説明

補強材を備えたコンベヤベルトの製造装置及び製造方法

【課題】構造を簡易化するとともに高い質のコンベヤベルトの製造が可能な、補強材を備えたコンベヤベルトの製造装置を提供すること。
【解決手段】複数のケーブルボビン9を備えつつコンベヤベルトに埋設されるケーブル3が繰り出されるケーブル繰出装置5と、引張応力下にあるとともにベルト長手方向に平行に互いに位置平面内に延在するケーブル3が1つ又は複数の生ゴム連結体と共に生ベルト4へと形成されるよう構成された集束引張装置6と、生ベルト4が圧力及び/又は熱によってコンベヤベルト1を形成しつつ加硫されるよう構成された加硫プレス機7とを備えて成る製造装置において、ケーブル繰出装置5を、ケーブル繰出・引張装置として形成し、該ケーブル繰出・引張装置において、各ケーブル3にそれぞれ必要な製造応力を負荷するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、複数のケーブルボビンを備えつつコンベヤベルトに埋設される例えばスチールケーブルであるケーブルが繰り出されるケーブル繰出装置と、引張応力下にあるとともにベルト長手方向に平行に互いに位置平面内に延在するケーブルが1つ又は複数の生ゴム連結体と共に生ベルトへと形成されるよう構成された集束引張装置と、記生ベルトが圧力及び/又は熱によってコンベヤベルトを形成しつつ加硫されるよう構成された加硫プレス機とを備えて成る、例えば鋼製の補強材である補強材を有するコンベヤベルトの製造装置に関するものである。
【0002】
本発明において、ケーブルとはロープ状の引張支持体であって、このケーブルは、補強材としてコンベヤベルトに埋設されるか、あるいは埋設されているとともに、通常は、より合わせたり、あるいはねじられたワイヤ又は繊維で構成されている。このケーブルは、コンベヤベルトの長手方向に延在しており、特に鋼製のケーブルとなっている。ただし、本発明においては、例えば樹脂製繊維あるいはポリマ繊維(例えばアラミド繊維やポリプロピレン繊維)から成るものや、炭素繊維や鉱物繊維から成るものも含まれる。
【0003】
補強材あるいは鋼製の補強材を有するゴムから成るコンベヤベルトあるいは搬送ベルトの製造については、複数のケーブル又はスチールケーブルがボビンクリールとも呼ばれるケーブル繰出ステーションにおいて各ケーブルボビンから繰り出され、各ケーブルは、その後、ベルト長手方向へ延在するとともに、「ケーブルカーペット」を形成しつつ一平面内において互いに平行に整向される。なお、この「ケーブルカーペット」は、集束引張装置において生ゴム連結体と共に案内される。この共に案内されている間及びこれにつづきプレスあるいは加硫される間に、ケーブルには所定の負荷が加えられる。
【背景技術】
【0004】
特許文献1に開示された、従来の、冒頭に記載したような鋼製の補強材を有するコンベヤベルトの製造装置においては、ケーブル繰出装置と、付着ステーションと記載された集束案内装置との間に、ケーブル引張装置がケーブル挟持装置と共に配置されている。また、加硫プレス機の後方には、挟持通過装置が設けられている。この加硫プレス機は周期プレス機として形成されており、また、付着装置も周期的に動作するものとなっている。スチールケーブルの必要な引張応力は、従来の装置においては、ケーブル引張装置により、「固定された装置」において生成されている。加硫加熱プレス機によってコンベヤベルトの一部が製造されると、このプレス機は開放され、負荷のかかっていないケーブル引張装置及び開放されたケーブル挟持装置において、コンベヤベルトが通過装置の操作によって、最後に加硫されたコンベヤベルト部分の長さだけ搬送される。このとき、製造され終わったコンベヤベルトは、対応した長さだけ巻取ステーションにおいて巻き取られる。そして、次に加硫されるべきベルトコンベヤブランクの一部が加硫加熱プレス機へ導入され、付着装置がこれに対応する長さだけ加硫加熱プレス機へ移動し、スチールケーブルがくし状ローラを介してスチールケーブルボビンから対応する長さだけ引き出される。
【0005】
次に、スチールケーブルに生じ得るたるみを防ぐために、モータがボビンクリールにおいて操作され、スチールケーブルボビンがスチールケーブルの繰出方向とは逆の方向へ駆動される。そして、ケーブル引張装置に統合されたケーブル挟持装置が閉鎖され、通過装置とケーブル挟持装置との間に配置された全てのスチールケーブル部分に、ケーブル引張装置によって負荷がかけられる。この負荷のかかった状態においては、スチールケーブルは、生ゴムに被着されている。このような装置においては、生ベルトをプレス機へ搬送するために、付着の後にケーブルを再度負荷から解放する必要がある。そして、プレス機において、ケーブルは再び負荷を受けることになる。
【0006】
また、後の運転において、製造されたコンベヤベルトの欠陥のない移動を達成するために、全体にわたって埋設された補強材における均一な応力配分は、重要な意味を持つものである。このような理由から、特許文献2には、各補強材に、ケーブル応力を検出する計測装置を割り当てて配置し、この計測装置をプロセス計算機を介して制御された調整装置に接続し、この調整装置が各負荷ローラに支持された負荷装置に作用するようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第3037611号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19828736号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
冒頭に記載した従来の装置は、基本的には有用であるが、更に発展の余地がある。
【0009】
本発明の目的とするところは、構造を簡易化するとともに高い質のコンベヤベルトの製造が可能な、補強材を備えたコンベヤベルトの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、冒頭に記載したような、例えば鋼製の補強材である補強材を有するコンベヤベルトの製造装置において、ケーブル繰出装置を、ケーブル繰出・引張装置として形成し、該ケーブル繰出・引張装置において、各ケーブルにそれぞれ必要な製造応力を負荷するよう構成したことを特徴としている。さらに、各ケーブルボビンにそれぞれ少なくとも1つの駆動部又は駆動装置を取り付け、該駆動部又は駆動装置によって、前記ケーブルの必要な製造応力を生成するために、必要な引張モーメントが調整されるよう構成することが考えられる。
【0011】
また、本発明は、ケーブルを繰り出し、場合によってはたるみが生じないよう引張るだけでなく、必要な製造応力及び所望のベルトテンションが調整されることによりケーブル繰出装置の機能が拡張されたとしても、例えば鋼製の補強材である補強材を有するコンベヤベルトの製造装置の構造を大幅に簡易化するという目的を有している。従来設けられていた、独立しつつケーブル挟持装置を備えたケーブル引張ステーションを設ける必要がないので、装置全体の構造が簡易化されるとともに、装置の長さも短縮化される。
