説明

補強体とその補強体を用いた杭の築造方法およびその補強体を用いた構造躯体の築造方法

【課題】築造時に補強体を構造物に固着して、作業効率を向上させる。
【解決手段】補強体2は、薄鉄板を中空筒状に形成した管状材3の外面に、炭素繊維シート4を接着して構成される。この補強体2を用いて杭を築造するには、まず、地盤に杭孔を穿設し、この杭孔に補強体2を吊り降ろして配置し、この補強体2内に鉄筋籠7を配置する。次に、補強体2の内部にコンクリートを打設して杭を築造するようにしている。構造躯体の築造の際には、型枠に補強体2を接触させて配置し、この補強体2内に鉄筋籠7を吊り降ろし、補強体2内にコンクリートを打設すると、脱型後、コンクリート外面に補強体2が固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に設けられ耐震性能の向上をはかる補強体とその補強体を用いた杭の築造方法およびその補強体を用いた構造躯体の築造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、杭や構造躯体の耐震性能を向上させるため、既存のコンクリート杭の周囲に補強部材として炭素繊維シート、アラミド繊維シートまたはその他の強化繊維シートを貼着する方法が知られている(特許文献1参照)。また、既存建物における基礎部分の免震化をはかるため、免震装置の設置に先立ち、基礎建物の基礎下を掘削して杭を露出させ、免震装置設置場所以外の杭について、杭外周に接着剤を塗布して炭素繊維シートを巻回し、接着剤を硬化させて杭と一体的に接合する工法や、あるいは、この杭の外周を分割された管状部材で囲んで分割部位を接合して一体化させ、一体化した管状部材と杭との間に無収縮硬化性材料を充填する工法が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−291023号公報(第3頁、図3、図4)
【特許文献2】特開平10−46605号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の杭の補強方法では、既存の杭に対して耐震補強を行うようにしているため、外側を斫り取ったコンクリート部分や地中から露出させた既存の杭に対して、強化繊維シートの接着を確実に行ったり、分割された管状部材で囲ったりするには、表面が清浄かつ滑らかな面となるよう表面処理の作業を行う必要があり、作業に難渋するという問題がある。また、現場で補強作業を行うため、作業効率が悪いという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、構造物の築造時に築造と同時にに構造物に補強体を設けることができる補強体とその補強体を用いた杭の築造方法およびその補強体を用いた構造躯体の築造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、築造後の構造物に容易にかつ効率的に取り付けることができる補強体とその補強体を用いた杭の築造方法およびその補強体を用いた構造躯体の築造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を管状材の内面に強化繊維を接着して構成したものである。
【0006】
請求項1に係る補強体では、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、管状材の内面に強化繊維を接着して構成したことにより、構造物に補強体が設けられると、構造物は強化繊維により伸張強度を増大させることができ、構造物の薄肉化が図られる。
【0007】
また、請求項2に係る補強体は、管状材は、薄鉄板を構造物の外面側形状に応じて中空筒状に形成して構成されるようにしたものである。
【0008】
請求項2に係る補強体では、管状材は、薄鉄板を構造物の外面側形状に応じて中空筒状に形成して構成されるようにしたことにより、補強体を構造体に応じて自在に成型することができるとともに、軽量化されるので、現場への運び込みが容易になる。
【0009】
さらに、請求項3に係る補強体は、管状材を、延長方向に切断して切り離し、この切り離し端部に接続部を設けて構成し、接続部同士を接続して整えられた管状材外面に強化繊維を接着したものである。
【0010】
請求項3に係る補強体では、管状材を、延長方向に切断して切り離し、この切り離し端部に接続部を設けて構成し、接続部同士を接続して整えられた管状材内面に強化繊維を接着したことにより、構造物のうち構造躯体を構成する柱や梁を成型する際、予め切り離された管状材を現場に持ち運び、現場で接続部同士を接続して管状材に整え、この管状材の内面に強化繊維を接着するようにしているので、一度に大量の管状材を現場に運び込むことができ、運搬作業を効率化できる。
【0011】
請求項4に係る補強体は、管状材は、断面が円形、楕円形、または四角形のうちいずれか1であるようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る補強体では、管状材は、断面が円形、楕円形、または四角形のうちいずれか1であるようにしたことにより、管状体の形状を変更して、多種の用途に適用することができる。
【0013】
