説明

補助クッション

【課題】乗車時の着席姿勢の変化によるシート横方向への頭部の傾きに対して、取り付けが簡単で、多軸方向に動かせ、簡単に位置決めできることで容易に扱える、挿しこみ式ヘッドレストの補助的なクッション。
【解決手段】ヘッドレスト取り付けシャフト6に、それを軸に回転できる取り付けブロック3,15を挿し、そのブロックに取り付くバー4,16に、そのバーを軸にスライド、回転できるスライダー2を締込みブロック5、締込みバー16で挟むように組み付ける。これが簡単に取り付けできて多軸方向に動き、簡単に位置決めできる本体となる。クッション1を本体にある支え板14に挿し、抜け防止の為にクッションの下面11を取り外し可能な方法でスライダー上面10につける(例、面ファスナーなど)、もしくはクッションの下面11を引掛け板13に引掛けて取り付ける。これで容易に扱えるクッションとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助クッションに関し、特に自動車などの座席に取り付けられて着座者の頭部を受けるようにされた補助クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
乗車中は、どうしても着席姿勢を強いられる。着席姿勢を取り続けるということで、身体は疲労を感じさせられる。その為着席者は意識的、又は、無意識に体を動かしたくなるものである。その動きの中で、座席と接する部分をずらしてみたり、ドアの内側に肘を立てて頭部を傾けてみたりする事は、ごく自然な行動と考えられる。また、乗車中に運転手以外の者が仮眠をとったり、運転手が休憩中に仮眠をとる時に座席の横方向へ頭部を傾けようとするのも自然な行動である。前述した事のように頭部を座席の横方向へ傾けたくなることは乗車中にしばしば起こり得ることであり、その為頭部の支えとして座席横方向に対するクッションがあると便利であると考えられる。
【0003】
そこで従来においては、特許文献1に記載されているような車輌座席用補助枕装置が知られている。この車輌座席用補助枕装置は、車輛用座席の背もたれ上部あるいはヘッドレスト部に取り付けられた装着部と、この装着部に延設して設けられ、車輛用座席の着座者の頭部を一方側に位置ずれ状にずらして傾倒保持し得る頭受け部とを備える。そして、装着部を、背もたれ上部とヘッドレスト部間に挟装されるように設けるというものである。
【0004】
また、特許文献2においては、座席シート及び座席シート本体と脱着できるヘッドレスト付き座席シート及び座席シート本体とヘッドレスト部分が一体となっている固定式のヘッドレスト付き座席シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−266962号公報
【特許文献2】特開平10−137066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
利用者の使用位置において、利用者が心地よいと感じるクッション位置はそれぞれ微妙に違うため、その支えとなる物はその位置を可能な範囲で選択が自由となる構造をもち、且つその位置を簡単に固定できる物が望ましい。しかし、特許文献1に記載の車輌座席用補助枕装置では、使用の際における頭受け部の位置は1つに固定であり、自由度が無い。特許文献2には、仮眠補助具をスライドさせて異なる位置を設定できることが記載されてはいるが、そのための具体的な機構などの記載はなく、それをどのようにして実現するのかが明らかでない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヘッドレスト側のシャフトが挿通する取り付けブロックと、長孔部とクッション支え部を有するスライダー部材と、前記長孔部に挿通されて前記取り付けブロックと連結され、この状態のもとで締め込みグリップを締め込むことで、前記取り付けブロックに前記シャフトが固定され、前記スライダー部材が前記取り付けブロックと前記締め込みブロックとの間で挟まれるようにして固定される状態とする締め込み部材と、前記クッション支え部に取り付けられるクッション部とを備える補助クッションである。
【発明の効果】
【0008】
可能な範囲で自在に動かせるクッションによって、利用者が希望する位置で使用することができ、また、簡単にその位置で固定する事ができる事で、乗車中に頭部の支えの補助として、着席姿勢維持による体への負担、疲労の軽減を誰にでも簡単に助ける事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の構造全体斜視図である。
【図2】本発明の構造変形例全体斜視図である。
【図3】スライダー2の側面図である。
【図4】スライダー2の変形例とアタッチメント側面図である。
【図5】取り付けブロック3とアタッチメント側面図である。
【図6】取り付けブロック15の平面図である。
【図7】クッション取り付け用あき23の位置を示した図である。
【図8】クッションの異形例を示した図である。
【図9】取り付けブロック3の可動方向を示した図である。
【図10】スライダー2の可動方向を示した図である。
【図11】クッション使用基準位置と可動方向A,Bを示した図である。
【図12】可動方向Aへ動かした時のクッションの位置を示した図である。
【図13】可動方向Bへ動かした時のクッションの位置を示した図である。