【0012】
従来、ボビンクリールに設けられ、たるみの防止のためのみに引張トルクを負荷する駆動部は、性能の高い電動モータ式の駆動部に置き換えられてきている。この電動モータ式の駆動部は、高いケーブル張力の生成に必要なトルクを生成することができるようになっている。このような引張駆動部は特に電気式の同期モータとして形成されており、この同期モータは、各ケーブル引張応力を目標へ調整することができるよう、それぞれ特に周波数トランスバータに取り付けられているか、又は接続されている。ケーブル挟持装置を有する従来の引張装置を設けないことにより、搬送時の応力を発生させるとともにこれを維持することが可能であるという更なる利点が得られる。したがって、所定の部分が更に搬送される場合に、ケーブルを一時的に再び応力から解放する必要がなくなる。よって、例えば、連続的な運転も可能となる。
【0013】
装置の機能性を更に高めるとともに製造されたコンベヤベルトの品質を更に良好なものとするため、本発明においては、ケーブル繰出・引張装置には1つ又は複数のケーブル張力測定装置が設けられており、このケーブル張力測定装置によって、各ケーブルの引張応力が計測可能となっている。なお、各ケーブルに独立した計測箇所を割り当てて配置するのが好ましい。このケーブル張力測定装置も、特にケーブル繰出装置あるいは新たなケーブル繰出・引張装置に統合されている。
【0014】
そのため、実際のケーブル張力を狙いを定めてチェックすることが可能であるとともに、特に好ましくはケーブル張力制御部をケーブル繰出装置に統合することが可能である。さらに、ケーブル繰出・引張装置が制御装置に設けられているのが好ましく、この制御装置は、一方ではケーブル引張り装置に接続され、他方では引張駆動部あるいは駆動装置に接続されている。そして、実際の各ケーブルにおけるケーブル張力をチェックし解析することで、ケーブルカーペットを、各ケーブルの正確に所望な製造応力によって、例えば各ケーブルの正確に理想的な引張応力によって、又は所望な「不均一」のベルト引張り状態によってコンベヤベルトの幅にわたって調整することができる。このとき、独立したケーブル引張ステーションがケーブル繰出装置と集束引張装置の間に配置されていない。
【0015】
また、ケーブル張力測定装置の解析によって、様々なケーブルのドラムにおける繰出径に応じて同様の回転トルクから異なる引張力を達成する場合であっても、ケーブルボビンあるいはその駆動部を介して所望なケーブル張力に調整することが可能である。
【0016】
本発明によるケーブル繰出・引張装置によれば、狙いを定めて、例えば1つのケーブルにつき4000Nまでの引張力を発生させることが可能である。しかも、このとき独立したケーブル引張ステーションは設けられていない。典型的なケーブル引張応力あるいはケーブル引張力は、ケーブルの直径に応じて、800〜4000Nである。なお、ケーブルの直径は、例えば2〜18mm、好ましくは2.5〜15mmである。
【0017】
ケーブル繰出装置は、公知のように、ケーブル繰出用のフレームを備えており、このフレームにおいて、ケーブルボビンが回転可能かつ引張駆動部を介して駆動されるように配置されている。ここで、本発明においては、ケーブル張力測定装置が例えばケーブル繰出用のフレームの出口側端部において該フレームに統合されている。通常、出口側においては、このようなケーブル繰出用のフレームがケーブルガイドローラに取り付けられている。なお、このケーブルガイドローラは、例えばくし状ローラとして形成されている。
【0018】
また、本発明においては、装置におけるこのような範囲内において、ケーブル張力測定装置を統合するようにしている。さらに、このケーブル張力測定装置は、各ケーブルにそれぞれ割り当てて配置された、例えば計測探触子である複数の計測箇所に取り付けられている。この計測探触子を、例えばそれぞれロードセルに接続可能な計測ディスク又は計測ローラとして形成してもよい。
【0019】
また、ケーブル張力測定装置がケーブルトライアングル式に形成されているのが特に好ましい。このケーブル張力測定装置は走行方向に沿って前後に配置された少なくとも2つのガイドローラを備えており、これら2つのガイドローラの間には、計測探触子が所定量だけ沈むようにケーブルに対して加圧されて配置されている。そして、この計測探触子によって、ケーブルにより発生する復帰力が計測される。このとき、ガイドローラとこれらガイドローラの間で沈み込む例えば計測ディスクである計測探触子が、固定された幾何形状で配置されるとともに、移動するケーブルがガイドローラ間において計測探触子によって進路からそらされるよう固定されるのが特に好ましい。
【0020】
この進路からそれることにより生じる復帰力は、例えばロードセルに接続された計測探触子によって計測される。このようにして生じる計測値は、上述のように、ケーブル張力の制御に用いられる。
【0021】
引張駆動部として、通常、モータと変速装置の複合体(駆動装置)が用いられる。各ケーブル応力を制御するために、上述のように、各モータをそれぞれ1つの周波数トランスバータに設けるのが好ましい。また、モータと周波数トランスバータの組合せの形態に応じて、ケーブル応力の計測値が直接モータに伝達されるとともに、分散して制御されるか、又は中央のPLC制御部に伝達され、計測された量が各モータの周波数トランスバータへ供給される。制御は、中央のPLC制御部により設定された目標値に従ってなされる。
【0022】
ところで、加硫プレス機の後方には、(特に周期的に動作するプレス機として形成されている場合に)特に通過装置が配置されている。ケーブルは、ケーブル繰出・引張装置によって、当該ケーブル繰出・引張装置と通過装置の間で製造応力に負荷される。
【0023】
ケーブル繰出・引張装置と、スチールケーブルを生ゴム連結体と共に案内する集束引張ステーションとの間には、通常、少なくとも1つのくし状部材を有する整向装置が配置されている。このくし状部材によって、各ケーブル間の間隔を変更、すなわち特に狭めたり、あるいは場合によっては拡げたりすることが可能である。
【0024】
通常、ケーブルが集束引張ステーションへ導入される前に、くし状部材によって所望のケーブルの製造間隔が調整される。すなわち、通常、各ケーブルは、ケーブル繰出装置あるいは引張装置から導出される際に、(まだ)所望の製造間隔と一致しない間隔を有している。また、コンベヤベルトの製造幅は、多くの場合ケーブル繰出装置あるいは引張装置の幅よりも狭いので、「ケーブルカーペットの狭小化」が必要である。ここで、この狭小化は、整向装置によって達成される。このような整向装置はくし状部材を備えており、このくし状部材は、従来どおりに、溶接されたほぞを有する固定された鋼製ブラケットとして形成されているか、又はフライス加工された溝を有するブラケットとして形成されている。