請求項5に係る杭の築造方法は、地盤に穿設された杭孔に、コンクリートを打設して築造される杭の築造方法において、杭孔に請求項1に記載の補強体を配置した後、コンクリートを打設したものである。
【0014】
請求項5に係る杭の築造方法では、地盤に穿設された杭孔に、コンクリートを打設して築造される杭の築造方法において、杭孔に請求項1に記載の補強体を配置した後、コンクリートを打設したことにより、養生硬化後、補強体が打設コンクリートの外面側に固着される。このため、杭の水平応力(曲げ応力)を増大させて耐震性能を向上させることができる。従って、杭の小径化を図ることできる。
【0015】
請求項6に係る杭の築造方法は、補強体を配置した後、この補強体の内側に鉄筋を配置するようにしたものである。
【0016】
請求項6に係る杭の築造方法では、補強体を配置した後、この補強体の内側に鉄筋を配置するようにしたことにより、鉄筋により確保される耐震性能に加え補強体により耐震性能がより向上する。
【0017】
請求項7に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、請求項1に記載の補強体を型枠内面に接触させて配置し、この補強体内にコンクリートを打設して脱型するようにしたものである。
【0018】
請求項7に係る構造躯体の築造方法では、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、請求項1に記載の補強体を型枠内面に接触させて配置し、この補強体内にコンクリートを打設して脱型するようにしたことにより、例えば、構造躯体の柱に適用すると、型枠に補強体を配置してコンクリートを打設すると、脱型後、構造躯体の外面には補強体が固着される。このため、垂直方向の構造躯体に容易に補強体を固着することができ、作業効率が向上する。
【0019】
請求項8に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、切断された管状材の一部を型枠に接触させて配置し、この切断された管状材にコンクリートを打設し、打設後、切断された管状材の一部と残りとの各切り離し端部同士を接続してコンクリート外面を管状材で囲み、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしたものである。
【0020】
請求項8に係る構造躯体の築造方法では、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、切断された管状材の一部を型枠に接触させて配置し、この切断された管状材にコンクリートを打設し、打設後、切断された管状材の一部と残りとの各切り離し端部同士を接続してコンクリート外面を管状材で囲み、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしたことにより、例えば、水平方向の構造躯体である梁に適用すると、型枠に切断された管状材の一部を配置してコンクリートを打設すると、脱型後、コンクリート外面の一部を囲んて切断された管状材が固着される。切断された管状材の一部と残りとの各切り離し端部同士を接続してコンクリート外面を管状材で囲み、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付けると補強体が形成される。こうして、コンクリート外面に補強体が固着される。このため、水平方向の構造躯体にも補強体を設けることができ、しかも、後付けする場合に比較して作業効率が向上する。
【0021】
請求項9に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、脱型後、コンクリート外面を切断された管状材で囲んで切り離し端部同士を接続し、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしたものである。
【0022】
請求項9に係る構造躯体の築造方法では、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、脱型後、コンクリート外面を切断された管状材で囲んで切り離し端部同士を接続し、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしたことにより、脱型された構造躯体に対し、コンクリート外面を切断された管状材で囲んで接続し、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付けると補強体が形成される。こうして、コンクリート外面に補強体が固着される。このため、現場で、構造躯体の寸法や形状に応じて切断された管状体を取り付けた後、強化繊維の量を自在に調整して接着させることができ、構造躯体完成後、補強性能を適宜変更することができる。
【0023】
請求項10に係る構造躯体の築造方法は、接続された管状材とコンクリートとの間に空隙を埋める無収縮硬化性充填剤を充填するようにしたものである。
【0024】
請求項10に係る構造躯体の築造方法では、接続された管状材とコンクリートとの間に空隙を埋める無収縮硬化性充填剤を充填するようにしたことにより、コンクリートと補強体との間には空隙の余地がなく、両者は確実に一体化される。
【0025】
請求項11に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成された強化繊維と、この強化繊維を所望の筒形に保持する保持部材とを備えて構成したものである。