【図14】可動方向Cへ動かした時のクッションの位置を示した図である。
【図15】可動方向Dへ動かした時のクッションの位置を示した図である。
【図16】可動方向Eへ動かした時のクッションの位置を示した図である。
【図17】本発明のスライダー部変形締付け構造斜視図である。
【図18】本発明のスライダー部変形締付け構造断面図である。
【図19】一体型スライダー締付けブロック27の断面図である。
【図20】スライダー部変形締付け構造応用例斜視図である。
【図21】取り付けブロック28、スライダー締付けブロック29正面図である。
【図22】クッション1、クッションカバー20取り付け例斜視図である。
【図23】スライダー30の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施の形態の補助クッションを示している。この第1の実施の形態の補助クッションは、クッション1、スライダー2、取り付けブロック3、締付けバー4、締込みグリップ5、クッションカバー20から成る。
【0011】
取り付けブロック3はヘッドレストの取り付けシャフト6に対して回転運動をし、スライダー2は円柱形の締付けバー4に対して回転運動とスライド運動をする。これら3つの運動によってクッション1は、図9、図10のように動かす事ができる。この事によって、可能な範囲で選択が自由な位置にクッション1を動かす事が可能となる。
【0012】
次に組み立て構造として、取り付けブロック3に締付けバー4を挿し込みそれぞれに開いた穴を同中心になるようにする。その穴にヘッドレストの取り付けシャフト6を挿す。締付けバー4をスライダー2の長孔部2aに挿し、長孔部2aから突出した残るネジ部分に締込みグリップ5を取り付ける。スライダー2にある支え板14にクッション1を挿し込み、クッション1の下面11を図3に示したスライダー2にある引掛け板13とスライダーの上面10の間に挿し込むように引掛ける。
【0013】
上記の状態で締込みグリップ5を締め込むことで、まず、スライダー2が取り付けブロック3と締込みグリップ5に挟まれて固定される。次に、締付けバー4がヘッドレスト取り付けシャフト6を引っ掛けた状態で締込みグリップ5の方へ引っ張られヘッドレスト取り付けシャフト6は取り付けブロック3と締付けバー4に挟まれて締め付けるように固定される。これら2つの事によって、可能な範囲で選択が自由な位置に動かされたクッション1は締込みグリップ5を締め込む動作1つによって簡単に位置決め固定することが可能となる。
【0014】
図2は、本発明の第2の実施の形態の補助クッションを示している。第2の実施の形態では、取り付けブロック3と締込みグリップ5に代えて、取り付けブロック15と締込みバー16が備えられる。取り付けブロック15は、図6のような形でそのブロックの割れている所に締込みバー挿し込み穴17と締込みバー締め込みネジ18が施されている。スライダー2の長孔部に締込みバー16を差し込んだうえで、締込みバー16を締込みバー締め込みネジ18に対して締め込む。そうする事で、取り付けブロック15はヘッドレスト取り付けシャフト6を締め付けるように固定され、スライダー2は取り付けブロック15と締込みバー16とによって挟まれて固定される。これらによって可能な範囲で選択が自由な位置に動かされたクッション1は締込みバー16を締め込む動作1つによって簡単に位置決め固定することが可能となる。この方法をとるとスライダー2の回転軸中心をヘッドレスト取り付けシャフト6の軸中心からずらす事ができ、図2の向きでの使用時では図1の物よりより利用者に近い位置に回転軸がくるので利用者側への回転移動量を増すことができ、より密着感を得られる。また、前述方法より部品点数を少なく済ますことができる。
【0015】
そして、上記図1、図2に示したように多軸方向に動かせる事により図11〜図16のようにクッション1の収納位置をいくつかのパターンから選択する事が可能である。また、その途中の位置で固定する事も可能である。このようにして本実施形態では、実際に着座者がクッションを使用して休む際だけではなく、着座者がクッションを利用しないときの収納位置についても高い自由度が与えられている。
【0016】
なお、第1、第2の実施の形態の補助クッションは、いずれも、2本あるヘッドレストの取り付けシャフト6のどちら側にも取り付けて使用する事が可能である。
【0017】
また、図1、図2に示すようにクッション1の1つの面を斜めにカットして出来た面7を設けることで、できるだけシートベルトとの干渉を少なくさせる事ができる。
【0018】
また、図1、図2の変形例として、図4のようにスライダー2の利用者側、その反対側を斜めにカットした形状にする事で利用者への圧迫感を減らす事と、シートベルトとの干渉を少なくさせる事ができる。この場合機能維持のため図4、図5に示すようにアタッチメント21、22を必要とする。組み立て構造として、アタッチメント21、22で図4に示す変形スライダーを挟み、締付けバー4または締込みバー16を通す形態となる。
【0019】
また、図1、図2に示すように、クッションカバー20を設けることでクッションカバー20を交換して常にきれいで清潔な状態で使用することができる。また、取手12を設けることでクッション1の移動操作を楽にすることもできる。取手12はクッション1に被せるクッションカバー20に施す事でその役割を果たす事も可能である。
【0020】