【0025】
各ケーブルは、ケーブルカーペットの狭小化に関して、異なる強さでほぞにおいて方向転換されるため、異なる摩擦力が生じることになる。そして、この摩擦力により、ケーブル応力のいくらかの変化が生じる。くし状部材のほぞにおける方向転換が強ければ強いほど、ケーブル応力の変化は大きくなる。このようなベルト引張変化が方向転換により他の製造プロセスに関連した各ケーブルの引張応力の不都合な影響へとつながるのを防止するために、本発明の好ましい実施形態においては、ケーブル繰出・引張ステーションにおけるケーブル応力がくし状部材におけるケーブル応力の変化を考慮して前記くし状部材の後方で所望の製造応力となるよう制御することが提案されている。
【0026】
したがって、本発明は、装置のみではなく、鋼製の補強材を有するコンベヤベルトの製造方法であって、各ケーブルの応力を計測するとともに、この計測結果を考慮してケーブル繰出・引張装置において所望の目標値へ制御するものにも関するものである。ケーブル繰出フレームにおけるケーブル応力の制御は、上述のように、整向装置あるいはくし状部材におけるその後の応力変化を考慮してなされるのが特に好ましい。
【0027】
例えば生ゴムを有するスチールケーブルカーペットであるケーブルカーペットの付着前にケーブルあるいはスチールケーブル全体が理想的な引張応力を有していれば、くし状部材における引張応力の変化を考慮して、ケーブル繰出・引張装置において狙いをしっかりと定めて幅方向に不均一なケーブルカーペットの引張応力状態が調整される。付着ステーション近傍におけるケーブルカーペットの幅にわたってケーブル応力の不均一な状態をしっかりと狙いを定めて調整することも可能である。したがって、コンベヤベルトを不均一なケーブル応力をもって製造することが好ましいこともあり得る。なお、このようなことは、本発明による装置及び方法により容易に高い精度で達成可能である。
【0028】
また、本発明において、くし状部材の近傍における応力変化を計算によって、及びそれにつづく引張装置によって相殺することができる場合であっても、従来のくし状部材について、固定されたほぞを「摩擦低減性」のローラくし状部材で置換することが可能である。詳細については、図面に記載されている。
【0029】
ケーブルあるいはケーブルカーペットを生ゴム連結体と共に案内する集束案内ステーションあるいは付着ステーションは、従来公知の、前後に移動する規格化された車両を備えつつ周期的に動作する付着装置として形成することができる。ただし、連続的に動作する集束案内装置を設けてもよい。これについては、図面に記載されている。
【0030】
また、本発明においては、加硫プレス機を従来公知のように周期的に動作する加硫プレス機として形成することが可能である。この場合、各ケーブルの所定の製造応力が、ケーブル繰出装置とこれに後続配置された通過装置の間で、加硫プレス機が開放された停止状態において調整される。ただし、本発明は、連続的に動作する加硫プレス機の実施形態も含むものである。これについても、図面に記載されている。
【0031】
ケーブル繰出装置は多数のケーブル繰出ユニットを備えており、これらケーブル繰出ユニットは、それぞれケーブルボビン及び駆動装置で構成されている。
【0032】
本発明においてはケーブル繰出ステーションあるいはそのケーブル繰出ユニットに対して駆動装置としてモータ・変速装置複合装置が使用されており、このモータ・変速装置複合装置は、規格化された出力軸を備えている。ここで、この出力軸を、くさび状の軸、中空軸又はキー状の軸として形成することが考えられる。また、各ケーブルボビンは、分離さえた固有の軸上に支持されているか、あるいは分離された固有の軸上に相対回転不能に固定されている。そのため、規格化された出力軸を相対回転不能にボビン軸に結合することが必要である。
【0033】
一方、本発明の他の実施形態においては、ケーブルボビンが変速装置に統合されるとともに該変速装置から突出する出力軸に取り付けられている。本発明は、このような観点から、必要なボビン軸に相対回転不能に結合され、かつ、規格化された出力軸に変速装置を取り付けることを省略することで、ケーブル繰出ユニットの構造を最適化できるということに基づいている。本発明においては、変速装置から導出された該変速装置の出力軸をケーブルボビンの軸受及び駆動に直接用いることが好ましい。
【0034】
したがって、変速装置から導出された出力軸は、ケーブルボビンが直接当該出力軸に配置されるとともに固定されるよう設定されている。また、それぞれ駆動装置に取り付けられた各ケーブル繰出ユニットが複数ケーブル繰出ステーションに設けられている事実を考慮して、経済的に均一に「カスタマイズ」された駆動装置使用目的に合わせた出力軸に経済的に用いることが可能である。そのため、独立したボビン軸を設ける必要がない。このようにして、きわめて省空間化された構造が実現できるとともに、必要な部品点数を最小化することが可能である。
【0035】
さらに、本発明においては、変速装置に統合された駆動軸が所定の長さだけ変速装置から突出するようになっている。ここで、この所定の長さは、少なくとも特にケーブルボビンの幅に相当するか、又はこれよりも大きく設定されている。したがって、変速装置に統合された出力軸は、安定時には当該出力軸がケーブルボビンを収容するよう採寸されている。これには、ケーブルボビンがケーブル繰出フレームにおいて通常は単に一方のみで支持されているため、大きな意味がある。
【0036】
本発明によるケーブル繰出ユニットによれば、効率の良い電動モータ駆動部及び適当な変速装置を用いることで、必要なトルクを高いケーブル応力のために調達することができる。そのため、駆動装置が「本当の」引張駆動部として形成され、この駆動装置によって、必要な製造応力が実際に得られることになる。
【0037】
トルクを軸によって簡易にケーブルコイルへ伝達するために、本発明の第1の実施形態においては、出力軸を溝付きの軸として形成するとともにトルク伝達のためにケーブルボビンの対応する凹部に相対回転不能かつ嵌合状に係合させている。本発明において、この溝付きの軸とは、断面において溝がつけられた軸を意味し、例えば多角形などの円形以外の断面を有するものを意味している。また、ボビンにおける凹部もこれに対応した断面、例えば多角形状の断面を有している。そのため、出力軸をボビンにおける凹部へ相対回転不能に嵌挿することが可能である。したがって、ケーブルボビンを容易かつ着脱自在に出力軸へ設置するとともに、容易かつ効率的にトルクをケーブルボビンへ伝達することができる。なお、出力軸は、高強度の鋼で形成することが考えられる。
【0038】
