器の構成を示す図。
【図13】補償電圧の温度特性を示す図。
【符号の説明】
【0025】
1、2、3、4、5、6…補償電圧回路、10…発振器、11…温度センサ、12…補償電圧発生部、R、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15、R16…抵抗、C、C1、C2、C11、C12、C14、C15…容量、Cv1、Cv2…可変容量素子、Vs…温度センサの出力電圧、V1、V3、Vref、Vref2、Vref3、Vref4…基準電圧、OP、OP1、OP2…演算増幅器、Tr、Tr1、Tr2、Trn…トランジスタ、AMP、AMP1、AMP2、AMPn…ゲイン調整用増幅器、VT1、VT2、VTn…増幅器の出力、Va、Va1、Va2、Va3…補償電圧、K…加算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の温度を感知する温度センサと、該温度センサの温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部と、を備えた補償電圧回路であって、
前記補償電圧発生部は、前記温度センサの出力電圧を増幅する演算増幅器と、トランジスタと、を備え、前記トランジスタの第1端子と第2端子とがそれぞれ、前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子とに接続されたものであることを特徴とする補償電圧回路。
【請求項2】
前記温度センサと前記演算増幅器との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の補償電圧回路。
【請求項3】
前記温度センサと前記トランジスタの第3端子との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の補償電圧回路。
【請求項4】
前記トランジスタは複数のトランジスタを並列接続したものであって、前記複数のトランジスタのそれぞれの第1端子が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記複数のトランジスタのそれぞれの第2端子が前記演算増幅器の出力端子に接続されたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項5】
前記補償電圧発生部は、さらにダイオードを備え、前記演算増幅器の出力ラインに前記ダイオードのカソード端子を接続し、前記ダイオードのアノード端子に基準電圧に印加したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項6】
前記トランジスタは、NチャネルMOSFET又はPチャネルMOSFETであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項7】
前記補償電圧発生部を2個有し、一方の前記補償電圧発生部のトランジスタをNチャネルMOSFET、他方の前記補償電圧発生部のトランジスタをPチャネルMOSFETとしたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかの補償電圧回路を備えたことを特徴とする温度補償型圧電発振器。
【請求項1】
周囲の温度を感知する温度センサと、該温度センサの温度検知結果に応じて補償電圧を発生する補償電圧発生部と、を備えた補償電圧回路であって、
前記補償電圧発生部は、前記温度センサの出力電圧を増幅する演算増幅器と、トランジスタと、を備え、前記トランジスタの第1端子と第2端子とがそれぞれ、前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子とに接続されたものであることを特徴とする補償電圧回路。
【請求項2】
前記温度センサと前記演算増幅器との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の補償電圧回路。
【請求項3】
前記温度センサと前記トランジスタの第3端子との間にゲイン調整を行うゲイン調整用増幅器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の補償電圧回路。
【請求項4】
前記トランジスタは複数のトランジスタを並列接続したものであって、前記複数のトランジスタのそれぞれの第1端子が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記複数のトランジスタのそれぞれの第2端子が前記演算増幅器の出力端子に接続されたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項5】
前記補償電圧発生部は、さらにダイオードを備え、前記演算増幅器の出力ラインに前記ダイオードのカソード端子を接続し、前記ダイオードのアノード端子に基準電圧に印加したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項6】
前記トランジスタは、NチャネルMOSFET又はPチャネルMOSFETであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項7】
前記補償電圧発生部を2個有し、一方の前記補償電圧発生部のトランジスタをNチャネルMOSFET、他方の前記補償電圧発生部のトランジスタをPチャネルMOSFETとしたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の補償電圧回路。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかの補償電圧回路を備えたことを特徴とする温度補償型圧電発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−77342(P2009−77342A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246667(P2007−246667)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]