【0026】
請求項11に係る補強体では、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成された強化繊維と、この強化繊維を所望の筒形に保持する保持部材とを備えて構成したことにより、構造物に補強体が設けられると、構造物は強化繊維により伸張強度を増大させることができ、構造物の薄肉化が図られる。
【0027】
請求項12に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成されるとともに、硬化剤が含浸され所望の筒形に保持される強化繊維を備えて構成したものである。
【0028】
請求項12に係る補強体では、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成されるとともに、硬化剤が含浸され所望の筒形に保持される強化繊維を備えて構成したことにより、構造物に補強体が設けられると、構造物は強化繊維により伸張強度を増大させることができ、構造物の薄肉化が図られる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、管状材の内外面の少なくともいずれか一方に、強化繊維を接着して構成しているので、構造物の耐震性能が向上し、構造物を薄肉化させることができ、コストダウンを図ることができる。
【0030】
請求項5に係る杭の築造方法は、地盤に穿設された杭孔に、コンクリートを打設して築造される杭の築造方法において、杭孔に請求項1に記載の補強体を配置した後、コンクリートを打設しているので、杭の耐震性能が向上し、杭を小径化させることができ、コストダウンを図ることができる。
【0031】
請求項7に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、請求項1に記載の補強体を型枠内面に接触させて配置し、この補強体内にコンクリートを打設して脱型するようにしているので、構造躯体の柱に適用すると、柱の耐震性能が向上し、柱を薄肉化させることができ、コストダウンを図ることができる。また、補強体を予め型枠に配置して脱型後コンクリートに固着させることにより作業効率が向上する効果がある。
【0032】
請求項8に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、切断された管状材の一部を型枠に接触させて配置し、この切断された管状材にコンクリートを打設し、打設後、切断された管状材の一部と残りとの各切り離し端部同士を接続してコンクリート外面を管状材で囲み、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしているので、構造躯体の梁に適用すると、梁の耐震性能が向上し、梁を薄肉化させることができ、コストダウンを図ることができる。また、切断された管状材を予め型枠に配置して脱型後コンクリートに固着させることにより作業効率が向上する効果がある。
【0033】
請求項9に係る構造躯体の築造方法は、設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、脱型後、コンクリート外面を切断された管状材で囲んで切り離し端部同士を接続し、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成するようにしているので、脱型後の構造躯体に適用すると、現場で、構造躯体の寸法や形状に応じて切断された管状材を自在に取り付けることができ、しかも、強化繊維の量を自在に調整することができ、補強性能を適宜変更することができる。
【0034】
請求項11に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成された強化繊維と、この強化繊維を所望の筒形に保持する保持部材とを備えて構成したので、構造物の耐震性能が向上し、構造物を薄肉化させることができ、コストダウンを図ることができる。また、補強体を現場で容易にセットすることができるので、作業性が向上する。
【0035】
請求項12に係る補強体は、コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成されるとともに、硬化剤が含浸され所望の筒形に保持される強化繊維を備えて構成しているので、構造物の耐震性能が向上し、構造物を薄肉化させることができ、コストダウンを図ることができる。また、部材点数を減らすことができるので、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
構造物に補強体を固着するという目的を、管状材の内面に強化繊維を接着した補強体を配置し、この補強体内面にコンクリートを打設したことにより実現した。
【実施例1】