これに代えて、本発明の第2の実施形態においては、出力軸を溝のない滑らかな軸として形成することができる。この溝のない軸とは、本発明においては、軸が円形の断面を有していることを意味している。円形断面を有するこの出力軸は、特に滑面を有する高強度の鋼で形成されている。このような実施形態は、特に従来のケーブルボビンにおける円形断面を有するボビン凹部あるいはボビン穴において加工すべき場合に適している。この出力軸上に載置されたケーブルボビンも相対回転可能(ただし着脱自在)に出力軸に固定されている。このようなことは、特に出力軸に相対回転不能に固定されるか、又は固定可能な連行部材によってなされる。非常に硬い出力軸の強度が例えば溶接などにより損なわれるのを防ぐために、本発明においては、連行部材を引張要素によって係合式に出力軸に固定するようにしている。このような引張要素を、例えばリング状の引張要素として形成することが考えられる。
【0039】
出力軸に押し込まれるケーブルボビンを連行部材によって相対回転不能(ただし着脱自在)に軸に連結することができるよう、連行部材を1つまたは複数の同信条に配置された例えば同心状に軸周りに配置されたピンを設けることが考えられる。このピンは、ケーブルボビンにおける同心状に配置された凹部に係合するものとなっている。一方、逆に、連行部材が凹部を有し、ケーブルボビンがピンを備えるようにしてもよい。いずれの場合でも、ケーブルボビンの連行部材への係合がなされ、連行部材は軸に相対回転不能に結合されることになる。このような構造は、連行部材により、簡易なケーブルボビンの交換も可能にするものである。
【0040】
連行部材を備えた構成は、特に上記のような実施形態においては、軸が円形状の断面を備えることが提供される。そのため、従来のケーブルボビンにおいても動作することが可能である。ただし、本発明においては、トルク伝達用の連行部材を、円形状以外の断面を有する溝付きの軸においても用いることが可能である。
【0041】
また、本発明においては、軸上のケーブルボビンを保護するために、例えば安全ディスクである安全部材が、ケーブルボビンを軸に取り付けた後に一端において軸に取り付けられるようになっている。例えば安全ディスクである安全要素は、ピン又はバネによって保障される。また、追加的に、本発明においては、ピン及び/又は凹部が円すい状に形成されているとともに、底部へ向けて拡径する断面を有している。このような円すい状の形態によれば、運転中に、力の方向転換に基づき、ケーブルボビンが自身で均一に連行部材方向へ引張られ、それによりロックされるという利点が得られる。なお、場合によっては、例えば安全ディスクである他の安全要素を設ける必要がなくなる。また、安全ディスク等の取外しを省略することができるため、ケーブルコイルの交換を更に簡易化することが可能である。
【0042】
コイルクリールとも呼ばれるケーブル繰出ステーションは、ケーブル繰出フレーム及び該ケーブル繰出フレームに配置された多数の上述のようなケーブル繰出ユニットが取り付けられている。このとき、例えば100以上、特に好ましくは200以上、場合によっては300以上のケーブル繰出ユニットをケーブル繰出フレームに統合することが可能である。ケーブル繰出ユニットの簡易化による利点は、特に、それぞれ固有の駆動装置を備えた複数のケーブル繰出ユニットが装置に統合される場合に得られるものとなっている。すなわち、経済的に必要に合わせた、適当な出力軸を有する変速装置を形成及び使用することができる。このようなケーブル繰出ステーションによれば、該ケーブル繰出ステーションがわずかな構成要素から成っているため、本発明において、簡易かつコストを抑えて構成することが可能である。このケーブル繰出ステーションは、基本的に、比較的簡易な鉄骨構造、本発明によるモータ/変速装置及び適当なボビンで構成されている。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、構造を簡易化するとともに高い質のコンベヤベルトの製造が可能な、補強材を備えたコンベヤベルトの製造装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】鋼製の補強材を備えたコンベヤベルトの製造装置の側面図である。
【図2】図1に示す装置におけるケーブル張力測定装置近傍の拡大図である。
【図3】図2を他の視点から見た図である。
【図4】図1に示す装置における整向装置近傍の拡大図である。
【図5】図4を他の視点から見た図である。
【図6】図1に示す装置における他の部分の拡大図である。
【図7】図6に示すものの平面図である。
【図8】図1に示すものとは別の実施形態を示す図である。
【図9】図1に示すものとは別の実施形態を示す図である。
【図10】図9に示す装置の部分拡大図である。
【図11】図1に示す装置のケーブル繰出ユニットを示す図である。
【図12】図11に示すものとは別の実施形態を示す図である。
【図13】図12に示すものの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0046】
各図には、特に鋼製のケーブル補強材を有するコンベヤベルト1を製造するための設備が示されている。このようなコンベヤベルト1は通常少なくとも2つの生ゴム連結体2で形成されており、これら2つの生ゴム連結体2の間には、ベルトの長手方向において互いに平行かつ一平面内において延在する複数のスチールケーブル3から成るケーブルカーペットあるいはスチールケーブルカーペットが埋入されている。このとき、各スチールケーブル3は、所定の引張力で付勢されている。したがって、各スチールケーブル3は、所定の張力下にある。一平面内において延在する各スチールケーブル3は、全体としてケーブルカーペット3’を形成している。
【0047】
上記設備は、その基本的な構造において、ケーブル繰出装置5、集束引張装置6、加硫プレス機7及び少なくとも1つの巻取装置8を備えている。
【0048】
ここで、ケーブル繰出装置5は回転可能に支持された複数のケーブルボビン9を備えており、これらケーブルボビン9によって、コンベヤベルト1に埋め込まれるスチールケーブル3が繰り出されるようになっている。
【0049】
また、集束引張装置6においては、引張力が作用した状況下にあり、かつ、一平面内においてベルトの長手方向に互いに平行に延在するスチールケーブル3あるいはケーブルカーペット3’が生ゴム連結体2と共に生ベルト4へと結合される。
【0050】
さらに、この生ベルト4は、加硫プレス機7において、圧力及び熱により、コンベヤベルト1を形成しつつ加硫される。
【0051】
しかして、図1に示す設備は周期的に動作し、すなわち、集束引張装置6及び加硫プレス機7が周期的な運転において動作している。これについては、後に詳述する。
【0052】
これまでの従来技術においては、ケーブル繰出装置5及び集束引張装置6(「引張ステーション」ともいう。)が引張装置を備えていた一方、本発明におけるケーブル繰出装置は、複合的なケーブル繰出・引張装置5として形成されている。このケーブル繰出・引張装置5においては、各スチールケーブル3がそれぞれ必要な製造応力へ付勢されている。さらに、各ケーブルボビン9はそれぞれ独立した引張駆動部を備えており(図1〜図10においては不図示)、この引張駆動部は、繰出し時のスチールケーブルのたるみを防止するためのみならず、スチールケーブルの必要な製造応力を得るために必要な引張トルクを調節する役割も果たすものである。このような引張駆動部は、電気的な同期モータとして形成されることができ、それぞれ周波数トランスバータを備えているか、周波数トランスバータに接続されている。個々については、図11〜図13を参照しつつ後に説明する。