また、図7で示すクッション1にあるクッション取り付け用あき23にスライダー2にある支え板14を挿し込む構造をもつ事で、取替え可能なものになるがそれだけでは不安定になるのでクッション1の下面11とスライダー2の上面10をできるだけ離れない、もしくは、くっつく状態を維持する必要がある。一般的に取り外し可能で、物と物をくっつける方法の例としては面ファスナーを使用する方法がある。1つの方法としてその方法も有効的だが、その方法ではクッション1に頭部を押し当てた時に押される事によりパリパリと剥がれる雑音が出る可能性がある。雑音対策の観点から他の方法として図3に示したように、スライダー2に引っ掛け板13を設ける事で、クッション1にあるクッション取り付け用あき23に支え板14を挿し込み、そして引っ掛け板13にクッション1の下面11を引っ掛ける方法もある。こうする事でクッション1が不必要に抜け落ちる事やずれる事も防止できる。また、図8にあるように、クッションの形の例として取り付け口の形、つまりクッション取り付け用あき23の部分がスライダー2に取り付けることができる形状であれば、それ以外の形を問わなく取り付け可能である。
【0021】
次に、スライダーの締め付け構造の変形例について説明する。図17に示したスライダー締付けブロック25、26の突出した部分をスライダー24にある溝部分に挿し込む状態で組み付けられているものを、図18のような順序で取り付けブロック3、15と締付けバー4、締込みバー16により挟み締め込むことで固定できる構造である。この構造では、スライダー締付けブロック25と取り付けブロック3、15の間で締付けバー4または締込みバー16を軸に回転運動が可能である。また、スライダー締付けブロック25、26を一体化したものが図19である。
【0022】
次に図20は図17に示したスライダーの締め付け構造の応用例で、図17にあるスライダー締付けブロック25と取り付けブロック3、15が一体化した形の取り付けブロック28とスライダー締付けブロック29のそれぞれの突出した部分の形状が図21に示すような円形になっており、それを軸に回転運動できる構造となっている。この場合360度回転運動が構造上できないが、そこで出来るだけ回転運動の可動範囲を拡げる為に軸の下側の受け部分に図21に示すような逃がしを施すことで限られた範囲ではあるが回転運動が可能になる。
【0023】
スライダーの締付け構造として図17、図20のようにする事によって図1、図2のスライダー2のように貫通した長穴を開けなくて済むのでスライダーの強度を保持しやすくなる。またその事とスライダー締付けブロック25、26、28,29のスライド軸の部分とスライダー24の溝部分の幅を狭くする事でスライド運動に関係する部分を薄く仕上げる事ができ、図1、図2の構造よりクッション1の下に出てしまうスライダーの存在感を減らす事ができる。この事で利用者とクッションとの密着感を増す事ができ、利用者の使用時の違和感を軽減させる事ができる。
【0024】
クッション1及びクッションカバー20の取り付け方法として、図22、図23に示したようにスライダーに取り付けベルト通し穴31を設け、クッション1、クッションカバー20取り付けベルト32を引掛け板13の下から取り付けベルト通し穴31へ貫けるように通し、スライダー30から飛び出た分をクッション1、クッションカバー20に面ファスナー、ボタン留め等、誰でも出来る簡単な方法で留める。こうすることで簡単にクッション1、クッションカバー20をスライダー30にしっかり固定でき、又、取替えも楽にできるようになる。
【符号の説明】
【0025】
1 クッション
2 スライダー
3 取り付けブロック
4 締付けバー
5 締込みグリップ
6 ヘッドレスト取り付けシャフト
7 シートベルト逃げ用クッションカット面
8 ヘッドレスト取り付けシャフト挿し込み穴
9 ヘッドレスト取り付けシャフト挿し込み穴
10 スライダーの上面
11 クッションの下面
12 取手
13 引掛け板
14 支え板
15 取り付けブロック
16 締込みバー
17 締込みバー挿し込み穴
18 締込みバー締め込みネジ
19 ヘッドレスト取り付けシャフト差し込み穴
20 クッションカバー
21 アタッチメントA
22 アタッチメントB
23 クッション取り付け用あき
24 スライダー
25 スライダー締付けブロック
26 スライダー締付けブロック
27 一体型スライダー締付けブロック
28 取り付けブロック
29 スライダー締付けブロック
30 スライダー
31 取り付けベルト通し穴
32 クッション1、クッションカバー20取り付けベルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレスト側のシャフトが挿通する取り付けブロックと、長孔部とクッション支え部を有するスライダー部材と、前記長孔部に挿通されて前記取り付けブロックと連結され、この状態のもとで締め込みグリップを締め込むことで、前記取り付けブロックに前記シャフトが固定され、前記スライダー部材が前記取り付けブロックと前記締め込みブロックとの間で挟まれるようにして固定される状態とする締め込み部材と、前記クッション支え部に取り付けられるクッション部とを備える補助クッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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