【0037】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る補強体の全体図である。本実施例に係る補強体2は、図1に示すように、厚さ1mm以下の薄鉄板を管状(円筒状)に形成し、この管状材3の内面に図示しないエポキシ樹脂などの接着剤を塗布し、この接着面に炭素繊維シート(またはアラミド繊維シート)(強化繊維)4を巻き付けて、接着剤を硬化させ、一体に接合して形成される。この管状材3は、断面が円形であってもよいし、四角形状であってもよい(図5の(A)に示す補強体2B参照)。この管状材3自体は、強度の補強に寄与するものではなく、炭素繊維シート4を施工プランに基づいて所望の形状に保持する保持体として役割を果たし、炭素繊維シート4と一体的に接合されてはじめて補強性能を発揮するものである。この補強体2は、現場での施工に先立って施工プランに基づいて予め製造される。すなわち、補強体2の径D1および長さH1は、施工される杭または構造躯体に応じて決定される。すなわち、杭径がD2の杭孔(図3参照)に用いられる場合、補強体2の径D1は杭径D2よりわずかに小さく設定され(D2>D1)、補強体2が杭孔に吊り降ろされると、杭孔内面と補強体2外面との間にわずかな隙間S1(本実施例では、およそ100mm)が形成されるようになっている。
【0038】
次に、上記第1の実施例に係る補強体2の作用に基づいて、本発明に係る補強体を用いた杭の築造方法について説明する。図3の(A)ないし(G)はそれぞれ、杭の築造工程を順を追って示す工程説明図である。図3の(A)に示すような同径掘削工法の場合、掘削径と同径またはそれより若干大きな径のケーシング6を図示しないパワージャッキ(バイブロハンマー、ケリーバ)により圧入し、その後、アースドリル工法、リバース工法等の工法により杭孔5の掘削を行う(図3の(A)参照)。スライム処理が完了すると、予め製造された補強体2を現場に運び込み、この補強体2を、杭径D2を有する杭孔5内に吊り降ろす(図3の(B)参照)。この補強体2は、鉄板製管状材3の内面に接着剤で炭素繊維シート4を貼り付け、炭素繊維シート4を管状材3と一体に密着させて硬化させたものである。次に、補強体2の内側に鉄筋籠7を吊り降ろす(図3の(C)、(D)参照)。鉄筋籠7は、図3の(H)に示すように、周方向に並ぶ主筋7Aとこの主筋7Aの外周側に設けられ主筋7Aを接続するフープ筋7Bとを備えている。フープ筋7Bと補強体2との間には、スペーサ7Cが設けられる。次に、トレミー管8を鉄筋籠7内に設置し、コンクリートCを打設する(図3の(E)参照)。打設コンクリートCは、補強体2の炭素繊維シート4の細かな空隙に浸透し、炭素繊維シート4はコンクリートCに巻き込まれる。所定のレベルに打設コンクリートCが達すると、ケーシング6を引き抜き(図3の(F)参照)、さらに、コンクリートCを杭孔5上端まで打設し、鉄筋籠7の接合部7Aを露出させる(図3の(G)参照)。杭孔5内面と補強体2の間S1には、コンクリートCを充填してもよいし、掘削土を埋め戻してもよい。打設コンクリートCの養生硬化後、補強体2が打設コンクリートCの内部に埋設されるか、あるいは、打設コンクリートCの外面に固着される。このとき、炭素繊維シート4は硬化したコンクリートCと一体に密着される。このように上記第1の実施例に係る補強体を用いた杭の築造方法では、コンクリートCの外面側に補強体2が固着されるので、杭の水平応力(曲げ応力)を増大させて耐震性能を向上させることができる。従って、杭の小径化を図ることができる。
【0039】
また、補強体2は杭の全長H2にわたって設置する必要はなく、例えば、補強体2の長さ寸法H1をH2より短寸に形成し(H2>H1)、杭孔5の上部に吊り上げた状態で保持してコンクリートCを打設し、補強体2を杭の上部に固着させるようにしてもよい。また、補強体2の内面または外面の少なくともいずれか一方に、コンクリートCとの密着性を向上させるためリブを形成してもよい。
【0040】
次に、上記第1の実施例に係る補強体2の作用に基づいて、本発明に係る補強体を用いた構造躯体の築造方法について説明する。図4の(A)ないし(F)はそれぞれ、構造躯体の一部を構成するコンクリート製柱の築造工程を順を追って示す工程説明図であり、図4の(A)に示す円筒状補強体2Aは、予め施工プランに基づいて口径と寸法が決められ内面に炭素繊維シート4が貼り付けられて製造される。この補強体2Aでは、外径D3が柱の外径寸法D4とほぼ同一かわずかに大きく設定される(D3≒D4またはD3>D4)。補強体2Aの長さ寸法H3は柱10の長さ寸法H4とほぼ同一かまたは小さく設定される(H3≒H4またはH3<H4)。フーチングまたは梁11の上に設けられる円柱は、まず、施工プランに基づいて所定の位置に型枠12の一部12Aが取り付けられ(図4の(B)参照)、次に、梁11上に露出する接合部11Aと鉄筋籠13が接合される(図4の(C)参照)。鉄筋籠13は鉄筋籠7とほぼ同一の構成を有し、主筋とフープ筋とスペーサとを備えている。次に、予め製造された補強体2Aを現場に運び込み、この補強体2Aを鉄筋籠13の外側に配置する。その後、型枠12が補強体2Aを取り囲み、型枠12の内面が補強体2Aの外面に接するようにして配置される(図4の(D)参照)。次に、この型枠12の補強体2A内にコンクリートCが打設され(図4の(E)参照)。コンクリートCの養生硬化後、型枠12が脱型され、柱10が成型される(図4の(F)参照)。こうして、補強体2Aは、脱型時には、コンクリートCの外面に固着され、炭素繊維シート4はコンクリートCと一体に密着される。このように上記第1の実施例に係る補強体を用いた構造躯体の築造方法では、コンクリート柱10の外面に補強体2Aが固着されるので、柱10の伸張強度を増大させて耐震性能を向上させることができる。従って、構造躯体の薄肉化を図ることができる。また、上記第1の実施例に係る補強体を用いた構造躯体の築造方法では、構造躯体の柱に適用すると、型枠12に補強体2Aを配置してコンクリートCを打設すると、脱型後、構造躯体の外面には補強体2Aが固着される。このため、垂直方向の構造躯体に容易に補強体を固着することができ、作業効率が向上する。また、補強体2Aは柱10の全長にわたって設置する必要はなく、例えば、補強体2Aの長さ寸法H3を柱10より短寸に形成し、柱10の所望の位置に固着させるようにしてもよい。