【0053】
各スチールケーブルの所望の引張力を調節するだけでなくチェックすることができるよう、ケーブル繰出・引張装置は、個々のスチールケーブル応力全体を測定するための少なくとも1つのケーブル張力測定装置10を備えている。さらに、このケーブル張力測定装置10はそれぞれ少なくとも1つの計測箇所12を有しており、各スチールケーブル3には1つの(固有の)計測箇所12が割り当てられている。すなわち、各スチールケーブルの全体の引張応力が個々に測定され、解析される。図1においては単にこのケーブル張力測定装置10が示唆されているのみであり、このケーブル張力測定装置10の構造及び機能については、図2及び図3を用いて説明する。
【0054】
ところで、ケーブル繰出・引張装置5はフレーム33を備えており、このフレーム33においてケーブルボビン9が回転可能に支持されている。図1に示すように、各ケーブルボビン9が複数の段を備えているとともに通常は各ケーブルボビン9が互いに隣接するよう配置されているため、各スチールケーブル3は、複数のグループに分かれてケーブル繰出装置から繰り出されるようになっている。これらグループのそれぞれには、固有のケーブル張力測定装置10を割り当てることが可能である。なお、このようなケーブル張力測定装置10は、例えば図2及び図3に示されている。
【0055】
ケーブル張力測定装置10はそれぞれ複数の計測箇所12を有しており、これら計測箇所12は、ケーブルトライアングル状に構成されている。計測箇所12には搬送方向に前後して配置された2つのガイドローラ11が設けられており、これらガイドローラ11の間にはそれぞれ各スチールケーブル3に割り当てられた、計測箇所としての複数の計測探触子12が配置されている。上記ケーブルトライアングルの幾何形状は、計測探触子12がガイドローラ11間で所定量だけしずみ、スチールケーブルを押圧するよう設定されている。また、各計測探触子12には独立したロードセル(不図示)が配置されており、このロードセルによって、各スチールケーブル3から生じる反力を計測することができるようになっている。
【0056】
図2及び図3に示すガイドローラ11は、固定して設備内に統合されており、そのため、固定してケーブル繰出台に統合あるいはこれに結合されている。各計測探触子12は回転可能な計測ディスク12として形成されており、この計測ディスク12は、ロードセルの介在の下で共通かつ固定された支持部13に懸吊されている。ここで、「固定」とは、計測中に固定されていることを意味するものである。したがって、計測探触子又は支持部を、例えば調整の目的で調節可能に配置することが考えられる。しかし、実際の計測時には、支持部は固定されている。
【0057】
したがって、一方で各ガイドローラ11の幾何形状、他方で計測ディスク12に結合された支持部の幾何形状は、ベルト走行方向に対して垂直に押圧する力を規定するものとなっている。このようにして生じる復帰力は、計測探触子12あるいはそのロードセルによって計測される。このとき得られる計測値は、上述の制御装置(不図示)を介してケーブル張力の制御に使用される。これにより、ケーブル張力全体を所望どおりに正確に調整及び制御することが可能であり、そのため、質の高いコンベヤベルトを得ることが可能となる。
【0058】
また、ケーブル繰出・引張装置5の幅が実際には例えば製造すべきコンベヤベルト1よりも広く、さらに、必要なケーブルカーペット3’の幅よりも広いため、ケーブル繰出・引張装置5と集束引張装置6の間には整列装置14が配置されている。この配列装置14は、ケーブルの製造間隔又はほぼ製造間隔を規定するくし状部材15を備えている。このようなくし状部材15の構造及び機能については、図4〜図7を参照しつつ説明する。
【0059】
本実施の形態においては、このくし状部材15は回転可能に支持された回転ぐしとして形成されており、この回転ぐしは、その外周部にわたって互いに平行に延在する複数のガイド溝16を備えている。このガイド溝16は、(ほぼ)製造間隔に対応する溝間隔を有している。くし状部材15の前方にはガイドローラ17が配置されており、このガイドローラ17は、ケーブル繰出しステーション5から供給される、異なる平面からのケーブルの欠陥のない供給に役立つものとなっている。特に図6及び図7には、このくし状部材15によってケーブルカーペットの狭小化がなされることが示されている。この回転ぐしは、回転可能な回転コア及び該回転コア上で摺動する溝を有するスリーブで構成されている。したがって、スリーブを交換することによって、異なるケーブル間隔に適合させることが可能である。なお、詳細は示されていない。また、このような回転ぐし15の代わりに、従来の鋼製のくし歯を有する固定ぐしを用いてもよい。
【0060】
くし状部材15のタイプに応じて、ベルト面における各ケーブルの常に強さの異なる向きの変更が生じる。この異なる強さの向きの変更は、特に鋼製のくし歯を有する固定ぐしにおいて、ベルトの張力の変化に関連している。したがって、くし状部材15は、スチールケーブルの張力配分をベルトの幅方向にわたって不均一に変化させ、品質が劣ってしまうことが考えられる。
【0061】
このような問題は、本発明において、例えばくし状部材15における経験に基づく張力の変化の検出がケーブル繰出装置5における張力状態の調節においてあらかじめ考慮されることで解消される。例えば、ケーブルカーペットにその幅方向にわたって一定の張力が負荷される場合、ケーブル繰出装置5においてあらかじめくし状部材15における不均一な変化を考慮して、不均一な引張り状態が生成される。したがって、スチールケーブルのくし状部材における状態も制御対象となる。
【0062】
通常は、図1に示すように、加硫プレス機7が通過装置18の後方に配置されている。なお、この通過装置18は、コンベヤベルト1が巻取装置8で巻き取られるまで、スチールケーブル3及び製造されたコンベヤベルト1を設備全体にわたって牽引するものとなっている。この通過装置18と巻取装置8の間には切断装置19を設けることが考えられる。
【0063】
図1に示す設備は、上述のように、周期的に動作する。例えば、加硫プレス機7においてコンベヤベルトの一部が製造し終わると、加硫プレス機7が開放されるとともに、コンベヤベルト1が、通過装置18によって直前に加硫されたコンベヤベルトの長さだけ前方へ移動される。同時に、次に加硫される生ベルトの一部が加硫プレス機7へ導入される。ここで、集束引張装置6は、周期的に動作しつつ規格化された車両36を備える引張装置として形成されている。製造されたコンベヤベルトの前方への搬送時には、まだ規格化されていないスチールケーブルも同時に同じ長さだけ移動する。このスチールケーブルカーペットが規格化された車両36によって生ゴム連結体2に付着する前に、所望の製造応力をスチールケーブルへ負荷する必要がある。
【0064】
さらに、加硫プレス機7が開放されている場合及び通過装置18が「固定」されている場合に、ケーブル繰出装置5によって、上述のように、所望のベルト張力が各スチールケーブル3へ負荷されるとともに、所望の目標値への制御がなされる。このことは、本発明においては、独立した引張ステーションを設けることなく行うことが可能である。また、所望のケーブル張力を調節した後、ケーブルカーペットは規格化された車両36によって生ゴム連結体2に付着されるとともに部分的に予圧される。このとき、又はこの後、加硫プレス機7が閉鎖され、該加硫プレス機7であらかじめ導入されていた生ベルト部分が加硫される。いずれにしても、集束引張装置6は周期的に動作するようになっている。すなわち、ケーブルは、生ベルト繰出装置が車両36によって前後に移動されることによって、休止状態において生ゴムに付着されている。
【0065】
図8には繰出式の実施形態が示されており、この実施形態においては、加硫プレス機7が周期プレス機として形成されている。そして、この周期プレス機は、集束引張装置6と連続的に協働するようになっている。すなわち、集束引張装置において、生ゴム連結体2は、スチールケーブル3の搬送中に、変位するこのスチールケーブル3と共に案内される。さらに、集束引張装置6は、スチールケーブル3の情報に配置されつつ固定された、上側の生ゴム連結体2用の繰出装置20と、スチールケーブル3の下方に配置されつつ固定された、下側の生ゴム連結体2用の繰出装置21を備えている。また、これら繰出装置20,21の後方に少なくとも1つの加圧装置22が配置されており、この加圧装置22によって、スチールケーブル3が生ゴム連結体2へと相互に加圧されるようになっている。
【0066】
この実施形態においては、加圧装置22は、上側ローラ23と下側ローラ24を備えた、つや出し機状の圧延装置として形成されている。通常、生ゴム連結体2は分離ホイル25に付着されているとともに巻き取られているため、集束引張装置6は、この実施形態において、分離ホイル25用の巻取装置26に取り付けられている。なお、この巻取装置26は、ここでは単に示唆的にのみ示されており、搬送方向に見て加圧装置22の後方に配置されている。通常、図8に示す設備は図1に示す設備と同様に動作するものである。また、集束引張装置6と加硫プレス機7の間に縁取り装置32を配置してもよい。
【0067】
図9に示す実施形態においては、加硫プレス機7も計測的に動作するものとして形成されている。この実施形態において、加硫プレス機は、プレス機状部とプレス機下部において無端に循環する加圧ベルト27を備えた二重ベルトプレス機となっている。なお、加圧ベルト27は、例えば鋼製のベルトとして形成されているとともに、方向転換ローラ28a,28bを介して案内されるようになっている。さらに、プレス機上部及びプレス機下部にはそれぞれ加熱可能なプレスプレート29a,29bが配置されており、上側プレスプレート29a及び/又は下側プレスプレート29bは、油圧式ピストン−シリンダ機構30によって負荷を受けるようになっている。この実施形態においては、この油圧式ピストン−シリンダ機構は、上方ピストンプレス機となっている。
【0068】
ところで、循環する加圧ベルト27は、例えばプレスプレート29a,29bにおける回転ロッドであるローラ本体装置31の介在の下で支持されている。図9に示す実施形態においては、プレス機の後方の独立した通過装置が設けられていない。したがって、連続的に動作するプレス機は、加圧ベルト27によってスチールケーブル3が必要な引張力によって設備を通過できるよう設定されている。したがって、ケーブル繰出装置5は、スチールケーブルの所望な引張力を連続的に動作するプレス機7に対して調整するものとなっている。よって、図9に示された設備により、連続的な運転が可能となる。
【0069】
上記においては、補強材を備えたコンベヤベルトの製造の例において各図に示された設備を説明した。このような説明は、他の補強材を備えたコンベヤベルトに対しても同様である。
【0070】
本発明を、更に図11〜図13に基づいて以下に説明する。
【0071】
上述のとおり、ケーブル繰出装置5は、フレーム33及び該フレーム33に複数配置されたケーブル繰出ユニット40を備えている。各ケーブル繰出ユニット40は、基本的に、駆動装置41,42及びケーブルボビン9によって構成されている。ここで、ケーブル繰出ユニット40のケーブルボビン9からコンベヤベルト1へ埋入されるケーブル3が繰り出されるようになっている。また、ケーブルボビン9は、取外し可能、すなわち交換可能に駆動装置41,42に結合されている。
【0072】
駆動装置41,42は、少なくとも1つのモータ41及び少なくとも1つの変速装置42を備えており、この変速装置は、出力軸47を備えている。また、駆動装置41,42によってケーブルボビン9が駆動されるようになっている。このとき、ケーブルは例えば設備に統合された通過装置18によってケーブルボビン9から引き出されるか、又は繰り出され、本発明においては、駆動装置41,42が制動装置及び/又は加圧装置として形成されていることを考慮する必要がある。なお、制動装置及び/又は加圧装置は、所定の引張応力の下でスチールケーブル3を保持するものとなっている。上述のとおり、制動装置及び/又は加圧装置によって、スチールケーブルの必要な製造応力が生成されるようになっている。また、駆動装置41,42によって、このようなスチールケーブルの必要な製造応力を生成するために必要な加圧トルクが調整されるようになっている。このとき、モータ41は例えば電気的な同期モータとして形成されており、この同期モータを、周波数トランスバータに取り付けるか、又は周波数トランスバータに接続することが考えられる。
【0073】
本発明によれば、ケーブル繰出ユニット40のケーブルボビン9が、図11〜図13に示すように、変速装置42に直接統合されているとともに、この変速装置42から突出した出力軸47に設けられている。
【0074】
図11には、動作方向に延在するフレーム33の長手方向支持台33’が例示されている。この長手方向支持台33’上には駆動装置41,42が載置されており、この駆動装置41,42は、基本的にモータ41及び変速装置42で構成されている。ここで、モータ41について、図11あるいは図12において詳細は示されていない。
【0075】
変速装置42に統合された出力軸47は、所定の長さLだけ変速装置42から突出しており、この長さLは、ケーブルボビンの幅Bよりも大きなものとなっている。これにより、独立したボビンシャフトが規格化された変速装置の駆動軸に相対回転しないよう結合されることなく、ケーブルボビン9を、変速装置42から突出した出力軸47上に直接設けることが可能となる。