【0041】
図5の(A)ないし(F)はコンクリート製柱が角柱10Aである場合の築造工程を順を追って示す工程説明図であり、図5の(A)に示す角筒状補強体2Bは、上記第1の実施例に係る補強体2、2Aの変形例に係るもので、上記第1の実施例に係る補強体2、2Aが円管状または円筒状に形成されているのに対し、角筒状に形成されている点を除いてほぼ同一の構成を有している。この角筒状補強体2Bは、予め施工プランに基づいて、断面の縦横寸法W1×L1を柱10Aの断面縦横寸法W2×L2とほぼ同一かわずかに大きく設定して製造される(W1≒W2またはW1>W2、L1≒L2またはL1>L2)。フーチングまたは梁11の上に設けられる角柱10Aは、まず、施工プランに基づいて所定の位置に型枠14の一部14Aが取り付けられ(図5の(B)参照)、次に、梁11上に露出する接合部11Aと鉄筋籠13が接合される(図5の(C)参照)。次に、この鉄筋籠13の外側に、現場に運び込まれた補強体2Bが配置され、その後、型枠14が補強体2Bを取り囲むように設置される。このとき、型枠14の内面が補強体2Bの外面に接するようにして配置される(図5の(D)参照)。次に、この型枠14の補強体2B内にコンクリートCが打設され(図5の(E)参照)。コンクリートCの養生硬化後、型枠14が脱型され、柱10Aが成型される。こうして、補強体2Bは、脱型時には、コンクリートCの外面に固着される。
【実施例2】
【0042】
図6は、本発明の第2の実施例に係る補強体を示す斜視図であり、この補強体22は、上記第1の実施例およびその変形例に係る補強体2、2A、2Bが中空筒状に形成されているのに対し、中空角筒状体を隣り合う2カ所の角部で延長方向に切断し、厚さ1mm以下の薄鉄板をコ字状に折曲された本体部23と、この本体部23の上端開口部24を覆い蓋をする蓋部25とを備えている。本体部23の両上端部24A、24Bには、接続部26が形成され、蓋部25にも、これら接続部26と対応する部位に接続部27が形成される。これら接続部26、27同士を接続すると、これら本体部23と蓋部25とにより中空角筒形状となる。本体部23と蓋部25とは、現場での施工に先立って施工プランに基づいて予め製造される。すなわち、本体部23の断面の縦横寸法W3×L3を、構造躯体の梁30の断面縦横寸法W4×L4(図7の(Cc)参照)とほぼ同一かわずかに大きく設定して製造される(W3≒W4またはW3>W4、L3≒L4またはL3>L4)。本体部23は、梁30を成型する際、予め型枠に設置され、脱型後、梁30の下面と両側面に固着されるようになっている。蓋部25は、梁30に固着された本体部23に接続部26、27同士を対応させて接続して取り付けると(図7の(E)参照)、梁30の全周を薄鉄板で覆うようになっている。この補強体22は、本体部23と蓋部25とにより梁30の全周を覆うと、これら角筒状薄鉄板23、25の外面に図示しないエポキシ樹脂などの接着剤を塗布し、この接着面に炭素繊維シート(またはアラミド繊維シート)4を巻き付けて、接着剤を硬化させ、一体に接合して形成されるようになっている。
【0043】
次に、上記第2の実施例に係る補強体22の作用に基づいて、本発明に係る補強体を用いた構造躯体の築造方法について説明する。図7の(A)ないし(D)は構造躯体の一部を構成するコンクリート製梁の築造工程を順を追って示す工程説明図であり、図7の(Aa)ないし(Cc)はそれぞれ、図7の(A)ないし(C)の各工程における型枠の縦断面図を示す。図6に示す補強体22は、まず始めに本体部23と蓋部25とが、施工プランに基づいて予め製造される。構造躯体の梁の成型では、図7の(A)に示すように、まず角柱10Aの間に型枠31を配置する。型枠31は、上面が角柱10A上端面と同一平面をなすよう配置された下枠31Aと、これら下枠31Aの左右両側に連続して立設された両側枠31B、31Cとにより構成される(図7の(Aa)参照)。このとき角柱10Aは上端面が露出し上端面からは接合部11Aが突出するようになっている。型枠31が設置されると、現場に予め製造された本体部23を運び込み、本体部23を下枠31Aの上面に載置し、次に、鉄筋籠13を本体部23内に配置し、鉄筋籠13と接続部11Aとを溶接により接続する(図7の(B)、(Bb)参照)。このとき、本体部23の外面は、型枠31の成型面に密着して接するようになっている。次に、この本体部23内にコンクリートCを打設し、養生硬化時、または脱型後、蓋部25を本体部23に接続し、梁30の外周を本体部23と蓋部25とで覆うようになっている(図7の(C)、(Cc)参照)。そして、互いに接続された本体部23と蓋部25との外面に図示しないエポキシ樹脂などの接着剤を塗布し、この接着面に炭素繊維シート(またはアラミド繊維シート)4を巻き付けて、接着剤を硬化させ、補強体22を梁30のコンクリート外面に設けるようになっている(図7の(D)参照)。このように、第2の実施例に係る補強体22では、水平方向の構造躯体にも補強体を設けることができ、しかも、後付けする場合に比較して作業効率が向上する。図7の工程では、構造躯体の梁について示しているが、地中梁を含むことはいうまでもない。