【0076】
図11に示す実施形態においては、出力軸47が強度の高い鋼で構成されつつ滑面を備えた溝のない滑らかなシャフトとして形成されている。この出力軸47は、円形状の断面を有している。この出力軸47は、同様に円形状の断面を有するボビン凹部に嵌合するようになっている。ケーブルボビン9を相対回転不能に出力軸47に結合することができるよう、及びケーブルボビン9を容易に交換することができるよう、連行部材48が設けられており、この連行部材48は、出力軸47に固定されている一方、相対回転不能かつ取外し可能にケーブルボビン9に結合できるようになっている。また、この連行部材48は、例えばテンションエレメント49を介して出力軸47に係合している。なお、このテンションエレメント49は、図11に単純化して示されており、例えばリング状のテンションエレメントとすることが考えられる。
【0077】
ここで、各ケーブルボビン9を交換可能かつ相対回転不能に出力軸47へ結合可能とするために、本実施の形態において、連行部材は、同心状に複数配置されたピン50を備えている。このピン50は同様に同心状に配置された対応する穴51に係合するようになっており、このようにして大きな引張力あるいはトルクが伝達されるようになっている。この場合でも、ケーブルボビン9の容易な交換性は維持されている。
【0078】
連行部材48と出力軸47の間の係合により、出力軸47の強度が損ねられてしまうような溶接を回避することが可能である。ケーブルボビン9と連行部材48の間の係合により、ケーブルボビン9の容易な交換が可能となる。
【0079】
本発明においては、基本的に、ケーブルボビン9の軸方向の移動が例えばロックワッシャの安全要素によって保障されている。選択的に、又は追加的に、ピン50及び/又は穴51を、円すい状に形成することが考えられるとともに、その底部に向けて拡径する形状を有するようにすることが考えられる。なお、このような形態は図示されていない。このような形態によれば、場合によっては、安全要素をなくすことが可能である。また、ピン及び/又は穴の円すい状の形状により、運転中において、引張力は、ケーブルボビンがいわば自ら連行部材において引張られるよう、その向きが変えられることになる。
【0080】
規格化された標準的な変速装置の出力軸を従来のボビンシャフトに結合する必要がないため、全体として、本発明によるケーブル繰出ユニット45は、簡易かつ非常にコンパクトな構造において特徴がある。
【0081】
このような利点は、図12及び図13に示す本発明の実施形態においても得ることができる。この実施形態においては、出力軸47が溝の付けられたシャフトとして、かつ、円形状以外の形状の断面を有するもの、すなわち多角形状の断面を有するものとして形成されている。本実施形態においては、出力軸47が例えば四角形状の断面を有しており、この出力軸は、ケーブルボビン9における対応するボビン凹部に係合している。すなわち、このボビン凹部も、同様に円形状以下の形状の断面、すなわち多角形状の断面を有している。この断面は、本実施の形態では、四角形状に形成されている。このようにして、出力軸47は、トルク伝達のために、回転不能かつ嵌合式にボビン凹部に係合される。これにより、トルク伝達が出力軸47を介して直接なされるため、例えば図11に示されているように、連行部材を備えた装置をなくすことができる。このような実施形態においても、ケーブルボビン9の軸方向の移動を例えば安全ディスクである安全要素52によって保障することが好都合である。
【符号の説明】
【0082】
1 コンベヤベルト
2 生ゴム連結体
3 スチールケーブル
3’ ケーブルカーペット
4 生ベルト
5 ケーブル繰出装置
6 集束引張装置
7 加硫プレス機
8 巻取装置
9 ケーブルボビン
10 ケーブル張力測定装置
11 ガイドローラ
12 計測箇所(計測探触子、計測ディスク)
13 支持部
14 整列装置
15 くし状部材(回転ぐし)
16 ガイド溝
17 ガイドローラ
18 通過装置
19 切断装置
20 繰出装置
21 繰出装置
22 加圧装置
23 上側ローラ
24 下側ローラ
25 分離ホイル
26 巻取装置
27 加圧ベルト
28a,28b 方向転換ローラ
29a 上側プレスプレート
29b 下側プレスプレート
30 油圧式ピストン−シリンダ機構
31 ローラ本体装置
32 縁取り装置
33 フレーム
33’ 長手方向支持台
36 規格化された車両
40 ケーブル繰出ユニット
41 駆動装置(モータ)
42 駆動装置(ギヤ装置)
45 ケーブル繰出ユニット
47 出力軸
48 連行部材
49 テンションエレメント
50 ピン
51 穴
52 安全要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば鋼製の補強材である補強材を有するコンベヤベルトの製造装置であって、
少なくとも、
複数のケーブルボビン(9)を備えつつ前記コンベヤベルトに埋設される例えばスチールケーブルであるケーブル(3)が複数の前記ケーブルボビンによって繰り出されるケーブル繰出装置(5)と、
引張応力下にあるとともにベルト長手方向に平行に互いに位置平面内に延在する前記ケーブル(3)が1つ又は複数の生ゴム連結体(2)と共に生ベルト(4)へと形成されるよう構成された集束引張装置(6)と、
前記生ベルト(4)が圧力及び/又は熱によって前記コンベヤベルト(1)を形成しつつ加硫されるよう構成された加硫プレス機(7)と
を備えて成る前記製造装置において、
前記ケーブル繰出装置(5)を、ケーブル繰出・引張装置として形成し、該ケーブル繰出・引張装置において、前記各ケーブル(3)にそれぞれ必要な製造応力を負荷するよう構成したことを特徴とする製造装置。
【請求項2】
前記各ケーブルボビン(9)にそれぞれ少なくとも1つの駆動部又は駆動装置を取り付け、又は接続し、該駆動部又は駆動装置によって、前記ケーブル(3)の必要な製造応力を生成するために、必要な引張モーメントが調整されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の製造装置。
【請求項3】
前記ケーブル繰出・引張装置(5)に1つ又は複数のケーブル張力測定装置(10)を設け、該ケーブル張力測定装置によって前記各ケーブル(3)の引張応力を測定可能とするとともに、特に前記各ケーブル(3)に1つの計測箇所を割り当てたことを特徴とする請求項1又は2記載の製造装置。
【請求項4】
前記ケーブル繰出・引張装置(5)に制御装置を設け、該制御装置を、前記ケーブル張力測定装置(10)又は前記計測箇所(12)に接続するとともに前記駆動部に接続したことを特徴とする請求項3記載の製造装置。
【請求項5】
前記駆動部を電気的な同期モータとして形成するか、又は電気的な同期モータに設け、該同期モータ全体又は個々を周波数トランスバータに設けるか、又は接続したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項6】
フレーム(33)を備え、該フレーム(33)内に前記ケーブルボビン(9)が回転可能かつ前記駆動部又は前記駆動装置によって駆動されるよう配置された請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造装置において、
前記ケーブル張力測定装置(10)を、例えば前記フレーム(33)における出口側端部において前記フレーム(33)に統合したことを特徴とする製造装置。
【請求項7】
前記計測箇所(12)を、前記各ケーブルにそれぞれ割り当てられた計測探触子として形成したことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項8】
前記計測探触子を計測ディスク(12)又は計測ローラとして形成するとともに、該計測ディスク又は計測ローラをそれぞれロードセルに接続するか、又は設けたことを特徴とする請求項7記載の製造装置。
【請求項9】
前記ケーブル張力測定装置(10)を、ケーブルトライアングル式に形成するとともに搬送方向に並置された少なくとも2つのガイドローラ(11)を備えるよう構成し、これらガイドローラ(11)の間で、前記計測探触子(12)を所定の量だけ下降するよう前記ケーブルに対して加圧し、前記計測探触子(12)によって、前記各ケーブルによる復帰力を計測可能に構成したことを特徴とする請求項7又は8記載の製造装置。
【請求項10】
前記加硫プレス機(7)の後方に配置された通過装置(18)を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の製造装置において、
前記ケーブル(3)を、前記ケーブル繰出・引張装置(5)によって、該ケーブル繰出・引張装置(5)と前記通過装置(18)の間で製造応力へ負荷可能に構成したことを特徴とする製造装置。
【請求項11】
前記ケーブル繰出・引張装置(5)と前記集束引張装置(6)の間に少なくとも1つの、ケーブル間隔に応じて変化するくし状部材(15)を備えた少なくとも1つの整列装置(14)を配置し、前記くし状部材において各ケーブル(3)がベルト平面において異なる角度に方向転換されるよう構成したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項12】
前記駆動装置(41,42)に、少なくとも1つのモータ(41)と、出力軸(47)を備えた少なくとも1つの変速装置(42)とを設け、前記ケーブルボビン(9)を、前記変速装置(42)に統合されつつ該変速装置(42)から突出した前記出力軸(47)に直接設けたことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項13】
前記変速装置(42)に統合された前記出力軸(47)を所定の長さ(L)だけ前記変速装置(42)から突出させるとともに、前記所定の長さを少なくとも前記ケーブルボビン(9)の長さと同一か、又はこれよりも大きく設定したことを特徴とする請求項12記載の製造装置。
【請求項14】
前記出力軸(47)を、円形状でない、例えば多角形状の断面を有する溝付きの軸として形成するとともに、トルク伝達のために、前記ケーブルボビン(9)の対応する凹部に相対回転不能かつ嵌合するよう係合させたことを特徴とする請求項12又は13記載の製造装置。
【請求項15】
前記出力軸(47)を、平滑な表面を有する高強度の鋼製の、溝のない、円形断面を有する滑らかな軸として形成したことを特徴とする請求項12又は13記載の製造装置。
【請求項16】
前記ケーブルボビン(9)を、連行部材(48)と共に、相対回転しないよう前記出力軸(47)に固定するか、固定可能としたことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項17】
前記連行部材(48)を、例えばリングテンションエレメントであるテンションエレメント(49)によって前記出力軸(47)に固定したことを特徴とする請求項15記載の製造装置。
【請求項18】
前記ケーブルボビン(9)を、嵌合式かつ着脱可能に前記連行部材(48)に固定したことを特徴とする請求項15又は17記載の製造装置。
【請求項19】
前記連行部材(48)に例えば軸周りに同心状に分配配置された、1つ又は複数のピン(50)を設けるとともに、該ピン(50)を、例えば軸方向に延在するとともに前記ケーブルボビン(9)における同心状に配置された穴(51)に係合するよう構成したことを特徴とする請求項18記載の製造装置。
【請求項20】
前記ピン(50)及び/又は前記穴(51)を、円すい状に形成するとともに底部へ向けて拡径する断面を有するよう形成したことを特徴とする請求項19記載の製造装置。
【請求項21】
前記モータ(41)を、例えば電気的な同期モータである電動モータとして形成したことを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項22】
前記変速装置(42)を、例えばべベルギヤ装置である減速装置として形成したことを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の製造装置による、鋼製の補強材を有するコンベヤベルトの製造方法において、
前記各ケーブルの応力を計測するとともに、この計測結果を考慮して前記ケーブル繰出・引張装置において所望の目標値へ制御することを特徴とする製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の製造方法であって、前記ケーブルが、前記ケーブル繰出装置と前記通過装置との間に配置されたくし状部材において個々に応力が変化されつつベルト平面において異なる方向へ転換される、前記製造方法において、
ケーブル応力を、前記ケーブル繰出・引張装置において、ガイドくし部材における当該ケーブル応力の変化を考慮しつつ前記ガイドくし部材の後方において所望の製造応力が得られるよう調整又は制御することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−519548(P2013−519548A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553319(P2012−553319)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052357
【国際公開番号】WO2011/101410
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512215107)ジームペルカンプ・マシーネン−ウント−アンラーゲンバウ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】