【0044】
なお、上記第2の実施例では、蓋部25を本体部23に対して分離するようにしているがこれに限られるものではなく、切断部を1カ所の角部のみとし、蓋部を本体部に連続させ本体部に対して揺動するようにしてもよい。また、この実施例に係る補強体22では、中空角筒状体を隣り合う2カ所の角部で延長方向に切断し、薄鉄板をコ字状に折曲された本体部23と、この本体部23の上端開口部24を覆い蓋をする蓋部25とを備えて構成しているがこれに限られるものではなく、図9に示すように、一枚の薄鉄板62から構成し、この薄鉄板62の両側に接続部66、67を形成し、この薄鉄板62を構造物に巻き付け接続部66、67を接続するようにしてもよい。
【実施例3】
【0045】
図8の(A)および(B)はそれぞれ、第3の実施例に係る補強体およびその変形例を示す斜視図である。図8の(A)に示す補強体42は、まず、薄鉄板を円管状または円筒状に形成した中空筒体を延長方向に2カ所で切断した円弧状半割片43、44を備えている。各半割片43、44の切り離し端部にはそれぞれ対応する部位に接続部45、46が形成される。これら接続部45、46を接続すると、両半割片43、44は中空円筒形状となる。両半割片43、44は、現場での施工に先立って施工プランに基づいて予め製造されることもあれば、すでに成型された現場の構造躯体に寸法に基づいて製造されることもある。すなわち、両半割片43、44が接続された中空円筒体43、44は、外径がすでに脱型された円柱の外径寸法とほぼ同一かわずかに大きく設定される。また、中空円筒体43、44の長さ寸法は円柱の長さ寸法とほぼ同一かまたは小さく設定される。すでに成型された円柱に、半割片43、44を当て付けて接続部45、46同士を接続し、円柱の外周を覆うようになっている。このとき、半割片43、44は後付けされるので、取り付けられた中空円筒体43、44と円柱との間には、空隙の発生が避けられない。このため、中空円筒体43、44と円柱との間には、無収縮硬化性材料を充填して硬化させ、中空円筒体43、44を円柱に固着させるようになっている。そして、補強体42は、接続された中空円筒体43、44の外面に図示しないエポキシ樹脂などの接着剤を塗布し、この接着面に炭素繊維シート4を巻き付けて、接着剤を硬化させ、中空円筒体43、44と炭素繊維シート4とを一体に接合して形成されるようになっている。こうして、補強体42は、構造躯体の円柱に設けられる。
【0046】
図8の(B)に示す補強体52は、第3の実施例に係る補強体42の変形例に係るもので、上記実施例に係る補強体42の中空筒体が円弧状半割片43、44からなるのに対し、L字状半割片53、54からなっている点が異なっている。この補強体53の中空筒体は角筒状に形成され、すでに成型された角柱や梁に後付けされるようになっている。
【0047】
上記第3の実施例に係る補強体42およびその変形例に係る補強体52では、すでに成型された柱や梁に合わせて薄鉄板43、44、53、54を成型し、現場で構造躯体の外面に取り付けた後、接着剤で炭素繊維シート4を貼り付けて補強体42、53を形成するようになっている。このように、第3の実施例およびその変形例に係る補強体42、52では、半割片43、44、53、54は薄鉄板を成型して形成するようにしているので、現場の構造躯体の寸法や形状に応じて自在に成型することができるとともに、軽量化されるので、現場への運び込みが容易になる。また、炭素繊維シート4の量を自在に調整して接着させることができ、構造躯体完成後、補強性能を適宜変更することができる。
【実施例4】
【0048】
次に、本発明の第4の実施例に係る補強体102について説明する。第4の実施例に係る補強体102は、図10の(A)に示すように、金属製メッシュ筋(格子状鉄筋)、ジオグリッドまたはジオテキスタイル等の格子状基材または繊維状基材(管状体)103に、炭素繊維シート4を貼り付け(図10の(B)参照)、この炭素繊維シート4が内側になるよう基材103の両側部106、107を接続して円筒状(管状)に形成して構成される(図10の(C)参照)。この補強体102は、例えば、図3に示す杭孔5に配置され、この補強体102内にコンクリートCが打設されるようになっている(図10の(D)参照)。打設コンクリートCは、補強体102の炭素繊維シート4の細かな空隙に浸透し、炭素繊維シート4はコンクリートCに巻き込まれる。こうして、コンクリート杭の外周に炭素繊維シート4が配設されるようになっている。この補強体102を梁や柱などの構造躯体の形状に合致させて円筒状や角筒状に形成し、図4または図5に示す構造躯体に用いてもよい。この実施例に係る補強体102では、補強体102を杭孔5に内に吊り降ろす直前に、補強体102の外面にエポキシ樹脂を塗布し、エポキシ樹脂の硬化中または硬化後に杭孔5に吊り降ろすようになっている。こうして築造されたコンクリート杭は、杭外周に補強体102が密着されるので、強度を向上させることができる。
【実施例5】
【0049】
次に、本発明の第5の実施例に係る補強体112について説明する。第5の実施例に係る補強体112は、図11の(A)に示すように、杭孔5(図3参照)より小径の2本の金属製リング113A、113Bの間に、両端を開口させて円筒状に形成された、炭素繊維シート4からなる炭素繊維製スリーブ(筒体)114を挟み込み、炭素繊維製スリーブ114の形状を上下のリング(保持部材)113、113で保持した状態で、鉄筋籠7をスリーブ114内に吊り降ろし、内側リング113Aに形成されたスペーサ115を鉄筋籠7(図3参照)と接続するようになっている。すなわち、鉄筋籠7の外側に、円筒状の炭素繊維製スリーブ114が配置されるようになっている。上下のリング113、113は、外からの力により変形したり撓みやすい炭素繊維スリーブ114の形状を保持するために設けられる。そして、図12に示すように、外側にスリーブ114が配置された鉄筋籠7を杭孔5内に吊り降ろし、炭素繊維製スリーブ114内にコンクリートCを打設し、コンクリート杭を形成するようになっている。この実施例に係る補強体112では、鉄筋籠7を杭孔5内に吊り降ろす直前に、上下のリング113、113で保持された筒状炭素繊維スリーブ114の外面にエポキシ樹脂を塗布し、エポキシ樹脂の硬化中または硬化後に杭孔5に吊り降ろすようになっている。こうして築造されたコンクリート杭は、杭外周に補強体112が密着されるので、強度を向上させることができる。
【実施例6】
【0050】
次に、本発明の第6の実施例に係る補強体122について説明する。第6の実施例に係る補強体122は、炭素繊維シート4を両端が開口した円筒のスリーブ状に形成して筒状炭素繊維スリーブ124を形成し(図13の(A)、(B)参照)、この炭素繊維スリーブ124に、粘り気のある硬化剤(例えば、膠、でんぷん糊、モルタル、エポキシ樹脂、ゼラチン、合成接着剤等)を含浸させて硬化させ、所望の円筒状に形成するようになっている(図13の(C)参照)。そして、この補強体122を、杭用の外側ケーシングパイプ125の内面に配置する。このとき補強体122の下端部122Aを外側ケーシングパイプ125の下端から覗かせて外側に折り込む。こうして、補強体122が取り付けられた外側ケーシングパイプ125を杭孔5内に吊り降ろす(図14の(A)参照)。次に、補強体122の内側に内側ケーシング126を吊り降ろし、二重のケーシング125、126間に補強体122を挟み込む(図14の(B)参照)。次に、スライム処理を行った後、鉄筋籠127を内側ケーシング126内に吊り降ろし(図14の(C)参照)、コンクリートCを打設する。コンクリートCのレベル上昇時または打設後、内側ケーシング126を引き抜き、コンクリートCと補強体122とを接触させる(図14の(D)参照)。このとき、打設コンクリートCは、補強体122の炭素繊維シート4の細かな空隙に浸透し、炭素繊維シート4はコンクリートCに密着される。次に、外側ケーシング125を引き抜き(図14の(E)参照)、コンクリート杭が築造される(図14の(F)参照)。こうして築造されたコンクリート杭は、杭上部に補強体122が密着するので、強度を向上させることができ、杭径を小さくして所望の強度を確保することができる。なお、上記第4ないし第6の実施例に係る補強体102、112、122では、筒状(管状)に形成された炭素繊維シート4の両端を開口させるようにしているがこれに限られるものではなく、底部を閉じて袋状に形成してもよいことはいうまでもない。
【0051】
なお、上記各実施例では、強化繊維シートとして、炭素繊維シートまたはアラミド繊維シートのいずれか一方を使用しているが、これに限られるものではなく、耐震性能の向上に寄与する繊維シートや不織布シートであればよいことはいうまでもない。また、上記各実施例では、管状材を薄鉄板を管状に形成した鉄材または鉄製筒状体により構成しているが、これに限られるものではなく、コンクリートとの密着性が高い(すなわち剥離性が低い)素材であって管状または筒状に成型しやすいものであれば良く合成樹脂や剛性を備えた布材や網材であってもよい。さらに、上記各実施例では、炭素繊維シート4を管状材の内面に配置するようにしているがこれに限られるものではなく、管状材の外面または内外両面に配置するようにしてもよい。また、図8に示す第3実施例およびその変形例では、補強体の管状材を2つの半割片から構成しているが、これに限られるものではなく、2以上の分割片から構成するようにしてもよい。さらに、上記各実施例では、薄鉄板を管状に形成した管状材に強化繊維を貼り付けるようにしているがこれに限られるものではなく、鋼管杭に用いられる肉厚の厚い鋼管に強化繊維を接着剤で貼り付けるようにしてもよい。また、上記各実施例では、コンクリートの構造物について述べたが、例えば、肉厚が3cm前後の断面四角形状の鋼管に適用し、この鋼管外周に強化繊維を貼り付ければ、所望の強度を確保して肉厚を薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施例に係る補強体を示す全体図である。(実施例1)
【図2】図1の補強体の要部を拡大して示す説明図である。
【図3】(A)ないし(G)はそれぞれ、図1の補強体を用いて杭を築造する過程を順を追って示す説明図である。
【図4】(A)ないし(F)はそれぞれ、図1の補強体を用いて構造躯体のうち円柱を築造する過程を順を追って示す説明図である。
【図5】(A)ないし(F)はそれぞれ、図1の補強体の変形例に係る補強体を用いて構造躯体のうち角柱を築造する過程を順を追って示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る補強体を示す斜視図である。(実施例2)
【図7】(A)ないし(D)はそれぞれ、図6の補強体を用いて構造躯体の梁を築造する過程を順に示す説明図、(Aa)ないし(Cc)はそれぞれ、図7の(A)ないし(C)の各工程における型枠の縦断面図を示す。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ、第3の実施例に係る補強体およびその変形例を示す斜視図である。(実施例3)
【図9】本発明の第2の実施例に係る補強体の変形例を示す斜視図である。
【図10】(A)ないし(C)は、本発明の第4の実施例に係る補強体の製造の工程を順に示す説明図、(D)はこの補強体を用いて築造された杭の横断面を示す説明図である。(実施例4)
【図11】本発明の第5の実施例に係る補強体を示す説明図である。(実施例5)
【図12】図11の補強体を用いて築造された杭の横断面を示す説明図である。
【図13】(A)ないし(C)は、本発明の第6の実施例に係る補強体の製造の工程を順に示す説明図である。(実施例6)
【図14】(A)ないし(F)は、図13の補強体を用いて杭を築造する工程を順に示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 補強体
3 管状材
4 炭素繊維シート(強化繊維)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、管状材の内面に強化繊維を接着して構成したことを特徴とする補強体。
【請求項2】
請求項1において、管状材は、薄鉄板を構造物の外面側形状に応じて中空筒状に形成して構成されることを特徴とする補強体。
【請求項3】
請求項1または2において、管状材を、延長方向に切断して切り離し、この切り離し端部に接続部を設けて構成し、接続部同士を接続して整えられた管状材内面に強化繊維を接着したことを特徴とする補強体。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか1において、管状材は、断面が円形、楕円形、または四角形のうちいずれか1であることを特徴とする補強体。
【請求項5】
地盤に穿設された杭孔に、コンクリートを打設して築造される杭の築造方法において、杭孔に請求項1に記載の補強体を配置した後、コンクリートを打設したことを特徴とする補強体を用いた杭の築造方法。
【請求項6】
請求項5において、補強体を配置した後、この補強体の内側に鉄筋を配置することを特徴とする杭の築造方法。
【請求項7】
設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、請求項1に記載の補強体を型枠内面に接触させて配置し、この補強体内にコンクリートを打設して脱型することを特徴とする構造躯体の築造方法。
【請求項8】
設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、切断された管状材の一部を型枠に接触させて配置し、この切断された管状材にコンクリートを打設し、打設後、切断された管状材の一部と残りとの各切り離し端部同士を接続してコンクリート外面を管状材で囲み、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成することを特徴とする構造躯体の築造方法。
【請求項9】
設置された型枠にコンクリートを打設し構造躯体を築造する構造躯体の築造方法において、脱型後、コンクリート外面を切断された管状材で囲んで切り離し端部同士を接続し、接続された管状材の外面に接着剤を塗布して強化繊維を貼り付け補強体を形成することを特徴とする構造躯体の築造方法。
【請求項10】
請求項9において、接続された管状材とコンクリートとの間に空隙を埋める無収縮硬化性充填剤を充填することを特徴とする構造躯体の築造方法。
【請求項11】
コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成された強化繊維と、この強化繊維を所望の筒形に保持する保持部材とを備えて構成したことを特徴とする補強体。
【請求項12】
コンクリートを打設して築造される構造物の強度を補強する補強体において、この補強体を、少なくとも一端が開口し管状に形成されるとともに、硬化剤が含浸され所望の筒形に保持される強化繊維を備えて構成したことを特徴とする補強体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−39967(P2007−39967A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225114(P2005−225114)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(390027856)大亜ソイル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】